【わた】~【わん】

−−−−−−−わた(#wata)−−−−−−−
・私雨
(わたくしあめ) 限られた小区域にだけ降る俄(にわ)か雨。 類:●我が儘雨 
★特に、有馬、鈴鹿、箱根などの山地のものが知られている<国語大辞典(小)> ★昔から、箱根・比叡・丹波などのものが有名<大辞林(三)>
・私する
(わたくしする) 1.自分勝手をする。身勝手に振舞う。 用例:浄・
本朝二十四孝−四「われも随分精出して御奉公に私すな」 2.公的なものを自分のもののように扱う、また、自分のものにする。 類:●私物(わたくしもの)にする 3.独り占めにする。 ★自称の「わたくし(わたし・あたし)」に「私」の字を使うのは日本の特別な用法。中国では「私」を自称としては使わない。 用例の出典:本朝二十四孝(ほんちょうにじゅうしこう) 浄瑠璃。時代物。5段。近松半二・三好松洛・竹田因幡・竹本三郎兵衛ら合作。明和3年(1766)大坂竹本座初演。上杉・武田両家の争いを題材とし、「信州川中島合戦」など先行諸作品の影響を受けて成立。三段目の切「勘介住家」、四段目の切「十種香(じしゅこう)」「狐火」などが有名。
・綿にて首を締む
(わたにてくびをしむ) 遠回しにじわじわと責めたり痛め付けたりすること。 類:●真綿で首を締める
・海の原
(わたのはら・わだのはら) 広々とした海。大海。 類:●海原(うなばら)
・綿のように疲れる
(わたのようにつかれる)・綿になる 身体から力が抜けてぐったりするほど疲れる。とても疲れた様子を喩えていう。 類:●くたくた 用例:浄・浦島年代記−一「口のこはい荒馬でも、一責(せめ)では乗伏せてわたにする」 例:「労働で綿のように疲れ、泥のように眠る」
・渡り合う
(わたりあう) 1.ある場所で出会って一緒になる。行き会う。また、ある出来事に巡り会う。 用例:
讚岐典侍−下「二月になりて、わたくしのきにちにわたりあひたり」 2.相手になって闘(たたか)う。切り合う。応戦する。渡し合う。 例:「師範と互角に渡り合う」 用例:太平記−二「四人左右より渡合て、鋒(きっさき)を指合て切て回る」 3.互いに激しく議論をし合う。論戦する。また、争う。 例:「与野党が激しく渡り合う」 4.応対する。 用例:浮・男色大鑑−二「門を閉てさらに渡(ワタ)りあはず」 用例の出典:讃岐典侍日記(さぬきのすけのにっき・さぬきのてんじにっき) 日記。2巻。讚岐典侍(藤原長子)著。嘉承2年(1107)6月から翌年12月晦日までの記事で、上巻には堀河天皇の発病から崩御まで、下巻には鳥羽天皇に出仕しながら、堀河天皇の頃を忍ぶ明け暮れが記されている。
・渡り歩く
(わたりあるく) 1.廊下などを渡って歩く。2.あちこちを歩き回る。3.特に、生活の手段を求めたりしながら、転々と、各地を移り住む。また、色々と職業や職場を変える。 例:「幾つもの会社を渡り歩く」
・渡り鳥
(わたりどり) 1.鳥類の生態上の区分。留鳥(りゅうちょう)に対する語。繁殖地と越冬地とが離れていて、毎年定期的にその間を往復する鳥を指す。また、ある地域に毎年一定の季節にだけ現れる鳥を指すこともあるが、この場合には候鳥(こうちょう)と呼ぶ方が正しい。カモ類の大部分、ガン類、ハクチョウ、ツグミなど。2.外国から我持ち込まれてきた鳥。孔雀や鸚鵡(おうむ)など。3.定住しないで方々を渡り歩いて生活する人。各地を転々としながら、商売や興行をして稼ぐ人。 類:●渡り者
渡りに船
(わたりにふね)
・渡りを付ける
(わたりをつける) 1.話し合いの切っ掛けを作る。人・組織などと関係を付ける。また、諒解を得るよう交渉する。交渉して諒解を得る。2.仲裁の口を利く。
渡る世間に鬼はない
(わたるせけんにおにはない)
・轍の鮒
(わだちのふな)[=魚] 危急が差し迫っていること、また、困窮していること。 類:●轍鮒(てっぷ)の急 出典:「荘子−外物」

