【かん】~【かん】
・間一髪(かんいっぱつ) 一本の髪の毛の幅ほどの僅かの隙間ということから、ものごとが非常に差し迫っていることの喩え。危ないところ。 例:「間一髪で間に合う」 類:●タッチの差
・間雲孤鶴(かんうんこかく) 《四熟》 世俗に煩(わずら)わされることなく、自然の中で思いのままに暮らす境地。隠者の自由な生活の喩え。 類:●閑雲野鶴●孤雲野鶴●悠悠自適 出典:「全唐詩話−僧貫休」「間雲孤鶴、何天而不可飛」 出典:全唐詩話(ぜんとうしわ) 中国南宋代の詩歌集。咸淳7年(1271)。尤袤(ユウボウ)撰。6巻。・・・詳細調査中。
・寒煙迷離(かんえんめいり) 《四熟》 寂しげに煙や靄(もや)が立ち彷徨っている様子。訪れる人もない古跡などの寂しい様子。
・棺桶に片足突っ込む(かんおけにかたあしつっこむ)[=踏み込む] 年老いて死期が迫っている様子。老人を罵(ののし)る言葉。
−−−−−−−かん(か)(#kan2)−−−−−−
・函蓋相応ず(かんがいあいおうず・かんかい〜) 函(はこ)と蓋(ふた)とがぴったりと合致しているという意味から、ものごとがよく合っている様子。 出典:大日経疏(だいにちきょうしょ) 中国唐代の仏教書。20巻。善無畏説、一行記。8世紀初めころの成立。大日経の根本注釈書。単なる字句の解釈にとどまらず、大日経の思想を再構成し、密教の発展に大きな役割を担ったもの。わが国には空海によって伝えられ、東密ではこれに依存して研究が進められた。台密ではこの改定本の「大日経義釈」14巻を用いる。正称は大畏盧遮那成仏経疏。
・冠蓋相望む(かんがいあいのぞむ) 冠蓋は、冠と馬車の覆い。車と車が絶えず続く様子。特に、使者などが引き続いて行く様子を表わす。 出典:「戦国策−魏」「魏使人求救於秦、冠蓋相望」
・感慨無量(かんがいむりょう) 《四熟》 感慨が量(はか)り切れないほど大きい様子。何ともいえないほど、深く感じいるようす。 類:●感無量
・勧学院の雀は蒙求を囀る(かんがくいんのすずめはもうぎゅうをさえずる) 勧学院の軒先の雀は、学生が「蒙求」を読むのを聞き習って、それを囀る。常に見聞きして慣れ親しんでいると、自然に覚え込んでしまうという喩え。 類:●門前の小僧習わぬ経を読む 反:■習わぬ経は読めぬ
・鰥寡孤独(かんかこどく) 《四熟》 妻のない夫と、夫のない妻と、孤児と、老いて子のない者。寄る辺のない独り者のこと。 類:●鰥寡?ケイ独(かんかけいどく)
・欠が立つ(かんがたつ)[=付く・行く] 1.物の数量、目方が減る。 用例:日葡辞書「カンガイタまたは、タッタ」 2.身体が痩(や)せ細る。 用例:雑俳・手引草「大好きじゃ・女夫の顔に欠がたつ」 用例の出典:口合秘事手引草(くちあいひじてびきぐさ?) 雑俳。明和8年(1771)。桂山人序。紫山跋。口合の手引書。并に桂亭・紫山共撰の吟集。
・癇が立つ(かんがたつ)[=昂(たか)ぶる] 神経質になっていらいらすること。
・雁が飛べば石亀も地団駄(がんがとべばいしがめもじだんだ) 自分の分際を忘れて、みだりに他人の真似をしようとすること。 類:●石亀の地団駄
・干戈に訴える(かんかにうったえる) 争い事を解決するために、武力を使う。武力でことを解決する。
・眼下に見る(がんかにみる)[=見下(みくだ)す] 1.高い所から見下ろす。2.他を低いものとして見下げる。 類:●軽視する 3.世間の動向や評価に捕らわれない生き方をする。 例:「世間を眼下に見る」
・頷下の珠(がんかのたま) 得難い大事な宝のこと。 類:●頷珠 故事:「荘子−列禦寇」 驪竜(りりゅう)の頷(あぎと)の下にあるという珠玉。それを得るには竜の眠っている隙に危険を冒して探り採るしかない。
・干戈を動かす(かんかをうごかす) 戦争を始める。
・侃侃諤諤(かんかんがくがく) 《四熟》 「諤」はありのままに正しく言うという意味。遠慮なく直言すること。大いに議論すること。 類:●侃諤
・汗顔の至り(かんがんのいたり) 顔に汗が吹き出るほど恥ずかしいこと。これ以上ないほど恥ずかしいこと。 類:●穴へ入りたい●面目ない●恥ずかしながら
