【うた】~【うろ】

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・疑わしきは罰せず
(うたがわしきはばっせず) 1.刑事裁判においては、立証できないのであれば罰することができないということ。 ★ラテン語の「in dubio,pro reo(疑わしきは被告人の利益に)」の訳。 2.一般に、曖昧(あいまい)なときは無罪だということ。
?[木+兌]が上がらぬ(うだつがあがらぬ) いつも上から押さえ付けられていて、出世できない。運が悪くて、良い境遇に恵まれない。 類:●ぱっとしない ★「うだつ」は「うだち(?)」の変化した語<国語大辞典(小)> ★「うだち(うだつ)」は、妻壁を屋根より一段高く上げて小屋根を付けた部分のことで、火事の類焼を防ぐために造られた。一種の防火壁。裕福な家しか「うだち」を造ることができなかった。
・疑り深い(うたぐりぶかい) 他人の言動やありのままのことを素直に受け取らないで、悪い方に考えようとする気持ちが強い。猜疑心(さいぎしん)が強い。 類:●疑心暗鬼 用例:洒・船頭深話−二「ハテうたぐり深いモノ、あすの晩げへ来(く)べい」 用例の出典:船頭深話(せんどうしんわ) 洒落本。式亭三馬。文化3年(1806)。3冊。辰巳婦言後編。江戸深川の遊里を描いたもの。
・歌は世につれ世は歌につれ
(うたはよにつれよはうたにつれ) 歌は時勢の影響を受けて変化し、世の中の情勢も歌の流行によって影響される。
・打たれても親の杖
(うたれてもおやのつえ) 親が子を打つのは慈愛の心からであるから、子は打たれても嬉しいという意味。

