【せん】~【せん】

−−−−−−−せん(あ)(#sen1)−−−−−−−
・善悪の生を引く
(ぜんあいくのしょうをひく) 過去世または現世での善悪の行為によって、現世また未来世に善悪の生を受けるということ。
・善悪の彼岸
(ぜんあくのひがん) 人間的な善悪の区別や対立を超越した境地。
・善悪の報いは影の形に随うが如し
(ぜんあくのむくいはかげのかたちにしたがうがごとし) 善悪の行いに対する報いは、影が物に付いているように、必ずあるもので、逃(のが)れることができない。 出典:「旧唐書−張士衡伝」
・善悪は友による
(ぜんあくはともによる) 人は、交際している仲間や環境次第で善にも悪にも感化されるということ。 類:●水は方円の器に随う親擦れより友擦れ
・善因善果(ぜんいんぜんか) 《四・仏語》 善い行ないは善い結果を生む。善行には必ず良い報いがあるということ。 反:■悪因悪果

−−−−−−−せん(か)(#sen2)−−−−−−−
・浅学菲才
(せんがくひさい) 《四 学問や知識が浅く、才能がないこと。また、自分の才能を遜って言う言葉。 類:●非才浅学●浅学短才●浅知短才●浅識非才 反:■博学多才 用例:「浅学非才ですが全力を尽くします」 ★「菲」はもと野菜の名で、かぶらの種類。転じて、薄い、粗末な、劣ったという意に用いられる。「菲才」は才能のないこと。「菲」は「非」とも書く<新明解四字熟語辞典(三)>
・詮方知らず
(せんかたしらず) どうしたら良いか、為すべき方法が分からない。処置に窮する。
・詮方ない
(せんかたない) 1.なすべき手段・方法がない。施(ほどこ)す術(すべ)がない。 類:●どうしようもない 用例:源氏−夕顔「わかびたる人にて、物にけどられぬるなめりと、せむかたなき心地し給ふ」 2.我慢できないほど悲しい。 用例:平家−灌頂「御ありさま見奉るに、あまりにせむかたなうこそ候へ」
・線が太い
(せんがふとい) 1.体格的に、がっしりして逞(たくま)しい。2.人間的に、度量がある。また、精神的に、不屈である。或いは、強情である。 
反:■線が細い
・線が細い(せんがほそい) 1.体格的に、細身である。2.精神的に繊細である。神経質で、直ぐに気に病む。 
反:■線が細い
・千客万来(せんきゃくばんらい・せんかくばんらい) 《四熟》 多数の客が入れ替わり立ち替わり来て、絶え間がないこと。
・千金の裘は一狐の腋にあらず
(せんきんのきゅうはいっこのえきにあらず・かわぎぬは〜・かわごろもは〜) 千金の価値のある皮衣は、一匹の狐の腋毛(わきげ)ではできない。国家を治めるには優れた人材を多く集め、衆知を借りるべきであるということの喩え。 出典:「史記−劉敬叔孫通伝・賛」
・千金の子は市に死せず
(せんきんのこはいちにしせず) 金持ちの子は、死罪を犯しても金の力で処刑を免(まぬが)れることができるから、市井で死ぬことはない。また、金の力で危険を回避することができるので、悪者の手に掛かって死ぬことはない。世の中は財力でどうとでもなるということ。 出典:「史記−越王勾践世家」、「史記−貨殖伝・序」
・千金の子は坐して堂に垂せず
(せんきんのこはざしてどうにすいせず)[=堂陲(どうすい)に坐せず] 金持ちの子は、落ちて怪我することを恐れて堂の端近くには座らない。金持ちの子は、軽率な行動をしないということ。また、重要な地位にある者は、つまらないことのために危険を冒さないものであるということ。 類:●百金の子は衡(こう)に騎(き)せず 故事:史記−袁(えんおう)?錯(ちょうそ)列伝」「臣聞、千金之子坐不垂堂、百金之子不騎衡」 前漢の文帝(劉恒)が急な坂を6頭立ての馬車で駆け下りようとしたとき、将軍の袁が「英明な君主は、偶然の幸運を頼みにして、危険を冒してはならない」と諌(いさ)めた。
・千金の子は盗賊に死せず
(せんきんのこはとうぞくにしせず) 金持ちの子は、盗賊と争うような危険なことはしない。金の力によって、危険から身を守ることができる。 出典:蘇軾「留侯論」