・雁木に鑢(がんぎにやすり) 押しても引いても削ることができるところから、二重に損をすることの喩え。 類:●雁木鑢●雁木 用例:雑俳・川柳評万句合−明和二「身あがりでおごるはがんぎやすりなり」
・雁木鑢(がんぎやすり) 1.太くて目の粗い鑢。2.がさがさした肌の女を罵っていう語。3.がりがりと擦(こす)るように、無闇にせっつくこと。 用例:黄・啌多雁取帳「諸方のかり金がんぎやすりとせつかれて」 4.押しても引いても削ることができるところから、二重に損をすることの喩え。 類:●雁木に鑢●雁木
・汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう) 《四熟》 引っ張るには牛馬が汗を掻き、積み上げては家の棟木にまで届くくらいの量ということで、蔵書が非常に多いことのたとえ。 類:●擁書万巻(ようしょまんがん) 出典:柳宗元「唐故給事中陸文通墓表」「其為書、処則充棟宇、出則汗牛馬」 ★「牛に汗し棟(むなぎ)に充(み)つ」ともいう<国語慣用句辞典(集)>
・感極まる(かんきわまる) この上もなく感動すること。感激が極限に達する。 例:「感極まって泣き出す」
・雁首を揃える(がんくびをそろえる) 「雁首」は、煙管(きせる)の頭に当たる金属部分で、「頭」を乱暴に言う言葉。頭数を揃えることから、人数が集まること。特に、無能な者ばかりが揃う様子を罵(ののし)って言う。 例:「これだけの雁首が揃っていて正解も出せないのか」
・艱苦奮闘(かんくふんとう) 《四熟》 艱難や辛苦に耐え、奮闘すること。頑張って困難を乗り越えること。
・勘繰る(かんぐる) 色々と気を回して考える。隠し事をしているのではないかと悪い方向へ推測する。 用例:情・春色梅児誉美−初「おまへはんのことを少はかんくって居る〈略〉ものだから」
・寒暄を延ぶ(かんけんをのぶ)[=叙(じょ)す] 時候の挨拶(あいさつ)をする。
・顔厚忸怩(がんこうじくじ) 《四熟》 恥知らずな者の顔にも、なお恥じる色が表われる。 1.自分が非常に恥じ入っていることを謙譲して言ったもの。 類:●汗顔無地●冷汗三斗 出典:「書経−五子之歌」「鬱陶乎予心、顔厚有忸怩」 2.顔にありありと恥じ入る色が出ること。 ★もと自分の恥じ入ることを謙譲して言ったものが、転じて文字通り、恥知らずのあつかましい者でさえ恥じ入ることの意に用いられることもある<新明解四字熟語辞典(三)>
・眼光紙背に徹る(がんこうしはいにとおる)[=徹(てっ)す] 書かれている紙の裏まで見透(とお)すという意味から、書物を読んで、字句の解釈だけでなく、その深意までも掴み取ること。読解力が鋭く、優れていること。
・眼高手低(がんこうしゅてい) 《四熟》 1.他人の作品を批評するのは上手いけれど、自分で作るのは下手であること。2.理想ばかり高いが、それを実践する力が伴っていないこと。
・眼光人を射る(がんこうひとをいる) 鋭い目付きで人を威圧すること。また、そういう人。
・諌鼓苔深く鳥驚かぬ(かんここけふかくとりおどろかぬ)[=苔むし〜] 君主が善政を施すので、諫鼓を用いる必要もなく、諫鼓に苔が生えてしまったから鳥がその音に驚くこともないということで、世の中がよく治まっていることの喩え。
・換骨奪胎(かんこつだったい) 《四熟》 1.外形はそのままに、骨を取り換え、胎(=子宮)を奪って使うという意味で、先人の詩文などの、発想や表現法などを活(い)かし、表現形式や語句などに新たな工夫を加えて、独自の作品を作り上げる技法。 類:●換骨 出典:「冷斎夜話・一」「然不易其意、而造其語、謂之換骨法、窺入其意、而形容之、謂之奪胎法」 2.誤用されて、他の作品の焼き直しの意味で使われることがある。 類:●改頭換面●焼き直し●(俗)ぱくり 出典①:冷斎夜話(れいさいやわ) 雑記集・評論集。宋代(1120年前後か)。覚範慧洪(けいこう)編。10巻。己の見聞を雑記し、更に、詩人の逸話とその作品の評論を併せ記したもの。 出典②:捫蝨新話(もんしつしんわ) 宋代(南宋)。陳善(ちんぜん)撰。8巻(上下各4巻)。・・・詳細調査中。
・閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく)[=歌う] 客が来なくて、商売などが流行らない様子。人の訪れがない閑散とした様子を言う。また、生活が貧しくてぴいぴいしていることの喩えとしても使う。 ★「閑古鳥」は、カッコウの異称。
−−−−−−−かん(さ)(#kan3)−−−−−−
・雁札(がんさつ) 音信の書。手紙。 類:●雁の便り(玉梓)●雁書●雁信●雁文●雁帛 参照:雁書
・雁字搦め(がんじがらめ) 1.糸・紐・縄などで、ぐるぐる巻きにすること。 例:「下手人を雁字搦めに縛る」 2.転じて、ものごとに束縛されて身動きが取れない境遇、心境。 例:「厳しい校則で雁字搦めにされている」 ★「雁字」は当て字か<国語大辞典(小)> 参考:がんじ〔副〕 1.動かないように堅く締めるさまを表わす語。*幸若・大職冠「こがねのくつはかむしとかませ」<国語大辞典(小)>
・閑日月(かんじつげつ) 1.これといってなすことなく過ごす月日のこと。2.心にゆとりがあり、ゆっくりしているときのこと。 類:●胸中閑日月あり●余裕綽々(しゃくしゃく)
・感謝感激雨霰(かんしゃかんげきあめあられ) 非常にありがたい気持ちを表わす言葉。近しい間柄の相手に、少しおどけて言う。 ★戦時、日本軍優勢の戦況を報じる新聞の見出しで使われた「乱射乱撃雨霰」を捩(もじ)った言葉。 参考:雨霰(あめあられ) 雨や霰のように矢などが盛んに降りそそぐことの喩え。 用例:浄・雪女五枚羽子板−下「雨あられととびくる矢」
・館舎を捐つ(かんしゃをすつ) 貴人の死をいう。 類:●捐館(えんかん)
・頑執妄排(がんしゅうもうはい) 《四熟》 分別(ふんべつ)がなく、ただ一つのことに執着して他の一切を排除すること。 類:●頑迷固陋●固陋頑迷●頑冥不霊●頑陋至愚●刻舟求剣●冥頑不霊 ★「頑執盲排」とも書く。
・雁書(がんしょ) 音信の書。手紙。書簡(しょかん)。 類:●雁の便り●雁札●雁信●雁文●雁帛(がんぱく) 故事:「漢書−蘇武伝」 漢の蘇武(そぶ)は、武帝の天漢元年(前100)捕虜交換のため匈奴に行ったが、内紛に巻き込まれて捕えられた。時を経て昭帝の始元六年(前81)、漢使が遣わされ、蘇武の返還を求めたが「死んだ」と言われ、相手にされなかった。常恵(じょうけい)という者の策を容れて、漢使が「漢の天子が狩りで捕らえた雁の足に『蘇武は大沢の中にある』という帛(はく)が付いていた。生きているのは明白である」と言うと、単于(ぜんう)もそれを認め、迎えに行くことを許した。蘇武が帰還したのは十九年後であった。 参考:「万葉集」遠江守桜井王が遠い奈良の都を慕って詠んだ歌。「九月之其始雁乃使尓も念心者可聞来奴鴨」<九月(ながつき)のその初雁の使いにも、思う心は聞こえ来ぬかも>
・勘定合って銭足らず(かんじょうあってぜにたらず) 勘定に間違いはないが現金が不足しているという意味で、理論と実際が巧く一致しないことの喩え。
・勘定高い(かんじょうだかい) 金銭などの計算が細かく、損得に敏感である。けちけちしている。打算的である。 類:●計算高い●算盤高い 用例:雑俳・柳多留−二「母親の勘定高いさかおくび」
・勘定に入れる(かんじょうにいれる) 1.計算するものの中に繰り入れること。2.考えること、予想することの対象に入れる。考慮に入れる。
・顔色無し(がんしょくなし)[=を失う] 恐れ、驚き、羞恥などのせいで平常の顔色が失われること。顔色が青くなること。また、相手に圧倒されて元気がなくなる様子。
・肝腎要(かんじんかなめ)・肝心要 特に重要な部分。極めて大切なこと。 類:●肝心肝文(かんもん) 例:「肝腎要の主役が遅れている」 ★同義語を重ねて強調した語。
