【むあ】~【むそ】
・無悪不造(むあくふぞう・ぶぞう) 《四熟》 好き放題に悪事を働いて、憚(はばか)らないこと。 用例:太平記−34「無悪不造の兵どもが塔の九輪を下して」 ★「悪、造(いた)らざるなし」の意<国語大辞典(小)>
−−−−−−−むい(#mui)−−−−−−−
・六日知らず(むいかしらず) 吝(けち)のこと。 類:●けち●赤螺屋吝兵衛 出典:三遊亭圓生「しわいや」 「日を勘定するのに一日二日三日四日五日と指を折る。六日てぇとこれを開けなくちゃァなりませんで、一旦握ったものはもう絶対離さないと言うので、吝嗇屋の事を『六日知らず』と言う悪口がございます」
・六日の菖蒲(むいかのしょうぶ)
・無意気力(むいきりき) 《四熟》 思い遣りの無い者が出す力。馬鹿力。 用例:浄・寿の門松−上「どれに下地の無息力」
・無一物(むいちもつ・むいちぶつ) 何も持っていないこと。財産など価値があるものを何一つ持っていないこと。 類:●裸一貫 例:「破産して無一物になった」
・無為徒食(むいとしょく) 《四熟》 働かないで、ぶらぶらと遊び暮らすこと。 類:●遊手徒食 例:「無為徒食の輩(やから)」
・無為に入る(むいにいる) 仏門に入る。出家する。
・無為にして化す(むいにしてかす) 教育しようという作為を弄(ろう)しないでも、人民は自(おの)ずから教化され、世の中は良く治(おさ)まるものである。 出典:「老子−五七章」、「荘子−天地」
・無為の化(むいのか) 作為を弄しないでも、自然に人民が教化されて良く治まる政治。 出典:「老子」 ★尭・舜(ぎょう・しゅん)の仁政を模範とする。
・無為無策(むいむさく) 《四熟》 困難に対し、なんの対処処置もないまま、ただ手を拱(こまね)いて見ていること。何もしないこと。
−−−−−−−むえ(#mue)−−−−−−−
・無縁の慈悲(むえんのじひ)[=慈(じ)] 仏教用語。仏が、対象を縁とすることなく、一切衆生(或いは、万物)に対して及ぼす絶対平等の慈悲。仏の無条件の慈悲。
−−−−−−−むか(#muka)−−−−−−−
・向かい火を焚き付く(むかいびをたきつく)[=焚き掛ける] 「向かい火」は、燃え進んでくる野火の勢いを弱めるためにこちらから付ける火のこと。相手を挑発することの喩え。煽(おだ)てることの喩え。
・向かう鹿には矢が立たず(むかうししにはやがたたず)[=顔に矢が立たず] こちらを向いている鹿には、無慈悲に矢を射ることができないという意味で、無抵抗の者に対しては攻撃することができないことの喩え。
・向かうところ敵なし(むかうところてきなし) 向かい進むところに抵抗する者がいないという意味で、あまりにも強く、誰にも負けないことの喩え。 類:●行くところ敵なし 例:「連戦連勝で向かうところ敵なしだ」
・無何有の郷(むかうのさと・きょう) 物一つない世界という意味。架空の世界で、無意無作為で、天然のままの郷。自然のままで、何も作為がない世界。 出典:「荘子−逍遥遊」「今子有大樹、患其無用、何不樹之於無何有之郷、広莫之野、彷徨乎無為其側、逍遥乎寝臥其下」 ★「むかゆうきょう」とも。
・無学文盲(むがくもんもう) 《四熟》 学問や知識を十分に身に付けておらず、字が読めないこと。また、その人。 類:●一文不知●一文不通●無知文盲
・昔千里も今一里(むかしせんりもいまいちり) 若い時分は千里を駆けた足も年老いた今では一里しか行けないということで、優れた人も、年老いると、普通の人にも及ばなくなる。 類:●麒麟も老いては駑馬に劣る