・千鈞も船を得ば則ち浮かぶ
(せんきんもふねをえばすなわちうかぶ) 1.千鈞の重さの物でも船があれば浮かべることができる。勢力や地位があれば、愚人でも賢人を制することができるという喩え。2.勢いに乗れば、困難なことでも成功するという喩え。 出典:「韓非子−功名」「千鈞得船則浮、錙銖失船則沈」
・千句一言
(せんくいちげん) 《四熟》 千句に匹敵する一言(ひとこと)。千の語句にも相当する重要な一言。 類:●千句に一句
・千軒あれば共過ぎ
(せんげんあればともすぎ) 家が千軒もあれば、そこに一つの経済圏が成立して、外に頼らなくても生計を立てていけるものである。 ★「共過ぎ」は、相互に需要と供給の関係を保ちながら生活していくこと。持ちつ持たれつ世渡りをすること。
・先見の明
(せんけんのめい)[=識(しき) ものごとが起こる以前に見抜く見識。将来のことを見通す賢(かしこ)さ。 例:「あの若者には先見の明がある」 出典:「後漢書−楊彪伝」
・千言も一致
(せんげんもいっち) 千ほど多くの言葉で言われても、最終的に到達する道理は一つであるという意味から、表現は色々あっても、ものごとの筋道は一つであるということ。
・千言万語
(せんげんばんご) 《四熟》 非常に多くの言葉。あれこれと多くの言葉を口にすること。 類:●千言●千言万句 例:「千言万語を費やす」
・線香花火
(せんこうはなび) 線香花火が瞬間的なものであるところから、転じて、最初こそ熱心で華々しいけれど、すぐに勢いがなくなってしまうものごとの喩え。 例:「ブームというものは線香花火だ」
・先刻承知
(せんこくしょうち) 《四熟》 前々から知っているという意味で、説明や報告を聞く前から、既に事の主旨や事態の内容が分かっているということ。とうの昔から知っている。 類:●言うまでもなく 例:「答えは先刻承知だ」 ★「先刻ご承知」などとも使う。
・善後処置(ぜんごしょち) 《四熟》 後始末をきちんとすること。後々のことを考えて、締め括り方を考えること。 ★「善後」は、後のために良く計ること。
・千石取れば万石羨む
(せんごくとればまんごくうらやむ) 一千石の俸禄(ほうろく)をもらえる身分になると、次は一万石もらう人が羨ましくなる。人の欲望には際限がないことの喩え。 類:●望蜀隴を得て蜀を求む思う事一つ叶えばまた一つ
・前後に暮れる
(ぜんごにくれる)[=迷う] どうして良いか分からなくなる。 類:●東西を失う途方に暮れる五里霧中
・千古不易(せんこふえき) 《四熟》 長年に亘って変わらないこと。永遠に変わらないこと。 類:●万代不易●万世不易●千古不変
・前後不覚
(ぜんごふかく) 《四熟》 前後の区別も付かなくなること。正常な判断ができなくなる状態。 類:●正体を失う●前後を忘れる●前後も知らず●前後を失す●前後も分かず●前後を弁(わきま)えず。「前後不覚に泥酔する」
・前後も知らず
(ぜんごもしらず)[=分かず・覚えず・弁(わきま)えず] 1.何もかも分からない状態。その場の状況を上手く判断できない様子。2.また、正体がない様子。 類:●
前後不覚
・前後を忘れる
(ぜんごをわすれる)[=忘(ぼう)ずる・失う・失する] 興奮したり衝撃を受けたりして、自分が置かれている状況が分からなくなる。また、酔ったり眠ったりして正体がなくなる。

−−−−−−−せん(さ)(#sen3)−−−−−−−
・潜在意識
(せんざいいしき) 《四熟》 自覚されることなく動く意識。また、自分の意識的な抑制によって自覚面に現れることができない意識。 類:●下意識
・千載一遇
(せんざいいちぐう) 《四熟》 千年にたった一度しか巡り合えないような素晴らしい状態。また、そういう機会。 類:●千載の一時 例:「千載一遇のチャンス」 出典:「文選−袁宏・三国名臣序賛」「夫万歳一期、有生之通途。千載一遇、賢智之嘉会」
