【たあ】~【たお】
・だあとなる 呆(あき)れる。呆気(あっけ)に取られる。 ★「だあ」は、歌舞伎で殺される者が出す叫び声、または、呆れたりしたときに発する声<国語慣用句辞典(集)>
−−−−−−−たい(あ)(#tai1)−−−−−−−
・第一線(だいいっせん) 1.一番初めの線。2.戦場で敵に最も近い地域。 類:●最前線 3.比喩的に、その方面で、最も重要で華々しい位置。また、最も重要な立場。 例:「息子の結婚を機に第一線を退くつもりだ」
・太液の芙蓉(たいえきのふよう) 太液の辺(ほとり)にある芙蓉ということで、美人の顔のこと。 出典:「白居易−長恨歌」「帰来池苑皆依旧、太液芙蓉未央柳、芙蓉如面柳如眉」 参考:太液(たいえき) 中国の宮殿にあった池の名前。漢代は長安城外の未央宮(びおうきゆう)内に、唐代は城内の大明宮内にあった。明・清代には北京の西苑内にあった。
・大往生を遂ぐ(だいおうじょうをとぐ)・大往生する 立派に往生するという意味から、心に乱れのない安らかな死に方をすること。時に、高年齢まで生きたことを意図して使う場合もある。 類:●天寿を全うす●末遂ぐ 例:「93歳で大往生を遂げた」
・大恩は報ぜず(だいおんはほうぜず) 小さな恩義には負い目を感じて報(むく)いようとするが、大き過ぎる恩義には、却(かえ)って気が付かず、見過ごしてしまうものだ。また、気付いても報いようとしないものだ。
−−−−−−−たい(か1)(#tai2)−−−−−−−
・大概にする(たいがいにする) 程々のところで止(や)めておく。好い加減のところで止める。適当なところで留めておいて深入りしない。 類:●大体にする●大方(おおかた)にする●大抵にする 例:「冗談も大概にしろ」
・大海の一粟(たいかいのいちぞく)[=一滴(いってき)] 広大な場所に非常に小さなものがあること。 類:●滄海の一粟
・大海は芥を択ばず(たいかいはあくたをえらばず)
・大海を手で塞く(たいかいをてでせく) 到底(とうてい)不可能なことをしようとすること。事の困難に引き換え、こちらがあまりにも無力なことの喩え。 類:●蛤で海をかえる
・体がない(たいがない) 1.しっかりしたところがない。意気地がない。だらしがない。2.益体(やくたい)もない。 類:●埒(らち)もない●くだらない 3.相撲で、倒れてはいないが、既に堪(こら)える余裕のない状態。 類:●死に体(しにたい)
・大廈成りて燕雀相賀す(たいかなりてえんじゃくあいがす) 大きな建物が出来上がると、燕や雀など小鳥達は安全な巣を作れるので、互いに喜び合う。 1.物にはそれぞれ適する場所があるということの喩え。2.環境の変化が、思い掛けないところに影響を及ぼすことの喩え。 出典:「淮南子−説林訓」「湯沐具而[虫+幾]虱相弔、大廈成而燕雀相賀」
・大廈の材は一丘の木にあらず(たいかのざいはいっきゅうのきにあらず) 大きな建物は、一つに丘だけの木を材料にした訳ではないということ。転じて、大事業は必ず大勢の力によるもので、一人だけの力ではできないということ。 出典:「王褒−四子講徳論」 人物:王褒(おうほう) 字は子淵。瑯邪郡臨沂の人。513〜576。梁の武帝に仕えて、秘書郎・太子舎人を勤め、南昌県侯に封ぜられた。蕭子雲に草書・隷書を学んで、師とともに名を知られた。梁の元帝が即位すると、吏部尚書・右僕射に上った。承聖3年(554)、西魏が江陵を落とすと、長安に抑留された。官は少司空に上った。北周が建国されると、石泉県子に封ぜられた。明帝に近侍し、詩を賦し、談論に興じた。のち宜州刺史として出された。顧野王とともに二絶と称された<枕流亭>
・大廈の顛れんとするは一木の支うるところにあらず(たいかのたおれんとするはいちぼくのささうるところにあらず) 大きな建造物が倒れようとしているとき、一本の木ではどうすることも出来ない。転じて、大勢が傾きかけているときには、一人の力では支え切れないということ。 出典:「文中子−事君」
