【とか】~【とこ】

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・兎角(とかく) 兎(うさぎ)の角(つの)のこと。実際にはないもの。 例:「兎角亀毛
・兎角・左右(とかく) 1.雑多な事態が起こる様子。あれこれ。何やかや。様々。色々。 用例:竹取「何をもちてとかく申すべき」 2.しばしば生ずる事態である。得てして。どうかすると。ともすれば。「とかく浮世は住みにくい」 用例:虎寛本狂言・
抜殻「とかく人といふ物は、此様な事をば、ゑて例にしたがる物じゃ」 3.種々の事情は別として。いずれにせよ。何はともあれ。兎も角も。兎に角に。 用例:謡曲・丹後物狂「さてもさても命は惜しいものかな、とかく投げられぬ」 4.「兎角の」の形で。あれこれと良くないこと。 例:「とかくの評判」 用例の出典①:抜殻(ぬけがら) 狂言。各流。使いの途中道ばたで酔い潰れた太郎冠者に、主人が懲らしめのため鬼の面を被せる。目を覚ました太郎冠者は、水に映った自分の姿に驚き、ついには自殺しようとするが、その弾みで面が脱げ、主人の仕業と気付いた太郎冠者は鬼の抜け殻だと言って主人にその面を見せる。 用例の出典②:丹後物狂(たんごものぐるい) 謡曲。井阿弥作。四番目物。勘当された子供が両親と生き別れになり、その菩提を弔おうとすると物狂いとなった父親が現れ、子供が死んだものと思いこんで狂乱する。僧の説法などでめでたく父子の名乗りを行なった。夫婦物狂いの「丹後物狂」は、「柏崎」と同様に二場形式の本格的な物狂い能であるが、歌舞的というより物語性が強いもの花と幽玄の舘
・兎角亀毛
(とかくきもう) 《四熟》 兎に角が生えて、亀に毛が生える。この世にあるはずのないことの喩え。 出典:「述異記−上」「大、而、是甲兵将興之兆」 殷(いん)の紂王(紀元前11世紀頃)の治世に大亀に毛が生え、兎に角が生えた。これは戦乱の起こる兆(きざ)しである。 出典:述異記(じゅついき) 中国の神話伝説の書。南朝斉の祖沖之(429〜500)の撰、10巻。または、南朝梁の任?(460−508)の撰、2巻。祖沖之または任?の撰と言われているが、実際には唐〜宋代(618−1269)に、任?と同時代の書籍から集められたもの。盤古、蚩尤、神農などに関する小伝、故事が収められており、神話の資料として役立つものになっている。
・とかく近所に事勿れ
(とかくきんじょにことなかれ) 近所に問題があれば自分にも何かと影響が出てくるので、何ごとも起きない方が良いということ。 類:●村には事勿れ 用例:大菩薩峠−小名路「近所にいるんなら近所にいるで、とかく近所に事勿れ」 ★単に「近所に事勿れ」とも言う。
・兎角の業
(とかくのわざ) 死者を葬ること。火葬。 用例:山家集−中「とかくのわざ果てて」
 ★副詞「と」に副詞「かく」が付いたもの。「兎角」「左右」は、当て字<国語大辞典(小)>
・兎角横川の七本杉
(とかくよこかわのななほんすぎ) 地口の一つ。 世の中は身過ぎ世過ぎに追い回されるということ。三杉+四杉=七杉と洒落たもの。
・蜥蜴の尻尾切り
(とかげのしっぽきり) ここでの蜥蜴は金蛇(かなへび)のこと。カナヘビは捉えられそうになると己の尻尾を切って逃げることから、転じて、不祥事(ふしょうじ)の責任などを回避するため、上位の者が下位の者を切り捨てて、影響が自分に波及しないようにすること。
・度が過ぎる
(どがすぎる) 普通の程度を甚だしく超える。 類:●酢が過ぎる度を越す 例:「冗談にしては度が過ぎている」

−−−−−−−とき1(#toki)−−−−−−−
