【しよ】~【しよ】
・背負い込む(しょいこむ・せおいこむ) 1.たくさんの荷物を背負う。 例:「重い荷物を背負い込んで行商に出掛ける」 2.転じて、自分の手に余ることや、迷惑なことを不本意に引き受ける。また、押し付けられる。 用例:滑・浮世床−二「馴染(なじみ)が重なって背負込(ショヒコ)んだのが、今の女房さ」 3.自分の能力以上の負債(ふさい)などの責務を負う。また、負わされる。 例:「相続税が払えず、多額の借金を背負い込んでしまった」 4.病気を移(うつ)される。 例:「どっかで風邪を背負い込んでしまったらしい」
・背負い投げを食う(しょいなげをくう) いよいよ事が成就しそうになったとき、相手に約束を破られ、または見込みが外れてしまい、酷(ひど)い目に遭う。意外な人に、意外な時に、期待を裏切られる。
−−−−−−−しよう(あ)(#siyou1)−−−−−−−
・傷痍未だ癒えず(しょういいまだいえず) 傷跡が残っていて、まだ完治していないということで、失敗や精神的打撃など、心の痛みからまだ立ち直っていない。
・上意下達(じょういかたつ) 《四熟》上の者や上層部の意志や命令が、下の者に伝わること。 類:●上命下達 反:■下意上達
・情意投合(じょういとうごう) 《四熟》 感情や意思がぴったり一致するという意味で、互いに、思う事や考えている事が通じ合い、親しい間柄になること。また、男女が、互いに心が通じて関係を結ぶこと。 類:●意気投合●意気相投ず
・上医は国を医す(じょういはくにをいす・いやす) 最も優れた医者は、戦乱や弊風などの国の疾病を治(なお)すものである。個人の病気を治すのは、普通の医者であるということ。
・小異を捨てて大同に付く(しょういをすててだいどうにつく)[=を取る] 1.意見の細かな食い違いはあっても、大筋が一致しているところを以って協調する。 類:●小を捨てて大に就く 2.大勢が支持する意見に従う。
・硝煙弾雨(しょうえんだんう) 《四熟》 火薬の煙が立ち込め、弾丸が雨のように降ること。激しく銃砲を撃ち合う戦場の光景。 類:●砲煙弾雨
−−−−−−−しよう(か)(#siyou2)−−−−−−−
・生涯を失う(しょうがいをうしなう) 1.命をなくす。死ぬこと。2.上級権力者に譴責(けんせき)されて所領などを奪われ、生活の術(すべ)をなくす。3.死罪に処せられる。
・情が移る(じょうがうつる) 相手に愛情を寄せるようになる。相手に親しみを持つようになる。 例:「犬も3日飼えば情が移る」
・城郭を設けず(じょうかくをもうけず) 城の周りに囲(かこ)いを作らない。差別をしない、或いは、互いに心を結び合わせて、相手に隔てを置かないこと。
・情が強い(じょうがこわい) 1.強情(ごうじょう)である。他人の意志や感情に動かされない。2.情欲が強い。
・城下の盟(じょうかのめい・ちかい) 敵の居城の直(す)ぐ下まで攻め寄せて、講和の盟約に応じさせること。また、その盟約。戦勝側には最大の名誉とされ、敗戦側には最大の屈辱とされる。 出典:「春秋左氏伝−桓公十二年」「楚人坐其北門、而覆諸山下、大敗之、為城下之盟而帰」
・松菊なお存す(しょうきくなおそんす) 隠棲(いんせい)する住居の庭は荒れても、昔ながらの松と菊とはまだ残っているという意味。転じて、隠遁生活を送ってはいるが、昔の知己が居るということ。また、世の中は乱れていても、節操の高い志士は居るものだということ。 出典:陶潜「帰去来辞」「三径就荒、松菊猶存」
・将棋倒し(しょうぎだおし) 1.将棋の駒やドミノなどを少しずつ間隔をおいて並べ、一端を軽く押し倒して、次々と端まで倒す遊び。2.次々と倒れることや折り重なって倒れること。また、一端の崩れが全体に及ぶこと。 例:「突風で自転車が将棋倒しになる」
・常軌を逸する(じょうきをいっする) 世間並みでない言動をする。常識外れな事をする。
・上戸(じょうご) 1.酒を好む人。また、酒好きでたくさん飲める人。 類:●酒飲み 反:■下戸(げこ) 2.接尾語的に用いて、酒を飲んだ時に出る癖の状態を指す。「笑い上戸」「泣き上戸」など。 ★昔、民戸を構成人数の多少によって「上戸」「下戸」と分けていたが、婚礼の際に出される酒瓶の数がそれに伴なった(上戸は8瓶、下戸は2瓶)ので、飲酒量の多少にも用いるようになったという。語源は大宝律令(大宝元年701)にまで遡(さかのぼ)る。
・葉公竜を好む(しょうこうりゅうをこのむ) 名(めい)を好んで実(じつ)を好まないこと。また、口先では好きだと言いながら、実際には恐れていることの喩え。見せ掛けだけの愛好。 類:●叶公好龍 故事:「新序−雑事・五」 中国、楚(そ)の重臣沈諸梁(しんしょりょう)=葉公(子高)はとても竜が好きだった。帯の留め金や酒器はもとより、家の中の至る所に竜の模様を描いていた。天の竜がこれを聞き付け下界に降りてきた。葉公はこれを見て顔の色が五色に変わったという。つまり、葉公は竜に似たものが好きだったわけで、決して竜が好きだったのではなかった。 出典:新序(しんじょ) 儒書・逸話集。劉向(りゅうきょう)撰・訳注。10巻。春秋時代より漢初に至る事跡、逸話を集録したもので、人心の教化に役立てようと企画したもの。
