【しさ】~【しち】

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・仔細に及ばず
(しさいにおよばず) あれこれと事情を申し立てる必要はない。
・仔細ない
(しさいない)[=なし] 1.差し支(つか)えない。構わない。 用例:謡曲・
丹後物狂「児の能には歌連歌のことは申すに及ばず、鞠小弓までは子細なし」 2.変わった事情はない。別状ない。 用例:平家−一二「当時まで都に別の子細無く候事」 3.面倒がない。難しいことがない。 用例:源氏−帚木「男(をのこ)しもなん、しさひなき者は侍るめる」 4.異論がない。間違いない。 用例:太平記−二「子細なき調伏の法也」
・屍山血河(しざんけつが) 《四熟》 死体が山のように積み重なり、血が河のように流れること。激しい戦闘の喩え。また、その後の惨状のこと。 ★「血河」は「けっか」とも読む。また、「屍」は「尸」とも書く。

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・獅子吼
(ししく) 1.獅子が吼(ほ)えること。2.仏教用語。釈迦(しゃか)の説法。その、自信に満ち、一切を畏(おそ)れ承伏させる説法。 出典:「大般涅槃経」 ★獅子が吼えると、その声にあらゆる獣が畏れ服するところから。 3.真理や正道を説(と)いて、異端や邪説を喝破すること。熱弁を振るって正論を説くこと。また、正しいことを胸を張って言い切る時などにも言う。 類:●懸河の弁 4.嫉妬深い妻が夫にがみがみ言うこと。 類:●ヒスを起こす ★宋の蘇軾(そしょく)が呉徳仁に寄せた詩で、陳季常の妻の嫉妬深さを「河東の獅子吼」といったところから<国語大辞典(小)>
・志士苦心多し
(ししくしんおおし) 志士は、不屈の魂をもって事にあたり、簡単にはその志を変えないため、こと志と違い苦心することが多い。 出典:晋の文人陸機(りくき)の詩
肉食った報い
(ししくったむくい)
・獅子窟中に異獣なし
(ししくっちゅうにいじゅうなし) 獅子が住む洞穴の中に獅子以外の獣はいないという意味で、優れた先生の元には良い弟子だけが集まる。または、優れた人の周りにはやはり優れた人が集まること。
・時時刻刻
(じじこくこく・こっこく)・時時剋剋 《四熟》 1.一刻一刻時間が過ぎていくこと。時間が経っていく、その時その時。 例:「時々刻々と変わる夕景」 2.時を追って。段段と。次第次第に。 類:●刻一刻と 例:「台風が時々刻々と近付いてくる」 ★「刻刻」は、「こっこく」とも読む。
・志士仁人は生を求めて以もって仁を害することなし
(ししじんじんはせいをもとめてもってじんをがいすることなし) 志士や仁者は、自分の生存のために、博愛の徳に背(そむ)くようなことはしない。自分の生命を捨てても、人道を全(まっと)うするものである。 出典:「論語−衛霊公」「子曰、志士仁人無求生以害仁。有殺身以成仁」
獅子身中の虫
(しししんちゅうのむし)
・事実は小説より奇なり
(じじつはしょうせつよりきなり) 世の中に実際に起こる出来事は、虚構の小説より却(かえ)って奇妙で不思議である。イギリスの詩人、バイロン(George Gordon Byron)の言葉。 人物:
バイロン(ばいろん) ( ジョージ−ゴードン) イギリスの詩人。ロマン派の代表者。1788〜1824。ケンブリッジ大学を卒業し、上院議員となったが、「ハロルド卿の巡遊」で一躍新進詩人の名声を博す。反俗の青年貴族としてヨーロッパ大陸を遍歴し、ギリシア独立戦争に加わり、客死。劇詩「マンフレッド」、長詩「ドン=ジュアン」など。
・事実無根
(じじつむこん) 《四熟》 事実だという根拠が全くないこと。事実に基づいていないこと。 類:●根も葉もない
・死して後已む
(ししてのちやむ) 命がある限り努力し続ける。 出典:「論語−泰伯」「曾子曰、士不可以不弘毅。任重而道遠。仁以為己任。不亦重乎。死而後已。不亦遠乎」 参考:任重くして道遠し
・獅子に鰭
(ししにひれ) 陸上では百獣の王といわれる獅子に鰭が付けば、水中でも自由に暴れ回れるようになる。強い者が益々強く有利になること。 類:●虎に翼鬼に金棒
・獅子に牡丹
