【てん】~【てん】

−−−−−−−てん(あ)(#ten1)−−−−−−−
天衣無縫
(てんいむほう)

−−−−−−−てん(か)(#ten2)−−−−−−−
・天蓋がばれる
(てんがいがばれる) 空の蓋(ふた)が破れるという意味から、雨や雪が降ってくる。天候が崩れる。
・天涯孤独
(てんがいこどく) 《四熟》 1.故郷から遠く離れた土地で、ただ一人で暮らすこと。 「天涯」の出典:李白「王昭君」「一上玉関道、天涯去不帰」 2.身寄りが一人もいないこと。 例:「両親を早くに亡くし、天涯孤独の身」
・天下一品
(てんかいっぴん) 《四熟》 天下にただ一つしかない品。また、他に比べるものがないほど優れていること。 例:「天下一品の銘酒」
・点額
(てんがく) 試験に落第すること。 故事:水経注−河水」 竜門を登り得た鯉は竜となり、そうでないものは額をぶつけ、点(きずつ)いて帰る。 参考:登竜門 出典:水経注(すいけいちゅう) 中国の地理書・流域の歴史書。北魏の弭道元(れきどうげん)撰。40巻。中国各地の1,252もの河川を詳細に辿(たど)り、河川の流路に基づく沿革・都邑・景観・伝説などを記述している。「水経」に注を加えたもの。 参考:水経(すいけい) 中国の地理書・水路誌。撰者未詳。一説に漢の桑欽、または、晋の郭璞撰。三国時代(3世紀)頃成立。中国各地の河川の水系を簡単に記した書。
・天下御免
(てんかごめん) 《四熟》 誰に憚(はばか)ることもなく、公然と、そうしても許されること。世間一般に公認されていること。
・天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ
(てんかのうれいにさきだちてうれい、てんかのたのしみにおくれてたのしむ) 志士仁人(じんじん)は、天下国家の憂いを世の人々が未だ憂えない前に憂え、人々が楽しんだ後に楽しむものである。何よりも天下国家のことを先にして、自己一身のことは問題にしない。政治を行なう者の心構えを説いた言葉。 類:●先憂後楽 出典:「
岳陽楼記」 出典:岳陽楼記(がくようろうき) 長編詩。宋代。1046年。范仲淹(はんちゅうえん)=范文正公。「岳陽楼」は、湖南省岳陽の町を囲む城壁西門の楼のこと。水戸藩の庭園「後楽園」の名は、「先憂後楽:(士はまさに)天下の憂(うれい)に先だって憂い、天下の楽(たのしみ)に後れて楽しむ」の一節から命名された。
・天下の才(てんかのさい) 1.天下に稀(まれ)な才能。また、それを持った人。2.天下を治める才能。
・伝家の宝刀
(でんかのほうとう) 1.その家に代々伝わっている名刀。2.転じて、いざという大事なとき以外滅多に用いない物・事柄・手段。 類:●奥の手切り札 例:「いよいよとなったら、伝家の宝刀を抜く」
・天下は天下の天下、一人の天下にあらず
(てんかはてんかのてんか、ひとりのてんかにあらず・いちにんの〜) 国家は国民全体の共有のものであり、君主一人が思う儘にして良いものではない。 出典:「六韜−文師」
・天下は回り持ち
(てんかはまわりもち) 運命はいつまでも固定したものではなく、次々に各人に循環するということ。貴賤貧富は、次々に人々の間をめぐっていくということ。
・天下晴れて
(てんかはれて)[=晴る] 世間に憚(はばか)るところがない。誰にも遠慮することがない。 類:●世間晴れて●公然と●気兼ねなく 
★多く「天下晴れて」の形で用いられる<国語大辞典(小)>
・天下布武(てんかふぶ) 《四熟》 「天下に武を布(し)く」。天下を統一し、それを武士が統治するということ。戦国武将・織田信長が使用した印章の印文。 ★岐阜に進出した永禄10年(1567)から用い始めた<広辞苑第四版(岩)>
・天下無双
(てんかむそう) 《四熟》 天下第一で、並ぶ者がいないこと。 類:●日の下開山●天下無比 例:「天下無双の豪傑」 
★古くは「てんかぶそう」<大辞林(三)>
・天から和尚はいない
