【こあ】~【こう】

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・ご愛嬌
(ごあいきょう)・ご愛敬 1.商売などで、客の気を引くためにする値引きやお負け。2.表現や言動が、人好きのするようなものである。笑いを誘うような言動である。 例:「時々やらかすポカもご愛嬌」
・ご挨拶
(ごあいさつ) 1.「挨拶」の尊敬語。 用例:人情・
縁結娯色の糸−二「御堪弁の御挨拶で」 2.呆(あき)れた言い様。「とんでもない挨拶」のことで、自慢話や失礼な言い方に対して、皮肉を込めて受け答えする時の言葉。 用例:人情・仮名文章娘節用−前「『おれがどうした。女が惚れるでうらやましいか』『いかなこっても御挨拶、ヲホホホ』」 例:「これはご挨拶だね」 用例の出典:縁結娯色の糸(えんむすびごしきのいと?) 人情本。天保12年(1841)。・・・調査中。
・居安思危(こあんしき) 《四熟》 平安無事のときでも、危難のことを考えている。常に用心を怠(おこた)らないこと。 類:●治に居て乱を忘れず備えあれば患え無し ★「安(あん)に居て危(き)を思う」と読み下す。 出典:「春秋左氏伝−襄公十一年」「書曰、居安思危。思則有備、有備無患」 ★「書経」よりの引用であるが、この言葉は今日の書経には見えない。

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・恋教え鳥
(こいおしえどり)・恋知り鳥 「鶺鴒(せきれい)」のこと。 
神話:古事記」 伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の二神がこの鳥の所作から交合の方法を学んだという。
・鯉が踊れば泥鰌も踊る
(こいがおどればどじょうもおどる) 自分の身の程も弁(わきま)えずに、優れた人の真似(まね)をしても上手く行くものではないという喩え。 類:●鵜の真似をする烏西施の顰に効う
・恋風
(こいかぜ) 恋の切なさが身に染み渡ること。風に喩えて言った言葉。
・鯉口を切る
(こいぐちをきる)[=寛(くつろ)ぐ] いつでも刀を抜けるように鯉口を緩(ゆる)める。抜刀の準備の態勢を取る。 
参考:鯉口(こいぐち) 形が、鯉の口を開いた形状に似ているところから、刀剣の鞘(さや)の口のこと。
・恋に上下の隔てなし
(こいのじょうげにへだてなし)[=差別なし] 恋愛に身分の上下の区別はないということ。
・恋の重荷
(こいのおもに) 恋愛のために募(つの)る堪え難い思いを、重い荷を背負う苦しさにたとえた語。 用例:謡曲・
恋重荷「名もことわりや恋の重荷」 用例の出典:恋重荷(こいのおもに) 謡曲。四番目物。観世流。世阿弥。古名「重荷」。庭守の老人の懸想を知った女御はこれをあきらめさせるため、重荷を持って庭を歩いたら姿を見せようと伝える。老人は喜んだが重荷を持てず落胆して死ぬ。のち亡霊となって現われ、女御の守りとなることを誓う。古曲「綾の太鼓」の改作。 人物:世阿弥(ぜあみ) 室町前期の能役者、謡曲作者。観世元清。観阿弥清次の子。貞治2年(1363)〜嘉吉3年(1443)。幼名藤若丸。通称三郎。父の跡を継いで観世座を統率。足利義満の後援を得て栄えたが、後年、子の元雅に死なれ、佐渡島へ配流されるなど不遇のうちに没した。卓絶した曲、能楽論を多く残し、猿楽を大成。舞・歌を能の主要素とし、稽古によって妙花風に達した人が「闌(た)けたる位」をもって幽玄美を現出するのが能芸美の極地であるとした。作品「老松(おいまつ)」「高砂」「井筒」「砧(きぬた)」など、能楽論「風姿花伝」「花鏡」「九位」「申楽談儀」など。
・恋の敵
(こいのかたき)[=仇(あだ) 自分の恋の邪魔をする者。恋の競争相手。
・恋の煙
(こいのけぶり) 恋い焦がれる情を、物が焦げて煙るのに喩えた言葉。 用例:源氏−篝火「かがり火に立ちそふこひのけぶりこそ世にはたえせぬほのほなりけり」
・恋の坂
(こいのさか) 恋の気持ちがだんだんと高まっていくことを坂にたとえた語。 用例:浄・傾城反魂香−上「名を遠山と呼ばれしも、人に登れの恋の坂」
・恋の鞘当て
(こいのさやあて) 恋敵(こいがたき)同士が争うこと。 類:●鞘当て 
★遊里で一人の傾城(けいせい)をめぐって二人の武士が鞘当する歌舞伎の題材から<国語大辞典(小)>
・恋の関守
(こいのせきもり) 恋を妨げる者を、関所の番人に喩えた言葉。 用例:菟玖波集−恋・上「誰がうきゆゑぞ恋のせき守」 類:●恋の関
・鯉の滝登り
(こいのたきのぼり) 1.鯉が滝を登ること。2.人が立身出世すること。 参考:登竜門 
故事:後漢書−党錮伝・李膺」 黄河の急流にある竜門という滝を登ろうと、多くの魚が試みたが、ほんの僅かな者だけが登り、竜に化すことができた。 ★ここでの「滝」は、早瀬のこと。竜のような形をした急流。 3.長方形の木箱の一面に滝の図を描き、中央に一筋の穴を空け、その穴から練物の鯉が上下するように仕掛けた玩具(おもちゃ)。
・恋の端
(こいのつま) 恋の手掛かり。恋の切っ掛け。 用例:
古今六帖「つれづれと袖のみひぢて春の日のながめはこひのつまにぞ有ける」
・恋の峠(こいのとうげ) 恋の情熱が頂点に達したということ。
・恋の初風
(こいのはつかぜ) 初恋の心。人を恋い初(そ)める心。
・鯉の一跳ね
(こいのひとはね) 1.鯉は、捕らえられると一度だけ強く跳ね、後はじたばたせずじっとしていることから、度胸が良く潔(いさぎよ)いことの喩え。 類:●鯉の水離れ 2.諦(あきら)めが早いことの喩え。
・恋の淵
(こいのふち) 恋心が淵のように深いこと。 用例:謡曲・松風「三瀬川絶えぬ涙の憂き瀬にも、乱るる恋の淵はありけり」
・鯉の水離れ
(こいのみずばなれ) 鯉は水揚げされても息長く生きているが、俎板(まないた)に乗せられてもじたばたしないことから、度胸が良く潔(いさぎよ)いことの喩え。 類:●鯉の一跳ね ★鯉は、潔い魚として武士階級に尊ばれた。
・恋の奴
(こいのやっこ) 恋に夢中になって心を奪われること。恋の虜(とりこ)になっていること。 用例:謡曲・