・昔年寄りに弱い者なし(むかしとしよりによわいものなし) 年寄りの話には「昔は違った」や「今どきの若いもんは」といったものが多く、黙って聞いていると、昔の若者はみんな完璧な人ばかりのようであるということ。年寄りの昔話を嘲(あざけ)っていう。
・昔取った杵柄(むかしとったきねづか)
・昔の剣今の菜刀(むかしのつるぎいまのながたな) 1.昔、剣として用いられたものも、今はせいぜい菜刀の役にしか立たないという意味で、若いときは優れていた人も、老いた今は物の役に立たなくなっていること。また、優れた物も、月日が経つと時世に合わなくなるということ。2.昔の良い物よりも、今の役に立つものの方が良いということ。
・昔の人(むかしのひと) 1.世を去った人。亡き人。 類:●昔人(むかしびと) 2.昔、親しかった人。かつて親しくしていて、今はいない人。
・昔は今の鏡(むかしはいまのかがみ) 昔の出来事や事柄は、今の世の人々が参考にすべきことをたくさん含んでいるということ。 反:■昔は昔今は今
・昔は昔今は今(むかしはむかしいまはいま) 昔はどうあろうとも、今とは違うのだから、昔に倣(なら)って今もこうあるべきだという議論は成り立たない。 反:■昔は今の鏡
・向かっ腹を立てる(むかっぱらをたてる) わけもなく腹立たしく思う。むかむかとする。 類:●(俗)ムカつく 例:「あいつの嫌味な態度には向かっ腹が立つ」 ★「むかばら(向腹)」の変化<国語大辞典(小)>
・百足の手(むかでのて) 百足の手は数が多いことから、物の数が多いことの喩え。
・無我夢中(むがむちゅう) 《四熟》 あるものごとに熱中して、自分を忘れること。一つのことに心を奪われて我を忘れてしまうこと。 類:●無我無心●思わず知らず●我にもあらず 例:「無我夢中で走る」
・無冠の帝王(むかんのていおう) 1.特別な地位には就(つ)いていないが、実質的な実力を持っている人。2.権力に屈しないところから、ジャーナリストのこと。特に、新聞記者のこと。
−−−−−−−むき(#muki)−−−−−−−
・無期延期(むきえんき) 《四熟》 期限を定めないで、その実施を先に延ばすこと。
・向きになる(むきになる) ちょっとしたことに腹を立てたり、本気になったりする。 ★「むき」は、「向き向きになる」と関連ある語か。 参考:向き向き(むきむき) それぞれかってにいろいろな方向をむいていること。また、各自の好みによって異なること。思い思いであること。*万葉−一八〇四「はふ蔦のおのが向向(むきむき)天雲の別れし往けば」<国語大辞典(小)>
・麦飯で鯉を釣る(むぎめしでこいをつる) 僅(わず)かな元手で多くの利益を得ることの喩え。また、与える物は少なくして、得るところだけ多くしようとすることの喩え。 類:●海老で鯛を釣る
・麦藁蛸に祭鱧(むぎわらだこにまつりはも) どちらも旬の時期を表現したもの。蛸は麦藁のできる麦秋(ばくしゅう)の頃、鱧は夏祭の頃が一番美味しいという意味。蛸は六月頃、鱧は七月頃が旬だということ。 類:●桜鯛麦藁蛸に祭鱧 ★関西のことわざ。
−−−−−−−むく(#muku)−−−−−−−
・無隅子細(むぐうしさい) 《四熟》 隅から隅まで事細かに。隅々まで良く行き届き、至らないところがない様子。 類:●無隅
・無窮自在(むぐうじざい・むくうじざい) 《四熟》 思いのままに振る舞うこと。また、その様子。 類:●無窮(むぐう)●自由自在 用例:幸若・信太「ましてあらそふ者はなし。無窮自在に申なし安堵給はりくだりけり」 参照:日葡辞書「ムグウジザイ<訳>自由で制約のないこと」