・時有り
(ときあり) 1.時節が到来する。 用例:
風雅−雑中「時有りて花も紅葉もひと盛り」 2.好機に合う。栄える。時にあう。 用例:栄花−月の宴「時有るも時なきも、御心ざしの程こよなけれど」 用例の出典:風雅和歌集(ふうがわかしゅう) 南北朝時代の17番目の勅撰和歌集。花園院監修の下に、光厳院が撰定した。貞和5年(1349)頃成立。20巻。歌数は流布本で2,201首、四季・旅・恋・雑・釈・教・神祇・賀の部立より成る。「玉葉集」を踏襲し、京極派の影響が強い。「四季」部の歌が「恋」部の約2倍を占めているのも大きな特徴。玉葉集との違いは、当代重視であること。代表歌人は伏見院、永福門院、花園院、藤原為兼、定家など。「風雅集」とも。 参考:玉葉和歌集(ぎょうようわかしゅう) 鎌倉後期の歌集。20巻。伏見院の命により京極(藤原)為兼が撰した。勅撰和歌集の14番目。鎌倉室町期の勅撰集の中で、歌風の清新さにおいて風雅和歌集とともに群を抜く。「玉葉集」とも。
・時移り事去る
(ときうつりことさる) 歳月が経過すれば、すべてのものごとは変化する。 出典:陳鴻の「長恨歌伝」
・時が解決する
(ときがかいけつする) 辛い思いや困難な問題も、時が経つにつれて軽くなり、やがて自然と収まってしまうものだ。
・時異なれば事異なり
(ときことなればことことなり) 時機が違えば事態も異なってくるという意味で、時と場合により、やることも変わってくるし、その結果も異なってくるということ。
・時しもあれ(ときしもあれ)[=こそあれ] 適当な時期は外にもあろうに、どうして。時もあろうに折悪しく。 例:●ときしまれ 用例:古今−八三九「時しもあれ秋やは人のわかるべきあるをみるだにこひしき物を」 
★「あれ」は逆接条件を表す<国語大辞典(小)>
・時知らぬ山
(ときしらぬやま) 富士山のこと。いつも雪を頂いているので季節を知らないということから。
・時知り顔(ときしりがお) 時節を知り、それを弁(わきま)えているかのような顔付き。時節に合ったのを誇るような顔付き。 類:●時を得顔 用例:源氏−薄雲「心やりて時知り顔なるもあはれにこそ」
・時知る雨
(ときしるあめ) 時雨(しぐれ)の異称。時雨が秋の終わりに時期を限って降るところから言う。
・時として
(ときとして) 1.下に打消しの語を伴って、一刻も〜ない。少しの間も〜ない。常に〜ない。 例:方丈記「心念念に動きて、時として安からず」 2.場合によっては。時には。偶(たま)に。 用例:
新撰六帖−二「ときとして咲つく花の色色を」 例:「人は時として過ちを犯す」 用例の出典:新撰六帖題和歌集(しんせんろくちょうだいわかしゅう) 和歌集。衣笠家良の編。寛元2年(1244)。・・・詳細調査中。
・時無し
(ときなし) 1.定まった時がない。絶え間がない。いつものことである。 用例:万葉−二五「み吉野の耳我の嶺に時無(ときなく)そ雪は降りける」 2.不遇である。時勢に乗っていない。世に用いられず失意の状態にある。 用例:今鏡−藤波・下「身の時なかりしをのみ見え奉りて」
・時に遇えば鼠も虎になる
(ときにあえばねずみもとらになる) 好時機に巡り合うと、鼠のようなつまらない者でも、勢いが盛んになり権勢を揮(ふる)うようになる。
・時に当たる
(ときにあたる) 1.その時期にぶつかる。その時にさし当たる。 類:●時に臨む 2.相応(ふさわ)しい時になる。 類:●時に遇う 用例:太平記− 27「其上今の相国は、時に当たる職に達し」
・時に中す