−−−−−−−わち(#wati)−−−−−−−
・和衷共同
(わちゅうきょうどう) 《四熟》 心を合わせて共に仕事をすること。 出典:「書経−皋陶謨」「同寅協恭、和衷哉」 ★「和衷」は、心の底からなごみ和らぐこと。また、心を同じくすること。
・和衷共済(わちゅうきょうさい) 《四熟》 心を一つにして、共に助け合うこと。 類:●和衷協同●上下一心●戮力協心●戮力同心●戮力一心●戮力斉心●同心協力●一致団結●一致協力

−−−−−−−わつ(#watu)−−−−−−−
・割っつ口説いつ
(わっつくどいつ) 事情を包み隠さず説明して。全てを打ち明けて口説いて。 
★「割りつ口説きつ」の変化<国語大辞典(小)>
・割って入る
(わってはいる・いる) 双方の間に入る。左右に押し分けたり、流れを妨げたりして入る。無理矢理に入り込む。 例:「喧嘩に割って入る」

−−−−−−−わと(#wato)−−−−−−−
・話頭を転じる(わとうをてんじる) 話題をほかに移す。

−−−−−−−わな(#wana)−−−−−−−
・戦慄き手
(わななきで) 1.手がぶるぶると震えること。また、その手。2.書道で、震える手で書いた筆跡。筆を震わせて書いた文字。小野道風の書体を指すことが多い。 類:●震い筆
・罠に掛かる
(わなにかかる)[=嵌(は)まる] 仕掛けられた罠に捕らえられるという意味から、欺(あざむ)かれて相手の計略に陥(おちい)ること。

−−−−−−−わに(#wani)−−−−−−−
・鰐の口(わにのくち) 極めて危険な場所や状況の喩え。 類:●鰐口●虎口鬼一口

−−−−−−−わひ(#wahi)−−−−−−−
・詫び入る
(わびいる) 1.辛(つら)く思い、恐れ入る。 類:●萎(しお)れ返る 用例:蜻蛉−下「おりたちてわびいりたれば」 2.閉口する。 用例:滑・七偏人−二「その美姿では実に詫(ワビ)いる」 3.頻(しき)りに詫びる。ひたすら謝(あやま)る。

−−−−−−−わふ(#wahu)−−−−−−−
・和風細雨
(わふうさいう) 《四熟》 穏やかに吹く風と、静かに降る雨。人の過ちや欠点を改めるのに、柔和な態度で接することの喩え。 出典:張正見の詞「陪衡陽王遊耆闍寺 」「清風吹麦壟、細雨濯梅林」

