【えい】~【えん】
・栄華の夢(えいがのゆめ) 華やかに世を過ごしている自分を見た夢。また、栄華の儚さを、夢に喩えて言う。
・永劫回帰(えいごうかいき) 《四熟》 ドイツ語ewige Wiederkunftの訳語。ニーチェの用語。宇宙は永遠に円環運動を繰り返すから、人間にとっては、現在の一瞬を充実させることだけが重要であるとする思想。 類:●永遠回帰●六道輪廻(ろくどうりんね)
・栄枯盛衰(えいこせいすい) 《四熟》 栄えたり衰えたりすること。 類:●栄華の花●栄華の夢●栄華あれば必ず憔悴あり●一栄一落 例:「栄枯盛衰は世の習い」
・栄枯常なし(えいこつねなし) 栄えている者もやがて衰え、零落(おちぶ)れた者にも栄える時がある。
・嬰児の貝を以て巨海を測る(えいじのかいをきょかいではかる) 幼児が貝がらで大海の水量を測るという意味から、未熟な知識で遠大なものごとを推測することの喩え。 ★「蠡」をほら貝と解して<国語大辞典(小)> 出典:「漢書−東方朔伝」「以??天、以蠡測海、以莚撞鐘」
・詠雪の才(えいせつのさい) 文才のある女性を褒め称えて言う言葉。 故事:「晋書−列女伝」 晋の女性、射道從(しゃどうおん)が、咄嗟に、雪を柳の綿毛と詠んだという。
・潁川に耳を洗う(えいせんにみみをあらう) 1.不愉快なことを聞くのを厭(いと)うこと。 類:●耳を滌(すす)ぐ 2.高い地位や世間の俗事を顧(かえり)みない高潔の士であることの喩え。 類:●箕山の志 故事①:「世説新語−言語篇・二」 隠士(いんし)の許由(きょゆう)が、堯帝(ぎょうてい)から帝位を讓ると言われたとき、穢(けが)らわしいことを聞いたとして潁川で耳を洗った。 故事②:「史記−伯夷伝」・「史記正義」中の「皇甫謐高士伝」 許由が潁水で耳を洗っているのを見て、やはり尭帝から天下を譲ろうと言われた高士の巣父(そうほ)は、そのような汚れた水を牛に飲ませることはできないとして、牛を引いて帰っていった。
・穎脱(えいだつ) 錐は袋に入れておいても、その先端が自然と突き抜けて出るということから、才能が群を抜いて優れている人のこと。 出典:「史記−平原君虞卿列伝」
・酔いに乗る(えいにのる) 酔いに任せて事をする。酔った勢いでする。
・盈満の咎(えいまんのとが)[=災(わざわ)い] 「盈満」は欠けたところがないという意味で、ものごとが満ち足りている時こそ、却って災いが起き易いということ。
・英雄色を好む(えいゆういろをこのむ) 英雄は女色を好む傾向が強い。
・英雄人を欺く(えいゆうひとをあざむく) 英雄の用いる謀(はかりごと)は、しばしば人の意表を突くものだ。
・栄耀栄華(えいようえいが) 《四熟》 権力や富を得て栄えること。また、驕(おご)り昂(たか)ぶって贅沢を尽くすこと。 例:「栄耀栄華を窮める」
・栄耀の餅の皮(えいようのもちのかわ) ⇒栄耀(えよう)に餅の皮を剥く
・穎を脱す(えいをだっす) 才能は自ずから表に現われてくるということ。 類:●穎脱
・英を含み華を咀う(えいをふくみかをくらう) 詩文などの優れたものを十分に味わい、良く理解して、自分のものとする。 類:●咀嚼する 出典:韓愈「進学解」「沈浸彁郁、含英咀華。作為文章」
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・絵が腐る(えがくさる) カルタで手中にある絵札を活用できずに終わるということから、好条件が虚(むな)しく終わる。
・慧可断碑(えかだんぴ) 《四熟・仏教用語》 慧可が達磨に入門を願ったが許されず、自分の左腕を切断してその決心の強いことを示して、入門を許されたという故事。
・絵が付く(えがつく) 捲(めく)りカルタで点数の高い絵札が手に入るということから、好い目に会う。 ★特に遊郭などでは、異性の愛を受ける意に用いられる<国語大辞典(小)>
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・易簀(えきさく)
・益者三友(えきしゃさんゆう) 《四熟》 交際して益になる、正直、誠実、物知りの三種類の友人。 反:■損者三友 出典:「論語−季氏」「益者三友、損者三友。友直、友諒、友多聞、益矣」
・易者身の上知らず(えきしゃみのうえしらず) 易者は他人の運勢は占うが、自分の身の上については、却(かえ)って分からないということ。他人のことで忙しくて、自分のことには構っていないことの喩え。 類:●陰陽師身の上知らず●髪結いの乱れ髪●紺屋の白袴●儒者の不身持ち●医者の不養生●坊主の不信心
・易轍(えきてつ) 車の轍(わだち)を変えるような、小手先の方針変換をすること。施政の方針をちょこちょこと変えること。 類:●改弦易轍●改弦更張 出典:「晋書−江統伝」「愛易轍之勤、得覆車之軌何哉」