(ししにぼたん) 獅子の堂々たる姿に、絢爛(けんらん)豪華な牡丹の花を配した図柄。転じて、取り合わせや配合が良いこと。 類:●牡丹に唐獅子●梅に鶯(うぐいす)●紅葉に鹿●竹に虎
・死屍に鞭打つ(ししにむちうつ) 死体を鞭で打つということから転じて、死んだ人の生前の言行を非難すること。 類:●屍を鞭打つ 
故事:史記−伍子胥伝」 伍子胥が父兄の敵である楚の平王の死体を墓から掘り出して鞭打った。 人物:伍子胥(ごししよ) 中国、春秋時代。楚の人。のち、呉の臣。?〜前485年。名は員(うん)。父の奢と兄の尚が楚の平王に殺されたため、呉に奔(はし)り、闔廬(こうりょ・在位前514〜前496)の宰相となった。やがて楚を破ったときには平王は死んでいたが、その墓を暴(あば)いて死体を鞭打った。後越を破った時、王夫差(ふさ)が越王勾践(こうせん)を殺さなかったことを諫(いさ)めて容(い)れられず自殺した。
・獅子の子落とし
(ししのこおとし) 獅子は、子が生まれて3日経つとその子を千尋(せんじん)の谷へ投げ落とし、生き残った子だけを育てるという俗説がある。 1.自分の子に、苦しい試練を与えてその才能を試し、立派な人間に育てること。2.一般に、部下や後輩などを厳しく育てることの喩え。 ★ここで言われる「獅子」はライオンではなく、中国の清涼山に棲むとされる伝説上の聖獣のこと。文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の乗り物とされる。 ★出典は、(未詳ながら)能の『石橋』の派生、長唄の『連獅子』(江戸末期)らしい。 出典(?):連獅子(れんじし) 歌舞伎所作事。長唄。能「石橋(しゃっきょう)」の小書からきた親子の獅子の踊り。河竹黙阿弥作詞、二世杵屋勝三郎作曲。文久元年(1861)初演。花柳寿輔・芳次郎父子が演じたため「馬場連」とも呼ばれる。明治五年(1872)に改修された方を「瀬戸連」と呼ぶ。 参考:石橋(しゃっきょう) 能楽の曲名。五番目物。各流。室町時代初期の観世元雅(かんぜもとまさ)か。寂昭(じゃくしょう)法師が入唐し清涼山で石橋を渡ろうとすると、一人の童子が現れて橋の渡り難いことを説き、橋のいわれを語る。やがて獅子が現れ、咲き乱れる牡丹(ぼたん)の花の間を勇壮に舞い、御代の千秋万歳を寿(ことほ)ぐ。題材は、「華厳経」に取っていると考えられる。
・獅子の座
(ししのざ)[=法座(ほうざ)・床(ゆか・とこ) 1.獅子は百獣の王であるように、仏(ほとけ)は人中で最も尊いものである。仏が座るところ。仏の座席。仏像の台座。または、高徳の僧などが座る席。 類:●獅子座 2.能や歌舞伎などで、獅子に扮したものが就く座席のこと。
・獅子の歯噛み
(ししのはがみ) 獅子が恐ろしい表情で怒る様子。転じて、猛り怒るありさま。 用例:太平記−6「獅子の歯噛みをして、降人に出でんと思ふ者は無かりけり」
死児の齢を数える(しじのよわいをかぞえる)
・獅子の分け前
(ししのわけまえ) 強者が弱者を使役して、その利益を独占すること。 
寓話:「イソップ 獅子が弱い動物を働かせて、その成果を独占して、少しの分け前も与えなかった。

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・獅子搏兎
(ししはくと) 《四熟》 獅子(ライオン)は、兎のような弱い動物を捕まえるのにも全力を尽くす。簡単と思えることにも、油断することなく、全力を尽くして行なうべきであるということ。 参照:象山先生全集「獅子兎を捕らえ象を捕らうるに皆全力を用う」 出典:象山先生全集(しょうざんせんせいぜんしゅう) 儒学書。南宋の陸九淵(りくきゅうえん)=象山。36巻。朱熹が読書講学を重んじたのに対し、心即理を主張し、徳性を養うよう説いた。陽明学の先駆となる道学の一派を作った。
・志士は溝壑にあるを忘れず、勇士はその元を喪うを忘れず
(ししはこうがくにあるをわすれず、ゆうしはそのこうべをうしなうをわすれず) 志士は道義のためなら、窮死してその屍を溝や谷に棄てられても良いと覚悟しており、勇士は君国のためならば、いつ首を取られても良いと思っている<得丸久文氏> 類:●武士道というは死ぬことと見つけたり 出典:「孟子−勝文公・下」「志士不忘在溝壑、勇士不忘喪其元」 「溝壑」は、人が殺されて、溝の中や谷の中に屍を置かれること。 孔子の言葉。