・千載不磨
(せんざいふま) 《四熟》 千年の後までも消えないこと。永遠に残ること。 類:●千載不朽●百世不磨 例:「千載不磨の大典」
・千差万別
(せんさばんべつ・まんべつ) 《四熟》 種々様々の違いがあること。多くの差異があること。 類:●千様万様
・煎じ詰める
(せんじつめる) 1.薬草などを、極度まで煎じる。成分や滋養などが出つきるまで煮つめる。2.内容をある一点に集中させる。要約する。 類:●凝縮させる●煮詰める 3.行き着くところまで考えを推し進める。考えを最後のところまで押し詰める。結論に達するまで良く考える。 用例:雑俳・
大福寿覚帳「うれしさもせんじつめればなみだにて」 4.事態を行き詰まりまで推し進める。ものごとを終局まで進行させる。 用例:読・弓張月−続「煎(セン)じ詰(ツメ)たる艱難を、問慰る友もなく」 用例の出典:大福寿覚帳(だいふくじゅおぼえちょう?) ・・・調査中。
・千思万考
(せんしばんこう) 《四熟》 一つのことに何度も何度も思案を重ね、考え付く限りの思いを巡らせ、じっくりと考えを纏(まと)めること。また、その考え。 類:●千思万慮●沈思黙考●三思九思●審念熟慮 反:■無念無想 ★「千万思考」の語順を入れ替えた言葉。
・千紫万紅
(せんしばんこう) 《四熟》 彩(いろど)りが豊かなこと。また、色とりどりの花が咲き乱れている様子。 類:●百花繚乱●千紅万紫 ★「千」「万」は、数が多いことを示す。
・浅酌低唱
(せんしゃくていしょう) 《四熟》 酒を味わいながら程よく飲み、小声で詩歌を口ずさんで楽しむこと。また、そのような上品な酒席の喩え。 類:●浅酌低吟●浅酌微吟●浅斟低唱●低唱浅斟 反:■杯盤狼藉
前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ)
前車の轍を踏む
(ぜんしゃのてつをふむ)
・千秋の恨み
(せんしゅうのうらみ)[=恨み事] 千年間もの長い間の恨みという意味で、長年、非常に残念に思っていること。また、しつこくいつまでも忘れられない恨み。
・千秋の思い(せんしゅうのおもい) 千年も待ち続けているほどの気持ちという意味から、大変に待ち遠しい思いや、待ち焦がれている気持ちをたとえていう場合に用いる。 類:●一日千秋の思い
・千秋万歳(せんしゅうばんぜい・まんざい・ばんざい) 《四熟》 1.千年万年。2.永久、永遠。3.また、永遠に栄えるようにと願う言葉。特に、長寿を祝うときなどに言う。 類:●千秋万古 出典:「韓非子−顕学」「今巫祝之祝、人曰、使若千秋万歳」 用例: 浄・「出世景清−門」「出の盃出さるれば、互に千秋万歳と」 ★「ばん」は「万」の、「ぜい」は「歳」の漢音<国語大辞典(小)> ★古風なことば<学研国語大辞典>
・千秋楽を歌う
(せんしゅうらくをうたう) 謡曲「
高砂」の終わりにある千秋楽の文句「千秋楽は民を撫で…」を歌うという意味から、祝宴などがめでたく終わること、また、ものごとが上首尾の内に終わること。 参考:高砂(たかさご) 謡曲。脇能物。各流。世阿弥。古名「相生(あいおい)」「相生松」。肥後国阿蘇の宮の神主友成が都に上る途中、高砂の浦で景色をながめていると、老人夫婦がきて高砂と住吉の二本の松を相生の松といういわれなどを語って去る。友成が住吉に行くと明神が現れ、御代を祝って神舞を舞う。祝言曲として、祝儀の席でよくうたわれる。
・千丈の堤も蟻穴より崩る(せんじょうのつつみもぎけつよりくずる・ありあなより〜)[=螻蟻(ろうぎ)の一穴(いっけつ)より〜] 千丈もある頑丈な堤も、小さな蟻や螻蛄(けら)の穴が原因で崩れる。小さな誤りや僅(わず)かな油断が元で、大事を引き起こしたり失敗したりするものだということ。 類:●千丈の堤も蟻の一穴●蟻の一穴 出典:「韓非子−喩老」「千丈之堤、以螻蟻之穴潰
・僭上張る
(せんじょうばる・せんしょうばる) 身分不相応なことをいう。また、分に過ぎたことをする。 用例:浮・