・城狐社鼠(じょうこしゃそ) 《四熟》 都城に住む狐と社に住む鼠のこと。これらを除こうとするのには、その城や社を壊さなければならないので、手を下し難い。主君の周りにいる、除き難い奸臣(かんしん)の喩え。 類:●鼠を投(う)たんと欲して器を恐る 出典:「説苑−善説」・「晋書−謝鯤伝」
・証拠立てる(しょうこだてる) 証拠を示す。証明する。
・性懲り(しょうこり) 心の底から懲りること。ほんとうに懲りること。しごり。 用例:浄・曾我五人兄弟−兵者揃へ「性懲りもなき大悪人」 用例の出典:曾我五人兄弟(そがごにんきょうだい) 元禄12年(1699)。近松門左衛門。曽我物。各段に十郎と虎、二の宮の姉、五郎と少将、禅師坊、京の小次郎の5人兄弟を配し、さまざまな趣向こらす<近松門左衛門でござーい!>
・性懲りもなく(しょうこりもなく) 少しも懲りないで。懲りもしないで。 例:「性懲りもなく挑戦する」
−−−−−−−しよう(さ)1(#siyou3)−−−−−−−
・常山の蛇勢(じょうざんのだせい)[=蛇(へび)] 1.先陣と後陣、左翼と右翼などが相互に連絡し、攻撃にも防御にも助け合う陣法。2.ものごとが首尾一貫していること。特に、文章の前後が緊密に照応し、首尾が一貫していること。 故事:「孫子−九地篇」 常山に住む率然という両頭の蛇は、首を打たれれば尾が助け、尾を打たれれば首が助け、胴を打たれれば、首・尾が共に助けたという。
・正直一遍(しょうじきいっぺん) 《四熟》 正直だけが取り柄(え)で、特別な才能や働きがないこと。ただ正直なだけで、臨機応変の才能がないこと。 類:●阿呆律儀●馬鹿正直
・正直の頭に神宿る(しょうじきのこうべにかみやどる)
・正直は一生の宝(しょうじきはいっしょうのたから) 正直にしていると他人から信用を受け、結局自分が幸せになれる。人間の真の幸福は正直によって齎(もたら)されるもので、正直は一生を通じて大切に守るべき宝である。 類:●正直は最良の策●正直の頭に神宿る●He is wise that honest. 反:■正直者が馬鹿を見る■横着栄耀(おうちゃくえいよう)
・正直者は馬鹿を見る(しょうじきものはばかをみる) 正直にばかり生きていると、いつも他人に出し抜かれてしまう。こつこつ働いても報(むく)われない。たまには嘘や方便を使っても良い。
・生死長夜(しょうじじょうや) 《四熟・仏教用語》 前世の業(ごう)の深さによって生き死にを繰り返す迷いの世界を、長い夜の夢に喩えた言葉。 類:●無明長夜●無明の闇●生死の闇
・笑止千万(しょうしせんばん) 《四熟》 1.いかにも気の毒なこと。 用例:仮・可笑記−三「御身をうつけの様にとりさた仕る。笑止千万」 2.非常に馬鹿馬鹿しく、笑うべきこと。 類:●傍ら痛い●片腹痛い●ちゃんちゃら可笑しい 用例:談・風流志道軒伝−四「徇虱には徇のしらみを尋るといふ、古人の詞に違ひなき、笑止千万なる国にぞ有ける」
・生死即涅槃(しょうじそくねはん) 仏教用語。無差別平等の道理を知る真実智から見れば、生滅を繰り返す人間の生を離れて涅槃なく、涅槃を離れた生滅というものも在り得ない。煩悩(ぼんのう)を持つ衆生(しゆじよう)の在り方と悟りを開いた仏の世界とは相い対立するものではなく、実は同一の世界なのだということ。現実肯定的な大乗仏教の立場を強調した語。
・生死の海(しょうじのうみ)[=苦海(くがい)・大海(たいかい)] 仏教用語。生死流転(るてん)の迷いの境界を海に喩えた言葉。 類:●生死海
・生死の到来(しょうじのとうらい) 死ぬべきときが来ること。
・生死の眠り(しょうじのねむり) 生死流転(るてん)の境界をそれと気付かない迷い。
・生死の闇(しょうじのやみ) → 生死長夜
・小事は大事(しょうじはだいじ) 大事も初めは小事から起こるので、些細なことも忽(ゆるが)せにしてはならない。 類:●小事を軽んずるなかれ●千里の堤も蟻の穴から●大船も小穴から沈む
・生死不定(しょうじふじょう) 《四熟・仏教用語》 人の生死は定め難く、人の寿命は年齢とは関わりなく、いつどのように尽きるか分からないということ。人生は儚(はかな)いということ。 類:●生死無常●老少不定
・生死無常(しょうじむじょう) 《四熟・仏教用語》 人の生死は無常であること。人生が儚いこと。 類:●生死不定 用例:末灯鈔「生死無常のことはり、詳しく如来の説き置かせおはしまして候ふうへは」 用例の出典:末灯鈔(まっとうしょう?)=親鸞聖人御消息(しんらんしょうにんごしょうそく) 消息集。従覚上人編。鎌倉時代。親鸞聖人の手紙22通を纏めたもの。消息集には他に、『御消息集』(6通・善性編)、『血脈文集』(5通・編者未詳)、『御消息集』(18通・編者未詳)などがある。
・盛者必衰(じょうしゃひっすい) 《四熟》 勢いが盛んな者でも、終(つい)には必ず衰えるということ。この世は無常であるということを示したもの。 用例:平家−一「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす」
・生者必滅(しょうじゃひつめつ) 《四熟・仏教用語》 生命あるものは必ず死ぬということ。人生の無常、世の中の儚(はかな)さを表わす言葉。 出典:「大般涅槃経」
・常住坐臥(じょうじゅうざが) 《四熟》 1.座っているときも寝ている時も、いつも。 類:●日常坐臥 2.特別なことがない、日常普通のとき。 類:●行住坐臥●常住不断●普段●平生 ★「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」の「行住」を「常住」と混同して用いられるようになった語<国語大辞典(小)>
