【みあ】~【みそ】
・見上げたもんだよ屋根屋の褌(みあげたもんだよやねやのふんどし) 地口(じぐち)の一つ。上方を見る「見上げる」と、立派だの意味の「見上げる」を掛けて言う。 1.啖呵(たんか)売りの口上(こうじょう)の一つ。お客たちが立派な人であると煽(おだ)て上げて言う。 ★後に「見下げて掘らせる井戸屋の若後家」を付けても言う。 ★江戸時代末期に成立したと考えられる。 2.一般に、人や物が立派なものであるときに、少し囃(はや)して言う。
・見上げる(みあげる) 1.下から上を見る。上方を仰(あお)ぎ見る。 用例:落窪−一「なにぞとて、頭もたげてみあげ給ふは」 例:「星を見上げる」 2.人物や力量などを立派だと感心する。 反:■見下げる 用例:狂言記・鹿狩「さすが御坊、見あげました」 例:「見上げた根性だ」 用例の出典:鹿狩(しかがり) 狂言。・・・調査中。
・見合わせる(みあわせる) 1.お互いに見る。 用例:蜻蛉−上「目も見あはせず、思ひいりてあれば」 2.見比べる。照合する。 用例:枕−131「これかれ見あはせて、耳無草となんいふといふ者のあれば」 3.実行するのを待って様子を見る。実施を中止する。 用例:浮・日本永代蔵−二「一銭もなければ腰かけを見あはせ」 例:「出発を見合わせる」 4.時期を見計らう。良い折を待つ。また、良い時期に会う。 用例:栄花−見はてぬ夢「程なう世をみあはせつるなと嬉しうて」
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・みいちゃんはあちゃん 程度が低いことに現(うつつ)を抜かすような女や子供。また、程度の低い若者を軽蔑して言う言葉。 類:●みいはあ(ミーハー) ★はあちゃん 「はあ」を「ドレミハ」の「ハ」に連想して、「みいちゃん」と並べていったとか、「みよちゃん」「はなちゃん」で女性の代表名としたとかいわれる<国語大辞典(小)>
・ミーハー 低俗な。俗な。俗物である。 類:●みいちゃんはあちゃん ★昭和初期の流行語。
・木乃伊取りが木乃伊になる(みいらとりがみいらになる)
・実入りが良い(みいりがよい・いい) 収入が多い。給金が高い。 反:■実入りが悪い 例:「きつい仕事だが実入りは良い」 ★「実入り」は、穀物の実のでき具合いのこと。俸禄(ほうろく)や給金が米で換算されていた頃にできた言葉。
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・見え透く(みえすく) 1.透き通っていて、容器の底や、中、向こう側が透けて見える。 用例:俳・続猿蓑−冬「見へ透や子持ひらめのうす氷」 2.本心や偽りなどが、見るからに分かる。行動の結果などが手に取るように分かる。 類:●見え見え 用例:浮・男色大鑑−四「恋の山さながら見えすきて」 例:「夫の見え透いた嘘」 用例の出典:続猿蓑(ぞくさるみの) 俳諧撰集。俳諧七部集の一つ。2冊。編者不詳。元禄11年(1698)。「猿蓑」の続編で蕉門の連句・発句が集められ、「炭俵」と同様「軽み」の作風が展開されている。芭蕉の監修、各務支考(かがみしこう)の加筆があったと推定されている。「後猿蓑」とも。 参考:猿蓑(さるみの) 俳諧集。6巻2冊。向井去来(きょらい)・野沢凡兆(ぼんちょう)編。元禄4年(1691)。芭蕉七部集の第五撰集。書名は芭蕉の巻頭句「初しぐれ猿も小蓑をほしげ也」の発句による。芭蕉はじめ門人の発句382句・連句四歌仙・幻住菴記・几右日記などを収める。『不易流行』の理念、匂付(においづけ)の手法、景情一致の作風を確立した蕉風の、最も高い達成を示す撰集で、後人から俳諧集の規範と仰がれる。
・見栄っ張り(みえっぱり) 見栄を張ること。また、その人。 類:●見栄坊 ★「見栄張(みえば)り」から変化した言葉。
・見え見え(みえみえ) 隠された意図や、企(たくら)みなどがはっきりしていること。見え透いていること。 例:「魂胆が見え見えだ」
・見栄も外聞もない(みえもがいぶんもない) 一つのことに夢中になって、他人の目などを気に掛ける余裕がない。 類:●恥も外聞もない
・見得を切る(みえをきる) 1.芝居で、役者が「見得(=歌舞伎での決めのポーズ)」の仕草(しぐさ)をする。2.自分を誇示するような大袈裟な態度を取る。自信のほどを示す。
・見栄を張る(みえをはる) 自分を良く見せようとして、殊更に外観を飾る。上辺(うわべ)を取り繕(つくろ)う。 例:「見栄を張ってブランド物のバッグを持ち歩く」
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・見送る(みおくる) 1.去って行く人や乗り物などをその場にいて見守る。目送する。 用例:万葉−四三七五「松の木(け)の並みたる見れば家人のわれを美於久流(ミオクル)と立たりしもころ」 2.旅立つのを送る。出発する人を送る。送別する。 用例:竹取「ここにも心にもあらでかくまかるに、のぼらんをだにみ送り給へ」 3.葬儀で、屍を墓地まで送って行く。葬送する。 4.死ぬまで世話をする。 用例:松翁道話−一・下「只今では、二親も見送り、子供もござります」 5.見ているだけで手を出さないでいる。また、相場などで、見込みが立たず売買を控える。 6.行事などへの参加をしない。 例:「今回は参加を見送る」
