【もぬ】~【もん】

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・蛻けの殻(もぬけのから) 1.蝉(せみ)や蛇の抜け殻。2.人が抜け出た後の寝床や住居などの喩え。 例:「訪ねたときには蛻けの殻だった」 3.魂が抜け去った身体。死骸(しがい)のこと。 ★「蛻ける(もぬける)」は、「も」は「身」の意で、「身抜ける」かという<国語大辞典(小)> ★「裳(モ)抜け」の意<新明解国語辞典5(三)>及び<学研国語大辞典>

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・物合う
(ものあう) ものごとが思い通りになる。ものごとが都合良くいく。
・物有れば則有り
(ものあればのりあり) ものごとには一定の法則があるものである。例えば『五倫(ごりん)』:父子の「親(しん)」、君臣の「義」、夫婦の「別」、長幼の「序(じょ)」、朋友の「信」。 出典:「詩経−大雅・烝民」「天生烝民、有物有則
・物言う花
(ものいうはな) 物の意味を理解し、口を利く花という意味で、美人のこと。 類:●解語の花
・物言えば唇寒し秋の風
(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ) 人の短所を指摘した後には、なんとなく寂しい気持ちがする。転じて、なまじ余計なことを言えば、そのために禍(わざわ)いを招くということ。 
出典:芭蕉の句で、貞享年間に成ったといわれる「座右の銘」、「人の短をいふ事なかれ己が長をとく事なかれ」の後に添えられているもの。
・物入り
(ものいり)・物要り 費用が嵩(かさ)むこと。金銭を費(つい)やすこと。また、そういう事柄。 類:●出費●散財 例:「四月は何かと物入りだ」
・物言わぬ花
(ものいわぬはな) 美人を「物言う花」というのに対して使う。草木の花のこと。
・物覚ゆ
(ものおぼゆ) 1.ものごとを識別することができる。心が確かである。正気(しょうき)である。2.物心が付く。分別(ふんべつ)が付く。
・物が要る
(ものがいる) 経費を要する。費用が掛かる。
・物が無い
(ものがない) 1.命がないという意を暗にいう語。 用例:浄・
博多小女郎−上「此中の事一言いうても物が無いぞ」 .味も風情もない。つまらない。具合いが悪い。 用例の出典:博多小女郎波枕(はかたこじょろうなみまくら) 浄瑠璃。世話物。近松門左衛門。3談。享保3年(1718)。大坂竹本座。長崎の抜け荷を題材にしたもの。京の商人小松屋惣七は、博多の遊女小女郎との恋のために海賊毛剃九右衛門の仲間となり、捕えられて駕籠の中で自害する。
・物が無ければ影差さず
(ものがなければかげささず) 光を遮(さえぎ)る物体がなければ影はできない。原因がなければ結果は生じないということ。どんな行動や現象でも、必ず何かしらの理由があるということ。 類:●火の無い所に煙は立たぬ蒔かぬ種は生えぬ
・物が分かる
(ものがわかる) 物の道理が良く分かる。ものごとの筋道や本質がよく理解できる。また、その人。 類:●物分りが良い●話が分かる
・物聞こゆ(ものきこゆ) お話を申し上げる。
・物臭
(ものぐさ) 1.ものごとをするのに面倒がること。不精(ぶしょう)なこと。また、そういう性質やその人。 用例:徳和歌後万載集−雑「人訪(と)はぬ庭も我が身も垢つきて苔むしけりなものぐさの庵」 2.短くて、踵(かかと)の部分がない草履(ぞうり)。足半(あしなか)。 類:●尻切れ草履 用例:一遍上人語録「ものぐさといふものを四十八作りて」 ★古くは「ものくさ」<国語大辞典(小)> ★億劫(おっくう)である・面倒であるの意味の「懶(ものくさ)し」から。 用例の出典:一遍上人語録(いっぺんしょうにんごろく) 語録。宝暦13年(1763)。編者未詳。上下2巻。一遍(1239〜89)は死に臨み「一代聖教みなつきて南無阿弥陀仏になりはてぬ」と、著作物一切を焼いてしまったため、後世、その消息文(手紙)や聖絵(ひじりえ)などを基に編集したもの。上巻は「一遍聖絵」「一遍上人縁起」記載の、和讚、消息、和歌などを収録しただけのもの。
