【ふた】~【ふん】
・譜代相伝(ふだいそうでん) 《四熟》 その家に代々受け継いで伝えること。
・不退転(ふたいてん) 1.仏教用語。修行において退歩(たいほ)しないこと。勤行(ごんぎょう)を、怠(おこた)りなく続けること。 類:●不退 2.転じて、志(こころざし)を堅く持って、決して屈しないこと。退(しりぞ)くことなく突き進むこと。 類:●不退 例:「不退転の決意で望む」 参考:退転(たいてん) 仏語。菩提心を失ったために、それまでに得たさとりの位や修行などを失ってあともどりすること<国語大辞典(小)> 出典:「無量寿経−下・第十八願成就文」「願生彼国、即得往生、住不退転」 出典:無量寿経(むりょうじゅきょう) 浄土宗および真宗の根本経典。浄土三部経の一つ。魏の康僧鎧の訳とされてきたもの。上巻には阿弥陀の四八の願とその修行によってえられた浄土の荘厳を説き、下巻に衆生の極楽往生の相などを説く。浄土教の諸宗では「大経(だいきょう)」とも呼ぶ(天台宗では「大般涅槃経」を大経と呼ぶ)。
・蓋が開く(ふたがあく)[=明く] 1.覆(おお)っていた蓋が取り除かれて中の様子が分かるという意味から、ものごとが実際に始まること。2.劇場などで、初日が始まること。 例:「芝居の蓋が明く」
・札が落ちる(ふだがおちる) 入れ札で、落札する。 用例:柳多留−11「売色(ばいしよく)を一割入れて札が落ち」
・札が付く(ふだがつく) 評判が世間に知れ渡る。札付きになる。主に、悪い意味で使われる。 用例:柳多留−10「出あるくな札が付いてはならぬぞよ」
・札削る(ふだけずる) 日給の簡(ふだ)から姓名を除く。殿上の籍を除く。 用例:宇津保−国譲中「御返り持て参らずは、札削らむと仰せられつる物を」
・二心(ふたごころ) 1.同時に相反する二通りの心を持つこと。浮気な心。 類:●徒(あだ)し心●浮気心●二心(にしん) 用例:源氏−宿木「二心おはしますはつらけれど」 2.味方や君主に背(そむ)こうとする心。裏切ろうとする心。 類:●謀反心●逆心●二心(にしん) 例:「二心を抱く」
・二言となく(ふたこととなく) 色々と議論するまでもなく直ちに決定すること。
・二言目(ふたことめ) 1.二度目に言うこと。2.何かというと口にする決まり文句や口癖になっている言葉。 例:「二言目には『今日日の若いもんは』と言う」
・札付き(ふだつき) 1.札が付いていること。2.正札(しょうふだ)が付いていること。また、その商品。 類:●正札付き 3.世間に知れ渡っていること。また、その人。多く、悪い評判が世間に広まっている人を指して言う。 類:●正札付き 例:「札付きの不良」 ★「正札付き」からか。または、高札や配符が回ったことによる。・・・未詳。 ★江戸時代、久離帳(きゅうりちょう=出奔者名簿)に名が載ると、本人だけでなくその親族や近所の者まで連座させられていた。そこで、人別帳(にんべつちょう)の出奔しそうな者のところに札を付け、要注意人物としていたことから、とも言われる。
・二つの海(ふたつのうみ) 生と死の世界。 用例:万葉−3849「生き死にの二海(ふたつのうみ)を」
・二つの道(ふたつのみち) 1.忠と孝との道。 用例:続後拾遺−雑中「とにかくに二つの道を思ふこそ世に仕ふるも苦しかりけり」 2.貧と富との道。特に、貧しい家の女の行ないと、豊かな家の女の行ない。 出典:白居易「秦中吟・議婚」 用例の出典:続後拾遺和歌集(しょくごしゅういわかしゅう・ぞくごしゅういわかしゅう) 鎌倉末期。16番目の勅撰集。20巻。元享3年(1323)後醍醐天皇の命により藤原為藤・為定が撰し、嘉暦元年(1326)成立。歌数は1,355首。代表歌人は為家・為世・定家・後宇多院・後醍醐天皇など。『続後拾遺集』。
・二つ返事(ふたつへんじ) 1.「はい、はい」と二つ重ねて返事をすること。また、その返事。2.躊躇(ためら)うことなく、すぐに気持ちよく承知の返事をすること。快(こころよ)く承知すること。 例:「二つ返事で請け合う」
・二つ物賭け(ふたつものがけ) 二つのうちどちらかに賭けて、勝負すること。また、その勝負。
・豚に真珠(ぶたにしんじゅ)
・豚に念仏猫に経(ぶたにねんぶつねこにきょう)[=〜犬に経] 理解できないものに、どんな有り難い教えを説いても無駄である。その身を思って有意義なことを話しても、なんの効果もないこと。 類:●馬の耳に念仏●馬耳東風●猫に小判●犬に論語●暖簾に腕押し
・豚の亢鼻(ぶたのこうび) 1.豚の上向きの鼻。2.神に捧げるのに適さないがために、却(かえ)って寿命を全(まっと)うできること。 出典:「荘子−人間世」「故解之以牛之白[桑+頁]者、与豚之亢鼻者与人有痔病者、不可以適河」 ★荘子は、このような者こそが真の幸福者であると考えた。
・二葉にして絶たざれば斧を用うるに至る(ふたばにしてたたざればおのをもちうるにいたる) 木は芽のうちに取り除かないと、後で斧を使わなければならなくなる。転じて、禍(わざわい)は大きくならないうちに除かないと、後の処置が困難になる。 類:●両葉去らずんば斧柯を用うるに至る 出典:「六韜−守土」「両葉不去、将用斧柯」
・二股掛ける(ふたまたかける)・二股を〜 1.一つだけでなく、同時に二つの事をすること。2.結果の利益を考えて、立場や方法が違う二者のそれぞれに働き掛けておくこと。 類:●両天秤を掛ける 例:「同じクラスの人と部の先輩とに二股掛けていた」
・二股膏薬(ふたまたごうやく・ふたまたこうやく) 《四熟》 内股に貼った膏薬のように、あちらに付きこちらに付きして、態度や意見が一定しないこと。定見がないこと。節操がないこと。また、そういう人。 類:●内股膏薬
・二目と見られない(ふためとみられない) あまりにも不快で見るに堪えない。あまりに醜悪で二度と見る気がしない。 例:「二目と見られない御面相(めんそう)」
