【てを】~【てを】

−−−−−−−てを(あ)(#tewo1)−−−−−−−
・手を散つ
(てをあかつ) 人手をあちこちに分散する。手分けして事に当たる。
・手を空ける
(てをあける) なすべき事がない状態にしておく。 例:「手を空けて次の仕事を待っている」
・手を上げる
(てをあげる) 1.下げていた手または平伏して突いていた手を元の位置に戻す。2.降参する。白状する。また、手に余って投げ出す。 類:●お手上げ白旗を揚げる 3.殴(なぐ)ろうとして拳(こぶし)を振り上げる。叩くなどの乱暴をする。4.技量を上達させる。 類:●腕を上げる ★挙手する場合は、慣用的に「手を挙げる」を使う。
・手を合わせる
(てをあわせる)[=合わす] 1.両方の掌を合わせて拝(おが)む。また、心を込めて頼む。合掌して感謝の意を表わす。 例:「墓前に手を合わせる」 2.相手として勝負をする。手合わせする。
・手を入れる
(てをいれる) 1.作品などに手を加えて整える。また、不足を補ったり訂正したりする。手直しする。2.手段を講じる。 類:●渡りを付ける手を回す 3.密かに人を使って調べる。特に、警察が犯罪を探る。また、証拠品の押収や検挙のために、現場に踏み込む。
・手を打つ
(てをうつ) 1.掌(てのひら)を打ち合わせて鳴らす。感情が高まったとき、合点がいったとき、礼拝の折、また、手締(てじめ)などで拍手する。2.仲直りをする。契約が成立する。 例:●手合わせ 例:「その辺で手を打とう」 3.囲碁・将棋・双六などで、巧みな打ち方をする。4.必要な手段を講じる。一策を用いる。 例:「不慮の事故に備えて手を打っておく」
・手を置く
(てをおく) 1.処置に窮する。思案に余る。 類:●
手を拱(こまぬ)く 用例:浄・用明天皇職人鑑−四「医者の手を置物思ひ気むつかしげに」 2.一目(いちもく)置く。一歩譲(ゆず)る。 用例:浮・好色盛衰記−三「この大臣に手を置て万事のこなしをみるに」 用例の出典①:用明天皇職人鑑(ようめいてんのうしょくにんかがみ) 浄瑠璃。近松門左衛門。宝永2年(1705)。からくりが得意の竹田出雲が竹本座の座本となり、新体制で取り組んだ近松中期の代表作。出雲の興行方針を大胆に取り入れて、道成寺系の「鐘入りの段」など人形や舞台装置にからくりを多用し、興行的に新工夫した。筋書きは、仏法を擁護する花人親王(後の用明天王)と、外道を奉じる異母兄・山彦王子との対立を中心に展開。親が子の身代わりになって死ぬという悲劇的な武道事も盛り込む近松門左衛門でござーい!> 用例の出典②:好色盛衰記(こうしょくせいすいき) 浮世草紙。井原西鶴。元禄元年(1688)。・・・詳細調査中。
・手を下ろす
(てをおろす) 1.自(みずか)ら事に当たる。 類:●手に掛ける
手を下す 2.風帯(ふうたい)で巻き収めていた旗を、解(と)き広げる。 類:●手を解く

−−−−−−−てを(か)(#tewo2)−−−−−−−
・手を易え品を易える
(てをかえしなをかえる) ある一つのことに対して、次々に色々な方法を試みる。様々な手段・方法を尽くす。 類:●あの手この手
・手を反す
(てをかえす) 極めて容易(たやす)いこと。また、瞬く間に変わることの喩え。 類:●手の裏を反す●掌を返す
・手を書く
(てをかく) 文字を書く。書道を嗜(たしな)む。また、文字を巧みに書く。
・手を掛ける
(てをかける) 1.自分で事に当たる。2.手出しをする。攻める。攻撃を加える。また、盗みを働く。 類:●
手を出す 3.関係を付ける。手出しをする。4.手数を掛ける。人手を煩(わずら)わす。
・手を貸す
(てをかす) 手助けする。助力する。 類:●
手を添える
・手を借りる
(てをかりる) 手伝って貰う。助力して貰う。
・手を切る
(てをきる) 関係を断つ。交際を断つ。男女の関係を清算する。 類:●縁を切る手を引く 例:「やくざと手を切る」
・手を砕く
(てをくだく) あれこれと手段を巡らす。様々に工夫を凝らす。
・手を下す
(てをくだす) 1.直接自分で行なう。自ら事に当たる。 類:●手を下ろす 2.し始める。着手する。 類:●
手を付ける
・手を組む
(てをくむ) 1.腕組みをする。腕を組んで深く考え込む。また、何もしないで見ている様子にも使う。 類:●
手を拱く 2.人と人とが手を握り合う。また、腕を組み合う。3.仲間になる。協力する。 類:●腕を組む
・手を加える
(てをくわえる) 1.加工する。2.修正する。補い直す。
・手を拱く
(てをこまぬく・こまねく) 1.昔の中国で行われた挨拶の方法の一つ。両手の指を胸の前で組み合わせて敬礼する。 出典:「礼記−曲礼上」 2.腕組みをする。3.腕を組んで深く考え込む。 類:●
手を組む 4.手出しをせずにいる。何もしないで見ている。 類:●手を組む●腕を拱く●手を束ねる