・駅弁大学(えきべんだいがく) 《四熟》 第二次世界大戦後の学制改革によってたくさんできた新制大学を、皮肉って言った言葉。 ★「駅弁を売る駅のある所必ず大学あり」といわれたところから<国語大辞典(小)>
・益友(えきゆう) 交わって益になる友人。 反:■損友 出典:「論語−季氏」「益者三友、損者三友」
−−−−−−−えく(#eku)−−−−−−−
・?い(えぐい)・刳い・?い 1.灰汁(あく)が強く、喉(のど)をいらいらと刺激する味がある。また、そのような感じがある。 類:●えごい●いがらっぽい 例:「この筍(たけのこ)は少しえぐい」 ★「和名類聚抄−一七」に説明されている。 2.気が強い。 類:●えごい 用例:洒・列仙伝「おなごだてら此中間へ入り根っからよめりせず立てあるくゑぐひしろもの」。 3.冷酷である。思い遣りがない。 用例:伎・傾城倭荘子−四幕「いっそおれが、ゑぐうせいらくせにゃならぬわい」 4.露骨で嫌らしい。どぎつい。 類:●えげつない 参考:和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)・倭名類聚鈔 漢和辞書。源順(げんじゅん)編。平安中期、承平年間(930年代)の成立。10巻本と20巻本とがある。醍醐天皇皇女勤子内親王の令旨によって撰進。天地・人倫など部門別に漢語を掲出、出典・音注・証義を示し、和名を万葉仮名で記した。『和名抄』とも。 用例の出典①:列仙伝(れっせんでん) 洒落本。・・・調査中。 用例の出典②:傾城倭荘子(けいせいやまとぞうし) 歌舞伎。並木五瓶。天明4年(1784)正月、大阪中座初演。北畠家の家臣近藤助国と小巻とは深い恋仲だったが、お家騒動に巻き込まれ、若殿夫婦の身代わりとなって首を討たれた。二人の首から、それぞれ雌蝶・雄蝶が飛び立って縺(もつ)れ合いつつ花園の上を飛んでゆく。浄瑠璃「けいせい倭荘子/蝶の道行」天保13年(1842)の元となった。
−−−−−−−えけ(#eke)−−−−−−−
・えげつない 言動に思い遣りがなく、露骨で嫌らしい。図々しく無遠慮である。 ★語源不明だが、「えぐい(?)」に関係があり、「えぐっ気(け)ない」から転じた形かと推定する説がある<国語大辞典(小)>
−−−−−−−えこ(#eko)−−−−−−−
・依怙地悪い(えこじわるい) 頑固で意地悪い。
・依姑贔屓(えこひいき) 《四熟》 一方だけの肩を持つこと。私情のために、不公平に扱うこと。
−−−−−−−えさ(#esa)−−−−−−−
・餌取り(えさとり) 1.釣りの餌を捜し集めること。2.餌ばかり食って針に掛からない魚のこと。転じて、祝儀を強請(ねだ)る遣手婆などを罵って言った言葉。
−−−−−−−えし(#esi)−−−−−−−
・会釈顔(えしゃくがお) 愛敬を顔色に出すこと。また、その顔。
・会釈無し(えしゃくなし) 思い遣りがない。遠慮しない。 類:●遠慮会釈もない
・会者定離(えしゃじょうり) 《四熟》 出会うものは必ず別れる運命にあるということ。この世の無常をいう言葉。 用例:平家−一〇「生者必滅、会者定離はうき世の習にて候也」 出典:「遺教経」「世は皆常無し、会えば必ず離るる有り」
−−−−−−−えせ(#ese)−−−−−−−
・似非(えせ) 1.見掛けはそれらしく見えるが、実はそうではないものごと。 類:●贋(にせ) 2.取るに足りないものごと。劣ること。 用例:枕−三〇七「右衛門の尉なりける者の、えせなる男親を持たりて」 3.悪質であること。一筋縄ではいかないこと。 ★古語「えしもの(荒賊)」(荒々しい賊徒の意)からか<日本国語大辞典(小)> ★上代の連語「えせず」(とても〜できないの意)からか。「似非」は当て字。 ★平安時代には実体の浅薄・劣悪なのを侮りそしる気持を表す語。室町時代以後、悪質・邪悪の意を表すのにも使われた<広辞苑第4版(岩)> 参考:似て非なり
・似非侍の刀弄り(えせざむらいのかたないじり) 武士としての自覚の足りない臆病な者に限って、なにかというと刀を抜いて人を脅すものである。臆病者や卑怯者ほど虚勢を張って人を脅すものだという喩え。
・似非者の空笑い(えせもののそらわらい) 可笑(おか)しくもないのに高笑いするのは、追従(ついしょう)笑いであり、人の機嫌を取ろうとしている人間だから気を付けなさいということ。また、そのような追従笑いをする者を嘲(あざけ)っても言う。 ★ここでの「似非者」は、いかがわしい者、軽薄な者の意。
−−−−−−−えそ(#eso)−−−−−−−