・物承る
(ものけたまわる) 「ものうけたまわる」の略。人に何か言うときに、まず言う呼び掛けの言葉。申し上げます。 用例:源氏−帚木「ものけ給はる。いづくにおはしますぞ」
・物心が付く
(ものごころがつく) 世の中の状態が分かるようになる。幼年期を過ぎて、世間の情けや有様が理解でき、分別が付く年頃になる。
・物盛んなれば則ち衰う(ものさかんなればすなわちおとろう) 盛んなものは、やがて衰(おとろ)えるのが自然の理(ことわり)であるということ。 類:●月満つれば即ち虧く 出典:「史記−范雎蔡沢列伝」「語曰、日中則移、月満則虧、物盛則衰
・物知り顔
(ものしりがお) いかにもものごとを知っているという顔付きをすること。また、その様子。 類:●飲み込み顔 例:「物知り顔に話す」
・物知り立て
(ものしりだて) 物知りのような風をすること。 類:●知ったか振り 
★「立て」は接尾語。
・物好き
(ものずき)・物数寄・物数奇 1.ものごとに特別の趣向を凝らすこと。風流な趣(おもむき)を好むこと。また、そのような物や人。 類:●数寄 2.好み、趣味。 用例:虎寛本狂言・棒縛「夫はそなたの物好が能らう」 3.普通と違ったものごとを好むこと。風変わりなものを好むこと。また、そのような人。 類:●好事(こうず) 用例の出典:棒縛(ぼうしばり) 狂言。各流。太郎冠者・次郎冠者が自分の留守中いつも酒を盗み飲みすることを知った主人が、太郎冠者の両手首を棒に縛り付け、次郎冠者も後ろ手に縛って外出する。しかし、二人は不自由な態勢のまま知恵を絞って、酒を飲み、酔って歌い舞う。
・物種は盗まれず
(ものだねはぬすまれず) 血は争えないことの喩え。
・物問う
(ものとう) 占う。
・物ともせず
(ものともせず) 問題にもしない。何とも思わない。 例:「強風を物ともせず進む」
・物ならず
(ものならず) 問題ではない。大したことではない。容易(たやす)いことである。 類:●事もなし 例:「函谷関も物ならず」
・物に当たる
(ものにあたる) 物に突き当たるほど、慌て取り乱す。 用例:源氏−葵「あさましければ殿の内の人ものにぞあたる」
・物に襲わる
(ものにおそわる) 夢の中で、恐ろしいものに襲われる。
・物にする
(ものにする) 1.意図したように事を運び、成し遂げる。世の中に通ずるものに仕上げる。2.自分のものにする。目がけて女性を手に入れる。 例:「学園一の才媛を物にする」 3.習い覚えて役に立つようにする。習得する。 例:「英語をものにする」
・物になる
(ものになる) 1.一角(ひとかど)の人になる。立派な人になる。 例:「今年の新人は物になりそうだ」 2.思い通りになる。意図したように事が運び、成就する。3.目がけていた女性が手に入る。4.習い覚えたものが役に立つようになる。
・物に似ず
(ものににず) 並々でない。他に比べようがない。 用例:大和−148「悲しきこと物に似ず、よよとぞ泣きける」
・物には必至あり、事には固然あり
(ものにはひっしあり、ことにはこぜんあり) 富貴であれば追従する士が多く、貧賤なれば交友が少ないのは、事の当然であるということ。 ★「必至」は、必ずそうなること。「固然」は、本来そうであるべきこと。 出典:「史記−孟嘗君列伝」「馮驩曰、物有必至、事有固然
・物には七十五度
(ものにはしちじゅうごたび) ものごとには限度があるということ。
・物にもあらず
(ものにもあらず) それと認むべきほどの物でもない。問題にもならない。

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・物の彼方
(もののあなた) 1.物の向こう側。2.来世。後(のち)の世。
・物の折
(もののおり)[=折節(おりふし) 何かの機会があるとき。また、丁度その機会。