・韓信の股潜り(かんしんのまたくぐり) 1.大志を抱く者は、小さな恥辱には耐えなければならないということ。 類:●韓信匍匐 用例:浄・源氏大草紙−二「韓信が股漂母の食、皆勘忍を守りし故、人の鑑(かがみ)と云るるぞや」 用例:浄・鬼鹿毛無佐志鐙−二「韓信が股をくぐるの心を持ち大事の命と思ふべし」 2.「韓信」に感心を掛け、「感心、感心」という気持ちを洒落(しゃれ)て言った言葉。 用例:洒・夜色のかたまり「イヤおきついおきつい、肝心またくぐりもちと古川やくしとはどふで御座り升(とふるいしゃれをいふ)」 故事:「史記−淮陰侯伝」 韓信は、若い頃、人の股を潜(くぐ)らされるという屈辱に耐えて、後年大成し、蕭何(しょうか)・張良(ちょうりょう)と共に漢の三傑の一人と呼ばれるに至った。 用例の出典①:源氏大草紙(げんじおおぞうし) 浄瑠璃。福内鬼外(平賀源内)作。明和7年(1770)。・・・詳細調査中。 用例の出典②:鬼鹿毛無佐志鐙(おにかげむさしあぶみ) 浄瑠璃。紀海音作。宝永7年(1710)。小栗判官の物語。 用例の出典③:夜色のかたまり(よいろのかたまり) 洒落本。・・・調査中。
・甘井先ず竭く(かんせいまずつく) 良質の水が湧き出る井戸は、利用者が多いので直ぐに水が涸れてしまうという意味から、才能のある者は、早くその才能を使い果たして衰退するものだということ。 出典:「荘子−山木」「直木先伐、甘井先竭」
・寒蝉枯木を抱く(かんせんこぼくをいだく) 秋の蝉は枯れ木に縋(すが)り付くという意味から、幾ばくの余命もない人は、身近な生きがいを唯一の頼りとするものだということ。
・間然する所がない(かんぜんするところがない)[=事がない] 少しも非難するところがない。 類:●非の打ち所がない 用例:俳・誹諧破邪顕正返答「梅翁の句に間然する事なし」 用例の出典:誹諧破邪顕正返答(はいかいはじゃけんしょうへんとう) 雑俳。延宝8年(1860)。岡西惟中。延宝7年(1679)、京談林の高政編『誹諧中庸姿』に対し貞門の随流は『誹諧破邪顕正』をもってその作風を非難。これを起因に談林の惟中と貞門の随流の論戦へと発展した。 人物:岡西惟中(おかにしいちゅう) 江戸中期の俳人、儒医。1639〜1711。通称、平太。字は赤子。号は一時軒、一有、閑々堂、時適など。鳥取の人。宗因の俳諧の評価をめぐり中島随流と論争。著「近来誹諧風体抄」「誹諧破邪顕正」など。
・勧善懲悪(かんぜんちょうあく) 《四熟》 善行を賞し勧め、悪行を戒め懲らすこと。 類:●勧懲 例:「勧善懲悪のTV番組」
−−−−−−−かん(た)(#kan4)−−−−−−−
・緩怠至極(かんたいしごく) 《四熟》 「緩怠」は、失礼なこと・無礼なことを意味し、相手の態度が甚(はなは)だしく非礼で不届きなこと。 類:●緩怠千万●無礼至極
・甲高い(かんだかい) 声の調子が高く鋭いこと。 例:「子供の甲高い声」
・肝胆相照らす(かんたんあいてらす) お互いに心の底まで打ち明けて親しく交わること。 類:●水魚の交わり 出典:韓愈の詩
・邯鄲の歩み(かんたんのあゆみ)
・邯鄲の枕(かんたんのまくら) 人の世の栄枯盛衰の儚いことの喩え。また、枕をして眠ることにも言う。 類:●邯鄲夢の枕●邯鄲の夢 故事:「枕中記」 貧乏で立身出世を望んでいた盧生(ろせい)という青年が、趙の都、邯鄲で呂翁という仙人から、栄華が意のままになるという枕を借り、転寝(うたたね)をしたところ、富貴を極めた五十余年の夢を見たが、覚めてみると炊き掛けていた粟(あわ)がまだ煮えないほどの短い間であったという。
・邯鄲の夢(かんたんのゆめ)
・肝胆も楚越(かんたんもそえつ) 肝と胆とのように近くにある物でも、時によっては楚と越の国のように隔たっているように思えるという意味で、見方によっては近い関係にあるものも遠く、遠いものも近く見えるものだということ。 出典:「荘子−徳充符」 「自其異者視之、肝胆楚越也。自其同者視之、万物皆一也」
・肝胆を傾ける(かんたんをかたむける)[=披(ひら)く] 心を開いて語ること。真心を示すこと。
・肝胆を砕く(かんたんをくだく)[=出(い)だす] 懸命になってものごとに当たる。 類:●心を尽くす●骨身を削る
・肝胆を吐く(かんたんをはく) 心の中にある事を曝(さら)け出して本心を語ること。 類:●胸襟(きょうきん)を開く●肝胆を披く●肝胆を披露す●肝胆を傾ける
・巻帙綻ぶ(かんちつほころぶ) 本が壊れるほど何度も繰り返して読むことの喩え。
・眼中に無い(がんちゅうにない)[=置かない・入れない] 心に留めない。意識しない。問題にしない。 例:「家庭のことは一切眼中にない」
・眼中人なし(がんちゅうひとなし) 人のことは少しも考えないで、我が儘に振る舞うこと。 類:●傍若無人
