【けん】~【けん】

−−−−−−−けん(あ)(#ken1)−−−−−−−
・犬猿の仲
(けんえんのなか) → 犬と猿

−−−−−−−けん(か)(#ken2)−−−−−−−
・狷介孤高
(けんかいここう) 《四熟》 自分の意志を固く守って、人々から離れ品格を高く保っていること。俗世に超然としていること。 
参考:狷介(けんかい) 心が狭く、自分の考えに固執し、人の考えを素直に聞こうとしないこと。
・狷介固陋
(けんかいころう) 《四熟》 新しいことを採り入れず、頑迷なまでに古いことに固執すること。また、人のことを受容せず、狭い視野に捉われている様子。 類:●頑迷固陋狷介孤高●狷介孤独●狷介不屈●孤独狷介●風岸孤峭
・喧嘩腰
(けんかごし) 今にも喧嘩を始めそうな強い態度。食って掛かるような態度。 例:「喧嘩腰で出迎える」
・喧嘩過ぎての棒乳切り
(けんかすぎてのぼうちぎり) 喧嘩が終わった後に棒切れを持ち出しても役に立たないということで、時機を逸して効果がないこと。 類:●泥棒を見て縄を綯う
・犬牙相制(けんがそうせい) 《四熟》 隣り合う二国の境を犬の牙が噛み合うように入り組ませて、お互いに牽制させること。 出典:「史記−孝文本紀」
・喧嘩に被る笠はなし
(けんかにかぶるかさはなし) 喧嘩はいつ身に降り掛かってくるか分からないものだから、それを防ぐ方法はない。
・喧嘩の側杖(けんかのそばづえ) 喧嘩を傍(そば)で見ていて、その打ち合う杖に当たること。転じて、自分に関係のない他人の間の紛争に巻き込まれ、とばっちりを受けること。 類:●とばっちり側杖を食う
・懸河の弁
(けんがのべん)[=雄弁(ゆうべん) 早瀬のように勢いが良く、すらすらと淀みのない弁舌。 類:●快弁●立て板に水●立て板に豆 
反:■横板に雨垂れ 出典:「晋書−郭象伝」 
・喧嘩は降り物(けんかはふりもの) 喧嘩は、雨や雪のように、いつ身に降り掛かってくるか分からない。 類:●
喧嘩に被る笠はなし
・喧嘩早い
(けんかばやい)・喧嘩っ早い 何かに付けて、すぐ喧嘩するという意味で、常に争い事を起こす、気短で乱暴な性格の者。
・剣が峰(けんがみね) 1.火山の噴火口の周辺。主として富士山頂のものを指す。2.相撲で、土俵の円周を形作る俵の表面。3.少しの余裕もない、絶体絶命の状態。 例:「剣が峰に立たされる」 類:●絶体絶命
・喧嘩両成敗
(けんかりょうせいばい) 1.中世、近世において、喧嘩をした者は、理非に関わらず、両方とも同じように処罰すること。 
★喧嘩両成敗法は、文安2年(1445)の藤原伊勢守のものが、最初という<国語大辞典(小)> 2.喧嘩や争いを、どちらの主張をも認めない形で落着させること。
・喧嘩を売る
(けんかをうる) 1.喧嘩を仕掛ける。2.自分に仕掛けられた喧嘩を他人に擦(なす)り付けて逃げる。
・喧嘩を買う
(けんかをかう) 1.仕掛けられた喧嘩の相手をする。2.他人の喧嘩に関係して、それを引き受ける。好んで喧嘩の相手になる。
・玄関を張る
(げんかんをはる) 玄関の構えだけを立派にすることから転じて、外観を飾ること。見栄を張ること。 類:●態度を構える
・牽牛花
(けんぎゅうか・けんごか) 朝顔の花。 
故事:大事な牛を牽(ひ)いていって薬草である朝顔に替えた。
・献芹之意(けんきんのい) 《四熟》 つまらない野草を奉(たてまつ)ろうという気持ち。転じて、人に物を贈るときの謙遜の言葉。また、目上の人に対し、自分の意見を言うことの謙遜語。 類:●野人芹を献ず●寸志●粗品 出典①:「列子−楊子」「以君、《略》戎菽・甘[台/木]茎・萍子者、対郷豪称之」 出典②:「呂氏春秋」「野人美、願之至尊」
・牽強付会
(けんきょうふかい) 《四熟》 道理に合わないことを、自分に都合が良いように無理にこじつける。
