【かま】~【かを】
・噛ませ犬(かませいぬ) 1.闘犬用語から。闘犬の試合前に、出場する犬に自信を付けさせるために、わざと噛まれる犬のこと。2.転じて、誰かの引き立て役になること。また、その人。
・噛ませて呑む(かませてのむ) 人に噛み砕かせたものを呑むという意味で、人の骨折りによって功を納めること。
・蒲魚(かまとと) 分かり切っていることを知らないような振りをすること。また、その人。特に、初心(うぶ)な振りをする女性を指す。近世末に上方の遊里で用い始めた言葉。 類:●猫被り ★自分に付いたお客との世間話の中で、 「世の中に蒲鉾という美味しい食べ物があるそうだけれど、それはお魚ですか」などと言って、知っていながら、敢えて世間知らずを装い、男心を擽(くすぐ)ったといわれる。
・竈を起こす(かまどをおこす) → お釜を起こす
・鎌輪奴(かまわぬ) 江戸時代、明暦から元禄の頃まで町奴の間で流行した衣服の模様。鎌の絵に丸い輪と「ぬ」の文字を配したもの。「構わぬ」と読ませる洒落。
・鎌を掛ける(かまをかける)[=引っ掛ける] 1.自分が知りたいと思っていることを、相手が不用意に喋るように、巧みに誘いを掛ける。2.それとなく気を引く。誘惑する。 ★語源は未詳。「甑(こしき)」や「桶(おけ)」を作る時に、寸法を計る道具を「かま」と呼び、「かま」で寸法を確認することを「かまをかける」と言っていたことによるとも。喧(やかま)しい意味の「囂し(かまし)」に「かける」を加え、相手にやかましく喋らせ、うまく聞き出す意味になったとも。蟷螂(かまきり)や猫の「鎌掛け」の動作からか(蟷螂の異名は「鎌掛け」)とも。
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・噛み合う犬は呼び難し(かみあういぬはよびがたし) 喧嘩をしている犬を呼んでも、来はしない。目の前のことに手一杯で、何を言われても耳に入らないことの喩え。 類:●闘雀人に怖じず●戦う者はその身を忘るるものなり
・紙一枚(かみいちまい) 紙一枚ほどの僅(わず)かなものもという意味。1.下に打消しの語句を伴って、その事実、結果などの全くないことを強調する表現。 用例:今昔−二九・三六「盗人に紙一枚取らるる事なかりけり」 2.極めて価値が低いことを喩えて言う。 例:「お前の命なんて紙一枚の値打ちもない」
・紙一枚の主となる(かみいちまいのぬしとなる) 一枚の紙に戒名(かいみょう)を留めるだけになるということで、死ぬこと。
・神掛けて(かみかけて) 神に誓ってという意味で、自分の行動、言語、考え、判断などが確かであることを強調するのに用いる。 類:●誓って●必ず
・神風タクシー(かみかぜたくしー) スピードを出して無茶な運転をするタクシーのこと。
・上方贅六(かみがたぜいろく) 《四熟》 江戸で、上方の人を卑しめたり罵ったりして言った言葉。 ★「せいろく」は上方で丁稚(でっち)のことをいう隠語「さいろく」の江戸なまり<国語大辞典(小)>
・神が手(かみがて) ここでの神は海神のことで、海神の手中にあること。転じて、恐ろしい荒海。
・噛み砕く(かみくだく) 1.固い物を歯で噛んで細かくする。 用例:太平記−一二「柘榴を取りてかみ摧(クダ)き」 2.難しいことを分かり易くする。 例:「易しく噛み砕いて説明する」
・紙子着て川へ嵌まる(かみこきてかわへはまる)[=入る] 無分別な事や無謀な事をして自ら破滅を招くこと。 類:●墓穴を掘る
・紙子の火打ち膝の皿(かみこのひうちひざのさら) 貧乏なこと。 ★「火打」は、紙子の袖の付け根のほころびやすい部分にあてる火打金の形をしたもの。「膝の皿」は、貧乏のさまをいう「向脛(むこうずね)から火が出る」の句から、「火打」の「火」と頭韻を合わせていい続けたもの<国語大辞典(小)>
・噛み殺す(かみころす) 1.噛み付いて殺す。食い殺す。 用例:太平記−二九「人をさへ咀殺(カミコロ)し候ひける程に」 2.欠伸(あくび)や笑いが出ないように、口を閉じ歯を食い縛って我慢する。 例:「笑いを噛み殺す」
・上材を求むれば臣は木を残う(かみざいをもとむればしんはきをそこなう) 君主がちょっとした木材を必要とすると、臣下の者は木を全て伐り倒してしまう。上に立つ者の些細な言葉は、下の者にとっては、弊害が生じるほど大きな言葉となるということ。 出典:「淮南子−説山訓」「上求材臣残木、上求魚臣乾谷」
