【はん】〜【はん】
・挽歌(ばんか) 1.「挽」は、柩(ひつぎ)を引くこと。葬送のとき、柩を載せた車を引く者が歌う歌。 出典:「晋書」 2.転じて、人の死を悼(いた)む詩歌。哀悼の意を表わす詩や歌。3.「万葉集」で、歌を内容から分類した名称の一つ。「雑歌」・「相聞」と共に三大部立の一つ。この類には辞世や人の死、また伝説中の人物に関するものなどを含んでいる。 ★中国の詩、特に文選の挽歌詩の影響を受けたもの<国語大辞典(小)>
・半可臭い(はんかくさい) 1.馬鹿らしい。阿保らしい。2.小生意気である。
・半肩を担ぐ(はんかたかつぐ) 1.他人の相棒となって、共に荷を担ぐ。2.転じて、相棒となって企(くわだ)てに加わる。他人に力を添える。 類:●荷担する●片棒を担ぐ
・半可通(はんかつう) 良く知りもしないのに知った振りをすること。未熟なのにいかにも通人らしくすること。利いた風をすること。 類:●半可●半通●利いた風
・蛮カラ(ばんから) 「ハイカラ」に対して使われた造語。言動・風体が粗野なこと。また、わざとそのように振る舞うこと。また、その人。 反:■ハイカラ
・反汗(はんかん) 天子の命令を汗に喩えたもの。出た汗を身中に再び戻すことから転じて、出した命令を取り消したり改めたりすること。 出典:「易経−渙卦」「九五、渙汗其大号」
・万感交到る(ばんかんこもごもいたる) 様々な感慨が、次々、胸中に湧き起こる。
・判官贔屓(はんがんびいき・ほうがんびいき) 《四熟》 兄(頼朝)に滅ぼされた薄幸(はっこう)の九郎判官(ほうがん)義経に同情し、愛惜するという意味から、不遇な者や弱い者に同情し味方すること。また、その感情。 類:●曾我贔屓
・万機公論に決すべし(ばんきこうろんにけっすべし) 国家の政治は、世論が向く方に従って決定せよ。 出典:「五箇条御誓文−第一条」 出典:五箇条御誓文(ごかじょうのごせいもん) 明治天皇が御所南殿で、公家、諸侯や百官を率いて天地神明に誓って発表した維新政府の基本方針。慶応4年(1868)3月14日、江戸城総攻撃の前日に発表したもの。「広く会議を興し万機公論に決すべし」「上下心を一にして盛に経綸を行ふべし」「官武一途庶民に至る迄各其志を遂げ人心をして倦まざらしめんことを要す」「旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし」「智識を世界に求め大に皇基を振起すべし」の五箇条。
・反旗を翻す(はんきをひるがえす) 謀叛(むほん)を起こす。反逆する。背(そむ)く。
・番狂わせ(ばんくるわせ) 1.予期しないことが起きて、順序に狂いが生じること。 類:●予想外 2.試合の勝敗などが予想外の結果になること。 ★元来は相撲(すもう)の用語。番付表下位の力士が上位の力士、特に役付きの力士を破ることを言ったもの。
・判子で捺したよう(はんこでおしたよう) まったく同じことの繰り返しで、少しの変化もないこと。また、決まり切っていることをいう。 類:●半形(はんぎょう)で起こしたよう●判で捺したよう
・万古不易(ばんこふえき) 《四熟》 いつまでも変わらないこと。永久に変わらないこと。 類:●万世不易●万代不易●万歳不易 例:「万古不易の理」
・盤根錯節(ばんこんさくせつ) 《四熟》 1.蟠(わだかま)った根と、入り組んだ節(ふし)。2.込み入っていて、処理するのが困難な事柄。 類:●盤根●複雑多岐 出典:「後漢書−虞ク[言+]伝」「不遇盤根錯節、何以別利器乎」<盤根錯節に遇わずして、何を以って利器を別(わか)たん>
・盤根錯節に遭いて利器を知る(ばんこんさくせつにあいてりきをしる) 曲がりくねった木の根と入り組んだ節を切ってみてはじめて、良く切れる刃物であることが判(わか)る。繁雑で処置の困難な事件に出会って、はじめて、大人物が小人物かの区別が付くものだということ。 類:●疾風に勁草を知る 故事:「後漢書−虞ク[言+]伝」 後漢の時代の朗中・虞(ぐく)は、歯に衣着せぬ物言いをするので、大将軍・トウ隲から憎まれていた。朝歌県で賊が暴威を振るい、地方長官始め多くの者が殺されたとき、大将軍は虞を朝歌県の長に任じ、それを平らげるように命じた。友人たちは、戦死するのが落ちだと悔やみを述べたが、虞は「盤根錯節に遇わずして、何を以って利器を別たん」と言って征伐に向かった。