恋重荷「この身は軽し徒らに、恋の奴になり果てて」
・恋の病
(こいのやまい) 相手を恋い慕う気持ちが募(つの)るあまりに、心身が病気に罹(かか)ったような状態になること。 類:●恋患(わずら)い
・恋の病に薬なし
(こいのやまいにくすりなし) 恋煩(わずら)いをするくらいに誰かに夢中になってしまったら、それを治(なお)す薬はない。自然に治るのを待つ以外手立てはないということ。 類:●惚れた病に薬なし恋は盲目
・恋の山には孔子の倒れ
(こいのやまにはくじのたおれ) 恋のためには、聖人すら過失を犯すことがある。
・恋の闇
(しのやみ)[=闇路] 恋のために理性を失った状態。闇に喩えて言った言葉。
・恋は曲者
(こいはくせもの) 恋のために、心が乱れ、思い掛けないことを仕出かしてしまうということ。 用例:謡曲・
花月「今の世までも絶えせぬものは、恋といへる曲者、げに恋は曲者」 用例の出典:花月(かげつ) 謡曲。四番目物。各流。作者未詳。京都清水寺での父子再会の物語。シテの花月という少年の演ずる雑芸が主眼となる。
恋は思案の外
(こいはしあんのほか)
・恋はし勝ち
(こいはしがち) 恋は積極的に仕掛けた者が勝ちで、競争相手への遠慮は無用である。
・恋は盲目
(こいはもうもく) 英Love is blindの訳。恋は人を夢中にさせ、理性や常識を失わせるものだ。 類:●惚れた病に薬なし縁の目には霧が降る
・恋は闇
(こいはやみ) 恋は人の理性を失わせるということ。また、恋の逢瀬(おうせ)には闇夜が相応しいという意味でも使うことがある。
・五噫を歌う(ごいをうたう) 世間に認められないことを嘆くことの喩え。 出典:「後漢書−逸民伝」 ★「噫」は、ああと嘆息する声。

−−−−−−−こう(あ)(#kou1)−−−−−−−
・好一対
(こういっつい) 二つの物や人が良く調和していて、似合いである。また、その組み合わせ。主に、男女の間に使う。 例:「好一対のカップル」
・紅一点
(こういってん) 1.一面緑の中の一輪の紅色の花という意味。多くの同じような物の中で、一つだけ異彩を放つもの。 類:●黒一点●異彩を放つ 出典:
王安石の「詠柘榴詩」「万緑叢中紅一点、動人春色不須多」 2.多数の男の中の、ただ一人の女。 反:■女の中の豆炒り ★「紅一点」の対義語 強(し)いて規定するなら、語源の王安石の詩から、「緑一点」とするのが妥当か。 人物:王安石(おうあんせき) 中国、宋代の政治家、文学者。唐宋八大家の一人。1021〜86。字は介甫。号は半山。神宗のとき宰相となり、いわゆる「新法」を強行し、急激な改革を図ったが失敗して引退。経書の解釈も新説が多く、文章も優れている。詩文集「臨川集」がある。 
・香囲粉陣
(こういふんじん) 《四熟》 香りの囲いと白粉(おしろい)の列。たくさんの美女に取り囲まれている様子。 類:●ハーレム●両手に花
・光陰逝水の如し
(こういんせいすいのごとし) 月日の過ぎ去るのは、水の流れのように速く、二度とは返らないということ。 類:●光陰流水光陰如矢歳月人を待たず烏兎匆匆 出典:「顔氏家訓−勉学」「光陰可惜、譬諸逝水
光陰矢の如し
(こういんやのごとし)
・光陰流水
(こういんりゅうすい) 《四 月日の過ぎ去るのは、水の流れのように速いということ。 類:●光陰逝水の如し光陰如矢歳月人を待たず烏兎匆匆
・行雲流水
(こううんりゅうすい) 《四 漂(ただよ)う雲と流れる水のことで、流れに逆らわないで、滞(とどこお)りなく動く自然の悠々とした姿。自然のまま、成り行きに任せて行動すること。 類:●風の吹くまま足の向くまま●雲水の身 出典:「宋史−蘇軾伝」 参照:蘇軾
・光焔万丈(こうえんばんじょう) 《四熟》 光り輝く炎が高く立ち昇ること。詩文などの文章の勢いが力強い。 出典:韓愈の詩
・甲乙を付ける
(こうおつをつける) 「甲」は第一、「乙」は第二を意味する。人や物の間の優劣を判断する。 例:「甲乙を付け難い」
・甲乙人
(こうおつにん) 誰と限らず、貴賤上下全ての人。また、名を挙(あ)げるまでもない一般庶民、雑人、地下人(じげにん)、凡下の者など。 類:●某(なにがし)

−−−−−−−こう(か)(#kou2)−−−−−−−
・耿介
(こうかい) 1.堅く節操を守り、俗世間に交わらない様子。 出典:「楚辞−九弁」「独耿介而不随兮、願慕先聖之遺教」<独り耿介にして随はず、願はくは先聖の遺教を慕はん> 2.ちかちかと光り輝く様子。
後悔先に立たず
(こうかいさきにたたず)
・後悔臍を噛む
(こうかいほぞをかむ) 自分の臍(へそ)を噛もうとしても届かないように、後で悔やんでも及ばない。 出典:「春秋左氏伝−荘公六年」「亡?国者、必此人也。若不早図、噬臍
・口角泡を飛ばす
(こうかくあわをとばす) 口から唾(つばき)を飛ばさんばかりに、勢い激しく議論などをする。
・高閣に束ぬ
(こうかくにつかぬ・たばぬ) 1.価値のある書物などを、利用しないままで棚に仕舞い込んでおくこと。 類:●(俗)積ん読(つんどく) 2.転じて、才能ある人材を見捨てて、長い間登用しないでおくこと。 故事:晋書?翼伝」「此輩、宜束之高閣。俟天下之太平、然後議其任耳」 東晋の?翼(ゆよく)は、当時才能ありと評判が高かった杜乂(とがい)と殷浩(いんこう)を重んじないで、その書を高い棚に束(たば)ねたままに放置して、天下が泰平になってから二人の任を論議することにした。
・甲が舎利になる
(こうがしゃりになる) 「甲」は鎧(よろい)、一説に頭蓋骨とも。「舎利」は梵語で火葬に付した骨を意味する。甲(かぶと)のような堅いものが粉々に砕けてしまうこと。滅多(めった)に有り得ないこと。仮令(たとえ)どんなことがあっても、絶対に、断じてなどの意味を含む。 用例:浄・
薩摩歌−夢分舟「かふがしゃりになるとても、親の手へは渡すまい」 用例の出典:薩摩歌(さつまうた) 世話物。近松門左衛門。宝永元年(1704)。当時の流行歌「お万・源五兵衛」をもとに、もう一組「小万・三五兵衛」と2組の主人公を登場させ、継母への刃傷沙汰や敵討ちをからめた仮構物。筋書きは複雑近松門左衛門でござーい!