・豚も煽てりゃ木に登る(ぶたもおだてりゃきにのぼる) 1.褒(ほ)め上げると木に登れない豚でも登ってしまうという意味で、能力の低い者でも煽てると懸命にやって、ともすると遣り遂げてしまうということの喩え。2.愚かな者でも使い方によっては役に立つということ。また、愚か者は煽てるとなんでもするということ。 類:●馬鹿と鋏は使いよう ★福島県で昭和30年(1955)前後から言われていたというが、定かではない。昭和52年(1977)放映のTVアニメで一般化した。
・蓋を開ける(ふたをあける) 1.事の実情や結果などを見る。非公開で行なわれていたことを公開する。 例:「成否は蓋を開けるまで分からない」 2.事を始める。3.劇場などで、興行を始める。初日を開ける。 類:●幕を開ける
・豚を盗んで骨を施す(ぶたをぬすんでほねをほどこす) 盗んだ豚の肉を自分で食べてしまってから、その骨を他人に恵んでやって、ありがたがられる。大きな悪事の償(つぐな)いにと、僅(わず)かな善行(ぜんこう)をする喩え。 類:●Steal a pig and give the feet for alms.(英国の諺)
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・打ち上げる(ぶちあげる・うちあげる) 1.取り上げてしまう。奪い取る。 用例:浄・丹波与作待夜の小室節−中「海道筋の御器の実をぶちあげ」 2.すっかり上げる。 用例:滑・浮世床−初「血道をぶち上居るぜ」 3.大言を吐く。大きなことを言う。 類:●大言壮語する●大風呂敷を広げる 用例:滑・浮世床−初「ぬけぬけとした事をぶち上るぜ」 例:「一大構想をぶち上げる」
・打ち噛ます(ぶちかます) 1.相撲で、立ち上がったとき相手の胸に額から勢いよく体当たりを喰らわせる。2.転じて、強い力で相手に一撃を喰らわせる。3.俗な用法。一般に、勢いを込めてものごとをする。 例:「独自の恋愛論を打ち噛ます」「昼寝を打ち噛ます」
・打ち壊し(ぶちこわし) 1.打ったり叩いたりして物を壊すこと。2.でき上がったり、整ったりしている状態を駄目にすること。 類:●台無しにする 例:「折角のムードが打ち壊しだ」
・淵に臨みて魚を羨むは、退いて網を結ぶに如かず(ふちにのぞみてうおをうらやむは、しりぞきてあみをむすぶにしかず) 岸辺に立って魚が欲しいとただ眺めているよりは、家に帰って魚を捕る網を編(あ)んだ方が良い。ただ幸福を思い望むより、具体的に努力すべきであるという戒め。 出典:「漢書−董仲舒伝」「古人有言、臨淵羨魚、不如退而結網」
・淵は瀬となる(ふちはせとなる) 水が淀んで深くなっているところが、忽(たちま)ちのうちに浅瀬に変わるという意味で、世の中が激しく移り変わることの喩え。
・打ちまける(ぶちまける) 1.容器を引っくり返して、中の物をすっかり出し散らす。 例:「バケツの水を打ちまける」 2.包み隠さずすっかり言う。本心を全て打ち明ける。 例:「憤懣(ふんまん)を打ちまける」 用例:伎・御摂勧進帳−三立「大きな寝言をぶちまけたな」 用例の出典:御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう) 歌舞伎。初世桜田治助。安永2年(1773)。源義経主従もの。義経が平泉へ下る「義経記」の内容を中心に据える。
・釜中魚を生ず(ふちゅううおをしょうず) 非常に貧しいことの喩え。 出典:「後漢書−独行伝・范冉」 故事:後漢の范冉(はんぜん)は貧しく、久しく飯を炊かないでいたら釜の中に孑孑(ぼうふら)が湧いた。
・釜中の魚(ふちゅうのうお)[=魚鼈(ぎょべつ)] 釜の中で煮られようとしている魚という意味で、死が目前に迫(せま)っていて、逃れられない状態の喩え。 出典:「資治通鑑−漢紀・順帝漢安元年」 出典:資治通鑑(しじつがん) 中国の編年書。294巻。宋の司馬光撰。英宗の命で1065年着手、1082年完成し神宗に献上。初め「通志」と称したが、治世に役立ち、為政上の鑑(かがみ)と賞されてこの名を賜わった。戦国時代から五代末まで1362年間の編年通史で、周紀に始まり後周紀で終わる。「春秋左氏伝」を手本に「春秋」の書き継ぎを目し、正史を初め実録、物語など322種を資料参考にしている。
・不調法(ぶちょうほう)・無調法 1.配慮が行き届いていないこと。ものごとが下手なこと。 類:●不束 例:「口の方は不調法でして」 2.不始末。しくじり。 類:●粗相 用例:虎寛本狂言・鐘の音「私の不調法で御ざる」 3.酒や遊びごとを嗜(たしな)まないのを、謙(へりく)って言う。また、一般的に至らないこと。 例:「不調法な娘ですがお願いします」
・符帳を付ける(ふちょうをつける) 1.商店で商品に値段を示す記号を付ける。2.一般に、覚えにするための目印を付けること。
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・普通の身体でない(ふつうのからだでない) 通常の身体の状態でない。健康でない。 1.病気である。また、障害などがある身体。 2.妊娠している。
・吹っ掛ける(ふっかける) 1.息などを吹き掛ける。2.大袈裟に言う。また、法外な要求をする。値段などを不当に高く言う。 例:「高値を吹っ掛ける」 3.相手が困るようなことをする。喧嘩などを仕掛ける。 用例:人情・閑情末摘花−五「難題を吹かけた所が」 ★「ふきかける」の転<大辞林(三)>
・ぶっきら棒(ぶっきらぼう) 言動に愛嬌(あいきょう)や思いやりがないこと。素っ気ないこと。 類:●無愛想(ぶあいそう) 例:「ぶっきらぼうな返事をする」 ★「ぶっきりぼう(打切棒)」の変化<国語大辞典(小)> ★ものごとを途中で終わりにする意味の「打ち切り」に、人の様態を表わす接尾語「ぼう」(「けちん坊」「朝寝坊」などの「坊」と同じもの)が付いたものからか。「打っ切り飴」を「打っ切り棒」と呼んだため、「棒」の字に変化したとも考えられる。