・裃を着る(かみしもをきる) 礼儀正しく、堅苦しい態度を取る。 例:「裃を着た付き合い」
・裃を脱ぐ(かみしもをぬぐ) 堅苦しく四角ばった態度をやめる。気楽に打ち解ける。 例:「裃を脱いで話し合いましょう」
・髪筋ほども(かみすじほど) 非常に少ない、また、小さいことの喩え。 類:●少しも 用例:仮・竹斎−上「智慧はかみすぢ程も無くて」
・剃刀の刃を渡る(かみそりのはをわたる)
・噛み付く(かみつく) 1.歯で食い付く。 用例:虎寛本狂言・鏡男「腹を立て、わらはにかみ付様に致す」 2.攻撃的な態度で、欠点を責め立てたり、文句を言ったりする。激しく議論を吹っ掛ける。 類:●食って掛かる 用例の出典:鏡男(かがみおとこ) 狂言。各流。鏡を知らない妻が、夫の土産(みやげ)の鏡に映った自分の顔を見て、夫が都から女を連れて帰ってきものと勘違いして喧嘩になる。
・神ならぬ身(かみならぬみ) 神でない、能力に限りのある、人間の身。 類:●凡夫の身
・神ならば神(かみならばかみ) 本当に神であるならば霊験を現わし給(たま)え、と神に向かって呼び掛ける言葉。
・雷落とし(かみなりおとし) 天窓などから細い縄などで室内に忍び入る泥棒のこと。
・雷親父(かみなりおやじ) 口喧しい父親。何かにつけ、すぐ怒鳴り付ける父親。
・雷が落ちる(かみなりがおちる) 目上の人から怒鳴り付けられること。酷(ひど)く叱られること。
・雷が鳴れば梅雨が明ける(かみなりがなればつゆがあける) 天気の諺。梅雨明けの頃に雷が鳴ると、それが梅雨明けの印であるということ。農事などに取り掛かる準備をすべきであるということ。 ★梅雨の末期の頃になると、晴れている日の午後に「熱雷(ねつらい)」が発生し易くなることから言う。
・紙に捻る(かみにひねる) お金や菓子などを懐紙(かいし)に包み、その上の方を捻って締める。また、子供などにお捻りを贈る。
・神の正面仏のま尻(かみのしょうめんほとけのしり) 神棚は正面の高い所に、仏壇は陰に設けるべきものだということ。
・髪の長きは七難隠す(かみのながきはしちなんかくす) 女性の髪の長いことは、他の欠点を隠してしまうということ。 類:●色の白いは七難隠す
・神の神庫も梯のままに(かみのほくらもはしだてのままに) 高く近寄り難いところでも梯子を架ければ上れるということから、どんなに困難なことでも、適切な手段を用いれば成し遂げることができるということ。
・神は幸運の凡夫を守る(かみはこううんのぼんぷをまもる) 神は幸運に恵まれた人を守ることはできるが、悲運な者までも救うことはできないということ。 類:●医は死なざる病人を治す
・神は正直の頭に宿る(かみはしょうじきのこうべにやどる) 神様は正直な人を守護し給う。正直に生きていればやがて良いことがある。 類:●正直の頭に神宿る 反:■正直者が馬鹿を見る
・神は非礼を受けず(かみはひれいをうけず) 正しくない目的で神を祀(まつ)っても、神はその心をお受けにならないということ。
・神は見通し(かみはみとおし)[=お見通し] 神はどんな小さなことでも見ていて、なんでもご存じであるから、誤魔化(ごまか)すことはできないという戒め。 類:●天は見通し●お天道様はお見通し
・紙一重(かみひとえ) 物と物との間隔や隙間が極めて薄いこと。また、数量や程度の差が極めて僅(わず)かであること。 例:「馬鹿と天才は紙一重」
・神も仏もない(かみもほとけもない) 1.慈悲を垂れて下さる神も仏もないということで、無慈悲、薄情なこと。 類:●血も涙もない 用例:義経記−巻七・判官北国落の事「残りの山伏共も、理なり、誠に世には神も仏もましまさぬかとて」 2.神も仏も眼中になく、ただそのものだけが大切であるという意味で、大事にし、尊敬する対象がそれ以外にはないということ。
・上漏り下潤う(かみもりしもうるおう) 上に立つ為政者が情け深い政治を行なえば、下々の人民は潤って豊かになるものだということ。
・髪結いの亭主(かみゆいのていしゅ) 妻の働きで生活している夫のこと。
・髪結いの乱れ髪(かみゆいのみだれがみ) 他人のことで忙しくて、自分に構っていないこと。 類:●紺屋の白袴
・神代の風(かみよのかぜ) 神代の昔から変わらず伝えられている慣わし。 用例:光悦本謡曲・難波「神代のかぜのどかにつたはり」 用例の出典:難波(なにわ) 謡曲。世阿弥元清。成立未詳。熊野参りの帰りに立ち寄ったとある梅の木の謂われと、それに纏(まつ)わる仁徳帝の故事。百済から来た王仁(おうにん)、此花咲也姫(このはなさくやひめ)が登場する。