・業が煮える(ごうがにえる)[=煎(い)れる・湧(わ)く] 腹立たしさに苛立(いらだ)つ。じれったくなる。 類:●癪に障る
・高歌放吟
(こうかほうぎん) 《四熟》 声高く自由勝手に詩や歌を歌うという意味で、辺り構わず大きな声で詩や歌を歌うこと。 類:●放歌高唱
・江河は漏卮を実たす能わず(こうがはろうしをみたすあたわず) 長江や黄河でも、水の洩れる杯を満たすことはできない。 出典:「淮南子−氾論訓」
・厚顔
(こうがん) 面の皮が厚いということで、厚かましいこと。恥知らずで、図々しいこと。 類:●鉄面皮面の皮千枚張り 例:「厚顔無恥」 出典:「書経−五子之歌」「鬱陶乎予心、顔厚有忸怩」、また「詩経−小雅・巧言」「巧言如簧、矣」
・鴻雁哀鳴
(こうがんあいめい) 《四熟》 鴻(おおとり)と雁(かり)が悲しげに鳴く。安居を得られない民が、自分たちの窮状を哀訴することの喩え。 類:●哀鴻遍野●鴻雁迂飛 出典:「詩経−小雅・鴻雁」「鴻雁于飛、哀鳴嗷嗷」
・抗顔為師
(こうがんいし) 《四熟》 臆面(おくめん)もなく物知り顔をして、自分自身を大先生だと自惚れること。 類:●傲岸不遜 ★「抗顔」は、驕り高ぶった顔。
・合歓綢繆
(ごうかんちゅうびゅう) 《四熟》 男女が深く愛し合い、睦(むつ)み合うことの喩え。 ★「相思相愛」より、かなり濃密な言葉である。 ★「合歓」は喜びを共にすること。或いは、男女が共に寝ること。「綢繆」は絡み付く・纏わりつくこと。
・傲岸不遜
(ごうがんふそん) 《四熟》 驕り高ぶって人を見下す様子。思い上がって謙虚さが少しもない様子。 ★「傲岸」は、お高く止まって威張ること。
・好機逸すべからず
(こうきいっすべからず) 絶好の機会は逃してはならないという意味で、良い機会などというものは、滅多にないのだから、その機会をものにせよという教訓。 類:●奇貨居くべし思い立ったが吉日●Make hay while the sun shines.(日の照るうちに草を干せ)
・綱紀粛正
(こうきしゅくせい) 《四熟》 乱れている規律や風紀を正すこと。特に、政治家や役人を取り締まって正すること。 ★「綱紀」は、国を治める大小の規律のこと。
・好奇心は猫をも殺す
(こうきしんはねこをもころす) 英語の諺Curiosity killed the cat.の訳。猫には9つの命があるとされ、そんな猫でも死んでしまうということから言われる。なんでもかでも興味を持ってあちこちに首を突っ込むと、命がいくつあっても足りないということ。好奇心もほどほどにしなさいということの喩え。 ★Care kills a cat.(心配は身の毒)が元であるとも言われる。 参考:A cat has nine lives. (猫に九生あり)
・巧偽拙誠
(こうぎせっせい) 《四熟》 巧みに人を偽(いつわ)るよりは、拙(つたな)くとも誠を示す方が良い。言葉や表現が下手(へた)でも、真心が篭もっている方が良いということ。 類:●巧詐は拙誠に如かず
・剛毅木訥は仁に近し
(ごうきぼくとつはじんにちかし) 物欲に動かされず、果断好くことを行ない、しかも飾り気なく素朴で、嘘を吐かず、裏表もなく、言葉数が少ない人は、仁者そのものではないが、仁者に近い人である。 反:■巧言令色鮮し仁 出典:「論語−子路」「子曰、剛毅木訥近仁
・孔丘盗跖
(こうきゅうとうせき) 《故事成語・四熟》 聖人の孔子でも大盗賊の盗跖でも、人間死ねば誰でも皆塵(ちり)となる。生きている内が花だから、せめて生きている内くらい楽しく過ごそうではないかということ。 出典:杜甫「酔時歌」「孔丘盗跖倶塵埃」
・攻苦啖を食らう
(こうくたんをくらう) 1.苦境と戦い、赤貧(せきひん)に甘んじること。「啖」は、野菜もない粗食のこと。高祖(劉邦)が太子盈(えい)を廃して如意(じょい)を太子にしようとしたとき、叔孫通(しゅくそんつう・とう)が命を賭けて諌(いさ)めた言葉。 出典:「史記−劉敬・叔孫通列伝」「呂后与陛下、攻苦食啖」 故事:呂后(りょこう)は、劉邦が沛(はい)でうらぶれているときに嫁入し、戦いの間は子を守り、楚軍の捕虜としては2年間も苦しい生活をした。 2.転じて、苦心して勉強すること。
・肯綮に当たる
(こうけいにあたる) ものごとの急所を突く。ぴたりと要点を言い当てる。 類:●的を射る●ポイントを突く 出典:「荘子−養生主」・「
元史−王都中伝」 出典:元史(げんし) 中国、元代の正史。二十四史の一つ。210巻。1370年。明(みん)代の宋濂(そうれん)らが天子の命で編集した。本紀47巻・志58巻・表8巻・列伝97巻。誤謬・疎漏が多く、清代以降、何人かの人が補修を試みた。
・好景不長
(こうけいふちょう) 《四熟》 好景気はそう続くものではない。いつまでも好いことは続かないということ。好い夢は、いずれ破れるものだということの喩え。 類:●好景不再●月に群雲花に風好事魔多し
・口血未乾
(こうけつみかん) 《四熟》 約束をしたばかりで、まだ何日も経っていないこと。多く、約束に背(そむ)くときに使う。 類:●舌の根も乾かぬうちに 出典:「春秋左氏伝−襄公九年」「與大国盟、口血未乾而背之、可乎」 ★昔の中国では、諸侯が盟約を結ぶ時には、牛の耳を裂いてその血を歃(すす)る儀式があった。その口の周りに付いた血が、まだ乾かぬうちにということ。
・膏血を絞る
(こうけつをしぼる)[=浚(さら)う] 1.人民が労力や苦労して得た利益や財産を取り上げる。重い税を賦課する。 類●苛斂誅求(かれんちゅうきゅう) 2.苦労する。 類:●心血を注ぐ
・巧言は徳を乱る
(こうげんはとくをみだる) 言葉巧みで調子が良い者は誠意に欠け実行性に乏しく、徳性を乱して傷付ける。徳を欠いた口先だけの虚飾の言葉は、人を傷付け、世を乱す元になるということ。 出典:「論語−衛霊公」
・巧言令色(こうげんれいしょく) 言葉を飾り、顔色を取り繕うこと。転じて、相手の歓心を買おうとする様子。媚(こ)び諂(へつら)う様子。 用例:太平記−一二「巧言令色(カウゲンレイショク)君の心を悦ばしめしかば」 