・吹っ切れる(ふっきれる) 1.物音などが急に途絶(とだ)える。2.腫(は)れ物などが破れて、膿(うみ)が全部出る。 例:「首の腫れ物がやっと吹っ切れた」 3.内部に溜(た)まっているものが一気に全部出る。特に、心に蟠(わだかま)っていたものや躊躇(ためら)いなどが、一気に発散してすっきりする。 例:「彼のことはもう吹っ切れたわ」 ★「ふききれる(吹切)」の変化<国語大辞典(小)> ★「噴き切れる」が原義か。「切れる」は、「出尽くすされる」の意味。
・物議を醸す(ぶつぎをかもす) 世間の人々の論議や騒ぎを引き起こす。 例:「物議を醸す放言」
・物情騒然(ぶつじょうそうぜん) 《四熟》 世の中が落ち着かず騒がしいこと。 類:●物議騒然●物論囂囂(ごうごう)
・物色(ぶっしょく) 1.物の色。また、風物や景色(けしき)。 用例:菅家文草−一「物色と人情と計会することおろそかなり」 2.多くのものの中から適したものを選び出す。また、あれこれと見繕(みつくろ)う。 ★秋の祭礼で生贄(いけにえ)の家畜の毛色を確かめることから転じて、品定めをすることの意味になった。 出典:「礼記−月令」「視全具、按芻豢、瞻肥瘠、察物色、必比類。量大小、視長短、皆中度」 3.産物や貢納(こうのう)品。国家間の贈り物。また、貢(みつ)ぎ物として贈られる品。 4.人相書きや容貌(ようぼう)によって、その人を捜すこと。 用例:史記抄−11「尹喜が老子を物色して求めて著させたぞ」 5.適した人や物を、多くの中から探し出すこと。 例:「通学に便利なアパートを物色している」 用例の出典:菅家文草(かんけぶんそう)・道真集(みちざねしゅう) 詩文集。菅原道真。平安前期、昌泰3年(900)。道真自ら編し、醍醐天皇に献上した。12巻。1〜6巻に詩4000余首、文170編を収める。詩は唐代の詩人元?(げんしん)の影響が強く、文は四六駢儷(べんれい)体。正称は「道真集」。
・打っ手繰る(ぶったくる) 1.暴力などで無理に奪い取る。強奪する。 類:●ふんだくる 用例:談・八景聞取法問−四「能うも能うも大金をぶったくらうとしたな」 例:「遣らず打っ手繰り」 2.価格以上の利益を貪(むさぼ)る。 類:●ぼる●ぼったくる
・仏頂面(ぶっちょうづら) 無愛想な顔付き。不機嫌に膨(ふく)れた顔付き。 類:●膨れっ面 ★仏頂尊の恐ろしい面相によるとも、不承面(ふしようづら)の転ともいう<大辞林(三)>
・不束(ふつつか) 1.太く、丈夫である。太くて立派である。 用例:宇津保−蔵開上「いとおほきやかにふつつかにこえ給つるが」 2.太く卑しげである。下品で不恰好である。不細工。 用例:蜻蛉−中「この大夫のさもふつつかにみゆるかな」 3.風情がない。無風流である。繊細でない。 類:●無骨●野暮 用例:仮・浮世物語−三「大かたみな礼義をもしらず、よろづふつつかなる緩怠をいたし」 4.思慮や能力が足りない。軽率な。また、行き届かない。不調法な。 用例:徒然草−五「不幸に愁にしづめる人の、かしらおろしなどふつつかに思ひとりたるにはあらで」 例:「不束な娘ですが」 ★「ふと(太)つか(束)」の変化かという<国語大辞典(小)>
・降って湧く(ふってわく) 「天から降る」と「地から湧く」の両方を併せた言葉。思い掛けずにものごとが起こる。突然生ずる。 用例:浄・扇八景「降つて湧いたる御機嫌と勇み給ふぞ道理なる」 例:「降って湧いたような幸運」 ★多く連体修飾語として用いる<国語大辞典(小)> 用例の出典:曾我扇八景(そがおおぎはっけい) 浄瑠璃。近松門左衛門。正徳元年(1711)。時代物。曽我物。仇討を側面から描いた作品で、十郎が母を扇で叩く場面あり。全体に華やいだ雰囲気のある作品。変則の上中下3巻。
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・太え(ふてえ) → 太い
・筆が荒れる(ふでがあれる) 文章が乱れる。文章が雑になる。
・筆が滑る(ふでがすべる) 書いてはいけないことや、書かなくても良い余計なことを、うっかり書いてしまう。
・筆が立つ(ふでがたつ) 文章を書くのが上手である。
・筆が回る(ふでがまわる) 文章を書くときに、筆がすらすらと動く。思うように文章が書ける。
・不貞腐れる(ふてくされる) 不平や不満のため、反抗的な態度をしたり、自棄(やけ)を起こしたりする。また、どうとでもなれと、捨て鉢(ばち)な態度を取る。 類:●自暴自棄 ★「ふて」は動詞「ふてる」の連用形。「不貞」とも書くが当て字<国語大辞典(小)>
・筆に任す(ふでにまかす)・任せる 筆の動きに任せるという意味で、文章を、筆の勢いに乗って思い付くままに書いていく様子。
・筆の海(ふでのうみ) 「筆海(ひっかい)」の訓読み。 1.書き記したもの。詩文や文章。また、書いたものが多いことの喩え。2.硯(すずり)の異称。
・筆の尻取る(ふでのしりとる) 書道などを、手を取って指導する。詩歌文章などを添削して教える。
・筆の荒び(ふでのすさび)[=遊(すさ)び・荒(すさ)み] 興に任せて書くこと。心の慰みに書くこと。また、その書。
・筆の立ち所(ふでのたちど)[=立て所(ど)] 1.紙の上に筆を下ろして、字を書いている場所。2.筆の運び。
・筆の立ち所も知らず(ふでのたちどもしらず) 嘆きや悲しみのために、字が乱れている様子。
・筆の流れ(ふでのながれ) 筆の運び具合い。 類:●筆勢
・筆の運び(ふでのはこび) 文字の書きよう。筆の使い方。 類:●運筆●筆使い
・筆の林(ふでのはやし) 書いた詩文が多いこと。 類:●文林●詞林●詩林