・髪を下ろす(かみをおろす)[=落とす] 髪を剃り落として僧になること。また、髪を短く切って尼になること。 類:●剃髪(ていはつ)する●落飾する
・上を学ぶ下(かみをまなぶしも) 下にある者は、上にある者を真似ながら学ぶものである。
−−−−−−−かむ(#kamu)−−−−−−−
・噛む馬は終いまで噛む(かむうまはしまいまでかむ) 生まれ付き不良なものは、一生不良で終わるということ。悪い癖は中々治らない。 類:●雀百まで踊り忘れず●三つ子の魂百まで●木の曲がりは直れども人の曲がりは直らぬ
・我武者羅(がむしゃら) 一つのものごとに滅茶苦茶に突き進むこと。向こう見ずに打ち込むこと。 類:●一心不乱●遮二無二 例:「我武者羅に勉強する」 ★「我武者」は、「がむさぼり(我貪)」の変化か。「武者」は当て字<国語大辞典(小)>
−−−−−−−かめ(#kame)−−−−−−−
・がめつい 強欲である。利益に対して抜け目がない、けちでそつなく稼(かせ)ぐ、がっちりしている、などの意味。 例:「がめつく金を貯め込んでいる」 ★関西方言の「がみつい」と俗語の「がめる」との結合からか<国語大辞典(小)> ★関西方言をもとにした造語か。昭和34年(1959)初演の菊田一夫の戯曲「がめつい奴(やつ)」から流行語として広まった<大辞泉(小)>
・亀の甲より年の功(かめのこうよりとしのこう)
・亀の年を鶴が羨む(かめのとしをつるがうらやむ) 千年の寿命を保つという鶴が、万年の亀を羨ましがるという意味で、欲には際限の無いことの喩え。
・亀は万年(かめはまんねん) 亀が長寿であること。また、亀にあやかって長寿を祝う言葉。 類:●鶴は千年
・亀山のお化け(かめやまのおばけ)[=化け物] 心が変わり易くて、職業などを度々変えることの喩え。 参考:江戸時代、天明から文化頃、江戸浅草雷門内日音院の門前で売られた小さな玩具。数え唄に合わせて、底に仕掛けのある割竹の上に乗った人形の笠が飛び、猿が出たりまた意外な姿に変化したりするもの。
・仮面を被る(かめんをかぶる) 仮面を顔に付けること。転じて、本心や本性を隠して偽りの姿や態度を繕うこと。
−−−−−−−かも(#kamo)−−−−−−−
・鴨が葱をしょって来る(かもがねぎをしょってくる)
・可も無く不可も無し(かもなくふかもなし) 1.言動に行き過ぎや不足がなく、適切である。中道を得ている。 出典:「論語−微子」「我則異於是、無可無不可」 2.特に良くもなく、また、悪くもない。欠点もない代わりに、取り立てていうほどの長所もない。平凡である。 類:●沈香も焚かず屁も放らず
・鴨の味(かものあじ) 1.鴨の美味なことから、とても好い味であること。転じて、ものごとが甚(はなは)だしく好い感じ。 例:「従兄同士は鴨の味」 2.特に、夫婦生活の楽しい味わいを指して言う。
・鴨の足は短けれども継げば憂う(かものあしはみじかけれどもつげばうれう)[=脛(はぎ)は〜][=継ぐべからず] 鴨の足は短いが継ぎ足す訳には行かないということから転じて、それぞれ持ち前のものがあるので、無闇に改めることをしないでそれぞれに応じた天分に安んずるべきであるということ。 出典:「荘子−駢拇」「長者不為有余、短者不為不足、是故鳧脛雖短、続之則憂、鶴脛雖長断之則悲、故性長非所断、性短非所続、無所去憂也」
・鴨の水掻き(かものみずかき) 鴨は水面を気楽そうに泳いでいるが、水面下では絶えず水掻を動かしているところから、何事もないように見えて、実は人知れぬ苦労をしていることを喩えて言う。 ★掛け詞として「賀茂の瑞垣(みずかき)」にかける<国語大辞典(小)>
・鴨る(かもる) 相手を巧く利用して利益をせしめること。勝負事や詐欺などで相手を食いものにすること。 例:「麻雀で鴨られる」 ★「かも(鴨)」を動詞化した語<国語大辞典(小)>
・下問を恥じず(かもんをはじず) 「下問」は、目下の者や部下にものごとを尋ねるという意味で、知らないことは、誰に聞いても恥ずかしい事ではないということ。教訓として用いる。 類:●下聞(かぶん)を恥じず●知らざるは人に問え 出典:「論語−公冶長」「子貢問曰、孔文子何以謂之文也。子曰、敏而好學、不恥下問、是以謂之文也。」
−−−−−−−かや(#kaya)−−−−−−−