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・打ち上げ
(うちあげ)・打ち揚げ 1.下から上へ勢い良く動かす。打って上げる。 例:「ロケットを打ち上げる」 2.波などが打ち上げること。 用例:新撰六帖−三「浜の真砂の打上に」 3.演劇用語。 ①能楽の囃子(はやし)で、連続して演奏した末に、大・小鼓、またはそれに太鼓を加えて、一段落を付ける手法の一種で、少し調子を上げて演奏される。一旦囃子を止めるのと、継続するものとの二種がある。 ②歌舞伎の鳴り物の一つ。特に、長唄囃子の拍子事(ひょうしごと)の段落に用いられる手法で、太鼓入りの囃子を一段と高めて一区切り付けるもの。また、幕切れ、せり上げなどで効果音の付けを早打ちすることをも言う。 4.弓を引くため、矢を弦に番(つが)えて持ち上げること。 5.花札の遊びで、下座にいて持っていれば役になる札をやむなく上座の方に打ち出すこと。 6.囲碁で、相手の死に石を取り上げること。また、一局終わること。 類:●終局 7.「打ち上げ花火」の略。 8.「打ち上げ簾(すだれ)」の略。 9.(「あげ」が「終了」「完成」の意味を持つ) ①刀剣などを作り上げること。 ②相撲、芝居などの興行を終えること。 ③事業、仕事などを終えること。また、その宴。 例:「討論会の打ち上げ」
・打ち明ける
(うちあける) 1.勢い良く開(ひら)いたり、開けたりする。 例:「窓打ち明けて」 ★「あく」を強めていった言葉。 2.中のものを出して空(から)にする。容器に入っているものや持っているものを全部出す。 用例:浮・好色一代男−五「巾着にあるほど打あけて」 3.家を留守(るす)にして外出する。 用例:浄・心中二つ腹帯−三「市の側(かは)から打ちあけて」 4.これまで人に語らなかった心の内などを、包み隠さないで話す。 類:●打ち明かす 用例:浮・好色敗毒散−五「打明けたる女の底に俄に隔てを入れらるる事、縁の切れ時か」 例:「彼女に僕の思いを打ち明けた」
・打ち上げる
(うちあげる・ぶちあげる) 1.手や楽器を叩いて音を出す。特に、酒宴を催(もよお)して歌い騒ぐ。 用例:書紀−顕宗即位前・歌謡(図書寮本訓)「手掌(たなそこ)も摎亮(やらら)に<略>拍上(ウチアケ)賜ひ」 2.①声を出す。声を張り上げる。 用例:紫式部日記「うちあげたる伴僧の声々」 ②下から上へ勢いよく動かす。 用例:源氏−宿木「まづおりてすだれうちあぐめり」 ③射ようとして、矢を番(つが)えた弓を高く持ち上げる。 用例:宇治拾遺−一五・四「弓をさしかざして<略>うちあげたれば」 ④乗っている馬を水中から陸にさっと上がらせる。 用例:平家−九「梶原が乗ったりけるする墨は<略>はるかのしもよりうちあげたり」 ★「うち」は接頭語<国語大辞典(小)> 3.打って、上の方に動かす。 ①波が岸に打ち寄せて、物を陸に運び上げる。 用例:日葡辞書「フネヲウチアゲタ」 ②打って高く飛ばす。上に放つ。 用例:日葡辞書「ツブテヲウチアグル」 4.(「あげる」は、終える、仕上げる、すっかり〜するなどの意味) ①すっかり使う。全部与える。 用例:浄・源氏冷泉節−下「金銀財宝、くら一ケ所を打あげんとの頼みなり」 ②刀剣などを鍛(きた)えて作り上げる。 用例:伎・四天王楓江戸粧−三立「二振りの剣を打ち上げぬ内は」 ③鳴り物の演奏を終える。特に歌舞伎の囃子(はやし)方で、太鼓入りの鳴り物を一段と高く打ち終えて区切りを付ける。 用例:伎・矢の根「鳴物打上げ」 ★歌舞伎脚本のト書きの用語<国語大辞典(小)> ④太鼓を打ち終えることから、芝居や相撲興行などを終える。転じて、長く掛かった集会や仕事などを終える。 ⑤囲碁で、相手の石を取る。また、一局終わる。 用例の出典:矢の根(やのね) 歌舞伎十八番。曾我物。村瀬源三郎。享保14年(1729)中村座。父の敵、工藤祐経(すけつね)を討つ準備のため、五郎は家で大きな矢の根を研ぐ。大薩摩主膳太夫から貰った宝船の絵を枕の下に敷いて寝ると、夢の中に兄の十郎が現れ「今、工藤の館に捕まっているから助けに来てくれ」と言い残して消える。五郎は跳ね起き、通り掛かった馬子(まご)から馬を奪って、駆け出す。別名「扇(すえひろ)恵方曾我」。
・打ち合わせる
(うちあわせる) 1.物と物とを互いに打って、巧く合うようにする。楽器などを巧く合うように演奏する。弦楽器や歌についても言う。 類:●合奏する●合唱する 用例:源氏−宿木「今もいとものものしくてうちあはせたまへり」 2.合うようにぶつける。ぶつけ合わせる。 例:「杯を打ち合わせる」 3.着物の襟元(えりもと)などの左右を、寄せて巧く合うようにする。 類:●掻き合わせる 用例:−七六「袖うちあはせて立ちたるこそ」 4.都合などが巧く合うように、前もって相談しておく。下相談をする。 例:「日程を打ち合わせる」 ★雅楽の合奏からできた言葉。
・有智高才
(うちこうさい) 《四熟》 生まれつき頭の働きが良く、学んで身に付けた才能も優秀なこと。また、その人。
・打ち込む
(うちこむ) 1.打って入れること。2.熱中する。全力を集中する。 例:「仕事に打ち込む」 3.深く心を寄せる。ある人を恋い慕って夢中になる。 類:●惚れ込む 用例:日葡辞書「ソノヒトニウチコウダ」
・打ち出の小槌
(うちでのこづち) 「一寸法師」に登場する小槌。振れば何でも思うままに出せる小さな槌。 類:●魔法のランプ●ドラえもんのポケット 出典:「御伽草子
・打ち解ける
(うちとける) 1.氷などが溶ける。 用例:詞花−一「氷りゐし志賀の唐崎うちとけて」 2.緊張が解けて心がゆったりとなる。寛(くつろ)いだ気分になる。 類:●気を許す 用例:伊勢−二三「今はうちとけて、手づからいひがひとりて」 3.特に異性との交際で、心隔てがなくなる。馴れ親しむ。 用例:宇津保−楼上・上「打とけてうらもなうこそたのみけれ」 4.気が緩(ゆる)む。油断する。警戒心がなくなる。 用例:−三〇五「うちとくまじきものえせもの」 用例の出典:詞花和歌集(しかわかしゅう) 和歌集。藤原顕輔撰。仁平元年(1151)。第六の勅撰和歌集。10巻。415首。「詞花」の名は前代の「金葉」にほぼ等しく、10巻から成る構成も倣(なら)っている。時代も20年程しか違っておらず、当代歌人の作風にさほどの変化は見られない。様々な意味で、金葉・詞花二集は双生児的な性格を持った歌集と言える。
・内に怨女無く外に曠夫無し
(うちにえんじょなくそとにこうふなし) 年頃になっても夫を得られず恨み嘆く女も無ければ、連れ合いを持てずに恨み悲しむ男もいない。世の中が巧く治(おさ)まって、不平不満の無い良い治世であることの喩え。 故事:孟子−梁恵王・下」「當是時也、内無怨女、外無曠夫」 周の大王の時には、天下の人々の結婚が巧く行なわれ、家の中には、適齢期を過ぎても結婚できないで身の不幸を恨んでいる女性もなく、また家の外には、年頃を過ぎても妻が持てずに、家を空けて出歩いている男性もなかったという。
・内に省みて疚しからず
(うちにかえりみてやましからず) 自分の良心に質(ただ)してみて、少しも恥じるところがない。 出典:「論語−顔淵」「内省不疚、夫何憂何懼」
・中に誠あれば外に形る
(うちにまことあればそとにあらわる) 心の中に誠意があれば、それは自然に言葉や動作に表れ出てくるものである。  出典:「礼記大学」「此謂誠於中、形於外。故君子必慎其独也」
・内鼠
(うちねずみ) 1.自分の家の中にばかり篭もっていること。また、そうような世間の知らずの者。 類:●井の中の蛙 用例:仮・他我身の上−三「此の子うちねずみにて、我がうちより外をしらざれば」 2.家に閉じ込められた身の上。 用例:浮・本朝浜千鳥−四「是より新八内ねずみ」 用例の出典①:他我身の上(たがみのうえ) 仮名草紙。山岡元隣。明暦3年(1657)。1冊。比喩的・概念的な教説を、素朴な技巧で表現したもの。 用例の出典②:本朝浜千鳥(ほんちょうはまちどり) 浮世草紙。永井正流。宝永4年(1707)。6巻。15話から成る巷説奇談集。
・内は犬の皮、外は虎の皮
(うちはいぬのかわ、そとはとらのかわ) 家では貧しい暮らしをしていても、外に出るときは立派な身形(みなり)を整えること。 類:●内裸でも外錦武士は食わねど高楊枝 出典:葉隠聞書「士は食はねども空楊枝、内は犬の皮、外は虎の皮」
・内裸でも外錦
(うちはだかでもそとにしき) 内実はいかに苦しくても、世間体(せけんてい)は立派に繕うこと。 類:●武士は食わねど高楊枝
・内広がりの外窄り
(うちひろがりのそとすぼり・すばり)・外窄まり 家の中で威張るが、外へ出るとからきし意気地がなくなること。 類:●内弁慶
・内弁慶
(うちべんけい) 家の中では威張り散らすが、外へ出ては全く意気地がないこと。また、そういう人。 類:●内広がりの外窄り陰弁慶旅の犬が尾を窄める
・内股膏薬
(うちまたごうやく) 《四熟》 内股に張った膏薬が両腿に張り付くように、一定の意見もなく、都合次第で、あちらにもこちらにも付くこと。また、そういう人。 類:●二股膏薬日和見主義理屈と膏薬は何処にでも付く
・有頂天(うちょうてん) 1.仏教用語。梵語(サンスクリット語)の訳語。欲界、色界、無色界の三界のうち、存在(有)の世界の最上(頂)である色究竟天(しきくきょうてん)のこと。また、一説には無色界の最上である非想、非非想処天とする。 類:●有頂 用例:曾我物語−一二「上はうちゃうてんを限り、下は阿鼻を際として」 2.「有頂天」に上り詰めるという意味から、喜びで気分が舞い上がっている様子。 例:「褒められて有頂天になる」 3.我を忘れ、夢中になり、周りを顧(かえり)みない様子。 用例:俳・毛吹草−六「月を見る人の心や有頂天」
・有頂天外
(うちょうてんがい) 《四熟》 仏教で世界の絶頂に位置する天を意味する有頂天の、更にその上の状態。この上なく大喜びすること。また、喜びのあまり我を忘れること。 類:●歓天喜地欣喜雀躍狂喜乱舞 用例:「有頂天外の喜び」 ★「有頂天」をさらに強めた語<新明解四字熟語辞典(三)>
・烏鳥の私情
(うちょうのしじょう) 子供が親に孝養を尽くす情愛の喩え。 類:●烏に反哺の孝あり 出典:李密「陳情表」「烏鳥私情、願乞終養」<烏鳥の私情、願はくは養を終へんことを乞ふ>