・対岸の火事(たいがんのかじ)[=火災] 向こう岸の火事はこちらに飛び火する心配がないところから、自分には関係なく少しも痛痒を感じないものごと。 類:●向こう河岸の火事●川向こうの火事●高みの見物
・大姦は忠に似たり(たいかんはちゅうににたり) 「大姦」は、極悪人のこと。大悪人は本性を隠して忠実に主君に仕(つか)えるので、却(かえ)って忠臣のように見えるものである。悪人も大物となれば、中々尻尾を掴(つか)ませないものである。 出典:「宋史−呂誨伝」「劾安石曰、大姦似忠、大詐似信」 王安石(おうあんせき)を弾劾(だんがい)した御史中丞・呂誨(りょかい)の『弁姦論』にある言葉。
・大義親を滅す(たいぎしんをめっす) 国家、君主の大義のためには、人として最も深いつながりの親・兄弟などの肉親さえも顧(かえり)みない。 類:●大義滅親 出典:「春秋左氏伝−隠公四年」
・大吉は凶に還る(だいきちはきょうにかえる) 良いことも過ぎると却って凶に近付く。良いことばかりは続かないので注意せよという戒め。 類:●最上は幸福の敵●満は損を招く●陽極まって陰生ず
・大疑は大悟の基(たいぎはたいごのもと)
・大器晩成(たいきばんせい)
・大義名分(たいぎめいぶん) 《四熟》 1.人として、または、臣民として守らなければならない根本的な道理。2.行いの基準となる道理。理由付けとなる明確な根拠。疚(やま)しくない口実。 例:「大義名分が立つ」
・大逆無道(たいぎゃくむどう) 《四熟》 甚(はなは)だしく人の道に背(そむ)き、道理を無視した行為。主君や親を殺すことなど。 出典:「史記−高祖本紀」
・大魚は小池に棲まず(たいぎょはしょうちにすまず) 大きな魚は水溜まりのような小さな池には生息しない。大人物はつまらない仕事をしたり、低い役職に拘ったりしないということ。 類:●流れ川に大魚なし●鶴は枯木に巣を構わず
・大魚を逸す(たいぎょをいっす) 大事を仕損じる。大きな功名手柄や、大儲けなどを逃(の)がす。
・大工の掘っ立て(だいくのほったて) 立派な家を建てるのを仕事とする大工が、自分では掘っ立て小屋のような粗末な家に住んでいる。他人のためばかりに忙しく、肝心の自分のことには手が回らないことの喩え。 類:●髪結いの乱れ髪●医者の不養生●坊主の不信心●儒者の不身持ち●紺屋の白袴●易者身の上知らず
・大言壮語(たいげんそうご・だいげんそうご) 《四熟》 実力もないのに大きなことを言うこと。できそうもないことをできると言うこと。また、その言葉。 類:●大口を叩く●大風呂敷を広げる●御大層をまける●骨箱をたたく●頤(おとがい)を叩く●壮言大語
・大賢は愚なるが如し(たいけんはぐなるがごとし)
−−−−−−−たい(か2)(#tai2-2)−−−−−−−
・大行は細謹を顧みず(たいこうはさいきんをかえりみず)[=細瑾を〜・小謹を〜] 大事業をしようとする者は、些細な事柄や欠点を気に掛けないで、どしどし事を行なう。 出典:「史記−項羽本紀」
・大巧は拙なるが如し(たいこうはせつなるがごとし) 優れて巧みな人は、細工を弄しないから却って下手(へた)に見える。また、その芸を自慢しないから一見拙(つたな)い者のように見える。 類:●大賢は愚に似たり●大智は愚の如し●大弁は訥(とつ)なるが如し●大賢は愚なるが如し●能ある鷹は爪を隠す 出典:「老子−四十五」「大直若屈、大巧若拙、大弁若訥」
・太公望(たいこうぼう)
・大功を成す者は衆に謀らず(たいこうをなすものはしゅうにはからず) 大事業を成し遂げる者は、人の意見を聞いたり相談したりせず、自分の考えで事を進めるということ。 ★議論百出を避けるため、また、秘密が漏れるのを警戒して。 出典:「戦国策−趙」「夫論至徳者、不和於俗、成大功者、不謀於衆」
・大黒の尻に味噌(だいこくのしりにみそ) あり余っている上に、更に物を添えること。 類:●長者の脛(はぎ)に味噌を付ける
