【とあ】~【とお】

−−−−−−−とあ(#toa)−−−−−−−
・とある 
特に意識しないが、たまたま行き合わせたものごとである。また、偶然目に付いたものごとである。たまたまそこにある。 類:●ちょっとした●その辺の 用例:太平記−五「宮をばとある辻堂の内に置き奉りて」 例:「とある一軒屋」 ★連体詞「ある」と同じように用いる
<国語大辞典(小)>

−−−−−−−とい(#toi)−−−−−−−
・戸板に豆
(といたにまめ) 1.戸板に豆を転がすとよく転がることから、早口で淀みなく喋る様子。また、ものごとがどんどん進展していくことの喩え。 類:●立て板に水 反:■横板に雨垂れ 2.戸板の上に置いた豆は転がってしまって扱い難いことから、思うようにならないことの喩え。男女の仲で思うようにならないことにも言う。
・戸板を返すよう
(といたをかえすよう) 歌舞伎の仕掛けの一つで、一枚の戸板の表裏に死体を括り付けて早変わりを見せる「戸板返し」から出た言葉。事の成り行きや場面などが突然に変わる喩え。 
参考:戸板返し(といたがえし) 四世鶴屋南北「東海道四谷怪談」の隠亡堀(おんぼうぼり)の場で用いられたものが最初という。 参考:東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん) 歌舞伎。四世鶴屋南北。文政8年(1825)。江戸中村座初演。お岩と伊右衛門の怪談話。初演の時には「仮名手本忠臣蔵」と併行上演された。
・何奴も此奴も(どいつもこいつも) 誰も彼もみんな、という意味で、全ての人が同じように望ましくない状態にあることを詰(なじ)って言う。 例:「何奴も此奴も抜け作ばかりだ」
・問屋が卸さない(といやがおろさない) →(とんやがおろさない
・問屋の只今
(といやのただいま・とんやの〜) 返事だけは良いが、なかなか実行しないことの喩え。約束や期日が当てにならないことの喩え。問屋に品物を注文すると、「只今お届けします」と請け合うが、すぐに品物が届けられることは少ないことから。 類:●医者の只今蕎麦屋の出前紺屋の明後日鍛冶屋の明晩
・トイレが近い
(といれがちかい) 用便などでトイレに行く回数が頻繁(ひんぱん)である。 ★「小便が近い」からの転か。

−−−−−−−とう(あ)(#tou1)−−−−−−−
・どうあっても どういう状態でも。何とあっても。 用例:虎寛本狂言・地蔵舞「いやいや、どふ有ても成らぬ事でおりゃる」 
★強い命令や意志の表現に用いる<国語大辞典(小)>
・どういう風の吹き回し
(どういうかぜのふきまわし) 事の成り行きが思い掛けない様子。どうした訳か。どんな弾(はず)みか。 例:「お前が奢るなどとはどういう風の吹き回しだ」
・当意即妙
(とういそくみょう) 《四熟》 その場に相応(ふさわ)しい当座の機転を利かせること。その場の雰囲気に合わせて、すぐさま気の利いた言動をすること。 例:「当意即妙の答え」 
★仏教の、当位即妙から<大辞林(三)>
・どう致しまして
(どういたしまして) 相手の礼や詫(わ)びの言葉に対して、それを丁寧に打ち消しながら返す挨拶(あいさつ)の言葉。
・統一戦線
(とういつせんせん) 《四熟》 政治運動や労働運動で、各党派・各団体が、それぞれ独自の主張を保持しながら、共通の敵対勢力に対して、一致できる最低線を決めて、それに基づいて共同の行動を取る戦術。 類:●共同戦線●ユナイテッドフロント

・挑園に義を結ぶ(とうえんにぎをむすぶ)[=の〜] 義兄弟の契(ちぎ)りを結ぶ。また、義兄弟のような深い間柄になる。 故事:三国志演義−第一回」 中国後漢の末、蜀の劉備、関羽、張飛の三豪傑が、桃園で義兄弟の契りを結んだ。