・缶詰め(かんづめ) 1.調理した食品や飲料を、密封をして缶に詰め、長期間保存できるようにしたもの。2.秘密などが漏れないように、また、仕事や交渉などを早く進めるために、関係者をある場所に閉じ込めること。また、車内などの狭い所に多くの人が閉じ込められること。 例:「ホテルに缶詰めになって原稿を書く」
・噛んで吐き出したよう(かんではきだしたよう)[=吐き出すよう] 不愉快な表情でぶっきらぼうに言う様子。
・噛んで含める(かんでふくめる)[=哺(くく)める] ものごとがよく理解できるように、丁寧に分かり易く言い聞かせる。 例:「噛んで含めるように諭す」
・歓天喜地(かんてんきち) 《四熟》 天にも地にも、両方に向かって喜ぶこと。大変な喜びようの喩え。また、躍り上がって喜ぶ様子。 類:●欣喜雀躍 出典:「水滸伝−一」
・干天の慈雨(かんてんのじう) 日照り続きに降る待望の雨という意味で、待ち望むものが叶えられること。また、困難に陥っている時に、救いが来ること。
・甘棠の詠(かんとうのえい) 人々が為政者の徳を称(たた)えること。 故事:中国、周の宰相召公噎が甘棠樹の下で民の訴訟を聞き、公平に裁断したので、民が召公の徳を慕い甘棠の詩(「詩経−召南」所収)を作り詠(うた)った。
・官途に就く(かんとにつく) 役人になること。
−−−−−−−かん(な)(#kan5)−−−−−−−
・鉋屑へ火が付いたよう(かんなくずへひがついたよう) ぺらぺらと喋り捲(まく)る。 類:●油紙へ火のついたよう
・艱難辛苦(かんなんしんく) 《四熟》 辛(つら)い目や困難な目に遭って、苦しみ悩むこと。 類:●千辛万苦●粒粒辛苦 例:「艱難辛苦を共にする」
・艱難汝を玉にす(かんなんなんじをたまにす)
・寒に帷子土用に布子(かんにかたびらどようにぬのこ) 1.時節外れで、ものごとが逆さまであることの喩え。また、無益で無意味なこと。 類:●夏炉冬扇●夏の小袖 2.季節に合った衣服を着られないことの意。極めて貧乏であること。
・癇に障る(かんにさわる)[=触れる] 腹立たしく思う。気に入らない。 類:●癪に障る 例:「癇にさわることを言う」
・簡にして要を得る(かんにしてようをえる) 簡単でありながら、要領を得ている。
・感に耐える(かんにたえる) 1.非常に感動しても、それを、表情に表わさないこと。多くは、「感に耐えず」など下に打ち消しの語句を伴って、深く感動することを表わす。 用例:宇津保−俊蔭「かんにたへでおり走り」 2.(1.から転じて、打ち消しの形を取らないで) 深く感動すること。 用例:伽・梵天国「かんにたへてぞ聞きにける」 用例の出典:梵天国(ぼんてんこく) 御伽草子。室町時代の作と思われる。本地物。遍歴談。梵天王の娘とそれを娶(めと)った中納言の物語。後に浄瑠璃として語られた。
・間に髪を容れず(かんにはつをいれず) 1.間に髪の毛一本さえも入れる余地がない。ものごとに少しの隙間もないこと。2.ある事態が起きたとき、時を置かず、それに応じた行動に出ること。直(ただ)ちに。 同:間髪を入れず
・堪忍五両思案十両(かんにんごりょうしあんじゅうりょう) 腹の立つのを我慢すれば五両の得になり、ものごとを良く見極めて行動すれば十両の得になる。腹の立つのをじっと我慢し、よく考えて慎重に行動すれば、きっと良いことがあるという喩え。 類:●意見三両堪忍五両●御意見五両堪忍十両 参考:堪忍五両(かんにんごりょう) 江戸時代後期、間男(まおとこ)の謝罪として支払う金額が五両であった。姦通は双方とも死罪であったが、示談で収(おさ)めることもできた。当初は七両二分だったが、後に五両に定着した。
・堪忍袋の緒が切れる(かんにんぶくろのおがきれる)
・寒熱往来(かんねつおうらい) 《四熟》 病気で、始め寒けを感じ、次いで発熱する症状のこと。主に、漢方医学で使われる言葉。
・寒熱温涼(かんねつおんりょう) 《四熟》 漢方医学で、薬剤の温度による寒、温、熱、涼の四種類の性質を指す。 ★五行説による言葉で、平を加えて五性とすることもある<国語大辞典(小)>