(ときにちゅうす) 真の中庸とは、その時と場合においてその中間を取ることである。例えば、善と悪の中間を取ることが「中庸」というわけではなく、臨機応変に程好いところを選ぶのが中庸だということ。 出典:「礼記中庸・二章」「仲尼曰、《略》君子之中庸也、君子而時中
・時に付く
(ときにつく) その時その時に応じる。その時々に順応する。 用例:源氏−帚木「時につけつつ、さまをかへて」
・時に因る
(ときによる) 1.時の勢力を頼む。時流に従う。 用例:源氏−紅梅「世の人も時による心ありてにや」 2.自分の権勢を頼む。権勢に任せて振る舞う。 用例:源氏−藤裏葉「時により心おこりして」 3.時流に相応(ふさわ)しいようにする。時節に適応する。 用例:源氏−幻「ときによりたる物うちずんじなどばかりぞせさせ給」 4.その時々の状況に応じる。 類:●場合に因る 用例:
義経記−四「興ある法師の戯かな、ときにこそよれ」 用例の出典:義経記(ぎけいき) 軍記物語。8巻。作者、成立年代ともに未詳、室町前期とされる。源義経の生涯を伝説なども加えて描いたもの。源平争乱のころの活躍については触れられることはなく、不遇な生い立ちと悲劇的な末路のみが詳述されている。浄瑠璃、歌舞伎、御伽草子、読本など後世の文学の素材となる。「判官物語」。「義経物語」「牛若物語」「よしつねき」とも。

−−−−−−−とき2(#toki2)−−−−−−−
・時の氏神
(ときのうじがみ) 丁度良い時に現れて、仲裁などをする人。その時に、非常にありがたい人。 例:「挨拶は時の氏神
・時の運
(ときのうん) その時その時における運や不運。時の廻り合わせ。
・鬨の声(ときのこえ)・鯨波の声 1.戦国時代の合戦で、士気を鼓舞し、また、敵に対して戦闘の開始を告げるために発する叫び声。 用例:太平記−三「鬨の声三度揚げて矢合せの流鏑(かぶら)を射懸けたれども」 ★大将が「えいえい」と発声し全軍が「おう」と声をあげて和し、これを三度繰り返すのが通例。また、戦勝の喜びの表現としても発した<国語大辞典(小)> 2.大勢(おおぜい)の人が、一同に上げる声。
・時の代官日の奉行
(ときのだいかんひのぶぎょう)[=時の大将〜] 世の中を巧く渡っていくには、その時々の権力者に従っているのが良いという喩え。
・時の花を翳す
(ときのはなをかざす)・簪(かんざし)にする 1.その季節に咲き誇る花を髪に挿(さ)す。2.比喩的に、時流に乗って栄える。また、権威に阿(おもね)って上手く生きる。
・時の人
(ときのひと) 1.その時の人。その頃の人。当時の人。時人(じじん) 2.時流に乗って栄えている人。時を得て、権勢を揮っている人。非常に時めいている人。また、世間で噂になっている人。
・時の用には鼻を欠け
(ときのようにははなをかけ)[=削(そ)げ] 急を要する大事な場合には、鼻を切り落とすような思い切った手段でも取った方が良い。危急の際には手段を選ばないで事を行なえということ。
・時は得難くして失い易し
(ときはえがたくしてうしないやすし)[=値(あ)い難くして〜] 1.好機はなかなか巡って来ないもので、仮令(たとえ)来たにしても、油断しているうちにすぐ去ってしまうものだ。 出典:「史記−淮陰侯伝」 2.時間というものは再び巡って来ないから、どんな短い時間をも大切にしなければいけない。 出典:「淮南子−原道訓」
時は金なり
(ときはかねなり)
・時人を待たず
(ときひとをまたず)[=時は〜] 月日は過ぎ易く、好機は失い易いということ。 類:●歳月人を待たず