・大黒柱(だいこくばしら) 1.日本の民家の中央部に立っている最も太い柱。主に土間、表、内の三合にあたる柱で、建物の位置が定まった時、最初に立てられる。 類:●立初柱(たてそめばしら) ★家格の象徴とされる<大辞林(三)> 2.集団(一国や一家など)の中心となって支えている人物。
・大黒柱を蟻がせせる(だいこくばしらをありがせせる) 大黒柱を蟻が齧(かじ)ってもびくとも動かない。実力のない者が大きな事を言ったり考えたりすること。 類:●大黒柱と腕押し●大黒柱を蟻の鬚●大仏を蟻が曳く●富士の山を蟻がせせる●藁しべを以て泰山を上ぐる
・太鼓のような判を捺す(たいこのようなはんをおす) 間違いなく大丈夫だと保証する。 類:●太鼓判を捺す
・太鼓判を捺す(たいこばんをおす) 「太鼓判」は、太鼓のように大きな判子の意味。証明のために大きな判を捺すいうことで、絶対間違いがないと保証すること。
・醍醐味(だいごみ) 1.仏教用語。五味(ごみ)のうち最上のもの。 参考:五味(ごみ) 『涅槃経(ねはんぎょう)』で、牛乳を精製する過程で順次に生じる五段階の味。乳味(にゅうみ)・酪味(らくみ)・生酥味(しょうそみ)・熟酥味(じゅくそみ)・醍醐味の五つの総称。醍醐味を最上とする。 2.仏教用語。1.から転じて、如来の最上の教法。一乗真実の法。 類:●醍醐の法味 3.最上の味わい。美味なものを褒めていう言葉。 用例:浄・最明寺殿「粟(あわ)の飯とは日本一の醍醐味」 4.ものごとの本当の面白さ。深い味わい。 類:●真髄 例:「それが芝居の醍醐味だ」 用例の出典:最明寺殿百人上臈(さいみょうじどのひゃくにんじょうろう) 浄瑠璃。近松門左衛門。元禄12年(1699)。宇治座初演。「鉢の木」もの。最明寺殿とは北条時頼(ときより)のこと。その子・時宗が謀反に遭って、龍女に救われる場面など。
・太鼓も桴の当たりよう(たいこもばちのあたりよう) 太鼓の音の大小は叩き方次第であるところから、遣り方次第で相手の応じ方も違ってくること。
・太鼓持ち(たいこもち) 1.遊客に従って、酒興を助けるのを職業とする男。 類:●太鼓衆●男芸者●幇間(ほうかん) 2.人に追従(ついしょう)してその歓心を買う者。諂(へつら)って、機嫌ばかりを取る者。 類:●太鼓叩き 3.太鼓を持つこと。また、その人。 類:●御幣持ち ★「たいこ」は語の相槌・応答の意、「持ち」は仲を取り持つことの意とするほか、諸説がある<国語大辞典(小)>
・太鼓を打つ(たいこをうつ) 1.他人に調子を合わせる。相手の取り持ちをして機嫌りを取る。迎合する。2.座を取り持つ。 類:●太鼓を叩く●太鼓を持つ 3.馬が発情して陰茎で自分の腹を打つ。
・太鼓を打てば鉦が外れる(たいこをうてばかねがはずれる) 太鼓を叩くことばかりに気を取られていると鐘を打つことが疎(おろそ)かになって打ち損じたりするものである。一度にあれもこれもやろうとしても、できるものではないということの喩え。 類:●鉦叩きゃ念仏が外れる●田のことすれば畑が荒れる●念仏申せば鉦が外れる●櫓を推して櫂は持たれぬ 反:■一挙両得■一石二鳥
・太鼓を叩く(たいこをたたく)[=持つ] 甘言やお世辞を言って、相手の気に入るようにする。相槌(あいづち)を打つ。 類:●上手を遣う●太鼓を打つ
・大根食ったら葉っぱ干せ(だいこんくったらはっぱほせ) 大根の葉のようにいつもは捨ててしまうようなものでも、まさかの時に役に立つものである。一見利用価値のないもののようでも、まったく無駄なものはないということの喩え。 類:●無用の用●豚は鳴き声以外捨てるところがない
・大根役者(だいこんやくしゃ) 《四熟》 白い大根に素人のシロを掛けた洒落(しゃれ)。演技が拙(まず)い俳優を嘲(あざけ)って言った言葉。単に「大根」とも言う。 ★なお、語源としては、下手な役者を馬の脚ということから、それに大根を結び付けたものであるとか、大根はいくら食べても、また、どんな食べ方をしてもあたらないから、あたらない役者の洒落であるとの説もある<国語慣用句辞典(集)>