★「令色」の「令」は「善」の意、「色」は顔の色の意で、顔色をよくすること<国語大辞典(小)>
・巧言令色鮮し仁
(こうげんれいしょくすくなしじん) 言葉巧みで表情を取り繕(つくろ)っている者は、却(かえ)って仁の心が欠けているものである。 反:■剛毅木訥は仁に近し 出典:「論語−学而」「子曰、巧言令色、鮮矣仁
・港口で船を割る(こうこうでふねをわる) 港に着く直前で船を座礁させてしまうということから、ものごとが達成される直前で過ちを犯して駄目にしてしまうこと。完成直前で台無しにしてしまうことの喩え。
・箜篌入夢
(こうこうにゅうむ) 《四熟》 将来自分の妻になる女性を夢に見ること。「箜篌」は琴のような絃楽器のことで、音調が偕和することから妻を連想する。 出典:「閲微草堂筆記−槐西雜志・二」「有與君琴瑟初調日、怪殺箜篌入夢人」
・好々爺
(こうこうや) 人の好い親爺。優しくて気の好い老人。 類:●好好翁(こうこうおう)
・孝行をしたいときに親は無し
(こうこうをしたいときにはおやはなし)[=時分に〜] 親を失って初めて親の有り難味が分かるものだということ。 類:●親孝行したいときには親は無し石に布団は掛けられず
・鴻鵠の志
(こうこくのこころざし) 鴻は鳳(おおとり)、鵠は白鳥のことで、英雄豪傑の喩え。大人物の志。遠大な志。 類:●大鴻(たいこう)の志 出典:「史記−陳渉世家」「嗟乎、燕雀安知鴻鵠之志哉」 蛇足:「鳳」が雄、「凰」が雌。
・後顧の憂い
(こうこのうれい) 後に残る気遣(きづか)い。後の心配。 類:●心残り●気掛かり

−−−−−−−こう(さ)(#kou3)−−−−−−−
・功罪相償う
(こうざいあいつぐなう) 功もあり罪もあるので、差し引きすればそれが消されてしまう。罪を手柄で相殺(そうさい)する。また、功績があるために犯した罪が大目に見られる。 類:●
功罪相半ばす
・功罪相半ばす
(こうざいあいなかばす) 功績もあれば罪過もあるので、善悪どちらとも決め兼ねる。
・高材疾足
(こうざいしっそく) 《四熟》 「高材」は「高才(こうさい)」と同じで、優れた才能の持ち主のこと。才能が優れていて敏腕であること。智勇兼備であること。 出典:「史記−淮陰侯伝」「天下共逐之、於是高材疾足、先得焉」 ★「鹿を逐う」のに適すという喩えから、疾足に優れた者という意味を持たせた。
・幸災不仁
(こうさいふじん) 《四熟》 他人の災難を自分の幸いとすることは、仁の道に背くことである。 類:●幸災楽禍●他人の不幸は密の味 出典:「春秋左氏伝−僖公十四年」「背施無親、幸災不仁、貪愛不祥、怒隣不義」
・幸災楽禍
(こうさいらくか) 《四熟》 他人の災難を自分の幸いとし、他人の不幸を楽しむ。他人の災いを見て喜ぶこと。 類:●楽禍幸災●人の不幸は蜜の味幸災不仁  ★「楽禍」の出典:「春秋左氏伝−荘公二十年」「今王子頽歌舞不倦、楽禍也」 ★「災いを幸いとし、禍いを楽しむ」と訓読する。
・光彩陸離
(こうさいりくり) 《四熟》 光が入り乱れて輝き、目映(まばゆ)いばかりに美しい様子。 類:●光彩奪目●光彩煥発 例:「光彩陸離たる新緑の季節」 ★「彩」は「采」とも書く。
・巧詐は拙誠に如かず
(こうさはせっせいにしかず) 巧みに人を騙(だま)すよりは、拙(つたな)くとも誠意を示す方が良い。言葉や表現が下手(へた)でも、真心が篭もっている方が良いということ。 類:●巧偽拙誠 出典:「韓非子−説林・上」「故曰、巧詐不如拙誠
・恒産なき者は恒心なし
(こうさんなきものはこうしんなし) 定まった財産や決まった職業のない人には、正しく安定した心がない。物質生活は人の心に大きな影響を持つもので、それが安定しないと精神も安定しない。 出典:「孟子−梁恵王・上」また「孟子−滕文公・上」
・高山流水(こうざんりゅうすい) 《四熟》 1.妙(たえ)なる音楽の喩え。絶妙の演奏。 出典:「列子−湯問」「伯牙鼓琴、志在高山、子期曰、善哉峩峩乎若泰山。志在流水、子期曰、善哉洋洋兮若江河」 中国の春秋時代の琴の名手伯牙(はくが)が、高山や流水を思って琴を奏でると、親友の鍾子期(しょうしき)がそれを感じ取った。 2.お互いを良く理解している真の友人。 類:●知音
・高視闊歩
(こうしかっぽ) 《四 上から見下ろすようにして、大股で歩く。他人を見下したような態度の喩え。 類:●傲岸不遜踏ん反り返る反っくり返る見下す肩で風を切る
口耳講説(こうじこうせつ) 《四熟》 聞き齧りの耳学問を、物知り顔ですぐ人に説くこと。浅薄な学者、学識の喩え。 類:●口耳の学●口耳四寸
・行尸走肉
(こうしそうにく) 《四熟》 歩く屍(しかばね)と走る肉という意味で、形あって魂のない肉魂同然の人。無能で存在価値がない者。 出典:「拾遺記
・膠漆の交わり
(こうしつのまじわり) 膠(にかわ)や漆(うるし)て貼り付けたように固くしっかりした間柄のこと。 類:●水魚の交わり刎頚の交わり 出典:元シン[禾+眞]の詩「我實膠漆中堂共杯酒」
・曠日弥久
(こうじつびきゅう) 空(むな)しく日々を送って、事を長引かせ、暇取ること。いつまでも無駄に日を過ごすこと。 類:●曠日持久●曠久
・孔子に悟道(こうしにごどう)・[=論語] 孔子に対して悟道を説くように、知り尽くしている人に、その事を教えるのは愚行である。 類:●釈迦に説法
河童に水練
・孔子に盗跖(こうしにとうせき) 「盗跖」は中国、春秋時代の悪人の名前。最善のものがあれば、その対極に最悪のものがある。 類:●光と影
・口耳の学
(こうじのがく) 他人から聞いたことを理解しないままに人に伝えること。自分自身のものにならない学問。受け売りの浅はかな学問。 類:●口耳講説●口耳四寸の学●口耳三寸の学●耳学問記問(きもん)の学 出典:「荀子−勧学」
好事魔多し
(こうじまおおし)
・孔子も時に遇わず