・常常綺羅の晴れ着なし(じょうじょうきらのはれぎなし)[=常常良しの〜] いつも上等の美しい着物で着飾っているために、肝心なときに着る衣服がない。 用例:滑・浮世床−初「銭右衛門大きな面(つら)をして絹布(おかいこ)にくるまつてゐても常常綺羅の晴着なしだ」 参考:替え着なしの晴れ着なし
・掌上に運らす(しょうじょうにめぐらす) 手のひらに物を転がす。容易(たやす)く自分の思うようにすること。 出典:「孟子−公・上」「治天下可運之掌上」
・蕭牆の患(しょうしょうのうれい・うれえ) 蕭牆は囲いのこと。転じて、一家一族の身内の意味。一家一門などの内部に存在する揉(も)め事。 類:●蕭牆の災い●内輪揉め 出典:「韓非子−用人」
・霄壤の差(しょうじょうのさ)[=違い] 霄壤は、天と地のこと。天と地との隔たりのような大きな隔たりのこと。非常に大きな相違のこと。 類:●雲泥の差●月と鼈(すっぽん)
・蕭牆憂患(しょうしょうゆうかん) 《四熟》 家庭や組織などの内部に心配ごとがあること。
・生死流転(しょうじるてん) 《四熟・仏教用語》 煩悩を捨てきれず、解脱(げだつ)することもなく、生死を重ねて、絶えることなく、三界六道の迷界を果てもなく巡(めぐ)ること。 類:●流転輪廻
・生死を離る(しょうじをはなる)[=出(い)ず] 仏教用語。煩悩の迷いの境界を捨て、涅槃の悟りに達し、生死流転(るてん)を繰り返す苦界から脱する。悟りを開くこと。 類:●解脱(げだつ)する
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・小人間居して不善を為す(しょうじんかんきょしてふぜんをなす)・閑居して〜 徳のない品性の卑(いや)しい者は、独りひっそりと暮らしていると、兎角(とかく)良くないことをするものだ。 出典:「礼記−大学・伝六」「小人間居為不善、無所不至」 ★「間居」は、人に目立たずに独りでいること。
・小人窮すればここに濫す(しょうじんきゅうすればここにらんす) 品性が卑(いや)しく度量の狭い人は、窮乏すると自暴自棄になり、犯罪を犯す。 類:●窮すれば濫す 用例:「論語−衛霊公」「君子固窮、小人窮斯濫矣」
・焦心苦慮(しょうしんくりょ) 《四熟》 あれこれ思い悩み、心が焦ること。心配のため苛立つ様子。
・正真正銘(しょうしんしょうめい) 《四熟》 嘘や偽(いつわ)りがまったくないこと。間違いなくそうであること。 用例:滑・風来六部集−下「是ぞ正真(シャウジン)正銘の風来先生の作なり」 ★「正真」を強調した言葉。 ★「正銘」は、由緒正しい銘があるという意味で、まさにその名で呼ばれるものであるということ。 ★古くは「しょうじんしょうめい」<国語大辞典(小)>
・小人罪なし玉を懐いて罪あり(しょうじんつみなしたまをいだいてつみあり) 品性が卑しいからといって、初めから罪を犯すものではなく、ただ、身分不相応の財宝を持ったりするから罪を犯すようになるのである。 用例:「春秋左伝−桓公十年」「周諺有之、匹夫無罪、懐璧其罪」
・小人の過つや必ず文る(しょうじんのあやまつやかならずかざる) 品性が卑しく度量の狭い者は、過失を犯すと、その場を繕(つくろ)い飾ろうとするばかりで、以降の行ないを改めようとはしない。 用例:「論語−子張」「小人之過也必文」
・小人の勇(しょうじんのゆう) 小人物の、威勢を示すだけの勇気。思慮の浅い人の見せ掛けの勇気。血気に逸(はや)ってただ我武者羅なだけの勇気。 類:●匹夫の勇 出典:「荀子−梁恵王・下」
・小人は革面す(しょうじんはかくめんす)[=面(めん)を革(あらた)む] つまらない者は、一旦人前に出してしまった自分の意見を、後から引っ込めたり修正したりするのは、体裁や対面が悪いと考えるものであり、明らかに間違っていると気付いても、言い訳や詭弁を揮(ふる)って押し通そうとする。また、小人は、顔では改めたように見せても、心の中ではまったく改めない。 反:■君子は豹変する■大人は虎変する 出典:「易経−革卦」「君子豹変、小人革面」
・小心翼々(しょうしんよくよく) 《四熟》 1.小さなことにまで配慮して、慎(つつし)み深くする様子。 用例:学問ノススメ「小心翼翼謹(つつしみ)て守らざる可らず」 出典:「詩経−大雅・大明」「維此文王、小心翼翼」 2.(誤解から) 気が小さくてびくびくしている様子。
・小水石を穿つ(しょうすいいしをうがつ) 僅(わず)かの水でも流れて止(や)まなければ、終いは石を磨り減らして穴を開ける。怠らず励めば、どんな難事でも終には遣り遂げることができるということ。 類:●点滴石を穿つ●雨垂れ石を穿つ 出典:遺教教(ゆいきょうぎょう) 大乗仏教の経典。1巻。後秦の鳩摩羅什(くまらじゅう)訳と伝える。梵本およびチベット訳を欠く。釈尊が臨終に当たって、戒法を守り、早くさとりを開くべきことを説いた情景を描く経典。禅宗で、仏祖三経の一つとして尊重する。詳しくは「仏垂般涅槃略説教誡経(ぶっしはつねはんりゃくせつきょうかいきょう)」。
・小水の魚(しょうすいのうお) 僅(わず)かの水に棲む魚。転じて、死が目前に迫っていることの喩え。 類:●風前の燈 用例:平家−8「京中の上下の諸人、ただ小水の魚にことならず」
