【かい】~【かこ】

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・槐安の夢(かいあんのゆめ) 夢のこと。また、儚(はかな)いことの喩え。 類:●南柯の夢●槐夢(かいむ) 故事:南柯記」 唐の淳于(じゅんうふん)が自宅の槐(えんじゅ)の木の下で酔って寝ていたところ、夢に二人の使者の迎えをうけて、槐安国に行き、国王の娘を娶(めと)って、南柯郡の太守となり20年を経たが、覚めてみれば、槐安国とは、槐の木の下の穴にいる蟻の国であり、南柯郡とは、その木の南向きの枝であったという。
飼い犬に手を噛まれる
(かいいぬにてをかまれる)
・海外奇談
(かいがいきだん) 《四熟》 1.海外の奇妙な話。2.誰も行ったことのない外国でのことなら、なんとでも言えるし自慢もできる。根も葉もない出鱈目な話の喩え。 参考:海外奇談(かいがいきだん) 中国の口語体小説の訳本(の体裁をとる)。文化12年(1815)。鴻濛陳人(こうもうちんじん)。清人を騙った「鴻濛陳人」なる人物が『仮名手本忠臣蔵』の唐話訳である『忠臣蔵演義』に手を加えたもの。海外奇譚『忠臣庫』として出版された。
・甲斐甲斐しい
(かいがいしい) 1.ものごとを行なったり希望したりする張り合いがある。甲斐がある。期待通りである。 用例:源氏−早蕨「かゐがゐしくぞあひしらひ聞こえ給ふめる」 用例:十訓抄−一〇「さてかひがひしく千載集に入にけり」 2.しっかりしていて頼みにできるような。 用例:
金刀比羅本平治−下「われらかひがひしき身ならねば」 3.手際良く、てきぱきとものごとを行ない、効果が上がるように見える。勢いが良く労を惜しまない。果敢な。 用例:古今著聞集−一六・五一九「かひがひしく皆くひてけり」 例:「甲斐甲斐しく看病する」 参考:金刀比羅本(ことひらぼん) 「平治物語」には、古態本(陽明文庫本・学習院本)と金刀比羅本とがある。・・・調査中。
・改過自新
(かいかじしん) 《四 自分の過ちを素直に認めて、面目を一新すること。過ちを改めて心を入れ替えること。 類:●改過作新●悔過自新 出典:「史記−呉王ビ伝」「徳至厚。当改過自新
・買い被る
(かいかぶる) 1.物を、実際の値打ちより高く買う。 類:●買いかずく ★「被る」は、「〜するときにしくじる」「〜に失敗する」という意味。 用例:伎・
上総綿小紋単地−六幕「五十か六十いつでも買ひかぶらあ」 2.人や物を、実質以上に高く評価したり、信用したりする。 類:●過大評価 例:「そんなに買い被られては困ります」 用例の出典:上総綿小紋単地(かずさめんこもんのひとえじ) 歌舞伎。河竹木阿弥。通称「上総市兵衛」。・・・調査中。
・櫂が回る
(かいがまわる) 金回りが良い。暮らし向きが楽である。また、自由が利く。 用例:浮・
好色万金丹−三「情の海には弘誓の船も械(カイ)がまはらず」 用例の出典:好色万金丹(こうしょくまんきんたん) 浮世草紙。夜食時分著。元禄7年(1694)。・・・調査中。
・貝殻で海を測る
(かいがらでうみをはかる) 小さな貝殻で海の水を汲んで海水の量を測るという意味で、狭い見聞、知識しか持ち合わせていないのに大問題を議論すること。 出典:「漢書−東方朔伝」「以
??天、以蠡測海、以寰撞鐘」 
・開巻有益
(かいかんゆうえき) 《四熟》 書物を開いて読めば、必ず得るところがある。読書は有益であるということ。 類:●開巻有得 出典:王闢之「ベン[サンズイ+縄-糸]水燕談録−文儒」「太宗日覧三巻、…嘗曰、開巻有益、朕不以為労也」 ★「巻(かん)を開けば益有り」と訓読する。
会稽の恥
(かいけいのはじ)
・解甲帰田
(かいこうきでん) 《四熟》 武装を解き、故郷に帰って農作業をする。除隊して帰郷し、平和な暮らしに戻ることの喩え。 類:●牛を桃林の野に放つ ★「帰田」は、官職を辞して郷里に帰って農事に従うこと。
・邂逅相遇
(かいこうそうぐう) 《四熟》 偶然の出会い。思い掛けずひょっこりと巡り会うこと。 出典:「詩経−国風・鄭」「清揚婉兮、邂逅相遇、適我願兮」
・骸骨を乞う
(がいこつをこう) 仕官中主君に捧げた身の残骸を乞い受けるという意味から、官から退(しりぞ)くことを請う。辞職を願い出る。 出典:「史記−陳丞相世家」・「晏子春秋−外篇」
解語の花
(かいごのはな)
・鎧袖一触
(がいしゅういっしょく) 《四熟》 鎧(よろい)の袖で一触れするということで、その程度の力で簡単に相手を負かすこと。
・懐柔策(かいじゅうさく) 巧く丸め込んで人を自分の思い通りに従わせる策。
・外柔内剛(がいじゅうないごう) 《四熟》 表面は優しく見えて、実際は意志が強いこと。 類:●内剛外柔 
反:■内柔外剛 出典:欧陽脩「再論水災状」「静黙端直、外柔内剛、学問通達」 ★北宋の欧陽脩が、祠部員外郎直史館知襄州の張カイ(ちょうかい)を評した言葉。
・甲斐性なし
(かいしょうなし) 稼(かせ)ぎがなく頼もしくないこと。また、その人。 ★「甲斐性」の「甲斐」は、「効(かひ)」からの転かという。
・回心転意
(かいしんてんい) 《四熟》 1.過去の過ちを悔い改め、善人になること。また、考え直し、翻意すること。2.一度失った友情や愛情などを取り戻して、再び仲良くなること。 類:●喧嘩の後の兄弟名乗り●諍い果てての契り
・灰燼に帰す
(かいじんにきす)[=と化す] 跡形もなく燃え尽きる。 類:●元の木阿弥水泡に帰す
・会心の笑み(かいしんのえみ) 心から満足したとき自然に出る微笑(ほほえ)み。 例:「会心の笑みを浮かべる」
・会心の出来
(かいしんのでき)[=作(さく) 考え通りの出来上がりである。作り手が満足する出来である。また、その作品。 類:●自信作
・会心の友
(かいしんのとも) 意気投合した友人。気心の通じた友人。
・海誓山盟
(かいせいさんめい) 《四熟》 1.海や山がいつまでも変わらないように、誓いがとても固いこと。その誓い。 類:●海約山盟●河誓山盟●山海之盟 2.男女間の愛が、永遠に変わらないようにと誓うこと。その誓い。