・見下ろす(みおろす) 1.上から下の方を見る。俯瞰(ふかん)する。 類:●見下す 用例:白氏文集天永四年点−三「海漫々たり。直下とみおろせば底無し」 2.心の内で見下げる。劣っていると見る。 類:●侮(あなど)る●見下す●見くびる●見下げる 用例:太平記−八「六波羅を直下(みおろし)ける山法師の心の程」
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・見返す(みかえす) 1.改めて見直す。繰り返して何度も見る。 例:「報告書を見返す」 2.見られた相手を、こちらからも見る。また、見られた仕返しに見る。 例:「対戦者の目を見返す」 3.嘗(かつ)て侮(あなど)りを受けた相手に、仕返しとして、立派になった自分を誇示して見せ付ける。 用例:人情・英対暖語−五「何卒その人達の偃を見返す様にしたひ」 例:「世間を見返す」 4.後ろを振り向いて見る。振り返る。 類:●見返る 用例:宇治拾遺−一・一八「み返しみ返しして、前にはしり行」
・見返り(みかえり) 1.後ろを見ること。振り返ること。2.保証・担保・代償として差し出すこと。また、その物品。 例:「援助の見返りを要求する」
・身が重くなる(みがおもくなる) 身篭(みごも)る。妊娠する。 類:●身重(みおも)になる
・身が固まる(みがかたまる) 処世の方向がはっきり定まる。1.結婚をする。結婚によって身持ちが良くなる。2.身分や地位が安定する。
・見限る(みかぎる) 見込みがないと判断して諦(あきら)める。 類:●見切りを付ける 用例:平治−中「是程に見かぎられ奉ては、さきだち申にしかじ」
・磨きを掛ける(みがきをかける) 1.磨いて光や艶(つや)を出す。2.一層洗練したものにする。更に優れたものにする。 例:「技に磨きを掛ける」
・見掛け倒し(みかけだおし) 外見は立派だが、実質は劣っていること。 類:●看板倒れ●羊頭狗肉 例:「見掛け倒しで役に立たない」
・見掛けに拠らない(みかけによらない) 人や物の実質は、外見では判断できない。 例:「人は見掛けに拠らぬものだ」
・見兼ねる(みかねる) 1.見ることができなくなる。見付けることができないでいる。 用例:万葉−1740「住吉に帰り来りて家見れど家も見金(みかね)て」 2.平気で見ていることができない。見るに忍びない気持ちになる。見るに堪えない。 例:「見るに見かねる」
・身が入る(みがはいる・いる) 気が乗って一心になる。一所懸命になる。熱中する。 類:●実が入る 例:「試験勉強に身が入らない」
・身が持たない(みがもたない) 健康が保てない。体力が続かない。 例:「徹夜徹夜では身が持たない」
・身が持てぬ(みがもてぬ)・持てない 身持ちや品行が悪くなる。また、家の身代(しんだい)を保てない。
・身から出た錆(みからでたさび)
・蜜柑が黄色くなると医者が青くなる(みかんがきいろくなるといしゃがあおくなる) 秋は気候がよく、病人が少ないところからいう。 類:●柚が色付くと医者が青くなる●秋刀魚が出ると按摩が引っ込む 反:■枇杷が黄色くなると医者が忙しくなる
・蜜柑金柑酒の燗、親は折檻子は聞かん(みかんきんかんさけのかん、おやはせつかんこはきかん) 言葉遊び「かんかん尽くし」の一つ。 ★「嫁御持たせにゃ働かん」などとも続ける。 ★大分のわらべ歌には、「子供にようかんやら泣かん、親が折檻子は聞かん、田舎のねえちゃん気が利かん、相撲とりゃ裸で風邪ひかん」ともある。
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・右腕(みぎうで) 1.右の腕。2.ある人が最も信頼している有能な部下。 類:●懐刀●片腕 例:「社長の右腕」
・右肩上がり(みぎかたあがり) 1.文字の右側が吊り上ったように書いてあること。 類:●右上がり 2.グラフの線が右側ほど上がっていることから、後になるほど数値が大きくなること。また、一般に、段々良くなること。 類:●右上がり 例:「業績は右肩上がり」 ★2.は、バブル期(昭和62年1987〜同65年1990)の経済指数グラフなどについて言われ、その後、広義に使われるようになった。
・右から左(みぎからひだり) 1.受け取ったものをすぐ他の人に渡して、手元に留めておかないこと。特に、受け取った金銭を、すぐ別の支払いに充(あ)てること。 例:「給料が右から左に消えてゆく」 2.即座に用意できること。直ちに融通が利くこと。 類:●おいそれと 例:「そんな大金、右から左という訳にはいかない」
・右と言えば左(みぎといえばひだり) 他人の言うことに対し、殊更に反対すること。 類:●ああ言えばこう言う