・無垢三昧(むくざんまい) 《四熟・仏教用語》 仏は煩悩の汚(けが)れもなく静寂であるというところから、清浄で汚れがなく、心を一つに集中して他念がない様子。
・無垢世界(むくせかい) 《四熟・仏教用語》 汚(けが)れや煩悩がない清潔な世界。 類:●南方無垢界●南方無垢 ★沙羯羅龍王(しゃからりゅうおう)の娘が八歳で男に変じ、成仏したという清浄世界<国語慣用句辞典(集)>
・椋は生っても木は榎(むくはなってもきはえのき) 榎の実が生ろうが何が生ろうが、椋の木と一度言い出したらその主張は変えない。目の前にある事実を無視して、或いはそれを承知で、自分の意見や思い込みを言い通すことの喩え。 類:●榎の実は成らば成れ木は椋の木●榎の実が三俵なっても木は椋●椋の木の下にて榎の実を拾う●強情っ張り ★榎と椋が良く似ていることからできたことわざ。
・葎が門(むぐらがかど)[=の門] 「葎」は、野原や荒れた庭などに繁茂する雑草の総称。雑草が生い茂っている門。荒れた家や貧しい家の喩え。 類:●蓬の門●蓬門
・葎の宿(むぐらのやど) 雑草生い茂った家。荒れた家や貧しい家の喩え。 類:●蓬の宿
・剥れる(むくれる) 1.ひとりでに剥(は)がれる。剥ける。 用例:俳・俳諧新選−一「桃折れば皮むくれけり花ながら」 2.腹を立てる。怒ってむっとした顔をする。 類:●立腹する 用例:雑俳・末摘花−三「一っ国はむくれてるのを笑ふなり」 用例の出典:俳諧新選(はいかいしんせん) 俳諧。三宅嘯山・炭太祗共編。安永2年(1773)。蕪村も46句入集している。結城の雁宕、境の阿誰、蕪村の師・宋阿(京を下る時、古郷を二つ荷うて袷かな)なども入集している。
・無患子は三年磨いても黒い(むくろじはさんねんみがいてもくろい) 無患子の真っ黒い種子は、いくら磨いても黒いままである。持って生まれた性質はどうやっても改めることができないものだ、ということの喩え。 類:●木欒子(もくれんじ)は白くならず ★無患子の種子は、羽根突きの羽根の球に使われる。
−−−−−−−むけ(#muke)−−−−−−−
・無芸大食(むげいたいしょく) 《四熟》 特に優れた才芸もなく、食べるしか能がないこと。そういう人を嘲(あざけ)っていう言葉。
・無下にする(むげにする) 容赦なくするという意味で、ものごとを捨てて顧(かえり)みないこと。ものごとを無駄にしてしまうこと。人に対して素気(すげ)無くすること。 例:「君の頼みでは無下にも出来ない」
・無言実行(むげんじっこう) 《四熟》 あれこれ説明することなく、自分が正しいと思うことを、直ちに実行すること。 類:●不言実行
・夢幻泡影(むげんほうよう) 《四熟・仏教用語》 夢と幻と泡と影のことで、人生は儚(はかな)いものであるということの喩え。 出典:金剛般若経 類:●泡沫夢幻(ほうまつむげん)
−−−−−−−むこ(#muko)−−−−−−−
・向こう河岸の火事(むこうがしのかじ)・向こう岸の火事 向こう側の岸で発生した火事ということから転じて、他人には大変なことだが、自分には直接何の関わりもない事柄の喩え。 類:●対岸の火事●川向こうの火事●高みの見物
・向こう三軒両隣(むこうさんげんりょうどなり) 自分の家の向かい側三軒の家と、左右二軒の隣家。日常親しく交際する近隣の人のこと。 ★古くは隣保制度の単位でもあった<国語大辞典(小)>