・絵空事(えそらごと) 1.描かれた絵とその実物とは違っているということ。絵には誇張や美化などの作意が加わるものであるということ。 用例:古今著聞集−一一・三九六「ありのままの寸法にかきて候はば、見所なき物に候故に、絵そらこととは申す事に候」 2.転じて、大袈裟なこと。ありもしない嘘。 例:「絵空事ばかりをいう」
−−−−−−−えた(#eta)−−−−−−−
・枝先に行かねば熟柿は食えぬ(えださきにいかねばじゅくしはくえぬ) 欲しいものを得たいのでであれば、危険を恐れてはいけない。また、望ましい境遇になるためには、相当の危険や困難が伴(ともな)うものであるということ。 類:●虎穴に入らずんば虎子を得ず 反:■君子危うきに近寄らず
・枝の雪(えだのゆき) 苦学すること。 類:●蛍雪●窓の雪 用例:源氏−乙女「窓の蛍をむつび、えだの雪をならし給ふ心ざしの」 故事:「蒙求−孫康映雪」 中国、晋の孫康が、貧しかったので、雪を集め、灯火の代わりとして勉強したという。 出典:蒙求(もうぎゅう) 中国の類書。唐の李瀚撰。古代から南北朝時代までの古人の伝記・言行で相似するものを二つずつ四字韻句とし、八句ごとに韻をかえたもの。後世まで初等教科書として用いられ、日本でも平安時代以来多く読まれた。
・枝葉が咲く(えだはがさく) ものごとが、枝が伸びるように、次から次へと多方面に発展していく。 類:●枝が咲く
・枝は枯れても根は残る(えだはかれてもねはのこる) 枝や幹を枯らすことはできても、根を枯らすのは難しい。災いや悪事を根絶やしにするのは難しいものだということ。
・枝葉の繁りは実少なし(えだはのしげりはみすくなし) 枝葉が茂り過ぎた木には、実が少ない。人も、言葉の多い者は、誠意や実行することが少ないということ。 類:●空き樽は音が高い●言葉多ければ品少なし
・得たり顔(えたりがお) 得意そうな顔。 類:●したり顔 例:「得たり顔に(で)説明する」
・得たり賢し(えたりかしこし)・得たりや賢し 自分の思う通りに事が運んだようなときに、満足して発する言葉。 用例:太平記−一五「得たり賢しと三千余騎の兵共抜き連て」 類:●うまくいった●しめた●得たり得たり●得たりや得たり●得たりかし
・枝を交わす(えだをかわす) 男女の愛情の深いことをいう喩え。永遠に変わらぬ契りを結ぶこと。 用例:源氏−桐壺「朝夕のことぐさに羽を並べ枝をかはさむと契らせ給ひしに」 ★「連理の枝」から。
・枝を伐って根を枯らす(えだをきってねをからす) 1.木を枯らすには、切り易い枝から手を付け、次第に根を枯らしていくのが良い。敵を倒すには、軟弱なところから攻撃し、本拠地が次第に衰えるのを待つのが良いということ。大きな事を処理するには、身近なところから順次片付けていくのが良いという喩え。2.元も子も失い、全体を滅ぼしてしまうことの喩え。 類:●根を断って葉を枯らす
・枝を撓めて花を散らす(えだをためてはなをちらす) それほど重要でない欠点を直そうとして、却(かえ)って重要な部分を傷つけたり全体を損ったりすることの喩え。 類:●角を矯めて牛を殺す●枝を伐って根を枯らす
・枝を鳴らさず(えだをならさず) 世の中が静かに治まっていて、平和である。 出典:「論衡」
・枝を見て花を折れ(えだをみてはなをおれ) 花を手折(たお)る時には、枝振りを見て手頃なところを折りなさいということ。無闇に事を行なわないで、時と場合に応じて適当な手段を取れということ。 類:●色を見て灰汁を注せ●人を見て法を説け
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・越前男に加賀女(えちぜんおとこにかがおんな) 越前国の男と加賀国の女とは、それぞれ優れている。
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・越鳥南枝に巣を構い、胡馬北風に嘶う(えっちょうなんしにすをくい、こばほくふうにいばう)[=巣をかけ、〜]・[=嘶(いなな)く] 故郷が忘れ難い。故郷を恋い慕う。 類:●望郷の念に駆られる 出典:「文選」の古詩
・悦に入る(えつにいる) ものごとが巧く運んで満足し、心嬉しい状態になる。
・笑壷に入る(えつぼにいる) 1.思わず笑い出したい気持ちになる。また、大勢で大いに笑い興ずる。 用例:今昔−二四・二二「女房共皆ゑつぼに入にけり」 2.思い通りになったり、得意になったりして、思わず笑いを浮かべる。 類:●我が意を得る●占め子の兎 用例:平家−一「『平氏(へいじ)たはれ候ひぬ』とぞ申されける。法皇ゑつぼにいらせおはして」 3.人を、謀った計略に陥(おとしい)れる。 用例:日葡辞書「ヒトヲエツボニイルル」