・現金(げんきん) 1.現にその場にある手持ちの金銭。有り金(がね)。 類:●現生(げんなま)●現銭●現銀 2.通用の貨幣。 例:「現金で支払う」 
★証書、手形、債権または目録などに対していう<国語大辞典(小)> 3.金銭をその場で受け渡しすること。また、その金銭。即座に受け渡しのできる金銭。4.目先の利害によって、その態度や主張などをがらっと変えること。また、その様子。 類:●現銀 用例:歌謡・松の葉−四「こは現金なる御慇懃」 例:「現金なやつだぜ、まったく」 5.簿記で、通貨・小切手・送金為替手形・預金手形・郵便為替証書・振替貯金払出証書・公社債利札などの総称。 用例の出典:松の葉(まつのは) 歌謡集。5巻。秀松軒編。元禄16年(1703)刊。主として江戸初期から元禄までの三味線声曲の歌詞を三味線組歌・長歌・端歌・吾妻浄瑠璃・古今百首投節に分類して各巻に収めたもの。
・言近旨遠
(げんきんしえん) 《四熟》 善言というものは、卑近でありながら内容が高遠な理を含んでいるものであるということ。易しい表現で深い意味や趣旨を伝えること。 出典:「孟子−盡心・下」「言近而指遠者、善言也」<「言(げん)近くして指(むね)遠き者は善言なり」と読み下す> ★「指」は「旨」で、内容の意味。
・堅苦卓絶
(けんくたくぜつ) 《四熟》 苦しみに耐え抜く根性がずば抜けている。その人が、抜きん出た忍耐力を持ち合わせていること。 類:●堅忍不抜●堅忍持久●志操堅固●鉄心石腸
・舷舷相摩す
(げんげんあいます) 船と船とが互いに舷側を擦り合わせるほど接する。激しい船と船との戦いの様子を表わす。
・喧喧諤諤
(けんけんがくがく) 《四熟》 様々な意見が出て、口喧しい様子。 例:「喧喧諤諤として結論を得ない」 
★「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」と「侃侃諤諤(かんかんがくがく)」との混交語<国語大辞典(小)>
・喧喧囂囂
(けんけんごうごう) 《四熟》 喧(やかま)しく騒がしい様子の形容。多くの人が口喧しく騒ぎ立てている様子。
・言言句句(げんげんくく) 《四熟》 一言一句、言葉の端々に至るまで、という意味に用いる。
・言言肺腑を衝く(げんげんはいふをつく) 一語一語に熱意が篭もっていて、聞く人の心の中に染み込んでいく。
・蹇蹇匪躬(けんけんひきゅう) 《四熟》 自分の身を顧(かえり)みないで君主に忠節を尽くすこと。
・拳拳服膺
(けんけんふくよう) 《四熟》 心の中に銘記して常に忘れないこと。 類:●肝に銘ず
・涓涓塞がざれば終に江河となる(けんけんふさがればついにこうがとなる) 「江河」は、揚子江と黄河のことで、大河の意味。小さな流れも小さい間に堰き止めなければ、ついには大河となる。 出典:
中庸(ちゅうよう) 中国の経書。四書の一つ。1巻。子思撰と伝える。「礼記」から中庸篇を独立させたもの。天人合一の真理、中庸とその具体的な運用である誠を説き、先行の儒学説を総合整理して体系化し形而上学的根拠を明白にしている。後世、朱子編の「中庸章句」が多く世に行われた。
・言行一致
(げんこういっち) 《四熟》 言う事と行ないが一致しているという意味で、言った言葉に責任を持って必ず実行すること。 反:■言行不一致
・言行枢機(げんこうすうき) 《四熟》 言葉と行為は、人として最も重んずべきものである。 類:●言行は君子の枢機なり 出典:「易経−繋辞・上」「言行君子之枢機、枢機之発、栄辱之主」 ★「枢」は、戸の開閉に必要なもの。「機」は、弩(いしゆみ)の引き金のこと。
・言語に絶する
(げんごにぜっする・ごんごに〜) 程度が甚だしくて言葉で言い表せない。 類:●空前絶後
・乾坤一擲
(けんこんいってき) 《四熟》 サイコロを投げて、天が出るか地が出るかを賭けること。運命を賭けるような大仕事や大勝負をすること。 類:●一擲乾坤を賭す 出典:韓愈の詩「鴻溝を過ぐ」