・物の数
(もののかず) 取り上げて数え立てるほどのもの。注目に値(あたい)する。問題にすべきもの。多く、打消しの語を伴って、問題じゃないという意味で使う。 例:「あいつなど物の数ではない」
・物の聞こえ
(もののきこえ) 世間の評判。取り沙汰(ざた)。
・物の先を折る
(もののさきをおる) 事柄の出端(でばな)を挫(くじ)く。 類:●出端(でばな)を挫く・折る
・物の諭し
(もののさとし) 神仏のお告げ。警告として現れた前兆。
・物の上手
(もののじょうず) ある技芸に優れた才能を持つ人。その道の名人。 用例:源氏−若菜・上「何事にも世に難き物の上手におはして」
・物の喩え
(もののたとえ・たとい) あるものごとの喩え。ことの喩え。
・物の序で
(もののついで) 何か他のことをするのと一緒の機会。何かをする折。事の序で。
・物の弾み
(もののはずみ) ちょっとした動機や成り行き。行き掛かり。 例:「物の弾みで喋ってしまった」
・物の本
(もののほん) 1.本の総称。書物。2.娯楽的な読物の草紙などに対して、学問的な内容の書物。教養のための固い書物。3.江戸時代の中期以後、物語類・小説類の総称。 用例:人情・梅児誉美−3「徒然をなぐさむ為のものの本」 4.その方面のことが書かれている書物。しかるべき本。 例:「物の本によると」
・物の紛れ
(もののまぎれ) 1.繁雑多忙などによる混乱に巻き込まれること。取り紛れて気付かないこと。2.密かに人目を紛らわして事を成すこと。特に、密会のことをそれとなく言う。 類:●密事(みそかごと)
・物の見事
(もののみごと) 「見事」を強めた表現。大層見事である。実に立派である。 例:「物の見事に騙された」
・物は言い残せ、菜は食い残せ
(ものはいいのこせ、さいはくいのこせ) 心にあることを全部言い尽くそうとすると言葉が過ぎてしまう。おかずを全部食べなければと思うと食べ過ぎになる。言葉は慎(つつし)みなさいということ。 類:●言わぬは言うに勝る口は禍の門蛙は口から呑まるる●言葉多きは品少なし
・物は言いよう
(ものはいいよう) ものごとは言い方によってどうにでも聞こえる。 類:●物は言いなし●事は言いなし
・物は相談
(ものはそうだん) 1.ものごとはなんでも、他人とよく相談してみるものである。望みがなさそうなことでも、独り決めにせず、人と相談してみれば、案外巧くいくこともあるということ。 類:●物は談合 2.相談事や頼み事を切り出すときに言う言葉。 類:●物は談合 例:「物は相談なんだが、金を貸して呉れないか」
・物は試し
(ものはためし) ものごとはなんでも、実地に試してみなければその良し悪しは分からない。ともかく一度やってみるのが良いということ。
・物見遊山
(ものみゆさん) 《四熟》 物見と遊山。あちこち見て回ること。気晴らしに見物や遊びに行くこと。 例:「物見遊山に出掛けた」
・物も言いようで角が立つ
(ものはいいようでかどがたつ) 何でもない事でも話の仕方によっては相手の感情を傷付けることがある。「丸い卵も切りようで四角」の後に続けて言う。
・物も覚えず
(ものもおぼえず) 1.どうすれば良いのか分からなくなる。また、正気を失う。夢中になる。上(うわ)の空である。 用例:源氏−夕顔「右近は、物もおぼえず、君に、つと添ひたてまつりて」 2.思い掛けない。 用例:栄花−浦々の別「ただ物も覚えぬ水のさと流出づれば」 3.ものごとの道理を弁(わきま)えない。 用例:平家−四「物もおぼえぬ官人共が申様かな」
・物々しい
(ものものしい) 1.人を威嚇するようである。厳(いか)めしい。2.堂々としている。厳(おごそ)かである。立派である。 用例:宇津保−蔵開下「けだかく、ものものしき顔してゐ給へり」 3.厳重である。 例:「物々しい警備」 4.大袈裟である。おこがましい。 用例:謡曲・