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・得手勝手(えてかって) 《四熟》 我が儘(まま)なこと。他人の気持ちや立場を尊重しないで、自分だけの都合で行動すること。 類:●手前勝手●自分勝手●自分本位●勝手気儘●我田引水●独断専行●傍若無人 用例:俳・毛吹草追加−中「寒菊や寒さを花の得手勝手」 ★「得手」は、本来は、最も得意とする技のこと。
・得手公(えてこう)・猿公 猿を擬人化した呼び方。 ★「さる」が「去る・・・客を失うこと」に通じるとして忌(い)んで、対語の「得る・・・客を得ること」とした忌み詞(いみことば)。
・得手に鼻突く(えてにはなつく) 自分の得意なことだと、気を許し、却って失敗する。
・得手に帆を揚げる(えてにほをあげる)
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・江戸っ子のちゃきちゃき(えどっこのちゃきちゃき) 生粋(きっすい)の江戸っ子。本物の江戸っ子。 ★「ちゃきちゃき」は「嫡嫡(ちゃくちゃく)」の変化という(俚言集覧)
・江戸っ子は五月の鯉の吹き流し(えどっこはさつきのこいのふきながし)[=鯉で口ばかり] 江戸っ子は言葉こそ荒っぽいが、気持ちはさっぱりしていてものごとに拘(こだわ)らないということ。また、江戸っ子は口先ばかりで胆力に欠けるという意味でも使う。 類:●五月の鯉の吹流し
・江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ(えどっこはよいごしのぜにはもたぬ)[=使わぬ] 江戸っ子は得た金をその日の内に使ってしまって翌日に持ち越すようなことはしないという意味で、江戸っ子が金離れの良さを自慢した言葉。
・江戸の仇を長崎で討つ(えどのかたきをながさきでうつ)
・江戸の大関より故郷の三段目(えどのおおぜきよりくにのさんだんめ) 相撲で、大関のようなスター力士も良いけど、それよりも、地元出身の三段目の力士を応援してしまうものである。人は往々にして、故郷の出身者や産物に肩入れしてしまうものであるということ。 類:●身贔屓
・江戸の花(えどのはな) 江戸が誇りとするもののこと。 例:「火事と喧嘩(けんか)は江戸の花」
・江戸の張り(えどのはり) 江戸特有のものとして誇りとした心意気。利害得失を顧みず生命をも賭けて、潔癖に己を通し守ろうとする意地。 ★主に江戸の遊女の意地にいう<国語大辞典(小)>
・江戸は諸国の掃溜(えどはしょこくのはきだめ) 江戸は諸地方の人が雑多に集まってできている都会である。
・江戸八百八町(えどはっぴゃくやちょう) 江戸には町の数が多いということ。また、江戸市中全域を指す言葉。
・江戸紫に京鹿の子(えどむらさきにきょうがのこ) 紫は江戸、鹿の子絞りは京を第一とするという意味で、江戸時代に、両都の染色の特長を言った言葉。
−−−−−−−えに(#eni)−−−−−−−
・会に合わぬ花(えにあわぬはな) 時機に遅れて役に立たないもののこと。 類:●六日の菖蒲●十日の菊
・絵に描いた餅(えにかいたもち) 絵に描いた餅は見るだけのもので食べられないということから、実際の役に立たないもの。 類:●画餅●絵に描いた牡丹餅●Wine in the bottle does not quench thirst. 瓶の中のワインでは渇きは癒されない<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典> 出典:「三国志・魏志−盧イク伝」「選挙莫取有名。名如画地作餅、不可啖也」<選び挙ぐるに名有るを取るなかれ。名は地に画きて餅を作すが如し。くらうべからざるなり> ★「画餅」は、小麦粉を材料にして作った食品「蒸餅」「焼餅」「油餅」「湯餅」の総称で、日本の「餅」とは別のもの。肉まんのようなものと考えても良い。
・絵に描いたよう(えにかいたよう) 1.景色などが、絵画のように美しいこと。2.ある事柄や状態の典型であること。 例:「放蕩息子を絵に描いたような人」
−−−−−−−えの(#eno)−−−−−−−
・絵の事は素きを後にす(えのことはしろきをのちにす) 絵を描く時には、最後に白を使い、彩りを引き立たせて絵を完成させるものだ。 出典:「論語−八?」「子曰、絵事後素、曰礼後乎」
・柄の無い所に柄をすげる(えのないところにえをすげる) 無理に口実を設けて、理屈を捏(こ)ねる。無体な言い掛かりを付ける。 ★略して「柄をすげる」とも<国語大辞典(小)>
・柄の抜けた肥え柄杓(えのぬけたこえびしゃく) 地口(じぐち)の一つ。 1.下肥えを汲む肥え柄杓の柄が抜けたら、手の付けようがないということ。 2.取り得(=柄)がないこと。
−−−−−−−えは(#eha)−−−−−−−