・大根を正宗で切る(だいこんをまさむねできる) 高々大根を切るのに、名刀の誉(ほま)れ高い正宗を持ち出すことはない。 1.大したことでもないのに、大人物や大袈裟な手段を取ることの喩え。些細なことを大袈裟にすることの喩え。 類:●鶏を割くに焉ぞ牛刀を用いん 2.実力ある立派な人物に、くだらない仕事をさせることの喩え。また、人や道具の使い方を間違っていることの喩え。
−−−−−−−たい(さ1)(#tai3)−−−−−−−
・台座が来る(だいざがくる) 後になってから苦情が持ち込まれる。他人がした、好ましくないものごとの処理が身に降り掛かってくる。後始末をさせられる。とばっちりが来る。 類:●尻が来る●尻を拭う●尻拭いをする
・台座後光に離れる(だいざごこうにはなれる) 仏像の台座と後光とを失うという意味で、僧侶が堕落して寺院から追い出されること。
・台座後光を仕舞う(だいざごこうをしまう)[=失う] 仏像から台座と後光を取ってしまうと、まるで威厳がなくなるところから、面目が丸潰れになること。全く失敗すること。命を失うこと。
・台座の別れ(だいざのわかれ) 胴体を台座に喩えて、斬られて、首と胴とが別々になること。首を切られて死ぬこと。 類:●台座後光を仕舞う●笠の台の生き別れ
・台座を据える(だいざをすえる) 尻を据えるという意味で、心を決めてどっしりと落ち着いている様子。
・台座を放す(だいざをはなす) 胴体を台座に喩えて、首を斬ること。
・泰山頽れ、梁木壞る(たいざんくずれ、りょうぼくやぶる) 泰山は中国一の名山、梁木は建物の大事な梁(はり)で、大きくて大切なものが壊れること。転じて、偉大な人の死を形容する。 出典:「礼記−檀弓・上」「泰山其頽乎、梁木其壞乎、哲人其萎乎」 ★孔子が自分の死期を予知して詠ったという言葉に基づく。
・泰山の霤は石を穿つ(たいざんのあまだれはいしをうがつ・りゅうは〜) 泰山から滴(したた)り出る水の雫(すずく)が一滴一滴と落ちるうち、ついに石に穴を空けるということ。小さな力でも根気よく続ければ成功するということの喩え。 類:●雨垂石を穿つ
・泰山の安きに置く(たいざんのやすきにおく) 泰山のように、揺るぎないものにする。ものごとをどっしりと安定させる。
・泰山は土壌を譲らず(たいざんはどじょうをゆずらず)・太山は〜 大事業を成す者は、度量が広く、どんな小さな意見をも良く取り入れるということ。李斯(りし)の言葉。 類:●河海は細流を択ばず 出典:「十八史略−秦・始皇」 参照:中国、古代の諺。「管子−形嗾」「戦国策−秦策」「韓非子−大体」など 泰山が大きな山となったのは、どんな小さな土くれをも拒まずに包容したからである。 人物:李斯(りし) 秦の政治家。?〜前208年。郡の小吏から出、呂不韋の舎人となり、始皇帝の天下統一後丞相になった。荀子に学び、韓非の法治主義(法家)を実践し、焚書坑儒、文字の統一、郡県制など一連の専制国家政策を強行したが、二世皇帝胡亥のとき、趙高に欺(あざむ)かれて刑死した。
・泰山北斗(たいざんほくと) 《四熟》 山の泰山と北斗星。転じて、ある一つの道で最も高く仰(あお)ぎ尊ばれる人。 類:●泰斗 出典:「唐書」
・大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)
・泰山梁木(たいざんりょうぼく) 《四熟》 山の泰山、家の梁木のように、たよりになるたのもしい人。また、たよりになる尊いもの。 出典:「礼記−檀弓・上」 ★孔子が自分の死期を予知して詠ったという言葉に基づく。
・泰山を挟んで北海を超ゆ(たいざんをわきばさんでほっかいをこゆ) 泰山を小脇に抱えて北海(渤海湾=ぼっかいわん)を飛び越えるということ。人間の力では到底不可能なことの喩え。 出典:「孟子−梁恵王・上」「挟太山以超北海、語人曰、我不納、是誠不能也」