夜討曾我「あらものものしやおのれらよ」 用例の出典:夜討曾我(ようちそが) 能楽の曲名。四番目物。各流。作者未詳。「曾我物語」による。曾我の五郎と十郎は、富士の裾野の狩り場で父の敵・工藤祐経を討とうとし、従者に母に宛てて形見の品を持たせて帰らせ、首尾よく敵を討つ。
・物笑いの種になる
(ものわらいのたねになる) 嘲(あざけ)り笑われる元・原因となる。 例:「町中の物笑いの種になる」
・物を言う
(ものをいう) 1.話す。口を利く。2.言葉を交わして親しくする。懇(ねんご)ろにする。 用例:源氏−真木柱「いかなる心にて、かやうの人に、物をいひけん」 3.煩(うるさ)く文句を言う。不平や小言を言う。 用例:蜻蛉−中「かかるところにては、物などいふ人もあらじかし」 4.挨拶(あいさつ)をする。声を掛ける。 用例:読・春雨物語−樊噌下「恐しくなりて、物もいはで出ぬ」 5.効力を発揮する。証明する。役に立つ。 例:「結局、コネが物を言う」
・物を言わせる
(ものをいわせる)[=言わす] その物の力を十分に出させる。威力を発揮させる。 例:「財力に物を言わす」
・物を思う
(ものをおもう) 思い悩む。思いに耽(ふけ)る。
・物を突く
(ものをつく) 口から吐く。食べた物を吐く。
・物を見せる
(ものをみせる) 1.相手を打ち負かすと同時に、才能や技や力を誇示する。2.相手に思い知らせる。 類:●目に物を見せる
・物をも言わず(ものをもいわず) 何も言わないですぐにという意味で、瞬時も間を置かずに素早い動作をすること。 類:●瞬時も与えず
・物を開き務めを成す(ものをひらきつとめをなす) 1.「易(えき)」の道は、吉凶(きっきょう)を占(うらな)ってものごとを開発し、全ての仕事を成し遂(と)げさせるものであるということ。 類:●開物成務 出典:「易経−繋辞・上」「夫易、開物成務、冒天下之道」 2.一般に、人が知らないところを開発して、事業を成し遂げること。

−−−−−−−もみ(#momi)−−−−−−−
・揉み消す(もみけす) 1.火を、物に押し付けるように揉んで消す。 用例:談・古朽木−三「手燭の火が簔へちらりと移りて燃出せば、黍蔵は声もたてず揉消(モミケ)せども」 例:「タバコを揉み消す」 2.音や声などを、それより大きなものが消す。 例:「悲鳴は爆音に揉み消された」 3.良くない事件や悪い噂などが世間に知られないように手段を尽くして防ぎ止める。 例:「息子の交通違反を揉み消す」 4.激しく攻撃して滅ぼす。 用例:日葡辞書「テキヲヒトカッセンニモミケス」
・紅葉の中の常盤木
(もみじのなかのときわぎ) 常緑樹は、他の木々が紅葉しても自身の葉の色を変えない。どんな状況にあっても、一人節操を守る人の喩え。
・紅葉のような手
(もみじのようなて) 幼児の小さくて可愛らしい手。
・紅葉を散らす
(もみじをちらす) 顔に紅葉(こうよう)した紅葉の葉を散らすという意味で、興奮や緊張から顔を赤くすること。
・揉みに揉む(もみにもむ) 1.馬を激しく攻めて急がせる。 用例:太平記−8「人馬に息も継せず揉みに揉うでぞ挙たりける」 2.激しく揉み合う。盛んに争う。 
★「揉む」を重ねて強調した語<大辞林(三)>

−−−−−−−もも(#momo)−−−−−−−
桃栗三年柿八年
(ももくりさんねんかきはちねん)
・桃栗三年後家一年
(ももくりさんねんごけいちねん) 桃と栗は結実まで三年掛かるが、後家が操(みさお)を保つのは精々一年であるということ。未亡人の貞操は長く通せないということを、「桃栗三年柿八年」に掛けて洒落たもの。
・桃尻
(ももじり) 1.桃の実の尻は尖っていて据わりが悪いところから、馬の乗り方が下手で、尻が鞍に落ち着かないこと。 用例:徒然−188「桃尻にて落ちなんは、心憂かるべし」 2.じっと落ち着いていられず、もじもじする。 用例:浮・
好色敗毒散「ものさへいへば粋かと思ひ桃尻してゐる人に」 用例の出典:好色敗毒散(こうしょくはいどくさん) 浮世草子。5巻。夜食時分。元禄16年(1703)。大坂(新町)・京(島原)・江戸(吉原)などの遊里での話を含めた短編集。