商人軍配団−三「母の僭上ばりし心から」 ★「ばる」は接尾語<国語大辞典(小)> 用例の出典:商人軍配団(あきんどぐんばいうちわ) 浮世草紙。町人物。江島其磧。正徳2年(1712)。・・・詳細調査中。
・千状万態
(せんじょうばんたい) 《四熟》 種々様々な状態。 類:●千態万状●千態万様
・善書紙筆を択ばず
(ぜんしょしひつをえらばず) 文字を書くことが上手な人は、紙や筆の良否を問わない。 類:●能書筆を択ばず弘法筆を択ばず 出典:
後山談叢(ござんだんそう) 談話集。宋。陳師道撰。4巻。師道が文芸について述べたもの。
・前事を忘れざるは後事の師なり(ぜんじをわすれざるはこうじのしなり) 前にあったことを心に留めておけば、後にものごとを行なうときに良い参考となる。 出典:「史記−秦始皇本紀・賛」「野諺曰、前事之不忘、後事之師也」
・全身全霊
(ぜんしんぜんれい) 《四熟》 心身の力の全て。その人に備わっている体力と精神力の全て。 類:●全身全力●全霊全力●心血を注ぐ 例:「全身全霊を傾ける」
・戦陣の間には詐偽を厭わず
(せんじんのあいだにはさぎをいとわず) 戦(いくさ)に於いては、謀(はかりごと)を以って欺(あざむ)くことも、敢えてしなければならない。 
★舅犯(きゅうはん)が文公(重耳)に言った言葉。 ※「詐欺」は誤字。 出典:「韓非子−難篇・一」
・千辛万苦
(せんしんばんく) 《四熟》 様々な苦労や困難に見舞われること。また、そうした苦しみ。 類:●艱難辛苦粒粒辛苦踏んだり蹴ったり ★「千」「万」は、数が多いことを示す。
・前人未踏
(ぜんじんみとう) 《四熟》 過去に誰も到達したり足を踏み入れたりしたことがないこと。今まで誰も成し遂げたことがないこと。 類:●先人未踏 ★「前人未到」とも書く。
・泉水の小便
(せんすいのしょうべん) 庭の池に小便をするとシャアシャアと音を立てることから、「池にしゃあしゃあ」→「いけしゃあしゃあ」と洒落(しゃれ)て言った言葉。非常に厚かましいこと。 類:●泉水御手水●いけ洒洒
・詮ずる所
(せんずるところ) ことの筋道を明らかにして、あれこれ考えて到達したところ。つまり。要するに。結局。 用例:平家−二「せんずる所、我等が敵は西光父子に過たる者なしとて」 類:●所詮(しょせん)●詰まる所 
★多く副詞的に「結論をいえば」の意に用いる<国語大辞典(小)
・先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし
(せんせいとよばれるほどのばかでなし) 1.代議士や教師・医者などは、「先生、先生」と呼ばれて好い気になっているが、呼んでいる方は本当に尊敬している訳ではないんだよということ。2.大人の社会というところは、ちょっとしたことですぐに人を煽(おだ)てるものだから、乗せられて得意になるものではないということ。 ★先生と呼ばれて得意になっている人を皮肉る川柳。詠み人知らず。
・戦戦兢兢
(せんせんきょうきょう) 《四熟》 恐れ慎(つつし)む様子。恐れてびくびくする様子。 類:●おっかなびっくり●戦兢(せんきょう) 例:「悪事が露顕しないかと戦々兢々として日を送る」 用例:
続日本紀−神亀2年9月壬寅「戦々兢々、夕??、懼一物之失所」 出典:「詩経−小雅・小旻」「戦戦兢兢、如臨深淵、如履薄冰」 用例の出典:続日本紀(しょくにほんぎ) 平安初期の官撰国史。六国史(りっこくし)の第2番目で「日本書紀」に次ぐ。40巻。光仁天皇の命によって石川名取・淡海三船らが撰修をはじめ、藤原継縄・菅野真道らに撰進事業が継承されて、延暦16年(797)奏上された。文武元年(697)〜延暦10年(791)の95年間を編年体で記す。「続紀(しょっき)」。

−−−−−−−せん(た)(#sen4)−−−−−−−
・千態万状
(せんたいばんじょう) 《四熟》 種々様々な状態。 類:●千状万態●千態万様