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・うっかり
 1.気抜けして、ぼんやりすること。また、心を奪われてうっとりすること。 用例:洒・令子洞房「物をおとしたやうにうっかりとなり、昼見世をわすれて」 2.不注意であること。気付かないでしてしまうこと。 用例:洒・青楼五つ雁金−二「ついうっかりとその玉子をたべんした」、日葡「ウッカリトシタモノ」 ★ウカリの促音化<広辞苑(岩)>  用例の出典:令子洞房(むすこべや) 洒落本。山東京伝。京伝の洒落本の初作。北尾政演(まさのぶ=京伝)画。天明5年(1785)。傾城(けいせい)買いもの。
・うっかりひょん
 気を取られてぽかんとしている様子。 類:●うっかりぽん 用例:浄・本朝三国志−二「大将始気をうばはれ、魂ぬかしうっかりひょん」
・空蝉の世
(うつせみのよ) この世のこと。また、「うつせみ」を「虚蝉」と表記したことから、仏教の無常感と結び付いて、儚(はかな)いこの世。 用例:古今−七三「うつせみの世にもにたるか花ざくらさくとみしまにかつちりにけり」
・現を抜かす
(うつつをぬかす) ある事に心を奪われて夢中になる。 例:「ゴルフに現を抜かす」
・打っ遣る
(うっちゃる)・打っ棄る 1.捨てる。放り出す。 例:「故障した電化製品が打っちゃられている」 2.1.から転じて、無駄なこと、不本意なことに金銭などを費(つい)やす。 用例:滑・膝栗毛−二「たてひきづくで、がらら廿四文うっちゃったアもし」 3.主に「うっちゃっておく」の形で、手を出したり口を出したりしないで、そのままにする。相手にしないで放っておく。 例:「愚図は打っちゃっておけば良い」 4.相撲で「うっちゃり」をする。5.相撲の技「うっちゃり」から、土壇場で形勢を逆転する。 類:●打っちゃりを食わす ★「うちやる(打遣)」の変化<国語大辞典(小)>
・打って一丸となる
(うっていちがんとなる) 全ての人々が一纏(まと)まりになる。
・打って変わる
(うってかわる)[=変う] 人の態度や事柄の情況が一変する。前とがらりと変わる。 用例:浄・菅原伝授手習鑑−五「是まで敵と思ひし松王、打って変った所存はいかに」
・打って付け
(うってつけ) 人やものごとが、その場の情況や役割にぴったり適(かな)っていること。 類:●誂(あつら)え向き 用例:雑俳・柳多留−七「羽衣のくせは野がけに打てつけ」 
★釘で打ち付けたようにぴったり合う意から<大辞林(三)>
・打って出る
(うってでる) 1.攻撃するために戦いの場に、勢いよく進み出る。出撃する。 類:●打って出(い)ず 2.比喩的に、華やかな場に自分から出てゆく。第一線に出る。 類:●乗り出す 例:「政界に打って出る」
・鬱陶しい
(うっとうしい) 1.気が詰まって晴れ晴れとしないこと。また、気掛かりで気持ちが晴れ晴れしないこと。 出典:「孟子−万・上」「象往入舜宮、舜在牀琴、象曰、鬱陶思君爾」 2.気候が、蒸し暑く晴れ晴れしないこと。
・梁の燕
(うつばりのつばめ) 梁(はり)に巣を作り雛を育てる燕という意味で、我が子を思う親の深い愛情のことを喩えて言う。

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・腕一本
(うでいっぽん) 地位、財産、背景などがなく、自分の技能や力だけを頼りにすることの喩え。 類:●裸一貫 例:「腕一本で産を成す」 
★「腕一本脛(すね)一本」とも<国語大辞典(小)>
・腕が上がる
(うでがあがる) 1.技術や芸が上達する。2.飲める酒の量が以前より増える。
・腕が後ろへ回る
(うでがうしろへまわる) 逮捕者は後ろ手に縛られることから、罪を犯して検挙される。 類:●手が後ろへ回る
・腕が立つ(うでがたつ) 技量がとても優れている。 類:●遣り手●手腕家
・腕が鳴る
(うでがなる) 力量を十分に発揮したくてむずむずする。 類:●腕をさする●腕を撫(ぶ)す
・腕尽く
(うでずく) 1.腕力をふるって自分の思うようにすること。 用例:虎寛本狂言・
胸突「腕づくでつれていて見せう」 2.自分の実力だけでものごとをすること。 用例:当世書生気質「腕ずくにて金も名誉(ほまれ)も意の如くに得られるからの奮発出精」 用例の出典:胸突(むねつき) 狂言。各流。男が借金の催促にやってくるが、相手は何だかんだと言って、中々返さない。力尽くでもと思った、「人殺し」と相手に喚(わめ)かれる。穏便に済まそうと思い、言われるままに借金を棒引きしてしまうが、それは相手の巧妙な戦略だった。
・腕試し
(うでだめし) 身に付けた技量や力がどれぐらいか試すこと。
・腕っ節
(うでっぷし) 腕力。腕の力。 例:「見るからに腕っ節が強そうだ」 
★「うでぶし」の促音添加<大辞林(三)>
・腕なしの振り飄石(うでなしのふりずんばい)[=振り相撲] 自分の力量を越えたことをすることの喩え。実力もないくせに虚勢だけを張ること。 用例:浄・出世景清−四「某をつかまんとは、うでなしのふりずんばい」 ★「振り飄石」は、竿の先端に結んだ紐に石を付けて飛ばすもの。投石の道具。
・腕に覚えがある
(うでにおぼえがある) 自分が嘗(かつ)て身に付けた技量に自信がある。 例:「テニスは多少腕に覚えがある」
・腕に縒りを掛ける
(うでによりをかける) 十分に腕前を発揮しようとして意気込む。 例:「腕に縒りを掛けて料理をする」 ★頭に巻く捻じり鉢巻きを腕に掛ける(=巻く)という意味からか。
・打てば響く
(うてばひびく) すぐに反応する。直ちに反響が現れる。 類:●ツーといえばカー
・腕を上げる
(うでをあげる) 1.技量が上達する。2.飲める酒の量が増える。
・腕を齧る(うでをかじる) 計略に引っ掛かる。 例:●一杯食う●牛に食らわる 用例:人情・春色雪の梅−四「どっこい其の腕は喰(カヂ)らねえ」 
★「手を食う」の俗語<国語大辞典(小)>
・腕を組む 1.
腕組みをする。また、腕を組んで考える様子。2.人と人とが腕を組み合わせることから、一つの目標に向かって団結すること。
・腕を拱く
(うでをこまねく・こまぬく) 1.腕を組む。2.自分は行動しないで、端(はた)で様子を見ている。 類:●傍観する
・腕を引く
(うでをひく)[=突く] 誓約のために腕を刃物で切って血を出す。 
★町人、博徒などが、誓いを立てるとき、腕に傷を付け、また、酒に血をたらして飲み合ったりした<国語大辞典(小)>
・腕を揮う
(うでをふるう) 技量や力を十分に発揮する。 例:「料理に腕を揮う」
・腕を磨く
(うでをみがく) 技量が上がるように鍛錬する。腕前を上げるために修行する。 例:「ヨーロッパで菓子作りの腕を磨いた」