・蓋世の才
(がいせいのさい) 世の中を覆い尽くすほどの優れた能力という意味で、意気盛んで一時代を覆うほどの優れた才能、または、それを持った人。 類:●気(き)世を蓋(おお)う 出典:「史記−項羽本紀」
・階前万里(かいぜんばんり) 《四熟》 軒先で起こったような出来事も、耳に入らなければ万里の遠方の出来事と同じである。天子たる者は地方の実情を良く知るべきだということの喩え。 出典:「
管子−法法」「堂上遠於百里、堂下遠於千里、門廷遠於万里」 出典:管子(かんし) 中国、古代の政治論の書。24巻。春秋時代、斉の名政治家、管仲の著とされるが、実際は戦国時代末から漢代にかけて、何人もの論文を纏めたもの。政治、経済、軍事、教育の問題を論じる。

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・咳唾珠を成す
(がいだたまをなす) 1.咳や唾までが珠玉のようである。何気なく口にする言葉さえ珠玉のように美しいということから、詩文の才能が極めて豊かで優れている喩え。 類:●咳唾成珠(がいだせいじゅ) 出典:「晋書−夏侯湛伝」「咳唾成珠、揮袂出風雲」 2.権力者や勢力が盛んな人の言葉は、一言一句が珠玉のように尊(とうと)ばれるばかりでなく、咳や唾まで畏(おそ)れ敬(うやま)われるということ。 出典:李白の詩「妾薄命」「咳唾落九天、随風生珠玉
・書いた物が物言う
(かいたものがものいう) 証文や契約書などが動かぬ証拠になる。
・怪誕不経
(かいたんふけい) 《四熟》 言っていることが怪しくて信用できない。言動が奇怪で道理に合わない。 類:●出鱈目 ★「誕」は、いつわりの意<国語大辞典(小)>
・海中より盃中に溺死する者多し
(かいちゅうよりはいちゅうにできしするものおおし) 海で溺死するよりも、酒が原因で命をおとす者の方が多い。飲み過ぎには注意しなさいという戒め。
・掻い摘む
(かいつまむ) 1.指先で挟(はさ)んで持つ。摘む。2.ものごとの必要な点だけを取り出して、大雑把に捉(とら)える。 類:●概括(がいかつ)する 用例:伎・お染久松色読販−中幕「かいつまんで申ませふが」 例:「状況を掻い摘んで話す」
・買い手市場
(かいてしじょう) 《株式用語》 供給量が需要量よりも大きく、買い手が売り手に対して有利な立場に立っている市場。 反:■売り手市場
・改天換地
(かいてんかんち) 《四熟》 社会を改め、自然環境を一新する。国家を大改造すること。 ★「天を改め、地を換える」と読み下す。
・開店休業
(かいてんきゅうぎょう) 《四熟》 1.開店してはいるが、客が来なかったりして、営業を休んだも同然のこと。2.比喩的に、発足したはいいが、何もすることがないような会のこと。 例:「会の活動は実質開店休業である」
・懐と安とは実に名を敗る(かいとあんとはじつになをやぶる) 日々の暮らしに満足し安逸を貪(むさぼ)っていては、功名が立てられないということ。 出典:「春秋左氏伝−僖公二十三年」「姜曰行也、懐与安実敗名」 ★紀元前7世紀、晋の文公(重耳)に、妻の姜氏が叱咤して語った言葉。
・改頭換面
(かいとうかんめん) 《四熟》 1.表面だけを改めて、内容が変わらないこと。頭を取り替え、面を付け替えても中身は同じということ。 出典:「古今風謡」「汾河謡伝、漢似胡児胡似漢、改頭換面総一般」 2.転じて、似たり寄ったりのこと。 出典:古今風謡(ここんふうよう) 楊慎(ようしん・升菴)撰。明代。・・・調査中。
・海棠睡り未だ足らず
(かいどうねむりいまだたらず) 美人が酔って眠った後の、まだ眠り足りない、艶(なま)めかしく弱々しい美しさをいう。唐の玄宗(げんそう)皇帝が楊貴妃を評した言葉。 出典:「唐書−楊貴妃伝」「此眞海棠睡未足耶」 ★「海棠」は、バラ科の落葉低木。
・海棠の雨に濡れたる風情
(かいどうのあめにぬれたるふぜい)[=雨を帯びたる〜] 美人が打ち萎(しお)れた姿を、海棠が雨を帯びて趣(おもむき)がある様子に喩えていう。
・快刀乱麻を断つ
(かいとうらんまをたつ) 麻のように乱れ縺(もつ)れたものごとを、見事(みごと)に処理すること。 出典:杜甫・戯題画山水図歌「焉得并州快剪刀剪取呉松半江水」 ★略して「快刀乱麻」でも、同じ意味として使う。
・貝になる
(かいになる) 1.二枚貝が閉じるように、口を閉ざして何も語らない様子。 例:「報道陣を前に首相は貝になっている」 2.自分の部屋や殻(から)に閉じ篭もる様子。また、引き篭もること。自閉。 類:●殻に閉じ篭もる
・貝の城
(かいのしろ) 蜃気楼(しんきろう)のこと。 
★昔、大蛤(はまぐり)が気を吐くためと考えたところからいう<国語大辞典(小)>
・快馬加鞭
(かいばかべん) 《四熟》 疾走する馬に鞭(むち)を加える。 1.速い上にも、一層スピードアップすること。 類:●駆け馬に鞭●駿馬に鞭を打つ●拍車を掛ける 出典:「文山先生全集−発東阿」「貪程頻問[土+侯]、快馬加鞭」 2.努力を続けて、絶えず前進することの喩え。 出典:「毛沢東詩詞−十六字令・其一」「山、快馬加鞭未下鞍、驚回首、離天三尺三」 出典:文山集(ぶんざんしゅう) 詩集。南宋、1282頃。文天祥(ぶんてんしょう)。20巻。獄中生活の間に作られた詩を収めた『指南録』『指南後録』『吟嘯集』などを含む。 参照:正気の歌
・櫂は三年櫓は三月
(かいはさんねんろはみつき) 小舟を操(あやつ)るのに櫓のような一見したところ簡単な作業でも、それを覚えるのには最低三月掛かる、更に櫂を使って舟を自在に動かすには三年掛かるものである。 類:●櫓三年に棹八年首振り三年ころ八年ぽつぽつ三年波八年
・開闢以来
(かいびゃくいらい) 《四熟》 天地が開けて以来。または、世界が始まって以来。 類:●有史以来
・貝吹いて逃ぐる(かいふいてにぐる) そら惚(とぼ)けて逃げること。 
★「貝吹いて」は「掻伏いて(身をかがめて)」に、山伏が、逃げる合図のほら貝を吹くことを掛けていったもの<国語大辞典(小)>