・前代未聞
(ぜんだいみもん・せんだいみもん) 《四熟》 これまでに、まだ一度も耳にしたことがないような変わった珍しいこと。 類:●先代未聞●未曾有破天荒 例:「前代未聞の不詳事」
・然諾を重んず
(ぜんだくをおもんず) 「然諾」は、引き受けること。一度承知したことは、約束を守って、必ず実行する。 類:●武士の一言
栴檀は二葉より芳し
(せんだんはふたばよりかんばし)
・全知全能
(ぜんちぜんのう) 《四熟》 完全で、欠けるところのない知能。あらゆることを理解し、どんなことでも行なうことのできる神の能力。 類:●完全無欠 例:「全知全能の神ゼウス」
・前程万里
(ぜんていばんり) 《四 1.これから先の道程が非常に長く遠いこと。 類:●前途遼遠 2.その人物の将来に大きな可能性が広がっていること。前途が明るいこと。 類:●前途有望●前途洋洋
・前轍を踏む
(ぜんてつをふむ) 前の車が通った後の轍(わだち)を辿って通るということで、前の者と同じ失敗をすること。類:●前車の轍を踏む
・先手を打つ
(せんてをうつ)[=取る] 1.囲碁や将棋で、相手より先に打ち始める。2.相手の機先を制して優位に立つ。 類:●機先を制す
船頭多くして船山に登る
(せんどうおおくしてふねやまにのぼる)
・前途多難
(ぜんとたなん) 《四熟》 これから行く先に多くの困難や災難が待ち構えていること。また、そう予期されること。 類:●前途遼遠
・前途程遠し
(ぜんとほどとおし) これからの道程(みちのり)が遥かに遠いこと。将来に幾多の困難が予想され、達成が容易でないことの喩え。 類:●前途遼遠 出典:「和漢朗詠集−餞別・於鴻臚館餞北客序」「前途程遠、馳思於鴈山之暮雲」
・前途洋洋
(ぜんとようよう) 《四熟》 将来が希望に満ちていること。前途が豊かで盛んな予感の持てること。 類:●少壮気鋭●少壮有為●前程万里●前途多望●前途有為●前途有望●有為多望
・前途遼遠
(ぜんとりょうえん) 《四熟》 目的達成までの道程(みちのり)が遥かに遠いこと。目標達成には程遠い状況であること。 類:●前途多難
・先途を遂ぐ
(せんどをとぐ) 目的地に辿(たど)り着く。目的を達成する。

−−−−−−−せん(な)(#sen5)−−−−−−−
・善に従うこと流るるが如し
(ぜんにしたがうことながるるがごとし) 善と見て、躊躇(ちゅうちょ)なくこれに従う様子が、あたかも水が流れるように速(すみ)やかであること。 出典:「春秋左氏伝−成公八年」
・善に強い者は悪にも強い
(ぜんにつよいものはあくにもつよい) 善に専心する者は、一旦悪の道に陥(いちい)ると、悪にも専心するものだ。
・先入主となる
(せんにゅうしゅとなる・ぬしとなる) 始めに覚えた考え方に固執(こしつ)して、その後の変化について正しい判断理解ができないこと。第一印象に支配されること。 類:●固定観念 出典:「漢書−息夫躬伝」「唯陛下観覧古戒、反覆参考、無以先入之語為」 ★「先入主」「先入観」の元になった言葉。
・千人斬り
(せんにんぎり)・切り 1.腕試しや祈願などのために、千人の人を切り殺すこと。2.(俗語) 特に男が、千人の女性と交わりを持つこと。近頃では逆にも言う。
・千人の諾々は一士の諤々に如かず
(せんにんのだくだくは、いっしのがくがくにしかず) 大勢の家来がいても、それが善悪に関わらずにはいはい聞いているのでは意味が無い。それよりも主君の間違ったことに対しては堂々と意見を述べる家来が一人居る方が良い。 出典:「史記−商君伝」「千人之諾諾、不如一士之諤諤」 ★趙良(ちょうりょう)が、商鞅(しょうおう)を戒めた言葉。

・千人の指差す所病なくして死す
(せんにんのゆびさすところやまいなくしてしす)[=千人の非難に遭えば〜] たくさんの人に後ろ指を差されれば、病気がなくても死んでしまうということ。 反:■千人の誉める所力なくして勝つ 用例:仮・浮世物語−一「千人のゆびさすものはやまひなくして死すと言ふ事あり」 出典:「漢書−王嘉伝」「里諺曰、千人所指、無病而死、臣常為之寒心」