・右とも左とも〜ない(みぎともひだりとも〜ない) 左右のどちらともはっきりしない様子。断定し兼ねる様子。
・右に同じ(みぎにおなじ) 1.縦書きの文書で、前に述べたことと同じである。 類:●同右(どうみぎ)●(横書きで)同上 2.会話で、直前に述べた人と同意見である場合にも言う。 ★並び順が左の人に同意する場合でも、慣用的に、「左に同じ」とは言わない。
・右に出る(みぎにでる) 優れている。凌駕(りょうが)する。上位に位置する。 例:「彼の右に出る者はいない」 出典:「漢書−高帝紀・下」「漢廷臣無能出其右者」 ★中国の戦国時代、右側を上位として尊んでいたことによる。別の時代には、左を上位としていた時代も多い。日本の官職では、左側を上位としていた唐に倣(なら)い、大化(645年)以来長い間左を上位としていた。例:「左大臣」>「右大臣」。
・右も左も分からない(みぎもひだりもわからない) 1.その土地の地理に詳しくない。 類:●無案内 例:「昨日引っ越してきたばかりで右も左も分からない」 2.理解・判断する能力がない。未熟なため、または世間知らずで、なすべきことが何であるかの判断が付かない。 類:●西も東も分からない 例:「右も左も分からない駆け出しの小僧じゃあるまいし」
・見切りを付ける(みきりをつける) このままの状態をいつまでも続けることとができず、見限る。駄目だと判断して諦(あきら)める。見捨てる。 類:●見限る●見極める
・見切り発車(みきりはっしゃ) 1.列車やバスなどが、満員だとして乗客を残して発車すること。2.道路交通で、信号が青になる頃合いを見計らって、早めに車を発信させる行為。3.比喩的に、論議が十分になされないうちにものごとを決定してしまうこと。また、それを実行に移すこと。 例:「決済が下りないうちに見切り発車する」
・汀優る(みぎわまさる) 汀の水が増すという意味から、涙がたくさん流れること。 用例:源氏−須磨「来し方行く先かきくらし、みぎはまさりて」
・見極める(みきわめる) 1.最後まで見届ける。確認する。突き止める。 例:「ことの成り行きを見極める」 2.ものごとの奥底までを知り尽くす。良否や真偽などを知る。真贋を鑑定する。 例:「事実を見極めた上で返答する」 3.見切りを付ける。あれこれ迷わないで一つのものに決める。 用例:談・風流志道軒伝−三「目のうつろひならんと、後には却ってそこそこに見極る」
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・三種の宝物(みくさのたからもの)[=宝・神宝(かんだから)] 「三種の神器」のこと。
・見下す(みくだす) 1.上から下の方を見る。俯瞰(ふかん)する。 類:●見下ろす 用例:日葡辞書「シタヲmicudaxeba(ミクダセバ)」 2.心の内で見下げる。劣っていると見る。 類:●侮(あなど)る●見下ろす●見縊る●見下げる 用例:源氏−玉鬘「参りつどふ人の有様どもみくださるる方なり」
・三行半(みくだりはん) 1.江戸時代、庶民の間で夫から妻または妻の父兄に宛てた離別状の別称。 例:「三行半を突き付ける」 2.転じて、離縁すること。離縁されること。また、比喩的に、関係を断つこと。 ★簡略に記すと三行半になることから<大辞林(三)> ★一般的には「離縁する旨」、「離縁の理由」、「再婚の許可」を簡潔に書いたもの。
・見縊る(みくびる) 軽く見て侮(あなど)る。見下(くだ)す。見下げる。軽蔑する。 類:●舐める●馬鹿にする 例:「若いからといって見縊ってはいけない」 用例:滑・浮世風呂−二「片片どのは見くびってふてるの」
・見苦しい(みぐるしい) 1.外から見るのが辛(つら)いような風情(ふぜい)である。見るに堪(た)えない様子。 用例:大和−147「みぐるしく歳月を経て、人のなげきをいたづらにおふもいとほし」 2.みっともない。醜(みにく)い。 用例:枕草子−109「色くろき人の生絹の単着たる、いと見ぐるしかし」 例:「見苦しい負け方」 3.見辛(づら)い。見るのが困難である。 用例:宇津保−楼上下「みぐるしうまだあやめも見えざりしをだに」
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・御輿を上げる(みこしをあげる) 座り込んでいた腰を上げる。立ち上がる。また、事に取り掛かる。 類:●腰を上げる
・御輿を担ぐ(みこしをかつぐ) 他人を煽(おだ)て上げる。 類:●持ち上げる●担(かつ)ぐ
・御輿を据える(みこしをすえる) 1.どっかと座り込んで動かない。 類:●腰を据える 例:「御輿を据えて飲む」 2.ゆったりと構えて動じない。