−−−−−−−てを(さ)(#tewo3)−−−−−−−
・手を下げる
(てをさげる) 1.(両手を下に付ける意) 謝(あやま)る。詫(わ)びる。謝罪する。 類:●
手を突く 2.遜(へりくだ)る。諂(へつら)う。 類:●下手に出る 用例:浮・日本永代蔵−一「みなみな、手をさげて、旦那旦那と申ぬ」 3.屈服する。降参する。
・手を締める
(てをしめる) 1.商談、約束、または和解が成立した印に参会者が揃って手を打つ。会合の終わりなどを祝って、一同が拍手する。類:●手締めをする 2.転じて、目出度く結着を付ける。
・手を擦る
(てをする) 揉み手をする。両手を揉み合わせる。懇願、謝罪、畏敬、または感謝するときの仕種(しぐさ)。
・手を添える
(てをそえる) 助力する。手伝う。 類:●
手を貸す
・手を袖にする(てをそでにする) 何事もしないでいる。手出しもしないでいる。 類:●
手を拱く
・手を染める
(てをそめる) 手を付ける。し始める。事業などに関係する。 類:●
手を付ける 反:■手を切る手を引く足を洗う 例:「相場に手を染める」「悪事に手を染める」

−−−−−−−てを(た)(#tewo4)−−−−−−−
・手を出す
(でをだす・いだす) 1.打ったり殴ったりする。暴力を振るう。また、攻撃する。2.そのことに関係する。関わり合う。また、手出しする。3.女性と関係する。4.人の物をとる。奪う。盗む。
・手を携える
(てをたずさえる) 手を取る。手を引く。連れ立つ。 類:●手に手を取る
・手を束ね膝を屈む
(てをつかねひざをかがむ)  1.抵抗しないで屈服する。2.お世辞を使って機嫌を取る。諂(へつら)う。 用例:太平記−11「東八箇国の大名・高家、手を束ね膝を屈めずといふ者なし」
・手を束ねる
(てをつかねる) 1.手を組み、手出しをしない態度を示して、敬意、謝罪、恭順の意向を表わす。また、両手を揃えて礼をする。2.手出しをせずにいる。何もしないで見ている。 類:●
手を拱く
・手を突く
(てをつく)[=支(つか)える] 座って、両手を下に付ける。敬礼または謝罪・懇願などをする。
・手を尽くす
(てをつくす) あらゆる手段・方法をし尽くす。 例:「八方手を尽くす」
・手を造る
(てをつくる) 両手を合わせて拝(おが)む。合掌する。 用例:今昔−三一・二六「首を傾け手を造て此れを信じ貴びけり」
・手を付ける
(てをつける) 1.ある事をし始める。着手する。また、関わり合う。関係する。2.使用人の女などと肉体関係を結ぶ。3.使い始める。また、消費する。使い込む。 例:「積立て金に手を付ける」 4.食べ始める。箸(はし)を付ける。 例:「料理に手を付ける」
・手を通す
(てをとおす) 衣服などを着る。 例:「二三度手を通しただけの服」 類:●袖を通す
・手を取る
(てをとる) 1.手と手を携(たずさ)え合う。他人の手を握る。また、手を引く。親愛の情を表わしたり、親身になって世話をしたりする様子。 例:「手を取って部屋へ招き入れる」 2.親切・丁寧に教え導く様子。3.手間取る。まごまごする。どうしたらよいか途方に暮れる。相手に立ち遅れる。 用例:浮・傾城禁短気−五「物馴た大臣にあふては、手を取事多く」