・大したもんだよ蛙のしょんべん(たいしたもんだよかえるのしょんべん) 1.啖呵(たんか)売りの口上(こうじょう)の一つ。この商品は大したものだと、その効能を売り込んで言う。 ★「たいした」は、「田ぃした(田へした)」と掛けていて、「蛙の〜」に繋(つな)がる。 ★江戸時代末期に成立したと考えられる。 2.一般に、ものごとが大したものであるときに、少し囃(はや)して言う。
・大事に懸ける(だいじにかける) 大切にする。丁寧(ていねい)に扱う。
・大事の中に小事なし(だいじのなかにしょうじあり) 大事を行なう場合には、小事を顧(かえり)みる余裕はない。大事のときは、小事になど構っていられない。
・大事の前の小事(だいじのまえのしょうじ)
・大事は小事より起こる(だいじはしょうじよりおこる) 大事を行なう前は、どんな小事にも油断をしてはいけない。 類:●大事の前の小事
・大樹将軍(たいじゅしょうぐん) 《四熟》 1.樹の下にいる将軍。馮異(ふうい)のこと。 出典:「後漢書−馮異伝」「諸将並坐論功、異常独屏樹下、軍中号曰、大樹将軍」 2.転じて、将軍または征夷大将軍の異称。 故事:後漢の馮異は兵法に通じ、光武帝(こうぶてい・劉秀)に仕えて戦功を立てたが、謙虚な人柄で決して自分から誇(ほこ)らなかった。諸将は隊列が止まるたびに我先にと手柄話をしているのに、一人その場を退(しりぞ)いて樹の下に座っていたので「大樹将軍」と渾名(あだな)された。馮異の軍の規律は高く、掠奪に参加しなかったため敵にも慕われ、投降した兵士たちは皆馮異の部下になりたいと願った。
・大樹の下に美草なし(たいじゅのしたにびそうない) 1.茂った大木の下は日陰なので、良い草が生育しないという意味で、大人物の下では、人は意欲を失うので、有能な人は育たないという喩え。 類:●大木の下に小木育たず 2.人材の育つ条件に欠けるところには、有能な人間は集まらないものであるということの喩え。
・大樹の将に顛れんとするは一縄の維ぐ所に非ず(たいじゅのまさにたおれんとするはいちじょうのつなぐところにあらず) 倒れようとする大木を僅か一本の縄で支えることはできない。国家が転覆するとき、一人の力ではどうにもならないことの喩え。 類:●大廈の顛れんとするは一木の支うるところに非ず 出典:「後漢書−徐チ伝」「大樹将顛、非一縄所維、何為栖栖不遑寧処」
・大乗的見地(だいじょうてきけんち) 小さな事に心を囚(とら)われることなく、全体の成り行きを考えて事を決しようとする観点。自己の立場や私情を捨てて、ものごとを大きく捉(とら)えること。 類:●大局的見地
・大丈夫(だいじょうぶ) 1.立派な男。「だいじょうふ」とも読む。 類:●丈夫(ますらお) 出典「孟子−滕文公・下」「景春曰、公孫衍張儀、豈不誠大丈夫哉」 ★周尺の一丈を男子の身長としたところから<広辞苑第四版(岩)> ★中国語では「大丈夫」が「亭主関白の夫」を指す場合もある。 2.人が、極めて健康である様子。とても気丈(きじょう)である様子。非常に頼もしく心強い様子。 用例:人情・春色梅児誉美−初「さぞこわかったらふモウモウ気を大丈夫におもちヨ」 3.危な気(げ)ない様子。間違いない様子。 用例:滑・浮世床−初「あの息子もよく?(かせい)で利口者だから身上は大丈夫(デヘジャウブ)だ」 4.(副詞的に)間違いなく。確かに。きっと。 類:●十中八九 用例:人情・英対暖語−二「其様なことは大丈夫ござゐません」 ★2〜4は、日本での特別な意味で、「丈夫」(→参考)の強調表現から。 参考:丈夫(じょうぶ) ①健康・達者である。②作りが頑丈である。③確かな様子。確実な様子。 用例:謡曲・舟弁慶「御座舟のことを仰せ付けられて候ふ間、丈夫に申し付けて候」
−−−−−−−たい(さ2)(#tai3-2)−−−−−−−
・大食は命の取り越し(たいしょくはいのちのとりこし) 並以上に食べる者は、生命を縮めることになるということ。