・筆の道(ふでのみち) 書道。文字の書き方や、その修行の道程。
・筆を入れる(ふでをいれる) 添削(てんさく)する。詩文を直す。
・筆を擱く(ふでをおく)[=置く] 文章を書き終える。また、書くのを止(や)める。 類:●擱筆(かくひつ) 反:■起筆■筆を起こす
・筆を起こす(ふでをおこす) 書き始める。 類:●筆を下ろす
・筆を折る(ふでをおる) 作家などが、書くことを止(や)める。筆を絶(た)つ。 類:●筆を絶つ●筆を捨てる●ペンを折る
・筆を下ろす(ふでをおろす) 1.新しい筆を初めて使う。2.文字や絵を、書き(描き)始める。 類:●筆を起こす●筆を下(くだ)す●筆を落とす 3.俗語で、男子が初めて童貞(どうてい)を破ること。 類:●女を知る
・筆を下す(ふでをくだす)[=落とす] 文字や絵を、書き始める。
・筆を加える(ふでをくわえる) 1.書き加える。 類:●加筆する 2.書き足して文章を直す。添削(てんさく)する。 類:●筆を入れる●朱を入れる
・筆を染める(ふでをそえる) 1.筆に墨を含ませる。 用例:平家−6「冥官(みようかん)筆を染めて、一々に是を書く」 2.執筆に取り掛かる。また、初めて書く。 例:「小説に筆を染める」
・筆を断つ(ふでをたつ) 小説家などが、文筆活動を止(や)める。 類:●筆を折る●筆を捨てる●ペンを折る
・筆を尽くす(ふでをつくす) 持っている能力を全部使って書く。全力を費(ついや)して書く。
・筆を執る(ふでをとる) 筆を手に持つ。絵や文章を書く。執筆する。 類:●ペンを執る
・筆を投げる(ふでをなげる)[=投(とう)ずる] 書くことを途中で止める。
・筆を拭う(ふでをぬぐう) 文章を書くことを、そこで止める。
・筆を馳す(ふでをはす)[=走らせる・舞(ま)わす] 1.すらすらと文章を書く。2.走り書きをする。
・筆を揮う(ふでをふるう) 1.書や絵画を書く。2.揮毫(きごう)する
・筆を弄す(ふでをろうす) 筆を好きなように操(あやつ)り弄(もてあそ)ぶ。真実や事実を曲げて自分勝手に書く。面白半分に書く。
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・太い(ふとい)・太え(ふてえ) 1.心や気持ちが豊かで大きい。大胆である。落ち着きがあって安定している。細かいことに拘(こだわ)らない。 用例:万葉−一九〇「真木柱太(ふとき)心はありしかど」 2.悪い意味で、横着である・図々しい・図太くふてぶてしい・不埒(ふらち)である、など。 例:「太い料簡」「太い野郎だ」 用例:俳・毛吹草−五「竹の子をぬすむもふとき心哉」 3.歌論で、歌が堂々として雄大である。また、肉付きが良く逞(たくま)しい。 ★男性的で逞しい美を示し、「たけたかし」に近い。<国語大辞典(小)>
・不動の金縛り(ふどうのかなしばり) 1.不動明王が、羂索(けんさく)を使って掛ける、悪魔を縛って動けなくさせる術。2.転じて、人を自由に動けなくする術。修験者の秘法の一つ。
・不撓不屈(ふとうふくつ) 《四熟》 心が曲がらず挫(くじ)けないという意味で、どんな困難な事態に出会っても怯(ひる)まず挫けず、固い信念を持っていて、志(こころざし)を曲げないこと。 例:「不撓不屈の精神」 出典:「漢書−叙伝・下」「楽昌篤実、不撓不屈」 ★「不撓」は、撓(たわ)まないこと。
・不徳の致すところ(ふとくのいたすところ) 「不徳」は、徳を積み足りないということ。失敗や不都合があったとき、それは自分が至らないせいだとして、遺憾や反省を表明するときの慣用句。
・太く短く(ふとくみじかく) 一生を短期間に凝縮させたような精力的な生き方をすること。したいことをして楽しく過ごせるなら、長生きなどはしなくても構わないという処世の態度。 反:■細く長く
・不得要領(ふとくようりょう) 《四熟》 要領を得ないこと。あいまいで、肝心なところが分からないこと。
・懐が暖かい(ふところがあたたかい) 所持金がたくさんある。財産が豊かである。 反:■懐が寒い■懐が寂しい
・懐が痛む(ふところがいたむ) お金を入れておく懐が出費のため痛むという意味で、お金を余計に出さなければならないこと。 類:●懐を痛める●自腹を切る●腹が痛む
・懐が寒い(ふところがさむい) 持ち合わせている金が少ない。お金を僅(わず)かしか持っていない。また、財産がなくて貧しい。 類:●懐が寂しい 反:■懐が暖かい
・懐刀(ふところがたな) 1.懐や帯の間に挟んで携帯する小さい守り刀。 類:●懐剣 2.知謀に長(た)け、秘密の計画や相談などに参与する腹心(ふくしん)の部下。 類:●腹心●右腕●自家薬籠中の物 例:「社長の懐刀」
・懐が深い(ふところがふかい) 1.度量が大きい。包容力がある。2.理解や能力に幅がある。3.相撲で、身長が高く、両腕の長い力士に見られる能力で、四つに組んだとき、両腕と胸とで作る空間が広く、相手に中々回しを与えない。
・懐具合い(ふところぐあい) 所持金の都合。 類:●金回り●懐合い●懐都合
・懐にする(ふところにする) 1.懐に入れて携帯する。また、単に携帯する。2.手に入れる。
・懐を暖める(ふところをあたためる) 不正を行なって金儲けを図る。自分だけ利益を十分に上げる。 類:●懐を肥やす●私腹を肥やす●懐を膨らます
・懐を痛める(ふところをいためる) 自分のお金を使う。 類:●懐が痛む●身銭を切る●自腹を切る●腹が痛む
・懐を肥やす(ふところをこやす)[=膨(ふく)らます] 不当な利益を得る。不正な手段で私利を図る。 類:●私腹を肥やす●懐を暖める
・ふとした 思い掛けない。ちょっとした。 例:「ふとした過ち」