(てんからおしょうはいない) 「天から」は「最初から」の意味。最初から和尚だったのではなく、修行時代もあったという意味。初めは、誰でも未熟であるということ。また、一足(いっそく)跳びの出世などを望むものではないということ。 類:●端から和尚はない●生まれながらの長老なし●沙弥から長老にはなれぬ●仏になるも沙弥を経る●河童も一度は川流れ
・天から降ったか地から湧いたか
(てんからふったかちからわいたか) 人などが、目の前に突然現(あらわ)れる様子。 例:「天から降ったか地から湧いたか、そこには鞍馬天狗が立っていた」
・天機洩漏すべからず
(てんきせつろうすべからず) 重大な機密は、決して漏(も)らしてはならないということ。 出典:「儒林外史−七」「天機不可漏洩、所以晩生就預先回避了」 ★「天機」は万物を造り出す天のからくり。転じて、極秘中の極秘を指す言葉。 出典:儒林外史(じゅりんがいし) 中国の通俗小説。清の呉敬梓(ごけいし)。雍正末期(1730年代前半)から乾隆初年(1736)ごろ成立。全55回。科挙試験を目指している様々な人間像と、科挙制度に毒されている社会諸相を淡々とした筆致の口語で詳細に描写したもの。
・天空海闊
(てんくうかいかつ) 《四熟》 1.空と海が、広々として大きいこと。 類:●海闊天空 出典:「古今詞話−大海魚の躍るに従い長空鳥の飛ぶに任す」 2.人が、度量と包容力に富んでいることの喩え。 類:●海闊天空●海闊天高●豪放磊落 3.言葉や発想などが、限りなく広がることの喩え。 ★「闊」は、「濶」とも書く。
・天狗になる
(てんぐになる) 天狗のように鼻が高くなるということで、転じて、得意になって自惚(うぬぼ)れること。高慢なこと。
・天狗の囮(てんぐのおとり) 1.天狗を捕まえるための囮になるもの。2.転じて、鼻が高い女性のこと。
・天狗の木登り
(てんぐのきのぼり) 有り得ないことの喩え。
・天狗の投げ文
(てんぐのなげぶみ) どこから来たか分からない怪しい手紙。
・天狗の鉞
(てんぐのまさかり) 石器時代の遺物の石斧(せきふ)・石槌(せきつい)などのこと。 
参考:江戸時代の人々は山の中で出会う不思議な現象を天狗と結び付けることが多かった。どこからともなく聞こえる笑い声を「天狗笑い」、突然木が倒れることを「天狗倒し」、どこからともなく飛んでくる石を「天狗礫(つぶて)」、茂みにある小さな空き地を「天狗の相撲場」などと呼んだ。
・電光石火
(でんこうせっか) 《四熟》 稲妻の光や石を打った時に出る火花のこと。 1.極めて短い、また、儚(はかな)い時間の喩え。2.動作や振舞いが極めて素早いことの喩え。 例:「電光石火の早技」
・天勾践を空しゅうすることなかれ、時に范蠡なきにしもあらず(てんこうせんをむなしゅうすることなかれ、ときにはんれいなきにしもあらず)[=なし、〜] 天は勾践を見放すようなことはしない。必ず范蠡のような忠臣が現れて助けて呉れる、ということ。 
参考:勾践」は中国春秋時代の越の王、「范蠡」は呉との戦に敗れた勾践を助け、再び呉を滅ぼした忠臣の名前。 故事:太平記」 児島高徳が密(ひそ)かに桜の幹に書き記して、隠岐(おき)へ流される途中の後醍醐天皇に奉(たてまつ)った詩の句とされる。
・天こ盛り(てんこもり) 高く盛ること。食物などを器に堆(うずたか)く盛ること。 類:●山盛り 
★「てんこ」は「てんこつ」の略、「てんこつ」は諸方言で頂上の意<国語大辞典(小)>
・天之に年を仮す
(てんこれにとしをかす) 天が寿命を貸し与える。長生きをする。 出典:「春秋左氏伝−僖公二十八年」

−−−−−−−てん(さ)(#ten3)−−−−−−−
・天才と狂人は紙一重