・千人力
(せんにんりき) 1.「千人」は、「非常に」の意味。物凄(ものすご)く力が強いこと。また、そういう人。 類:●百人力 2.千人の助力を得たほどに心強いこと。 類:●百人力 用例:浄・心中天の網島「これさへあれば千人力」 例:「君が一緒なら千人力だよ」 3.戦時に、一片の布に千人の男子が「力」の字を一字ずつ書いて、武運長久と無事を祈って出征兵士に贈ったもの。
・善の裏は悪
(ぜんのうらはあく) 1.良いことがあれば、必ず、悪いことがそれに付いて回るということ。2.善の反対は悪であるということ。善も一転すれば悪となる。
・千の蔵より子は宝
(せんのくらよりこはたから) 財宝を入れた千の倉より、子供の方が大切である。子は最大の財産だということ。 類:●千両蔵より子は宝●万の蔵より子は宝●子に過ぎたる宝なし●子に勝る宝なし 用例:幸若「鎌田」「子に過ぎたる宝なし。千の倉より子は宝」
・善の綱
(ぜんのつな) 善所に導く綱という意味で、 1.本尊開帳、常念仏、万日供養などのとき、結縁(けちえん)のため仏像の手などにかけ、参詣者などに引かせる綱。 
★五色の糸を用いる<国語大辞典(小)> 類:●善の縄 2.葬式のとき、棺に付けて引く白布の綱。 類:●縁の綱
・詮の詰まり
(せんのつまり) 1.とどのつまり挙句の果て。結局。2.最後。瀬戸際(せとぎわ)。

−−−−−−−せん(は)(#sen6)−−−−−−−
善は急げ
(ぜんはいそげ)
・専売特許
(せんばいとっきょ) 1.発明品などを専売することに対する官許。 類:●パテント ★「特許」の旧称。 2.転じて、その人の得意技だと認知された技芸。他人と比較して、その人が特色としているもの。 類:●特技●十八番(おはこ)●お家芸 例:「泣き落としは彼の専売特許だ」
・千番に一番の兼ね合い
(せんばんにいちばんのかねあい) 千回やってみて一回成功するかどうかの割合。極めて困難なこと。
・千聞は一見にしかず
(せんぶんはいっけんにしかず) → 百聞は一見にしかず
・千篇一律
(せんぺんいちりつ)[=千編一律] 《四熟》 1.多くの詩がどれも同じ調子で変化のないこと。 出典:明・王世貞「芸苑巵言」「千篇一律、詩道未成」 2.どれもこれも変わり映えがなく、面白みがないこと。 類:●一本調子
・先鞭を着ける
(せんべんをつける) 「先鞭」は、他人より先に馬に鞭打って、先駆けの功名をすること。人より先に手を着けること。他に先んじて着手すること。 類:●先駆け●抜け駆け●先手 出典:「晋書−劉伝」「吾枕戈待旦、志梟逆虜、常恐祖生先吾著鞭」 好敵手の祖逖(そてき)が、自分より先に馬に鞭打って功名を挙げはしまいかと劉コン[王+昆]が気遣った。
・千変万化
(せんぺんばんか・せんべんばんか) 《四熟》 色々様々に変化すること。場面、事態、様子などが、次々に変化していくこと。

−−−−−−−せん(ま)(#sen7)−−−−−−−
・千枚張り
(せんまいばり) 1.幾重にも張り重ねて非常に厚いこと。また、そのもの。2.面(つら)の皮千枚張り」の略。非常に厚かましいこと。とても図々しいこと。 用例:伎・助六廓夜桜「白酒売はさりとは千枚張と思召さうが」 類:●厚顔無恥(こうがんむち)
・千万人といえども吾往かん
(せんまんにんといえどもわれゆかん) 反省して心に疚(やま)しいところがなければ、千万人の反対があっても恐れずに進もうということ。多くの困難がありながらも、敢然として己(おのれ)の道を進もうとする心意気を示す言葉。 出典:「孟子−公孫丑・上」
・千万無量(せんまんむりょう) 《四熟》 数が多くて数え切れないこと。測り知れないもの。 例:「千万無量の思い」
・千三つ