・向こうっ面(むこうっつら) 1.「横っ面」に対して、顔の正面。 例:「きさまの向っ面を引っ叩くぞ」 2.向かい合っている相手の顔を罵(ののし)っていう言葉。主に、憎しみを込めて言う。
・向こう面になる(むこうづらになる)[=へ回る] 相手方に付く。敵方に回って対立する。 用例:人情・春色梅児誉美−4「家内中向こう面になつて」
・向こうに回す(むこうにまわす) 相手とする。敵にする。 類:●向こうを張る 例:「世界の強豪を向こうに回す」
・向こう見ず(むこうみず) 後先(あとさき)を良く考えもせず、思い立ったら我武者羅(がむしゃら)に行動すること。また、そのような行動や人。 類:●無鉄砲●先見ず 例:「向こうみずな行動」
・向こうを張る(むこうをはる) 相手となる。対抗する。 類:●張り合う 例:「プレスリーの向こうを張る」 ★丁半賭博から出た言葉。
・無告の民(むこくのたみ) 1.自分の苦しみを誰にも告げ訴えることができない人民。 類:●窮民 出典:「書経−大禹謨」 2.転じて、身寄りがない人。
・婿三代続けば長者になる(むこさんだいつづけばちょうじゃになる) 昔の婿は舅(しゅうと)や姑(しゅうとめ)に良く仕え、勤勉に良く働いたので、そのような婿が三代も続けば財産が増えるということ。婿養子を推奨する諺(ことわざ)。
・無言の凱旋(むごんのがいせん) 「凱旋」は、勝利を祝う歌を歌って帰ること。戦場で死んだ者の遺骨が祖国に帰ってくること。
・無言の行(むごんのぎょう) 1.仏教用語。無言を保って行なう修行。2.転じて、口を利かずに黙っていること。 例:「取り調べで、無言の行を決め込む」
−−−−−−−むさ(#musa)−−−−−−−
・無財餓鬼(むざいがき) 《四熟》 1.財物がない餓鬼。極めて貧しくて食物を食おうとしてもそれができない餓鬼。 反:■有財餓鬼 2.転じて、人を罵(ののし)って言う言葉。
・無策の策(むさくのさく) 策がないことが策である。対応策を立てない方が、また、謀(はかりごと)を巡らさない方が、余計な策を弄(ろう)するよりも、ずっと良い結果が得られるということ。
・むさ苦しい(むさくるしい) 汚らしい。だらしがなくて不潔である。 類:●むさくろしい 例:「むさくるしい髭面」 用例:人情・珍説豹の巻−前「汚穢(ムサクル)しい所へ大町さまの若旦那大三郎さまが」 用例の出典:珍説豹の巻(ちんせつひょうのまき) 人情本。・・・調査中。
・貪らざるを以って宝と為す(むさぼらざるをもってたからとなす) 人からものを取り貪らない廉潔(れんけつ)こそが、私の宝である。無欲の精神を大切なものとすること。 出典:「春秋左氏伝−襄公十五年」「子罕曰、我以不貪為宝、爾以玉為宝、若以与我、皆喪宝也」 ★宋(そう)の宰相・子罕(しかん)の言葉。
−−−−−−−むし1(#musi)−−−−−−−
・虫抑え(むしおさえ)・虫押さえ 1.空腹のとき、一時凌(その)ぎに、少しばかり物を食べること。何か少し食べて、空腹を紛(まぎ)らせること。また、その食物。 類:●虫養い 2.癇(かん=ひきつけなど)が起こらないようにすること。子供の虫気(むしけ)が起こらないように抑えること。また、その薬。3.増長の気持ちや怒りを抑え鎮(しず)めること。腹の虫を抑えること。また、その行為。 ★江戸時代の初期ごろからの俗信による。「三尸(し)九虫」といって、人の体内には九つの虫がいて、それぞれが、病気を起こしたり、心の中の意識や感情を呼び起こすのだと言われた。