−−−−−−−とう(か)(#tou2)−−−−−−−

・道学先生
(どうがくせんせい) 「道学者」は、道理・道徳を重んじるあまり世事に暗かったり、人情を無視したりする偏屈な人のこと。道学者を軽蔑したり、からかったりして呼ぶ言葉。
・頭角を現す
(とうかくをあらわす) 優れた才能や技芸などを持ち、人に抜きん出る。才覚が群を抜いて目立つ。衆に秀でている。 例:「めきめき頭角を現してきた」 出典:韓愈「柳子厚墓誌銘」「嶄然見頭角
・灯火親しむべし
(とうかあいしたしむべし) 秋の涼しさと夜長は、灯火の下で読書するのに適している。 出典:韓愈「符読書城南詩」
・薹が立つ
(とうがたつ) 1.蕗(ふき)や菜の花などの、花茎が伸びる。固くなって食べ頃を過ぎてしまう。2.人が、その目的に最適の年齢を過ぎてしまう。若い盛りが過ぎる。男女共に使えるが、特に、女性の婚期について言われる。 例:「彼女も30、そろそろ薹が立って来たな」 3.芸事などで、進境を見せる。
・東家に食して西家に息わん
(とうかにしょくしてせいかにいこわん)[=食らいて〜] 昼間は東の家で食事をして、夜は西の家で眠りたい。片方を選ぶのでなく、両方を自分のものにしたい。欲が深いことの喩え。 故事:太平御覧−人事・醜丈夫」「風俗通曰、《略》願東家食而西家息、以東家富而醜、西家貧而美也」 昔、中国に美女がおり、両隣の男性から求婚された。東の家の男は金持ちで醜男(ぶおとこ)。西の家の男は貧乏で美男だったが、母親がどちらに嫁ぐのかと聞いたところ、美女は、昼間は東家で過ごし、夜は西家で過ごしたいと答えた。
・刀下の鬼となる
(とうかのきとなる) 刀で斬られて死ぬ。斬り殺される。 ★ここでの「鬼」は、死んだ魂(たましい)の意味。
・刀下の鳥、林藪に交わる
(とうかのとり、りんそうにまじわる) 斬り殺されるべき鳥が逃(のが)れて林や藪の中で遊ぶという意味で、生き返った心地がすることの喩え。 類:●九死に一生を得る
・堂が歪んで経が読まれぬ
(どうがゆがんできょうがよまれぬ) 坊主が、上手くお経を読めないのはお堂が歪んでいるからだと言い訳をする。1.自分の怠慢や失敗を棚に上げて、責任を他人に擦(なす)り付けることの喩え。 類:●地が傾いて舞いが舞われぬ 2.屁理屈を捏(こ)ねて勿体(もったい)ぶり、なかなか行動に移そうとしないことの喩え。 類:●勿体を付ける地が傾いて舞いが舞われぬ
・等閑に付す
(とうかんにふす) ものごとを好い加減に放っておく。 類:●等閑(なおざり)にする
・同気相求める
(どうきあいもとめる)[=相求む・求める] 気の合う者は互いに親しみ集まる。同類のものは自然に集まる。 類:●類は友を呼ぶ牛は牛づれ馬は馬づれ●同声相和す●
同性相親しむ蓑の傍へ笠が寄る 出典:「易経−乾卦」
・同期の桜
(どうきのさくら) 予科練の同期生を桜に喩えて歌った同名の軍歌から、同期生のこと。 類:●同じ釜の飯を食う
・同穴の契り
(どうけつのちぎり) 同穴の「穴」は墓穴のこと。死んで同じ墓の穴に葬られるという意味で、死ぬまで仲睦(むつ)まじく暮らそうという、夫婦が交わす約束。 類:●偕老(かいろう)の契り
・峠を越す
(とうげをこす)[=越える] 1.最高の境地に到達する。2.勢いの最も盛んな時期を過ぎて、衰え始める。3.最も重要な時期を過ぎて、先の見通しが利くようになる。 類:●山を越す
・陶犬瓦鶏
(とうけんがけい) 《四熟》 焼き物の犬と素焼きの鶏のこと。ただ外見が優れているばかりで、なんの役にも立たないものの喩え。 出典:「
金楼子−立言・上」 出典:金楼子(きんろうし) 中国六朝期。梁元帝。・・・詳細調査中。
・桃源郷
(とうげんきょう) 俗世間を離れた安楽な世界。仙境。桃源。 類:●ユートピア●武陵桃源壺中の天地 出典:陶淵明桃花源記
・同工異曲
(どうこういきょく) 《四熟》 1.音楽を奏する技巧は同じでも、味わいが異なること。2.詩文や述作などの技巧は同じだが、その趣や表されたものが異なること。転じて、見掛けは違うようでも内容は同じであること。 出典:韓愈「進学解」「子雲相如、同工異曲」 
★「異曲同工」ともいう<国語慣用句辞典(集)>
・同功一体
(どうこういったい) 《四熟》 功績が同じで、態度も同じであること。功績がまったく同じであること。 出典:「史記−黥布列伝」
・倒行逆施
(とうこうぎゃくし) 《四熟》 道理に逆らって事をなすこと。無理押しをすること。 類:●横車を押す●横紙(よこがみ)破り 出典:「史記−伍子胥列伝」
・董狐の筆
(とうこのひつ) 権勢を恐れず真実を発表すること。歴史を直筆して真実をありのままに述べること。 故事:「春秋左氏伝−宣公二年」「孔子曰、董狐、古之良吏也、書法不隠」 董狐は、暴君の霊王が趙穿(ちょうさく)に攻め殺されたとき、趙穿の同族で時の上卿であった趙盾(ちょうとん)が、霊王を諫めきれず逃げ出し、また趙穿を討ちもしなかったことから、罪は趙盾にあるとして王を殺したのは趙盾だと記録した。
・同語反復
(どうごはんぷく) 《四熟》 1.論理学で、主辞と賓辞とが同一の概念である判断。変項の値のいかんに関わらず、常に真であるような論理式。2.ある主張を、表現は違うが同一の主張で反復するだけで、外見上論証したように見せる虚偽。また、繰り返したからといって、なんの意味もない同じ言葉の繰り返し。 類:●循環定義の誤り●トートロジー 
★「同語反覆」とも書く<国語慣用句辞典(集)>