・百に千に(ももにちに) 色々に。様々に。 用例:万葉−3059「百に千に人は言ふとも」
・桃の花咲けば鯉の口開く(もものはなさけばこいのくちひらく) 春の彼岸ごろ、暖かくなると鯉も泳ぎだし、釣りのシーズンが始まる。 類:●菜の花が開かぬと鯉の口も開かぬ
股を刺して書を読む(ももをさしてしょをよむ) 錐(きり)で腿(もも)を刺し、その痛さで眠気を覚ましながら勉学に励む。一心に勉強することの喩え。 類:●懸頭刺股 故事:「戦国策−秦策・上」「読書欲睡、引錐自刺其股、血流至足」 中国戦国時代の蘇秦(そしん)は、張儀(ちょうぎ)と共に鬼谷(きこく)先生に師事していたとき、勉強中に眠気を催してくると、錐で自分の股を刺して眠気を覚ました。 参考:蘇張の弁

−−−−−−−もら(#mora)−−−−−−−
・貰い腹を立てる(もらいばらをたてる) 他人の怒りに同調して立腹する。
・貰い物に苦情(もらいものにくじょう) 身勝手な業(ごう)突く張りは、もらったものにまで文句を付ける。人の厚意に難癖を付けたり、苦情を言ったり、貰ったものの値踏みをするなということ。 類:●Never look a gift horse in the mouth.(もらい物の馬の口の中を覗くな)
・貰う物は夏も小袖
(もらうものはなつもこそで) 貰えるものなら、夏に不用の絹の綿入れでも喜んで貰う。欲が深いことの喩え。 類:●戴く物は夏もお小袖

−−−−−−−もり(#mori)−−−−−−−
・盛り上がる
(もりあがる) 1.盛ったように高くなる。堆(うずたか)くなる。 用例:俳・
俳諧新撰−一「雪解の盛上がり来る流れかな」 例:「筋肉が盛り上がっている」 2.気持ちや勢いが高まる。 類:●高潮する 例:「不買運動が盛り上がる」 3.劇・映画・音楽などで、興趣(きょうしゅ)が最高潮に達する。 用例の出典:俳諧新撰(はいかいしんせん) 雑俳。三宅嘯山(しょうざん)と炭太祗(たんたいぎ)の共編。安永2年(1773)。蕪村は46句入集している。結城の雁宕、境の阿誰、蕪村の師・宋阿(京を下る時、古郷を二つ荷うて袷かな)などもる。
・盛り返す
(もりかえす) 一旦衰(おとろ)えた勢いを回復する。 用例:
足利季世記−号高国記「もり返し責め戦ひ」 例:「支持率を盛り返した」 用例の出典:足利季世記(あしかがきせいき) 軍記。著者・成立年代不詳。室町時代から戦国時代にかけての畿内の戦乱を叙述した合戦記で、畠山氏・三好氏の動向に詳しい。「改定史籍集覧」にも所収されている。 参考:改定史籍集覧(かいていしょせきしゅうらん) 史料集。近藤瓶城。明治15〜36年(1903)刊。33冊。総目解題1冊。続群書類従と重なる書目が多いが、他に翻刻のないものもあり、貴重である。
・守り立てる
(もりたてる) 1.援助して、力を発揮させる。 例:「若い社長を守り立てる」 2.衰えたものを再び盛んにする。再興する。3.守り育てる。大切に養育する。保育する。 用例:平家−六「夜泣きすとただもりたてよ末の代に清く盛ふる事もこそあれ」

−−−−−−−もろ(#moro)−−−−−−−
・諸白髪
(もろしらが) 1.夫婦共に白髪になるまで長生きすること。 類:●共白髪 用例:咄・醒睡笑「夫婦諸白髪まで添ひたりし」 2.すっかり白髪になること。 類:●総白髪 用例:謡曲・
「秋は半ば身はすでに、老い重なりて諸白髪」 用例の出典:(とおる) 能楽の曲名。五番目物。各流。世阿弥。古名「塩竈」。融は、源融(みなもとのとおる)。旅僧が京都六条河原の院で休んでいると、老人が来てこの所の潮汲みだと名乗り、ここは嵯峨天皇の時代に融の大臣(おとど)が陸奥の千賀の塩竈に模して作った庭の跡だと語る。そして、月に照らされた景色を賞し、融の大臣のことなどを語り姿を消す。その夜、僧の夢に融が現れ、明月の下で遊楽の舞を舞う。
・諸手を挙げて
(もろてをあげて) 無条件に、または、心から、それを受け入れ迎える意向である。 例:「諸手を挙げて賛成する」