・太っ腹(ふとっぱら) 1.肥大した腹。太った腹。2.大胆なこと。図太いこと。3.度量が大きいこと。小さな事に拘(こだわ)らず、心が広いこと。 類:●太腹(ふとばら)●腹が太い 例:「太っ腹なところを見せる」 ★「ふとはら」の転<大辞林(三)>
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・船端に刻を付けて刀を尋ねる(ふなばたにきざをつけてかたなをたずねる) 融通が利かないこと。旧習をいつまでも守る愚かさを戒(いまし)める言葉。 類:●舟に刻みて剣を求む 出典:「呂氏春秋−察今」
−−−−−−−ふに(#huni)−−−−−−−
・腑に落ちない(ふにおちない) 納得できない。合点がいかない。 類:●思案に落ちない
・腑に落ちる(ふにおちる) 納得がいく。 類:●胃の腑に落ちる●心腹に落つ●腹に落ちる ★本来は「腑に落ちない」のように、否定形で使われるべき言葉であり、肯定の形は誤用とする意見も多い。
−−−−−−−ふね(#hune)−−−−−−−
・舟が座る(ふねがすわる) 1.船が水から上げられて陸に置かれる。また、座礁(ざしょう)する。2.客が、腰を据えてしまって中々帰らないことの喩え。 用例:浄・お初天神記「揚詰の大だいじん、お舟が座つた」 用例の出典:お初天神記(おはつてんじんき) 浄瑠璃。享保18年(1733)。→曽根崎心中 ? 参考:天神記
・舟に刻して剣を求む(ふねにこくしてけんをもとむ)
・船に懲りて輿を忌む(ふねにこりてこしをいむ) 船酔いに懲りて、輿に乗るのさえ嫌がる。一度しでかした失敗に懲りて、必要以上の用心をすること。 類:●羹に懲りて膾を吹く●蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる●火傷火に怖じる●呉牛月に喘ぐ 反:■火傷火に懲りず
・船は帆で持つ帆は風で持つ(ふねはほでもつほはかぜでもつ) ものごとはそれぞれ他に依存しており、助け合って役に立つものだということ。人も同様で、助け合っていくべきだということ。 類:●船は帆任せ帆は風任せ
・船は帆任せ帆は風任せ(ふねはほまかせほはかぜまかせ) 1.船の進む方向は帆の向くままに、帆の向きは風の吹くままに任せるべきである。成り行きに任(まか)せてものごとを行なうことの喩え。自分の思い通りにならない事柄は、先を案じるよりも、自然の成り行きに任せておけば結構上手く運ぶものだということ。 類:●明日は明日の風が吹く 2.ものごとはそれぞれ他に依存しており、助け合って役に立つものだということ。同様に、人は助け合っていくべきだということ。 類:●船は帆で持つ帆は風で持つ
・舟を漕ぐ(ふねをこぐ) 居眠りをする。 例:「縁側で舟を漕いでいる」 ★頭が前後に揺れて、船をこぐのに似ているところからいう<国語大辞典(小)>
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・不評を買う(ふひょうをかう) 良くない評判を受ける。ある行為によって、結果として悪い評判を受けること。
・不憫がる(ふびんがる) 1.可愛がる。目を掛けて優しく大事に扱う。 用例:金沢文庫古文書−四月二二日「故入道不便がり候し息女にて候」 2.気の毒に思う気持ちを態度に表わす。 用例の出典:金沢文庫古文書(かなざわぶんここもんじょ) ・・・調査中。 参考:金沢文庫(かなざわぶんこ) 鎌倉中期、北条(金沢)実時が病気のために移った金沢(神奈川県)の別荘に設立した文庫。和漢の書籍を多数蔵し、金沢学校と呼ばれて、中世関東の学問の中心であったが、元弘3年(1333)北条氏滅亡の後は、急速に衰えて散逸した蔵書が多い。昭和5年(1930)復興されて、博物館として一般に公開されている。その所蔵文書は「金沢文庫古文書」として刊行された。「かねさわ文庫」・「称名寺文庫」。
・不憫を掛ける(ふびんをかける) 哀れみの気持ちを向ける。同情する。また、可愛がる。
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・舞文曲筆(ぶぶんきょくひつ) 《四熟》 言葉を弄(もてあそ)び、自分勝手な解釈で書いた文章。事実を曲げて書いた文章。
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・不平を鳴らす(ふへいをならす) 不平を言い立てる。
・不平を並べる(ふへいをならべる) 不平を次々と言う。
・不偏不党(ふへんふとう) 《四熟》 どの党派にも、どの主義にも加わらないこと。どちらにも偏(かたよ)らないで、公正・中立の立場に立つこと。
・不弁分限(ふべんぶんげん) 《四熟》 不弁と分限。乏しいことと豊かなこと。貧しいことと富んでいること。
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・毋望之人(ぶぼうのひと・むぼうの〜) 《四熟》 思い掛けない人の意味で、危急のとき、こちらから助けを求めなくても、来て助けてくれる人のこと。 出典:「史記−春申君列伝」「事毋望之主、安可以無毋望之人乎」
・毋望之禍(ぶぼうのわざわい・むぼうの〜) 《四熟》 思い掛けない災い。 類:●池魚の殃い●青天の霹靂●寝耳に水●藪から棒 反:■毋望之福■棚から牡丹餅■勿怪の幸い 出典:「史記−春申君列伝」「世有毋望之福、又有毋望之禍」 ★『戦国策』では、「毋望」を「無妄」に作る。
・父母の恩は山よりも高く海よりも深し(ふぼのおんはやまよりもたかくうみよりもふかし) 両親から受けた恩は広大で深く、その有り難さは測り知れない。なにものも親の恩を凌(しの)げないということ。 類:●父の恩は山より高く母の徳は海より深し●父は天母は地 ★『童子教』「父恩者高山、須弥山尚下。母徳者深海、滄溟海還浅」からの派生。親の愛を、高い物の代表の山、深い物の代表の海と比較したもの。