・見込む(みこむ) 1.見入る。見詰める。 用例:浄・文武五人男−一「門の内、きっと見こふで立たりしを」 2.目当てとする。当て込む。また、目を付けて狙う。 用例:咄・鹿の子餅−借雪隠「此島はむざと小便のならぬ不自由、そこをみこんで茶屋の裏をかり、かし雪隠」 3.有望だと思う。人の値打ちを認める。 用例:浄・寿の門松−上「吾妻を見込んで頼むとは、いとしらしい婆さん」 例:「将来を見込む」 4.執念深く取り付く。 類:●見入る 用例:滑・浮世風呂−四「わしに見こまれたが因果じゃ」 5.予想して勘定に入れる。予(あらかじ)め考慮しておく。 例:「収入増を見込む」 用例の出典:文武五人男(ぶんぶごにんおとこ) 浄瑠璃。時代物。近松門左衛門。元禄7年(1694)竹本座で上演。・・・詳細調査中。
・見込みがある(みこみがある) 1.将来の可能性や望みがある。 例:「まだ勝てる見込みはある」 2.見るべきところがある。有望である。 例:「中々見込みがありそうだ」
・見込みがない(みこみがない) 先行きが怪しい。将来の可能性や望みが薄い。 例:「勝てる見込みはない」「今年の新人は見込みがない」
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・操作る(みさおつくる) いつもと変わらない様子をする。何気ない様子を装(よそお)う。素知らぬ顔をする。また、体裁(ていさい)を保つ。 用例:源氏−帚木「上はつれなくみさをつくり」
・操を立てる(みさおをたてる) 1.節操を守って志(こころざし)を変えない。2.婦女子が貞操を守り通す。貞操を守り通す。
・操を破る(みさおをやぶる) 1.節操を曲げる。2.婦女子が貞操を汚す。
・見下げ果てる(みさげはてる) この上もなく軽蔑(けいべつ)するに値する。 例:「見下げ果てた根性だ」
・見下げる(みさげる) 軽蔑する。見下(くだ)す。 類:●見下ろす●見下す 反:■見上げる
・見猿聞か猿言わ猿(みざるきかざるいわざる) 1.「三猿(さんえん)」のこと。 参考:三猿 2.自分に都合の悪いものなどは、見ない、聞かない、言わないということを表わす。他人の欠点や過(あやま)ち、或いは、自分自身の失態などについて用いる。 類:●猿を決め込む●知らぬ存ぜぬ 例:「任期もあと一年だし、ここは見猿聞か猿言わ猿で行こう」 由来:三猿は古代インドで生まれ、東南アジア・中国に広まり、やがて鎌倉時代以降に日本に入った。庚申塔に三猿を刻むようになったのは承応年間(1652−55)から。定着したのは万治(1658−61)あたりからで、それまでは二猿と三猿が混在していたとらしい。 参考:庚申信仰(こうしんしんこう) 中国の道教における「守庚申(庚申の夜に眠ると、三尸(さんし)の虫が体内からぬけ出してその人の罪科を天帝に告げ口するという信仰から、その夜は潔斎して眠らず三尸の昇天をはばむ)」の行事がわが国に伝わり、それに仏教と神道とが混交して独特の民俗的祭事になったという<国語大辞典(小)>
−−−−−−−みし(#misi)−−−−−−−
・短きものを端切る(みじかきものをはしきる) 元々短いものを、更に短く切る。困っているところに、更に困ることが起こる。 類:●泣き面に蜂 用例:万葉−892「短物乎端伎流(みじかきものヲはしキル)と云へるが如く」
・未生以前(みしょういぜん) 1.仏教用語。両親さえ生まれていない以前の姿。自己を滅却し、相対を超えた絶対無差別の境地。 類:●無我の境地 2.転じて、生まれる以前。遠い昔。 類:●前生 ★「父母未生以前(ぶもみしょういぜん)」の略<国語大辞典(小)>
・見知りおく(みしりおく) 見たり会ったりして、知り合った人などを、後々まで記憶に留めておく。見て、記憶しておく。 例:「お見知りおきください」
・微塵骨灰(みじんこっぱい) 粉微塵。粉々。 ★「微塵粉灰(みじんこはい)」の変化した語<国語大辞典(小)>
−−−−−−−みす(あ)(#misu1)−−−−−−−
・水到りて魚行く(みずいたりてうおいく) 時が経(た)てばものごとは自然に成功するということ。深く学問をすれば自然と道が修まり、徳が身に付くこと。 類:●水到りて渠(きょ)成る●水到渠成 ★原文は「水到りて魚行き、水到りて渠成るは、其の意同じきなり」 出典:余冬序録(よとうじょろく)・餘冬序録 明(みん)の何孟春(かもうしゅん)撰。13冊65巻。 ・・・調査中
・水到りて渠成る(みずいたりてきょなる) 時期が来ればものごとは自然に出来上がる喩え。水が流れてくれば自然にみぞが出来上がることから、深く学問をすれば自然と道が修まり、徳が身に付く。 類:●水到りて魚行く 出典:范成大(はんせいだい)の詩「送劉唐卿戸曹擢第西帰詩」「学問根深方蔕固、功名水到自渠成」
・水入らず(みずいらず) 内輪(うちわ)のごく親しい者だけで、他の者が混じっていないこと。 例:「親子水入らず」 ★油に水が混じらないように、内輪に他人が混じらないことを言ったものという。