・虫が合う(むしがあう) 心が一致する。気持ちや考えがなんとなくぴったり合う。 類:●胸が合う
・虫がある(むしがある) 人間としての意地がある。ちょっとした自尊心や名誉心を持っている。誇りを持つ。
・虫が好い(むしがいい・よい)[=良い] 1.自分勝手である。自分の都合だけを考えて、他人のことなどはまったく考えない。身勝手である。 類:●厚かましい 例:「そんな虫の好い話を誰が認めるか」 2.機嫌が良い。また、人が好い。
・蒸し返す(むしかえす) 1.一度蒸したものを、もう一度蒸す。 用例:浮・日本永代蔵−四「蘓枋木の下染其上を酢にてむしかへし、本紅の色にかはらぬ事を思ひ付」 2.同じことを、懲りずに、再び繰り返す。また、治(おさ)まっていたことを再び問題にする。 例:「昨日の議題を蒸し返す」 用例:雑俳・川柳評万句合−明和五「蒸返へす四百四町はまた新年」
・虫が治まる(むしがおさまる) 腹立ちが治る。怒りが解ける。 類:●腹の虫が治まる
・虫が齧る(むしがかぶる) 腹の中にいる虫が齧(かじ)るという意味。 1.腹痛が起こる。癪(しゃく)が起こって、苦しくなる。 用例:滑・膝栗毛−5「つれの者が少し虫が齧るさうだから宿をおたのみ申しやす」 2.産気付いて陣痛が起こる。 用例:滑・膝栗毛−発端「しきりに虫が齧ると見え」
・虫が嫌う(むしがきらう) なんとなく気に食わない。気に入らない。 類:●虫が好かない
・虫が込み上げる(むしがこみあげる)[=取り上(のぼ)す] 欲望が次第に昂(たか)ぶる。
・虫が承知せぬ(むしがしょうちせぬ) 心が納得しない。腹が立って我慢がならない。 類:●腹の虫が治まらない
・虫が知らせる(むしがしらせる)[=知らす] なんとなく感じる。何か起こりそうな予感がする。 →「虫抑え」の★を参照
・虫が好かない(むしがすかない) なんとなく気に入らない。どうも好感が持てない。
・虫が据わる(むしがすわる) 心が定まる。覚悟ができる。 類:●腹が据わる
・虫が付く(むしがつく) 1.衣類や書画などに害虫が集(たか)って食い荒らす。穀物や農作物に害虫が集って、被害を受ける。2.未婚の女性や後家などに愛人ができる。遊女・若衆などに情夫ができる。 例:「娘に悪い虫が付いては困る」
・虫気付く(むしけづく) 陣痛が起こる。産気付く。
・虫酸が走る(むしずがはしる)[=虫唾]・[=出る・来る] 1.腹が減って、胃液が口の中に逆流する。2.口中に胃液が上がってきて、吐き気を催(もよお)す。多く、酷く忌み嫌うことに喩える。 類:●反吐(へど)が出る 例:「顔を合わせるだけで虫唾が走る」
−−−−−−−むし2(#musi2)−−−−−−−
・狢を使う(むじなをつかう) 狢や狸(たぬき)が使うといわれる化かしの術を使うという意味で、人を騙(だま)すために、知らぬ振りをしたり、味方のように見せ掛けたりすること。
・虫の息(むしのいき) 今にも死にそうな弱々しい息遣い。やっと生きているような状態の喩え。 類:●風前の灯 例:「A社は経営不振で虫の息だ」
・虫の居所が悪い(むしのいどころがわるい) 機嫌が悪く、ちょっとしたことでもすぐ腹を立てる状態。不機嫌である。 例:「出掛けに小言を言われて虫の居所が悪い」
・無始の罪障(むしのざいしょう)[=罪業(ざいごう)] 「無始」は、仏教用語で、無限に遠い過去のこと。「罪障」は、成仏の障害となる罪業。限りない前世からの罪障。
・虫の知らせ(むしのしらせ) なんとなくそういう予感がすることを、腹の中の虫が知らせる為だとしたもの。 類:●胸騒ぎ →「虫抑え」の★を参照