・餌ばに飼う(えばにかう) 1.鳥や獣を餌で捕まえる。2.人に物を与えて油断させる。 ★「餌ば」は「餌食(えばみ)」の変化<国語大辞典(小)>
−−−−−−−えひ(#ehi)−−−−−−−
・恵比須顔(えびすがお) 恵比須のようににこにこした顔。 用例:浄・長町女腹切−中「ゑびすがほして見せましや、サア笑やいの」 用例の出典:長町女腹切(ながまちおんなのはらきり) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。正徳2年(1712)大坂竹本座初演。京堀川の刀屋石見の手代半七は、馴染みになった井筒屋の遊女お花の年季が延長されそうになるのを見て、伯母から預かっていた大切な刀を売って作った20両を投げ付けて二人で逃げる。伯母は腹を切ってその罪を負い、二人を助ける。
・蝦で鯛を釣る(えびでたいをつる)
−−−−−−−えほ(#eho)−−−−−−−
・烏帽子を着せる(えぼしをきせる) とんでもない誇張をする。 類:●尾鰭を付ける
−−−−−−−えま(#ema)−−−−−−−
・絵馬医者(えまいしゃ) 《四熟》 往診する振りをして、その実、暇潰しに社寺の絵馬を見歩くような医者という意味から、江戸時代、流行(はや)らない医者を嘲(あざけ)って言った言葉。
−−−−−−−えみ(#emi)−−−−−−−
・笑みの中に刃を隠す(えみのうちにやいばをかくす)[=刃を含む・刀を研(と)ぐ・刀を抜く] →笑みの中の刀
・笑みの中の刀(えみのうちのかたな)[=剣(つるぎ)] 表面では穏やかに笑ったりしているが、内心では密かに人を害しようと思っていること。 類:●口に蜜あり腹に剣あり●口に甘きは腹に害あり●口に接吻胸に匕首 故事:「唐書−姦臣伝・上・李義府」 唐の李義府が上辺は穏やかで、内心が陰険であったのを、時の人が謗(そし)ったという。
・笑みの眉開く(えみのまゆひらく) 1.にこにこする。2.花が蕾(つぼみ)を開く。
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・得も言わず(えもいわず)[=言われぬ] 1.口では言い表せないほど、程度が甚だしいこと。 用例:源氏−朝顔「池の氷もえもいはずすごきに」 2.なんとも言えず良い。 用例:宇津保−祭の使「とねり三十人、えもいはずさうぞかせて」 3.言うに足りない。 用例:栄花−楚王の夢「えもいはぬものまで涙を流して」
・え文字(えもじ) 海老や、狗母魚(えそ)を指す女房詞。
・衣文を繕う(えもんをつくろう)[=作る] 襟を掻き合わせるなどして着崩れを直す。きちんとした着付けで着る。 用例:平家−一〇「衣紋をつくろひ、鬢をなで」
−−−−−−−えよ(#eyo)−−−−−−−
・栄耀栄華(えようえいが) 《四熟》 →えいようえいが
・栄耀に餅の皮を剥く(えようにもちのかわをむく) そもそも餅はそのまま食べるものなのに、贅沢に慣れると、その皮まで剥いて食べるようになる。度を越した贅沢。
・栄耀の隠し食い(えようのかくしぐい) 贅沢を尽くしている者が、それに満足しないで、人に隠れて良くない快楽に耽(ふけ)ること。
−−−−−−−えら(#era)−−−−−−−
・鰓が過ぎる(えらがすぎる) 大きなことを言う。高慢なことを言う。 類:●口が過ぎる
・選ぶところがない(えらぶところがない) 区別できない。
・選んで滓を掴む(えらんでかすをつかむ) 選(え)り好みをし過ぎると、却(かえ)って悪いものや、つまらないものを掴んでしまうものだということ。 類:●選(よ)れば選り屑(くず)●A maiden with many wooers chooses the worst.(求婚者の多い娘は最悪の人を選ぶ)
−−−−−−−えり(#eri)−−−−−−−
・襟が厚い(えりがあつい) 金持ちは重ね着したところから、裕福である。金回りが良い。
・選りすぐる(えりすぐる・よりすぐる) 良いものの中から、更に良いものを選び取る。 類:●厳選する 用例:栄花−ゆふしで「冷泉院の御領の所々候ひしも、この院にえりすぐりてしらせ給ひけり」 例:「全校で選りすぐった猛者(もさ)」 ★現在では、名詞化した「選りすぐり」が多用される。
・襟付が厚い(えりつきがあつい) 金持ちである。 類:●襟が厚い ★近世、衣服は小袖三枚襲(がさね)が定法で、貧乏人は布子一枚で薄かったので、襟元の厚薄によって貧富の判断をしたところから<国語大辞典(小)>
・襟に付く(えりにつく) 金持ちは重ね着して襟が厚かったところから、利益を目当てに金持ちに媚び諂(へつら)う。権力のある者などに諂うことも使う。 類:●襟元に付く。
・襟を正す(えりをただす) 姿勢や服装を正しくする。また、気持ちを引き締めてものごとに当たる。