−−−−−−−けん(さ)(#ken3)−−−−−−−
・源氏名
(げんじな) 1.源氏物語」五四帖の題名に基づいて、宮中の女官に賜(たま)わった称号。のち、大名や高家の奥女中にもこの風習が伝わった。 ★早蕨(さわらび)典侍、榊(さかき)命婦など。 2.江戸時代、遊女が本名のほかに付けた呼び名。当初は「源氏物語」の巻名に基づいていたが、段々関係のない名称にも言うようになった。3.現代では、遊女だけでなく、バーやキャバクラのホステスの呼び名なども指す。「源氏物語」の巻名に拘(こだわ)らずに付ける。
・懸車之年
(けんしゃのとし) 《四熟》 年老いて官職を辞すること。七十歳の別称。昔は七十歳になると官職を辞すのが常であった。 類:●致仕之年 出典:「白虎通義−致仕」「臣七十懸車致仕者、臣以執事趨走為職、七十陽道極」 故事:漢書−薛広徳伝」 中国、前漢の薛広徳(せつこうとく)が官を辞した時、天子から賜(たま)わった車を高く懸け、子孫に伝えた。 出典:「白虎通義−致仕」「臣七十懸車致仕者、臣以執事趨走為職、七十陽道極」 出典:白虎通義(びゃっこつうぎ) 五経の解釈書。班固(はんこ)撰。4巻。後漢の章帝の建初4年(西暦79)に学者を北宮の「白虎観」に集め、経書の文字や解釈の異同について論議させ纏めた「白虎通徳論」を、班固に整理させたもの。古義や旧聞を爵・号・喪服等の44編に分けた。『白虎通』とも。
・賢者は中道を取る
(けんじゃはちゅうどうをとる) 教養のある賢い人は、偏(かたよ)らない中正な道を歩むもので、過激な行動はしないものである。
・賢者は長い耳と短い舌を持つ
(けんじゃはながいみみとみじかいしたをもつ) 賢(かしこ)い人は、他人の言うことをよく聞いて、言わなくても良いようなことは言わないものである。 類:●賢者は九聞いて一喋る 出典:西洋の諺
・賢者饑し伊達寒し
(けんじゃひだるしだてさむし) 賢者は俗人と妥協しないから常に貧乏がちであり、伊達者は見栄(みえ)を張って薄着しているから寒い思いをする。世間並みのことをしないと辛(つら)い思いをするという喩え。痩せ我慢や見栄を張るのはほどほどが良いということ。 類:●遠慮饑し伊達寒し
・堅守自盗
(けんしゅじとう) 《四熟》 見張り番がその立場を利用して盗みを働くこと。公金などを横領(おうりょう)着服(ちゃくふく)することの喩え。
・謙譲の美徳
(けんじょうのびとく) 人を先に立てて自分は出しゃばらないという美しい行為。また、それを善しとする精神。 ★中国から伝わって日本に定着した、儒教(じゅきょう)的美意識による。現在の中国には見当たらない。
・原心定罪
(げんしんていざい) 《四熟》 人を処断するときは、本人の動機や心理を良く究明し、それに基づいて罪刑を決定するということ。 ★「心を原(たず)ねて罪を定む」と読み下す。中国・春秋時代の断罪の法。 出典:「漢書−薛宣朱博伝」「春秋之義、原心定罪」
・源清流清
(げんせいりゅうせい) 《四 川の流れは、水の源が清らかに澄んでいると流れも自から清烈である。 1.為政者が正しければ民も正しくなることの喩え。 出典:「筍子−君道」「官人守数、君子養原。原清流清、原濁則流濁」 ★源清ければ流れ清しと読み下す。 2.根本が正しいと結果もよいということ。
・堅石白馬
(けんせきはくば) → 
堅白同異

−−−−−−−けん(た)(#ken4)−−−−−−−
・言近くして意遠し
(げんちかくしていとおし)[=指(むね)遠し] 言葉は卑近であるが、意味は深遠である。 出典:「孟子−尽心・下」
・剣突
(けんつく) 荒々しく叱(しか)り付けること。語気強く人に当たること。怒鳴(どな)ること。 用例:評判・嗚久者評判記「高島や丈へのけんつくなどは又一つ興でござり升た」
・剣突を食わす
(けんつくをくわす)[=食わせる] 頭ごなしに叱(しか)る。また、荒々しく、或いは、とげとげしく拒否する。 類:●けんのみを食わす