・無始無終(むしむじゅう) 《四熟・仏教用語》 1.真理は常に変わることなく永久に無限であるということ。2.生き変わり死に変わり、この世の巡り合わせは永久に続くということ。輪廻は限りなく続くということ。
・虫眼鏡(むしめがね) 1.小さい物を拡大して見るための、焦点距離の短い凸レンズを用いた道具。拡大鏡。ルーペ・顕微鏡など。2.相撲の、序の口の力士の俗称。番付の最下段に、ごく小さい字で記され、虫眼鏡を使わないと読めないことから言われる。
・虫も殺さぬ(むしもころさぬ)[=ない] 虫さえも殺さないほど性質が穏やかで大人しいことの形容。また、そういう人。 例:「虫も殺さぬ顔をして心は鬼のよう」
・虫養い(むしやしない) 1.空腹を一時的に凌(しの)ぐこと。また、その軽食。 用例:玉塵抄−四五「尊宿長老などに酒をかんをして果子肴をすすむるを叢林のことばに虫やしないの薬と云」 類:●虫抑え 2.転じて、性欲その他の欲望を一時的に満たすこと。 用例の出典:玉塵抄(ぎょくじんしょう) 注釈書。惟高妙安(いこうみょうあん)。55巻。永禄年間(1558〜1570)の言語研究資料。
・武者振り付く(むしゃぶりつく) 激しい勢いで抱きつく。遮二無二(しゃにむに)齧(かじ)り付く。 類:●齧(かぶ)り付く 用例:浄・長町女腹切−中「べりべりしゃべるほうげたけはないてしまはんと、むしゃぶり付」 ★「貪(むさぶ)り付く」の転。「武者振り付く」は当て字<大辞林(三)>
・武者震い(むしゃぶるい) 戦いや重大事に臨んだときに、心が奮い立つあまり、身体が小刻みに震えること。
・矛盾(むじゅん)
・むしょ 監獄のことを指す俗語。 ★監獄をいう盗人仲間の隠語「虫寄場・六四寄場(むしよせば)」の略「むしよ」の変化。「刑務所」の略と解されることもあるが、「監獄」を「刑務所」と改称したのは大正11年(1922)で、この語はそれ以前から使われていた<国語大辞典(小)>
・無常迅速(むじょうじんそく) 《四熟・仏教用語》 万物の生滅転変が速やかであること。人の世の移り変わりが非常に早いこと。人の死が思い掛けず早くくること。
・無常の風(むじょうのかぜ)[=嵐(あらし)] 人の命を奪うこの世の無常を、花を散らす風に喩えたもの。 用例:狂・朝比奈「無常の風に誘はれ、ただいま冥途へ赴く」
・無常の殺鬼(むじょうのせっき) 死。人の命を奪うこの世の無常を、恐ろしい鬼に喩えたもの。
・寧ろ千金を失うとも一人の心を失う毋かれ(むしろせんきんをうしなうともいちにんのこころをうしなうなかれ) 多額の財産を失う結果になろうと、一人の信頼を失ってはならない。財貨よりも信用を重んじなさいということ。 出典:「越絶書−越絶外伝記范伯」「伝曰、寧失千金、毋失一人之心」 出典:越絶書(えつぜつしょ) 史書。前漢。袁康(えんこう)、一説に子貢(しこう)の著とも言われる。15巻。春秋時代の越族の歴史を記録したもの。
・筵を踏む(むしろをふむ) 寝床に敷く筵に共に寝るという意味から、夫婦が同衾すること。
・虫を起こす(むしをおこす)[=病(や)む・煩(わずら)う] 1.寄生虫などのために、腹痛を起こす。2.子どもが虫気(むしけ)を起こす。 参考:虫気(むしけ) 子供が罹(かか)るもので、寄生虫により、腹痛・不眠・癇癪(かんしゃく)などの症状が出るもの。