・どぎまぎ 不意を突かれたり、圧倒されたりして、うろたえて慌てる様子を表わす言葉。 用例:浄・行平磯馴松−一「アイと返事もどぎまぎと、ためらふ間も」 用例の出典:行平磯馴松(ゆきひらそなれのまつ) 浄瑠璃。文耕堂他。元文3年(1738)。謡曲『松風』にちなむ在原行平と松風村雨姉妹の恋愛譚を題材に、御位(みくらい)争いを展開したもの。
・時めく
(ときめく) 1.良い時機に巡り合って栄える。持て囃(はや)される。 用例:宇津保−菊の宴「東宮の学士になされなどして、ときめく事二つなし」 例:「今を時めく流行作家」 2.主人などの寵愛を受けて羽振りが良くなる。用例:今昔−24・31「天皇極(いみじく)時めきおぼしめして、御息所にもなされたる也」 3.賑やかに騒ぐ。 用例:仮・竹斎−上「輿や車を遣り違(ちが)へ時めきあへるその中に」
・度肝を抜く
(どぎもをぬく) 酷(ひど)く驚かす。吃驚(びっくり)させる。 類:●肝を潰す 
★多く「度肝を抜かれる」の形で用いられる<国語大辞典(小)>
・度胸を据える
(どきょうをすえる)[=定める] 覚悟を決める。 類:●肝を据える腹を据える
・時世時節
(ときよじせつ) 《四熟》 その時代その時代の風潮。その時その時の巡り合わせや移り変わり。
・途切れ途切れ
(とぎれとぎれ) 途切れては続き、途切れてはまた続く様子。 類:●絶え絶え●断続 例:「話し声が途切れ途切れに聞こえる」
・時を争う
(ときをあらそう) その時に至る早さを争う。先を争う。 類:●一刻を争う
・時を失う
(ときをうしなう) 1.チャンスを逃す。2.時勢に合わず、勢力が衰える。失意の人となる。 用例:方丈記「時を失ひ世に余されて」
・時を移す
(ときをうつす)[=巡(めぐ)らす] 1.手間取って、無駄に時間が過ぎる。暇が掛かる。また、一時(いっとき)を過ごす。暇を潰す。 2.「時を移さず」の形で、実行の時を延ばさずに。すぐさま。即刻。
・時を稼ぐ
(ときをかせぐ) 時間のゆとりを作る。時間を引き延ばす。あるものごとの準備や用意のために、他の事柄で時間を長引かせ、それに必要な時間を作り出す。 類:●時間を稼ぐ
・時を作る
(ときをつくる) 鶏が鳴いて暁を告げる。
・時を分かたず(ときをわかたず) 時と時の間に、休止や中止を挟まない。ものごとを、絶えず行なう。また、ある状態が延々と続く。 類:●いつも●のべつ●昼夜を分かたず 例:「時を分かたず雪が降る」

−−−−−−−とく(#toku)−−−−−−−
・得意満面
(とくいまんめん) 《四熟》 得意な気持ちが顔一杯に溢れること。得意で堪らない様子。
・独眼流(どくがんりゅう) 1.片目の英雄。片目で優れた人物。 出典:「
五代史−唐本紀・荘宗上」 2.伊達政宗(だてまさむね)の通称。 出典:五代史(ごだいし) 旧五代史 中国の正史。150巻。宋の太宗の時、薛居正等奉勅撰。974年成立。二十四史の一つ。実録や范質の「五代通録」に基づいて、後梁、後唐、後晋、後漢、後周の五代の歴史を記したもの。「新五代史」の刊行により散逸したが、清代、1775年永偬等が復元。旧五代史。 新五代史 中国の正史。75巻。宋の欧陽脩撰。二十四史の一つ。史書、小説などの古書を資料として後梁の太宗から後周の恭帝までの歴史を記したもの。記述は「春秋左伝」にならった簡潔な文体で、君臣道徳、華夷思想などの個性的な史観が窺(うかが)われる。「新五代史」・「五代史記」。
・毒蛇の口
(どくじゃのくち)[=腮(あぎと) 危険な場所。また、危険が身に迫っていることの喩え。 類:●虎口(ここう) 例:「毒蛇の口を脱する」
・読書三到