(こうしもときにあわず) 孔子のような立派な人物でも、世の中に容(い)れられずに不遇に終わることがある。どんなに優れた人物でも、時勢に合わなければ埋もれてしまうものであるという喩え。 類:●聖人も時に遇わず ★孔子は、遊説するもなかなか認められず、中原(ちゅうげん)を14年間も放浪して、結局生地の魯(ろ)に帰った。 参考:「荀子−宥坐篇」「孔子曰、〈略〉遇不遇者時也
・好事もなきに如かず
(こうじもなきにしかず) 仮令(たとえ)良いことであっても、あれば煩(わずら)わしいから、むしろ何事もなく平穏なのが一番良い。 類:●好事すらなきに如かず●無事これ貴人 出典:
碧巌録(へきがんろく) 中国宋代の禅の宝典。10巻。雲門宗の雪竇重顕(せっちょうじゅうけん;980〜1052)が百の公案を選び、そのそれぞれに自ら頌(じゅ)をつけたものに、のち臨済宗の圜悟克勤(えんごこくごん;1063〜1135)が一つ一つに垂示・評唱・著語を加えたもの。禅の修行上の優れた指南書。正式名称は『仏果圜悟禅師碧巖録』。
・好事門を出でず
(こうじもんをいでず) 良い行ないは、なかなか世間に伝わり難い。 
反:■悪事千里を走る 出典:「北夢瑣言
・後車の戒め
(こうしゃのいましめ) 前の車が引っ繰り返るのを見て、後の車は同じ失敗をしないように注意するという意味。他人の過ちを見て自戒せよということ。 類:●人の癖見て我が癖直せ●人の振り見て我が振り直せ殷鑑遠からず前車の覆るは後車の戒め 出典:「漢書−賈誼伝」「鄙諺曰、前車覆後車戒
・巧取豪奪(こうしゅごうだつ) 《四熟》 言葉巧みに騙(だま)し取ったり、力尽(ちからず)くで奪ったりすること。不当な手段や巧妙な方法で、受けるべきでない財物を手に入れることの喩え。 ★中国宋代の米友仁(字は元暉)が、巧妙な模写をして本物の書画を奪ったという故事からできた成語、「巧偸豪奪」が変化した言葉。
・広宵大暮
(こうしょうたいぼ) 《四熟》 人間死んでしまえば永久に暁(あかつき)が来ないという意味で、死ぬこと。
・口尚乳臭(こうしょうにゅうしゅう) 《四熟》 年若く世間知らずの者のこと。 類:●青二才 出典:「漢書−高帝紀」「是口尚乳臭、不能当韓信」
・強情を張る
(ごうじょうをはる) 無理矢理自分の意向を通そうとする。
・校書掃塵
(こうしょそうじん) 《四熟》 書物を校正する作業は、塵を払っても完全には払い尽くすことができないように、なかなか誤りがなくならないということ。 類:●書を校するは塵を掃うが如し 出典:「夢渓筆談」「校書掃塵
・黄塵万丈
(こうじんばんじょう) 《四塾》 強い風に吹かれて、土煙が空高く舞い上がっている様子。 ★戦場で砂煙が舞い上がっている戦場の様子に用いられることもある。
・後塵を拝す
(こうじんをはいす) 1.地位や権力のある人を仰ぎ見て、羨ましく思う。2.他人に先んじられる。他人の支配下になる。 類:●下風(かふう)に立つ 3.権力のある人に追従する。人に媚び諂(へつら)う。 類:●三尺去って師の影を踏まず 出典:
古今詩話(ここんしわ) ・・・調査中。
・後生畏るべし(こうせいおそるべし) 後進の者は、これからどれほど向上・発展するか量り知れないから、畏れなければならない。 出典:「論語−子罕」「後生可畏、焉知来者之不如今也」
・孔席暖まらず、墨突黔まず
(こうせきあたたまらず、ぼくとつくろまず) 1.孔子の席は暖まることなく、墨子の家の煙突は煙で黒くなることがなかった。孔子と墨子はいつも諸国を周遊して、一所に留まらなかったということ。優れた人の治(おさ)め方は、慌(あわただ)しいものであるということ。 出典:「文選−班固・答賓戯」「賓戯主人曰、《略》孔席不暖、墨突不黔」 2.転じて、世を救うために東奔西走(とうほんせいそう)すること。 類:●孔席墨突●孔席暖まるに暇あらず●墨突黔まず
・傲然屹立
(ごうぜんきつりつ) 《四熟》 1.山が、堂々と険(けわ)しく聳(そび)え立つ様子。また、人や建物・樹木などが、誇らし気に直立する様子。2.堅固で揺るぎない様子。
・浩然の気を養う
(こうぜんをやしなう) 公明正大でどこも恥じるところがない逞(たくま)しい精神を育てる。転じて、伸び伸びとして解放された心持ちになる。 出典:「孟子−公孫丑・上」「我善浩然之気
・黄泉の客
(こうせんのきゃく)[=旅人] 黄泉へ旅立った人。死んだ人。 類:●黄泉の旅人●不帰の客
・鴻漸之翼(こうぜんのつばさ) 《四熟》 一度(ひとたび)飛翔すると一気に千里を進むといわれる伝説の鳥・鴻(おおとり)の翼。転じて、目覚ましく出世する優秀な人材のこと。大事業を成し遂げる人物のこと。 出典:「漢書−公孫弘伝・贊」「、進也、一挙而進千里者、羽之材也」

−−−−−−−こう(た)(#kou4)−−−−−−−
・好大喜功
(こうだいきこう) 《四熟》 大事を為し功績を上げようとする。功名心に囚われて功を焦ること。とかくスタンドプレーの多い人を、揶揄(やゆ)していう。 類:●大を好み功を喜ぶ
・広大無辺
(こうだいむへん) 《四熟》 広さ、高さ、大きさなどが限りないこと。大きくて果てしないこと。
・更闌く
(こうたく) 「闌く」は闌(たけなわ)・盛りになるという意味で、夜が更(ふ)けること。
・碁打ち鳥飼い馬鹿の中(ごうちとりかいばかのうち) 碁を打つ者と鳥飼いは、熱中するあまり、いつまででもやり続けている。時間を無駄にするのを嘲(あざけ)っていう。
・碁打ちに時なし
(ごうちにときなし) 碁を打つ者は、勝負に夢中になって、時間が過ぎるのを少しも気にしない。碁打ちには時間の観念がまったくない。 類:●爛柯(らんか)
・巧遅は拙速に如かず
(こうちはせっそくにしかず) 1.戦術が拙(まず)くても、素早く行動して、早く終結させるのが良いということ。即戦即決を奨(すす)めたもの。 出典①:「孫子−作戦篇」「兵聞拙速、未睹巧之久也」 出典②:「文章軌範−有字集・序」「場屋中日キ[日/咎]有限、巧遅者不如拙速」 2.仕事のできが良くて遅いのは、できが拙くて早いのに及ばない。ものごとは素早く決行すべきであるということ。 反:■急がば回れ 出典:文章軌範(ぶんしょうきはん) 中国の文集。南宋の謝枋得(しゃぼうとく)。7巻。科挙(かきょ)受験者が模範とすべき唐宋の名文を中心に選び、圏点・評注を加えたもの。韓愈(かんゆ)・柳宗元・欧陽脩・蘇洵・蘇軾・蘇轍らの文章六九編を放胆文・小心文に分類して集録。日本には室町末期に伝来した。