(てんさいときょうじんはかみひとえ) 「天才」と呼ばれる人は、常人とは違った精神構造を持ち、往々にして冗談を解さなかったり、奇行に走ったりするものである。見方によっては、狂人と見られてもおかしくない。 ★イタリアの犯罪学者ロンブローゾの言葉。 参考:アスペルガー症候群 高機能広汎性発達障害(高機能自閉症)。自閉スペクトラムに分類される障害。知能が正常範囲にあり、文法的には正確な言葉を話す事が出来る。しかし、微妙な皮肉、冗談、本音と建て前の違いなどを理解できない。不器用で行動や興味が限られていることもあり、対人関係に悩みを抱え易い。 >「その他の点では自閉症的である人で、1つの精神的能力ないし術が異常に発達していること。」(ドーランド医学辞典)
・天災は忘れた頃にやって来る
(てんさいはわすれたころにやってくる) 災害は往々にして、被害の痛手から立ち直って、気を抜いているころに襲ってくるものである。防災を怠(おこた)るべきではないという警句。 ★寺田寅彦が用いたとされる言葉。随筆集の中に記述はないが、講演などで言ったものか。「災害は忘れた頃にやって来る」が正しいと伝わる。
・天定まって人に勝つ
(てんさだまってひとにかつ)・天定まって亦(また)(よ)く人に勝つ 悪は一時(いっとき)栄えることがあっても、結局は滅びる。一時は真理の行われないことがあっても、遂には自然の理に復して悪は滅び、善が栄える。 出典:「史記−伍子胥伝」「人衆者勝天、天定亦能破人
・天使が通る
(てんしがとおる) フランスの慣用句Un ange passe.の訳。今まで続いていた対話や座談が途切れて、一座の者が気まずく沈黙してしまうこと。 用例:平凡「雪江さんも黙つて了(しま)ふ、松も黙つて了ふ。何処でか遠方で犬の啼声が聞える。所謂天使が通つたのだ」
・電車道
(でんしゃみち) 1.路面電車の軌道が敷設(ふせつ)されている道路。2.相撲で、立ち合った途端に、一直線に押して寄り切ること。また、一般に、障害物もなんのその一直線に突き進むことの喩えとしても言う。 例:「電車道の寄りで快勝」
・天寿を全うする
(てんじゅをまっとうする) 病気や事故などのためでなく、長生きをして寿命が尽きて死ぬこと。 類:●大往生を遂ぐ
・天井が支える(てんじょうがつかえる) 天井が支えてもうそれ以上は登れないという意味で、昇進の見込みがないこと。また、ものごとがそこで終わりになって、残りの可能性が見付からなくなること。
・天井が抜ける(てんじょうがぬける) 1.そのことを大っぴらにできる。公認される。2.有頂天になる。止め処(ど)がなくなる。羽目を外す
・天井から目薬
(てんじょうからめぐすり) 回り遠くて効果が覚束(おぼつか)ないことの喩え。 類:●二階から目薬焼け石に水杯水車薪
・天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん) 1.仏教用語。個々の人間は、自分がこの世で唯(ただ)一人の尊い存在であることを自覚すべきである、ということ。 類:●唯我独尊 2.誤解から、この世界に我よりも尊(とうと)いものはないということ。 類:●唯我独尊 ★「我」は、釈迦本人のことではなく「個々の人」のことであるとする。更に、経典『長阿含経』の巻一には「天上天下に唯だ我のみ尊たり(天上天下唯我為尊)、必ず衆生の生老病死を度す」とあり、釈尊誕生の以前過去世の毘婆尸(ヴィバッシン)菩薩の言葉であるとも言われる。 出典:「碧巌録」・「長阿含経」他 出典:阿含経(あごんきょう) 経典。釈迦が弟子に説いたもの(小乗経典)。5世紀初に漢訳。須弥山(しゅみせん)という世界観が著されている。「中阿含」、「長阿含」、「増一阿含」、「雑阿含」の四種がある。
・天井の節穴を数える
(てんじょうのふしあなをかぞえる) 何もすることがなくて退屈なこと。
・天井を抜く(てんじょうをぬく) 1.公然と事を行なう。大っぴらにその事をする。2.思う存分に事を行なう。また、限度や止め処がない様子。有頂天になる。 類:●羽目を外す
・天井を見せる
(てんじょうをみせる) 人を仰向けにして起き上がらせないということで、人を痛め付ける。苦しめる。 用例:滑・浮世風呂「お袋に天井を見せられたな」