−−−−−−−わよ(#wayo)−−−−−−−
・和洋折衷
(わようせっちゅう) 《四熟》 和(日本風)と洋(西洋風)とを適当に取り合わせること。

−−−−−−−わら(#wara)−−−−−−−
・笑いが止まらない
(わらいがとまらない) 嬉しくて堪(たま)らない。 例:「出せばミリオンセラーで、もう笑いが止まらない」
・笑い種(わらいぐさ) 笑いの種(たね)の意味で、笑いを誘う原因・材料のこと。物笑いの対象。 類:●お笑い種 源氏−行幸「近江の君見るこそよろづまぎるれとて、ただ笑い種につくり給へど」 例:「とんだお笑い種だ」
・笑い三年泣き三月
(わらいさんねんなきみつき) 義太夫節の稽古は、泣くところより笑うところが難しい。
・笑いを殺す
(わらいをころす) 笑いたい気持ちを抑えて、我慢する。
・笑いを含んで地に入る(わらいをふくんでちにはいる) 安心大悟して死ぬ。笑いながら悠々と死んで土に帰っていく。 出典:「後漢書−韓韶伝」「韶曰、長活溝壑之人、而以此伏罪、含笑入地矣」
笑う門には福来たる
(わらうかどにはふくきたる)
・笑う山
(わらうやま) 早春になって薄緑色に色付いてきた、明るい感じの山の形容。 出典:「
林泉高致−山水訓」 「春山澹冶如笑」 出典:林泉高致(りんせんこうち) 画論。中国北宋。画家の郭煕(かくき)。音を聞き、眺めることのできる景色が、名手によって幻出されるのが山水画の素晴らしさだと主張。
・藁が出る
(わらがでる) 綿の代わりに入れてあった藁が出るということで、隠している短所や欠点が現れること。失敗がばれる。 類:●襤褸が出る足が出る 用例:浄・
当麻中将姫「いへばいふ程藁が出て見ぐるしし」 用例の出典:当麻中将姫(たいまちゅうじょうひめ) 浄瑠璃。近松門左衛門。元禄9年(1696)。姫の出家の動機を継母による継子虐待の物語として脚色されたもの。 参考:中将姫(ちゅうじょうひめ) 奈良当麻(たいま)寺に伝わる曼荼羅(まんだら)を織ったとされる伝説上の女性。藤原豊成の娘。天平年間当麻寺に入山し仏行に励んだ姫は、その徳により仏に会い、一晩のうちに蓮華の糸で曼荼羅を織りあげ、女人の身ながら極楽往生したと伝えられる。姫の出家の動機を継母による継子虐待の物語として歌舞伎、浄瑠璃、謡曲などに脚色される。
・草鞋を脱ぐ
(わらじをぬぐ) 1.旅を終える。2.旅の途中で宿泊する。旅館に落ち着く。3.博徒(ばくと)などが、旅の途中でその土地の博徒の家に一時身を寄せる。
・草鞋を履く
(わらじをはく)・穿く 1.旅に出発する。2.罪などを犯した者が、捕吏の追及を逃れるため、住む土地を離れて旅に出る。 例:「長の草鞋を穿く」 3.商人が、物の価値を高く偽る。また、仲介者が値段を高く偽って、上前を取ること。特に、奉公人などが買物の使いに行った際、物の値段を誤魔化して銭をくすねること。 類:●下駄を履かせる上前を撥ねる
・藁苞に黄金
(わらづとにこがね) 容器は粗末でも、中身は価値のあるものであること。真価は外側の美醜によって決められるものではないということ。
・藁で束ねても男は男
(わらでたばねてもおとこはおとこ)[=男一匹(おとこいっぴき) 藁で髪の毛を束ねるような卑(いや)しい男でも、男には男の値打ちがある。地位もなく貧乏な暮らしをしていても、男には男の権威があるということ。 類:●箸に目鼻を付けても男は男●藁で束ねても男一匹
・藁にも縋る
(わらにもすがる) 藁のように頼りないものにまで、取り縋って助かろうとするということ。転じて、抜き差しならない状態に立ち至り、どんなものでも当てにして縋ろうとする様子。 類:●切羽詰まる
・藁の上から(わらのうえから) 生まれたときから。生まれ落ちるとすぐに。
・藁の下下
(わらのげげ) 藁草履(わらぞうり)の異称。
・蕨の榾で手を切れば骨まで切れる
(わらびのほだでてをきればほねまできれる) 蕨の成長した後の葉は切れ難く、無理に引き抜こうとすると手を酷く切るということ。
・藁を焚く
(わらをたく) 1.煽(おだ)て上げる。唆(そそのか)す。扇動する。 類:●焚(た)き付ける 用例:浄・冥途の飛脚−中「梅川に藁をたき、あちらへやらうといふことか」 2.悪口を言う。貶(けな)す。腐(くさ)す。中傷する。3.古道具などを買うとき、色々と悪く言って値切る。