・茅が軒(かやがのき) 茅葺(ぶ)きの家。比喩的に、粗末な家のこと。
・蚊帳の外(かやのそと) 事が行われている場の外に居ること。局外に置かれて、内情を関知できないこと。
−−−−−−−かゆ(#kayu)−−−−−−−
・痒いところに手が届く(かゆいところにてがとどく)
−−−−−−−かよ(#kayo)−−−−−−−
・通う神(かようかみ) 江戸時代、遊女が手紙の封じ目に、無事に届くようにとの願いをこめて書いた文句。または、そう書いた客宛ての手紙。 類:●〆
−−−−−−−から(#kara)−−−−−−−
・空馬に怪我なし(からうまにけがなし) 無一文の者は損のしようがないということの喩え。 類:●裸馬に怪我なし
・唐傘一本(からかさいっぽん) 破戒僧が寺を追放されること。寺を追放される時、唐傘を一本だけ持つことを許されたところから。 類:●出家一本傘
・柄が悪い(がらがわるい) 性格や性質が悪い。身なりや態度が悪い。品(ひん)がない。 例:「ああいう柄の悪い奴らとは付き合うな」
・辛き命(からきいのち) 1.辛うじて助かった命のこと。 用例:平家−六「からき命生きて、川より東へひきしりぞく」 2.細々と暮らしている命のこと。 用例:読・弓張月−後「からき命を繋ぎつつ」
・からきし・からっきり・からっきし 主に、後に否定表現や否定的な意味を含む言葉を伴(ともな)う。 まるっきり。てんで。全然。 例:洒・繁千話「馬骨はからっきりの文盲ゆへ」 例:「酒はからきし飲めません」 用例の出典:繁千話(しげしげちわ) 洒落本。山東京伝作・画。寛政2年(1790)。「洒落本は、通を描くにあらず半可通を描くにあり、馬骨なる半可通を描く」として、それまでのこじつけ・洒落・穿(うが)ちに留まらず、人物の心理描写にも広げた作。『洞房妓談繁々千話』。
・絡繰り人形(からくりにんぎょう) 糸やゼンマイなどの仕掛けで動くように作ってある人形から転じて、他人の意のままに動く人。他人に操られる人のこと。
・唐崎の松(からさきのまつ) 地口の一つ。 唐崎の松は「唐崎の一ツ松」「唐崎の弧松」と呼ばれることから、一つしか無いということの言葉遊び。 例:「唐崎の松で一つきり」 ★近江八景の一つとして有名。 ★謡曲「三井寺」に「唐崎の一つ松」として登場する。
・烏が鵜の真似(からすがうのまね) → 鵜の真似をする烏
・烏が籌木銜えたよう(からすがちゅうぎくわえたよう) 色の黒い者が、普段飲みつけない巻き煙草を吸っている様子を冷やかしていう言葉。 ★「籌木」は、用便の際に尻を拭う木片。 ★青森のことわざ。
・烏に反哺の孝あり(からすにはんぽのこうあり)
・烏の足跡(からすのあしあと) 《俗》 目尻にできる小さい皺(しわ)のこと。多く、女性の皺に対して使う。 ★英語「crow’s-foot」から。
・烏の頭が白くなる(からすのかしらがしろくなる) 容易に起こり得ないこと、有り得ないことの喩え。 故事:「史記−刺客伝賛注」・「燕丹子」 中国の戦国時代、秦に人質となっていた燕の太子、丹が帰国を望んだところ、秦王が「烏の頭が白くなり、馬に角(つの)が生えたら許可しよう」と答えたという。 類:●烏頭白●烏頭変毛 出典:燕丹子(えんたんし) ・・・調査中。 人物:燕丹(えんたん) 戦国時代、燕の国の太子。荊軻(けいか)に秦の始皇帝を暗殺させようとして失敗した。父、燕王喜は丹を切り、秦に献じた。
・烏の行水(からすのぎょうずい) 入浴で、ゆっくり洗うこともしないで、すぐに出てしまうこと。 類:●烏浴び
・烏の雌雄(からすのしゆう) 烏の雄雌(おすめす)のように、よく似ていて区別し難いものの喩え。 出典:「詩経−小雅・正月」「具曰予聖、誰知烏之雌雄」
・烏は口ゆえに憎まる(からすはくちゆえににくまる) 服装や顔形では憎まれないが、口の利き方が悪いと憎まれるということの喩え。 類:●烏は色の黒いに憎まれんで口に憎まる●口は禍の門
・烏は自分の子が一番美しいと思っている(からすはじぶんのこがいちばんうつくしいとおもっている) 多くの親は、その愛情ゆえに、我が子を客観的に見ることができないものである。 類:●親の欲目●親の目は贔屓目●親馬鹿 ★英語の諺The crow thinks her own bird fairest.から。
・烏を鵜に使う(からすをうにつかう) 能力のない者を、才能を必要とする重要な地位に置くこと。
・烏を鷺(からすをさぎ) 理を非に、非を理に言い包(くる)めること。不合理を押し通すこと。黒を白ということ。 類:●鷺を烏