・大食腹に満つれば学問腹に入らず(たいしょくはらにみつればがくもんはらにいらず) 食べ過ぎて満腹になると、思考活動が鈍(にぶ)くなるものである。 類:●腹の皮が張れば目の皮が弛む
・大事を取る(だいじをとる) 軽々しく行動せず、用心して事に当たる。慎重(しんちょう)に行動する。自重(じちょう)する。
・大尽風を吹かす(だいじんかぜをふかす) 金持ちであることをひけらかすこと。また、いかにも大金 を持っているように見せ掛けること。
・大人君子(たいじんくんし) 《四熟》 徳の高い立派な人。盛徳(せいとく)の人。有徳(ゆうとく)の人。
・大人は大耳(たいじんはおおみみ) 心にゆとりのある人は、細かなところを一々聞き咎(とが)めない。 類:●大名は大耳
・大人は虎変する(たいじんはこへんする) 徳が高い人は、虎が見事(みごと)に変身するように、速(すみ)やかに過ちを改める。 類:●君子は豹変する 反:■小人は革面す ★虎も豹も、季節が変わるときに毛が抜け変わり鮮やかに変身する。その変わりっぷりが一番見事なのが、虎、その次が豹だと言われる。 出典:「易経−革卦」「大人虎変、其文炳也」
・大人は赤子の心を失わず(たいじんはせきしのこころをうしなわず) 1.高徳の人は、幼いころの純粋な心をいつまでも失わず、それを広めて大きな徳を備えるようになった。2.君主たる者は、幼児を慈(いつく)しむように民心を大切にするので、いつも民の支持を失わない。 出典:「孟子−離婁・下」
・大声は里耳に入らず(たいせいはりじにいらず) 優れた音楽が俗耳に入り難(にく)いように、高尚な道理を説き聞かせても、俗人には理解され難いものである。また、高尚な言論は、俗人には解(わか)らないということ。 出典:「荘子−天地」「大声不入於里耳」 ★「里耳」は、「俚耳」と同じ意味で俗人の耳のこと。
・泰然自若(たいぜんじじゃく) 《四熟》 落ち着いてものごとに動じない様子。 類:●意気自若 ★「泰然」も「自若」も落ち着いているという意味。同意の言葉を重ねて意味を強めたもの。
・大層もない(たいそうもない) とんでもない。途轍もない。愚にも付かない。 用例:滑・七偏人−三「大造(タイソウ)もねへ事を言やアがるから」
・大層らしい(たいそうらしい) いかにも大袈裟である。 用例:洒・福神粋語録−自序「何もこんなに大造(タイソウ)らしくいふ事もねへ」 類:●仰山である ★「らしい」は接尾語<国語大辞典(小)> 用例の出典:福神粋語録(ふくじんすいごろく) 洒落本。細川万象亭(森島中良)作。天明6年(1786)。・・・詳細調査中。
・大それた(だいそれた) 標準やあるべき状態から大きく外(はず)れたという意味で、とんでもない。不届きな。まったく非常識な。 類:●度外(どはず)れた●おおそれた 用例:俳・毛吹草−五「だいそれた匂ひは梅のつぎほ哉」
−−−−−−−たい(た)(#tai4)−−−−−−−
・橙が赤くなれば医者の顔が青くなる(だいだいがあかくなればいしゃのかおがあおくなる) 橙の実が黄色く色づく秋は、気候が良いので病人が少なくなり、医者の仕事がなくなる。 類:●蜜柑が黄色くなると医者が青くなる●柿が赤くなれば医者は青くなる●橙が青くなれば医者の顔が赤くなる
・橙の数(だいだいのかず) 毎年毎年、正月に橙を飾るところから、年の数のこと。年齢。
・大団円(だいだんえん) 小説や劇などの終わり、または最終のこと。特に、最後がめでたく収まること。 類:●大切り●大詰め●終局●大尾(だいび)●カタストロフィ ★「大」は、程度が甚だしい意の接頭語。「団円」は、丸い円のことで、転じて、欠けることなく完全に終わること。
・大胆不敵(だいたんふてき) 《四熟》 大胆で敵するものがないこと。何者をも恐れないこと。大胆で物に動じない様子。 例:「大胆不敵な面魂」
・大地に槌(だいちのつち) 大地を槌で打つということで、絶対に失敗しないことの喩え。確実なこと。 類:●槌で大地を叩く●地を打つ槌