・諸に
(もろに) まともに。完全に。 例:「台風の影響をもろに受ける」
・諸肌を脱ぐ
(もろはだをぬぐ) 1.左右両方の肩を着物から脱いで、上半身を現わす。2.全力を尽くし、事に当たる。
・諸刃の剣(もろはのつるぎ)[=刃(やいば) 1.両刃の剣は自分を傷付ける危険があるところから、相手に打撃を与えはするがこちらも相応の打撃を被(こうむ)る恐れがあることの喩え。 類:●両刃の剣 
2.役に立つと同時に、使い方によっては危険を招(まね)き兼ねないものの喩え。 例:「技術の進歩は諸刃の剣だ」

−−−−−−−もん(#mon)−−−−−−−
・門下
(もんか) 1.門の下。邸内。また、その人の近くに伺候(しこう)すること。転じて、食客。門客。 用例:
御湯殿上−文明18「門下の人より折三がう、御樽三かまゐる」 2.師の門に入り、直接教えを受けること。また、その人。 類:●門人●門弟 3.特定の寺院やその住職を敬って言う言葉。書札礼(しょさつれい)で、宛所の下に敬意を表するために付ける脇付(わきづけ)などに用いられた。 用例の出典:御湯殿上日記(おゆどのうえにっき) 室町時代、清涼殿の御湯殿の上に奉仕する女官が交代で付けた日記。仮名で記されていて、中には天皇が書いた部分もある。任官・叙位、下賜・進献などの宮中の動向が詳しく記されている。文明9年(1477)から文政9年(1826)までのものが伝存。「御湯殿上記」「御湯殿記」「御浴殿記」。
・門外漢
(もんがいかん) その道の専門家でない人。また、そのことに直接関わりのない人。 類:●畑違い
・門外雀羅を設く可し
(もんがいじゃくらをもうくべし) 訪れる者がなく、門前がひっそり寂れている様子の喩え。 類:●
門前雀羅を張る 出典:「史記−汲黯鄭当時列伝・賛」「及廃、門外可設雀羅
・門外不出(もんがいふしょつ) 《四熟》 その家の門から外に出さないこと。貴重な書画などを、滅多に他人に見せたり貸したりせず、秘蔵すること。 例:「門外不出の古文書」
・文句を付ける
(もんくをつける) 苦情を言う。 例:「何かというとすぐ文句を付ける」
・門戸開放
(もんこかいほう) 《四熟》 1.禁止や制限をしないで、出入りを自由にすること。2.その国の海港・市場を諸外国の経済活動のために開放すること。
・門戸に傍うて飛ぶ
(もんこにそうてとぶ) 巣が壊れてしまった燕が門戸に沿って飛んでいる。 1.他人に頼(たよ)って立身しようとすることの喩え。2.落第生が、他人に縋(すが)る姿などの喩え。 出典:「書言故事−不捷類」「下第帰投人、傍門戸飛
・門戸を成す
(もんこをなす) 1.一家を興(おこ)す。2.一派を作る。
・門戸を張る
(もんこをはる) 1.一家を構える。2.見栄を張って、家の外観を立派にする。3.一流一派を立てる。
・門戸を開く
(もんこをひらく) 禁止や制限をしないで、交流・通商・出入りなどを自由にする。 類:●
門戸開放
・文字の法師
(もんじのほうし) 禅僧が、学問僧を嘲(あざけ)って言う言葉。経典の注釈や教理の研究にのみ勉(つと)めて、実践的な修行を疎(おろそ)かにしている僧のこと。
・文殊の知恵
(もんじゅのちえ) 文殊菩薩のような優れた知恵。素晴らしい考え。 例:「三人寄れば文殊の知恵」 
参考:文殊菩薩(もんじゅぼさつ) 智慧を司(つかさど)るとされる菩薩。脇侍として左に侍し、普賢(ふげん)菩薩とともに三尊を形成する。中国では五台山をその霊地とし、日本では葛城山を当てる。
・門前市を成す
(もんぜんいちをなす) 門前に人や車馬が群がり集まる。権力や名声があり、それを慕って、その家に出入りする人が多いことの喩え。 類:●門庭市の如し 
反:■門前雀羅を張る
・門前雀羅を張る
(もんぜんじゃくらをはる) 訪れる人がなくて門前には雀が群れ遊び、網を張って捕らえられるほどである。門前がひっそりとして寂しい様子。 類:●