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・右党
(うとう) 1.保守党。また、右翼政党。 類:●右翼 2.酒の好きな人を「左党」というところから、甘い物の好きな人。 
反:■左党
・烏頭変毛
(うとうへんもう) 《四熟》 烏の黒い頭の羽毛が白色に変わるという意味から、有り得ないことの喩え。また、配所(=流罪の地)から帰ることの喩えとしても使った。 類:●烏の頭が白くなる 用例:
法然上人行状画図−三六「烏頭変毛の宣下をかうぶり給ひぬ」 故事:論衡」 燕(えん)の太子丹が秦王に捕えられたとき、秦王が「烏頭が白に変わり、馬に角がはえたりすれば赦(ゆる)そう」と言った。 用例の出典:法然上人絵伝(ほうねんしょうにんえでん) 法然の一代記を中心に絵解きしたもの。法然賛仰と浄土信仰宣揚のために種々作られた。嘉禎3年(1237)に耽空が撰し、図絵は源光忠の手になる、原名「伝法絵流通」が最も古いが、原本は伝わっていない。そのほか増上寺本、琳阿本、弘願本などがあり、従来の法然伝を集大成したのが後伏見上皇の勅修によると伝える「法然上人行状絵図」48巻である。
・烏兎怱怱
(うとそうそう)・烏兎匆匆 《四熟》 「怱怱」は慌て急ぐの意味で、月日の経過が早いということ。 類:●烏飛兎走(うひとそう)●歳月流るる如し●露往霜来光陰矢の如し
独活の大木
(うどのたいぼく)
・優曇華の御出
(うどんげのおいで) 珍客の来訪。 
参考:優曇華(うどんげ) 仏教では、花が人の目に触れないため、咲いたときを瑞兆と見、経典には三千年に一度咲くと伝える。咲くときは転輪聖王(てんりんじょうおう)が出現するという花。
・優曇華が咲くと凶事あり
(うどんげがさくくときょうじあり) 優曇華の花が咲くときには悪いことが起こるという俗信。
・優曇華の花待ち得たる心地
(うどんげのはなまちえたるここち) 優曇華の花の咲く時機に巡り会ったことの喜び。珍しいことに遭遇すること。
・饂飩屋の釜
(うどんやのかま) 地口(じぐち)の一つ。 饂飩屋の釜の中はお湯ばかりであることから、「湯ぅ」を「言う」に掛けて、口で言うだけで何もしないこと。 類:●風呂屋の釜●蕎麦屋の釜●菜っ葉の肥やし

−−−−−−−うな(#una)−−−−−−−
・鰻の木登り
(うなぎのきのぼり) できる筈がないことの喩え。
・鰻の寝床
(うなぎのねどこ) 間口が狭くて奥行が長い建物や場所。
・鰻登り
(うなぎのぼり)・鰻上り 1.鰻を掴むとき、粘りがあるので上へ上へと登ってしまい、両手で代わる代わる掴もうとすると、益々登っていき降りないということから、停滞することなく、上っていくこと。主に、気温、物価の上昇や出世の早いことについて使う。2.のらくらして、掴まえ所のないこと。 用例:合巻・
其俤夕暮譚「鰻のぼりののんべんぐらり」 用例の出典:其俤夕暮譚(そのおもかげゆうぐれたん?) 合巻(ごうかん)本。・・・調査中。
・魘される
(うなされる) 恐ろしい夢を見たりして、思わず苦しそうな声を立てる。 用例:伎・小栗十二段−四「是々こちの人うなされしゃるか」 例:「悪夢に魘される」 ★「熱に魘される」は、「浮かされる」の誤用。 用例の出典:小栗十二段(おぐりじゅうにだん) 歌舞伎。初代市川団十郎(三升屋兵庫)。鳥居清信画。刊本、半紙本1冊。元禄16年(1703)7月江戸森田座上演。説経『小栗判官』の後日談ないし外伝を構想したもの。
・項を反らす
(うなじをそらす)[=反らせる] 襟首を後ろの方に曲げる様子から、上を見たり、得意になったりすることの喩え。
・牝牛が倒れ
(うなめがたおれ) 馬や牛に良く目の利く筈の博労でさえ、牝牛の売買には騙されて損をすることが多いということ。
・唸るほど
(うなるほど) 多くの金が積もって声を出して唸るほど。多額の金品を持っている形容。 例:「金(かね)は唸るほどある」

−−−−−−−うの(#uno)−−−−−−−
・兎の毛で突いたほど
(うのけでついたほど)・〜の先ほど きわめて微細なもの、些細なことのたとえ。 用例:
日葡辞書「ウノケノサキホドモチガワヌ」 類:●ほんの少し●兎の毛の先ほど●毛筋ほど●針の先で突いたほど 用例の出典:日葡辞書(にっぽじしょ) 辞書。1冊。本篇+補遺。耶蘇会宣教師数名(氏名未詳)共編。本篇は慶長8年(1603)、補遺は翌9年。長崎学林刊。約32,800の日本語を和漢・雅俗などの別なく採集、ポルトガル語で語釈を施し、出典・用法・関連語・位相その他を示し、宣教師らの日本語修得の便を図ったもの。国語史、特に室町時代語研究上の重要な資料。ドミニコ会のスペイン語訳「日西辞書」(1630年マニラ刊)、レオン=パジェスによる仏訳「日仏辞書」(1868年パリ刊)がある。
・兎の時雨に笠を脱げ
(うのときあめにかさをぬげ) 早朝に降り出した雨は、間もなく晴れるから、雨具の用意はいらない。
鵜の真似をする烏
(うのまねをするからす)
・鵜の水離れ
(うのみずばなれ) 水に棲む鵜が陸に上がったときのように、本来の能力が十分に発揮できないことの喩え。 類:●陸(おか)へ上がった河童
・鵜呑みにする
(うのみにする) 鵜は魚を食べるとき、丸呑みにするところから。 1.食べ物を噛(か)まないで呑み込んでしまうこと。 類:●丸呑み 用例:日葡辞書「ウノミヲスル」 2.ものごとを十分に検証しないで、見たまま、聞いたままを受け入れてしまうことの喩え。 用例:滑・浮世風呂−三「半二が隠語を鵜呑にするとも」 例:「TVの報道を鵜呑みにするのは良くない」
鵜の目鷹の目
(うのめたかのめ)

−−−−−−−うは(#uha)−−−−−−−
・乳母が年代記
(うばがねんだいき) 老婆の記憶は曖昧であるところから、不正確で頼りにならないことの喩え。

−−−−−−−うひ(#uhi)−−−−−−−
・烏飛兔走(うひとそう) 《四熟》 歳月の経つのが、慌ただしく速いこと。 類:●兔走烏飛 ★太陽の中には八咫烏(やたがらす)が棲み、月には兔がいるという言い伝えから、「烏兔」は歳月を意味する。