・水入り(みずいり) 1.水が入っていること。また、その物。2.相撲で、勝負が長引き両力士とも疲労が甚(はなは)だしいと判断されたときに、勝負を一時中止し力士に休養を与え力水を付けさせること。 類:●水 例:「水入りの大相撲」 3.船舶が水上にあるとき、船体が沈む部分。 類:●喫水●船脚●入足 4.歌舞伎で、役者が舞台で本物の水に浸って見せるもの。 ★「助六由縁江戸桜」で助六が水を張った用水桶につかる場で知られる<国語大辞典(小)> 5.水入鬘(かつら)の略。歌舞伎の鬘の一つで、漆(うるし)を塗って光沢を出し、水に濡れた感じを出した鬘。 ★水入りの助六、「鎌倉三代記」の高綱などに用いる<国語大辞典(小)> 参考:鎌倉三代記(かまくらさんだいき) 浄瑠璃。時代物。10段。作者未詳。天明元年(1781)。江戸肥前座初演。大坂夏の陣を鎌倉時代のできごとに仮託して脚色したもの。「近江源氏先陣館」の後編とみるべき作品。佐々木高綱の計略で、時姫が父・北条時政の暗殺を決心する。
−−−−−−−みす(か)(#misu2)−−−−−−−
・水が開く(みずがあく) 1.水泳競技などで、一身長以上の差が付く。2.競争相手と明らかに差が付く。
・水掛け論(みずかけろん) 双方が互いに自分の立場、主張を固執して言い張って、果てしなく争うこと。双方とも互いの理屈を繰り返し、解決しない議論。水掛け合い。 例:「水掛け論に終わる」 ★狂言「水掛聟」に見られるような、互いに自分の田に水を引こうとする争いからとも、「水掛け合い」のような議論の意からともいう<国語大辞典(小)> 用例に出典:水掛聟(みずかけむこ) 狂言。各流。隣り合った田を持つ舅(しゅうと)と聟が、水争いを始める。そこへ舅の娘がやってきて、夫婦して舅を引き倒す。「水引聟」「水論聟」とも。
・水が染む(みずがしむ) その土地の気風が身に付く。いかにもその土地の人間らしい様子である。
・身過ぎは草の種(みすぎはくさのたね)[=八百八品(はっぴゃくやしな)] 生計を営(いとな)む手段は、草の種の数ほどに多く、色々ある。 類:●身過ぎ世過ぎは草の種
・水清ければ魚住まず(みずきよければうおすまず)・大魚無し 水が綺麗過ぎると、却(かえ)って魚は棲まないものだ。あまりに清廉過ぎたりすると、却って、人から親しまれないことの喩え。 類:●人至って賢ければ友なし●清水に魚棲まず●石上五穀を生ぜず 出典:「文選−東方朔・答客難」「水至清則無魚、人至察則無徒」
・水際作戦(みずぎわさくせん) 海から上陸する間際に敵を取り押さえて、陸に上げないこと。特に、病原菌などが入り込むのを防ぐことに使う。
・水際立つ(みずぎわだつ) 鮮(あざ)やかに際立つ。他と比べて一際(ひときわ)目立つ。 用例:俳・毛吹草−五「若水の水きは立や花の春」 例:「水際立った美貌」
・水括る(みずくくる) 水を絞り染めにする。川面(かわも)を布に見立てて言った表現。 用例:古今−二九四「から紅に水くくるとは」
・水臭い(みずくさい) 1.水分が多くて味が薄い。薄味で不味(まず)い。水っぽい。 用例:米沢本沙石集−六・一二「日来はちと水くさき酒にてこそ候しに」 2.塩味が薄い。 ★主に、関西での言い方<大辞林(三)> 3.情愛が薄い。余所余所(よそよそ)しい態度である。 類:●他人行儀 用例:浮・傾城禁短気−五「あんなみづくさい事言はしゃらふと」 ★宴会で返杯するとき杯を洗う「杯洗(はいせん)」をするような、他人行儀な間柄であるということからか、という。酒が薄味になるということか。
・水心あれば魚心(みずごころあればうおごころ) そちらが自分に好意を示すのなら、こちらも好意を以って応対する用意がある。 類:●魚心あれば水心 ★「魚心あれば水心」を逆に言ったもので、意味は同じ。
−−−−−−−みす(さ)(#misu3)−−−−−−−
・水先案内(みずさきあんない) 船に同乗して、また、水先船で正しい水路を案内すること。また、その人。 類:●水戸案内●水先●道先
・三筋の糸(みすじのいと)[=琴(こと)・駒(こま)] 三味線のこと。
・水商売(みずしょうばい) 客の贔屓(ひいき)や都合によって収入が左右される、不確かで盛衰の激しい商売。主に、芸人・料理店・バー・キャバレー・風俗業などを指して言う。また、一般に、接客業。 類:●水稼業●水物商売 ★語源については、流れる水のように定めない商売の意からとも、泥水稼業の意からともいい、その他諸説ある<国語大辞典(小)>
・見ず知らず(みずしらず) まったく関係がないこと。一面識もないこと。また、その人。 類:●赤の他人
・水雑炊を食わせる(みずそうすいをくわせる・くらわせる) 水中に投げ込んで水を飲ませる。 用例:浄・仮名手本忠臣蔵「食らひ酔うたその客に加茂川でな、水雑炊を食らはせい」
−−−−−−−みす(た)(#misu4)−−−−−−−
・見捨てる(みすてる)・見棄てる 1.困っているのを見て知っているのに、そのままに放っておく。見過ごしにする。 類:●見過ごす 用例:蜻蛉−中「いみたがへに、みな人ものしつるを、いだしたてて、やがてみすててなん」 例:「仲間を見捨てて逃げる」 2.捨てて顧(かえり)みないようにする。また、関係を絶つ。 類:●見限る●見放す 用例:竹取「見すて奉りてまかる空よりも、落ちぬべきここちする」 例:「医者に見捨てられる」 3.相手を後に残して去る、または、死ぬ。 用例:源氏−若紫「ただ今、おのれみすてたてまつらば、いかで世におはせむとすらむ」