・天知る、地知る、我知る、人知る(てんしる、ちしる、われしる、ひとしる) 誰も知るまいと思っても天地の神は照覧し、自分も知り、それを仕掛けるあなたも知っていることだ。隠し事というものはいつか必ず露顕(ろけん)するものだ。 類:●四知 
故事:後漢書−楊震伝」 中国、後漢の楊震が王密から金十斤を贈られ、「暮夜無知者(夜なのだから誰も知る者はいません、だから大丈夫です)」と言われたとき、「天知、神知、我知、子知、何謂無知(どうして誰も知らないと言えるのだ)」と答え、密は恥じて去っていった。
・天真爛漫
(てんしんらんまん) 《四熟》 人格などが、少しも飾ったところがなく、ありのままであること。無邪気で屈託(くったく)のないこと。 類:●天衣無縫 例:「天真爛漫な笑顔」
・天水桶に龍
(てんすいおけにりゅう) 天水桶のような有り触れたつまらないところに、際立って優れたものが在るということ。また、そのもの。 類:●掃き溜めに鶴
・点数を稼ぐ
(てんすうをかせぐ) 相手の心証を良くするなど、自分の評価を上げる。評価を上げようと色々手を尽くすことを軽蔑していう。 類:●ポイントを稼ぐ
・点睛を欠く
(てんせいをかく) 全体の中の最も肝心な部分が抜け落ちていることの喩え。 
★一般には「画竜点睛を欠く」というように使う。
・転石苔を生ぜず(てんせきこけをしょうぜず) 1.活発に活動を続けている人は、いつまでも新鮮さを保っているということ。 類:●転がる石に苔むさず流水腐らず●A rolling stone gathers no moss. 2.一ヶ所に落ち着かない者は大成しないということ。浮気者は真の愛情を得られない。 類:●石の上にも三年●A rolling stone gathers no moss. 1.は、米国的な解釈、2.は英国的な解釈、とする。

−−−−−−−てん(た)(#ten4)−−−−−−−
椽大の筆(てんだいのふで)
天高く馬肥ゆる
(てんたかくうまこゆる)
・天地開闢
(てんちかいびゃく) 《四熟》 天地が開けた世界の初め。 例:「天地開闢以来の出来事」 
参考:天と地は、宇宙の始原における唯一混沌がやがて上下に分かれたという中国古代の思想から。 
・天地晦冥
(てんちかいめい) 《四熟》 天や地に日の光が一切隠れて、この世が闇に閉ざされるということ。世の中に夢や希望が持てなくなって、絶望的な状態になる喩え。
・天地懸隔(てんちけんかく) 《四熟》 天と地が、懸け離れているということ。 類:●雲泥の差
・天地霄壤
(てんちしょうじょう) 《四熟》 「霄」は天、「壤」は地のことで、天地を繰り返した言葉。天と地ほども懸け離れていること。 類:●雲泥の差
・天地の相違(てんちのそうい)[=差] 非常に懸け離れていること。大きな隔たりがあること。 類:●雲泥の差雲泥万里の相違
・天地は万物の逆旅、光陰は百代の過客(てんちはばんぶつのげきりょ、こういんはひゃくだいのかかく) 無限の宇宙とか永遠の時間とか天地とか光陰とかに対立するとき、自己の卑小を感じて不安になり淋しくなる状態は原始人も現代人も変わりがない。そのとき、人類は最も悲しく最も淋しくなる。 出典:李白の「春夜に従弟の桃花園に宴する序」という短文の冒頭の句。
・天地無用(てんちむよう) 《四熟》 荷物などの外側に書き記す言葉。破損する恐れがあるため、この荷物の上下を逆さまにするなということ。
・天長地久(てんちょうちきゅう) 《四熟》 天地の存在は永遠であること。天地が永久に不変であるように、ものごとがいつまでも続くことの喩え。 類:●天壌無窮●天地長久●天地無窮 ★「天は長く地は久し」と訓読する。 出典:「老子−韜光」「天長地久、天地所以能長且久者、以其不自生」
・点付かる
(てんつかる)[=差す] 欠点を言い立てられる。他人から、悪い部分を批判される。 類:●非難される 用例:源氏−蛍「この姫君の点つかれ給ふまじくと、よろづに思(おぼ)しのたまふ」
・てんで 1.