・堅貞不屈(けんていふくつ) 《四熟》 女性が、貞節を堅く守って屈服しないこと。節操が堅く、誘惑や脅しに屈しない女性の喩え。
涓滴岩を穿つ
(けんてきいわをうがつ)
・見当違い
(けんとうちがい) 目指す方向を間違えること。推測や判断を誤ること。 類:●見込み違い 例:「見当違いな返事」
・捲土重来
(けんどちょうらい・けんどじゅうらい) 《四熟》 「捲土」は土煙を巻き上げることで、勢いが物凄い様子。一度失敗した者が、再び勢力を盛り返して来ること。一度負けた者が勢力を盛り返して攻め寄せること。 
★「ちょう」は「重(じゅう)」の漢音<国語大辞典(小)> 出典・人物:杜牧(とぼく) 中国晩唐の詩人。803〜852。字は牧之(ぼくし)。号は樊川(はんせん)。杜佑の孫。感傷と頽廃の色濃い詩風で、絶句に勝(すぐ)れ、杜甫の老杜に対し小杜と呼ばれる。「樊川集」がある。
・犬兎の争い(けんとのあらそい) 当事者以外の人に付け込まれて、利益を横取りされてしまうような二者の争いのこと。無益な争いの喩え。 類:●田父の功●漁夫の利鷸蚌の争い 出典:「戦国策−斉策」「犬兎倶罷、各死其処。田父見之、無労ケン[巻+力]之苦而擅其功」 ★俊足の犬がはしっこい兎を追い続けたが、やがてどちらも力尽きて倒れてしまった。通りかかった農夫が、労することなく獲物を手に入れることができた。

−−−−−−−けん(な)(#ken5)−−−−−−−
・験直し
(げんなおし) 縁起直し。 例:「験直しに一杯やる」 ★「げん」は、「縁起」の倒語「ぎえん」の短縮から、らしい。江戸時代の流行語だった。
・権に借る(けんにかる)[=冠(かぶ)る] 権威を頼む。権力を笠に着る。 類:●虎の威を借る狐 用例:日葡辞書「ケンヲカッテモノヲユウ」
・権に募る
(けんにつのる) 権威を頼んで増長する。権力を笠に着て図に乗る。 類:●図に乗る
・堅忍不抜
(けんにんふばつ) 《四熟》 堅く堪えて心がぐらつかないこと。 類:●堅苦卓絶
・剣呑(けんのん)[=険難] 危険な感じである。また、不安を覚える状況である。 用例:滑・八笑人「化の皮があらはれんと、しきりにけんのんに思ひ」 ★「けんなん(険難)」の変化という。「剣呑」は当て字<国語大辞典(小)> ★古風な言い方<学研国語大辞典> ★「険難」は、刃物で殺傷される災難の意味。

−−−−−−−けん(は)(#ken6)−−−−−−−
・剣は一人の敵、学ぶに足らず(けんはいちにんのてき、まなぶにたらず) 剣術は一人を相手にする技能であるから、殊更に学ぶほどの価値はない。天下に望みを抱く者は、万人を相手とする兵法を学ぶべきであるということ。 出典:「史記−項羽本紀」「書足以記名姓而已、剣一人敵、不足学・・・項羽の言葉。
・堅白同異
(けんぱくどうい) 《四熟》 1.中国、戦国時代に、
公孫竜が説いた一種の詭弁。 参考:例えば「堅く白い石は二であって一ではない。なぜなら、目で見たときは白いことは分かるが堅いことは分からない。手で触れたときは堅いことが分かるだけで色のことは分からない。ゆえに堅と白とは二であって、同一のものではない」と説く類。 類:●堅石白馬 2.詭弁を弄(もてあそ)ぶ議論。 類:●白を黒と言いくるめる 出典:「荀子−修身篇」 参照:「公孫竜子−堅白論」 人物:公孫竜(こうそんりゅう) 中国、戦国時代趙の思想家。字は子秉(しへい)。生没年不詳(前320−前250頃)。平原君(へいげんくん)の食客。堅白同異や白馬は馬に非ずなどの弁によって知られる。著に、観念論的な論理学の書「公孫竜子」がある。
・賢は愚にかえる(けんはぐにかえる) 賢者も、時として、愚か者のように装う。
・犬馬の心
(けんばのこころ) 犬馬が主に仕えるように、臣下の者が、主君のために忠義を尽くし、その恩に報いようとする心。 類:●狗馬之心 出典:「史記−三王世家」