・唐竹を割ったよう(からたけをわったよう) → 竹を割ったよう
・枳殻になる(からたちになる) 木が変わるところから、気が変わるの洒落(しゃれ)。心を入れ替える。改心する。 用例:雑俳・柳多留−七「からたちに成てかん当ゆるす也」 参考:江南の橘(たちばな)が江北に移されて枳(からたち)になるという中国のことわざによる。
・体を惜しむ(からだをおしむ) 労力を惜しむ。 類:●骨惜しみをする●怠(なま)ける
・体を粉にする(からだをこにする) 苦労を厭(いと)わず、一所懸命骨折って尽くすこと。 類:●身を粉にする●粉骨砕身する
・体を張る(からだをはる) 一身を擲(なげう)って行動する。命懸けでする。
・空っ穴(からっけつ) 1.まったく何もないこと。 類:●無一物●空っぽ 用例:人情穴探意の裡外−二「たんすはさっぱり空虚(カラケツ)」 2.特に、財布の中に一文もないこと。 類:●一文なし●空穴●おけら ★芝居者の通言から出て文化・文政期に流行した語。空(から)の穴の意から<国語大辞典(小)> 用例の出典:人情穴探意の裡外(にんじょうあなさがし??) 滑稽本。・・・調査中。
・がらっぱち 言葉遣いや行為が粗野で、落ち着きがないこと。またそういう人。 ★「がら」は、がらがらしたの意<国語大辞典(小)>
・空唾を飲む(からつばをのむ) ご馳走を出されたり、あることに出会って酷く緊張したりしたときなどに、思わず唾液を飲み込む。
・空鉄砲(からでっぽう) 事実ではない話。 類:●法螺(ほら)●大言●鉄砲 用例:滑・人間万事虚誕計−自序「或はヨタロウ殻鉄炮(カラデッパウ)」 用例の出典:人間万事虚誕計(にんげんばんじうそばっかり) 滑稽本。前編は式亭三馬、文化10年(1813)。後編は滝亭鯉丈、天保4年(1833)。・・・詳細調査中。
・辛党(からとう) 菓子類などの甘いものよりも酒類の好きな人。 類:●酒飲み●左党 反:■甘党
・柄にもない(がらにもない) 地位や能力・性格などに相応(ふさわ)しくない。 例:「柄にもなく緊張している」
・空念仏(からねんぶつ・そらねんぶつ) 1.信仰心なく、口先だけで念仏を唱(とな)えること。また、心が篭もっていない信仰の喩え。 用例:俳・文政句帖−五年六月「久かたの人目ばかりは有明のつきづきしさの空念仏かな」 例:「親の小言を空念仏のように聞き流す」 2.実行が伴わないで口先だけでする、表面だけは立派な主張。 例:「選挙公約は往々にして空念仏に終わる」
・唐へ投げ金(からへのなげがね)[=への〜] 利益がなく、金を無駄に使うことの喩え。 ★江戸幕府が鎖国以前に行なった朱印船貿易への投資は、無事帰国すれば大きな利益を上げるが、海難のときは元も子もなくなるところから言われた<国語大辞典(小)>
・空回り(からまわり) 1.車や機関などが、無駄(むだ)に回転すること。 類:●空転 2.転じて、行動や考えが、同じところを回っていて一向に発展しないこと。 例:「議論が空回りする」
・殻を言う(からをいう)[=抜かす] 法螺(ほら)を吹く。 用例:伎・伊勢平氏梅英幣−大切「大風に、からを云うても」 ★一説に「から」はほら貝の殻の意という<国語大辞典(小)> 用例の出典:伊勢平氏額英幣(いせへいじうめのみてぐら) 歌舞伎。鶴屋南北(四世)、松井由輔(二世)、勝兵助、松井幸三(二世)合作。文政3年(1820)。6幕。・・・詳細調査中。
・空を踏む(からをふむ) 目当てが外れて目的が達せられないこと。また、一文にもならない時にいう。 類:●無駄足を踏む 用例:伎・日本晴伊賀報讐−六幕「尋ねて行ったら空(カラ)を踏み」 用例の出典:日本晴伊賀報讐(にほんばれいがのあだうち) 歌舞伎。河竹黙阿弥。・・・詳細調査中。 人物:河竹黙阿弥(かわたけもくあみ) 幕末・明治初期の歌舞伎脚本作者。江戸の人。1816〜93。本姓吉村、のち古河。名は芳三郎。俳名其水。五世鶴屋南北の門に入り、初世勝諺蔵(かつげんぞう)を名のる。のち二世河竹新七を襲名。特に世話物に優れ、活歴物、散切物にも多くの作品を残し、江戸歌舞伎の集大成者とされる。作品「三人吉三廓初買」「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)」「島鵆月白浪(しまちどりつきのしらなみ)」など。
−−−−−−−かり(#kari)−−−−−−−