−−−−−−−わり(#wari)−−−−−−−
・割が利く
(わりがきく) 用いた量の割には効果が大きい。 例:「割が利くマスタード」
・割り勘
(わりかん) 
割前勘定(わりまえかんじょう)」の略。勘定の総額を等分に割ってそれぞれが支払うこと。また、何人かで飲食した場合、各人が自分の注文に応じて支払うこと。
・割り切る
(わりきる) 1.割り算で、端数を出さずに割る。2.他人がどう思おうが気にせず、一つの原則に従って、ものごとの結論をきっぱりと出す。雑多な状況や己の心情などを排除して、単純明快に結論する。 例:「これも仕事と割り切る」 3.些事(さじ)に拘(こだわ)らずにやる。 例:「割り切って考えなさい」
・割り切れる
(わりきれる) 1.割り算で、端数を出さずに割ることができる。2.一定の原則に当て嵌(は)まり、すっきりと納得できる。普通、後に打ち消しを伴って、納得できないという意味で用いる。 例:「気持ちが割り切れない」
・理無い
(わりない)[=割り無い] 理(ことわり)が無いこと。 1.道理に外れている。分別がない。理性でどうにもならない。 用例:古今−六八五「心をぞわりなき物と思ぬる」 2.無理である。強引である。無理矢理である。 用例:宇津保−祭の使「折しもこそあれ、わりなき召しかな」 3.どうしようもなく辛(つら)い。堪え難く苦しい。こらえきれないほどである。どうにもやるせない。 類:●遣り切れない 用例:源氏−空蝉「をととひより腹をやみて、いとわりなければ」 4.やりようがない。どうしようもない。仕方がない。 類:●止むを得ない●余儀ない●是非もない 用例:源氏−総角「わりなき、事のしげさを打ち捨ててまで給ふ」 5.どうして言いか分からない。困ったことである。 類:●途方に暮れる 用例:後撰−六三〇「男侍る女を、いとせちにいはせ侍りけるを、女いとわりなしといはせければ」 6.やっとのことである。 類:●辛うじて 用例:今昔−二九・三七「然(さ)て許こそ命は助からめと思得て、破无くして此(か)く隠れて命を存する事は有難し」 7.程度が分別を越えている。どうしようもないほどである。甚だしい。一通りでない。 用例:伊勢−六五「猶わりなく恋しうのみおぼえければ」 8.言いようがないほど美しい。非常に感動的である。 用例:山家集−下「岩に堰(せ)く閼伽(あか)井の水のわりなきは心澄めとも宿る月哉」 9.非常に優れている。素晴らしい。殊勝(しゅしょう)である。 用例:平家−一〇「みめかたち心ざま、いうにわりなきもので候とて」 10.一通りでなく親しい。分別を越えて親密である。理屈では割り切れないほどの親密な関係。切っても切れない。 類:●逃(のが)れられぬ 用例:伽・福富草紙「鬼うば憎けれど、さすがわりなき中なれば」 例:「理無い仲」 11.いじらしい。とても可愛い。 用例:名語記−四「いたいけしたる物をわりなしといへるわり如何」
・割に合う
(わりにあう) 苦労しただけの効果がある。損得をひき比べると多少の得がある。 類:●引き合う
・割り符が合う
(わりふがあう)[=に合う] 別々に所有している割符が、ぴったりと合うということで、食い違いがなく符合すること。 類:●符節が合う
・割前勘定
(わりまえかんじょう) 《四熟》 割前で勘定すること。各人が等分に負担金を出し合って支払いをすること。 類:●
割勘 参考:割前(わりまえ) 分割してそれぞれに当てる負担分。
・割りを言う
(わりをいう)・理を言う 道理を言う。理屈を捏(こ)ねる。また、弁解する。言い訳をする。
・割を入れる
(わりをいれる) 1.仲裁者を入れる。調停者を入れる。2.衣服や帯などの布と布との間に別の布を裁ち入れ、幅広く仕立てる。3.手直しする。
・割を食う
(わりをくう) 割りの合わない目に遭う。損な結果を得る。損をする。不利になる。 用例:滑・膝栗毛−七「それぞれ、三文でも割をくつちやアごふはらだ」 例:「正直者は割を食う」
・割を付ける
(わりをつける) 1.始末する。処置する。調停する。仲裁する。 類:●
割を入れる 2.割増しして支払う。また、割り前として与える。