・口誅筆伐
(こうちゅうひつばつ) 《四熟》 言葉と文章で激しく批判・攻撃すること。或る事件や人物に対して、報道機関が容赦なく批判を浴びせる喩え。 出典:明・張岱「瑯[女+環-王]文集ー巻三」「君子所以口誅筆伐於[艸/畢]門圭竇」
・口中の雌黄
(こうちゅうのしおう) 中国の古書の紙は黄色で、誤字を抹消するのに雌黄(=石黄)を用いたことから、一度言った言論や意見、不適切な表現を訂正すること。 出典:「晋書−王衍伝」「義理有所不安、随即改更、世号口中雌黄
・後凋
(こうちょう) 松柏が普通の草木に後(おく)れて萎(しぼ)むこと。転じて、苦難に堪えて固く節操(せっそう)を守ることの喩え。 類:●後凋の心●後凋の節(せつ)●歳寒の松柏(しょうはく) 例:「後凋の節」 出典:「論語−子罕」「歳寒然後、知松柏之後凋也」
・業突く張り(ごうつくばり) 非常に欲が深く、意地汚いこと。強情で意地っ張りなこと。また、そのような人を罵(ののし)っても言う。 類:●業突く 例:「あの金貸しの婆さんは業突く張りだ」
・高天に跼む(こうてんにせくぐむ) 高い天の下にあって背を屈(かが)めて歩くということで、圧制の下で、広い天地の中で縮こまって行動することの喩え。 類:●跼天蹐地 出典:「詩経−小雅・正月」「謂、不敢、謂地蓋厚、不敢不蹐」
・紅燈の巷
(こうとうのちまた) 華やかな灯りが点(つ)いている夜の街ということで、花柳街。色町(いろまち)。また、遊郭、娯楽場、飲食店などの並ぶ歓楽街。 類:●花柳の巷●酒池肉林の巷●歓楽の巷●別天地●傾城の巷
・紅灯緑酒
(こうとうりょくしゅ) 《四熟》 1.繁華街や歓楽街の様子。2.歓楽と飽食に明け暮れること。 類:●灯紅酒緑●緑酒紅灯 ★「紅灯(紅燈)」は、紅い灯火。繁華街などの華やかな明かりのこと。「緑酒」は、緑色に澄んだ酒。質の良い美酒のこと。
・荒唐無稽
(こうとうむけい) 《四熟》 言動に根拠がなくて、取り止めがない。出鱈目(でたらめ)である。 類:●荒唐の言 例:「荒唐無稽な空想に酔う」 出典:「荘子−天下」「荒唐之言、無端之辞」 ★「無稽」の出典は、「書経−大禹謨」「無稽之言勿聴」
・狡兎三窟
(こうとさんくつ) 《四熟》 狡(ずる)賢い兎は隠れる穴を三つ持っていて、危険が迫ると最も安全な穴に逃げ込んで危険を避けるという。用心深くて難を逃れることが上手であること。また、身を守るための安全な場所のこと。 類:●身を蔵する三窟 出典:「戦国策−斉策」
・狡兎死して走狗烹らる(こうとししてそうくにらる)[=良狗(りょうく)烹らる] 「狗」は犬のこと。狡兎が死ねば、猟犬は不用となり、煮て食われるだろうということ。敵国が滅びれば、それまで手柄(てがら)があった謀臣は邪魔にされて殺されるということ。 類:●狡兎尽きて良犬烹らる●飛鳥(ひちょう)死して良弓蔵(おさ)めらる 出典:「韓非子−内儲説・下」「狡兎盡則良犬烹、敵国滅則謀臣亡」・「呉越春秋−夫差内伝」など

−−−−−−−こう(な)(#kou5)−−−−−−−
・功成り名遂げて身退くは天の道なり
(こうなりなとげてみひくはてんのみちなり・みしりぞくは〜) 手柄を立て名声を得た後は、さっさと引退するのが自然の道に適(かな)ったやり方である。 類:●金玉堂に満つれば之を能く守る莫し●富貴にして驕れば自ら其の咎を遺す 出典:「老子−九章」「金玉満堂、莫之能守。富貴而驕、自遺其咎。功成名遂、身退天之道
・功なり名遂げる
(こうなりなとげる) 立派な仕事をし、併(あわ)せて名声を得る。
・江南の橘江北に移されて枳となる
(こうなんのたちばなこうほくにうつされてからたちとなる・きとなる) 住んでいる土地の風俗の善悪によって、人の性質も変化するものだということの喩え。 類:●南橘北枳(なんきつほくき) 故事:「韓詩外伝−十」「王不見夫江南之樹乎、名。樹之江北、則化為枳」 揚子江の南方に産する橘を、江北に移植すると枳に変わる。 ★晏子(あんし)が、景公の使いで南方の楚に赴いたとき、楚王との問答の中で使った言葉。
・郷に入っては郷に従う
(ごうにいってはごうにしたがう) その土地の風俗や習慣に従うのが処世の法である。 類:●俗に入れば其の俗に従う●郷に居ては郷に従え●竟(きょう)に入っては禁を問え●里に入りては里に従う●所の法に矢は立たぬ●ローマではローマのごとく生きよ 出典①:「荘子−外篇・山木」「其俗其俗」 出典②:「童子教」「入郷而従郷、入俗而随俗」
・甲に着る
(こうにきる) 他人の威光を借りて威張る。また、自分の地位や役目を鼻に掛けて威張る。 類:●笠に着る虎の威を借る狐
・業に沈む
(ごうにしずむ) 自分、もしくは、祖先の悪業のために、苦しみを受けて浮かばれない。
・甲の座
(こうのざ) ここでの「甲」は第一位という意味。一番の上席。最も良い場所。
・香の物(こうのもの) 1.古くは味噌漬、のちには糠、塩、粕などに漬けた野菜類を指すいう。 類:●漬け物●お香香(こうこ) 2.特に大根漬。沢庵(たくあん)。 
★「香」は味噌<国語大辞典(小)>
・剛の者
(ごうのもの)[=人] 1.優れて強い者。強くて勇敢な者。 用例:平家−四「金武といふ大ぢからのかうの物」 2.ある方面に抜きん出て、非常に強い人。その道の達人や強(したた)か者。 例:「色事に掛けては剛の者」 
★古くは「こうのもの」「こうのひと」<国語大辞典(小)>

−−−−−−−こう(は)(#kou6)−−−−−−−
・勾配が温い
(こうばいがぬるい)[=鈍(のろ)い] 1.屋形の傾斜の度合が緩(ゆる)やかである。2.機転が利かない。動作が鈍(のろ)い。 