・観念の臍を固める(かんえんのほぞをかためる) 「臍を固める」は決心することで、もうこれまでと覚悟すること。 類:●観念する
・肝脳地に塗る(かんのうちにまみる) 頭を砕かれ、腹を斬られて、脳髄、肝臓が土塗(まみ)れになるということで、惨(むご)たらしい殺し方をされること。また、無残な死に方をすること。 類:●肝胆地に塗る 出典:「戦国策−燕」「撃代王殺之、肝脳塗地」、「史記−劉敬伝」
・肝脳を絞る(かんのうをしぼる) ありったけの力や知恵を傾けて、誠心誠意ことに当たること。 類:●肝胆を砕く
−−−−−−−かん(は)(#kan6)−−−−−−−
・汗背(かんぱい) 恥ずかしさで背中に汗を掻くこと。 出典:「史記−陳丞相世家」 「汗出沾背愧不能対」
・関白(かんぱく) 1.天子の政務に「関(かかわ)って意見を白(もう)す」の意。天子に奏上する前に、重臣に政治の意見を申し上げること。また、それを聞く重臣。 出典:「漢書−霍光」「諸事皆先関白光、然後奏御天子」 2.天下の万機を「関(あずか)り白(もう)す」の意。帝王の政務の全てに与(あず)かって、意見を言上(ごんじょう)すること。 用例:政事要略−三〇・仁和3年11月21日「皆関白於太政大臣」 3.平安時代に設置された令外の官で、天皇を補佐して政務を執行する重職。元慶8年(884)、光孝天皇が、藤原基経に、一切の奏文を天覧の前に、内覧、関白させたのが事実上の始まりで、のち職名となった。太政大臣の上。 ★近世まで「かんばく」<国語大辞典(小)> 4.比喩的に、権力や威力が強い者。 例:「亭主関白」 用例の出典:政事要略(せいじようりゃく) 平安中期の法令集収載文書。130巻。惟宗允亮(これむねのまさすけ)。寛弘5年(1008)頃の成立。平安時代の政務関係の諸制度を体系的に整理し、典拠を示して論評。
・間髪を容れず(かんはつをいれず・かんぱつをいれず)・入れず 1.髪の毛一本さえ入る隙間もない。2.事態が急迫して少しの猶予もない状況を指して言う。また、間を置かずに。直(ただ)ちに。 類:●間一髪●間に髪を容れず ★正しくは、「かん、はつをいれず」。 ★「間不容髪」を読み下した言葉<国語慣用句辞典(集)> 出典①:「文選−枚乗・諫呉王書」「其出不出、?不容髪」 出典②:諫呉王書(ごおうをいさむるのしょ) 諫言文。枚乗(ばいじょう)。前漢。呉楚七国の乱を起こそうとした呉王への諫め文。呉王には受け入れられなかった。
・汗馬の労(かんばのろう) 1.馬に汗を掻かせて駈け回った働きという意味で、戦場で活躍した功労のこと。 類:●戦功●軍功 出典:「韓非子−五蠹」 2.ものごとを纏(まと)めるときなどに、駆けずり回る苦労のことを喩えて言う。物資を遠方まで運搬する苦労などのこと。 出典:「戦国策−楚」
・雁は八百矢は三本(がんははっぴゃくやはさんぼん)[=三文・三筋] 1.雁はたくさん飛んでいるのに矢は少ししかないということから、手に入れる手段が少ないことの喩え。また、どれを取ろうかと迷うこと。転じて、一か八か思い切ってやってみようということ。 2.僅かな元手で大儲けすることの喩え。 ★「矢は三本」が「矢は三文」「矢は三銭」と変化して三文の矢で八百文の値うちのある雁を射落とす<国語大辞典(小)>
・頑張る(がんばる) 1.ある場所を占めて動かない。 例:「入口で頑張っている」 2.困難に屈せず、忍耐して努力する。堪(た)え続ける。 類:●踏ん張る 例:「手伝いが来るまで一人で頑張る」 3.我意を張り通す。自説を曲げない。 類:●踏ん張る●突っ張る 例:「それは間違いだと言って頑張る」 ★「頑張る」は当て字。「我に張る」の転<広辞苑第四版(岩)> ★「眼張る」から出た語と考えられる<国語大辞典(小)> 参考:眼張る(がんばる) 1.たしかめて覚えておく。目をつけておく。*浄・軍法富士見西行‐二「目が見えずば声を眼ばって置いて下んせ」 2.見張りをする。目をこらして見る。*洒・根柄異軒之伝「大道をがんばって、かな釘一本でも落て居る物を拾ふ」<国語大辞典(小)> 参考用例の出典①:軍法富士見西行(ぐんぽうふじみさいぎょう) 浄瑠璃。並木千柳・小川半平・竹田小出雲。延享2年(1745)。放埒(ほうらつ)の裏に苦悩をひた隠す木曾義仲と、捨て去った妻子への愛慕に心弱る旅僧西行を描いたもの。 参考用例の出展②:根柄異軒之伝(ねがらいけんのでん???) 洒落本。・・・調査中。