−−−−−−−わる(#waru)−−−−−−−
・悪足掻き
(わるあがき) 1.しても無駄なのに、あれこれと焦(あせ)って試(こころ)みること。 例:「今更悪足掻きをしても駄目だ」 ★「足掻く」の元の意味は、「馬、牛などが足で地面を蹴立てる。また、そのようにして歩いたり走ったりする」<国語大辞典(小)> 2.度を過ぎた悪戯(いたずら)。 類:●悪ふざけ
・悪い虫
(わるいむし) 1.癇癪(かんしゃく)の虫。癇癪。また、癇癪持ち。 用例:浄・冥途の飛脚−中「悪い虫押へかねてずんと出で」 2.良くない癖。3.娘にとって好ましくない交際相手。質(たち)の良くない情人、特に、情夫。 例:「娘に悪い虫が付かないように気を付ける」
・悪い奴ほど良く眠る
(わるいやつほどよくねむる) 1.極悪人は、自分が犯したことに罪悪感など持たないから、良く眠り、長生きするものである。 ★黒澤明監督の映画『悪い奴ほどよく眠る』(1960年公開)から。 2.悪人の黒幕は、実際の犯罪には手下を使い、自分は手を汚さないから、神経も磨り減らすことなく、ぐっすり眠れるものである。
・悪くすると
(わるくすると)[=したらば] 巧く行かない場合には。下手にまごつくと。拙(まず)くすると。 用例:中華若木詩抄−上「わるくしたらば、御身の一大事出来せんと云ぞ」
・悪乗り
(わるのり) その時の雰囲気などに便乗してものごとを行なうこと。また、相手に合わせて過剰に調子付くこと。
・悪怯れる(わるびれる) 1.未練がましく振る舞う。2.気後れがして、恥ずかしがったり、おどおどした態度を取る。 類:●わろびれる 用例:屋代本平家−二「西光はちとも色も変ぜず、わるびれたる景気もなし」 例:「一向に悪びれた様子がない」 ★「びれる」は接尾語「びる」の変化か<国語大辞典(小)> 参考:屋代本平家物語(やしろぼんへいけものがたり) 非正本の古本。「語り本」系。語り本の中でも古態と見られる本。不忍文庫の蔵書印があり、文庫の持ち主であった屋代弘賢という江戸時代の人に因(ちな)んで名付けらた。同じ語り本系でも覚一本とは異なる句立てで、異なる流派が使用、もしくは必要に応じて使い分けられていたと考えられる。全十二巻(欠巻あり)。他に応安4年(1371)年成立の「覚一(かくいち)本」「百二十句本」「流布本」などがある。

−−−−−−−われ(#ware)−−−−−−−
・我劣らじと
(われおとれじと) 自分は他人に負けまいとして。先を争って。 類:●我勝ちに●
我先に
・我思う、故に我在り
(われおもう、ゆえにわれあり) 
デカルトが一切のものを懐疑した末に至った第一の真理。一般に知識と呼ばれているものを疑っても、疑い考える我が存在することは疑い得ず、意識する自我の明晰・判明な確実性が全ての認識の確実性の始点となるとした。 類:●コギト‐エルゴ‐スム 人物:デカルト ルネ・デカルト。フランスの哲学者、数学者。近代哲学の父。1596〜1650。方法的懐疑の立場にたち、一切を疑った後、このように疑っている自己の存在は明晰で判明な真理であるとし、「我思う、故に我あり」と表現した。更に精神と物体を独立の実体とする物心二元論を展開した。解析幾何学の創始者でもある。主著「方法叙説」「省察」「情念論」。
・我か人か
(われかひとか) 自分なのか他人なのか判然としない状態。茫然として自分を失っている状態。恍惚(こうこつ)としている状態。 類:●我か●茫然自失 用例:古今−九六三「我か人かと身をたどる世に」
・我関せず焉
(われかんせずえん) 自分は関係がない。そのものごとにはまったく関心がなく超然としている様子。 類:●我関せず●風馬牛 
★「焉」は漢文で断定の意を表すのに用いる助辞<国語大辞典(小)>
・我先
(われさき)・我先に 自分が先になろうとすること。また、先を争う様子。 類:●我一●我勝ち
・吾唯知足
(われただたるをしる) 《四熟》 今を満ち足りたものとし、現状に不満を持たないこと。 類:●知足
・我と思わん者
(われとおもわんもの) 自分こそ優れていると思う者。自分こそが条件に当て嵌まると考える者。
・我と我が身(われとわがみ) 自分自身。自(みずか)ら。 例:「我と我が身を傷つける」
・我とはなしに
(われとはなしに) 私と同じ身の上という訳ではないのに…。
・我乍ら
(われながら) 自分のことであるが。自分のしたことであるが。わが身ながら。 用例:源氏−葵「あやしの心やと、われながらおぼさる」 例:「我乍らよく成し遂げたものだ」
・割れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた)・破れ鍋に〜 1.破れ鍋にも相応(ふさわ)しい蓋があるように、どんな人にも相応の配偶者がいるということ。また、相応しい相手が見付かるものだということ。 類:●合わぬ蓋あれば合う蓋あり●Like pot, like cover.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典>●Every Jack has his Jill. ★婚期を逸(いっ)している人や、容姿の劣る人を慰(なぐ)めて言う。 ★「綴じ蓋」は、壊れたものを紐で応急処置をしたような不恰好な蓋のこと。 2.配偶者は身分相応の者が良いという喩え。また、なんにつけ似通った者同士が相応しいものだということ。 類:●似たもの夫婦
・破れ鍋も三年置けば用に立つ
(われなべもさんねんおけばようにたつ) 壊(こわ)れた鍋でも、三年も取っておけば、何かの役には立つときが来るものである。まったく役に立たないものはないということの喩え。 類:●焙烙の割れも三年置けば役に立つ
・我に返る
(われにかえる) 1.はっと気が付く。意識を取り戻す。蘇(よみがえ)る。 2.他の事に気を取られていたのが本心に返る。正気に返る。興奮が冷める。平静を取り戻す。
・我にて
(われにて) 自分の経験では…。自分自身の立場からは…。 用例:拾遺−四三「春は猶我にて知りぬ花盛り心のどけき人はあらじな」
・我にもあらず
(われにもあらず)[=なく] 1.自分であるという気がしない。人心地がしない。 類:●上の空で●無我夢中で●思わず知らず 用例:竹取「御子はわれにもあらぬけしきにて、きもきえゐ給へり」 2.自分の本心からではなく。不本意ながら。 類:●止むを得ず●渋々 用例:今昔−二六・九「俄に荒き風出来て、澳(おき)の方へ吹持行けば、我にも非で流れ行ければ」
・我はと思う
(われはとおもう) 自分こそはと気負ったり、自惚(うぬぼ)れたりする。 用例:枕草子−133「女のすこし我はとおもひたるは、歌よみがましくぞある」
・我も我も
(われもわれも) 多くの者が先を争う様子。 類:●我勝ちに●
我先に
・我を忘れる
(われをわすれる) 1.ものごとに夢中になって自分の存在を忘れる。興奮して理性を失う。 類:●恍惚(こうこつ)となる●茫然自失 2.自分のことを忘れる。自分を顧(かえり)みないで他人のことを言う。
・我を我と思う
(われをわれとおもう) 自分のことを大切に思う。自分の才能を自負する。自分こそはと思う。