−−−−−−−うふ(#uhu)−−−−−−−
・産毛の抜けぬ人
(うぶげのぬけぬひと) 初心(うぶ)で無知な人。 類:●未熟者
・産屋の騒ぎ
(うぶやのさわぎ) 子供が生まれたとき騒ぎ祝うことから、出産の祝い事。また、その騒ぎ喜ぶ様子。

−−−−−−−うま(#uma)−−−−−−−
・旨い汁を吸う(うまいしるをすう) 自分では骨を折らないで利益だけを得る。 類:●甘い汁を吸う
・馬が合う(うまがあう) 気が合う。しっくりとゆく。 類:●意気投合する意気相投ず 
★馬とその乗り手の呼吸がぴったり合うの意からの語か<国語大辞典(小)>
・馬方船頭お乳の人
(うまかたせんどうおちのひと)[=遣り手の果て]  1.人の弱みに付け込んであくどい強請(ゆす)り集(たか)りをする者の代表的なもの。 類:●馬追い船頭お乳の人 2.言葉使いが乱暴な者。
・馬勝った、牛負けた
(うまかった、うしまけた) 地口(じぐち)の一つ。 美味しい物を食べた後に言う。 類:●大石勝った吉良負けた
・倦まず撓まず
(うまずたゆまず) 飽きたり怠けたりしないで。
・馬と猿(うまとさる) 仲が良い間柄。 
★猿は馬屋の守護で、正月のうまや祭には猿の絵馬が用いられた<国語大辞典(小)>
・馬に経文(うまにきょうもん) = 
馬の耳に念仏
・馬に乗るまで牛に乗れ
(うまにのるまでうしにのれ) 速い馬に乗る前に鈍(のろ)い牛に乗って慣れる必要があるということから、高い地位に就くためには、その前に低い地位にあって努めなくてはならないということ。また、出世には段階があるということ。
・馬には乗ってみよ、人には添うてみよ
(うまにはのってみよ、ひとにはそうてみよ) 馬の良し悪しは実際に乗ってみなくては分からず、人柄の良し悪しも一緒に暮らしてみなければ分からない。何事も自分で直接確かめてみなさいということ。 類:●百貫の鷹も放さねば知れず
・馬の籠脱け
(うまのかごぬけ) 馬が籠抜けの軽業(かるわざ)をするのは無理だということから、無理を承知ですること。また、窮屈で困ることの喩え。 類:●牛の籠抜け
・馬の小便
(うまのしょうべん) 薄いお茶や、生温(ぬる)いお茶のこと。 ★これは雌馬が尿をする際、少しづつちょろちょろとすることからきたとされる<日本語俗語辞典
・馬の小便で、惚れてる
(うまのしょうべんで、ほれてる) 地口(じぐち)の一つ。 馬の小便は勢いが強いので地面が掘れる。掘れるを惚れるに掛けた洒落。
・馬の背を分ける
(うまのせをわける)[=越す] 夕立ちなどが、馬の背を境にして分かれるように、ある地域で降っているのに、すぐ近くが晴れているときなど。
・馬の角
(うまのつの) 決してありえないことの喩え。 類:●兎角亀毛 出典:司馬貞の「史記索隠」「丹求帰、秦王日曰、烏頭白、、乃許耳」
・馬の鼻向け
(うまのはなむけ) 1.旅立つ人の前途の無事を祈って、出発にあたり旅行者と酒食を共にすること。門出を祝う宴会。壮行会。送別会。2.旅立つ人に金品や詩歌などを贈ること。また、そのもの。餞別(せんべつ)。
・馬の骨
(うまのほね) 素姓の分からない者。主に、下賎(げせん)の者を指して言う。 類:●どこの馬の骨 用例:浮・
元禄大平記−二「よしよしいづくの馬の骨にせよ」 ★中国で、役に立たないものについて「一に鶏肋(けいろく)二に馬骨(ばこつ)」と言われたことによる。 用例の出典:元禄大平記(げんろくたいへいき) 浮世草子。著者は「都の錦」という、本名は宍戸光風なる人物である。元禄15年(1702)。当時の本屋業界・出版界の内情を暴露的に描いたもの。井原西鶴に対する強い対抗意識がうかがえる「諸芸大平記」とも。
・馬の耳に風(うまのみみにかぜ) 馬は耳に風を受けても感じないことから、 人の意見に少しも耳を傾けず、聞き流すことの喩え。 類:●馬耳東風 用例:伎・助六由縁江戸桜「何を言つても馬の耳に風」
馬の耳に念仏
(うまのみみにねんぶつ)
・馬は馬方
(うまはうまかた) 馬を扱うのは馬方に任せよという意味で、その道のことは、やはり専門の者が一番であるということ。 類:●餅は餅屋(じゃ)の道は蛇(へび)
・馬は馬連れ
(うまはうまづれ) →牛は牛連れ
・生まれた後の早め薬
(うまれたあとのはやめぐすり) 赤ん坊が生まれてから出産を早める薬を飲んでもなんの役にも立たない。時機に遅れて役に立たないこと。 類:●泥棒を見て縄を綯う渇に臨みて井を穿つ
・生まれぬ先の襁褓定め
(うまれぬさきのむつきさだめ) 子供が生まれないうちから、おしめの用意に大騒ぎするということから、手回しが早いこと。また、早過ぎること。
・馬を牛に乗り替える
(うまをうしにのりかえる)[=替える] 速い馬から遅い牛に乗り替える。優れたものを捨てて、劣ったものに替える喩え。 反:■牛を馬に乗り替える
・馬を鹿
(うまをしか) 人を威圧して、筋道の通らないことを無理に通すこと。 類:●鷺を烏 故事:史記−秦始皇本紀」 中国、秦の宦官・趙高(ちょうこう)は、自分の権勢を確かめようとして、皇帝に鹿を献じて馬と言い張った。
・馬を繋ぐ
(うまをつなぐ) 遊里語。権力者の御機嫌伺いに来て、その門前に馬を繋ぐということから、おべっかを使う、諂(へつら)う。
・馬を水際に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない(うまをみずぎわにつれていくことはできても、みずをのませることはできない) 誰かに何かをする機会を与えることはできても、それをするように強制することはできない。人にものごとを強要すべきではないということ。 類:●匹夫も志を奪うべからず ★英国の諺「You can lead a horse to water, but you cannot make him drink.」の訳。