後に打消しまたは否定的な表現を伴って、初めから問題にならないことを表わす。元から。また、まるで。全然。 類:●てんから●丸っきり 用例:
坊っちゃん「自分のした事が云へない位なら、てんで仕ないがいい」 例:「てんで相手にならない」 2.程度が甚(はなは)だしいことを言う俗語。 類:●非常に●とても 例:「てんで素晴らしい」 ★「てんに」「てんと」などと同源か<国語大辞典(小)> 用例の出典:坊ちゃん(ぼっちゃん) 小説。夏目漱石。明治39年(1906)発表。松山の中学の数学教師に赴任(ふにん)した、単純で直情家の「坊っちゃん」と渾名(あだな)が付いた青年が偽善的な社会に立ち向かう生き方を、ユーモアに富む筆致で歯切れ良く描いたもの。
・天手古舞い
(てんてこまい) 1.太鼓の音に合わせて舞うこと。転じて、非常に多忙で落ち着きなく立ち回ること。 例:「突然の団体客に天手古舞いする」 2.うろたえて立ち騒ぐこと。3.喜んで小踊りすること。 
★「てんてこ」は太鼓の音。「天手古」は当て字<国語大辞典(小)>
・てんでに
 1.各自の手に。 類:●手に手に 用例:平家−四「都合その勢一千人、てんでにたい松持つて如意が峯へぞ向かひける」 2.それぞれが。銘々(めいめい)が。各自が。複数の人や物が同じ様子であることについて使う。 用例:浄・菅原伝授手習鑑−四「手んでに、けさん振りまはす」 例:「てんでに勝手な曲を吹き始める」 ★「てんでんに」の音変化<大辞泉(三)> ★「手に手に」の転<広辞苑第四版(岩)>
・輾転の思い
(てんてんのおもい) 「輾転=展転」は、寝返りすること。心に悩みがあって、夜中に眠れないほど一心に思い詰めること。または、眠れないほど人を慕い悩むとこと。
・輾転反側(てんてんはんそく) 《四熟》 幾度となく寝返りを打つこと。思い悩んで、また、人を思い慕って眠れない様子。 出典:「詩経−周南・関雎」
・天道是か非か(てんどうぜかひか) こんな世の中なのに、それでも天は善人の味方だと言えるのだろうか。司馬遷が使った言葉。 
出典:史記−伯夷列伝」「余甚惑焉、儻所謂天道是邪非邪」 よく「天道親(しん)なし、常に善人に与(く)みす」と言われるが、大悪党の盗跖(とうせき)は日毎(ひごと)に罪のない人民を殺し、無惨にも人の肉を膾(なます)や脯(ほしにく)にもしたほどありとあらゆる悪事を公然と行ない、数千人に上る徒党を集めて天下に横行したのに、しかも、ヌケヌケとして、長寿を完(まっと)うしている。それやこれやを通観してみると、ここに重大な疑問が残る、「天道是か非か」と。
・天道は親なし、常に善人に与す
(てんどうはしんなし、つねにぜんにんにくみす) 天道は、特定の人を選び依怙贔屓(えこひいき)するようなことはしない。誰であろうと、常に善人に味方するものである。 出典:「老子−七十九章」「天道無親、常興善人」
・天道人を殺さず
(てんどうひとをころさず) 天は人を見捨てはしない。
・点取り虫(てんとりむし) 試験の成績を気にして良い点を取ることだけを目的に勉強する学生・生徒を、嘲(あざけ)って呼ぶ言葉。 類:●点取り

−−−−−−−てん(な)(#ten5)−−−−−−−
・天に仰ぎ地に伏す
(てんにあおぎちにふす)[=憧(あこが)れ〜] 悲嘆(ひたん)に暮(く)れたり、懇願(こんがん)したりして、身悶(もだ)えをする様子。
・天にあらば比翼の鳥、地にあらば連理の枝
(てんにあらばひよくのとり、ちにあらばれんりのえだ) 夫婦が深く愛し合い、互いに離れ難い間柄であること。 類:●比翼の鳥連理の枝 出典:「