−−−−−−−はん(さ)(#han3)−−−−−−−
・半座を分かつ(はんざをわかつ)[=分く] 1.仏教用語。浄土で同じ蓮の台に二人一緒に座ること。 故事:「法華経−見宝塔品」 多宝仏が座の半分を釈迦に譲って、その教説の正しさを認めた。 2.転じて、自分の席を半ば人に譲ること。
・万死一生(ばんしいっしょう) 《四熟》 1.決死の覚悟を決めること。 出典:「史記−張耳陳余列伝」「放[一/廾]胆量、不顧万死一生」 2.助かる見込みのない命が辛うじて助かること。 類:●十死一生●九死一生●万死に一生を得る●万死を出でて一生に遇う 出典:「貞観政要−君道」「玄齢昔従我定天下、備嘗艱苦、出万死而遇一生」 出典:貞観政要(じょうがんせいよう) 唐の太宗の言行録。呉兢(ごきょう)。全十巻四十篇。太宗と魏徴・房玄齢・杜如晦ら重臣の間で行われた政治問答が主な内容。中宗の代に上呈したものと玄宗の代にそれを改編したものと二種類があり四巻の内容が異なる。
・万死一生を顧みず(ばんしいっしょうをかえりみず) 生き延びる希望を持たない。決死の覚悟を決める。 出典:「史記−陳余伝」
・万事限り(ばんじかぎり) 最早(もはや)施(ほどこ)す手段がない。 類:●万事休す
・万事休す(ばんじきゅうす)[=休む] 「休す」は終わること。もう施すべき手段がなく、全て終わりである。何もかもまったく見込みがない。 類:●事ここに至る●万策尽きる 出典:「宋史−荊南高氏世家」
・万死の中に一生を得(ばんしのうちにいっしょうをう) 殆ど死ぬかと思われた危険な状態を脱して、辛うじて命が助かる。 類:●九死に一生を得る●九死一生●十死一生●万死を出でて一生に遭う ★略して「万死一生」とも<国語大辞典(小)>
・万事は夢(ばんじはゆめ) 1.この世の全てのことは夢のようだということ。この世は変わり易く、儚(はかな)いものだということ。2.全てのことはもう今はなく、一切過去のことであるということ。
・半死半生(はんしはんしょう・はんしはんじょう・はんじはんじょう) 《四熟》 今にも死にそうなこと。死に掛かっていること。 類:●瀕死(ひんし)
・万事万端(ばんじばんたん) 《四熟》 1.何から何まで全てのこと。2.考えられる手段を漏(も)れなく。
・磐石(ばんじゃく) 1.大きな岩のこと。2.非常に堅固なこと。しっかりして動かないこと。 類:●一枚岩 例:「磐石の備え」
・半鐘泥棒(はんしょうどろぼう) 《四熟》 火の見櫓(やぐら)に吊るした半鐘を盗めるくらい背が高い者という意味で、非常に背が高い人を罵(ののし)って呼ぶ言葉。 類:●半鐘盗人(ぬすっと)●独活の大木
・半上半下(はんじょうはんげ) 《四熟》 どっちつかずで曖昧(あいまい)なこと。
・半畳を入れる(はんじょうをいれる)[=打つ] 1.芝居小屋などで、役者に不満や反感を持ったときに、敷いている半畳を舞台に投げる。2.転じて、他人の言動に非難、冷評、野次、茶化しなどの声を掛ける。 類:●茶々を入れる●水を注す 用例:談・当世穴穿−五「うろたへて神主禰宜のまねをするに仍而儒道から半畳を入たがる」 用例の出典:当世穴穿(とうせいあなさがし??) 談義本。・・・調査中。
・伴食(ばんしょく) 1.主客の伴(とも)をして、ご馳走になること。相伴(しょうばん)すること。 類:●陪食(ばいしょく) 2.その職や地位には就いているが、実権や実力が伴わず、他人のなすがままに任せていること。 例:「伴食大臣」「伴食宰相」
・蛮触の争い(ばんしょくのあらそい)[=戦い] 小さい料簡からつまらない争いをすることの喩え。 類:●蝸牛角上の争い 寓話:「荘子−則陽」 蝸牛(かたつむり)の左の角に位置する触氏と右の角に位置する蛮氏とが互いに地を争い戦った。
・万死を出でて一生に遭う(ばんしをいでていっしょうにあう) とても助かる見込みがなかったところを、辛うじて命が助かる。 類:●九死に一生を得る
・半信半疑(はんしんはんぎ) 《四熟》 半ば信じ、半ば疑うこと。真偽の判断に迷っている様子。
・万世不易(ばんせいふえき) 《四熟》 永久に変わらないこと。長年に亘って変わらないこと。 類:●万古不易●千古不易●万代不易●万歳不易