・上手片意地片辺土(じょうずかたいじかたへんど) 名人や達人と言われる人には、兎角(とかく)頑固で偏屈な人が多いものだということ。
・上手ごかし(じょうずごかし) 「ごかし」は「〜のような振りをする」という意味の接尾語。口では相手に諂(へつら)うようなことを言っているが、その実、内心では自分の利益を計算していること。 類:●おためごかし
・上手の手から水が漏れる(じょうずのてからみずがもれる) どんな上手な人でも、時には失敗することがあるということ。 類:●猿も木から落ちる●弘法にも筆の誤まり●釈迦にも経の読み違い●河童の川流れ
・上手者(じょうずもの) 如才(じょさい)ない人。また、お世辞が巧(うま)い人。 類:●世辞者
・上手の猫が爪を隠す(じょうずのねこがつめをかくす) 才能がある人は無闇にそれをひけらかしたりしない。 類:●上手の鷹が爪を隠す●能ある鷹は爪を隠す●能ある猫は爪を隠す●大賢は愚なるが如し
・上手を遣う(じょうずをつかう)[=言う] 巧いお世辞を言う。ご機嫌取りをする。 類:●太鼓を叩く
・将星隕つ(しょうせいおつ) 将軍が陣中で死ぬ。 類:●巨星落つ 出典:「三国志−蜀志・諸葛亮伝」 故事:諸葛亮が五丈原で戦病死した時、大きな星がその陣中に落ちたという。
・上善は水の若し(じょうぜんはみずのごとし) 最上の善は水のようなものである。老子の「道(タオ)」の思想を言い表わした言葉の一つ。 出典:「老子−八章」「上善若水。水善利萬物、而不争、処衆人之所悪、故幾於道」 参考:水が「上善」であるとする3つの理由 ①万物に利を施しているのに、他と功名を争わない。②人は他より高い地位を望むが、水は低い方へと向かう。③低いところにいるからこそ大きな存在となる。住居は大地が、心は奥深いことが、付き合いは情け深いのが、言葉は実があるのが、政治は巧く治まるのが、事を処すには有能なのが、行動するには時宜に適(かな)っているのが良い。 ★「上善」を上代・上古の善と解する見方もある。
・少壮幾時ぞ(しょうそういくときぞ) 人生は、若く勢いのよい時はきわめて短く、すぐに老衰の時が来るということ。 出典:前漢武帝の「秋風辞」 人物:前漢武帝(ぶてい) 中国前漢第7代の皇帝(在位前141〜前87年)。前159〜前87。廟号は世宗。匈奴を撃破し、張騫(ちょうけん)などを西域に遣わして東西交通の道を開いた。中央集権に力を入れ、儒学を国学とした。
・少壮気鋭(しょうそうきえい) 《四熟》 若くて意気込みが盛んなこと。将来が期待されること。また、そういう人。 類:●少壮有為●新進気鋭●前程万里●前途多望●前途有為●前途有望●前途洋々●有為多望
・消息筋(しょうそくすじ) 事情をよく知っている方面。また、その人。 類:●消息通
・消息通(しょうそくつう) ある方面の事情をよく知っていること。また、その人。 類:●事情通
−−−−−−−しよう(た)(#siyou4)−−−−−−−
・正体がない(しょうたいがない) 1.気を取り乱している。正気がない。正常じゃない。本来の姿を失っている。 用例:義経記−二「女は男に会へば、しゃうたいなき物なり」 2.あるべき状態になっていない。事が巧く運ばない。 類:●難渋する
・正体をなくす(しょうたいをなくす)[=失う] 正常な状態にある時の、しっかりした精神を失う。正気をなくす。 類:●前後不覚
・冗談から駒が出る(じょうだんからこまがでる) 「瓢箪から駒が出る」を捩(もじ)った言葉で、意外なところから考えてもいなかったことが起こること。また、冗談として言ったことが事実になること。
・冗談じゃない(じょうだんじゃない) 仮令(たとえ)冗談でもそんなことを言ってはいけない。とんでもない。 ★「ふざけたことを言ったりしたりしては困る、こちらは真面目なのだ」という意味で、相手の調子に乗った悪ふざけなどを、窘(たしな)める言葉。また、相手の言ったことが自分の意向に反した時に言う言葉。
・冗談は顔だけにしろ(じょうだんはかおだけにしろ)・面(つら)だけに〜 ふざけたような顔かたちは大目に見るとして、好い加減なことまで言うなということ。相手の言葉が自惚(うぬぼ)れや綺麗ごとだった場合に、それを否定して貶(けな)す場合に使う。
・上知と下愚は移らず(じょうちとかぐはうつらず)
・承知の助(しょうちのすけ) 承知していること、引き受けたということを人名に準(なぞら)えたもの。 例:「合点承知の助」
・笑中に刀あり(しょうちゅうにかたなあり)[=刃(やいば)を研(と)ぐ] 表面では物柔らかに笑ったりしているが、内心では密かに人を害しようと思っていることの喩え。 類:●笑みの中(うち)の刀[=剣] 故事:「旧唐書−姦臣伝・上・李義府」 唐の李義府が上辺(うわべ)は穏やかで、内心が陰険であったのを、時の人が謗(そし)った。
・掌中の珠(しょうちゅうのたま) 1.手の内にある珠玉のこと。転じて、大切なもの。大事なもの。2.最愛の子供や妻の喩え。 類:●愛子(まなご)●愛娘 出典:杜甫の詩・傅玄(ふげん)の詩「短歌行」
・上出来(じょうでき) 1.状態や結果が満足できるものである。 例:「お前にしては上出来だ」「上出来の作品」 2.才能などが優れていること。 例:「上出来の息子」
・常套手段(じょうとうしゅだん) 《四熟》 同じような場合にいつも決まって取られる手段。有り触れた遣り方。 類:●慣用手段