・爺は辛労、子は楽、孫は乞食
(じじはしんろう、こはらく、まごはこじき) 祖父は苦労して財を残し、その子はお陰で楽をするが、孫の代に至っては、安楽が身に付いて働かないので乞食に身を落としてしまうだろうということ。
・獅子奮迅
(ししふんじん) 《四熟》 百獣の王である獅子が、奮い立って猛進するということで、ものごとに対処するのに、その勢いが非常に激しいこと。また、戦いのとき迅速勇猛なこと。 例:「獅子奮迅の大活躍」 出典:「大般若経」 出典:大般若経(だいはんにゃきょう) 大乗仏教の初期の経典。サンスクリット原典・チベット語訳とも現存。600巻。唐の玄奘(げんじょう)が顕慶5年(660)元旦から約4年を掛けて翻訳した。「空(くう)」を説く般若経典類を大成したもので、四処十六会に分かれる。「大般若波羅蜜多経」「大般若」とも。
・爺むさい
(じじむさい) 1.容姿や服装などが年寄りじみていて、むさ苦しい。 例:「爺むさい服装」 2.若さや活気がなく、年寄りくさい。 類:●爺臭い 3.心が狭くこせついている。する事が貧弱でけち臭い。 用例:伎・
傾城忍術池−三段「ぢぢむさいせりふしては、侍の一分は立つまいぞよ」 4.不潔で汚らしい。 類:●むさ苦しい●むさい 用例:俳・七番日記−文化15年2月「ぢぢむさい庵も今は青柳ぞ」 近世以降の語<大辞林(三)> 用例の出典:傾城忍術池(けいせいしのばずいけ) 歌舞伎。天明5年(1785)。並木五瓶。・・・詳細調査中。
・磁石に針
(じしゃくにはり) 接近し易いこと。誘惑され易いこと。
・四十がったり
(しじゅうがったり)・がっくり 「がったり」は、がくんと衰(おとろ)えるという意味。健康な人でも、四十歳を過ぎると急に体力が衰えるということ。 類:●四十暗がり
・四十暗がり
(しじゅうくらがり) 四十歳を過ぎると、急に視力が衰えるということ。四十歳の頃から老いが始まるということ。 類:●四十がったり
・四十にして惑わず
(しじゅうにしてまどわず) 人間(特に男)40歳になっては、道理を明らかにし、少しの疑惑も持たないものである。 類:●四十にして心を動かさず●不惑 出典:「論語−為政」「子曰、吾十有五而志于学、三十而立、四十而不惑
・四十二の二つ子(しじゅうにのふたつご)[=親取(おやと)り子] 42に2を加えると44で「死し」となるのを忌(い)んで言う。数えで、父親が42歳の時に2歳になる男児。すなわち、父親が41歳の時に生まれた男児は親を食い殺すという言い伝えがあり、その災いを逃れるために仮に捨てて他人に拾わせる風習があった。 
★女児の場合は却って吉とした<国語大辞典(小)>
・四十八手の裏表
(しじゅうはってのおもてうら) 1.相撲の四十八手には、それぞれ裏と表の変化があること。2.手段に色々変化があること。また、あらゆる秘術や駆け引きのこと。
・自主独立
(じしゅどくりつ) 《四 他人の保護や干渉を受けず、自分の意志と責任でものごとを成していくこと。独力で行なうこと。 類:●独立独行●独立自尊独立独歩●独立自全
・耳順
(じじゅん) 60歳の異称。品性の修養が進み、聞くことが直ちに理解でき、なんら差し障りも起こらない境地であるということ。 例:「耳順に達する」 出典:「論語−為政」「六十而耳順
・自縄自縛
(じじょうじばく) 《四熟》 自分の縄で自分を縛(しば)る。自分で決めた法令や、自分で仕掛けた罠(わな)などによって、自分自身の身動きが取れなくなり、却(かえ)って苦しむこと。 類:●自業自得 例:「厳しい規則を作って自縄自縛に陥る」 ★出典は不明。中国語の「自縛」は意味が異なり、自分の罪を認め、己を縛って許しを請う行為のこと。日本語の「自訴」「自首」に近いか。
・事情通
(じじょうつう) ある事情をよく知っていること。また、その人。 類:●消息通
・死生不知
(ししょうふち) 《四熟》 死ぬことをものともしない。 類:●命知らず
・至上命令
(しじょうめいれい) 《四熟》 絶対に従わなければならない命令。
・爾汝の交わり
(じじょのまじわり) 互いに「おまえ」「きさま」などと呼び合うような、極めて親密な交際。
・死屍を鞭打つ
(ししをむちうつ) 死んだ人の言動、行為を非難する。 類:●死者に鞭打つ●