反:■勾配が早い
・勾配が早い
(こうばいがはやい) 判断が素早い。 用例:
西洋道中膝栗毛「勾配が早くあしをとりたちまちそこへひきころばす」  用例の出典:(万国航海)西洋道中膝栗毛(せいようどうちゅうひざくりげ) 滑稽本。15編30冊。仮名垣魯文。12〜15編は総生寛作。明治3年(1870)〜9年(1876)。内容、形式共に十返舎一九の「東海道中膝栗毛」を模する。初代の孫の弥次郎兵衛、北八が横浜の商人の供をして上海(シャンハイ)から英国に着くまでの滑稽な道中記。
・孝は親に事うるに始まる
(こうはおやにつかうるにはじまる) 孝行の第一は親に仕えることである。第二は君主に仕えることで、第三は身を立て家の名を残すことである。 孔子の言葉。 出典:「孝経−開宗明義」「夫孝、始於事親、中於事君、終於立身」<それ孝は、親に事(つか)うるに始まり、君に事うるに中(ちゅう)し、身を立つるに終わる>
・孝は百行の本
(こうはひゃっこうのもと)[=基(もとい) 親孝行は諸々(もろもろ)の善行の基となるものである。孝はあらゆる徳行の初(はじ)めである。 出典:「孝経−三才章」「鄭注論語云、百行本、言人之為行、莫先於孝」
・勾張り強うて家倒す
(こうばりつようていえたおす) 家が倒れないようにと掛けたつっかえ棒が、強過ぎて、逆に家を倒してしまう。転じて、助けとなるものが強過ぎて、却(かえ)ってものごとを悪くすることの喩え。 類:●贔屓の引き倒し
・好評嘖嘖
(こうひょうさくさく) 《四熟》 世間で良く取り沙汰(ざた)され、人々が口々に誉(ほ)めそやす様子。 例:「好評嘖嘖で、どの店でも売切れだ」 ★「嘖嘖」は、しきりに舌打ちしてほめるさま。中国ではほめるときにも舌打ちをする<学研漢和大字典> ★「嘖嘖」は好い意味に使うものであり、「悪評嘖嘖」と使うのは誤用。
・光風霽月
(こうふうせいげつ) 《四熟》 中国、宋の黄庭堅が周敦頤の人柄を評した表現で、さわやかな風と晴れ渡った月という意味。性質が高明で蟠(わだかま)りがなくさっぱりした人の形容。 出典:「宋史−周敦頤伝」
・好物に祟りなし(こうぶつにたたりなし) 1.長年食べ続けているものは、自分の健康のためにも良いものである。 ★体質に合わないものは、好物になり得ないことから。 2.好きなものは食べ過ぎてもそれほど害にはならない。 反:■節制は最良の薬なり
・行不由径
(こうふゆけい) 《四熟》 小道や裏通りを通らず、常に大通りを通る。ものごとを成すのに、近道を求めたり小細工を弄したりせず、正々堂々とした遣り方を取るということ。 類:●公明正大 出典:「論語−雍也」「有澹台滅明者、行不由径」 ★「行くに径に由らず」と読み下す。
・口吻を学ぶ
(こうふんをまなぶ) 人の言うことを真似する。他人の言に倣(なら)う。
・口吻を漏らす
(こうふんをもらす) 言葉の端々から、内心がそれとなく想像できるような物言いをする。
・公平無私
(こうへいむし) 《四熟》 行動や判断が一方に偏ることなく、私的な感情や利益に左右されない様子。 類:●公正無私●公正平等●公明正大●無私無偏 出典:「韓詩外伝−七」「正直者順、道而行、順理而言、公平無私
・頭を傾く
(こうべをかたぶく) 1.頭を前に下げる。考え込んだり、思案したりする様子。2.頭を前に垂れる。神仏を拝む様子。転じて、深く信仰する様子や心から感謝する様子。3.頭を横に傾(かし)げる。疑問に思ったり、信用できない気持ちを表わす。
・頭を垂れる
(こうべをたれる) 頭(あたま)を下げる。 1.詫(わ)びる。 例:「監督に頭を垂れた」 2.お辞儀(じぎ)をする。低姿勢に対応する。 類:●遜(へりくだ)る 例:「実るほど頭を垂れる稲穂かな」 3.比喩的に、神仏を信仰する。祈(いの)る。 類:●帰依(きえ)する 例:「彼はアラーに頭を垂れている」 4.屈服する。付き従う。また、万策(ばんさく)尽きて、抵抗を止(や)める。 例:「猿は桃太郎に頭を垂れた」 ★「こうべ」は、上部(かみへ)、または髪部(かみへ)の転という<大辞林(三)>
・頭を回らす
(こうべをめぐらす) 1.頭を後ろの方に向ける。後ろを振り返って見る。 類:●振り向く 2.振り返って、昔を忍ぶ。過ぎ去った昔を回想する。 類:●回想する
・頭を割る
(こうべをわる)[=割らす] 1.頭骸骨を、割って砕く。2.あれこれと、心を砕いて考える。 類:●思案を凝(こ)らす
・光芒一閃
(こうぼういっせん) 《四熟》 1.光が一瞬、ぴかっと光ること。白刃が閃(ひらめ)く、電光が煌(きら)めく様子など。 類:●紫電一閃 2.転じて、事態が一瞬にして急変すること。また、英雄の華々しくも短い、あっという間の人生の喩え。
・厚貌深情
(こうぼうしんじょう) 《四熟》 1.顔付きは親切なようでも、心の中は奥深くて何を考えているか判らない。人の心は知り難いものだということ。 出典:「荘子−雑篇・列御寇」「天猶有春秋冬夏旦暮之期、人者厚貌深情」 2.また、態度も心も親切なこと。
・興亡恒なし
(こうぼうつねなし) 国の興亡や盛衰(せいすい)は激しいということ。
・光芒万丈(こうぼうばんじょう) 《四熟》 遠く四方に光を放ち、辺り一面に輝き渡る様子。聖人君主の出現、また偉人の功績を称(たた)える言葉。 ★文化大革命期に、毛沢東思想の形容に良く使われた。
・弘法筆を択ばず
(こうぼうふでをえらばず) 弘法大師のような書道の名人は、筆の良い悪いを問題にしない。真にその道に秀(ひい)でた人は、どんな道具を使っても優れた成果を上げるものだということ。 類:●良工は材を択ばず
弘法も筆の誤まり
(こうぼうもふでのあやまり)
・豪放磊落
(ごうほうらいらく) 《四熟》 度量が大きく快活で、小さなことに拘(こだわ)らない性格。 類:●豪蕩●豪胆
・槁木死灰
(こうぼくしかい) 《四熟》 体は枯れ木のようであり、心は冷えた灰のようであるということ。心身に活気や生気がない様子。 類:●形は槁木のごとく心は死灰のごとし●枯木冷灰枯木寒巌 出典:「荘子−斉物論」「形固可使如槁木、而心固可使如死灰乎」