・開物成務
(かいぶつせいむ) 《四熟》 人知を開発し、事業を完成させること。 類:●開成●物を開き務めを成す 出典:「易経−繋辞・上」「夫易、開物成務、冒天下之道」
・外聞欠く
(がいぶんかく) 体裁(ていさい)の悪い思いをする。恥を掻くこと。
・懐宝夜行
(かいほうやこう) 《四熟》 宝を抱いて夜道を行く。危険な行動の喩え。
・垣間見る
(かいまみる) 隙間から密かに覗き見る。また、ちょっと見る。 類:●かいまむ●かいばみる●かいばむ 例:「富士の頂が雲間からかいま見られた」 用例:
竹取「穴をくじり、かひまみ、まどひあへり」 ★「かきまみる(垣間見)」の変化<国語大辞典(小)> 出典:竹取物語(たけとりものがたり) 物語。2巻。作者未詳。平安初期の成立。竹取の翁が竹の中から得た娘、なよ竹のかぐや姫が、五人の貴公子の求婚に難題を出して失敗させ、天皇の召しにも応ぜず8月15夜に月の世界に去る。羽衣説話を軸に、化生説話、致富長者説話、求婚難題説話など各種説話を配して物語化したもの。作り物語の祖とされる。竹取翁物語。竹取の翁。かぐや姫。たかとりものがたり。
・外野席
(がいやせき) 直接そのことに関係を持っていない傍観者であるということ。 類:●外野
隗より始めよ
(かいよりはじめよ)
・怪力乱神
(かいりょくらんしん) 《四熟》 怪異と怪力と悖乱と鬼神の意味から、理性では説明が付かないような不思議な存在や現象。 出典:「論語−述而」「子不語怪力乱神
・偕老同穴
(かいろうどうけつ・かいろうとうけつ) 《四熟》 「偕老」は偕(とも)に老いること。「同穴」は、死んで同じ穴に葬られること。夫婦が、最後まで添い遂げること。夫婦の契りが堅いということ。 用例:保元−上「偕老同穴の御契り」 出典:「詩経−王風・大車」 
参考:カイロウドウケツ科に属する海綿動物の総称。
・偕老の契り(かいろうのちぎり) 年老いるまで長く連れ添う、睦(むつ)まじい夫婦の関係。 類:●
偕老同穴の契り●同穴の契り
・貝を作る
(かいをつくる) 泣き出す時の口つきが蛤(はまぐり)の形に似ているところから、口をへの字に曲げて、泣き出すこと。 類:●べそをかく 用例:源氏−明石「今日の御送りに、つかうまつらぬ事など申して、かひをつくるも、いとほしながら」
・櫂を振り回す
(かいをふりまわす) 金の遣り繰りをする。暮らし向きを楽にする。 用例:浮・
世間妾形気−二「私が内証の械(カイ)もふり廻し易う成りましたも」 用例の出典:世間妾形気(せけんてかけかたぎ) 浮世草紙。4巻4冊。上田秋成。明和3年(1766)。10の短編から成る。欲深女・浮気女・売春婦・貞婦・詐欺女・超長生き女など種々の妾(めかけ)が引き起こす事件を、諧謔(かいぎゃく)を交えて描いたもの。

−−−−−−−かえ(#kae)−−−−−−−
・替え着なしの晴れ着なし(かえぎなしのはれぎなし) いつも上等な服を着てはいるが、それ一枚だけで着替えを持っていないこと。着替えがないから、やがてそれも襤褸(ぼろ)になるだろうということ。 類:●着た切り雀一張羅 参考:常常綺羅の晴れ着なし
・返す返す
(かえすがえす) 1.繰り返し繰り返し、何度も。くれぐれも。よくよく。 類:●再三再四 用例:続日本紀−天平宝字元年七月二日・宣命「私(ひそか)に兵を備ふと聞し看して、加遍須加遍須(カヘスカヘス)念ほせども」 例:「礼を返す返す述べる」 2.どのように考えても。何度考えても。本当に。用例:竹取「侍らで過ぎ別れぬる事、かへすかへすほいなくこそ覚え侍れ」 例:「返す返すも残念だ」 3.偏(ひとえ)に。非常に。重々(じゅうじゅう)。 用例:古今−515「唐衣日もゆふぐれになる時は返す返すぞ人はこひしき」 4.念には念を入れて。懇(ねんご)ろに。丁寧に。用例:十六夜日記「みづぐきの岡の葛葉、かへすがへすも、書きおく跡たしかなれども」
・返す刀
(かえすかたな) 1.斬り付けた刀を素早く翻(ひるがえ)して、更に他方に斬り掛けること。2.一方を攻撃した後、すぐさま矛先(ほこさき)を転じて他方を攻めること。
・返す言葉
(かえすことば) 1.後に打ち消しを伴って、相手の言葉に応じる言葉。返事・反論など。 例:「返す言葉もない」 2.江戸時代の文法用語。否定を伴う逆接表現、疑問の副詞、助詞などによる反語表現。
・帰らぬ人
(かえらぬひと) 二度と帰ってこない人という意味で、死んでしまった人。 例:「帰らぬ人となる」
・顧みて他を言う
(かえりみてたをいう) 答えに窮したときなど、問題を回避しようとして、辺りを見回して別なことを言う。 出典:「孟子−梁恵王・下」「左右而言他
・蛙の行列(かえるのぎょうれつ) 蛙が後足で立つと目が後ろ向きなために前が見えないところから、向こう見ずなこと。また、そのような人々の集まりのこと。 類:●かわずの行列
蛙の子は蛙
(かえるのこはかえる)
・蛙の相撲
(かえるのすもう) 蛙は立ちあがると目が後ろになり巧く立ち会えないことから、、互いに行き違うことの喩え。

蛙の面に水(かえるのつらにみず)
・蛙の頬冠り
(かえるのほおかむり) 蛙の目は背後にあるので頬冠りをすると前が見えないところから、向こうが見えないこと。目先が利かないこと。
・蛙の目借り時(かえるのめかりどき・めかるどき) 春暖の蛙が鳴きたてる頃の眠くて堪らない時期のこと。蛙に目を借りられるため、眠気を催すという意味。 類:●かわずの目借り時●かえるどき●目借る時 
★「目借」は蛙がめすを求める意の「妻狩(めか)る」から転じた語という<国語大辞典(小)>
・蛙は口から呑まるる(かえるはくちからのまるる)[=口故(ゆえ)〜](かえるはくちからのまるる) 蛙は鳴くから居場所が分かって蛇に呑まれるということから、余計なことを言って、自ら、禍(わざわい)を招くこと。 類:●藪を突付いて蛇を出す物は言い残せ菜は食い残せ

−−−−−−−かお(#kao)−−−−−−−
・顔色を窺う(かおいろをうかがう)[=見る・読む] 相手の顔付きを見てその心を察する。相手の顔付きによって自分の行動を決める。