死屍に鞭打つ 出典:「史記−伍子胥伝」 故事:中国の春秋時代、伍子胥が父兄の仇である楚の平王の死体を鞭打った。 
?尽灰滅(しじんかいめつ) 《四熟》 尽きてあとかたもなくなること。滅びること。
・地震雷火事親父(じしんかみなりかじおやじ) この世の中で恐ろしいものを並べて、七五調に言ったもの。 ★「親父」については、後から替えられたものとする。本来、天災を並べたものとし、4つ目は「大山嵐(おおやじ・おおやまじ)」または「山嵐(やまじ)」(=台風のこと)であったという。落語などで揶揄して「親父」に替えられたものが一般化したと考えられる。
・至人に夢なし
(しじんにゆめなし) → 聖人に夢なし

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・沈む淵あれば浮かぶ瀬もあり(しずむふちあればうかぶせもあり)[=瀬あれば〜] 人には不遇な時もあれば、繁栄する時もある。人生の浮き沈みが定めのないことの喩え。 類:●浮き沈み七度

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・時勢遅れ
(じせいおくれ) 世のなりゆきにおくれること。時代の風潮におくれること。 類:●時代遅れ●流行遅れ
・至誠天に通ず(しせいてんにつうず) 真心を以って接すれば、それは天まで通じて、必ず人の心を動かすものだということ。 出典:「孟子−離婁・上」「誠者、之道也、思誠者、人之道也。至誠而不動者、未之有也」(至誠にして動かざるもの未だこれあらざる也)
・四世同堂
(しせいどうどう) 《四熟》 1.老親と本人、子夫婦と孫の四世代が同じ家に住むこと。幸福な家庭の喩え。2.中国の作家・老舎(ろうしゃ)の代表作(1951年)。
・市井の人
(しせいのひと) 昔、中国で、井戸のある所に人が集まって市(いち)が成立したところから、市中に住む人。 類:●市井の徒●庶民●市井人 
参考:市井(しせい) 人の集まり住む所。 出典:旧唐書(くとうじょ) 中国の正史の一つ。945年成立。紀伝体。本紀20、志30、列伝150の200巻。五代後晋の劉(りゅうく)らが勅によって著(あらわ)した、唐一代の史実を記した書。資料不足が欠点といわれる。宋代に、別に「新唐書」が編(あ)まれたためこう呼ばれる。
・死生命あり
(しせいめいあり) 人の生死は天命によるもので、人の力ではどうすることもできない。 出典:「論語−顔淵」「子夏曰、〈略〉死生有命、富貴在天」
・咫尺を弁ぜず
(しせきをべんぜず) 視界が利かず、近距離のものも見分けが付かない。 
参考:「咫」は中国の周尺で8寸=約18センチメートル、「尺」は1尺で10寸=約22.5センチメートル。 
・時節の梅花春風を待たず(じせつのばいかしゅんぷうをまたず)[=借らず] 梅の花は春の暖かな風の吹くまで待たずに、時期が来れば咲いて散る。天の命ずる自然の流れは、人の力では変えることができないということの喩え。
・死せる孔明、生ける仲達を走らしむ
(しせるこうめい、いけるちゅうたつをはしらしむ)[=諸葛、〜] 死んでもなお威力があって、生きている人を畏(おそ)れさせることの喩え。 
故事:中国の三国時代、蜀の諸葛孔明が五丈原で魏の司馬仲達の軍と対陣中病死し、それを聞いた仲達は攻撃に出たが、蜀軍が旗を返し、鼓を鳴らして反撃する勢いを示すと、孔明の死が偽(いつわ)りで、計略に掛かったと恐れて追撃を中止して退いた。 出典:「十八史略−三国」「死諸葛、走生仲達」・「晋書」・「資治通鑑綱目」 出典:資治通鑑綱目(しじつがんこうもく) 中国宋代の史書。59巻。朱熹撰。「資治通鑑」を綱目に分けて編集したもの。「綱」では朱子が史実の要約を行い、「目」では弟子の趙師淵が史評を加えている。
・自然淘汰
(しぜんとうた) 《四熟》 1.進化論の用語。周囲の状態に適した生物のみが生存して子孫を残し、そうでないものは子孫を残さずに滅びるということ。 ★「自然選択」の旧称<新明解国語辞典第五版(三)> 2.転じて、時代の流れに付いて行けない者は、独りでに滅びるということ。
・自然に帰れ
(しぜんにかえれ) フランス語 Retournons a la natureの訳語。人間本来の自由・幸福を奪った社会の因襲から脱して、人間本来の状態に帰ろうではないかと言う呼び掛け。ジャン・ジャック・ルソーの思想を端的に表現した言葉。 人物:
ジャン・ジャック・ルソー フランスの啓蒙思想家。1712〜78。理性に対して感情の優位を主張し、人為的な文明社会における人間の堕落をつき、自然に帰ることを説いた。「人間不平等起原論」「社会契約論」で人民主権を説いて大革命の原理を打ち出し、『新エロイーズ』で情熱の解放をうたってロマン主義の源流をつくり出し、『エミール』で自然に即した人間像を示し、『懺悔録』で自己を赤裸々に語った。
・自然のこと
(しぜんのこと) 1.自然に起こる予期できない事件。 類:●万一の事●もしもの事 用例:平家−九「自然の事のあらん時、物の具して頼朝がのるべき馬なり」 2.特に、死ぬことをいう。 類:●もしもの事 用例:浮・男色大鑑−二「此上に十太郎自然の事あらば」 
★普通、「自然の事あらば」のような仮定条件、「自然の事あらむ時」のような未来表現の中で用いられる<国語大辞典(小)>
・自然は飛躍せず(しぜんはひやくせず) ラテン語 natura non facit saltumの訳語。自然は一挙に変化することなく、漸次的に変わっていくものだという考えを示す生物学者
リンネの言葉。 人物:カール・フォン・リンネ Carl von Linn。スウェーデンの植物学者。1707〜78。既成の知識を体系化して植物の分類を整理した。また、二名法を確立し、綱、目、属、種と様々な生物を階層的に分類しました。著書『植物の属』など。蛇足だが、惑星記号の「♂(マルス)」「♀(ビーナス)」を性別記号として採用した人(1753『植物の種』)でもある。
・死線を越えて
(しせんをこえて) 賀川豊彦が書いた小説の題名(大正9年刊行)から生まれた言葉。生死を問題にしないでや、決死の覚悟でという意味で使う。

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・尸素
(しそ) 「尸位素餐(しいそさん)」の略。官位にあるだけで職責を尽くさず、徒(いたずら)に俸禄を食(は)むこと。 出典:「漢書−朱雲伝」
・地蔵と閻魔は一
(じぞうとえんまはいつ) 地蔵菩薩は慈悲を、閻魔は忿怒(ふんぬ)を現わしているが、どちらも阿弥陀仏の分身であるということ。
・地蔵の顔も三度
(じぞうのかおもさんど) いかに温和で慈悲深い人でも、無法を度々加えられれば終いには怒り出す。  類:●仏の顔も三度●仏の顔も三度撫(な)づれば腹立つる
・地蔵は言わぬがわれ言うな
(じぞうはいわぬがわれいうな) 石の地蔵が口を利くはずがないので、秘密が漏れるとしたら、それは当人の口から出たものに違いない。人に秘密を話しておきながら、くどいまでに口止めをする行為を嗜(たしな)めて言う。 類:●俺は言わぬがわれ言うな 民話:「言奈地蔵(いうなじぞう)」 昔、権六という馬子が旅人を殺し金を奪い、傍(かたわ)らの地蔵に「言うなよ」と言ったら、「地蔵言わぬがわれ言うな」と言われ山を下りた。やがて、この峠で殺した旅人の子と出会い、権六は因縁におののき自ら仇を討たれた。
・児孫のために美田を買わず
(じそんのためにびでんをかわず) 子孫のために財産を残すと、子孫の精神が安逸に流れ易いからそうしない。 出典:西郷隆盛の詩にある言葉 人物:
西郷隆盛(さいごうたかもり) 明治維新の政治家。軍人。1827〜77。通称吉之助。号は南洲。薩摩藩出身。第二次長州征伐以後、討幕派として活躍。薩長同盟、王政復古、戊辰戦争などを指導、江戸城を無血で開城させる。のち参議として廃藩置県を断行したが、征韓論を唱えて敗れ、帰郷して開塾。明治10年(1877)の西南戦争に敗れて自刃した。
士族の商法
(しぞくのしょうほう)

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・舌在りや否や
(したありやいなや) 私の舌は残っているか。遊説家にとっては舌が商売道具であり、弁舌が揮(ふる)えるなら、将来の見込みはあるということ。縦横家張儀(ちょうぎ)の言葉。 故事:「史記−張儀列伝」「張儀謂其妻曰、視吾、尚在不。其妻笑曰、舌在也。儀曰、足矣 」 楚の宰相の宴席で璧が紛失したとき、貧しい張儀が疑われ数百回笞(むち)打たれた。妻から「碌でもない読書や遊説をしなければ、こんな恥辱は受けずに済んだ」と言われ、「私の舌を見よ、舌はまだあるかないか」と聞いた。妻が笑って「舌はございます」と答えると、「(舌さえあれば)十分だ」と言った。