−−−−−−−とう(さ)(#tou3)−−−−−−−
・東西暮れる
(とうざいくれる) 東も西も分からなくなる。 類:●
東西を失う途方に暮れる 用例:太平記−一七「東西くれて降雪に道を踏迷て」
・東西知らず
(とうざいしらず) 西も東も分からない。ものごとを判断する能力がまったくない。分別がまったくない。 類:●
東西を弁えず 用例:宇津保−国譲上「みだり心地、東西知らず侍りて」
・東西する
(とうざいする) あちこち体を動かす。あちこちに行く。 用例:−八二「ただ、袖をとらへて、とうさいせさせず乞ひとりて、持て来」
・東西東西
(とうざいとうざい・とざいとうざい) 《四熟》 元々は、相撲で、東から西まで静まり給えという意味で使われ始めたものという。 1.大勢の騒がしい中に立ち入ってそれを静めるときに言う言葉。 類:●静かにしろ●静粛に 用例:黄・
孔子縞于時藍染−下「とうざいとうざい。やかましいわへ」 2.特に、芝居や相撲で、見物人を静めたり、口上を述べるのに先立って注意を引いたりするときに言う決まり文句。 類:●東西 用例の出典:孔子縞于時藍染(こうしじまときにあいぞめ) 黄表紙本。山東京伝(北尾政演)画・作。寛政元年(1789)。江戸大伝馬町大和田安部衛刊。寛政改革の朱子学奨励に取材し、聖賢治下、道義の行われる世の中を戯画的に描いたもの。経書の文句を一々忠実に履行しなければならない町人の滑稽な姿を、誇張して風刺的に著(あらわ)す。
・東西南北
(とうざいなんぼく) 《四熟》 1.あちらこちら。諸方。 類:●四方八方 2.住所が一定しないで、あちらこちらを彷徨(さまよ)い歩くこと。四方に流離(さすら)うこと。 用例:読・弓張月−後「久しく東西南北すといへども、いまだ明主に遇(あは)ず」 3.方角。方向。
・東西南北の人(とうざいなんぼくのひと) 1.諸方の人という意味で、住所不定であちこちを彷徨(さまよ)い歩く人のこと。 類:●放浪者 2.あちこちから集まってくる人のこと。 出典:「礼記−檀弓・上」
・東西を失う(とうざいをうしなう) 施すべき方法が分からなくなる。 類:●
東西暮れる途方に暮れる●途方を失う
・東西を弁えず
(とうざいをわきまえず)[=弁(べん)ぜず・知らず・分かず・存ぜず] どちらが東でどちらが西かも分からない。まったく分別がない。 用例:宇津保−国譲上「みだり心ち、とうざいしらず侍りて」
・当座凌ぎ
(とうざしのぎ) 一時の間に合わせ。足りないものがあるのだが、差し当たっては現在あるもので済ませて用を足すこと。 類:●一時凌ぎ
・当座の花(とうざのはな) そのときそこで見た、目に美しく感じられるもの。差し当たりの楽しみとなるもの。
・同日の論にあらず
(どうじつのろんにあらず)[=談に〜][=ではない] まったく見劣って、比べものにならない。同様に見なして談ずべきことでない。同じ扱いにはできない。 類:●日を同じくして論ぜず●同年の論にあらず 例:「彼に比べれば私など同日の談ではありません」 出典:「史記−游侠伝」「不同日而論矣」
・闘雀人に怖じず(とうじゃくひとにおじず・にんに〜) 弱い雀(すずめ)でも、闘(たたか)いに夢中になっているときは、相手が人間でも恐れないものである。争いに夢中になっている時は、自分の身の危険も顧(かえり)みないものであるということ。 類:●噛み合う犬は呼び難し●戦う者はその身を忘るるものなり 用例:日葡辞書
・陶朱猗頓の富
(とうしゅいとんのとみ) 莫大な富。また、富豪の喩え。 類:●猗頓の富 
故事:過秦論」 陶朱(=范蠡(はんれい))は金満家であり、魯の猗頓(いとん)は陶朱に金持ちになる法を教えられて大富豪になった。 出典:過秦論(かしんろん) 漢初。賈誼(かぎ)。中国をいかなる方式で統一すべきかについての論文。重要な論点の一つとして、封建制と中央集権制の優劣を論じた。
・同舟相救う
(どうしゅうあいすくう) いつもは仲の悪い同士でも、いざというときや共通の利害のためには助け合うものであるということ。 類:●呉越同舟●舟を同じくして江を渡る 出典:「孫子−九地」 
・同種同文
(どうしゅどうぶん) 《四熟》 国と国とで互いに文字が同じで、人種も外見上同じであること。 
★主に日本と中国との関係を示していう<大辞林(三)>
・同床異夢
(どうしょういむ) 《四熟》 1.一緒に寝てもそれぞれ見る夢が別である。起居(ききょ)を共にしていながら、お互いに心が離れ別々の事を考えているということ。 類:●同牀各夢 出典:「与朱元晦書(陳亮)」「同牀各、周公丹不能学得」 2.比喩的に、同じ立場、同じ仕事にありながら、意見や目標などが違っていること。 反:■呉越同舟
・どうしようもない 1.
そうなるより他に方法がない。他に方策の取りようもない。 例:「ここまで来たらどうしようもない」 2.救い難い。 例:「どうしようもない野郎だ」
・藤四郎
(とうしろう・とうしろ) 技芸などに熟達していない人。経験の浅い人。 
★「素人(しろうと)」をひっくり返して人名のように言った言葉。
・灯心で竹の根を掘る
(とうしんでたけのねをほる) しっかりと張った竹の根を、柔らかい灯心で掘ろうとしても無理である。できる訳がないこと、どんなに努力しても不可能なことの喩え。
・唐人の寝言
(とうじんのねごと) 1.何を言っているのか訳の分からない言葉。2.筋が通らないことをくどくど言うことの喩え。
・同性相親しむ
(どうせいあいしたしむ) 「同性」は、他の者と同じ気質を持つという意味。お互いに似たような気質の者同士は仲良くなるものだということ。 類:●
同気相求める類は友を呼ぶ蓑の傍へ笠が寄る牛は牛づれ馬は馬づれ●同声相和す
・同生共死
(どうせいきょうし) 《四熟》 死ぬも生きるも一緒だという意味で、二人以上の人間がその生死を共にすること。
・冬扇夏炉(とうせんかろ) 《四熟》 無用なものの喩え。 類:●夏炉冬扇寒に帷子(かたびら)土用に布子(ぬのこ)●六日の菖蒲十日の菊 出典:「論衡−逢遇」
・どうぞ叶えて暮れの鐘(どうそかなえてくれのかね) 地口の一つ。「かなえてくれ」と「暮れの鐘」を掛けたもの。神頼みをしたいときなどに言った。
・刀爼魚肉
(とうそぎょにく) 《四熟》 俎板(まないた)の上に乗せられて、今にも料理されようとしている魚や肉。死に瀕した絶体絶命の危険に曝(さら)されていることの喩え。 類:●俎板の鯉俎上の魚 故事:史記−項羽本紀」「如今人方為刀俎、我為魚肉、何辞為、於是遂去」 鴻門(こうもん)の会で沛公(後の高祖・劉邦)が楚の項羽から命を狙われたとき、家臣の樊?(はんかい)が言った言葉。