門外雀羅を設くべし 反:■門前市を成す■門庭市の如し 出典:白居易「寓意詩」「賓客亦已散、門前雀羅張
・門前の小僧習わぬ経を読む
(もんぜんのこぞうならわぬきょうをよむ) 常に見たり聞いたりしていれば、知らず知らずのうちにそれを学び知るようになるということの喩え。環境がその人に与える影響は大きいということの喩え。 類:●勧学院の雀は蒙求を囀る 反:■習わぬ経は読めぬ
・門前払い
(もんぜんばらい) 1.江戸時代、受取人のない受刑者を奉行所の門前から追い出したこと。2.面会しないで、来訪者を追い帰すこと。 例:「門前払いを食わせる」
・問題外
(もんだいがい) 1.問題として取り上げるには、その範囲の外であること。 類:●論外 2.取るに足りないこと。劣っていて、比較の対象にもならないこと。 類:●論外以ての外
・問題にならない
(もんだいにならない) 1.問題として取り上げる価値がない。取るに足りない。2.問題外である。差があり過ぎて、比較対象にならない。
・門庭市の若し
(もんていいちのごとし) 多くの人がその家に出入りすること。 類:●門前市を成す 出典:「戦国策−斉策」「令初下、群臣進諫、門庭若市」 斉の威王(いおう)は、相国(しょうこく)の鄒忌(すうき)の提言を受け、「威王の面前で批評する者には上賞を、書面で諌める者には中賞を、公共の場所で批評する者には下賞を授ける」という命令を発した。すると、大臣たちは先を争って諫言しにやってきた。
・問答無用
(もんどうむよう) 《四熟》 1.あれこれ議論しても何の役にも立たないこと。あれこれ言うには及ばない。 類:●問答無役●千も万も要らぬ 2.言うな。喋るな。 類:●聞く耳持たぬ
・門徒物忌みせず(もんとものいみせず)[=知らず] 1.門徒宗(浄土真宗)は、方角や六曜(ろくよう)などの迷信に囚われないということ。 類:●念仏者は物忌みせず 出典:御文−第一帖「物忌ということは、わが流には仏法についてものいまわぬといえることなり」 2.門徒宗信者は、他宗が常識として行なっている物忌みもせず、世のしきたりも知らないのかとして揶揄した言葉。 ★「門徒物知らず」との混同から言われたものか。 出典:御文(おふみ)・御文章(ごぶんしょう) 書簡。寛正2年(1461)〜。本願寺第8世・蓮如上人(れんにょしょうにん)が、浄土真宗の教義を分かり易く説(と)いた消息文を編集したもの。後に蓮如の孫円如(えんにょ)がこれを収集して五帖80通[『五帖御文』大永元年(1521)成立]に纏(まと)めた。「御文」という言い方は浄土真宗大谷派(東本願寺)によるものであり、「御文章」という言い方は浄土真宗本願寺派(西本願寺)によるものである。
・門徒物知らず
(もんとものしらず) 門徒宗(浄土真宗)の信者が只管(ひたすら)「南無阿弥陀仏」と唱えるのを、他宗の者が無知であると嘲(あざけ)っていう言葉。
・翻筋斗を打つ
(もんどりをうつ・もどりを〜)[=切る] 蜻蛉(とんぼ)返りをする。宙返りをする。 例:「翻筋斗打って倒れる」 
★「もんどり」は、「もどり(翻筋斗)」の転<大辞林(三)> ★「翻筋斗」は、「もどり(戻)」から<国語大辞典(小)>
・文無し
(もんなし) 1.「一文無し」の略。所持金が少しもないこと。 類:●一文無し 2.それ以上の文(もん)数がないところから、12文より大きい足袋。また、並外れて大きな足袋(たび)。
・門に入る
(もんにはいる) 弟子入りする。入門する。 例:「古今亭の門に入る」
・門の限り
(もんのかぎり) 門限の時刻。外出から帰らなければならない時刻。
・門の前の痩せ犬(もんのまえのやせいぬ) 弱い者であっても、後ろ立てがあれば強い態度を取るという喩え。また、そういう者の喩え。
・紋も型もないこと
(もんもかたもないこと) 紋も、紋を抜く型もないという意味で、なんの根拠もないことの喩え。
・門を打つ(もんをうつ) 門を閉める。
・門を叩く(もんをたたく) 師と仰(あお)ぐ人を訪ね、弟子入りを願う。 例:「歌川豊國の門を叩く」