・時代が付く
(じだいがつく)[=を帯びる・を食う] 年月を経て、古びた感じや、渋みなどの趣(おもむき)が出る。
・時代錯誤
(じだいさくご) 《四 考え方や行動などが、時代の流れに逆行していて合わないこと。ものの考え方が古いこと。 類:●時代遅れ●アナクロニズム●頭が古い
・時代の寵児
(じだいのちょうじ) 時の風潮に乗って成功し、人々に持て囃(はや)されている人。 類:●売れっ子●流行児●時代男
・舌が長い
(したがながい) よく喋(しゃべ)る。多弁である。
・舌が回る
(したがまわる) すらすらと淀みなく喋る。また、発音などをしっかりして喋ることができる。 類:●口が達者
・舌が縺れる
(したがもつれる) 舌が自由に動かなくなって、言葉が巧く喋れなくなる。
・下心
(したごころ) 1.心の底。心の中。本心。主に、悪い意味で使う。2.兼ねて心に期(ご)すること。前からの企(たくら)み。密かに持っている目的、希望。 類:●目論見(もくろみ) 例:「下心が見え透いた振る舞い」 3.隠されている意味。 類:●寓意 用例:虎寛本狂言・
今参「誠に下心がおもしろう御ざる」 4.漢字の部首・脚(あし)の一つ。「志」「思」や「恭」「慕」などの「心」「」の部分。本来は心臓の象形で、単独には「心」の形を取る。 用例の出典:今参(いままいり) 狂言。各流。新しく大名に抱えられる者が、大名は洒落(しゃれ)が好きだというので、その気に入るように言おうとするが、失敗を重ねる。
・舌先三寸(したさきさんずん) 《四熟》 口先だけの巧みな弁舌。 類:●
舌三寸 例:「舌先三寸で言い包(くる)める」 ★「口先三寸」は、誤用。
・舌三寸
(したさんずん) 心が篭(こ)もらず、口先だけである。また、その言葉。 類:●三寸の舌●
舌先三寸
・仕出し女
(しだしおんな) 流行の装いを凝(こ)らした女。着飾った女。 類:●仕出し女房
・親しき中にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり)[=垣(かき)をせよ] 親密過ぎて節度を越えれば却(かえ)って不和の元になるから、礼儀を守り、馴れ合いで乱れないようにすることが必要である。 類:●近しき中にも礼儀あり良い仲も笠を脱げ●心安いは不和の基 ★近頃では、「親しき仲にも礼儀あり」とも書く。
・舌足らず(したたらず)・舌っ足らず 1.舌の動きが正常でなく、物言いが不明瞭なこと。また、その様子。 類:●したつき 2.言葉や文章などの表現が不十分で、正確に伝わらないこと。言い足りないこと。 例:「舌足らずの文章」
・滴り積もりて淵となる
(したたりつもりてふちとなる) 一滴一滴の雫(しずく)でも、たくさん集まれば、最後には深い淵となる。一つ一つは僅(わず)かなものでも、数多く集まれば大きな存在(=力)になるということ。 類:●塵も積もれば山となる
・舌鼓を打つ
(したつづみをうつ)[=鳴らす] 1.美味いものを食べた時に舌を鳴らす。また、美味しいものを食べた様子を表すのにも使う。2.不愉快や不満を感じた時に、舌を鳴らす。 類:●舌打ちする 用例:浮・新色五巻書「さりとは憎い奴と舌鼓を打つ所へ帰りぬ」 ★「したづつみ」とも<大辞林(三)>
・下っ端
(したっぱ) 身分や地位が低い者。
・下積み
(したづみ) 1.他の物の下に積むこと。他のものの下に積まれること。また、船の安定を良くするために積む荷物や石。 反:■上(うわ)積み 2.人の下に使われていて目立たない地位にあること。ある機構の底辺部に属し、恵まれない状態にあること。また、その人。 例:「売れるまでの下積み時代」
・仕立て上げる
(したてあげる) 1.整った形のものにする。作り上げる。 例:「着物を仕立て上げる」 2.人を教育して、意図的にある性格や職業の人間にする。弟子を育て上げる。 例:「いっぱしの大工に仕立て上げる」 3.事実ではないことを実際あったことのように作り上げる。 類:●捏(でっ)ち上げる 例:「仕立て上げた話」
・仕立て顔
(したてがお) 特に作ったようなわざとらしい顔付き。
・下手に付く