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・不磨の大典(ふまのたいてん) 消滅することなく永久に伝えられる法典のこと。「大日本帝国憲法」の美称。 ★大日本帝国憲法の発布勅語で使われた言葉<大辞林(三)>
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・踏み込む(ふみこむ) 1.踏んで中に入る。穴や溝に落ちる。 用例:大鏡−二「いとあしき泥をふみこみて候つれば」 例:「泥沼に踏み込む」 2.足を踏み出して勢いよく前へ進む。相手に近付く。 用例:浄・烏帽子折−名尽し「ふみこんで一討に遊ばせ」 3.足を踏み出して中へ入る。進んで行ってある場所に入る。4.ものごとの奥深くまで入り込む。ものごとの核心・本質などを考慮する。 例:「作者の人格にまで踏み込んだ解釈」 5.無断で入り込む。強引に入り込む。 用例:評判・色道大鏡−四「たとひなじみの人これへふみこみ給とも」 例:「刑事が踏み込む」 6.強く踏む。深く踏む。 例:「アクセルを踏み込む」
・踏み倒す(ふみたおす) 1.踏んで倒す。 例:「暴れ馬に柵を踏み倒された」 2.代金や借金を払わないままにしてしまう。 例:「借金を踏み倒す」
・文の道(ふみにみち) 学問の道。文学の道。作詞や作文の法。
・文は遣りたし書く手は持たず(ふみはやりたしかくてはもたず)[=我が身は書かず] 字が書けないために恋文を書き送ることができず、だからといって、恥ずかしくて代筆を頼む訳にもいかない。無筆の遊女の嘆きを言った言葉。
・不眠不休(ふみんふきゅう) 《四熟》 眠りもせず休みもせずに、ものごとを頑張ってやること。やり遂げるために、長時間真剣に取り組むこと。 類:●衣帯不解●昼夜兼行
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・踏む所が窪む(ふむところがくぼむ) 人が大勢立ち入る場所は、なにかと出費が嵩(かさ)むもので、当然多大な損失を招(まね)くことになる。
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・不問に付す(ふもんにふす) 問い質(ただ)さないで、そのままにしておく。問題として取り上げないでおく。
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・武勇伝(ぶゆうでん) 1.武勇に富んだ人の伝記。 類:●武勇談 2.勇ましい手柄話。また、酒の勢いを借りるでもしなければ出来ないような腕力沙汰(ざた)を、冷やかして言う言葉。 例:「また武勇伝をやらかしたそうだ」
・蜉蝣の一期(ふゆうのいちご) 「蜉蝣」は、カゲロウのこと。カゲロウの成虫の寿命は、1時間から数日であるところから、人生が短く儚(はかな)いことの喩え。儚い一生の間。
・冬来たりなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ) 冬か来たということは春もそう遠くないということで、辛(つら)い時期であっても、やがて必ず良い時期が訪れるものであるということ。 類:●明けない夜はない ★シェリーの詩「西風への頌詩」の結びの句。
・冬将軍(ふゆしょうぐん) 冬の異称。特に、寒さの厳しい冬を言う。人間の力では到底(とうてい)太刀打ちできない、厳しい冬の威力を人格化した言い方。 例:「冬将軍の到来だ」 ★モスクワに攻め込んだナポレオンが厳寒に悩まされて敗れた史実(1812年)から、イギリスの新聞記者が厳しい冬を擬人化して「general frost」と報じたことによる。
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・不用の用(ふようのよう) 用がない、無駄であると思われるものが、却(かえ)って役に立つものだということ。一見、何の役にも立たないように見えるものが、却って大切な役割を果たしていること。 類:●無用の用
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・振り翳す(ふりかざす) 1.持っているものを頭上に振り上げて構える。 類:●振り冠(かぶ)る 用例:太平記−三一「射向の袖を振かざいて」 例:「刀を振り翳す」 2.主義や主張を殊更(ことさら)に示す。 例:「大義名分を振り翳す」
・振り出し(ふりだし) 1.振って、容器から出すこと。また、振って小さい穴から出すように作ってある容器。2.道中双六(すごろく)などで、出発地点。賽子(さいころ)を振って遊戯を始める所。3.2から転じて、ものごとの初め。 類:●出発点●出だし 例:「最後の詰めで失敗して振り出しに逆戻り」 4.歌舞伎の大道具の一つ。樹木を回して舞台の方へ振り出すしかけ。人を乗せて出すことが多い。5.手形や小切手を発行する行為。
・振り回す(ふりまわす) 1.手や、手に持ったものを大きく振って動かす。また、乱暴に振り動かす。ぐるぐると回す。 用例:宇治拾遺−1・11「鐘木をとりてふりまはして」 例:「棒を振り回して暴れる」 2.得意げに持ち出す。自慢しながら示す。ひけらかす。 例:「専門用語ばかり振り回す」 3.思うままに取り扱う。また、無闇に使う。 例:「子供に振り回される」「親の威光を振り回す」
・降りみ降らずみ(ふりみふまずみ) 雨が、降ったり降らなかったり。雨や雪が、降ったり止んだり。
・武陵桃源(ぶりょうとうげん)
・不慮の外(ふりょのほか) 思い掛けない、という意味の「不慮」を強めた言葉で、予想していたことが外れて、大変意外であること。
−−−−−−−ふる(#huru)−−−−−−−