・犬馬の年
(けんばのとし)[=齢(よわい) 犬や馬が無駄に年を取るように、なすこともなく徒(いたずら)に年齢を重ねるということで、自分の年齢を遜(へりくだ)っていう言葉。 類:●馬歯●馬齢●馬齢(ばれい)を重ねる 出典・人物:
曹植(そうしょく・そうち) 中国、三国時代の魏の詩人。192〜232。字は子建。魏の武帝曹操の子。文帝曹丕の弟。陳王に封ぜられ陳思王ともいう。筆をとればたちどころに文章ができたという「七歩詩」の故事は著名。魚山(ぎょざん)の地で、空中に聞いた梵天の音律を模して梵唄(ぼんばい)=声明(しょうみょう)を作ったと伝えられる。詩文集に「曹子建集」がある。七歩の才
・犬馬の養い
(けんばのやしない) 父母を養うのに、ただ衣食を与えるだけで、敬う気持ちがないこと。 出典:「論語−為政」「今之孝者、是謂能養、至犬馬能有養、不敬何以別乎」
・犬馬の労
(けんばのろう) 犬や馬程度の働きの意味で、主君または他人のために力を尽くすこと。謙遜の言葉。 用例:読・弓張月−続「臣等柱石の才なしといへども、犬馬(ケンバ)の労(ロウ)を竭(つく)し候ひなん」 出典:「三国志演義−第三十八回」
・源平藤橘
(げんぺいとうきつ) 《四熟》 奈良時代以来その一門が繁栄して名高かった、源氏・平氏・藤原氏・橘氏の四氏を纏めて言ったもの。 ★鎌倉時代初期に平基親が著した「官職秘抄」に、「外記史に四姓の人を任ぜず」とあり、平安時代には源平藤橘の四氏が高貴な氏とされていたことが判る。 ★日本の名家の先祖は多くこの氏から分かれたという考えが一般だった<学研国語大辞典(学)>
・権謀術数
(けんぼうじゅっすう) 《四熟》 相手を巧みに欺(あざむ)く謀(はかりごと)。種々の計略を巡らすこと。 類:●権謀術策(じゅっさく) 出典:「宋史

−−−−−−−けん(ま)(#ken7)−−−−−−−
・剣幕
(けんまく) 怒った凄まじい顔付きや振舞い。激しい態度。 類:●険相●見脈(けんみゃく) 用例:滑・八笑人−二「イヤハヤすさまじいけんまくだぞ」 
★もと、「険悪(けんあく)」の連声か<国語大辞典(小)>
・肩摩轂撃
(けんまこくげき) 《四熟》 人の肩と肩とが擦(こす)れ合い、車の轂(こしき)同士が撃ち合うということで、人や車の行き来が激しい様子。道が混雑すること。 類
:●轂撃肩摩 出典:「戦国策
・拳万
(げんまん) 約束を違(たが)えたら拳(こぶし)で万回殴るぞ、ということ。偽(いつわ)らないことを、小指を絡(から)み合わせて唱える誓言。多く、子どもの間で言われる。 類:●指切り 例:「指切り拳万嘘吐(つ)いたら針千本飲ます」 ★「拳万」は、拳骨(グー)で一万回殴るという意味。
・けんもほろろ 
「けん」も「ほろろ」も雉(きじ)の声。無愛想に人の頼みや相談事を拒絶して、取りつく島もない状態。突っ慳貪(けんどん)な様子。 類:●つっけんどん 例:「けんもほろろな返答」 用例:
天草本伊曾保「ケンモホロロニイイハナイテ」 ★「けん」は「けんつく」「けんどん」などの「けん」と掛けたもの<国語大辞典(小)> 用例の出典:天草本伊曾保物語(あまくさぼんいそほものがたり) イソップ物語のポルトガル語からの訳本。70話。宣教師ハビアン訳。文禄2年(1593)刊。Esopo no Fabulas”と題して、天草のキリシタン学寮から、ローマ字綴りの口語訳で出版。 参考:天草本(あまくさぼん) 近世初期、イエズス会によって、天正一八年から慶長一九年の間に天草島で出版された活字本。「天草版」「キリシタン版」とも。「どちりなきりしたん」「平家物語」「伊曾保物語」などがある。 参考:イソップ物語(いそっぷものがたり) イソップの作と伝えられる動物寓話集。紀元前3世紀頃の成立。はじめにイソップの伝記があるが、後世の付加が多く、原作がどういうものかは全く不明。 人物:イソップ(いそっぷ) ギリシアアイソポスの英語名。「イソップ物語」の作者とされる人物。紀元前6世紀頃のギリシアのサモス王の奴隷で、寓話を巧みに話して解放されたと伝えられる。