長恨歌」 出典:長恨歌(ちょうごんか) 中国の詩編。長編叙事詩。七言古詩120行。唐の白居易(楽天)。806年。玄宗皇帝が楊貴妃への愛に溺れて政を怠り、安禄山の乱を引き起こし、貴妃を失った深い悲しみを詠った詩。陳鴻の「長恨歌伝」を付したものがある。後代や日本文学への影響が大きい。
・天に偽りなし(てんにいつわりなし) 天道は厳正である。
・天に口あり地に耳あり(てんにくちありちにみみあり) 秘密や悪事は兎角(とかく)漏れ易いものである。
・天に口なし人を以って言わしむ
(てんにくちなしひとをもっていわしむ・にんをもって〜) 天はものを言わないけれども、人の口を通して天意が告げられるものである。
・天に順う者は存し、天に逆う者は亡ぶ
(てんにしたがうものはそんし、てんにさからうものはほろぶ・さかうものは〜)[=従う者は〜] 天の道理に従う者は存続し、背(そむ)く者は滅亡する。 出典:「孟子−離婁・上」
・天に跼まり地に蹐す
(てんにせくぐまりちにぬきあしす) 高い天の下にも背を丸め、堅い地の上もそっと抜き足で歩くという意味。世の中を恐れて小さくなって生きていること。肩身が狭く、隠れるように行動すること。 類:●跼天蹐地(きょくてんせきち) 出典:「詩経−小雅・正月」
天に唾す
(てんにつばきす)
・天に二日無し
(てんににじつなし) 天に太陽が二つあるはずがないのと同様に、一国に二人の君主があるはずがないということ。 出典:「礼記−曾子問・坊記・喪服四制」「天無二日土無二王」
・天に二つの日なし、土に二王なし
(てんにふたつのひなし、どににおうなし) 太陽が一つであるように、一国に二人の君主が並立してはならない。
・天二物を与えず
(てんにぶつをあたえず)[=下(くだ)さず] 天は一人の人間にそういくつもの長所や美点を与えはしない。 類:●天は二物を与えず
・天に召される
(てんにめされる) キリスト教で、死ぬこと。
・天にも地にもない(てんにもちにもない)[=掛け替えない] 唯一であって他にないこと。非常に珍重すること。寵愛すること。
・天にも昇る心地
(てんにものぼるここち)[=上がる〜] 非常に嬉しくて、浮き浮きする気持ちの喩え。
・天の与うるを取らざれば却ってその咎めを受く
(てんのあたうるをとらざればかえってそのとがめをうく) 天の与えて呉れるものは、予(あらかじ)め取るべく定められたものであるから、取らないと却って禍(わざわ)いを招くことになる。 出典:「史記−淮陰侯伝」
・天の与え
(てんのあたえ)[=賜(たまもの) 天が与えてくれるもの。 類:●天授●天与●天恵
・天の網
(てんのあみ) 1.悪事をした報いはとうてい逃れることができないということ。 類:●天の耳●天網 出典:「老子−七三章」「天網恢恢、疎而不失」 2.鳥を捕えるために空中に張る霞網。
・天王山
(てんのうざん) 1.京都府南部、大山崎町にある山の名前。京都盆地と大阪平野とを結ぶ狭隘部にあり、古来、水陸交通の要地。2.勝敗や運命の重大な分かれ目。 類:●関ヶ原 例:「今日の試合が今シーズンの天王山になる」 ★天正10年(1582)羽柴秀吉と明智光秀とが山崎で戦ったとき、天王山の占有が勝敗を左右したところから言われる。
・点の打ち所
(てんのうちどころ) 非難すべき所、という意味で、特に人や物を非難するときの対象となる箇所のこと。一般には、「点の打ち所がない」のように、後に打消しの語を伴って使うことが多い。 類:●非の打ち所
・天の濃漿(てんのこんず・こんずい) 天から与えられた美味な飲みもの。普通、上等の酒、また、単に酒を指して使う。 類:●甘露
・天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず
(てんのときはちのりにしかず、ちのりはひとのわにしかず) 天が与えて呉れる好機は地理的有利さに及ばず、地理的有利さは人心の一致に敵(かな)わない。事をなすには人の和が第一であるということ。 出典:「孟子−公孫丑・下」
・天の作せる
?はなお避くべし、自ら作せる?は逃るべからず(てんのなせるわざわいはなおさくべし、みずからなせるわざわいはのがるべからず) 天災や地変は避ける方法があるけれども、自分が招いた災いは逃れる術がない。 出典:「書経−太甲・中」
・天の配剤
(てんのはいざい) 天が行なう薬の調合という意味。天は、善には善果、悪には天罰をというように、それぞれに適(かな)ったものをほどよく配するということ。
・天の美禄(てんのびろく) 天からの好い授かり物という意味で、酒のこと。 出典:「漢書−食貨志・下」
・天の眼
(てんのまなこ) 天が行なう人の善悪や正邪の監視。 類:●
天の目
・天の目
(てんのめ) 1.天が行なう人の善悪や正邪の監視。 類:●
天の眼 2.太陽のこと。また、星のこととも。
・天の暦数
(てんのれきすう) 天命を受けて帝王の位を継(つ)ぐ順序。

−−−−−−−てん(は)(#ten6)−−−−−−−
・転婆
(てんば) 1.慎(つつし)みや恥じらいに欠けた、活発な女。 類:●お転婆 2.過(あやま)ち、しくじること。粗忽(そこつ)であること。また、その人。 用例:伎・
傾城天の羽衣−四幕「ヱヱきついてんばどもじゃ」 3.親不孝で、従順でない子供。 2.3.は、男女いずれにもいう<国語大辞典(小)> 用例:浄・児源氏道中軍記−二「不孝な子も多からふが、儕れに上こすてんばも有るまい」 用例の出典:傾城天の羽衣(けいせいあまのはごろも) 上方歌舞伎。宝暦3年(1753)。並木正三。質屋の娘お千代と丁稚(でっち)太吉の悲恋。「せり」を初めて使った。
天馬空を行く(てんまくうをゆく)
・天は高きに居って卑しきに聞く
(てんはたかきにおってまずしきにきく)[=卑(ひく)きに〜] 天帝は高い所に居ながら下界の人々の声を聞き、その善悪を監視し、厳正な判断をする。 出典:「史記−宋微子世家」
・天罰覿面(てんばつてきめん) 《四熟》 天罰がすぐ現れること。悪事を働いて即座に天罰を受けること。 類:●因果覿面網目不疎
・天は二物を与えず
(てんはにぶつをあたえず) 一人の人間がそういくつもの才能や資質を備えてはいない。
・天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず
(てんはひとのうえにほとをつくらず、ひとのしたにひとをつくらず) 人間は本来平等であって、貴賤上下の差別があるものではない。 出典:「
学問のすゝめ」 用例の出典:学問のすゝめ(がくもんのすすめ) 啓蒙的論文集。17冊。福沢諭吉。明治5(1872)〜9年刊。人間の自由平等、独立の思想に基づいて、従来の封建道徳を鋭く批判し、実用的学問の必要を説いた。 人物:福沢諭吉(ふくざわゆきち) 教育家、啓蒙思想家。慶応義塾の創立者。大分県の人。1834〜1901。長崎に留学、ついで大坂の緒方洪庵の適塾に学び、のち江戸に蘭学塾を開いて子弟を教授。この間、独力で英学を学ぶ。万延元年幕府遣米使節に随行して渡米。文久元年(1861)再び西欧諸国を視察して、「西洋事情」「世界国尽」を著す。慶応4年(1868)塾を慶応義塾と命名。維新後、「明六雑誌」や「時事新報」を創刊、国民の啓蒙に尽力した。主著「学問のすゝめ」「文明論之概略」「福翁自伝」。
天は自ら助くる者を助く
(てんはみずからたすくるものをたすく)
・天は見通し
(てんはみとおし) 天は全てを見通しているから、善悪それぞれに必ず報いがある。 類:●神は見通し●お天道様はお見通し