・顔が厚い
(かおがあつい) 図々しい。厚かましい。 類:●顔の皮が厚い●厚顔
・顔が売れる
(かおがうれる) 世間に広く知られる。有名になる。 類:●顔利きになる 例:「テレビで顔が売れている」
・顔が利く
(かおがきく) 権力などを持っていて、その人が出ることによって、無理だったことが通るようになるような存在である。
・顔が立つ
(かおがたつ) 名誉が保たれる。 類:●面(おもて)が立つ面目(めんぼく)が立つ
・顔が潰れる
(かおがつぶれる) その人の名誉が傷付く。恥(はじ)を掻く。 類:●面目を失う
・顔が通る
(かおがとおる) 名前が世間に広く知られる。有名になる。 類:●
顔が売れる
・顔が広い
(かおがひろい) 世間に知り合いが多い。伝手(つて)になりそうな人を多く知っている。 類:●顔を売る
・顔から火が出る(かおからひがでる) 恥ずかしくて顔が真っ赤になる様子。
・顔に書いてある
(かおにかいてある) 口に出して言わなくても、表情から読み取れる。 例:「あの娘に惚れていると顔に書いてあるぜ」

・顔に泥を塗る(かおにどろをぬる) 名誉を傷付ける。恥を掻かせる。 類:●面(おもて)に泥を塗る顔を汚す●面目を失わせる●顔を潰す 反:■顔が立つ
・顔に紅葉を散らす(かおにもみじをちらす)[=火を焚(た)く] 恥ずかしさや怒りなどの為、紅葉(火)のように顔が赤くなる。顔を赤らめる。
・顔負け
(かおまけ) 1.相手の厚かましさに呆れること。 例:「あいつの図々しさには顔負けだ」 2.相手の技量、態度などが驚くほど立派で、面目を失うこと。 例:「玄人も顔負けの作品」
・顔向けができない
(かおむけできない) 面目なくて人に会えない。 類:●合わせる顔がない
・顔を洗って出直せ
(かおをあらってでなおせ) 1.夢のようなこと(世迷い言)を言うのはまだ寝惚けているのかという意味で、顔を洗って、頭をすっきりさせてからものを言えということ。2.転じて、聞く耳持たぬと追い返すときに罵(ののし)って言う言葉。 類:●鏡を見て物を言え
・顔を合わせる
(かおをあわせる) 1.顔を向き合わせる。または、会う。 例:「彼とは毎日顔を合わせている」 2.演劇や映画で共演するようになる。3.対抗試合などで、対戦相手になる。 例:「初戦から優勝候補と顔を合わせる」 4.下に否定の言葉を伴なって、面目なくて会えない。訪ねていくことができない。 例:「師匠に顔を合わせられない」
・顔を貸す
(かおをかす) 1.他人から頼まれて、人に会ったり、人の面前に出たりする。2.借金などを信用で猶予してやる。
・顔を利かす
(かおをきかす) その人の持っている権力などで、無理と思われたことを押し通したり、事を有利に運んだりする。
・顔を出す
(かおをだす)[=見せる] 1.姿を見せる。 例:「5年ぶりにひょっこり顔を出した」 2.人の家を訪ねる。また、挨拶に行く。 例:「月に一度は顔を出しておくように」 3.集会に出席する。 例:「ここ半月、部活動に顔を出していない」 4.ある物が、その一部分だけ外に見える。 例:「朝日が顔を出す」
・顔を立てる
(かおをたてる) その人の名誉を保たせる。その人の面目が保たれるようにする。
・顔を繋ぐ
(かおをつなぐ) 1.訪問したり会合に出席したりして、知り合いの関係を保っておく。 類:●顔繋ぎをする 2.見知らぬ二人を間に入って紹介する。
・顔を潰す(かおをつぶす) その人の名誉を傷付ける。恥を掻かせる。面目を失わせる。 類:●面目を潰す名を腐す体面を汚す
顔に泥を塗る
・顔を見せる(かおをみせる) → 顔を出す
・顔を汚す(かおをよごす) → 顔に泥を塗る

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・嚊天下(かかあてんか・かかあでんか) 一家の中で、妻が夫よりも権力を持っていて、威張っていること。また、その家庭。 類:●奥様天下 反:■亭主関白
・河海細流を択ばず
(かかいさいりゅうをえらばず)[=厭(いと)わず] 黄河や海はどんな支流や小川の水をも差別なく受け入れるという意味から、大人物は度量が広く、分け隔てなく人を容(い)れるということ。 類:●泰山(たいざん)は土壌を譲らず大海は芥を択ばず 出典:李斯「逐客上書」「太山不譲土壌、故能成其大。河海不択細流、故能就其深」
・下学して上達す
(かがくしてのぼらず) 手近で初歩的なところから学び始め、後には高遠な学理にまで達し、それを究(きわ)める。 出典:「論語−憲問」「下学而上達、知我者其天乎」
・案山子
(かかし) 1.田畑が鳥獣に荒されるのを防ぐため、嫌う臭(にお)いを出して近付けないようにしたもの。獣の肉を焼いて串に刺したり、毛髪やぼろ布などを焼いたものを竹に下げて田畑に置いた。威(おど)し。2.転じて、竹や藁(わら)で作った人型の鳥獣避(よ)け。弓矢を持たせたり、蓑や笠を被せたりして、人がいるように見せ掛けた。かがせ。そほづ。3.見掛けばかりで、地位に相当した働きをしない者。 類:●見掛け倒し ★古くは「かがし」。においをかがせるものの意の「臭(かが)し」から<国語大辞典(小)> ★「案山子」の文字の由来 中国に「案山」という平たい山があり、平たいところに畑が作られていた。そこに「かかし」が立てられて「案山の人」の意味の「案山子」と名付けられたという。
・呵呵大笑
(かかたいしょう・かかだいしょう) 《四熟》 大声を上げて笑うこと。
・夏下冬上
(かかとうじょう) 炭火の熾(おこ)し方の口伝(くでん)。火種を夏は炭の下に、冬は炭の上に置くと火点きが良いということ。 類:●冬上夏下
・瓜葛之親
(かかつのしん) 《四熟》 瓜や葛などの蔓草は互いに纏(まと)い絡(から)み合うことから、親戚となって親しい交わりを結ぶこと。縁続きであること。 類:●親戚縁者 出典:「三国志−魏・明帝・種瓜篇」「与君新為婚、瓜葛相連結」
・踵を狙う