・我利我利亡者(がりがりもうじゃ) 他人の迷惑などお構いなして、自分の利益ばかりを追い求める者を罵(ののし)って言う言葉。他人への思いやりがまったくない者。 類:●我利我利坊主●利己主義者
・仮初め(かりそめ) 1.永久でないこと。ほんの一時のこと。間に合わせ。 類:●その場限り●かりさま 例:「仮初めの縁」 用例:源氏−賢木「いたやどもあたりあたりいとかりそめなり」 2.実意なく疎(おろそ)かなこと。軽々しい様子。好い加減な様子。 類:●等閑(なおざり)●気紛れ 例:「仮初めに声を掛ける」「仮初めの恋」用例:古今−八四二「あさ露のおくての山田かりそめにうき世中をおもひぬるかな」 3.些細なこと。ちょっとしたこと。ふとしたこと。 例:「仮初めの病」「仮初めならぬ恩」 用例:源氏−須磨「かりそめの道にても、かかる旅をならひ給はぬ心地に」
・駆り出す(かりだす) 促(うなが)して引っ張り出す。 例:「溝掃除に駆り出される」
・借りてきた猫(かりてきたねこ) 普段とは違って、大変大人しくしている様子。 ★英語では、「as meek as a lamb」「as quiet as a mouse」などと言う。
・雁の玉梓(かりのたまずさ)・玉章[=便り] 手紙、消息。 類:●雁書
・雁の使い(かりのつかい)[=伝(つて)・土産(つと)] 1.手紙を伝える使いとしての雁。 類:●雁金の使い 参照:雁書 2.転じて、手紙、消息。 類:●雁の玉章
・画龍点睛(がりょうてんせい・がりゅうてんせい)
・画竜点睛を欠く(がりょうてんせいをかく) ほぼ完全な状態でありながら、重要な一点だけ不十分な個所があることの喩え。
・迦陵頻伽の雄鳥(かりょうびんがのおんどり) 実際にはこの世にいないものの喩え。 参考:「迦陵頻伽」は、極楽浄土にいるという鳥で、顔は美女のよう、声が非常に美しいという。美しい芸者や花魁(おいらん)、美声の芸妓を喩えても言った。
・臥龍鳳雛(がりょうほうすう) 《四熟》 地に伏す龍や鳳の雛(ひな)という意味で、今は時を得ず野(や)に隠れている英雄や大人物のこと。 出典:「資治通鑑−漢・献帝紀」「徳公嘗謂孔明為臥竜、士元為鳳雛、徳操為水鑑」
−−−−−−−かる(#karu)−−−−−−−
・軽口立て(かるくちだて) 得意になって、人を笑わせようと軽妙な話をすること。 用例:浄・心中天の網島−中「あほうのくせにかる口だて」 用例の出典:心中天の網島(しんじゅうてんのあみじま) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。享保5年(1720)大坂竹本座初演。同年10月、天満の紙屋治兵衛と曾根崎新地の紀伊国屋小春が、網島の大長寺で心中した事件を脚色した際物(きわもの)。近松の世話狂言のうちもっとも成功したもので、心中物の代表作。
・借る時の地蔵顔、済す時の閻魔顔(かるときのじぞうがお、なすときのえんまがお)[=返す時の〜] 他人から金銭などを借りる時はにこにこした人が、それを返済するときは渋い顔をするということ。 類:●用ある時の地蔵顔、用なき時の閻魔顔
・軽弾み(かるはずみ) 1.ちょっとしたこと。些細なこと。 用例:浮・好色旅日記−二「湯水つかふほどまきちらしても高のしれた軽はづみ」 2.言動が軽々しいこと。 類:●軽率 用例:浮・風俗遊仙窟−一「御辺の体相是を望むにおもおもしからず、軽はづみなる様也」 用例の出典:風俗遊仙窟(ふうぞくゆうせんくつ) 浮世草紙。5巻合1冊。延享元年(1744)。寸木主人。・・・詳細調査中。
−−−−−−−かれ(#kare)−−−−−−−
・枯木に花(かれきにはな)
・枯木も山の賑わい(かれきもやまのにぎわい)
・彼と言い此と言い(かれといいこれといい) 二つの事柄を挙げて、どちらも。 類:●あれもこれも
・彼も一時此も一時(かれもいちじこれもいちじ) あれもこれもすべて一時のことだという意味で、世間のことは変転して一定せず、栄枯盛衰も一時限りだということ。 出典:「孟子−公孫丑・下」「彼一時、此一時也。五百年必、有王者興」による。
・彼も人なり我も人なり(かれもひとなりわれもひとなり)[=是(これ)も〜] 人のできることなら自分にもできない筈がない。 類:●彼も丈夫なり我も丈夫なり 出典:韓愈「原毀」「彼人也、予人也」 韓愈が、古代の君子・舜(しゅん)に近付こうと願って書いたもの。