−−−−−−−みす(な)(#misu5)−−−−−−−
・水に油(みずにあぶら)
・水に絵を描く(みずにえをかく) 水に絵を描こうとしても、ただ波紋が広がるだけで苦労の甲斐(かい)がない。無駄(むだ)であることの喩え。また、跡形もないこと、儚(はかな)いことなどの喩えとしても使う。 類:●脂に画き氷に鏤む●行く水に数書く●水に数書く●水に文字書く●骨折り損のくたびれ儲け
・水に落ちた犬は打て(みずにおちたいぬはうて) 水に溺(おぼ)れている犬を助けてしまえば、逆に噛みつかれるだけ。凶暴な犬が溝に落ちたら、弱っているうちに更に追い討ちを掛けるべきだということ。 類:●溺れる犬は石もて打て●池に落ちた犬は棒で叩け 反:■窮鳥懐に入れば猟師も殺さず 出典:魯迅「救起落水狗、反被咬一口」 ★ここでの「犬」は、反動保守勢力のこと。 原典:古諺「不打落水狗」
・水にする(みずにする) 1.無駄にする。効果を失わせる。空しくする。無にする。2.過去の経緯を一切なかったことにして、咎(とが)めない。 類:●水に流す 3.胎児を堕(お)ろす。堕胎(だたい)する。 類:●水に成す
・水に流す(みずにながす) 過去にあったことを、全てなかったこととする。過ぎ去ったことを咎(とが)めないことにする。 類:●水にする●川へ流す 例:「これまでの放蕩は水に流す」
・水になる(みずになる) 成果や苦労が無駄になる。 類:●ふいになる
・水に慣れる(みずになれる) その土地の飲み水に慣れる。新しい土地に住み慣れる。
・水温む(みずぬるむ) 春になって、水がだんだん温(あたた)かくなる。
・水の泡(みずのあわ) 1.水面に浮かぶ泡。水泡(すいほう・みなわ)。2.転じて、消え易く儚(はかな)いもののこと。3.努力した甲斐(かい)がないこと。 例:「折角の苦労も水の泡」
・水の一滴は血の一滴(みずのいってきはちのいってき) 雨が降らない国では水はとても貴重だということ。人は血を失うと死んでしまうことから、水を血に喩えて言ったもの。 ★サウジアラビアのことわざ。
・水の子(みずのこ) お盆の供物の一つ。茄子、南瓜(かぼちゃ)、里芋などを賽の目に刻み、墓や盆棚に上げるもの。 類:●水の実
・水の滴るよう(みずのしたたるよう) 際立って美しい美男・美女の形容。特に、女性や役者などについて使う。 類:●水の垂るよう●水も滴る
・水の垂るよう(みずのたるよう) 1.刀剣や具足類などが、瑞々(みずみず)しく美しい様子。2.人の顔や肌(はだ)などが若々しく美しい様子。 類:●水の滴るよう
・水の月(みずのつき) 1.水面に映る月影。 類:●水月(すいげつ) 2.転じて、目には見えるけれども、手に取ることができないものの喩え。
・水の月取る猿(みずのつきとるさる)[=猿猴(えんこう)] 不可能なことをして失敗すること。身の程知らずの望みを持ったばかりに、却って失敗すること。 類:●猿猴月を取る
・水の面(みずのつら) 1.水の辺(ほとり)。水辺(みずべ)。 用例:更級「この水のつらに休みつつ見れば」 2.水面(みなも)。
・水の手(みずのて) 1.城や砦(とりで)などの中で、水が飲める場所。また、そこに設けた石囲い。2.川や堀など、水がある場所・地域。3.消火に用いる水。また、その水路。
・水の出端(みずのでばな) 1.洪水の始めという意味で、最初は勢いがあるが、すぐに衰えることの喩え。 用例:浮・好色一代女−4「—のごとく跡もなく御機嫌なほるなり」 2.勢いが盛んで抑え切れないことの喩え。また、若者が血気盛んで、前後の見境がないことの喩え。 用例:浄・新版歌祭文「若い水の出端には、そこらの義理もへちまのかは」
・水の流れと身の行方(みずのながれとみのゆくえ) 水が流れて行く先と人生の果ては、いずれも分からない。前途は分からないということ。
・水の花(みずのはな) 1.鱸(すずき)をいう女房詞。2.鮎(あゆ)をいう女房詞。3.蓮(はす)の花のこと。4.水飛沫(しぶき)。5.春夏に、湖沼の表面付近に植物性プランクトンが盛んに繁殖して水の色の変わる現象。
・水呑百姓(みずのみびゃくしょう) 1.近世農村社会で、自分の田畑を所有せず、貢租を負担しなかった下層農民。小作農民や日雇い農民。 類:●無高(むたか)百姓 ★検地帳にも登録されていなかった<国語大辞典(小)> 2.転じて、貧しい農民。 類:●水入り百姓●水呑 例:「しがない水呑百姓」
・水の低きに就く如し(みずのひくきにつくごとし) ごく自然にものごとが運ぶことの喩え。また、自然の成り行きは、人の力で止められるものではないということの喩え。 出典:「孟子−梁恵王・上」「民帰之、由水之就下、沛然誰能禦之」、「孟子−告子・上」「人性之善也、猶水之就下也」
・水の戦慄き(みずのわななき) 冷や汗を流して震えること。 ★一説に、さざ波のふるえるようにこまかくふるえること<国語大辞典(小)> 用例:宇津保−蔵開下「みづのわななきして、汗にしとどに濡れて」