(かかとをねらう) 相手の弱みに付け込む。 類:●足元を見る
・踵を踏む
(かかとをふむ) 先を進んでいる人のすぐ後に付いて追い掛ける。先んじている人にすぐさま追従する。
・鏡を見て物を言え(かがみをみてものをいえ)[=と相談してから〜] 1.自分の地位や立場を再度確認してから意見しなさいということ。2.転じて、分を超えたことは言うなと窘(たしな)めて、また、聞く耳持たぬと追い返すときに罵(ののし)って言う言葉。 類:●顔を洗って出直せ百年早い
・蚊が餅搗く
(かがもちつく) 蚊が群集して上下に移動して飛ぶ様子。 
★雨降りの前兆とする<国語大辞典(小)>
・河漢の言
(かかんのげん) 「河漢」は天の川のことで、天の川は広大無極であるところから、漠然としていて捕らえどころがない言葉のこと。取りとめのない言葉。 出典:「荘子−逍遥遊」「吾驚怖其、猶河漢而無極也」

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・書き入れ時(かきいれどき) 帳簿の記入に忙しい時ということで、多くの利益が最も期待される時。転じて、利益が多い時。商売が儲かる時。 例:「夕方はスーパーの書き入れ時」

・柿団扇は貧乏神が憑く(かきうちわはびんぼうがみがつく) 渋団扇には貧乏神が憑くという俗信。 ★柿団扇は、柿渋を塗った赤黒色の粗末な団扇。
・柿が赤くなると医者が青くなる
(かきがあかくなるといしゃがあおくなる) 柿を食べると病気にならないと言われ、柿の熟す秋になると病気になる者が少なく、医者はあがったりで青くなる。 ★実は、このような諺のできた時代には、農民が多く、秋と言えばちょうど農繁期で、医者に行く暇などなかったからだとも言われている。貧しく、忙しい時代ならではの諺かもしれない。
・垣堅くして犬入らず
(かきかたくしていぬいらず) 家庭が健全であれば、外部からこれを乱す者は入って来ない。
・柿根性
(かきこんじょう) 渋柿がすぐ甘くなるような、変わり易い性質。頑固でなく、融通の利く性質。 反:■梅根性
・餓鬼に苧殻
(がきにおがら) 1.飢えて力のない者が折れ易い苧殻を振り回すように、なんの力にも、頼りにもならないことの喩え。 反:■鬼に金棒 ★「苧殻」は、麻の皮を剥(は)いだあとの茎。 2.無意味でなんにもならないことの喩え。
・鉤に掛ける
(かぎにかける) 巧いことを言って騙(だま)す。また、騙し取る。引っ掛ける。 
★遊里で多く用いられた<国語慣用句辞典(集)>
・鍵の穴から天を覗く(かぎのあなからてんをのぞく) 自分の狭い見識で考えて、広大なことについて勝手な判断を下すこと。 類:●管(くだ)を以て天を窺う葦(よし)の髄から天井を見る
・柿の皮は乞食に剥かせよ
(かきのかわはこじきにむかせよ) 柿の皮は貧乏人ならば、勿体無いので薄く剥く。適切な加工法は、ものによって異なるものだということ。 類:●瓜の皮は大名に剥かせよ柿の皮は乞食に剥かせよ
・柿の木であっても萵苣の木
(かきのきであってもちしゃのき) 何がなんでも自分の言い分は曲げない強情の喩え。特に、鹿児島県人が頑固であること言うことわざ。 類:●椋は成っても木は榎●這っても黒豆 故事:昔、鹿児島領では柿の木にまで課税したが、検地の際に「柿ではなく萵苣の木でござる」と頑張って免れた。 ★萵苣の木は、柿の木に似た木で、カキノキダマシという別名もある。
・柿の木と家内の角は折ったほど良い
(かきのきとかないのつのはおったほどよい) 柿の古い枝は折った方が良く、我の強い女房の角も折った方が良いということ。 ★柿は今年実をつけた枝には翌年実を付けないので、実をもぐときに一緒に枝ごと折ると良いと言われる。 ★福島県のことわざ。
・柿の木畑に柳田
(かきのきばたけにやなぎだ) 柿は土地を冷やす木であり、柳は湿地に生える木であるところから、どちらも冷えて作物に良くないということ。  ★長野県のことわざ。
・柿の木百本持てば百石取りと同じ
(かきのきひゃっぽんもてはひゃっこくどりとおなじ) 柿の木から上がる収入は非常に多いということ。
・柿の葉の二つ葉が出る頃牛蒡の蒔き時
(かきのはのふたつばがでるころごぼうのまきどき) 柿の二葉が開くころ、牛蒡の種を蒔けば適期である。 ★長崎県のことわざ。
・柿の豊年には渡り鳥が多い
(かきのほうねんにはわたりどりがおおい) 柿が多い年は、渡り鳥の類が集まるので、多いように見えるのでいう。 ★福岡のことわざ。
・餓鬼の目に水見えず
(がきのめにみずみえず) 餓鬼は飢えと渇(かわ)きがあまりに酷(ひど)いので、傍(そば)に水があっても、求めている水が目に入らない。熱望し過ぎて、却って求める物が近くにあるのに気付かないこと。また、ものごとに熱心過ぎて、却って肝心の物を見落としてしまうことの喩え。
・餓鬼の物をびんずる
(がきのものをびんずる)[=びんずり] いつも飢えている餓鬼がやっと得た食物を奪い取る。貧しい者から金品を強引に奪い取ることの喩え。 ★「びんずる」は「引っ取る」を「餓鬼」の縁で「賓頭盧(びんずる)」に掛けていったものか<大辞泉(小)>
・柿は歯の毒腹薬
(かきははのどくはらぐすり) 柿を食べると歯に悪いが、腹には薬であるということ。
・柿は三月飯米
(かきはみつきはんまい) 米の端境期(はざかいき)の三か月間は、柿を代用食として飢えを凌(しの)ぐ。庶民が重税に苦しむことの喩え。 ★鹿児島県のことわざ。宝暦4年(1754)〜5年、幕命により薩摩藩が木曾・長良・揖斐川の治水工事を行なうため、領民に重税を課したときに生まれたことわざという。
・嗅ぎ回る
(かぎまわる) 1.あちこち臭いを嗅いで回る。2.比喩的に、何かを知るためにあちこち探り歩く。 例:「刑事が何かを嗅ぎ回っている」
・餓鬼も人数
(がきもにんじゅ・にんず) 1.つまらない人間でも、いれば、時には多少の役割を果たすものだということ。 類:●枯れ木も山の賑わい 用例:浄・国性爺合戦−正徳・巻二「ヤア、餓鬼も人数、しほらしい事ほざいたり」 2.弱小な者でも、多く集まればその勢いも侮(あなど)り難くなるということの喩え。 類:●痩せ牛も数集れ●蟻も軍勢