(したてにつく) 人より下の地位に就く。人の下風(かふう)に立つ。 類:●
下手に出る●風下(かざしも)に立つ(=付く)●人の下風に立つ●風下に付く●後塵を拝す
・下手に出る
(したてにでる) 遜(へりくだ)った態度を取る。 類:●下に出る 例:「下手に出てれば付け上がる」
・自他共に許す
(じたともにゆるす)[=認める] 自分も他人も共に認める。誰でもがそうだと認めている。

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・下に置かれず
(したにおかれず) 1.(「置かれず」の「れ」は可能の助動詞) 下座(しもざ)には置けないということで、粗略にできないこと。丁重に扱わなければならない。2.(「置かれず」の「れ」は受身の助動詞) 粗略な扱いを受けない。丁重に持て成される。
・耳朶に触れる
(じだにふれる) 耳に入る。聞き及ぶ。聞こえる。
・下にも置かない
(したにもおかない) 非常に丁重に取り扱って下座にも置かない。大層丁寧に持て成す。
・舌の先
(したのさき) 1.舌のはし。舌の先端。2.口先。言葉の上だけ。
・舌の剣は命を絶つ
(したのつるぎはいのちをたつ) 人を傷付けるような言葉は往々にして命まで取るという意味から、言葉を慎まないと自他共に命取りになるような事態に陥るという場合のたとえに用いる。 類:●
舌は禍(わざわ)いの根●舌は禍福の門●口は禍の門
・舌の根の乾かぬ内(したのねのかわかぬうち) 言葉が終わるか終わらないうちに。言い終わってすぐ。多く、前言に反したことをすぐ言ったり、行ったりすること。 類:●口血未乾声の下から言葉の下から
・下腹に毛がない(したばらにけがない) 老いた狸や狼は下腹に毛がないという言い伝えから、腹黒い人や老獪(ろうかい)な人を指して言う言葉。。
・下腹者
(したはらもの) 二心(ふたごころ)ある人。
・舌は禍の根
(したはわざわいのね)[=門(かど) 言葉は禍を招く元。禍は多く言葉から起こるものであるということ。 類:●
舌の剣は命を絶つ口は禍の門
・下火になる(したびになる) 1.火の勢いが衰える。多く、火事について言う。 例:「火事はもう下火になった」 2.転じて、ものごとの勢いが弱まること。盛りを過ぎて勢いがなくなること。 例:「韓流ブームは下火になった」
・下紐解く
(したひもとく) 1.相手に思われていると自分の下紐が自然に解(ほど)けるという俗信から、下紐が解ける。また、花が開くこと。 用例:伊勢−111「恋しとは更にもいはじしたひものとけむを人はそれと知らなん」 2.下紐を解いて衣服を脱ぐという意味で、男女が共寝をする。身を任せる。 類:●下紐を許す 用例:伊勢−37「われならでしたひもとくな朝がほのゆふかげ待たぬ花にはありとも」
・下紐を許す
(したひもをゆるす) 女性が男性に肌身を許す。女性が男性に身を任せる。
・下目に見る
(しためにみる)[=懸(か)く] 人を軽んじる。軽蔑する。見下(くだ)す。 類:●三下に見る
・舌も引かぬ内
(したもひかぬうち) まだ言い終わらない。言い終えてすぐ。 類:●
舌の根の乾かぬ内
・舌柔らか
(したやわらか) すらすらと、ものを言う様子。
・しだらでん 大雨や大風の様子を形容する言葉。どよめき騒ぐこと。 用例:俳・犬子集−三「五月雨や山鳥の尾のしだらでん」 
★「震動雷電」からの変化。
・したり顔
(したりがお) 巧くやったと言わんばかりの、得意げな顔つき。自慢げな様子。 類:●自慢顔 用例:−185「したり顔なるもの、正月一日に最初にはなひたる人」
・舌を返す
(したをかえす)[=が返る] 前言に沿わない行動をしたり、相手次第で違ったことを言ったりする。 類:●二枚舌を使う●
舌を二枚使う
・舌を出す
(したをだす) 1.陰で謗(そし)ったり、嘲(あざけ)ったりする。 例:「腹の中では舌を出しているに違いない」 2.自分の失敗を恥じたり、誤魔化そうとしたりする仕種(しぐさ)。
・舌を鳴らす
(したをならす) 1.相手を感嘆、賛美する気持ちを表す動作。2.軽蔑(けいべつ)や不満などの気持ちを表す動作。
・舌を二枚に使う
(したをにまいつかう) 二通りの言い方をするという意味から、前後の言葉が矛盾していたり、話す相手によって違った言い方をしたりすることをたとえていう場合に用いる。 類:●二枚舌を使う●舌を返す