・虫を殺す(むしをころす)[=死なす・押さえる・堪(こら)える・鎮(しず)める・宥(なだ)める・摩(さす)る] 癇癪を抑える。腹が立つのをぐっと堪(こら)えて我慢する。 反:■堪忍袋の緒が切れる
・無心する(むしんする) 1.思慮分別のないことを言うという意味で、相手の迷惑をも顧(かえり)みないで依頼する。2.特に、親などに遠慮なく金品を強請(ねだ)る。 例:「親に金を無心する」 参考:安愚楽鍋「無心をいつて五両もらつたのを」 参考の出典:安愚楽鍋(あぐらなべ) 滑稽小説。仮名垣魯文作。明治4〜5年(1871〜2)。3編5冊。原名「牛店雑談安愚楽鍋」。別名「奴論建(どろんけん)」。開化期の世相を、牛鍋屋に集まる庶民の会話を通して描いた。
・無尽蔵(むじんぞう) 1.仏教用語。尽きることのない財宝を納めた蔵(くら)のこと。無限の功徳(くどく)を有することの喩え。 出典:「大乗義章−十四」「名為無尽、無尽之徳包含曰蔵」 2.見聞きしても無くならないことから、大自然のこと。 出典:蘇軾・前赤壁賦「是造物者之無尽蔵也」 3.仏教用語。寺に設けられた庶民のための金融機関。信者の布施した財物を蓄(たくわ)えて貸し出した。 類:●無尽●頼母子講(たのもしこう) 4.取っても取っても尽きないこと。無限にあること。 例:「無尽蔵の太陽光で発電する」 出典:大乗義章(だいじょうぎしょう) 大乗経典の注釈書。北斉〜隋。浄影寺の慧遠(えおん)(523〜592年)。全26巻より成っていたが、雑法聚を除く20巻が大正蔵(巻44)に収められている。地論宗の見地から見た六朝以来の各派の教説を集大成したもの。教理史上において重要視される。
−−−−−−−むす(#musu)−−−−−−−
・結びの神(むすびのかみ) 男女の縁を取り結ぶという神。 類:●結ぶの神 ★「むすひ(産霊)の神」を後世「むすびの神」と解して「結びの神」に当てたもの<国語大辞典(小)>
・娘三人持てば身代潰す(むすめさんにもてばしんだいつぶす)[=仕舞(しま)う] 娘を三人持つと、その嫁入りの出費で身代を潰してしまう。娘を嫁入りさせるのには、費用がたくさん掛かることの喩え。 類:●女三人あれば身代が潰れる 参考:娘は、「産(む)す女」の意<大辞林(三)>
・娘一人に婿八人(むすめひとりにむこはちにん)[=三人・十人]
・娘を見るより母を見よ(むすめをみるよりははをみよ) 娘の性格や品位を知りたいと思ったら、その母親の人柄を見ると良く分かるものである。特に、婚姻について言う。
−−−−−−−むせ(#muse)−−−−−−−
・無声の詩(むせいのし) 1.無韻詩。2.絵画の異称。
・咽び泣く(むせびなく) 1.喉(のど)をつまらせて泣く。しゃくりあげながら泣く。声を殺して泣く。 用例:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点−七「侍臣及び僧、(ムセ)ひ泣(ナ)か不といふこと無し」 2.楽器や風が、そのような声や音を立てる。 例:「咽び泣くバイオリンの音」 用例の出典:大慈恩寺三蔵法師伝(だいじおんじさんぞうほっしでん) 伝記。玄奘(げんじょう)の弟子の慧立・彦ソウ。平安時代。10巻。玄奘三蔵の伝記。・・・調査中。
−−−−−−−むそ(#muso)−−−−−−−
・無造作(むぞうさ) 1.仏教用語。何もしないこと。何も智慧など働かさないこと。2.技巧を凝らしていないこと。簡潔なこと。 例:「無造作に結んだだけの髪」 3.造作がないこと。容易(たやす)いこと。手が掛からないこと。 例:「無造作にやってのける」
次ページ