蝸牛角上の争い
(かぎゅうかくじょうのあらそい)
・蝸牛の歩み(かぎゅうのあゆみ) 蝸牛(かたつむり)の歩みのように、遅々として捗(はかど)らない様子。
・蝸牛の庵(かぎゅうのあん・いおり)[=廬(ろ)・家] ささやかな住まい。 類:●蝸廬(かろ)
・火牛の計
(かぎゅうのけい) 1.中国の戦国時代に斉(せい)の武将・田単(でんたん)が用いたとされる策。牛に五色の竜文を描いた赤い絹(きぬ)を着せ、その角に兵刃(へいじん)を付けさせ、尾に葦(あし)を結んて点火し、夜陰(やいん)に乗じて敵陣に放(はな)った。火に驚いた牛は怒涛(どとう)の如く敵陣に押し寄せた。 出典:「史記−田単列伝」「田単乃収城中、得千余、為絳?衣、画以五彩竜文、束兵刃於其角、而灌脂束葦於尾、其端」 2.知恵を絞(しぼ)って画策(かくさく)した、思い掛けない戦術の喩え。 類:●奇策
・限りの旅
(かぎりのたび) 二度と出掛けることのない旅。最後の旅。
・垣を作る
(かきをつくる)[=結(ゆ)う] 1.多くの人が、垣のように周囲に集まったり、立ち並んだりする。 類:●人垣を作る 2.他人との間に隔てを作る。分け隔てをすること。
・柿を盗んで核を隠さず(かきをぬすんでさねをかくさず) 悪事や欠点・悪戯(いたずら)などを、自分では上手に隠したつもりでも、実際には肝心な所が隠し切れていないこと。浅知恵を嘲(あざけ)る言葉。 類:●頭隠して尻隠さず雉の草隠れ●身を隠し陰を露す●らっきょう食うて口を拭う

−−−−−−−かく(#kaku)−−−−−−−
・郭巨得釜
(かくきょとくふ) 孝行を尽くせば必ずその報いがあるということ。 
故事:蒙求」 孝子郭巨が貧しさのあまり、わが子を殺しても母を飢えさせまいとした孝心を天が賞し、土中より黄金の一釜を得させた。
・学者の取った天下なし
(がくしゃのとったてんかなし) 学者は机上(きじょう)で政治を論じるが、現実には疎(うと)くて、自(みずか)ら政治を行なうことはできない。理論だけでは国家を治(おさ)めることができないということ。
・矍鑠たる哉
(かくしゃくたるかな) 老人が、きびきびとしていて血色が良く、元気な様子。 出典:「後漢書−馬援伝」「帝笑曰、矍鑠哉是翁也」 後漢の老将・馬援(ばえん)が、高齢にも拘(かかわ)らず出陣を願い出たとき、光武帝(こうぶてい)が笑って言った言葉。結局、馬援はこの戦(いくさ)の陣中で病没した。 ★「矍」は、鳥がきょろきょろするように素早く反応する様子。「鑠」は、熱せられた金属が溶けるように赤々と輝く(血色が良い)様子。
・鶴首
(かくしゅ) 1.鶴の首のように長い首のこと。転じて、首を長くして待つこと。 類:●首を延べ踵を企つ●鶴企(かっき)●鵠企(こっき)●鶴望●鶴立 例:「鶴首して待つ」 2.白髪(しらが)頭のこと。
・確信犯(かくしんはん) 法律で、政治的・思想的・宗教的、または道義的な確信に基づく義務感または使命感によって行なわれる犯行、またはその犯人。政治犯、思想犯、国事犯など。 ★「悪いことであると分かっていながらなされる犯罪」「過失のように見えるが、実はわざとやった犯罪」「成り行きでそうなったように見えるが、実は計画的である犯罪」などとして使うのは、「故意犯」などとの誤用。また、「自分の行為が正しいと信じて行なう犯罪」も、正確には「確信犯」からずれる。誰もが「崇高な動機」と認めるもの、であるものをのみ言う。
・隠すより現わる
(かくすよりあらわる)[=ことほど顕(あら)わる] 隠し事は、隠せば隠すほど却って人に知られるものだ。
・各星帝座を犯す
(かくせいていざをおかす) 身分の卑しい者が天子の位を狙うこと。 出典:「後漢書−逸民伝」「客星犯御座甚急」
・隔世の感
(かくせいのかん)[=思い] 世の中が著しく変化したという感覚。時代がすっかり変わってしまったという感慨。
・掻く手数多
(かくてあまた) 引き寄せてくれる手がたくさんあるという意味から、誘いを掛けてくれる人が数多くいること。 用例:
蜻蛉−下「かくてあまたに」 類:●引く手数多 用例の出典:蜻蛉日記(かげろうにっき) 右大将藤原道綱の母の日記。3巻。天延2年(974)以後の成立。天暦8年(954)に兼家と結婚してのち、不安定な結婚生活に苦悩や嫉妬や絶望を重ねながらやがて一子道綱への愛や、芸術の世界に平安を見いだしていく21年間の心の遍歴を自伝風に綴る。
・鶴髪童顔(かくはつどうがん) 《四熟》 鶴のように白い髪と子供のように赤味を帯びた顔色。老人の血色の好い顔の形容。また、老いてなお精気盛んなこと。 類:●白髪童顔●童顔鶴髪 ★「鶴髪」は、白髪(しらが)の雅称。
・格物致知
(かくぶつちち) 《四熟》 理想的な政治をするための第一と第二の段階。「格物」は、朱子によれば、個々のものごとについての道理を徹底的に究明すること。王陽明によれば、対象に向かう心の動きを正しくすること。「致知」は、朱子によれば、自分の知識を極限にまで推(お)し広めること。王陽明によれば、自然な心情、本来的な心の働きを徹底的に発現させること。 出典:「礼記大学」「致知格物」 人物:
王陽明(おうようめい) 中国明代の儒学者、政治家。1472〜1528。名は守仁。字は伯安。陽明は号。浙江省余姚の人。知行合一、致良知の説を唱えた。その一門を陽明学派という。著「伝習録」「王文成公全書」など。
・鶴望
(かくぼう) 鶴が首を伸ばして待ち望む様子から、首を長くして待つこと。 類:●鶴首 用例:「後漢書・巻七十四・下」「憤躍鶴望して、冀(こいねが)うは和同之声を聞くことである」
・額面通り
(がくめんどおり) 1.有価証券、切手、貨幣などの表面に記(しる)された額面価格のまま通用すること。 例:「旧札も額面通りの価値を持つ」 2.表現された事柄の内容そのまま。推測や想像を加えない、聞いた言葉そのまま。 例:「宣伝文句を額面通りに受け取るべきではない」
・学若し成らずんば死すとも帰らず