・焦頭爛額(しょうとうらんがく) 《四熟》 1.火災の予防策を献じた者を賞しないで、消火のため頭髪を焦がし額に火傷を負った者に賞を与える。根本を忘れて、瑣末(さまつ)なものだけを重視することの喩え。 出典:「漢書−霍光伝」「曲突徙薪無恩沢、焦頭爛額為上客耶」 参考:曲突徙薪 ★「頭を焦がし額を爛(ただ)らかす」と訓読する。 2.処理に梃子摺り、切羽詰まってから苦労すること。3.身の危険を顧(かえり)みないで消火に当たること。転じて、自ら事変の渦中に身を投じて奔走すること。
・生得の報い(しょうとくのむくい) 現世に生まれる前の世界の業(ごう)によって、この世で受ける果報。 類:●因果応報
・焦土に帰す(しょうどにきす)[=と化す] 建物などが焼けて跡形もなくなる。
−−−−−−−しよう(な)(#siyou5)−−−−−−−
・性に合う(しょうにあう) ものごとがその人の生来の性質または感覚、能力などにしっくり合う。また、その人の好みに合う。 例:「やもめ暮らしが性に合っている」
・情に厚い(じょうにあつい) 相手を思いやる心が豊かである。
・情に絆される(じょうにほだされる) 相手の情に強く引かれる。 ★「絆される」は、拘束されるの意味で、相手の情に引き付けられて心や行動の自由が縛られること。
・情に脆い(じょうにもろい) 人情に動かされ易い。
・小に因りて大を失う(しょうによりてだいをうしなう) 目先の小さい利益に拘(こだわ)り、却(かえ)って大きな損失を招くこと。 類:●因小失大●貪小失大●小利をむさぼって大利を失う●一文惜しみの百知らず 反:■枉尺直尋
・少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし) 若いと思っているが直ぐに年老いてしまい、志(こころざ)す学問は遅々として進まない。年月は移りやすいので寸刻を惜しんで勉強せよということ。 出典:朱憙「偶成詩」「少年易老学難成、一寸光陰不可軽」
・正念場(しょうねんば)・性念場 1.歌舞伎や浄瑠璃などで、主人公になった役者がその役の性根(しょうね)を十分に発揮する最も重要な場面。「菅原伝授手習鑑−寺子屋」の首実検の場面など。 類:●性根場(しようねば) 2.転じて、最も肝心なところ。ここぞという大事な場面・局面。 例:「ここが正念場」
・小の虫を殺して大の虫を助ける(しょうのむしをころしてだいのむしをたすける) 小を犠牲にして大を守るということ。重要なものごとを保護し完成するために、小さなものごとを犠牲(ぎせい)にする。 類:●小を殺して大を生かす●小を捨てて大に就く
−−−−−−−しよう(は)(#siyou6)−−−−−−−
・焦眉の急(しょうびのきゅう) 眉が焦げるほどに火の危険が迫っているということで、危険が迫っていること。事態が切迫していること。 類:●燃眉の急務
・正札付き(しょうふだつき) 1.値段の札が付いていること。また、その商品。2.掛け値なしの偽らない商品であるということ。3.転じて一般に、偽りや誇張がないこと。世間で定評があること。また、そのような人や物。 類:●札付き 例:「正札付きの悪人」
・勝負は時の運(しょうぶはときのうん)[=弾(はず)み] 戦いの勝ち負けはその時の運によるもので、必ずしも強い者が勝つとは限らない。
・小便一町糞一里(しょうべんいっちょうくそいちり)[=飯(めし)一里] 徒歩で連れ立って出掛けるとき、大小便のために甚(はなは)だしく遅れること。 1.小便だと一町、大便だと一里の遅れになるということ。2.小便は一町ぐらいは我慢でき、大便は一里ぐらいの間我慢して歩けるということ。 ★「一町」は360尺で、約109メートル。江戸時代頃の「里」は、東国では6町(約654メートル)、上方・西国では36町(約3.9キロメートル)が使われていたという。
・小便臭い(しょうべんくさい・しょんべんくさい) 1.小便の臭(にお)いがする。 用例:浮・好色万金丹−五「菜、大根の小便くさきに打囲まれ」 2.いかにもおむつの小便の匂いがしそうだということから、子供染みている。未熟である。 用例:雑俳・銀要「のびたとは、小便くさい婚礼じゃの」 用例の出典:俳諧繍銀要(はいかいしゅうぎんかなめ) 雑俳。松井賢盈(けんえい)・雲皷(うんこ)。享保14年(1729)。1巻。・・・調査中。
・正法に奇特なし(しょうぼうにきどくなし)[=不思議(ふしぎ)なし] 正しい仏法(宗教)には奇跡などの不思議な現象はない。不思議な利益などの、奇特があるのはむしろ邪教である。
・章甫の冠(しょうほのかんむり) 緇布(くろぎぬ)の冠で、中国殷(いん)代のもの。孔子が被ったので、儒者が多く用いた。
・章甫の冠を沓に履く(しょうほのかんむりをくつにはく) 上下転倒することの喩え。賢人をつまらない仕事に使うことの喩え。 出典:賈誼(かぎ)の「弔屈原文」「章甫薦履漸不可久兮」
−−−−−−−しよう(ま)(#siyou7)−−−−−−−
・枝葉末節(しようまっせつ) 《四熟》 本質から外れた些細な部分。主要でない、些末なものごとの喩え。 類:●枝葉末端●些事 反:■根幹
・正面を切る(しょうめんをきる) 1.正面を向く。特に、人に面と向かって対する。2.遠回しに言ったり、遠慮したりしないで、直接にはっきりと言う。