(どくしょさんとう) 《四熟》 書物を読んで真意を悟るには、目で良く見(=眼到)、口で朗読し(=口到)、心で会得する(=心到)という、三者専一の熟読が肝要であるということ。 出典:朱熹「童蒙須知−訓学斎規」
・読書尚友(どくしょしょうゆう) 《四熟》 書物を読むことによって昔の賢人を友とすること。 出典:「孟子−万章・下」「頌其詩、、不知其人、可乎、是以論其世也、是尚友也」
読書百遍意自ずから通ず
(どくしょひゃっぺんいおのずからつうず)
・読書亡羊
(どくしょぼうよう) 《四熟》 他のことに気を奪われて大事な事を怠(おこた)ること。理由や動機はどうであれ、過失は過失である、ということ。 
故事:荘子−駢拇」 羊の番をする者が、読書に夢中になっていて大切な羊を逃がしてしまった。
・得心が行く(とくしんがいく) 心から納得できる。ものごとの道理や事情などが十分に納得できて、安心できる。 類:●合点が行く
・独壇場(どくだんじょう) その人一人だけで、思いの通りの振る舞いができるような場面・分野。 類:●一人舞台●独擅場 
★「独擅場(どくせんじよう)」の「擅」を「壇」と誤って生じた語<大辞林(三)>
・独断専行
(どくだんせんこう) 《四熟》 ものごとを自分だけの判断で決めて、勝手に推し進めること。 例:「独断専行して痛い目にあう」
・毒々しい
(どくどくしい) 1.いかにも毒を含んでいるようである。 例:「毒々しい色の蛇」 2.憎々しい。憎たらしい。言葉や態度が悪意を含んでいるようである。 用例:滑・浮世風呂−三「どくどくしく云なさるけれど、癪な事はいはねへはな」 3.色などが濃厚過ぎる。けばけばしい。 類:●どぎつい 例:「どくどくしい化粧」
・徳とする
(とくとする) その恩恵によると考える。ありがたいと思う。感謝する。
・毒にも薬にもならぬ
(どくにもくすりにもならぬ) 害もないが、かと言ってなんの効能もない。損にも得にもならない。 類:●可もなく不可もない沈香も焚かず屁も放らず
・徳は孤ならず必ず隣あり
(とくはこならずかならずとなりあり) 徳のある人は孤立することなく、必ず善き協力者に恵まれるものである。 出典:「論語−里仁」「子曰、徳不孤必有鄰
・特筆大書
(とくひつたいしょ) 《四熟》 特に目立つように書き記(しる)すこと。目立つように取り上げること。 例:「特筆大書すべき手柄」 
★特に他より抜きん出ている点や、誉めるべき事柄などを指示するための言葉として用いる<国語慣用句辞典(集)>
・独立自尊
(どくりつじそん) 《四熟》 他人に頼らず独力で事を行ない、自己の人格と尊厳を保つこと。
・独立独歩
(どくりつどっぽ) 《四熟》 1.他人に頼ることなく、自力で自分の信ずるところを行うこと。2.他と異なる、はっきりした特色を持っていて、同じに扱えないこと。 類:●独立独行●自主独立●我が道を行く●ゴーイングマイウェイ
・塒を巻く(とぐろをまく) 1.蛇などが渦巻状に巻いて蟠(わだかま)る。2.数人の人が、特に用もないのに、ある場所に屯(たむろ)する。特に、不穏な様子であるときに言う。 例:「夜の公園で塒を巻く」 3.腰を落ち着けて動かなくなる。
・毒を言う
(どくをいう) 相手を刺激し、傷付けるような悪意を含んだことを言う。また、悪意を含んだ言い回しをする。 類:●毒づく●悪態を付く●憎まれ口を叩く
・トク[木+賣]を買いて珠を還す
(とくをかいてたまをかえす)[=櫃を〜] 外見の飾りにばかり心を引かれて、本当の値打ちが分からないこと。形骸ばかりを重んじて、実際の効用を忘れることの喩え。 ★「トク」は、物を入れる箱のことで、「櫃」と同じ。 出典:「韓非子−外儲説・左上」「鄭人トク[木+賣]」 昔、楚の人が木蘭で箱を作って宝石で美しく飾り、これに玉を入れて売っていたが、鄭の人がその箱の美しさに目が眩んで、中の玉の値打ちが分からず、箱だけ受け取って玉を返した。