−−−−−−−とう(た)(#tou4)−−−−−−−
・当代無比
(とうだいむひ) 《四熟》 当世に比べるものがないという意味で、当世に於いて最も優れている唯一のものである。 類:●当代無双
灯台下暗し(とうだいもとくらし)
・道中の材木で木越える
(どうちゅうのざいもくできこえる) 地口の一つ。 聞こえると、木越えるの洒落。
・道聴塗説
(どうちょうとせつ)・道聴途説 《四熟》 路上で他人から聞いた話を、すぐにその道でまた第三者に話すこと。 1.他人から良い話を聞いてもそれを心に留めて自分のものとしないこと。すぐ他人に受け売りすること。類:●道に聴きて塗に説くは徳を之れ棄つるなり 出典:「論語−陽貨」「子曰、道聴而塗説、徳之棄也 2.転じて、好い加減な世間の噂話。聞き齧(かじ)りの話。
・滔天の勢い
(とうてんのいきおい) 水が天にまで漲(みなぎ)るほどの勢い。留まるところを知らないほど勢いが強い様子。
・尊い寺は門から見ゆる(とうといてらはもんからみゆる)・知れる 信仰を集める寺は門構えからして立派で、有り難い感じがするところから、尊いものはその外面を見ただけで内容を窺(うかが)い知ることができるということ。
・堂々巡り
(どうどうめぐり) 1.祈願のため、または儀式として、仏や仏堂の周りを巡ること。 2.遊戯の一つ。手を繋(つな)ぎ輪を作って歌いながらぐるぐる回る遊び。3.同じことをいつまでも繰り返して進展しないこと。 例:「議論が堂々巡りしている」 4.国会の本会議で、案件を投票によって決定する場合、議員が青票(反対)・白票(賛成)を各自持参して演壇上においた箱に入れ採決する方法の俗称。