(がくもしならずんばしすともかえらず) もし学業が成し遂げられなかったら、死んでも故郷には帰らない。故郷を出て勉学を志(こころざ)す者の決心を述べたもの。 出典:月性の詩「題壁」「男児立志出郷関、学若不成死不還、埋骨何期墳墓地、人間到処有青山」
・学問に王道なし
(がくもんにおうどうなし) 学問をするのに安易な方法はない。誰が学んでも、等しく経(へ)なければならない過程がある。 故事:紀元前300年ごろ、エジプト王トレミー一世が、ギリシャの数学者ユークリッドに「幾何学を簡単に学べないか」と尋ねた時に、ユークリッドが「幾何学に王道なし」と答えた。
・楽屋話
(がくやばなし) 楽屋内での話。転じて、内輪同士の話。 類:●内緒話
獲麟(かくりん)
・鶴林
(かくりん) 仏教用語。 1.釈迦入滅の、拘尸那(くしな)城の阿利羅跋提河の辺(ほとり)に生えていた沙羅双樹(さらそうじゅ)の異称。2.転じて、釈迦の死。また一般に、僧寺や、僧寺の樹林、あるいは人の臨終の意味でも使う。 類:●鶴の林 用例:本朝文粋−一四「臣等鶴林雲帰、鱗水義絶」 
★沙羅双樹が、釈迦が入滅した時、あたかも白鶴のようにまっ白に枯れたというところからいう<国語大辞典(小)>
・隠れたる信あらば顕われたる験
(かくれたるしんあらばあらわれたるしるし) 神仏への信仰は隠れて密かにしていても、ご利益(りやく)は必ず顕われてくるものだ。 
★「隠れての信は顕われての徳」とも<国語大辞典(小)>
・隠れたるより見わるるは莫し
(かくれたるよりあらわるるはなし) 1.他人に隠れて悪事を行なって、それを知る者がないと考えるのは誤まりで、自分が知っているのだから、これ以上明白なことはない。2.転じて、秘密は隠しても、却(かえ)って世間に知れ易いということ。 類:●
隠すより現わる微かなるよりも顕かなるは莫し 出典:「中庸−一章」「莫見乎隠、莫顕乎微」
・隠れ蓑
(かくれみの) 1.着ると身を隠すことができる想像上の蓑。 用例:枕草子−一〇四「かいまみの人、かくれみの取られたる心地して」 2.転じて、実体を隠すための表向きのもの。 類:●世を忍ぶ仮の姿
・学を好むは知に近し(がくをこのむはちにちかし) 学ぶことを好んで嫌がらないのは、知ではないが知に近い。学問を好む人は、知識を少しずつ蓄積して、やがては真の知者に近付くことができるのである。 出典:「中庸−二十章」「子曰、好学近乎知、力行近乎仁、知恥近乎勇」

−−−−−−−かけ(#kake)−−−−−−−
・掛け合う
(かけあう) 1.二つが釣り合う。 類:●匹敵する 用例:
連理秘抄「すべてこの句にかけあひたる秀逸は」 2.要求や要望を持って相談に行く。 類:●談判する●交渉する 用例:洒・南門鼠「其都合は切手に掛合ておくから」 3.関わり合う。参加する。 類:●関与する●関係する 用例:随・孔雀楼筆記−三「黄河の水を引て運河とす。これにかけあふ役人」 用例の出典①:連理秘抄(れんりひしょう) 連歌論。1巻。二条良基著。貞和五年(1349)頃の成立。前半は連歌の沿革、作句の心得、付方、賦物、嫌物、風体など、後半の式目は「応安新式」の草稿とも考えられる。 用例の出典②:南門鼠(なんもんねずみ) 洒落本。塩屋艶二。寛政年間(1799頃か?)。後編に「鼠帰(ねずみかえし)がある。・・・詳細調査中。
・家鶏野鶩
(かけいやぼく) 《四熟》 1.家に飼っている鶏(にわとり)と野生の家鴨(あひる)という意味で、日常見慣れている、有り触れたものを遠ざけ、新しいものや珍しいものを尊ぶこと。家にある良いものを捨てて、外にある悪いものを好むことの喩え。 用例:随・孔雀楼筆記−二「家鶏野鶩の謗を免がれず」 2.良いものと悪いもの、有用なものと無用なもの、また妻と妾(めかけ)などを表わす。
・駆け馬に鞭
(かけうまにむち) 強い者に、更に力を添えてやって、一層強くすること。 類:●行く馬に鞭●走る馬に鞭虎に翼鬼に金棒
・陰裏の芋も味の付く時分(かげうらのいももあじのつくじぶん) 「芋」は男性器の比喩。青年男子が年頃になると色気付く。
・陰裏の豆もはじけ時
(かげうらのまめもはじけどき) 「豆」は女性器の比喩。日陰に植えた豆でも、時期が来ればいつのまにか成熟するということから、どんな娘でも年頃になれば色気付くものであるということ。 類:●日陰の豆も時が来れば爆ぜる芝栗も時節が来れば弾ける●陰裏の桃の木も生(な)る時分には生る●陰裏の桃の木も時が来れば花咲く
・陰裏豆
(かげうらまめ) 1.日陰や葉陰などに生(な)る豆。2.「豆」は女性器の比喩。街頭で客を誘い、売春をする女。 類:●街娼●辻君
・影が薄い
(かげがうすい) 1.目立たない存在になっている。また、零落(おちぶ)れかけている。落ち目である。 用例:雑俳・柳多留−四「茶の会にかげのうすいがてい主也」 2.何となく元気がなく、衰(おとろ)えて見える。死神に取り憑かれたように見える。
・掛け替えのない
(かけがえのない) 代わりになるものがない。二つとない唯一つの。二人といない唯一人の。とても大事な。 例:「掛け替えのない命(人)」
・陰口を利く
(かげぐちをきく) 当人がいない所で、その人の悪口を言う。
・陰口を叩く
(かげぐちをたたく) 当人がいない所で、その人の悪口を言う。
・駆け出し者
(かけだしもの)・駆け出し 1.田舎を飛び出して都会に来た者。2.未熟な者。 類:●初心者
・駆け付け三杯
(かけつけさんばい) 酒宴の席に遅れて来た者に対して、罰として、続けて三杯の酒を飲ませること。 類:●遅れ三杯
・陰で糸を引く
(かげでいとをひく) 操り人形使いが陰で糸を操って人形を動かすように、人目に付かない裏面にいて、ものごとを支配したり、他人を動かしたりする。 類:●糸を引く
・欠け徳利(かけどくり・どっくり) 1.口の欠けた徳利ということで、口が悪いこと。また、その人。 用例:浄・忠臣金短冊−二「さりとはけうとい欠徳利、わる口をいはずとも」 2.よく喋(しゃべ)ること。また、その人。 類:●転け徳利 用例の出典:忠臣金短冊(ちゅうしんこがねのたんざく) 浄瑠璃。並木宗助・小川文助・安田蛙文合作。享保17年(1732)。赤穂浪士討ち入り物。題に「忠臣」と付いたのはこれが初めて。「仮名手本忠臣蔵」の16年前。