−−−−−−−うみ(#umi)−−−−−−−
・海魚腹から川魚背から
(うみうおはらからかわうおせから) 海で取れる魚は腹から割き、川で取れる魚は背から割くのが料理の基本であるということ。 ★「海」は海原うなばら(腹)、「川」はかわせ(背)と覚えたという。
・海千山千
(うみせんやません) 《四熟》 海に千年山に千年棲み付いた蛇は竜になるという言い伝えから、世の中の経験を十分に積み、ものごとの裏事情にまで通じていて狡(ずる)賢いこと。また、そういうしたたか者のこと。 類:●海に千年川に千年●一筋縄ではいかない煮ても焼いても食えぬ一癖も二癖もある
・海とも山とも知れず
(うみともやまともしらず) どちらとも決定し兼ねること。どういう人物であるか、また、どうなっていくのか分からないことなど。 類:●海の物とも山の物とも付かず●海の物やら川の物やら
・産みの親
(うみのおや) 1.その人を産んだ親。2.あるものごとを最初に始めた人。作り出した人。 例:「新制度の生みの親」
・産みの親より育ての親
(うみのおやよりそだてのおや) 自分を産んでくれた親に対してよりも、実際に育ててくれた養父母に対しての方が恩愛を深く感じるということ。
・産みの苦しみ
(うみのくるしみ) 子を産むときの激しい苦しみのこと。転じて、物を作り出したり、新しく事を始めたりするときの苦労。
・海のことは漁師に聞け
(うみのことはりょうしにきけ) 海のことなら、海に詳しい漁師に聞くのが一番である。実際に携(たずさ)わりそのことに長じている者に聞くのが一番である、ということの喩え。 類:●稼(か)は老農に如かず圃は老圃に如かず山のことは樵に聞け
・海も見えぬ舟用意
(うみもみえぬふなようい) 早まってすること。手回しが良過ぎること。
・膿を出す
(うみをだす) 始末しないとすっきりしないものを取り除くことの喩え。特に、組織の中の弊害(へいがい)を排除することや、腐敗した政治を正すことなどについて言う。 例:「官僚システムの膿を出す」
・海を山にする
 (うみをやまにする)到底無理なことをする。

−−−−−−−うむ(#umu)−−−−−−−
・有無相通ず(うむあいつうず) あるものとないものとが、互いに融通し合って双方巧くいくということ。あるものとないものとを融通し合う。 出典:「史記−越世家」
・有無を言わせず
(うむをいわせず) 承知、不承知の答えもさせないで。 用例:浄・新版歌祭文−長町「有無を言さず引立つる」 類:●否応(いやおう)なしに●無理矢理に

−−−−−−−うめ(#ume)−−−−−−−
・埋め合わせ
(うめあわせ) 不十分なところや損失などを、他のものごとで補(おぎな)うこと。また、そのためのもの。 類:●償(つぐな)い 例:「昨日の埋め合わせをする」
・梅一輪一輪ずつの暖かさ
(うめいちりんいちりんずつのあたたかさ) 松尾芭蕉の弟子・服部嵐雪(はっとりらんせつ)の句をもじって言われる句。梅の蕾が一輪綻(ほころ)び、また一輪綻び、それにつれて少しずつ暖かくなってくるということ。日ごとに春めいてくることをいう。 ★嵐雪の句は、「梅(むめ)一輪一輪ほどの暖かさ」。一輪咲いた梅の花を見ていると、冬とはいえ、僅(わず)かながらその一輪だけの暖かさがもう感じられる。
・梅が香を桜の花に匂わせて柳の枝に咲かせたい
(うめのかをさくらのはなににおわせてやなぎのえだにさかせたい) それぞれのものの最良のところだけを、一ところに集めてみたい。
・埋木に花咲く
(うめきにはなさく) 世間から忘れられていた身の上が、再び華やかな地位に返り咲くこと。 類:●埋もれ木に花咲く
・梅根性
(うめこんじょう) 執拗で根性の変え難(がた)い者のこと。 反:■柿根性
・梅田椎麦
(うめたしいむぎ) 梅の実のよくなった年は米も豊作。椎の実の多い年は、翌年の麦の取入れが多い。 ★熊本県のことわざ。
・梅田枇杷麦
(うめたびわむぎ) 梅の実が多い年は水田が上作、枇杷の実の多い年は麦が豊作であるということ。
・梅と桜
(うめとさくら) 美しいもの、また、良いものが共に並んでいる様子。
・梅と桜を両手に持つ
(うめとさくらをりようてにもつ) 良い物を、左右の手に持つ、ということで、良いことの上に、良いことがあること。 類:●梅と桜を両手に持つ●両の手の旨い物●両の手に花と紅葉 反:■泣きっ面に蜂弱り目に祟り目
・梅に鶯
(うめにうぐいす) 取り合わせが良い二つのもの。美しく調和するもの。また、仲が良い間柄。
・梅に鶯柳に燕
(うめにうぐいすやなぎにつばめ) 同じ季節内で似合うもの、調和して絵になるものの組み合わせ。二つまたは二人の、取り合わせが好ましいこと。 類:●松に鶴●竹に雀●卯の花と時鳥●桐に鳳凰●竹に虎●紅葉に鹿●牡丹に蝶●牡丹に唐獅子
・梅の木学問
(うめのきがくもん) 梅の木は生長が早いけれども結局大木にはならないということから、俄か仕込みの不確実な学問。 
反:■楠学問
・梅の木分限
(うめのきぶげん・ぶんげん) 梅の木は生長が早いが大木にならないということから、成り上がりの金持ち。 類:●にわか分限成金 
反:■楠(くすのき)分限
・梅は食うとも核食うな中に天神寝てござる
(うめはくうともさねくうななかにてんじんえてござる)[=種(たね)〜] 生梅(なまうめ)の種には毒があることを戒(いまし)めて言うの言葉。 
★天神は菅原道真の霊。道真が梅を愛した故事により、梅の核を噛むと字を忘れるという俗言も生じた<国語大辞典(小)>
・梅は其の日の難逃れ
(うめはそのひのなんのがれ) 朝梅干を食べると、その日一日災難を逃れるという俗信。
・梅は蕾より香あり
(うめはつぼみよりこうあり) 将来大成する人は小さい頃からその素質が見られるものだということ。 類:●栴檀は二葉より芳し
・梅は花の兄菊は花の弟
(うめははなのあに、きくははなのおとうと) その年最初に咲く梅の花を兄として、最後に咲く菊の花を弟として表現した。
・梅は百花の魁
(うめはひゃっかのさきがけ) 梅が寒の中に、その年の全部の花に先立って咲くということ。
・梅干しと友達は古いほど良い
(うめぼしとともだちはふるいほどよい) 梅干しは古いものほど味が良いとされる。同様に、友達も古いほど頼りになるものだということ。
・梅干婆
(うめぼしばば・ばばあ) 梅干しのように皺の寄った老女。 用例:浄・寿の門松−上「塩のからい梅干ばばが」
・梅を望んで渇きを止む(うめをのぞんでかわきをとどむ) 梅の実の酸っぱいのを想像すると、自然に口の中に唾が溜まるので、それで喉の渇きを一時堪(こら)える。 類:●梅林渇を解く●梅林止渇 ★三国時代、魏の曹操の計略(止渇之計)に基づく言葉。 出典:「世説新語−仮譎」「前有大林、饒子甘酸、可以解