・看板打つ(かんばんうつ) 看板を掲げること。転じて、世間に知れ渡ること。有名であること。
・看板が泣く(かんばんがなく) 建て前と実際が違っていることの喩え。 例:「ここで引き下がったら看板が泣くぞ」
・看板倒れ(かんばんだおれ) 表面だけで実質が伴わないこと。また、そのもの。 類:●看板倒し●見掛け倒し
・看板に偽りなし(かんばんにいつわりなし) 看板に表記されている事が実際の物と違っていないという意味で、世間の評判や外観と、実物がまったく同じであることを強調していう。 反:■羊頭狗肉
・看板に傷が付く(かんばんにきずがつく) 企業などの、信用や評判などが損(そこな)われる。
・看板にする(かんばんにする) 閉店のとき看板を外すことから、飲食店などがその日の営業を終えること。閉店。 例:「そろそろ看板にしますよ」
・看板娘(かんばんむすめ) 店先にいて客を引き付けるような美しくて魅力のある娘のこと。
・看板持ち(かんばんもち) 人の傍(そば)に付き従って、その人の思いのままに行動すること。手先として振舞うこと。また、その人。 類:●お先棒を担ぐ
・看板を下ろす(かんばんをおろす) 1.閉店する。また、廃業する。 類:●暖簾を下ろす 2.公然と掲(かか)げていた事柄を取り止める。 例:「あいつも遂に独身主義の看板を下ろすらしい」
・玩物喪志(がんぶつそうし) 《四熟》 珍奇な物を弄(もてあそ)んで、それに溺れ、大切な志を失うこと。 出典:「書経−旅娉」「玩人喪徳、玩物喪志」 出典:書経(しょきょう) 中国の経書。五経の一つ。孔子の編という。古名は「書」、漢代以後「尚書」と呼ばれ、「書経」は宋代以後の名称。尭舜時代から秦の穆公に至る記録から、古代の政治における君臣の言行の模範とすべきものを集め、102編にまとめたもの。現行のものは東晋の梅?[臣+責]の「孔安国伝古文尚書」58編であり、「偽古文尚書」といわれる。漢代には孔子の旧宅から発見された「孔壁古文」といわれる「古文尚書」58編と秦の博士伏生の伝えた「今文尚書」29編があったが、いずれも今は諸書に断片として伝わるだけである。
・完膚なきまでに(かんぷなきまでに) 無傷の部分がないほどに。 類:●徹底的に●残るところなく 例:「完膚無きまでに打ちのめす」
・完璧(かんぺき) 1.瑕(きず)のない宝玉こと。転じて、欠点のないこと。完全無欠で優れていること。 例:「完璧を期す」「完璧な警護」 2.大事なことを全うすること。大切なものを取り戻すこと。 故事:「史記−廉頗藺相如列伝」「王必無人、臣願奉璧往使。城入趙而璧留秦。城不入、臣請完璧帰趙」 参考:卞和の璧
・管鮑の交わり(かんぽうのまじわり)
−−−−−−−かん(ま)(#kan7)−−−−−−−
・冠古けれど沓に履かず(かんむりふるけれどくつにはかず) 身分の上下・貴賤の別を乱してはならないということ。また、良い物は傷(いた)んでも値打ちがあることの意にいう。 類:●沓新しけれど冠にあげず
・冠を挂く(かんむりをかく)[=解(と)く] 官職を辞める。 類:●挂冠
・冠を弾く(かんむりをはじく) 埃や塵を指で弾き落として冠を清潔にする。転じて、仕官や出仕の用意をすること。
・冠を曲げる(かんむりをまげる) 機嫌を悪くすること。 類:●意固地になる●旋毛(つむじ)を曲げる
・頑迷固陋(がんめいころう) 《四熟》 1.頑(かたく)なで見識が狭く、道理に暗いこと。自分の考えに固執して正しい判断ができないこと。 類:●頑冥不霊●狷介固陋 2.頭が古く、頑固なこと。 類:●石頭 ★「迷」は「冥」と書くこともある。
−−−−−−−かん(ら)(#kan9)−−−−−−−
・歓楽極まりて哀情多し(かんらくきわまりてあいじょうおおし) 歓(よろこ)び楽しむことがその極みに達すると、却(かえ)って悲しみの気持ちが強くなるものだということ。 類:●楽しみ極まれば必ず哀しみ生ず 出典:漢武帝「秋風辞」「歓楽極兮哀情多、少壮幾時兮奈老何」