−−−−−−−とう(な)(#tou5)−−−−−−−
・堂に入る
(どうにいる) 1.学問・技芸、その他修練を必要とする事柄について、よく身についてその深奥に達している。2.転じて、すっかり慣れて身に付く。 類:●
堂に升り室に入る●堂奥に入る 例:「堂に入った司会ぶり」
問うに落ちずに語るに落つ(とうにおちずにかたるにおつ)
・盗に食を齎す
(とうにしょくをもたらす) 盗人に食べ物を与えるという意味で、自分に危害を及ぼす者を助けて、却(かえ)って、己の身を危うくするということの喩え。 類:●盗人に鍵を預ける敵に糧寇に兵を籍し盗に糧を齎す●盗人の提灯持ち 出典:「戦国策−秦策」
・堂に升り室に入る(どうにのぼりしつにいる) 「堂」は中国の建物で表の客間、「室」はその奥座敷のこと。学問や技芸は上達したが、いまだ奥義を究めていないことの喩え。 
故事:論語−先進」 孔子が子路の学問について、建物には登ったがその奥にある部屋にはまだ入っていないと評した。
・どうにも生らぬは背戸の柿の木(どうにもならぬはせどのかきのき) 地口の一つ。 どうにもならないことを、日陰で実が生らない柿の木に掛けて言ったもの。 ★「背戸」は、家の裏門のあたりの日の射さない場所こと。
・疾うの昔
(とうのむかし) 随分前。ずっと前。 類:●疾っくの昔