・証文の出し遅れ(しょうもんのだしおくれ) 事の処置が間に合わないで、時機を逃がしたために効力を失うことの喩え。時機を失したために役に立たないこと。また、一般に、手遅れ。 類:●証拠の出し遅れ
−−−−−−−しよう(ら)(#siyou9)−−−−−−−
・常鱗凡介(じょうりんぼんかい) 《四熟》 どこにでも見られる魚や普通の貝。凡庸な人の喩え。 出典:韓愈の詩「応科目時与人書」
・生老病死(しょうろうびょうし) 《四熟・仏教用語》 人間として避けられない四つの苦しみ。生苦・老苦・病苦・死苦の総称。 類:●四苦 →参考:四苦八苦 出典:「大般涅槃経」
−−−−−−−しよう(を)(#siyouwo)−−−−−−−
・将を射んと欲すれば先ず馬を射よ(しょうをいんとほっすればまずうまをいよ)[=人を〜] 大きなもの、主となるものを攻撃したり、また手に入れようとしたりするとき、直接その対象を狙うより、その周囲にあるものを先ず狙うのが良いという喩え。目的を果たすには、その周囲にあるものから、手を付けていかなければならないこと。 出典:杜甫の「前出塞九首」「射人先射馬」
・情を売る(じょうをうる) 1.情けを売る。自分の利益を考えて、他人に情を施しておく。2.売色をする。
・錠を下ろす(じょうをおろす) 1.錠を掛ける。鍵(かぎ)を掛けて閉める。2.比喩的に、他に対して心を閉ざして頑(かたく)なな態度を取る。
・漿を乞いて酒を得る(しょうをこいてさけをえる) 「漿」は、重湯(おもゆ)、お粥(かゆ)の上澄み液のこと。希望していた以上の物を得たことの喩え。 類:●水を乞いて酒を得(う)
・掌を指す(しょうをさす) 掌中にあるものを指し示すように、 1.ものごとが明白で、かつ正確であること。2.極めて容易であること。 類:●掌(たなごころ)を指す
・小を捨てて大に就く(しょうをすててだいにつく) 取るに足りない小事は捨てて、より重要なことに力を注(そそ)ぐべきである。 類:●小の虫を殺して大の虫を助ける●小異を捨てて大同につく●寸を枉げて尺を信ぶ●捨小就大 出典:唐の詩人王積薪の作と伝えられる「囲碁十訣」の一つ。二つの石があるとき、どちらがより大きい(重要)かを考える。二ヶ所打ちたい所がある。どちらが大きいか考え、結果、小さい方を捨てて、大きい方を取るべきだということ。
・章を断ち義を取る(しょうをたちぎをきる) 詩文の一部分だけを取り、原文の前後関係に拘(こだわ)らないで、その意味だけを取る。 出典:「孟子」・「中庸」の孔穎達疏
・情を立てる(じょうをたてる) 真心(まごこ」ろ)を示す。義理立てをする。
・情を通ず(じょうをつうず)[=通(かよ)わす] 1.敵に内通する。密かに事情を通知する。2.男女が密かに関係を持つ。 類:●私通する
・情を張る(じょうをはる) 意地を張り通す。強情を張る。 類:●意地を張る●強情を張る 用例:柳多留−55「熱湯好きうぬばつかりが情を張り」
・升を以って石を量る(しょうをもってこくをはかる) 小さいものを基準にして大きいものを量ろうとすると誤差が生じるので、正確が期せないということ。小人物の狭い心では大人物の心中は理解できないこと。 類:●以升量石(いしょうりょうこく)
−−−−−−−しよ(か)(#siyo2)−−−−−−−
・諸行無常(しょぎょうむじょう) 《四熟・仏教用語》 仏教の根本主張である三法印の一つ。世の中の一切のものは常に変化し生滅して、一ヶ所に留まらない。永久不変なものはないということ。この世の全てのものは儚(はかな)いものであるということ。 参考:三法印(さんぼういん) 諸行無常・諸法無我・涅槃寂静の三つ。
・食玉炊桂(しょくぎょくすいけい) 《四熟》 生活の必需品である薪の値段が高級な桂よりも高く、食料の値段が宝玉よりも高い都で生活していく者の苦しみ。物価の高い都会で生活する苦しさの喩え。また、地方から都会に出て来て苦学することの喩え。 類:●桂焼き玉炊ぐ●桂玉之艱●桂玉之地●都門桂玉 出典:「戦国策−楚策」「今令臣食玉炊桂、因鬼見帝」
・食指が動く(しょくしがうごく)
・触手を伸ばす(しょくしゅをのばす) 野心を持って、対象物に少しずつ働き掛ける。特に、何かを自分のものにしようとして近付くこと。
・燭寸の詩(しょくすんのし) 詩作の力量を試すために、蝋燭(ろうそく)が一寸ばかり燃える短い間に作らせる詩。 出典:「南史−王僧孺伝」「竟陵王子良、嘗夜集学士、刻燭為詩。四韻者、則刻一寸、以此為率」
・食前方丈(しょくぜんほうじょう) 《四熟》 食事をする時、御馳走を膳の前に一丈四方一杯に並べること。極めて贅沢な食事の喩え。 出典:「孟子」 参考:1丈(じょう)=約3.03メートル。
・植物人間(しょくぶつにんげん) 《四熟》 植物状態にある者。大脳の傷害により意識や運動性はないが、脳幹部以下に異常がないために呼吸や循環は保たれている者。
・食を願わば器物(しょくをねがわばうつわもの) 食べ物を貰おうとするなら、先ず入れ物を用意しなければならない。準備が必要だということの喩え。
・悄気る(しょげる) 失望したり失敗を叱られたりして、それまでの元気を失なう。しょんぼりとなる。 類:●しゅんとなる●萎(しお)れる 用例:滑・膝栗毛−六「弥次はしょげてだんまり」 ★「悄気」は当て字<国語大辞典(小)>
−−−−−−−しよ(さ)(#siyo3)−−−−−−−