毒を食らわば皿まで
(どくをくらわばさらまで)
・毒を吹き込む
(どくをふきこむ)[=吹く] 悪知恵を付ける。悪事を勧める。扇動する。 類:●毒気を吹き込む
・得を取るより名を取れ
(とくをとるよりなをとれ) 金を儲(もう)けることよりも、名誉(めいよ)の方が大切である。実利より名の方が尊(とうと)いものである。 類:●烈士は名に殉ず君子は義に喩り小人は利に喩る 反:■名を取るより得を取れ■名を捨てて実を取る
・徳を以って怨みに報ゆ
(とくをもってうらみにむくゆ) 怨みを持つ者に対して報復せずに、却(かえ)って恩徳を施(ほどこ)すこと。 出典:「老子−六十三章」「為無為、事無事、味無味。大小多少、報怨以徳
毒を以って毒を制す
(どくをもってどくをせいす)
・毒を盛る
(どくをもる)[=飼(か)う] 毒薬を飲ませる。毒殺する。

−−−−−−−とけ(#toke)−−−−−−−
・時計は逆には戻せない(とけいはぎゃくにはもどせない) 時間を戻すことはできないということ。過去に立ち返ってもう一度やり直そうとしても、それは無理な相談だということ。 ★英語の諺One cannot put back the clock.から。
・棘の無い薔薇は無い(とげのないばらはない) 美しく見えるものでも、醜く恐ろしい面を陰に隠し持っているものだということ。 類:●綺麗な薔薇には棘がある●薔薇に棘あり外面似菩薩内心如夜叉

−−−−−−−とこ(#toko)−−−−−−−
・土豪劣紳
(どごうれっしん) 《四 昔の中国で、官僚や軍閥と結託して農民を搾取した大地主や資産家の蔑称。横暴な土地のならず者の喩え。 ★「土豪」は地方の豪族。「劣紳」は卑劣な紳士の意で、地方地主などを卑しめていう語<「新明解四字熟語辞典(三)>
・とことん 
ものごとの終わり。最後の最後。また、副詞的な使われ方で、徹底的に。 例:「とことん遣り抜きなさい」 
参考:とことんの語源は、囃(はや)しのリズムの擬音語とされている。現在のような「徹底的に」や「最後まで」のような意味に用いられるようになったのは、『とことんやれ節』という明治元年(1868)の流行歌以降と考えられる。
・床に就く(とこにつく) 1.寝床に入る。就寝する。2.病気になって床に臥せる。
・床の海
(とこのうみ) 寝床に涙が流れて海のようになること。寝床で泣く喩え。
・何処の馬の骨
(どこのうまのほね)[=牛の骨] 素姓がはっきり分からない者を罵(ののし)っていう言葉。 類:●馬の骨
・何処の烏も黒さは変わらぬ
(どこのからすもくろさはかわらぬ) どこの土地へ行ったところで、そう目新しいことはない。また、人間の本性はどこも変わりはないということ。 類:●何処の国でも屁は臭い
・床の間の置物
(とこのまのおきもの) 床の間に置く飾りの品物という意味で、実権はないのに、上辺だけ高い地位に置かれている人物の喩え。
・床離る(とこはなる) 1.起きる。寝床から離れる。2.男女の関係が絶える。 用例:伊勢−13「年ごろあひ馴れたる妻、やうやう床離れて、つひに尼になりて」
・何処吹く風
(どこふくかぜ) 1.人の言うことやすることなどを、まったく無視しているような様子。好い加減に聞き流す。 2.素知らぬ顔をする。 類:●どこを風が吹く●空吹く風
・何処方量もない
(どこほうりょうもない) どこまでもきりがない。際限がない。