−−−−−−−とう(は)(#tou6)−−−−−−−
・問うは一旦の恥、問わぬは末代の恥
(とうはいったんのはじ、とわぬはまつだいのはじ)[=当座の恥、〜] 知らないことを聞くのは、そのときは恥ずかしい思いをするが、聞かずに知らないままに過ごせば、生涯恥ずかしい思いをし続けなければならないということ。 類:●聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥●知らざるは人に問え●下問を恥じず
・同病相憐れむ
(どうびょうあいあわれむ) 同じ病気や同じ境遇に苦しむ者は、お互いに苦痛を察し合い、同情する念が厚い。 出典:「呉越春秋−闔閭内伝」
豆腐に鎹(とうふにかすがい)
・豆腐の角に頭をぶつけて死ね
(とうふのかどにあたまをぶつけてしね) 1.粋(いき)や粋狂などを解さない唐変木は、どうせ冗談も理解しないであろうから、本当に豆腐で死のうとするだろうよ、ということ。 類:●饂飩で首吊って死ね●目(耳)を噛んで死ね 2.一般に、愚鈍な者や無粋な者を嘲(あざけ)って言う言葉。 類:●人の恋路を邪魔する者は、馬に蹴られて死んじまえ
・同文同軌
(どうぶんどうき) 《四熟》 1.天下が皆同じ文字を使い、車輪の幅を一定にすること。2.転じて、天下が統一されること。 出典:「礼記中庸
・同文同種
(どうぶんどうしゅ) 《四熟》 国と国とで互いに文字が同じで、人種も外見上同じであること。 類:●同種同文 
★主として日本と中国とについていう<国語大辞典(小)>
・唐変木
(とうへんぼく) 気が利かない人や偏屈な人を罵(ののし)っていう言葉。 類:●間抜け 用例:洒・卯地臭意「猿だとほざきやあがるか。とうへんぼくめ」 例:「分からず屋の唐変木」 ★「唐(=中国)の変な木偶(でく)人形」からかという。
東奔西走
(とうほんせいそう)

−−−−−−−とう(ま)(#tou7)−−−−−−−
・稲麻竹葦
(とうまちくい) 《四熟》 1.稲、麻、竹、葦が群生していること。2.転じて、多くのものが入り乱れていること。幾重にも取り囲んでいる様子。 類:●稲麻 出典:「法華経