・襟を開く(えりをひらく) 相手を信頼して、自分の思っている事を包み隠さずに打ち明ける。 類:●胸を開く●胸襟(きょうきん)を開く●心を開く
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・宴安は酖毒(えんあんはちんどく) 徒(いたずら)に遊び楽しむことは毒薬のように人を損なうものだということ。 ★「酖毒」は、鴆(ちん)という毒鳥の羽を酒に浸して得た猛毒。 出典:「春秋左氏伝−閔公元年」
・蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ) 《四熟》 行列などが、蛇や竜のようにうねりながら一列に続いている様子。 類:●紆余委蛇 例:「蜿蜿長蛇の行列」 ★『春秋』の表現様式を評した言葉という。 ★「蜿蜒」や「蜒蜒」とも書く。今は「延延」と書かれることもある。
・焔焔に滅せずんば炎炎を若何せん(えんえんにめっせずんばえんえんをいかんせん) 火は、燃え始めたときに消さないと、燃え上がってからではどうしようもなくなることから、転じて、災いは小さいうちに防がないと、手の施しようがなくなる。 出典:「孔子家語−観周」
・焔煙天に漲る(えんえんてんにみなぎる) 煙と炎とが空一面に充満する。火事が盛んに燃え広がる様子。
・鴛鴦の契り(えんおうのちぎり) 睦まじい夫婦の関係。 類:●比翼連理(ひよくれんり)●比翼の鳥●連理の枝●比目(ひもく)の魚 蛇足:「鴛」は雄、「鴦」は雌のおしどり<国語大辞典(小)> 出典:御伽草子(おとぎぞうし) 室町〜江戸初期に作られた短編の物語。写本、絵巻物、奈良絵本として伝わったが、江戸享保の頃、大坂の書店渋川清右衛門がそのうちの23編を集めて「御伽文庫」とし刊行、その作品を「御伽草子」と呼んだ。以後、広く類する室町時代頃成立の短編小説類をも指す。多くは、空想的、教訓的、啓蒙的な老幼婦女向きのもので、総数300編以上。
・煙火中の人(えんかちゅうのひと) 煮炊きした物を食べる人、即ち俗世界の人。
・煙霞の痼疾(えんかのこしつ)[=癖(へき)] 煙霞は自然の良い景色。深く自然の風景を愛する人の習性を、久しく治らない病(やまい)に喩えて言った言葉。 出典:「唐書−隠逸・田游巌伝」「臣所謂泉石膏肓、煙霞痼疾者」
・捐館(えんかん) 住居を捐(す)てて世を去るという意味で、死去すること。類:●館舎を捐(す)つ
・縁起が良い(えんぎがいい) 1.ものごとを行なうに当たって、良い兆(きざ)しである。 類:●幸先(さいさき)が良い 例:「茶柱とは、朝から縁起が良い」 2.幸運を齎(もたら)すと信じられているものである。縁起を祝うためのものである。 類:●縁起物●マスコット 例:「縁起が良い招き猫」
・縁起でもない(えんぎでもない) 良い前兆でもないという意味で、不吉なものを感じて幸先(さいさき)が悪い。不吉だ。とんでもない。
・縁起を担ぐ(えんぎをかつぐ) ある事象が良い前兆であるか不吉な前兆であるかを気に掛ける。 類:●験を担ぐ●御幣を担ぐ
・遠交近攻(えんこうきんこう)
・猿猴月を取る(えんこうつきをとる)
・猿号擁柱(えんごうようちゅう) 猿が柱を抱いて泣き叫ぶほどの弓の達人。弓の名人を指す喩え。 類:●調弓號猿 出典:「淮南子−説山」「王令養由基射之。白猿見他拉弓調弦、即擁柱哀號、懼怕不已」 故事:楚王が飼っていた白猿は飛んでくる矢を掴み取る技を持っていた。楚王は、試しに養由基(ようゆうき)に射させてみようとしたところ、由基が弓の弦を張り矢の反りを直していただけで猿が柱を抱いて泣き叫んだ。
・円鑿方ゼイ[木+蚋-虫](えんさくほうぜい) 《四熟》 丸いほぞ穴に、四角いほぞを入れるという意味で、ものごとが互いに噛み合わないこと。 類:●方ゼイ円鑿●円ゼイ方鑿●円孔方木(えんこうほうぼく)●方底円蓋(ほうていえんがい)●ゼイ鑿相容れず 出典:「史記−孟軻伝」
・遠山の眉(えんざんのまゆ)[=黛(まゆずみ)] 遠くに見える山のようにほんのりと青い眉、または、うっすらと引いた黛(まゆずみ)。美人の眉や黛の喩え。
・掩耳盗鐘(えんじとうしょう) 《四熟》 1.良心に反する行為をしていながら、強(し)いてそのことを考えないように努めること。小策を弄(ろう)して自分を欺(あざむ)き、悪事を働くこと。 類:●耳を掩うて鐘を盗む●目を掩うて雀を捕らう 出典:「呂氏春秋−不苟論・自知」 2.自分では悪事を巧(うま)く隠し果(おお)せたと思っていても、世間の人は皆知っているということ。愚か者の喩え。
・燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らん(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらん)