−−−−−−−てを(な)(#tewo5)−−−−−−−
・手を直す
(てをなおす) 先手と後手と代わる。 用例:源氏−手習「御碁を打たせ給へといふ<略>てなほして打つ」
・手を握る
(てをにぎる) 1.危ない場面や緊迫した場面を近くで見ていて、はらはらする。また、見ていて緊張したり興奮したりする。 類:●手に汗を握る 2.仲直りする。和解する。3.強力して事に当たる。同盟する。
・手を抜く
(てをぬく) すべきことをしないで手数を省(はぶ)く。好い加減な仕事で済ませる。 類:●手も心も抜く●四角な座敷を丸く掃く 例:「工事の手を抜く」
・手を濡らさず(てをぬらさず) そのことに少しも骨を折らないで。苦労しないで。
・手を濡らす(てをぬらす) 自分の手を濡らすという意味から、苦労してものごとに取り組むこと。 類:●
手を汚す
・手を舐る(てをねぶる) 事に着手しようとして、勇気を奮い起こす。 類:●手に唾(つばき)す手薬煉(てぐすね)を引く
・手を伸ばす
(てをのばす) 今までしなかった事をやってみる。勢力を広げる。 類:●
手を広げる●手広くする

−−−−−−−てを(は)(#tewo6)−−−−−−−
・手を離れる
(てをはなれる) 1.その人の所有ではなくなる。その人の思い通りには動かせないものになる。2.手元から離れる。世話、看護、監督が不要になる。 例:「親の手を離れる」
・手を引く
(てをひく) 1.手を取って導く。 例:「老婆の手を引く」 2.関係を断って退く。関わり合いをなくす。 類:●手を切る 反:■手を染める 例:「仕事から手を引く」
・手を額に当てる
(てをひたいにあてる) 1.喜ぶ。2.熱心に祈念すること。
・手を翻せば雲となり、手を覆せば雨となる
(てをひるがえせばくもとなり、てをくつがえせばあめとなる) 掌(てのひら)を上に向ければ雲となり、下に向ければ雨となるほど天候の変化は急だという意味。人情が変わり易く当てにならないことの喩え。 出典:「杜甫−貧交行」
・手を広げる
(てをひろげる) 関係する範囲を新たに広くする。仕事の規模を大きくする。 類:●手を手広くする●
手を伸ばす 例:「青果販売に手を広げる」

−−−−−−−てを(ま)(#tewo7)−−−−−−−
・手を回す
(てをまわす) 1.手配りを十分にする。手段を巡らす。2.手を尽くして探索する。3.密かに手を尽くして働き掛ける。 類:●根回しをする 例:「手を回して圧力をかける」
・手を揉む
(てをもむ) 1.両手を揉み合わせること。悔しがったり、怒ったりなど、感情が高ぶったときの動作。2.下手(したて)に出て、詫びごとや頼みごとなどをする。 類:●揉み手をする

−−−−−−−てを(や)(#tewo8)−−−−−−−
・手を焼く
(てをやく) 1.失敗して懲(こ)りる。2.処置に窮(きゅう)する。 類:●持て余す ★「焼き餅焼くとて手を焼くな」(嫉妬に狂った者を扱うのは骨が折れる。周りの者まで手を焼く)からか。
・手を許す
(てをゆるす) 囲碁で、待ったを許す。転じて、処置を寛大にする。
・手を緩める(てをゆるめる) 今までの厳しい追及や取り締まりなどを、少し手加減してやる。 類:●手心を加える 例:「拷問の手を緩める」
・手を良く(てをよく) 1.体(てい)良く。また、巧い具合いに。要領良く。 用例:浮・好色一代男−六「手をよく退(のき)てあそびを替る」 2.気前良く。 用例:浮・好色二代男−二「大晦日前に八木の一俵も、手をよくとらせて」
・手を汚す(てをよごす) 自分の身体で実際に体験し、その苦労を味わってものごとを行なう。また、悪いこと・好ましくないことを行なう。 類:●
手を濡らす

−−−−−−−てを(わ)(#tewowa)−−−−−−−
・手を分かつ(てをわかつ) 1 手分けする。手配りする。 2.別れる。離別する。また、関係を断つ。 類:●
手を切る
・手を別ける
(てをわける) 関係を断つ。 類:●
手を分かつ手を切る 用例:源氏−帚木「こや君がてをわかるべき折り」
・手を煩わす
(てをわずらわす) 人に世話を掛ける。人に手数を掛ける。 類:●厄介を掛ける 例:「お手を煩わして済みません」

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