−−−−−−−とう(ら)(#tou9)−−−−−−−
桃李言わざれども下自ずから蹊を成す(とうりいわざれどもしたおのずからけいをなす)
・東籬採菊
(とうりさいきく) 《四熟》 1.家の東側の垣根(かきね)に生える菊を摘(つ)む。煩(わずら)わしい俗世間から離れた田園生活を営(いとな)むことの喩え。 類:●隠遁(いんとん)生活 出典:陶淵明の飲酒詩「採菊東籬下、悠然見南山」 2.東洋画の画題。1.をモチーフにして、籬(まがき)の菊に人物を配した図柄が多い。
・道理で
(どうりで) ものごとの原因や理由に、思い当たる節がある。それは当然だ。なるほど。たしかにそうだ。 例:「初段だそうで、道理で強いと思った」
・党利党略
(とうりとうりゃく) 《四熟》 自分が属する政党・党派の利益と、そのために巡らす策略のこと。
・桃李の粧い
(とうりのよそおい) 桃や李(すもも)の花のような、美しい服装。また、艶(あで)やかな容姿。
・桃李は一旦の栄花松樹は千年の貞木(とうりはいったんのえいが、しょうじゅはせんねんのていぼく) 桃や李(すもも)は花の咲いた時は一時美しいが、長続きがしない。松はいつも変わらぬ緑で節操が変わらない。
・道理百遍義理一遍
(どうりひゃっぺんぎりいっぺん) ものの道理を口で百回説(と)いて聞かせるよりも、たった一度で良いから自(みずか)ら義理を尽くした行ないをしてみせる方が、遥(はる)かに相手の心を動かせるものである。
・桃李門に満つ
(とうりもんにみつ) 優秀な門下生がたくさんいる。門下に秀才が多いことの喩え。 出典:資治通鑑−唐則天后久視元年
登竜門(とうりゅうもん)
・道理を詰める
(どうりをつめる) 道理を正す。理詰めにする。 用例:浮・桜陰比事−4「色々道理を詰め言葉をつくせども」 用例の出典:
本朝桜陰比事(ほんちょうおういんひじ) 浮世草紙。井原西鶴。5巻。元禄2年(1689)。書名は中国宋代の「棠陰(とういん)比事」に対し、棠を桜にかえ本朝を冠したもの。裁判物を扱った短編集。 参考:棠陰比事(とういんひじ) 中国の裁判に関する書物。南宋。1624〜44年頃。桂万栄(けいばんえい)撰。1巻本・2巻本、或いは3巻本がある。書名の「棠陰」とは、周の召伯が巡行の折、甘棠(かんとう)の下で人々の訴えを聞いた故事による(→甘棠の詠)。五代の和魯公父子の『疑獄集』、宋の鄭克の『折獄亀鑑』などから古来の裁判に関する事件を集め、「向相訪賊、銭推求奴」に始まり「承天議尉、廷尉訊猟」に至るまで、2句ずつ72韻の144件を収録。『蒙求』の体に倣(なら)い、それぞれについて注を施(ほどこ)し、出典を示している。
・同類相求む
(どうるいあいもとむ)[=集まる] 同じ性質のものは、自然に求め合って集まる傾向にある。 類:●類は友を呼ぶ同気相求む牛は牛づれ馬は馬づれ●同声相和す●蓑の傍へ笠が寄る同性相親しむ
・蟷螂が斧を持って隆車に向かう
(とうろうがおのをもってりゅうしゃにむかう)[=取りて〜] 蟷螂が、前足を振り上げて、高く大きい車に立ち向かう。弱者が自分の力を顧(かえり)みないで強者に立ち向かう。無謀で、身の程を弁(わきま)えないことの喩え。 類:●
蟷螂の斧
・螳螂窺蝉
(とうろうきせん・とうろうせみをうかがう) 《四熟》 蟷螂が蝉を捕らえようと夢中になって、雀が自分を襲おうとしている危険に気付かない。目前の利益に夢中になって、自分の身に迫る危険を顧みないことの喩え。 類:●螳螂蝉を窺い、黄雀後に在り 出典:「荘子−山木」
・蟷螂蝉を搏つ
(とうろうせみをうつ) 蟷螂(かまきり)が蝉を捕ろうとして集中するあまり、自分に迫(せま)っている危機に気付かない。目の前の利益ばかりに囚われて、後の災禍を考えないことの喩え。 類:●蟷螂蝉を窺う 出典:「荘子−山木」「蟷螂執翳、而搏之、見得而忘其形、異鵲従而利之、見利而忘其真」<一匹の蟷螂が蝉を捕らえようとしている。その蟷螂はカササギに狙われていることを知らない。そのカササギは、荘子から弓で狙われていることに気付いていない>
・蟷螂の斧
(とうろうのおの) 無謀な抵抗。無謀で、身の程を弁(わきま)えないことの喩え。 類:●龍の髭を蟻が狙う泥鰌の地団太小男の腕立て蟷螂が斧を持って隆車に向かう田作の歯軋り 出典:「荘子」など

−−−−−−−とう(を)(#touwo)−−−−−−−
・当を得る
(とうをえる) 道理に適(かな)う。また、要点をしっかりと押さえる。 類:●的を射る正鵠を得る 
反:■当を失す
・当を失す
(とうをしっす)[=失う] 道理に適(かな)っていない。特定の条件に適っていない。不当である。 
反:■当を得る