(せんみつ) 1.真実が千言のうちに三つしかないという意味で、嘘(うそ)、偽(いつわり)りのこと。また、嘘吐(つ)き。 類:●千三つ屋●法螺吹き万八(まんぱち) 用例:浮・桜陰比事−五「千いふ事三つもまことはなしとて千三つといふ男あり」 例:「千三つ屋」 2.纏(まと)まる話が千件に三件であるという意味で、土地の売買や貸し金の斡旋(あっせん)をする職業。また、その人。 類:●千三つ屋
・千も万も要らぬ
(せんもまんもいらぬ)[=ない・論(ろん)は無用] 千言も万言も費やすには及ばないという意味で、兎や角言うには及ばない。 類:●千も万も論は無用●問答無用
・前門に虎を防ぎ後門に狼を進む
(ぜんもんにとあをふせぎこうもんにおおかみをすすむ)[=の虎、後門の狼] 一つの禍(わざわい)を逃(のが)れても、更にまた他の禍に遭うことの喩え。 類:●前門の虎後門の狼●一難去ってまた一難虎口(ここう)を逃れて龍穴(りゅうけつ)に入る●追っ手を防げば搦め手へ回る 出典:
評史(ひょうし) 元代。趙雪航=趙弼(ちょうひつ)。・・・詳細調査中。

−−−−−−−せん(や)(#sen8)−−−−−−−
・先憂後楽
(せんゆうこうらく) 《四熟》 憂うることは人に先だって憂い、楽しむことは人に遅れて楽しむ。忠臣・仁者(じんしゃ)が国を思う情を述べた言葉。また、政治を行なう者の心構えを説いた言葉。 出典:「岳陽楼記」「天下之憂而天下之楽而<憂うべきことがあれば、世の中の誰もまだ気が付かないうちに之を憂い、楽しむべきことがれば、先ず全ての人を楽しませてから、最後に楽しむ> ★「先に苦労して後で楽をする」などという解釈は、あまりにも不届きなものであり、まったくの誤用。
・先用後利(せんようこうり) 《四塾》 商品を先に使ってもらい、後でその分の代金を受け取って利益を得ること。 類:●信用取引 ★富山の薬売りの商法、顧客との信用の上に成り立つ。現在のクレジット商法もこれに当たる。
・千羊の皮は一狐の腋に如かず
(せんようのかわはいっこのえきにしかず) 千枚の羊の皮も、一匹の狐の腋(わき)の下の皮一枚に劣(おと)る。凡庸な人間がたくさん集まっても一人の賢者に及ばないことの喩え。 出典①:「慎子−内篇」「狐白之裘、非一狐之腋」 出典②:「史記−趙世家」「吾聞千羊之皮、不如一狐之腋」 出典:慎子(しんし) 中国戦国時代の思想書。紀元前4世紀頃、趙の慎到(しんとう)著。42篇あったというが、現存するものは5篇のみであり、近世以降に偽作された部分も含まれる。
・千羊は独虎を捍ぐこと能わず
(せんようはどっこをふせぐことあたわず) 千頭の羊を以ってしても、一頭の虎の攻撃を防ぐことはできない。弱小な者がどんなに数多く集まろうとも、一人の強大な者に勝つことができないということの喩え。 類:●千羊の皮は一狐の腋に如かず●千雀万鳩鷂と仇を為す 出典:「抱朴子−外篇」「千羊不能捍独虎、万雀不能抵一鷹」

−−−−−−−せん(ら)(#sen9)−−−−−−−
・千里眼
(せんりがん) 千里の先まで見える目。遠方の出来事や将来のこと、また、人の心の奥底を見通す能力。また、その能力を持つ人。 類:●天眼通 出典:「魏書−楊逸伝」「楊使君有千里眼、那可欺之」 出典:
魏書(ぎしょ)・後魏書(ごぎしょ) 中国の正史。130巻。北斉の文宣帝のとき、魏収奉勅撰。554年に成立。中国二十四史の一つ。後魏一代の歴史を編年体で記したもので、帝記12巻、列伝92巻、志10巻から成る。「三国志」の魏書(魏志)と区別して「後魏書」ともいう。
・千里同風(せんりどうふう) 《四熟》 1.世間至る所に同じ風が吹くということで、天下太平の世の中の喩え。 類:●万里同風 出典:「論衡−雷虚」「千里同風、百里不共雷」 2.風俗が、遠くまで同じであること。3.また、逆に、世の中全体が乱れていることにも言う。
・千里に適く者は三月糧を聚む
(せんりにゆくものはさんげつかてをあつむ) 千里の遠いところに行く者は、三ヶ月前から食料の準備にかからねばならない。長い人生を生きていくには、予(あらかじ)め、それ相応の修養を積んでおく必要があるということ。 出典:「荘子−内篇・逍遥遊」「適百里者、宿舂糧、適千里者、三月聚糧