−−−−−−−わわ(#wawa)−−−−−−−
・騒しい女は夫を食う(わわしいおんなはおっとをくう) 口喧(やかま)しい女は夫の身を滅ぼしてしまうものである。 類:●雌鳥歌えば家亡ぶ

−−−−−−−わを(#wawo)−−−−−−−
・輪を掛ける
(わをかける) 一回り大きくするという意味で、倍加する。一層甚(はなは)だしくする。
・和を以って貴しと為す(わをもってとうとしとなす) 人との和合(わごう)の道を守ることが、最も貴く、大切なことである。 ★聖徳太子が作った「十七条憲法」の第一条には、「和を以って貴しと為す。忤(さから)う無きを宗(むね)と為す」とある。 出典①:「礼記−儒行」「礼之以和為貴、忠信之美、優游之法」 出典②:「論語−学而」「有子曰、礼之用和為貴、先王之道斯為美」

−−−−−−−わん(#wan)−−−−−−−
・ワンクッション置く
(わんくっしょんおく) 和製語。ショックや圧力を和らげるために、間に準備段階や当たり障りの少ない人などなどを介す。 例:「天降っていきなり社長というのでなく、ワンクッション置いて副社長になっておく」
・わんさ・わんさか
 1.がやがやと、人が大勢押し掛ける様子を表わす言葉。 例:「空港にはファンたちがわんさと詰め寄せた」 2.たくさんある、または、たくさん集まってくる様子表わす言葉。 類:●たっぷり●ごまんと 例:「金がわんさとある」 3.俗語の「わんさガール」の略。 参考:わんさガール (大勢いるところから)映画やレビューなどの下っぱの女優。わんさ<国語大辞典(小)>
・腕白
(わんぱく・わんばく) 子供が悪戯で言うことを聞かないこと。言うことを聞かないで遊び回ったり、悪さをしたりすること。 類:●やんちゃ●脂茶 
★「腕白」は当て字。「かんぱく(関白)」の変化ともいうが未詳<国語大辞典(小)>
・椀より正味
(わんよりしょうみ) お椀がどんなに立派でも、中身の料理が不味くては感心できない。外観よりも、内容で物を評価すべきであるということの喩え。 類:●山高きが故に貴からず●人肥えたるが故に貴からず●見掛けばかりの空大名●独活の大木
・腕力に訴える
(わんりょくにうったえる) 暴力を用いて他人を意の儘に従わせたり、争い事を解決したりする。自分の希望を通すために暴力を使う。