・燕雀は天地の高きを知らず(えんじゃくはてんちのたかきをしらず) 燕(つばめ)や雀は天地の広大さを知らない。転じて、見聞が狭い世間知らずの喩え。 類:●井の中の蛙大海を知らず 出典:「塩鉄論−復古」「大夫曰、宇宙之内、燕雀不知天地之高也」 出典:塩鉄論(えんてつろん) 記録書。前漢。桓寛(かんかん)。10巻60編。武帝が対外積極策をとったため財政が窮迫したので、塩鉄専売・均輸・平準・カクコなど一連の財政策を実施した。これによって国庫は充実したが、民衆の不平がたかまったので、昭帝の始元6年(前81)、各地より賢良・文学の士(約60人)を選んで都に集め、民間の不便とするところを上申させ、政府側の代表である丞相・御史大夫と論争させた。
・怨女曠夫(えんじょこうふ) 《四熟》 結婚適齢期になっても相手のいない女と男。また、配偶者と死別したり離別した男女も指して言う。 ★「曠」はむなしい、相手がいない意。 出典:「孟子−梁恵王・下」「内無怨女、外無曠夫」
・エンジンが掛かる(えんじんがかかる) 1.自動車などの、エンジンが始動する。2.転じて、本調子になる。調子が出てくる。 例:「残り10分を切って、やっとエンジンが掛かった」
・遠水渇を救わず(えんすいかつをすくわず)[=近火を〜] 遠くにあるものは急の用には役立たない。 類:●遠くの親類より近くの他人 出典:「韓非子−説林・上」
・円石を千仞の山に転ず(えんせきをせんじんのやまにころがす) 山から深い谷底へ円い石を転がすように、勢いが付いて抑え止めることができないこと。 出典:「孫子−兵勢」
・燕石を裹み玄圃を履み魚目を帯びて漲海に遊ぶ(えんせきをつつみげんぽをふみぎょもくをおびてちょうかいにあそぶ) 「玄圃」は崑崙山上にあるという仙人の居所のこと。「漲海」は南海のこと。それぞれ宝石と真珠の本場を意味する。燕山で取れる石ころや魚の目玉を宝と思いこんで、宝石や真珠の産地へ持っていって自慢すること。自慢して却(かえ)って恥を掻くこと。 出典:「太平御覧−地部」に引く「怎子」による 参考:魚目燕石 出典:太平御覧(たいへいぎょらん) 中国の類書。1000巻。宋の太宗の時、李?(りぼう)奉勅撰。太平興国8年(983)完成。初名、「太平総類」。先行の類書などから集めた引用書1690種を55部門に分類。引用書には今伝わらない書を多く含む。「御覧」。
・遠走高飛(えんそうこうひ) 《四熟》 1.遠方へ逃げること。特に、犯罪を犯した者が遠方に逃げ去ること。 類:●高飛びする 2.苦境から逃れて幸せな生活を求めること。
・燕巣幕上(えんそうばくじょう) 《四熟》 危険な場所に居住すること。幕の上に燕が巣を作るように不安定なこと。 類:●葦末之巣 出典:「春秋左氏伝−襄公二十九年」「猶之燕巣於幕上、君又在殯」 ★「燕幕上に巣くう」と読み下す。
・偃鼠河に飲めども腹を満たすに過ぎず(えんそかわにのめどもはらをみたすにすぎず)
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・縁台将棋(えんだいしょうぎ) 縁台でする将棋。転じて、下手な将棋。
・淵中の魚を察見するは不詳なり(えんちゅうのうおをさっけんするはふしょうなり) 政治を行なう場合、大元だけで十分で、隅々の細かいところまで煩(うるさ)くするのは良くないということ。また、秘密を知ることは、却って身のためにならないこともある。 出典:「列子−説符」「周諺有言、察見淵魚者不詳、智料隠匿者有殃」
・淵底に玉を拾う(えんていにたまをひろう) ものごとを究極まで窮(きわ)める。
・怨徹骨髄(えんてつこつずい) 《四熟》 → 怨み骨髄に徹す
・円転滑脱(えんてんかつだつ) 《四熟》 ものごとが滞(とどこお)りなく進むこと。人との応対などが角立たず巧みなこと。
・炎天の梅花(えんてんのばいか) 真夏の梅の花のように、実際には有り得ないものということで、珍しいものの喩え。また、心の中で作り出す悟りという意味で使う。俗を超越した禅家(ぜんけ)の悟りの境地。 出典:中国、宋代の陳与義(簡斎)の詩句「炎天梅蘂」
・縁と浮世は末を待て(えんとうきよはすえをまて) 良縁や好機は自然に来るのを待つべきで、焦っても駄目である。
・豌豆は日陰でも弾ける(えんどうはひかげでもはじける) 日陰の豌豆でも、時が来れば、成長して実が弾けるものである。 1.人も年頃になれば、自然に男女の情に目覚めるものであるということの喩え。 類:●薊の花も一盛り●毬栗も中から破れる●鬼も十八番茶も出花●蕎麦の花も一盛り●日陰の豆も時が来れば爆ぜる 2.ものごとが成就(じょうじゅ)するには時間が必要で、時節が到れば目的は達せられるものである。 類:●芝栗も時節が来れば弾ける