−−−−−−−みす(は)(#misu6)−−−−−−−
・水は方円の器に随う(みずはほうえんのうつわにしたがう) 水は容器の形によってどんな形にでもなるという意味で、人は、交際している仲間や環境次第で善にも悪にも感化されるということ。 類:●水は入れ物に従う●善悪は友による●親擦れより友擦れ
−−−−−−−みす(ま)(#misu7)−−−−−−−
・見す見す(みすみす) 1.目の前に見えていながら。見ているうちに。目の前で。 用例:平中−三七「沼水に君は生ひねど刈る菰のめに見す見すも生ひまさるかな」 2.成り行きや結果が、そうなると分かっていながらどうしようもないこと。分かっていながら、敢えて行なうこと。 用例:仮・仁勢物語−上「君が仇にみすみすならんいかづちの雲間に落ちて頭とるべく」 例:「みすみすチャンスを逃がす」 ★悪い状況について<大辞林(三)> 3.目に見えて、はっきりしていること。見え透いていること。 用例:伎・桑名屋徳蔵入船物語−四「お前もヤアみすみすな事を」 ★下二段動詞「みす(見)」の終止形を重ねてできた語<国語大辞典(小)> 用例の出典:仁勢物語(にせものがたり) 仮名草子。2冊。作者未詳。寛永16年(1639)〜17年頃の成立か。「伊勢物語」流布本の125段を逐語的に捩(もじ)った作品。パロディ作品。王朝的な雅の世界を、近世初頭の世相・風俗を取り入れつつ俗な世界に転換して、滑稽を生み出している。 仁勢物語の冒頭:「をかし男ほうかぶりして、ならの京かすがのさとへ、酒のみにいきけり」 ← (伊勢物語)「むかしおとこうゐこうふりして、ならの京かすかの里に、しるよししてかりにいにけり」
・水も滴る(みずもしたたる) 際立って美しい美男・美女の形容。特に、女性や役者などについて使う。 類:●水の垂るよう 例:「水も滴る好い男」 ★江戸期には「蜜も滴る」と言われていたという。
・水も狭に(みずもせに) 水面を塞(ふさ)ぐほど一杯に。
・水物(みずもの) 1.液体のもの。飲み物。2.水分を多く含んだ、または、噛まずに食べる食物。果物(くだもの)や寒天類など。3.相手やその時の状況ですぐに変わってしまうもの。運に左右され易いもの。また、当てにならないもの。 例:「選挙は水物。蓋を開けてみなければ分からない」 4.華道で、水辺に育つ花の総称。
・水も漏らさぬ(みずももらさぬ) 1.隙間なく敵を取り囲む様子。警戒・防御・用意などが厳重な様子。 例:「水も漏らさぬ警備体制」 2.男女の仲が非常に親しいことの形容。 用例:浮・傾城禁短気「水も漏らさぬ中と契り」 例:「水も漏らさぬ夫婦仲」
−−−−−−−みす(を)(#misuwo)−−−−−−−
・水を開ける(みずをあける) 1.水泳競技やボートレースで、一身長以上または一艇身以上の差を付ける。2.競争相手を明らかに引き離す。 例:「2位以下に水を開けた」
・水を入れる(みずをいれる) 相撲で、勝負を預り、力士を休ませる。 類:●水入りにする
・水を打ったよう(みずをうったよう) 同席している多くの人々が話を聞こうとして静まり返る様子。 ★ほこりっぽい地面などに水を打ったときのように<大辞林(三)>
・水を得た魚(みずをえたうお・さかな) 自分に合った活躍の場を得て、生き生きとしている様子。 類:●魚の水を得たるが如し 反:■魚木に登るが如し
・水を掛ける(みずをかける) 1.物に水を浴びせる。2.順調に運んでいるものごとの邪魔をする。 類:●水を注す
・水を切る(みずをきる) 1.水を含んだもの、あるいは水に浸けてあったものを、振ったり絞ったりして水分を取り去る。 2.水中で、水を右へ左へ掻き分けて前進すること。 例:「ボートが水を切って進む」
・水を乞うて酒を得る(みずをこうてさけをえる) 希望していた以上の物を得たことの喩え。 類:●漿を乞いて酒を得る
・水を注す(みずをさす) 1.濃いものに水を加えて薄くする。熱いものに水を入れて温(ぬる)くする。2.口出しをして、巧くいっている関係を邪魔する。邪魔立てをする。 類:●水を掛ける●茶々を入れる 例:「二人の仲に水を注す」 ★料理の味付けで、丁度良い具合いに出来ているところに横合いから水を注(そそ)いで、台なしにしてしまうことから、という。
・御簾を隔てて高座を覗く(みすをへだててこうざをのぞく) ものごとが意のままにならず、もどかしいことの喩え。類:●靴を隔てて痒きを掻く
・水を向ける(みずをむける) 1.霊前に水を手(た)向ける。特に、巫女(みこ)が霊魂を呼ぶ口寄せをするとき、水を差し向ける。2.転じて、相手がある事を話し始めるように巧く仕向ける。また、関心をそちらに向けるように持ち掛ける。 類:●気を引く
・水を以って石に投ず(みずをもっていしにとうず) 柔らかい水を堅い石に掛けるようなものである。いかなる意見も全く受け入れてもらえぬこと。また、なんの効果もない喩え。 類:●以水投石●蛙の面に水 反:■石を以て水に投ず 出典:「文選−季康・運命論」「其言也、如以水投石、莫之受也」