・篩に掛ける(ふるいにかける) 1.粉などを篩で選り分ける。 類:●選別する●分別する 2.ある基準によって、多くの人や物を選び分けて、その基準に適さないものを排除する。また、多くの中から、基準に適った者(物)を選び出す。
・古川に水絶えず(ふるかわにみずたえず) 1.古くからある川は、一見涸(か)れているように見えても、実は地下に脈々たる水流があるものである。基盤がしっかりしていれば、衰えたように見えてもそう簡単には滅びないものであるということの喩え。 類:●大鍋の底は撫でても三杯 2.転じて、その土地で代々富豪として通ってきた旧家は、没落した後でも昔を偲(しの)ばせる立派な部分を残しているということの喩え。 類:●古川に水涸れず
・古傷は痛み易い(ふるきずはいたみやすい) 1.古い傷や怪我(けが)は、完治したように見えても、陽気や季節の変化のときなどに疼(うず)くものである。2.ずっと前に犯した悪事は何かにつけ良心を苛(さいな)むものである、また、過去の失敗はひょんなところで新たな災難を呼ぶものであるという喩え。
・古木に手を掛くるな、若木に腰を掛くるな(ふるきにてをかくるな、わかぎにこしをかくるな) 隆盛期を過ぎて将来性のない者には構うな、そして、今は未熟でも将来性のある者には敬意を払えということ。 類:●若木に腰掛くるな ★「手を掛ける」は、自分から進んで世話を焼くこと。「腰を掛ける」は、尻に敷いて座ること。
・古き善き時代(ふるきよきじだい) 1.遠い昔の、懐(なつ)かしい時代。特に、自分の良い思い出がある時代。 類:●ノスタルジア●レトロ 例:「古き善き時代のポップス」 2.人の情が感じられた時代。また、情緒が感じられた時代。 例:「古き善き時代の町並みが残る」
・古狸(ふるだぬき) 1.年老いた狸。2.比喩的に、長く経験を積んで、狡賢(ずるがしこ)い人。悪知恵があって、人を騙す人。 例:「町内の古狸」
・降るほど(ふるほど) 非常にたくさん。 例:「縁談が降るほどある」
・古家の造作(ふるやのぞうさく) 1.古くなった家を増改築しようとすると、修繕しなければならない点が多く見つかるので費用が嵩(かさ)むということ。2.手間や費用を掛けた割には、見映えがしないことの喩え。 ★人の身体に喩えて、年は取りたくないものだの意味でも使う。
−−−−−−−ふれ(#hure)−−−−−−−
・ブレーキ 1.制動機。2.ものごとの進行を抑制するもの。順調な進行を妨げるもの。 類:●歯止め 例:「四番バッターがブレーキになる」
・ブレーキを掛ける(ぶれーきをかける) 1.動いていた機械を減速させたり、停止させたりする。2.ものごとの進行や活動を中止あるいは抑制させる。また、順調な進行を妨害する。
・無礼講(ぶれいこう・むらいこう) 貴賎(きせん)や身分の上下の差別をせず、礼儀を捨てて行なう酒宴。 類:●破礼講●随意講 反:■慇懃講(いんぎんこう) 用例:太平記−一「その心をうかがひ見むために、無礼講といふ事をぞ始められける」 例:「慰安旅行でもあるし無礼講としましょう」
−−−−−−−ふろ(#huro)−−−−−−−
・風呂屋の釜(ふろやのかま) 「湯」を「言(ゆ)う」と掛けた洒落(しゃれ)で、言うばかりで実際の行動を起こさない者を罵(ののし)る言葉。また、その人が、口先ばかりであること。 類:●菜っ葉の肥やし●蕎麦屋の釜 ★上方落語から出た言葉か。
−−−−−−−ふわ(#huwa)−−−−−−−
・不惑(ふわく) 40歳の異称。男子は40歳になったら惑わない者であるべきだということ。 例:「不惑を迎える」 類:●強士 出典:「論語−為政」「四十而不惑」
・付和随行(ふわずいこう) 《四熟》 自分自身に定まった主義・主張・方針もなく、ただ他人に同調し、そのするがままに行動すること。
・付和雷同(ふわらいどう)・附和雷同 《四熟》 しっかりした主義・主張を持たず、他人の説に安易に賛成すること。 類:●尻馬に乗る●一鶏鳴けば万鶏歌う ★「付和雷同」の出典は、中国古典には見当たらない。 「雷同」の出典:「礼記−曲礼・上」「正爾容、聴必恭。毋勦説、毋雷同」 ★「雷同」は、雷が鳴ると物がその音に共鳴して音を出すこと。人の意見などに簡単に同調してしまうことの喩え。
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・符を合わす(ふをあわす) 1.割り符を合わせる。2.二つの物が、ぴったり照合する。矛盾なく、ぴったり当て嵌(は)まる。 類:●符合する●符節を合わす
−−−−−−−ふん(#hun)−−−−−−−
・刎頚の交わり(ふんけいのまじわり) 仮令(たとえ)首を斬られても悔いがないほどの、深い友情で結ばれた交際。生死を共にするような親しい交わり。 類:●莫逆(ばくげき)の交わり●管鮑(かんぽう)の交わり●金蘭(きんらん)の交わり●膠漆(こうしつ)の交わり●水魚の交わり●断金の交わり 故事:「史記−廉頗藺相如伝」 中国、戦国時代。趙(ちよう)の藺相如(りんしようじよ)が自分より上位に就いたことに怒った廉頗(れんぱ)は、相如を辱(はずかし)めようとしたが、両虎相闘うことを恐れた相如が只管(ひたすら)廉頗を避けていると伝え聞いて怒りを鎮めた。以後、刎頸の交わりを結び、共に趙の保全を図った。
・粉骨砕身(ふんこつさいしん) 《四熟》 骨を粉にして身を砕くという意味で、苦労して力一杯ものごとに立ち向かうことの喩え。一所懸命働くこと。 類:●骨身を惜しまず●骨を粉にする●身を粉にする●骨を砕く●奮励努力
・文質彬彬(ぶんしつひんぴん) 《四熟》 外見の美と内容とが釣り合っていること。外見が立派に整っていて、その実質も充実しており、程好く釣り合いが取れている状態。 出典:「論語−雍也」