・陰に居て枝を折る
(かげにいてえだをおる) 恩を仇(あだ)で返すことのたとえ。 類:●恩を仇で返す
・陰になり日向になり(かげになりひなたになり) 人に知られない面でも表立った面でも両方。 類:●陰(いん)に陽に 
★絶えず庇(かば)い守るような場合に用いることが多い<国語大辞典(小)>
・掛け値なし
(かけねなし) 1.実際の売り値そのままであるということ。値段を吹っ掛けていない、ということ。 例:「掛け値なしで5万円だ」 ★「現金掛け値なし」は、江戸日本橋の呉服商・三井越後屋(今の三越)が「引き札」に書いた文句。付け(=掛け売り)が当たり前であった当時に、現金での販売のみにし、その代わり儲(もう)けなしの価格で売るという意味。天和3年(1683)頃か? 2.ものごとを大袈裟(おおげさ)に言っているわけではないということ。誇張していないこと。 類:●正真正銘 例:「あそこのラーメンは掛け値なしに美味い」
・影の形に添うよう
(かげのかたちにそうよう)[=随(したが)うが如し] 物に必ず影が付き添うようにという意味で、親子や夫婦などが常に一緒にいて離れない様子。 類:●影身に添う●影身を離れず
・陰の朽木
(かげのくちき) 物陰にある朽木のことで、人に認められないまま老いて朽ち果てる者の喩え。
・陰の舞い
(かげのまい) 1.見る人のいない所で舞うことから、骨折り甲斐がないこと。2.煩(うるさ)い人がいない間に自由に振る舞うこと。 類:●鬼の居ぬ間の洗濯 用例:浄・
右大将鎌倉実記−二「陰の舞の我儘か」 用例の出典:右大将鎌倉実記(うだいしょうかまくらじっき) 浄瑠璃。竹田出雲。享保9年(1724)。・・・詳細調査中。
・崖端歩き
(がけばたあるき) 崖の端(はし)の方を歩くこと。思慮の浅い人が、好んで危険に近付きたがることの喩え。
・駆け引き
(かけひき) 1.交渉・談判や試合などで、相手の出方や状況に応じて、自分に有利なように事を運ぶこと。また、その術。臨機応変の処置や策略。 例:「恋の駆け引き」 2.戦場で、臨機応変に兵を進退させること。 
2.が原義<大辞林(三)>
・陰弁慶(かげべんけい) 人のいない所でばかり強がって、人前では意気地の者。 類:●隠れ弁慶●内弁慶 用例:雑俳・柳多留−一〇「里の母かげ弁慶を遣ふなり」
・陽炎稲妻水の月
(かげろういなずまみずのつき) 手に取ることができないもの。また、動作が素早くて捕まえられないもの。
・影を畏れ迹を悪む
(かげをおそれあとをにくむ) 自分の影に怯(おび)える。自分の心の中で、勝手に苦悩を作り上げ、心を平静にできないことの喩え。 故事:「荘子−漁父」 自分の影と足跡から逃れようと走り続けて、遂に死んだ。
・影を落とす
(かげをおとす) 1.光を投げ掛ける。光が射している。 例:「夕日が影を落としていた」 2.光を受けてその影法師を他の物の上に写す。3.転じて、悪い影響を与える。 例:「核問題が暗い影を落としている」 ★「影を投げ掛ける」のようにも使う。 4.料理で、汁物などに醤油を少し注(さ)す。
・影を隠す
(かげをかくす) 身を隠す。
・陰をする
(かげをする)[=致(いた)す] 姿を消す。隠れる。 用例:浄・
悦賀楽平太−役目尽し「さあ両人一まづおちてかげをせよ、あとのことは某にまかせし」 用例の出典:悦賀楽平太(えがらのへいた) 浄瑠璃。近松門左衛門。元禄5年(1692)。・・・詳細調査中。
・影を潜める(かげをひそめる) 表立った所から姿を隠す。また、比喩的に、ものごとが表面から消える。 例:「彼はすっかり影を潜めている」「思慮も分別も影を潜めてしまった」

−−−−−−−かこ(#kako)−−−−−−−
・佳肴有りと雖も食らわずんばその旨きを知らず
(かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず)[=食せざればその味わいを知らず] いくら美味しい御馳走があっても食べてみなければその旨さは分からないということから転じて、聖人の立派な道も学んでみなければその良さが分からないということ。まず実践することの必要を教えたもの。また、大人物も実際に用いてみなければその器量を知ることができないということ。 出典:「礼記−学記」「雖有嘉肴、弗食不知其旨也、雖有至道、弗学不知其善也」
・駕籠舁き駕籠に乗らず
(かごかきかごにのらず) 常に扱っていながら、自分のことにはそれを使用しないことの喩え。他人のために図るばかりで、自分のことには手が回らないこと。
・籠性根
(かごしょうね) 籠に水を入れてもすぐ漏れてしまうように、言われたことをすぐ忘れてしまう性質。
・籠で水を汲む
(かごでみずをくむ) 籠で水を汲もうとしても、少しも掬(すく)えないところから、骨を折って苦労しても、効果が全然ないことの喩え。 類:●籠釣瓶(かごつるべ)で水を汲む●笊(ざる)に水●味噌漉(こ)しで水を掬う
・駕籠に乗る人駕籠舁く人、そのまた草鞋を作る人
(かごにのるひとかごかくひと、そのまたわらじをつくるひと)[=担(かつ)ぐ人〜] 人間の運命や境遇、身分などは様々であるということ。持ちつ持たれつで、うまく回っていくものであるということ。 類:●持ちつ持たれつ
・籠の鳥
(かごのとり)[=内の鳥・中の鳥] 1.籠に入れられた鳥。2.自由に飛び回れないところから、束縛されて自由に行動できないこと。また、そのような境遇の人。 類:●池魚籠鳥 3.遊女。 用例:浄・冥途の飛脚「籠の鳥なる梅川に焦れて通ふ里雀」 
★郭(くるわ)から出られず、年季、借金などに縛られ、格子窓の中に居て客を引いたりするところなどからいう<国語大辞典(小)>

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