・千里の駒
(せんりのこま)[=馬] 一日に千里も走るほどの優れた馬。駿足の名馬。転じて、才芸の傑出した人。 出典:「漢書
・千里の馬はあれども一人の伯楽はなし
(せんりのうまはあれどもひとりのはくらくはなし) 1.名馬はいつの時代でもいるが、その馬を見出して、その能力を発揮させる伯楽はいないものだ。2.転じて、世の中には、いつの時代でも有能な人材はいるが、これを登用し、十分腕を発揮させる名宰相は少ないということ。 出典:「韓愈−雑説・四」
・千里の行も足下に始まる
(せんりのこうもそっかにはじまる) 遠い旅路も一歩進むことから始まるように、遠大な仕事も手近なものごとから始まる。 類:●千里の行も一歩より起こる●千里の道も一歩から 出典:「老子−六四」「千里之行、始於足下
・千里の堤も蟻の穴から
(せんりのつつみもありのあなから) 些細なことでも油断していると、大きな災いを招くことがあるということ。 類:●千丈(せんじよう)の堤も蟻の穴より崩れる●蟻の穴から堤も崩れる●It is the last straw that breaks the camel’s back.(最後の藁一本が駱駝の背を折る)
・千里万里
(せんりばんり・せんりまんり) 《四熟》 1.幾千里も幾万里も離れていること。遥(はる)か遠方のこと。2.考えや、ものごとが甚(はなは)だしく懸け離れていること。 類:●頓珍漢
・千里も一里
(せんりもいちり) 惚れた相手の所へ通うときは、遠い道も短く感じられて苦にならない。また、小さいことでも疎(おろそ)かにしてはいけないということの喩え。 類:●千里も遠からず●惚れて通えば千里も一里
・千両役者
(せんりょうやくしゃ) 《四熟》 千両の給金を取る役者という意味。 1.格式が高い役者。芸が優れている役者。また、顔立が良かったり、芸が巧かったりして、人気がある役者。2.技量が優れている人。世間の喝采(かつさい)を博する、非凡で魅力的な人物。
・千慮の一失
(せんりょのいっしつ) 賢者でも、多くの考えのうちには、考え違いや失敗があるということ。十分に配慮しておいても思い掛けない失敗を犯すこと。 類:●弘法にも筆の誤まり●知者の一失●孔子(くじ)の倒れ 
反:■千慮の一得愚者にも一得 出典:「史記−淮陰侯伝」
・千慮の一得(せんりょのいっとく) 愚か者でも、多くの考えの中には、一つぐらいは良い考えもあるということ。 類:●愚者にも一得 出典:「史記−淮陰侯伝」
・善隣友好(ぜんりんゆうこう) 《四熟》 隣国と友好関係を結ぶこと。また、隣人とよしみを結ぶこと。

−−−−−−−せん(を)(#senwo)−−−−−−−
・先を越す
(せんをこす) 相手に先んじてものごとをする。先回りする。 類:●機先を制する
・膳を据える
(ぜんをすえる) 1.食膳を人の前に据える。2.女の方から男に言い寄る。 類:●据え膳をする
・善を責むるは朋友の道なり
(ぜんをせむるはほうゆうのみちなり) 善を行なうように強く勧めるのは、友人として努めるべき道である。 出典:「孟子−離婁・下」「責善、朋友之道、父子責善、賊恩之大者」
・漸を杜じ萌を防ぐ(ぜんをとじぼうをふせぐ) 凶事や害悪は、大きくならないうちに防ぎ止めるべきであるということ。 ★「漸」はものごとの兆し、「萌」は、芽生えで、共に事の始めの喩え。 出典:「後漢書−丁鴻傳」「杜漸防萌、則凶妖銷滅、害除福湊矣」
・善を為すも名に近付くこと無かれ
(ぜんをなすもなにちかづくことなかれ) 仮令(たとえ)善を為すにしても、その善を為すことで名誉を得ようとすべきではない。 出典:「荘子−内篇・養生主」「為善無近名、為悪無近刑」

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