・彼を知り己を知れば百戦殆からず(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず) 敵、味方の情勢を熟知して戦えば、何度戦っても敗れることはない。 出典:「孫子−謀攻」「知彼知己、百戦不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戦必敗」 ★「敵を知り・・・」とするのは誤用。
・苛斂誅求(かれんちゅうきゅう) 《四熟》 「苛斂」は苛酷に取り立てる、「誅求」は責め求めるという意味で、責めて厳しく取り立てること。主に、税金、年貢などに使う。 類:●膏血(こうけつ)を絞る
−−−−−−−かろ(#karo)−−−−−−−
・蝸盧(かろ) 蝸牛(かたつむり)の殻に喩えて、小さい家。狭く粗末な住居。また、転じて、自分の家のことを遜(へりくだ)って言う言い回し。
・夏炉冬扇(かろとうせん) 《四熟》 無用なものの喩え。時機を逸してはなんの役に立たないということの喩え。 類:●冬扇夏炉●寒に帷子(かたびら)土用に布子(ぬのこ)●六日の菖蒲●十日の菊 出典:「論衡−逢遇」 出典:論衡(ろんこう) 中国の雑家書。30巻。後漢の王充撰。90年完成。君主が良い政治を行なわないと天が地上に災いを及ぼすという天人相関説を単なる自然現象とみなし、天の意志を否定し、無意志な力「気」が万物の生成変化を支配するとし、鬼神の存在を否定した。当時の国教の儒教をも強く批判したもの。
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・可愛い子には旅をさせよ(かわいいこにはたびをさせよ)
・可愛さ余って憎さ百倍(かわいさあまってにくさひゃくばい) 人を愛するあまり、却(かえ)ってその人を憎み、また、呪うようになることがある。 類:●思えば呪う●余桃の罪 反:■憎い憎いは可愛いの内
・可哀相(かわいそう)・可哀想 哀(あわ)れで、人の同情を誘うような様子である。気の毒で、直視できないような様子である。不憫(ふびん)である。 用例:咄・無事志有意−はやり諷「かわいそふに、おとなしくしている物を」 ★「可哀相」「可哀想」は、当て字。 ★「かわいい」は「顔映(は)ゆし」からの転で、『恥ずかしくて顔が火照(ほて)る→見るに忍びない→気の毒で見ていられない→可憐だ→愛らしい』と意味が変遷し、現在では「愛らしい」の意味だけが残っている。本来の意味「見るに忍びない」は、「かわいそう」にだけ生きている。・・・現代の「可愛い」には様態の助動詞「そう(だ)」は使えない。
・皮が取れない(かわがとれない) 種子や果物が殻を被っていてまだ熟していないという意味から、未熟であること。 用例:浮・傾城禁短気−六「未だ上人にも皮(カハ)のとれぬ所がござる」
・皮か身か(かわかみか) 物の差別が付き難いこと、はっきり分からないことの喩え。 類:●身か皮か 用例:浄・五十年忌歌念仏−上「かはかみか合点がいかぬ」 用例の出典:五十年忌歌念仏(ごじゅうねんきうたねんぶつ) 近松門左衛門。宝永4年(1707)。処罰物。奉公先の娘お夏と密通の手代清十郎は、同僚が企んだ悪だくみを知って殺害しようとするが、誤って他の同僚を刺殺し逃亡。お夏も狂乱して後を追うという、おなじみの話<近松門左衛門でござーい!>
・皮切り(かわきり) 1.最初に据えるお灸(きゅう)のこと。 ★最初に据えるお灸は身の皮を切るように痛く感じたことから。 2.ものごとのし初め。ある行動をする、その第一着手。 類:●手始め 例:「話の皮切り」 用例:日葡辞書「カワキリガダイジヂャ」
・皮切りの一灸(かわきりのひとひ) 最初に据えるお灸。何事も最初は苦痛であるということの喩え。
・川竹の流れの身(かわたけのながれのみ)[=女] 遊女などの定めない身の上。 類:●浮き川竹●流れの身 ★「流れの身」に枕詞「川竹」が付いたもの<国語大辞典(小)>
・川に水を運ぶ(かわにみずをはこぶ) 水があり余っている川に水を運んでもなんの意味もない。無駄な骨折りの喩え。 類:●屋上屋を架す●泥裏に土塊を洗う●聾に耳擦り●才太郎畑へ行く●笊に水●水に絵を描く
・川の字(かわのじ) 三人が並んで川の字の形で寝る様子。特に、子供を中にして寝る形を言い、夫婦円満であることを表わす。
・皮一重(かわひとえ) 容貌が美しい醜いは、唯(ただ)一枚の皮膚の表面上のことであり、その下は皆同じであるということ。転じて、僅かな差異のこと。 類:●紙一重