・如才ない(じょさいない) 1.人やものごとに対して手抜かりがない。行き届いていて愛想が良い。等閑(なおざり)にしない。 類:●気が利く 用例:評判・色道大鏡−四「我ために女在(ヂョサイ)なき人を、密によびたててくはしくとふべし」 2.抜け目がない。気がきいて調子がいい。愛想(あいそ)がいい。 例:「如才なく振る舞う」 用例:浮・西鶴置土産−一「女在(ヂョサイ)なき女郎に帥中間から讚を付さすはしれた事」 ★近世以降の語<大辞林(三)> 用例の出典①:色道大鏡(しきどうおおかがみ) 江戸時代の評判記。18巻。藤本(畠山)箕山著。延宝5年(1677)序。京都を中心とした花街の遊女の風俗、習慣を記し、類書中の白眉とされる。 用例の出典②:西鶴置土産(さいかくおきみやげ) 浮世草子。5巻。井原西鶴の第一遺稿集。北条団水編。元禄6年刊。成稿は元禄5〜6年か。遊興の果てに零落した人々のさまざまな姿を、滑稽な中にも哀感をこめて描破した15の短編を収載。
・所在ない(しょざいない) 1.地位や身分が低い。 用例:上杉家文書(年月日未詳)「われらこときのしょさひなきもののちきゃうをかり候て」 2.することがなくて退屈である。 類:●手持ち無沙汰 例:「所在なさそうに立ったり坐ったりしている」 用例の出典:上杉家文書(うえすぎけもんじょ) 天正3年(1575)。上杉家軍役帳。米沢藩主上杉家伝来の文書。約1700通。主に4種類に分けられ、中世文書の赤箪笥入「乾」文書983通、両掛入文書130通、精選古案両掛入文書117通と近世文書の赤箪笥入「坤」文書522通からなる。関東管領上杉氏関係と越後守護代長尾氏関係の史料が見られる。改めて表装し保存したのではない、という点では珍しい古文書である。
・女子と小人とは養い難し(じょしとしょうじんとはやしないがたし) 女性と品性の卑(いや)しい者は、とかく扱(あつか)い難いものである。女性の多くは道理を理解せず、気安くすれば付け上がり、突き放せば恨むからである。 出典:「論語−陽貨」「唯女子与小人、為難養也。近之則不遜、遠之則怨」 ★中国封建時代には、女性は学問から遠ざけられており、道理に暗かったためにこう言われた。
・庶女天に叫ぶ(しょじょてんにさけぶ) 平民の女が、天の神に向かって無実の罪を訴える。己の冤罪(えんざい)を叫ぶことの喩え。 類:●庶女振風●東海の孝婦 故事:「蒙求−上」「淮南子曰、庶女告天、雷電下撃、景公台隕、支体傷折、海水大出」 斉の国にある寡婦がいた。姑には娘がいたが、この娘は財産を独り占めにしようと思い、母親を殺して、寡婦が殺したのだと訴え出た。寡婦は冤罪の証を立てることができず、処刑されてしまった。そこで、寡婦の怨霊が天神に向かって無実を訴えると、天がこれに感じて風雷を起こした。
・初心忘るべからず(しょしんわするべからず) 1.能楽で、若年の頃に学んだ芸や、その当時の未熟さ、また、時期時期での初めての経験を忘れてはいけないという教え。 ★世阿弥の「花鏡」にある言葉。 2.転じて、一般に、習い始めた時分の、謙虚な張り詰めた気持ちを常に失ってはならない。また、最初に思い立った一念を忘れてはいけないということ。 出典:花鏡(かきょう・はなのかがみ) 室町中期の能楽論書。1巻。世阿弥。応永31年(1424)成立。著者40歳頃から60歳前後までの体験を題目6か条、事書12か条の秘伝として収める。
・所存の外(しょぞんのほか) 1.心に考えていたこととは違っていること。意外であること。2.転じて、非常に残念であること。遺憾(いかん)である。 用例:曾我−4「卒爾の見参こそ、所存の外なれ」
・所存の臍を固める(しょぞんのほぞをかためる) 心に思うところ、または考えの中心になる部分を決めるという意味から、断固として決意を固めること。
−−−−−−−しよ(た)(#siyo4)−−−−−−−
・所帯染みる(しょたいじみる) 所帯持ち特有の考え方を持ったり、それらしい態度になる。また、所帯持ちの苦労のために地味で老けて見える。所帯の苦労が言動に滲(にじ)み出ている。 類:●世帯染みる●所帯臭くなる 用例:滑・浮世風呂−二「世帯染(ショテヘジミ)てお見。毎日能顔もねへものだから」
・所帯を畳む(しょたいをたたむ) 独立して一家を構えていたのを止(や)める。
・所帯を持つ(しょたいをもつ) 一家を構えて、独立した生計を営む。一般に、結婚することを表わす。
・処置なし(しょちなし) 施(ほどこ)す術(すべ)がないこと。始末に負えないこと。また、そのような様子。 類:●世話がない 例:「あれだけ言ったのに寝過ごすなんて、もう処置なしだ」
・助長(じょちょう) 1.不要な力添えをして、却(かえ)って害になること。 故事:「孟子−公孫丑・上」「宋人有閔其苗之不長而堰之者、芒芒然歸、謂其人曰、今日病矣、予助苗長矣」 苗の生長を早めようとした宋の人が、苗を伸ばしてやろうとして、無理やり引っ張って駄目にしてしまった。 2.転じて、ものごとの成長発展に、外から力を添えること。ある傾向を、更に著(いちじる)しくすること。主に、悪い結果を招く場合に用いる。 例:「円安がインフレを助長する」