・見聞覚知
(けんもんかくち) 《四熟・仏経用語 見ることと聞くことと覚ることと知ること。見は眼識、聞は耳識、覚は鼻舌身の三識、知は意識を指し、それぞれの働きをいう。 類:●六識

−−−−−−−けん(ら)(#ken9)−−−−−−−
・見利忘義(けんりぼうぎ) 《四熟》 利欲に目が眩(くら)んで道義を忘れること。私欲ばかり追求して、他人を思い遣る心が全くないこと。 類:●利を見て義を忘れる私利私欲 出典:「漢書−樊[麗+オオザト]滕灌傅[革+斤]周傳」「夫賣友者、謂見利而忘義也」
・黔驢の技
(けんろのわざ) 1.技量や腕前を人に示そうとして、却(かえ)ってその拙(つたな)さを現わすこと。また、たいしたことはない技量を大威張りでひけらかすこと。 類:●化けの皮が剥がれる 2.見掛け倒しの意気地なしのこと。 故事:柳宗元「三戒−黔之驢」「、《略》向不出其、虎雖猛、疑畏率不敢取」 昔、黔州(けんしゅう=貴州省)には驢馬(ろば)がいなかった。そこへある人が驢馬を引いていったところ、虎がその身体の大きさを見て、驚き恐れた。試しにぶつかってみると驢馬が虎を蹴ったので、驢馬には蹴る以外に能がないのだと分かり、ついには驢馬を食い殺してしまった。

−−−−−−−けん(を)(#kenwo)−−−−−−−
・剣を売り牛を買う(けんをうりうしをかう) 武芸に携わるのを辞めて農業をする。 類:●帰農する 出典:「漢書−循吏伝」「民有帯持刀剣者、使売剣買牛、売刀買犢」
・暄を負う(けんをおう) 日向に出て日光にあたる。また、その楽しみを言い、特に、貧しい者が、貧しさの内に楽しみを見出すこと。 出典:「列子−楊朱」
・剣を落として舟を刻む
(けんをおとしてふねをきざむ) ものごとに拘(こだわ)るあまり、事態の変化に応ずる力がないこと。 
故事:呂氏春秋−察今」 楚の国の人が舟中から水中に剣を落とし、慌てて舷を刻んで印を付け、その印の下ばかりを探したという。 類:●舟に刻して剣を求む
・験を担ぐ(げんをかつぐ) 縁起(えんぎ)を気にする。迷信やジンクスを気に掛ける。 類:●縁起を担ぐ御幣を担ぐ ★「げん」は、「縁起」の倒語「ぎえん」の短縮から、らしい。江戸時代の流行語だった。
・賢を賢として色に易えよ
(けんをけんとしていろにかえよ) 賢者を賢者として慕うときは、人が美人を好むようにせよということ。一説に、賢人を尊重するならば、顔色を変えるほどであれとも。 出典:「論語−学而」「賢賢易色
・堅を被り鋭を執る
(けんをこうむりえいをとる) 甲冑を身に付け、鋭い武器を手にする。 類:●武装する
・言を左右にする
(げんをさゆうにする)[=託(たく)する] あれこれ託(かこつけ)けて、はっきりしたことを言わない。 類:●左右に託す
・剣を弾ず
(けんをだんず) 不遇を、何かにことよせて嘆く。不遇を託(かこ)つ。 
故事:戦国策−斉策」「史記孟嘗君伝」 中国の戦国時代、斉の頃、孟嘗君の食客馮煖(ふうかん)が待遇の不平を訴えて爪で剣を弾きながら歌った。
・言を食む
(げんをはむ) 前言を翻(ひるがえ)す。約束に背(そむ)く。嘘を吐く。 類:●食言する
・言を俟たない
(げんをまたない) 分かり切ったことだから、改めて言及するまでもない。
・乾を旋らし坤を転ず
(けんをめぐらしこんをてんず) 天地を回転させるという意味で、国家の大勢を一新すること。
・妍を競う
(けんをきそう) 「妍」は、優美なこと。美しさを争うというという意味から、綺麗な花などが咲き乱れている様子、または、美人が何人も集まって美しさを競い合っているように見える様子。 用例:人情・恩愛二葉草−二「紅白妍(ケン)を諍ひ」


次ページ