・舌を吐く(したをはく) 酷(ひど)く呆れる。 用例:金色夜叉「直行は舌を吐きて独語(ひとりご)ちぬ」
・舌を振る
(したをふる) 驚き恐れる。 類:●
舌を巻舌を振るう 用例:保元−上「人目をおどろかし、舌を振らずといふものなし」
・舌を振るう
(したをふるう) 1.弁舌を振るう。雄弁を振るう。 2.非常に驚き恐れること。 類:●
舌を振る
・舌を巻く
(したをまく) 1.相手に言い込められたり、圧倒されたりして沈黙する。2.驚きや恐れのため、または、感嘆して、言葉も出ない状態。 出典:「漢書−揚雄伝」
・地団太を踏む
(じだんだをふむ) 怒りや悔しさに身悶(みもだ)えしながら、激しく地を踏み鳴らす。 類:●地踏鞴(じたたら)を踏む

−−−−−−−しち(#siti)−−−−−−−
・四知
(しち) 1.二人の間の密事でも、いつか必ず他に漏れるということ。 類:●天知る、地知る、我知る、人知る 出典:「後漢書−楊震伝」「震畏四知、秉去三惑」 2.金(かね・きん)の異称。
・七五三の御馳走もお茶一杯(しちごさんのごちそうもおちゃいっぱい) 「七五三」は、祝儀の馳走で、本膳に七菜、二の膳に五菜、三の膳に三菜を出すもの。どんなに立派な御馳走であっても不味(まず)いお茶一杯で駄目になってしまうということ。お茶の吟味を忘れてはならないということ。[五島民俗図誌]
・七五三の料理も大根が出ねば整わず
(しちごさんのりょうりもだいこんがでねばととのわず) 豪華な料理も必要な大根がなくては纏(まと)まらないという意味で、どんなに大勢の人が集まっても重要な人が一人欠けてはどうにもならないことの喩え。
・七尺去って師の影を踏まず
(しちしゃくさってしのかげをふまず) 師に随行する場合、後ろに離れて、師の影を踏まないようにすべきである。弟子は師を尊(たっと)んで、礼儀を失わないようにするべきだという戒め。 類:●三尺去って師の影を踏まず 出典:「童子教」「去七尺師影不可蹈
・七縦七擒
(しちしょうしちきん) 《四熟》 1.敵を七度逃がしてやり、七度虜(とりこ)にする。戦(いくさ)などで敵を弄(もてあそ)ぶこと。2.物分かりの悪い人にも根気よく対応すれば、納得させることができる。 
故事:三国志−蜀志・諸葛亮伝」 諸葛亮が、南蛮王の孟獲(もうかく)と戦い、7回捕らえて陣中を全て見せて7回釈放したところ、孟獲は蜀にはどんなことをしても勝てないと悟り、心から蜀に服従した。
・七転八倒(しちてんばっとう・はっとう) 《四熟》 転んでは起き、起きては転ぶという意味で、苦痛のあまり転げ回って悶え苦しむこと。また、混乱が甚だしいこと。 類:●しってんばっとう 例:「七転八倒の苦しみを味わう」
・死地に陥れて後生く(しちにおとしいれてのちいく) 自分の軍を一度窮地に陥れ、必死の覚悟で戦わせて初めて、活路を見いだすことができる。 出典:「孫子−九地」「死地、然後生、夫衆陥於害、然後能為勝敗」
・七年の病に三年の艾を求む
(しちねんのやまいにさんねんのもぐさをもとむ) 治癒に七年要する病気に罹った者が、育てるのに三年掛かる艾を買うのでは間に合わない。政治を行なう場合も同様で、事が起こってからではなく、日頃から配慮していなければ、咄嗟(とっさ)のときに何もできない。 出典:「宋名臣言行録−范純仁」
七歩の才(しちほのさい)
・しち面倒臭い
(しちめんどうくさい) とても面倒で煩(わずら)わしい。 例:「しち面倒臭い手続き」 
★「しち」は接頭語<国語大辞典(小)>
・死中に活を求む
(しちゅうにかつをもとむ)[=生(せい)を〜] 絶望的な状態の中でも、なお生きるべき道を捜し求める。難局を打開するために、進んで危険に立ち向かう。 出典:「後漢書−岑苓伝」
・七里結界
(しちりけっかい) 《四熟・仏教用語 1.密教で、魔障を入れないため、七里四方の所に境界を設けること。空海は高野山建立の際この結界の法を修(しゅう)したとされる。2.ある人やものごとを忌み嫌って近づけないこと。人を寄せ付けないこと。人を避けること。 類:●しちりけっぱい●しちりけんばい

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