−−−−−−−うも(#umo)−−−−−−−
・う文字
(うもじ) 「う」が語頭にくる語の女房詞(にょうぼうことば)。 1.内方(うちかた)。内儀(ないぎ)。妻のこと。2.宇治茶のこと。 用例:毛吹草−五「大ふくは年もう文字のうぢ茶かな」
・埋もれ木に花咲く
(うもれぎにはなさく) 世間から忘れられた不遇の身に意外な幸運が訪れること。
・埋もれ木を折り入れる
(うもれぎをおりいれる) 引っ込み思案である。 用例:
紫式部日記「かういとうもれ木ををりいれたる心はせにて」 用例の出典:紫式部日記(むらさきしきぶにっき) 平安時代の仮名(かな)日記。2巻。紫式部著。道長政権最盛期の宮廷生活を、土御門殿における敦成(あつひら)親王の誕生を軸に精細に描写した日記部分と、他の女房の批評や自己の生い立ち、性格、心境などを回想、述懐した消息的部分からなる。紫日記とも。 人物:紫式部(むらさきしきぶ) 平安中期の女流物語作者。中古三十六歌仙の一人。978頃〜1014頃。本名未詳。女房名「紫式部」は「源氏物語」の紫の上と、父の旧官名による。藤原為時の女。藤原宣孝と結婚し賢子をもうけたがまもなく死別。寡婦時代に「源氏物語」を書き始め、道長に認められて中宮彰子に仕えた。また、皇子誕生、女房評などを書いた「紫式部日記」、家集「紫式部集」がある。

−−−−−−−うや(#uya)−−−−−−−
・有耶無耶
(うやむや) 《四熟》 1.ものごとが有るか無いかはっきりしないこと。また、態度やものごとの結末などが、曖昧(あいまい)なこと。 用例:人情・恩愛二葉草−二章「有や無やにさへする事なら、身請の金は幾干(いくら)でも」 2.思い煩(わずら)って心がすっきりしない様子。 類:●もやもや 例:「胸の有耶無耶」

−−−−−−−うゆ(#uyu)−−−−−−−
・烏有先生
(うゆうせんせい) 《四熟》 架空の人物のこと。 
司馬相如が「子虚賦」の中で仮設した3人の人物:「子虚」⇒嘘吐き、「烏有先生」⇒何も無い先生、「無是公」⇒こんな人ないない公。 人物:司馬相如(しばしょうじょ) 中国前漢の文人。前179頃〜前117。字は長卿。景帝、武帝に仕えた。賦(ふ)に巧みで、「子虚」「上林」などの賦は、漢魏六朝の文人の模範となった。また、蜀・臨キョウの富豪の娘・卓文君(たくぶんくん)との交情の話は有名。
・烏有に帰す
(うゆうにきす)[=属す] すっかりなくなる。特に、火災で燃え尽くされて滅びる。 出典:「史記−司馬相如列伝」 ★「烏有」は「いづくんぞあらんや」と読み、「何もない」の意。

−−−−−−−うよ(#uyo)−−−−−−−
・紆余委蛇
(うよいだ) 《四熟》 山や林などが、うねうねと屈曲しながら長く続いている様子。 類:●蜿蜒長蛇 出典:司馬相如「上林賦」「[豊+コザト]、鎬、潦、[サンズイ+橘-木]、紆餘委蛇、経営乎其内」
・紆余曲折
(うよきょくせつ) 《四熟》 事情が込み入っていて、色々と変化すること。 類:●紆余 例:「紆余曲折を経る」 
★「紆」も「余」も、川や道などが曲がりくねっている様子を意味する<国語慣用句辞典(集)>
・羽翼の臣(うよくのしん) 君主を輔(たす)ける忠実な家来。 故事:「史記−留侯世家」「我欲易之、彼四人輔之、羽翼已成、難動矣」<うよくすでになれり、うごかしがたし> 漢の高祖(劉邦)は、戚(せき)夫人との子・如意(じょい)を太子に立てたいと思ったが、「商山の四皓(しこう=四人の高士)」が現れて太子・盈(えい)を擁護したので、廃嫡はできないと戚夫人に伝えた。

−−−−−−−うら(#ura)−−−−−−−
・裏がある
(うらがある) 公表していない秘められた事情がある。事の成り行きに、表には表れない隠された企(くわだ)てなどがある。 例:「この法案には裏がある」
・裏釘返す
(うらくぎかえす) 裏釘の先を打ち曲げて抜けないようにする。転じて、間違いのないように念を押す。 用例:浄・源義経将棊経−一「源氏の御世はうら釘かやし、天長地久成べきに」
・浦州の鳥
(うらすのとり) 浦州にいる水鳥が落ち着きなく歩き回るように、心が落ち着かない様子。
・占い者身の上知らず
(うらないしゃみのうえしらず) 占い者は、他人の身の上は占えても、自分の身の上は判断できないということ。占い者を嘲って言う言葉。
・末成りの瓢箪
(うらなりのひょうたん) 瓢箪の蔓の末の方に付いた実は艶(つや)がなく味も良くないところから、顔色が青白くていかにも弱々しく見える人のこと。また、そのような様子。
・裏には裏がある(うらにはうらがある) 世間のものごとや人間の心理は非常に複雑で、表面から判断しただけではその真相が掴めない。 類:●一枚の紙にも表裏あり
・裏腹
(うらはら) 1.背と腹の意味から、すぐ隣接していること。隣り合っていること。 類:●背中合わせ 例:「死と裏腹」 2.正反対なこと。 類:●あべこべ●裏表 用例:浮・浮世親仁形気−一「親御の御世話をなさるるが習ひなるに、おまへのは裏腹にて」
・うらぶれる 
しょんぼりと力なく、心の萎れるような状態を表わす言葉。 1.心の拠りどころがなく、力を落とす。憂(うれ)い萎(しお)れる。 用例:万葉−八七七「人もねの宇良夫礼(ウラブレ)をるに」 2.零落(おちぶ)れたり不幸に出会ったりして、惨(みじ)めな有り様になる。 例:「うらぶれた身なり」
・怨み骨髄に入る
(うらみこつずいにいる) 恨みが骨の芯まで染み通る。人を恨む気持ちが骨髄まで達するほど強いということ。 類:●恨み骨髄に徹す 出典:「史記−秦本紀」「繆公之此三人、入於骨髄
・恨み骨髄に徹す
(うらみこつずいにてっす) 心の底から恨む。激しく恨む。 類:●怨徹骨髄恨み骨髄に入(い)る
・怨みに報ゆるに徳を以ってす(うらみにむくゆるにとくをもってす) 人から酷い仕打ちをされても、恩徳でそれに報いる。 出典:「老子−63章」「為無為、事無事、味無味。大小多少、報怨以徳
・裏目に出る
(うらめにでる) 良かれと思ってやったことが予期に反して悪い結果になる。
・裏を返す
(うらをかえす) 1.遊里で、初めて揚(あ)げた遊女を二度目に呼ぶ。 類:●裏壁返す 2.1.から)同じ事をまたする。3.建築用語。壁の上塗りをする。4.打った釘の先を打ち曲げる。 類:●裏釘返す 5.事柄の本当のところを言い直す。同じ事柄を違う見地から述べる。多く、「裏を返せば」の形で使う。 類:●要するに 例:「裏を返せばやりたくないということだ」
・裏を掻く
(うらをかく)
 1.矢、刀、槍などを、物の裏まで突き通す。 類:●裏掻く 用例:保元−中「余る矢が、伊藤五が射向けの袖にうらかひてぞ立ったりける」 2.予想外の行動に出て相手を出し抜く。 類:●裏を食わす 用例の出典:保元物語(ほうげんものがたり) 鎌倉初期の軍記物語。3巻。著者未詳。承久(1219〜22)頃原型が成立したらしく、伝本が多い。保元元年(1156)に起こった保元の乱の顛末(てんまつ)を、鎮西八郎(ちんぜいはちろう)源為朝(みなもとのためとも)の活躍を中心に、和漢混淆文で活写した作品。