−−−−−−−とお(#too)−−−−−−−
・遠網を掛ける
(とおあみをかける) 遠くの方から網を入れて魚を捕るという意味から、それとなく罠を仕掛けておいて相手を陥(おとしい)れること。
十日の菊(とおかのきく)
・遠きに行くに必ず邇きよりす
(とおきにゆくにかならずちかきよりす) 遠いところに行こうとするときは、必ず近いところの第一歩から始める。なにごとも手近なことから始め、順序立てて堅実に進むべきであるということ。ものごとは一足(いっそく)飛びにできるものではないということ。 類:●高きに登るには卑きよりす千里の行も足下に始まる 出典:「礼記中庸・十五」「君子之道、辟如行遠必自邇、辟如登高必自卑」
・遠きは花の香
(とおきははなのか) とかく人間は、手の届かないものを高く評価するものである。手近にあるものは軽視しがちだということ。 類:●遠くの鳥は美しい羽根を持っている●家鶏を厭い野雉を愛す●家鶏野鶩●遠くの坊さん有難い●所の氏神有り難からず●耳を尊び目を卑しむ●隣の芝生は青く見える 出典:「俚諺集覧」 ★後に「近きは糞の香」と続けて用いることもある。
・遠きを知りて近きを知らず
(とおきをしりてちかきをしらず) 自分から見て遠いことは分かるが、近いことは分からない。他人のことは良く分かるのに、自分のことは案外分かっていないものであるということ。 類:●近くて見えぬは睫(まつげ)●灯台下暗し 故事:淮南子−説山訓」 中国春秋時代、越(えつ)の大臣文種(ぶんしょう)は、王の勾践(こうせん)を助けて強国にしたが、讒言(ざんげん)によって死んだ。周(しゅう)の重臣萇弘(ちょうこう)も良い政治を行ないながら、腸(はらわた)を裂かれて死んだ。いずれも、遠大なこと「国家の将来」は知り得たが、近くのこと「自分の身の危険」は知ることができなかった。
・遠くて近きは男女の仲
(とおくてちかきはだんじょのなか)[=男女の間] 男女関係というものは、少しも縁がなさそうなほど懸け離れていても、意外とひょんなきっかけで結ばれてしまうものだということ。 類:●縁は異なもの味なもの 出典:「能因本枕草子−一七一」「遠くてちかき物、ごくらく舟の道、男女の中」
・遠くの火事背中の灸
(とおくのかじせなかのきゅう) 自分に関係のない大事よりも、実際に降り掛かってくる些細な難儀の方が辛く感じる。
遠くの親類より近くの他人
(とおくのしんるいよりちかくのたにん)
・遠くの鳥には美しい羽根がある
(とおくのとりにはうつくしいはねがある) 遠くのものは良く思われ、逆に身近にあるものは軽視してしまいがちであるということ。 類:●遠きは花の香近きは糞の香●遠くの坊さん有難い●夜目遠目笠の内●遠目山越し笠の内 反:■近きは糞の香 ★英語のFar fowls have fair feathers.の訳。
・十で神童、十五で才子、二十過ぎては只の人
(とおでしんどう、じゅうごでさいし、はたちすぎてはただのひと) 幼少の頃は非常に優れていると思われていた子も、たいていは成長すると凡庸な人になってしまうこと。 類:●苗にして秀でざる者あり、秀でて実らざる者あり●A person at five may be a fool at fifteen. 反:■栴檀は双葉より芳し
・遠巻き
(とおまき) 1.遠くの方から取り巻くこと。離れたところでぐるりと取り囲むこと。 類:●遠寄せ 例:「遠巻きにして見物する」 2.比喩的に、ものごとの核心に対して直接行動を仕掛けないで、自分自身を安全な場所に置くこと。 例:「外交問題から遠巻きにしている」
・通り一遍
(とおりいっぺん) 1.通り掛かりに立ち寄った客で、平素からの馴染みではない人のこと。 用例:洒・
広街一寸間遊「おなじみはかくべつ。<略>わたしどもはとふり一っへん」 2.事務的であったり、単なる義理としてしたりするだけで真心からの行いではないこと。上辺だけで誠意がないこと。 例:「通り一遍の挨拶をする」 用例の出典:広街一寸間遊(こうがいちょんのまあそび) 洒落本。江戸時代後期。献笑軒。・・・調査中。
・通りすがり
(とおりすがり) 偶々(たまたま)行き掛かって、そこを通るついで。 類:●道のついで●通り掛け 例:「通りすがりに立ち寄る」 
★「すがり」は動詞「すがう(次)」の連用形の名詞化「すがい」の変化<国語大辞典(小)>

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