・冠履顛倒(かんりてんとう) 《四熟》 地位や価値などの、上下の順序が乱れること。 類:●冠履倒置(かんりとうち)●章甫(しょうほ)の冠を沓(くつ)に履く●本末顛倒
・寒林に骸を打つ(かんりんにかばねをうつ)[=骨を打つ] 「天尊説阿育王譬喩経」に見える説話。ある人が死んでのち、その霊魂が悪道に落ちて苦しみ、自分が苦しむのはこの肉体が悪業を働いたためだといって、自らの死骸を鞭打ったということをいう。 出典:天尊説阿育王譬喩経(てんそんせつあいくおうひゆきょう) 譬喩経(史伝)。失譯。「阿育王」はアショカ王のこと。・・・詳細調査中。
・韓盧を馳せて蹇兎を逐う(かんろをはせてけんとをおう)[=搏(う)つ] 名犬にびっこの兎を追わせるという意味で、強い者が弱い者に戦いを挑むこと。 出典:「戦国策−秦策・下」「以秦卒之勇車騎之多以当諸侯、譬若馳韓盧、而逐蹇兎也」
−−−−−−−かん(わ)(#kanwa)−−−−−−−
・閑話休題(かんわきゅうだい) 《四熟》 1.本筋から外れて語られていた話や無駄話を止めにすること。2.話を本筋に戻すときに用いて、それはさておき。 類:●徒(あだ)仕事はさておき●さて
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・巻を追う(かんをおう) 書物を順に読み進んでゆく様子。
・棺を蓋う(かんをおおう) 死ぬことの喩え。人生を終えること。
・棺を蓋うて事定まる(かんをおおうてことさだまる) 生前の真価は死後になって初めて決まるものだということ。生きている間は公平な判断ができない。 類:●人事は棺を蓋うて定まる 出典:「晋書−劉毅」「丈夫蓋棺事方定」
・官を侵すの害は寒きよりも甚だし(かんをおかすのがいはさむきよりはなはだし) 己の職務を越えて他の領域まで手を出すことは、主君を寒さに震えさせておくことより重大な罪である。官吏(かんり)は無闇に職権を越えてはならないという戒(いまし)め。 類:●務めて官を越えず●庖人(ほうじん)庖を治めずと雖も尸祝(ししゅく)は樽俎を越えて之に代わらず 故事:「韓非子−二柄」「侵官之害、甚於寒」 戦国時代、韓の昭候(しょうこう)が酔い潰(つぶ)れて寝ていたとき、典冠(てんかん)がそれでは寒かろうと昭候に衣を掛けた。やがて目覚めた昭候は、一時それを喜んだが、衣を掛けるのは典衣(てんい)の職務で、典冠は職権を侵したことになるとして、両方とも罰した。 ★昭候の宰相(さいしょう)申不害(しんふがい)の法による。
・観を起こす(かんをおこす) 「観」は仏教語で、ものごとを深く見極めて、その本質を知り真理を会得すること。迷いの心を取り去って悟りの境地に至るとういうこと。
・願を掛ける(がんをかける) 神仏にものごとが叶うように祈願する。 類:●願を起こす●願を立てる●願に懸ける●願に立つ。
・勘を覆す(かんをくつがえす) 「勘」には、十分吟味し問い質(ただ)すという意味があり、ものごとや罪状などを何度も繰り返して調べること。 類:●勘覆(かんぷく)する
・願を立てる(がんをたてる) ものごとが叶(かな)うように神仏に祈ること。 類:●願を懸ける 用例:竹取「家に帰りて物を思ひ、祈をし、願を立つ
・款を通ず(かんをつうず) 1.親しい交わりをすること。 類:●誼(よしみ)を結ぶ 2.敵に内通すること。
・歓を尽くす(かんをつくす)[=極(きわ)める] この上なく歓びを感じること。十分に楽しむ。おおいに楽しみを交わすこと。 例:「一夕の歓を極める」
・勘を付ける(かんをつける) 素早く察知する。気を回す。 用例:洒・青楼五つ雁金−二「わるくかんでもつけるとわるいから」 用例の出典:青楼五つ雁金(せいろういつつかりがね) 洒落本。風流本。・・・詳細調査中。
・眼を付ける(がんをつける) 1.目を付ける。狙うべきものとして注目する。2.相手の顔をじっと見つめる。 ★不良仲間の言葉。
・甲を取る(かんをとる) 「甲」は音楽用語で、高い調子の声や音の部分を言う。楽器を演奏したり歌ったりするときに、高い調子をとること。
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