・何処も彼処も
(どこもかしこも) 一箇所に限定せず、広く全体を覆(おお)っている様子。こんなところも全て。 例:「行楽地は何処も彼処も人だらけ」
所変われば品変わる(ところかわればしなかわる)
・所嫌わず
(ところきらわず)[=選(えら)ばず・構(かま)わず] 場所を気にしないで、どこでも構わず。場所を選ばないで。 例:「出物腫れ物所嫌わず」
・所狭し
(ところせし・せまし) 1.場所が狭過ぎて収まり切らないほど一杯である。残された余地がない。 用例:−104「せばき縁に所せきひの御さうぞくの下襲」 用例:人情・仮名文章娘節用−三「もちあそびをところせましとならべたて」 2.精神的に窮屈だ。気詰まりだ。3.堂々としている。重々しく立派である。 用例:源氏−紅葉賀「いで給ふ気色所狭きを、人々端に出て見奉れば」 4.大袈裟だ。仰山だ。大層だ。 用例:
堤中納言−はいずみ「ただ近き所なれば、車は所狭し」 5.扱い難(にく)い。面倒だ。難儀だ。鬱陶(うっとう)しい。 用例:源氏−末摘花「雨降り出でて所狭くもあるに」 用例の出典:堤中納言物語(つつみちゅうなごんものがたり) 物語集。平安末期? 作者未詳。10編の短編物語と1編の断章からなる物語集。世界最古の短編小説集。書名も謎とされている。因(ちな)みに、堤中納言は、 平安時代前期の歌人藤原兼輔の異称。
・心太式
(ところてんしき) 心太が心太突きで突き出されるように、後から押されて自然に押し出されること。なんの苦労もしないで、押されるままに進んだり、ものごとを終えたりすること。また、そのような方式。 例:「心太式に部長に昇格した」
・所の法に矢は立たぬ
(ところのほうにやはたたぬ) 自分の意に沿わないことでも、その土地の風俗や習慣、しきたりなどには従わねばならないということ。 類:●郷に入っては郷に従う●里に入りて里に従う
・所を得る
(ところをうる・える) 1.良い場所を得る。良い時節に会って、勢いが盛んである。良い地位や境遇を得て得意になる。 用例:−156「えせものの所うるをり」 2.その人に適した職を得て力を発揮する。能力に適した地位や仕事に就く。
・所を置く
(ところをおく) 場所を他人に譲(ゆず)る。控え目にする。遠慮する。 用例:
前田本−一三「かたさり山こそ、誰れに所おきけるにかとをかしけれ」 用例の出典:前田本枕草子(まえだぼんまくらのそうし) 枕草子を、随筆章段と日記的章段とを分け、類聚再編したもの。現存する枕草子4系統(三巻本・能因本・前田本・堺本)の1つ。前2者が雑纂形態。後2者が類纂形態。今日広く読まれている『枕草子』は、三巻本九州大学所蔵枕草子データベースから抜書き>
・所を異にする
(ところをことにする) 本来あるべき場所と違うところを占める。主に、それぞれが、離れ離れになったり、入れ替わったりしているときに使う。 例:「主客所を異にする」
・床を上げる
(とこをあげる) 寝るのに敷いていた布団を仕舞う。特に、病気が良くなって、臥(ふ)せっていた布団を片付ける。 類:●
床を払う
・何処を押せばそんな音が出る
(どこをおせばそんなねがでる) 何の根拠があってそんな馬鹿なことが言えるのか。何故そんな偉そうな口が利けるのか。勝手な言い分を咎める言葉。
・床を取る
(とこをとる)[=延(の)べる] 寝所を設ける。布団を敷く。
・床を払う
(とこをはらう) 病気が治って、寝ていた布団を片付ける。 類:●
床を上げる

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