・縁なき衆生は度し難し(えんなきしゅじょうはどしがたし) 全ての者に慈悲を垂れるという仏でも、仏縁のない者は救い難いという意味から、転じて、忠告を聞こうともしない者は救いようがない。 ★「釈迦の言葉」とするが、おそらく間違い。源典については調査中。
・縁に連るれば唐の物を食う(えんにつるればとうのものをくう)[=縁によって〜] 縁があれば思いも寄らない異国の食べ物をも口にすることができるということから、 何かの因縁で事の次第によっては疎遠なものとも関係ができる。
・延年益寿(えんねんえきじゅ) 《四熟》 人の寿命を延ばすこと。また、長寿でめでたいこと。人の長寿を願う言葉としても使う。 出典:「史記−淮南・衡山列伝」「汝何求、曰、願請延年益寿薬」
・縁の下の小豆の木(えんのしたのあずきのき) 日の当たらない縁の下ではひょろひょろとしか伸びず実らないというところから、世に出られない人、うだつがあがらない人のこと。
・縁の下の鍬使い(えんのしたのくわづかい) 窮屈で十分動きが取れないこと。充分に能力を発揮できないことの喩え。
・縁の下の筍(えんのしたのたけのこ) 立身出世できない人の喩え。 類:●縁の下の赤小豆
・縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
・縁の下の舞(えんのしたのまい) 1.昔、陰暦二月二二日に天王寺で聖徳太子聖霊会に行なわれた舞楽。 ★舞台の脇で行なわれたことから。 2.人が見ていない所で虚しく苦労すること。 類:●縁の下の掃除番●空き家で声嗄らす●空き家で棒振る
・縁の目には霧が降る(えんのめにはきりがふる) 1.縁あって結ばれる者の目には、互いに霧が掛かったように、相手の欠点が見えないばかりか、却(かえ)って美しく見えるということ。 類:●痘痕も靨●恋は盲目 2.縁の繋(つな)がる者は、どうしても身贔屓(みびいき)になるものである。 類:●我が仏尊し●相撲も立つ方●弓も引き方
・縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの) 男女の縁はどこでどう結び付くか分からない。縁は不思議で面白い。
・焉馬の誤まり(えんばのあやまり) 「焉」と「馬」は字の形が似ていて書き誤り易いところから、文字の誤り。 類:●烏焉馬(うえんば)●魯魚烏焉の誤まり
・煙霏雲斂(えんぴうんれん) 《四熟》 靄(もや)や煙がたなびいて、雲が集まっている様子。
・猿臂を伸ばす(えんぴをのばす) 「猿臂」は猿の肘(ひじ)のように長い肘という意味で、腕を長く伸ばすこと。
・閻浮の塵(えんぶのちり) 俗世の塵。煩悩。また、儚いこと。人の身のこと。 類:●浮世の塵 例:「明日は閻浮の塵ともならばなれ」 出典:世話尽(せわづくし) 俳諧語彙集。明暦2年(1656)。編者不詳(僧皆虚か?)。俳諧に関する諸注意、資料、いろは順のことわざが集められている。
・煙幕を張る(えんまくをはる) 1.煙幕を大気中に撒き散らすこと。こちらの居所や行動を隠す。2.真意や行動を隠すような言動をする。
・閻魔帳(えんまちょう) 1.閻魔大王が死者の生前の行ないを書き止めておく帳面。2.教師が、生徒の成績や行状などを書き止めておく帳面。
・延命息災(えんめいそくさい) 《四熟》 災いを抑(おさ)え、命を延ばすこと。 類:●息災延命 用例:宇津保−春日詣「女は、おしなべては延命息災を旨として」
・鳶目兎耳(えんもくとじ) 《四熟》 鳶のようによく見える目と、兎のようによく聞こえる耳。 類:●飛耳張目
・縁もゆかりもない(えんもゆかりもない) 類義である「縁」と「ゆかり」を重ねて強調した表現。繋がりも関係も一切ない。
・遠慮会釈もない(えんりょえしゃくもない) 他人に対して、控え目にすることも、手加減することもない。
・遠慮無ければ近憂あり(えんりょなければきんゆうあり) 遠い将来を見通して考えることもせずに、唯目先のことばかりに気を取られていると、必ず急な心配事が起こるものだ。 類:●遠慮近憂 出典:「論語−衛霊公」「人無遠慮、必有近憂」
・遠慮は無沙汰(えんりょはぶさた)[=不沙汰] 訪ねていっては迷惑を掛けはしないかと遠慮するが、遠慮を重ねてしまうと、なんの挨拶(あいさつ)もしないのと同じで却(かえ)って失礼になるものである。
・縁を切る(えんをきる) 親子、夫婦などの関係を絶って、他人同士となる。あるものごととの関係をなくす。 類:●縁を断つ●手を切る 反:■縁を組む■縁を結ぶ
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