・天秤に掛ける(てんびんにかける) 1.二つのうちどちらかを選ばなければならないとき、両方の優劣・軽重・損得などを比較する。 類:●秤にかける 2.身の処し方に困らないように、対立しているどちらにも関係を付けておく。どちらが優勢になっても自分の都合が良いように図る。 類:●両天秤に掛ける
・田夫野人
(でんぷやじん) 《四熟》 教養のない粗野な人。 類:●田父野老
・天変地異
(てんぺんちい) 《四熟》 天空に起こる変動と地上に起こる変異。 類:●天変地夭(ちよう)
・転蓬
(てんぽう) 1.風に吹かれ、根を離れて、転がっていく蓬(よもぎ)。2.転じて、人が漂泊すること。また、旅人の喩え。
・てんぽの皮
(てんぽのかわ) 一か八か、運に任せて思い切ってすること。その場の出任せでことを行なうこと。 用例:滑・膝栗毛−五「『てんぽのかは、やって見ませう』とまんぢう二十とりよせ」 類:●儘よてんぽの皮 
★「てんぽ」は、「転蓬(てんぽう)」の変化。一説に「手棒(てんぼ)」からで、不器用の意からとも。

−−−−−−−てん(ま)(#ten7)−−−−−−−
・天網恢恢疎にして漏らさず
(てんもうかいかいそにしてもらさず)[=失わず] 天の網は広く、その目は粗いようだが、悪人を漏らすことなく捕える。すなわち、天道は厳正で、悪事を為した者は早晩(そうばん)必ず天罰を受けるものだということ。 類:●罰は目の前●
天罰覿面(てきめん)●網目不疎 反:■網呑舟の魚を漏らす 出典:「老子−七三章」「天之道、不争而善勝、不言而善応、不招而自来、[糸+単]然而善謀。天網恢恢、疏而不失

−−−−−−−てん(や)(#ten8)−−−−−−−
・てんやわんや 
それぞれが勝手に振る舞って騒ぎ立てること。大勢が互いに先を争って混乱する様子。 用例:黄・稗史億説年代記「はてさて何処からもてんやわんやな事はいわせますまい」 
★各自が勝手にの意の「てんでん」と、むちゃくちゃの意の「わや」または「わやく」が結合してできたもの<国語大辞典(小)>
・天佑神助(てんゆうしんじょ) 《四熟》 天の助けと神の加護。思い掛けない偶然によって助かることの喩え。

−−−−−−−てん(を)(#tenwo)−−−−−−−
・天を仰いで唾する
(てんをあおいでつばきする)[=に向かって唾(つばき・つば)を吐く] 天に向かって唾を吐けば自分の顔に掛かる。他人を害しようとして、却って自身が災いを招くことの喩え。 類:●天に向かって唾す●天に唾す●風に向かって唾す●自業自得身から出た錆悪事身に返る 出典:「四十二章経」 用例の出典:
四十二章経(しじゅうにしょうきょう) 経典。後漢、明帝の時代(0057〜0075年)か? 1巻。迦葉摩騰(かしょうまとう)と竺法蘭(じくほうらん)が、勅命によって洛陽白馬寺で訳したといわれる。出家後の学問の道と日常生活について教訓したもので、42の教訓が書かれている。中国最初の漢文による仏教経典とされるが、その史実性には疑問がある。
・天を怨まず人を咎めず
(てんをうらまずひとをとがめず)[=尤(とが)めず] どんなに不遇であるからといって、運命を恨んだり他人を咎(とが)めたりしないで、自ら修養に努める。 出典:「論語−憲問」
・天を衝く
(てんをつく) 1.非常に高いこと。 例:「天を衝くほどの楼閣」 2.素晴らしい勢いであることの喩え。 例:「意気天を衝く」
・天を幕とし地を席とす
(てんをまくとしちをむしろとす) 豪放磊落(ごうほうらいらく)で、天地を家とする意気があること。
・天を摩する(てんをまする) 天に接するくらい高い。高層の建築物のこと。  類:●摩天楼

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