・皮算用(かわざんよう) 「捕らぬ狸の皮算用」の略。不確実な事柄に期待を掛けて、まだ実現してもいないのに、あれこれ宛てにして計算すること。
・川立ちは川で果てる(かわだちはかわではてる) 川に育ち川に慣れた者は、兎角(とかく)油断のために川で死ぬことが多いということ。得意な技を持つ者も油断すれば失敗し、そのために却(かえ)って身を滅ぼすものだという喩え。 類:●泳ぎ上手は川で死ぬ●木登りは木で果てる
・川へ流す(かわへながす) 川に流した物は見る間に流れ去るという意味から、過去の争いや、揉(も)め事、それに伴う憎しみや恨みなどの感情を全て忘れてしまうこと。 類:●水に流す●水にする●思い切る
・変わり果てる(かわりはてる) すっかり変わってしまう。主に、悪い状態に一変するようなときに使う。 例:「変わり果てた姿」 用例:大和−一五七「男、妻まうけて心かはりはてて」 用例の出典:大和物語(やまとものがたり) 平安中期の歌物語。作者は在原滋春、花山院、敦慶親王侍女大和など諸説あるが未詳。天暦期頃の成立。170余段からなり、前半は歌語りの集成として天暦期を中心とした貴族社会における生活儀礼としての和歌の諸相を示し、後半約40段は、物語的、説話的傾向の大きい歌話を集めている。
・代わり番こ(かわりばんこ)・代わり番 互いに代わり合ってものごとをすること。交替で務(つと)めること。 用例:俳・生玉万句「かはり番余所目の関や霞むらん」 用例の出典:生玉万句(いくたままんく) 俳諧選集。寛文13年(1673)。井原西鶴撰。大坂の生玉で催された万句興行を編んだもの。自由な言語遊戯を目指す談林俳諧の新風を鼓吹した。寛文13年春興行6月刊行とみる説と、奥書を万句成就の日と考え6月の興行とみる説があるが、後者では追加発句の季が疑問として残る。 ★出雲説では、近世蹈鞴(たたら)製鉄の「鞴(ふいご)の踏み番「番子」が交代するところから」とするが、天秤鞴(てんびんふいご)の完成は元禄4年(1691)であり、用例の1673年より後である。出雲説は疑わしい。
・変われば変わる(かわればかわる) ものごとは、変わるとなると本当にすっかり変わるものだ。驚嘆の気持ちを込めて言う。 例:「へえ、彼が警察官とはね。変われば変わるもんだ」
・皮を被る(かわをかぶる) 本性や本心を包み隠す。 類:●猫を被る
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・柯を伐り柯を伐り其の則遠からず(かをきりかをきりそののりとおからず) 斧の柄にする枝を伐り取るのに、その大小長短は手元の斧の柄を手本にすればよい。よい手本となるものは身近にあるものだということ。 類:●殷鑑遠からず 出典:「詩経−广風・伐柯」「伐柯伐柯、其則不遠、我覯之子、尠豆有践」
・我を折る(がをおる) 意地を張ることを止め、他人の意見、指示などに従うこと。 類:●我意を曲げる●恐れ入る●角を折る
・蚊を殺すにはその馬を撃たず(かをころすには) 馬に停まった蚊を殺すために、馬まで傷付けてはなんにもならない。手段のために、根本の目的に悖(もと)るようなことは無意味であるという戒め。転じて、小事にかかずらって大事を忘れるなということ。
・華を務めて根を絶つ(かをつとめてねをたつ) 花を綺麗に咲かそうとして、却(かえ)って根を駄目にしてしまう。栄華にばかり目を奪われて、己の命を失ってしまうことの喩え。 出典:「史記−日者列伝」「王墮馬薨、誼不食、毒恨而死、此務華絶根者也」 ★司馬遷が、努力しながらも挫折した賈誼(かぎ)や宋忠(そうちゅう)を評した言葉。
・我を張る(がをはる)[=通(とお)す] 自分の思うことを押し通す。固執する。 類:●鷺を烏●這っても黒豆
・駕を枉ぐ(がをまぐ) 貴人が態々(わざわざ)訪れること。来訪することの尊敬語。 用例:明月記−治承四年九月二一日「大納言殿、右兵衛督、各被枉駕」 類:●枉駕(おうが) 用例の出典:明月記(めいげつき) 鎌倉初期、藤原定家の漢文体日記。その記事は治承四年(1180)から嘉禎元年(1235)に至るが、脱落している部分も多い。公武関係の事柄や和歌・故実について詳細に記されており、史料的価値は極めて高い。「照光記」とも。
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