・水を割る(みずをわる) 濃い液に水を加えて薄める。
−−−−−−−みせ(#mise)−−−−−−−
・見せしめ(みせしめ) それに懲りて、二度と同じようなことを繰り返さないように、厳しく罰して見せること。 類:●懲らしめ●一罰百戒 ★「しめ」は、使役の助動詞「しむ」の連用形から<国語大辞典(小)>
・身銭を切る(みぜにをきる) 自分の金で支払いをする。 類:●自腹を切る●腹を痛める●懐(ふところ)を痛める
・店を上ぐ(みせをあぐ) 店を閉める。閉店にする。 ★近世の店舗では、表の戸を半分は格子にし、半分を揚縁(あげえん)にして、おろせば縁台となり、上げれば戸締まりになるようなしくみにしていたところから<国語大辞典(小)>
・店を畳む(みせをたたむ) 商売をやめる。店仕舞いにする。
・店を張る(みせをはる) 1.店を設けて商売をする。店を出して商品を陳列する。2.遊女が張り見世に出て、並んで客を待つ。
・店を引く(みせをひく) 1.店を閉める。店を仕舞う。2.遊女が張り見世に出ないで、仕事を休む。
・店を開く(みせをひらく) 1.開店する。営業する。2.新しく店を出して営業を始める。
・店を広げる(みせをひろげる) 1.店舗を拡張する。2.物を辺り一杯に広げて散らかす様子。
−−−−−−−みそ(#miso)−−−−−−−
・味噌(みそ) 1.特に工夫を凝(こ)らしたところ。特に、趣向を凝らしたところ。また、それを人に自慢すること。 例:「手前味噌」「電気を全く使わないところが味噌です」 2.失敗すること。しくじること。また、欠点。 用例:雑俳・軽口頓作「つきたがる・あげやのみそをかぶろ共」 3.力が弱い者。他の言葉に接続して、弱者を嘲(あざけ)っていう言葉。 例:「泣き味噌」「味噌用人」 4.子供の遊びなどで、一人前に見なされない子供。 類:●お味噌 例:「味噌っ滓(かす)」
・未曾有(みぞう) 未だかつてなかったこと。非常に珍しいこと。 類:●希有(けう)●前代未聞●破天荒 例:「未曾有の大事件」 ★古くは「みぞうう」<国語大辞典(小)>
・味噌が腐る(みそがくさる) 歌声が悪いのを罵(ののし)って言う。 例:「味噌が腐るぞ、この音痴」
・味噌が付く(みそがつく) 1.失敗する。へまをする。 2.良くないことがあったために順調に行かなくなる。台無しになる。 類:●けちが付く 例:「円満に運んでいたのに、彼の一言で味噌が付いた」
・味噌臭い(みそくさい) 1.味噌の臭いがする。2.いかにもその道の人らしい嫌味が感じられる。
・味噌糞(みそくそ) 1.善悪や美醜の区別を付けず、同等のものとして扱うこと。 類:●糞も味噌も一緒 2.全くつまらない、取るに足りないものとして、悪く言うこと。 類:●襤褸糞●散々●糞味噌 例:「味噌糞に貶(けな)す」
・見損なう(みそこなう) 1.見誤まる。見間違う。 用例:咄・醒睡笑−一「五十ばかりの者をば六十余りと見そこなうて笑はるるを」 2.評価を誤まる。 例:「お前を見損なったよ」 3.見る機会を逃(の)がす。見損じる。 類:●見外す
・味噌っ滓(みそっかす) 1.味噌を漉(こ)した滓。価値がないものの喩え。2.物の数でない者。一人前の仲間に入れてもらえない子供。 類:●お豆●お味噌●味噌 ★「みそかす(味噌滓)」の変化<国語大辞典(小)>
・三十一文字(みそひともじ) 一首の形式が5、7、5、7、7で31文字であることから、短歌のこと。和歌。 類:●三十字一文字
・見初める(みそめる) 1.異性を一目見て好きになる。 類:●一目惚れ 例:「パーティーで見初める」 2.初めて会う。初めて見る。また、会い始める。 用例:宇津保−俊蔭「かくゆゆしきさまをみそめ給つらむ人の、なにとかおぼすべき」 3.男女が初めて契りを結ぶ。 用例:落窪−四「みそめ奉りてし後なん、なほざりにてやみなましかばと、悔しかりし」 ★「見る」は、男女のあう意<国語大辞典(小)>
・三十文字余り一文字(みそもじあまりひともじ) 一首が仮名31字から成るところから、短歌のこと。和歌。 類:●三十一文字
・味噌も糞も一緒(みそもくそもいっしょ) 善悪・優劣・清濁など、性質の異なるものを区別しないでひとつにすること。何もかもごちゃまぜにすること。 類:●糞も味噌も一緒
・味噌を上げる(みそをあげる)[=明ける] 自慢する。手前味噌を並べる。 用例:社会百面相「少(ちつ)と味噌を上げるげるやうだが」
・味噌を擂る(みそをする) 1.まだ漉(こ)してない、粒がある味噌を、擂り鉢に入れて擂り粉木(こぎ)で擂る。2.坊主になる。寺の小僧の仕事の一つとして味噌を擂るところからいう。3.追従(ついしょう)を言う。媚(こ)び諂(へつら)う。 類:●胡麻を擂る ★べたべたとくっつくところからかという<国語大辞典(小)>
・味噌を付ける(みそをつける)
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