高木は風に折らる
(こうぼくはかぜにおらる)
・合浦珠還
(ごうほしゅかん) 《四熟》 一度失った大事な物が再び手に戻ることの喩え。 出典:「後漢書−循吏列伝・孟嘗」「嘗到官、革易前弊、求民病利、曾未踰歳、去」 ★合浦郡は昔から良い真珠が採れたが、貪欲な太守が続いたため住民に嫌われて産出されなくなった。孟嘗が太守になると、清廉な政治を行なったので人心が戻り、再び産出されるようになった。

−−−−−−−こう(ま)(#kou7)−−−−−−−
・子馬の朝勇み
(こうまのあさいさみ)[=朝駆け] 初めに力を入れ過ぎて、最後までいかないうちに疲れてしまうことの喩え。 類:●痩せ馬の道急ぎ竜頭蛇尾
・高名盗み
(こうみょうぬすみ) 他人の手柄を横取りして自分のものにすること。また、その人。
・高名の中に不覚あり
(こうみょうのなかにふかくあり) 得意になっている時には、えてして失敗の種を蒔(ま)き易い。
・功名を竹帛に垂る
(こうみょうをちくはくにたる) 歴史書に記録されるような功績を立てる。名前を後世に伝え残すこと。 類:●名を竹帛に垂る 出典:「後漢書−?禹伝」「禹得効其尺寸、垂功名於竹帛耳」
・公明正大
(こうめいせいだい) 《四熟》 公平で心を隠し立てせず、少しも私心がなく正しいこと。 類:●公平無私
・毫毛斧柯(ごうもうふか) 《四熟》 邪魔になる木は芽のうちに摘(つ)まないと、大きく育って斧を使わなければならなくなる。災いは小さいうちに除いてしまうべきであるということ。 類:●二葉にして絶たざれば斧を用うるに至る●涓涓(けんけん)塞(ふさ)がざれば終(つい)には江河となる 出典:「戦国策
・蝙蝠が燕を笑う(こうもりがつばめをわらう) 似たり寄ったりの者が、少しばかりの優劣をとやかく言うこと。 類:●青柿が熟柿弔う猿の尻笑い目糞鼻糞を笑う
・蝙蝠も鳥の内
(こうもりもとりのうち) 蝙蝠も飛ぶからには鳥の同類であるということ。 1.微力なものや詰まらないものでも仲間の一部であるということ。 類:●目高も魚の内 2.優れた者の中に詰まらない者が混じっていること。 類:●目高も魚の内雑魚の魚交じり●ゴマメの魚交じり

−−−−−−−こう(や)(#kou8)−−−−−−−
・膏薬張り
(こうやくはり) 障子や衣類の当て継ぎ。膏薬を貼ったように見えるところから言う。転じて、その場凌(しの)ぎの応急処置のこと。
紺屋の明後日(こうやのあさって)
・紺屋の地震
(こうやのじしん) 「申し訳ない」の意味。地震で壺が揺れて「藍(あい)が澄まない」と「相済まぬ」を洒落(しゃれ)て言ったもの。
紺屋の白袴
(こうやのしろばかま・しらばかま)

−−−−−−−こう(ら)(#kou9)−−−−−−−
・甲羅が生える
(こうらがはえる) 年功を経て老練になる。同じことを長く経験することにより、要領が良くなったり、狡(ずる)くなったりする。 類:●甲羅を経る●亀の甲より年の功
?(こうろう)を経る劫量経る
・甲羅を干す
(こうらをほす) 腹這(ば)いになって背中を日光に当てる。
・豪釐千里
(ごうりせんり) 《四熟》 1.初めはほんの僅(わず)かな差でも、後には大きな相違となってしまう。ものごとは最初が肝心であるということ。 出典:「史記−太史公自序」「失之豪釐、差以千里」 国家存亡の遠因を探ってみると、皆その本を僅かに失ったか否かにある。 2.罪悪は、まだ微細なうちに礼の教化によって防ぎ止めなければならない。 出典:「礼記−経解」「差若豪釐、繆以千里
・亢龍悔いあり
(こうりょうくいあり) 一旦昇り詰めてしまった龍(りゅう)はそれ以上昇れず、今度は下る一方なので、しばしば敗北の悔いに遭うことになるということ。富貴や栄華を極め尽くした者は、必ず衰えるものである。 類:●功なって居(お)らず 出典:「易経−乾・上九」
・劫量経る
(こうりょうへる) 長年の修練によって、ものごとが巧みになる。
・曠朗無塵
(こうろうむじん・こうろうにちりなし) 《四熟》 空は一点の曇り無く、野原を見渡しても塵一つ落ちていない様子。
・劫臈を経る
(こうろうをへる) 年功を積んで巧みになる。 類:●
劫量経る
・紅炉上一点の雪
(こうろじょういってんのゆき) 真赤に熾(おこ)っている囲炉裏の上に雪を置くとすぐ溶けてしまうように、迷いや疑いや、私欲などがすっかり消えてなくなること。
・甲論乙駁
(こうろんおつばく) 《四熟》 甲が論じて乙が反対するということ。お互いに論じ反駁(はんばく)し合って、議論が纏(まと)まらないこと。

−−−−−−−こう(を)(#kouwo)−−−−−−−
・功を入る(こうをいる) 年功を経る。経験を積む。
・功を終える
(こうをおえる) 事を成就する。仕事を成功裏に果たす。
・稿を起こす
(こうをおこす) 原稿を書き始める。 類:●起稿する
・香を聞く
(こうをきく) 香を焚(た)いて、その香りを嗅ぐ。香を嗅ぐ。
・紅を注す(こうをさす)[=潮(ちょう)す] 紅(くれない)色に染める。紅色になる。特に、恥じらいや怒りで顔色が赤くなる。
・業を曝す
(ごうをさらす) 前世の業(ごう)のために、この世で恥を曝す。
・功を奏す(こうをそうす) 功績を天子に申し上げるという意味から転じて、事が成就する。成功する。
・功を立つ
(こうをたつ) [=立てる]手柄(てがら)を立てる。功績を上げる。 用例:太平記−三八「剣士尤功を立る時には」
・功を積む
(こうをつむ) 良い結果を生み出す行為を積み重ねる。良い結果を得るための努力を重ねる。
・業を煮やす
(ごうをにやす)[=沸かす] なかなか埒が明かず、腹を立てる。
・稿を脱す
(こうをだっす) 原稿を書き上げる。 類:●脱稿する
・劫を経る
(こうをへる) 長い年月を経る。年功を積む。 類:●劫入る●
劫を入る

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