・蜀犬日に吠ゆ(しょっけんひにほゆ) 無知ゆえに、当たり前のことをも怪しむ。また、見識が狭い者は賢人の言行に対して疑いを抱くものだということ。 類:●小村の犬は噛む 出典:柳宗元の「答韋中立論師道書」に見える句 蜀(しょく)地方は山地で霧が深く日が射すことが稀(まれ)なため、太陽を見ると、犬が怪しんで吠えるという。 人物:柳宗元(りゅうそうげん) 中国唐代の文人。773〜819。字は子厚。唐宋八大家の一人。韓愈とともに古文復興を唱え「封建論」や「永州八記」などを書いた。田園詩に優れ、王維・孟浩然・韋応物と並称される。詩文集に「柳河東集」がある。 参考:唐宋八大家(そうとうはちたいか) 韓愈・柳宗元・欧陽修・蘇洵・蘇軾・蘇轍・王安石・曾鞏。
・しょっちゅう 始終。いつも。常に。絶(た)えず。普段(ふだん)。 例:「しょっちゅう喧嘩をしている」 ★「しょちゅうご(初中後)」の変化した語か<国語大辞典(小)> 「初中後」は、物事の初めと中頃と終わりの三段階。転じて、初めから終わりまで。終始一貫。 ★「初中終(しょっちゅうしゅう)」の転という<学研国語大辞典> ★「始終」の変化と考えられる<新明解国語辞典(三)>
・背負って立つ(しょってたつ) 全ての責任を一人で受け持つ。また、ある組織や団体の中心となって、その活動や発展の支(ささ)えとなる。 例:「会社を背負って立つ人物」
・背負ってる(しょってる) 1.背負っている。 ★「せおっている」の略。 2.俗語。自分で自分を買い被っている。まるで自分が他の人とは別人種であるかのように思っている。 類:●自惚(うぬぼ)れている
・塩っぱい(しょっぱい) 1.塩気が強い。塩辛い。 例:「海の水は塩っぱい」 2.勘定高い。 類:●しみったれている●けちである 用例:滑・膝栗毛−二「アノ酒屋のかかあは、しょっぱいやつよ」 3.困惑や嫌悪で顔を顰(しか)めるような状態。嫌である。 例:「塩っぱい顔をする」 4.人情が薄い。
−−−−−−−しよ(な)(#siyo5)−−−−−−−
・初日が出る(しょにちがでる) 相撲で、力士が、その場所の二日目以後に初めて勝つこと。負け続けていた者がやっと勝つこと。 類:●片目が明く
・緒に就く(しょにつく・ちょに〜) ものごとがある目的や計画に沿って進んで行く糸口ができる。 類:●見通しが付く 出典:「詩経−大雅・常武」
−−−−−−−しよ(は)(#siyo6)−−−−−−−
・書は以て姓名を記するに足るのみ(しょはもってせいめいをきするにたるのみ) 項羽が少年時代に言った言葉。文字などというものは、自分の名前さえ書ければ良いので、それ以上深く学ぶ必要はない。学問をするよりも兵法を覚えるのが、英雄になる道だということ。 出典:「史記−項羽本紀」「少時学書不成、去学劔、又不成、項梁怒之。籍曰、書足以記名姓而已、劔一人敵不足学」
・しょぼくれる 俗語。なんとなしに力なく、みじめったらしい状態である。人の様子だけでなく、一般に、外観などにも言う。 類:●しょぼたれる●しょんぼり 例:「しょぼくれた家だな」 ★雨などに濡れた様子を表わす「濡(そぼ)つ」あたりからできた言葉か。
−−−−−−−しよ(ま)(#siyo7)−−−−−−−
・書三度写せば魚も魯となる(しょみたびうつせばぎょもろとなる) 書物を何度も書き写していると、似たよう文字を書き誤まることもあるということ。字の書き間違いをすること。 類:●魯魚の誤まり●烏焉馬 出典:「抱朴子−内篇・遐覧」「故諺曰、書三写、魚成魯、帝成虎」
−−−−−−−しよ(ら)(#siyo9)−−−−−−−
・女郎買いの尻切れ草履(じょろうがいのしりきれぞうり)[=糠味噌汁(ぬかみそじる)] 遊郭で女郎買いをして浪費するような者は、却(かえ)って家ではけちであるということの喩え。 類:●傾城買いの糠味噌汁
・女郎に誠あれば晦に月が出る(じょろうにまことあればみそかにつきがでる) 陰暦では、晦日(30日)の夜に月が出ることはないところから、女郎の言行には真実がなく、嘘ばかりであるということの喩え。
・女郎の千枚起請(じょろうのせんまいぎしょう) 女郎は元々客を騙(だま)すのが商売だから、起請を千枚書いても信用できない。また、一般に、信用できないものの喩え。 参考:起請(きしょう) 男女が将来を取り交わす文章。また、その約束。遊郭での心中の一種から起こったもの。起請誓紙。
−−−−−−−しよ(を)(#siyowo)−−−−−−−
・書を校するは塵を払うが如し(しょをこうするはちりをはらうがごとし) 書物を校合(きょうごう)する作業は、塵を払っても払い尽くすことができないように、完全無欠に達することは難しい。どんなに念を入れて校正しても、誤りがあることの喩え。 出典:「夢渓筆談−雑誌・二」
−−−−−−−しよ(ん)(#siyon)−−−−−−−
・しょんぼり 元気なく萎(しお)れている様子。侘(わび)しい、または寂しい様子。 類:●しょぼしょぼ●悄然 用例:浄・信州川中島合戦−道行「跡には夫婦しょんぼりと、身をくやみたるかこち泣き」 用例の出典:信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん) 浄瑠璃。吉田冠子、近松門左衛門合作。5段。享保6年(1721)。大坂竹本座初演。『甲陽軍鑑』によって、川中島合戦を中心に、武田勝頼や山本勘介などの伝説を加えて脚色したもの。通称「輝虎配膳」。
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