−−−−−−−はん(た)(#han4)−−−−−−−
・盤台面(はんだいづら・ばんだいづら) 魚屋が使う浅い楕円の桶のような、平らで大きい顔の者を嘲(あざけ)る言葉。
・半知半解(はんちはんかい) 《四熟》 知識や理解が生半可である。十分な知識や理解を持っていない、中途半端な状態である。 類:●半生●生半可
・パンチが利いている(ぱんちがきいている) 人の心や感覚を刺激する力や勢いがある。表現や味などにぴりっとしたところがあり、人に痛快な印象を与える。また、単に、インパクトがある。 ★『ポテトチップスコンソメパンチ』を発売した1978年ころ、日本では「パンチがきいている」という言いまわしが流行していました。<カルビー> ★ボクシングや殴り合いで、パンチが十分にダメージを与えている場合は、「効いている」を使う。
・判で捺したよう(はんでおしたよう) まったく同じことの繰り返しで、少しの変化もないこと。また、決まり切っていることをいう。 類:●判子で押したよう 例:「判で捺したように同じ時刻に現われる」
・半ドア(はんどあ) 自動車などの扉が、完全には閉まっていない状態のこと。
・槃持が愚痴も文殊の知恵(はんどくがぐちももんじゅのちえ) 仏の前にあっては知者も愚者も同じであり、愚者も修行すれば知者と同じように悟りを得るということ。 ★槃持も文殊も釈迦の弟子で、前者は愚者の、後者は知者の代表とされる<国語大辞典(小)>
・半ドン(はんどん) 勤務が午前中だけで済むこと。またその日のこと。 ★「ドン」は、「ドンタク」(オランダzondagから休みのこと)の略。 ★日本の企業では、1980年代から「週休二日制」が採用されるようになったため、「半ドン」という言葉自体、廃(すた)れつつある。因(ちな)みに、国家公務員の完全週休二日は1992年5月、公立学校の完全週五日制は2002年4月から。
−−−−−−−はん(な)(#han5)−−−−−−−
・半生(はんなま) 1.生煮えであること。半熟。2.半ば乾いているもの。完全に干物になっていない状態の魚など。 類:●生乾き 3.知識などが、生半可であること。 類:●半可通
・はんなり 1.派手である。陽気で華やかなである。 用例:歌謡・落葉集−四「開き初めたる早咲梅のはんなりと」 ★「はなばな(花花)」「はなやか(花)」などの「はな」から変化してできた副詞<国語大辞典(小)> 2.落ち着いた華やかさである。上品で華やかな様子。ぱっと明るい様子。視覚・聴覚・味覚についても使う。 用例:浄・今宮心中−上「跡へはんなり入花の茶びん後」 例:「はんなりとした味」 ★主に、関西地方でいう<大辞林(三)> 用例の出典:落葉集(おちばしゅう) 歌謡集。元禄17年(宝永元年1704)。大木扇徳。・・・詳細調査中。
・般若声(はんにゃごえ) 1.知徳に満ちた仏の声。2.般若経を読誦する声。また、真言(しんごん)などを唱(とな)える声。転じて、読経(どきょう)の声。3.鬼女が発するような恐ろしい声。嫉妬に狂った女の声。
・万人兎を逐うも一人之を獲(ばんにんうさぎをおうもひとりこれをう) 1.兎を捕まえようとする者は多いけれど、最終的に捕らえるのは唯(ただ)一人である。 出典:「後漢書−袁紹伝」「世稱万人逐兎、一人獲之」 2.獲物を得るのは一人だが、多くの協力者がいなければ、一人として得ることができないものである。
・半人前(はんにんまえ) 1.一人分の半分。 例:「半人前の分量の御飯」 2.技能や経験が一人前の半分くらいであること。人並みの働きができていないこと。まだ一人前の人間になっていないこと。 例:「口は達者だが腕は半人前だな」
・万能足りて一心足らず(ばんのうたりていっしんたらず・まんのう〜) あらゆる芸能に通じていても、一つの真心に欠けていては役に立たない。万能よりも、一心が大切であるという戒(いまし)め。
・半の日(はんのひ) 奇数の日。 類:●半日(はんび)
−−−−−−−はん(は)(#han6)−−−−−−−
・パンはあるだけ食え、酒はほどほどに飲め(ぱんはあるだけくえ、さけはほどほどにのめ) 穀物は仕事の活力になるものだからどんどん食べよ、酒は飲み過ぎると明日の仕事に障(さわ)るからほどほどにせよということ。 ★フランスのことわざ。