・文章は経国の大業、不朽の盛事(ぶんしょうはけいこくのたいぎょう、ふきゅうのせいじ) 文学は国を治(おさ)めるのに匹敵するほどの大事業であり、後世(こうせい)永久に残る立派な事柄である。文学の不滅と永遠性を言った言葉。 出典:三国・魏の曹丕(そうひ)の「典論・論文」
・焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)
・分相応(ぶんそうおう) 身分や能力に相応なこと。相応(ふさわ)しいこと。 例:●一巣一枝の楽しみ
・分相応に風が吹く(ぶんそうおうにかぜがふく) 人には、その身分や能力に応じた、相応の暮らし方があるということ。 類:●登れない木は仰ぎ見るな 出典:「漢語大和故事」 出典:漢語大和故事(かんごやまとこじ) 諺の由来や意味を解説した辞典。元禄四年(1691)。蔀遊燕編。
・踏ん反り返る(ふんぞりかえる) 「踏ん反る」を強めた言葉。足を前に出して上体を後ろへ反らすような姿勢を取る。威張った態度であること。 類:●反(そ)っくり返る●仰(の)け反り返る 用例:咄・一休咄−上「それはいとやすき事なりとて、ふんぞりかへりて目口をひろげて」 例:「椅子に踏ん反り返る」 用例の出典:一休咄(いっきゅうばなし) 咄本(仮名草紙)。編著者不明。寛文8年(1668)。4巻。高僧としての一休禅師よりも、頓智頓才の持ち主としての一休の〈おどけ話〉が主体となっている。
・ふんだくる 強引に取る。強奪する。また、法外に高い代金を取る。 用例:滑・八笑人−二「どいつでもぐっとでもぬかすと、百ふんだくるぞ」 例:「祝い金だと言って大枚をふんだくられた」
・踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)・蹴(け)たり 酷(ひど)い目に遭った上に、また酷い目に遭うこと。重ね重ね被害に遭うことの喩 え。 類:●泣き面に蜂 例:「今日は踏んだり蹴ったりだったよ」 ★元は、その ような目に遭わせること。 用例:浄・夏祭浪花鑑−三「砂へ捻ぢつけ、石にてくら はし、踏んだり蹴たり、いろ/\に苛なむ」 ★「踏んだり蹴ったりの目に遭った」 のように、本来の使い方でも使う。酷い目に遭った上に、また酷い目に遭うこと。重ね重ね被害に遭うことの喩え。
・褌を締めて掛かる(ふんどしをしめてかかる) 気持ちを引き締めて事に当たる。十分に決心して取り掛かる。 類:●腹帯を締めて掛かる●緊褌一番
・褌担ぎ(ふんどしかつぎ) 1.相撲(すもう)で、序二段以下の力士の俗称。関取の褌を持ち運びするところからいう。2.転じて、その世界で、最も低い位置にいるもの。入りたての未熟な者。 類:●下っ端
・糞土の牆は塰るべからず(ふんどのしょうはぬるべからず)[=塰(なだらかにす)べからず] 腐った土で造った塀は、剥(は)げ落ちても上塗りができない。性根(しょうね)の腐った者は教育する甲斐がないということ。 類:●朽木は雕るべからず●朽ち木は柱とならず 出典:「論語−公冶長」「宰予昼寝、子曰、朽木不可雕也、糞土之牆不可塰也」 孔子が、昼寝をしていた宰予(さいよ)を見て言った言葉。
・奮発する(ふんぱつする) 1.心を奮(ふる)い立たせる。 類:●発奮する 2.思い切って金を使う。決心して高価な品を買う。また、思い切って金品を差し出す。 例:「賞与が出たことだし特上を奮発するか」
・踏ん張る(ふんばる) 1.開いた足に力を入れて体勢をそのまま保つ。 類:●踏み堪(こた)える 用例:保元−中「鐙ふんばり、つ立上り、大音あげて」 2.土壇場(どたんば)などで、気力を出して堪(こら)える。我慢(がまん)する。 類:●頑張(がんば)る 例:「最後まで踏ん張る」 3.一途(いちず)に言い張る。人に屈しないで自分の主張を貫(つらぬ)く。 類:●頑張る●突っ張る
・噴飯物(ふんぱんもの) 1.食べ掛けの御飯を思わず噴き出すような話という意味から、おかしくて堪(たま)らず噴き出してしまうようなものごと。堪(こら)え切れないで失笑してしまいそうな話。2.取り上げるだけでも馬鹿馬鹿しくなるほど下(くだ)らないもの。 例:「あいつの言い訳など噴飯ものだ」
・分秒を争う(ふんびょうをあらそう) 一分一秒の遅れが事態の結果を左右するので、その僅(わず)かな時間を争わなければならない。ほんの僅かな時間を問題にしなければならないほど、事態が切迫していること。緊急を要すること。 類:●一刻一秒を争う
・文武両道(ぶんぶりょうどう) 《四熟》 学問にも武芸にも優(すぐ)れていること。また、そのような人。 類:●右文左武(ゆうぶんさぶ) ★古くは「ぶんぷ」とも<大辞林(三)>
・分分に風は吹く(ぶんぶんにかぜはふく) 人には、それぞれの身分に相応(ふさわ)しい暮らし方があるということ。また、立場や能力に応じた生き方をすべきということ。 類:●分相応に風が吹く
・分別臭い(ふんべつくさい) いかにも分別がありそうである。いかにも思慮深いようである。 類:●分別がましい●分別顔 例:「子供の癖に分別臭いことを言う」
・分別過ぐれば愚に返る(ふんべつすぐればぐにかえる) 考え過ぎると、却(かえ)って余計なことを考えてしまって、迷いに落ちるものである。 類:●凝っては思案に余る
・文明の利器(ぶんめいのりき) 物質文明の発達によって作り出された、人間の生活をより便利にする機械や器具。 例:「パーソナルコンピュータは正に文明の利器だ」
・奮励努力(ふんれいどりょく) 《四熟》 目標に向かって気力を奮い起こし、努め励むこと。ものごとを成就・成功させるための心構えとして使われる。 類:●精励恪勤●刻苦勉励●努力奮励●獅子奮迅●奮闘努力●勇往邁進●力戦奮闘●粉骨砕身 ★「努力」に「奮励」の語を添えて意味を強めた言葉。
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