−−−−−−−うり(#uri)−−−−−−−
・売り家と唐様で書く三代目
(うりいえとからようでかくさんだいめ) 初代が苦労して作った財産も、三代目ともなれば没落して、ついに自分の家を売りに出す。その売家札の字が唐様(=江戸中期に流行した、明風の書体)で、遊芸に溺(おぼ)れた生活が忍ばれる、という意味の川柳。 類:●名家三代続かず●長者三代長者末代続かず長者に二代なし●名家に二代なし
売り言葉に買い言葉
(うりことばにかいことば)
・売り込む
(うりこむ) 1.巧く宣伝したりして買う気を誘い、品物を売り付ける。2.これから関係を付けようと思う相手に、こちらを印象付けるように働き掛ける。また、巧く言い包(くる)めて信用させる。 例:「自分を売り込む」 3.金品を目当てに、他人の秘密などを特定の人に漏らす。 例:「極秘情報を売り込む」 4.市場で、腰を据えて盛んに売る。
・売り出し三年
(うりだしさんねん) 1.商売というものは、開業当初には経営も苦しく我慢が必要だが、三年も我慢すれば軌道に乗るものだ。 類:●商い三年 2.ものごとはすぐに上手くゆくものではなく、暫(しばら)くの間は我慢しなさいということ。 類:●首振り三年
・売り出し中
(うりだしちゅう) 今まさに有名になりつつあること。ここに来て急に人気が高くなっていること。また、その人。 例:「目下売り出し中の新進作家」
・売り手市場
(うりてしじょう) 《株式用語》 需要量が供給量よりも大きいため、売り手が買い手に対して有利な立場にある市場の状態。 反:■買い手市場 例:「今年の就職戦線は、学生有利の売り手市場だ」
・瓜に爪あり爪に爪なし
(うりにつめありつめにつめなし) 字形のよく似た「瓜(うり)と爪(つめ)」との字画の相違を説明した言葉。
・瓜の皮は大名に剥かせよ、柿の皮は乞食に剥かせよ
(うりのかわはだいみょうにむかせよ、かきのかわはこじきにむかせよ) 瓜の皮は厚く剥く方が良く、柿の皮は薄く剥く方が良いということ。適切な加工法は、ものによって異なるものだということ。また、ものごとには、向き不向きがあるということ。 類:●魚は大名(上臈)に焼かせよ餅は乞食(下衆)に焼かせよ●適材適所 ★「梨の皮は姑(しゅうとめ)に剥かせ柿の皮は嫁に剥かせよ」などとも言う。
・瓜二つ
(うりふたつ) 「瓜を二つに割ったよう」を略した言葉。顔が良く似ていることの喩え。
・売り物には花を飾れ
(うりものにははなをじゃられ) 売り物は良く見せるために美しく飾れということ。遊女や婚期の娘などについても使う。 
★略して「売物には花」とも<国語大辞典(小)>
・瓜を二つに割ったよう
(うりをふたつにわったよう) 二つに割った瓜のそれぞれのように、親子、兄弟などの顔形が良く似ていることの喩え。 類:●瓜二つ●瓜を二つ
瓜の蔓に茄子は生らぬ(うりのつるになすびはならぬ)

−−−−−−−うる(#uru)−−−−−−−
・五月蝿い
(うるさい)・煩い 1.ものが多く付き纏って煩(わずら)わしい。 類:●鬱陶(うっとう)しい 2.音や声が耳に付いて不快だ。 類:●喧(やかま)しい ★「五月蝿」は当て字。夏目漱石が小説の中で用いて一般化した。 参考:五月蝿(さばえ) 陰暦五月頃にむらがりさわぐ蠅。夏の蠅。小さな蠅<国語大辞典(小)>
・売るほどある
(うるほどある) 商売ができるほどたくさんある。 例:「頭痛の種など売るほどある」

−−−−−−−うれ(#ure)−−−−−−−
・憂えを掃う玉帚
(うれえをはらうたまははき) 飲めば憂いを忘れるということから、酒の徳を賞して言う言葉。転じて、酒のこと。 出典:蘇軾の詩、飲酒「応呼釣詩鉤。亦号掃愁帚」
・嬉しい悲鳴
(うれしいひめい) 非鳴を上げるほど嬉しいことが殺到する様子。
・売れ残り
(うれのこり) 1.売れないで残ること。また、その商品。2.遊女が、客が付かずに残っていること。また、その遊女。 用例:雑俳・柳多留−十「うれ残りまっかなやつが五六人」 3.女性が婚期を逃がして独身でいること。また、その人。卒業期に就職が決まっていないことにも言う。

−−−−−−−うろ(#uro)−−−−−−−
・疎覚え
(うろおぼえ・おろおぼえ) 記憶が不確かであること。ぼんやりと覚えていること。 類:●空覚え ★「疎(おろそ)か」に「覚える」ことの「おろおぼえ」から転訛したもの。
・うろが来る
(うろがくる) 〔連語〕 頭が混乱してうろうろする。 類:●狼狽(うろた)える ★「うろ」は「うろたえ」の略か<国語大辞典(小)>
・烏鷺の争い
(うろのあらそい) 黒い石と白い石を羽の黒い烏と白い鷺に見立てて、囲碁で勝負を争うことをいう。 類:●棋戦●対局 ★日本語での特別な意味。
・胡乱の沙汰
(うろんのさた) 「胡乱」は不確実で疑わしいという意味。好い加減で疑わしい評判や風評。

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