・万万歳(ばんばんざい) 万歳を強調した言い回し。これ以上はないと思われるほど、めでたく喜ばしいこと。 例:「無事解決すれば万万歳だ」・「天皇陛下万万歳」
・半風子(はんぷうし) 虱(しらみ)のこと。「虱」の字が「風」の字の半分だと洒落(しゃれ)たもの。
・叛服常なし(はんぷくつねなし) 背(そむ)いたり服従したり、その態度が決まらない。
・万物の霊長(ばんぶつのれいちょう)[=霊(れい)] 万物の中で最も神秘的な尊さを備えて、優れたもの。即ち、人間・人類のこと。
・万物流転(ばんぶつるてん) 《四熟》 世の中のすべてのものは、絶え間なく変化してやまないということ。 類:●諸行無常
・万夫不当(ばんぷふとう) 《四熟》 大勢の男が一緒に立ち向かって行っても、敵わないほど剛勇である。 例:「万夫不当の勇士」
・半兵衛を決め込む(はんべえをきめこむ) わざと知らぬ振りをすること。また、そういう者。「知らぬ顔の半兵衛」による。
・反哺の孝(はんぽのこう) 烏(からす)の子が、成長してから親烏に食物を咥(くわ)え与えて養育の恩に報いるように、反哺して親の恩に報いるような孝行。 類:●鳩に三枝の礼あり●烏鳥(うちょう)の私情●慈烏反哺 出典:梁武帝の「孝思賦」 人物:武帝・梁(ぶてい・りょう) 中国南朝梁の初代皇帝(在位502〜549年)。464〜549。姓名蕭衍(しょうえん)。廟号は高祖。斉王朝を滅ぼして、即位。民政に治績をあげたが、晩年は、仏教に傾倒して政治が乱れ、侯景の乱を招いて戦中病没した。 出典:慈元抄(じげんしょう) 「群書類従」に残る。・・・調査中。 参考:群書類従(ぐんしょるいじゅう) 江戸後期の叢書。正編530巻666冊、目禄一巻、続編1150巻1185冊。塙保己一(はなわほきのいち)編。正編は安永8(1779)〜文政2(1819)年、続編は死後の文政5年(1822)成立。江戸初期までの国書3373種を、25部門に収めたもの。本叢書の後を継いで明治39〜40年に国書刊行会が出版した「続々群書類従」16冊もある。
−−−−−−−はん(ま)(#han7)−−−−−−−
・反面教師(はんめんきょうし) 《四熟》 悪い見本として、却(かえ)って見習うべき人。その人自身の言動によって、こうなってはならないと悟らせてくれる人。悪い手本。 類:●悪例 反:■模範(もはん) ★毛沢東の言葉から<大辞林(三)>
・半面の識(はんめんのしき) 1.ほんのちょっと面会した人の顔をよく覚えていること。 故事:「後漢書−応奉伝・注」「造車匠、於内開扇出反面視奉、奉則委去、後数十年、於道見車匠、識而呼之」 中国、後漢の応奉(おうほう)は、二十歳のとき、戸の間から顔を半分出しただけの車大工をちらりと見ただけなのに、数十年後に道で会うと、その男の顔を覚えていて声を掛けた。 2.ちょっと顔を知っている程度の知り合いであること。
−−−−−−−はん(ら)(#han9)−−−−−−−
・万里一条鉄(ばんりいちじょうてつ)[=一条の鉄] 仏教用語。1.万里長城の間を一条の鉄が貫通しているという意味で、全ての現象は刻々に変化しつつ、三世に亘(わた)って永遠に連なっているということ。現象は変化しても実相は永遠に不変であるということ。 出典:「人天眼目−二一」 出典:人天眼目(にんでんがんもく) 晦巖(釋)智昭編 。淳熙15年(1188)。五家の宗旨の綱要書。臨済、雲門、曹洞、仰、法眼の順に、宗派ごとに分類した。日本には、早くに伝わっており、乾元元年(1302)に和刻本がある。 2.転じて、一般的に、ものごとが絶えたり衰えたりすることなく続くことの喩え。 出典:「漢書」・「伝燈録」
・万里同風(ばんりどうふう) 《四熟》 広い区域に渡って同じ風が吹くという意味で、天下が統一されて、都から遠く離れた地方まで風俗が同一になること。転じて、天下が統一されて泰平であることの喩え。 類:●千里同風 出典:「漢書−終軍伝」
・万緑叢中紅一点(ばんりょくそうちゅうこういってん)[=一点の紅] 1.万緑の中にただ一輪の紅い花があって、美しく目立つこと。2.多くの男子の中に、一人だけ女性が混じっていることの喩え。 類:●紅一点 3.多くの物の中で、ただ一つだけ優れて目立っていることの喩え。 類:●異彩を放つ 出典:王安石の「詠柘榴詩」
次ページ