・大智は愚なるが如し(だいちはぐなるがごとし) 真の知恵者は思慮深くて、利口ぶったりしないので、一見すると愚者のように見えるものである。 類:●大賢は愚なるが如し●大欲は無欲に似たり 出典:蘇軾「欧陽少師の致仕するを賀するの啓」「大勇若怯、大智如愚」」 ★小賢(こざか)しい人知を否定する老子の思想に基づいた言葉。
・大地を見抜く(だいちをみぬく) 非常に優れた眼識で、ものごとの裏まで見通す。
・大椿(だいちん) 中国、古伝説上の大木の名。八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年に当たるという。転じて、長寿を祝って用いる言葉。 類:●椿寿 出典:「荘子−逍遥遊」
・大抵にする(たいていにする) 好い加減なところ止(や)めておく。ほどほどにする。 類:●大概にする●大方にする
・大抵や大方(たいていやおおかた) 1.普通でない様子や状況について言う。非常に。酷(ひど)く。 用例:伎・幼稚子敵討−口明「大ていや大方に厭らしうて厭らしうて」 2.多く、下に打消しの語句を伴って使う。大概。大体。一通りの。普通に。並々。 用例:浄・艶容女舞衣−七「善右衛門といふやつが大ていや大かた悪いやつじゃない」 用例の出典①:幼稚子敵討(おさなごのかたきうち) 歌舞伎。並木正三。宝暦3年(1753)。・・・詳細調査中。 用例の出典②:艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ) 浄瑠璃。世話物。3巻6段。竹本三郎兵衛・豊竹応律・八民平七の合作。安永元年(1772)大坂豊竹座初演。三勝半七の心中事件を脚色したもの。下の巻の上塩町が「酒屋の段」として有名。「酒屋」。
・大敵と見て恐れず、小敵と見て侮らず(たいてきとみておそれず、しょうてきとみてあなどらず) 敵が強そうだからといって、恐れて怯(ひる)んではいけない。敵が弱そうだからといって、見縊(みくび)って油断してはいけないということ。 類:●大敵を見ては欺き小敵を見ては畏れよ ★明治15年(1882)1月15日、明治天皇が発布した「軍人勅諭」にある言葉。「小敵たりとも侮らす、大敵たりとも懼れす、己か武職を尽さむこそ誠の大勇にはあれされは」
・大同小異(だいどうしょうい) 《四熟》 大体は同じで、少しだけ違っていること。細かな部分は異なっているが、全体としては似たり寄ったりであること。 類:●似たり寄ったり●どっこいどっこい●五十歩百歩 出典:「荘子−天下」「大同而与小同異、此之謂小同異。万物畢同畢異、此之謂大同異」
・大道廃れて仁義有り(だいどうすたれてじんぎあり)[=行わる] 大道が自然に行われていた太古は、特に仁義を説く必要はなかったが、後世道徳が廃れてきて、仁義が必要になり提唱されるようになった。仁義が必要なのは、大道が失われたからであるということ。 ★儒教の仁義説を非難した言葉<大辞林(三)> 出典:「老子−一八章」
・大同団結(だいどうだんけつ) 《四熟》 多くの団体や党派が、小さな意見の違いを越えて、一つの目的のもとに一致し団結すること。
・大徳は小怨を滅ぼす(だいとくはしょうえんをほろぼす) 恩恵が甚大であれば、小さな怨(うら)みなどは、自然に消えてなくなってしまうものである。 類:●怨みに報ゆるに徳を以ってす 出典:「春秋左氏伝−定公五年」「王曰く、大徳あるときに小怨を滅ぼすは道なり」
・台所唐人(だいどころとうじん・だいどことうじん) 1.目籠(めかご)や杓子(しゃくし)などの台所道具を用いて、唐人の姿に似せること。また、その者。 ★江戸時代、茶番や酒席などの余興として行なわれた。 2.転じて、人を罵(ののし)って言うのに用いる。
−−−−−−−たい(な)(#tai5)−−−−−−−
・鯛なくば狗母魚(たいなくばえそ)[=魚+曾] 相応(ふさわ)しいものがないときは、少々劣っていても、代わりのもので我慢するより仕方がないということ。
・台無し(だいなし) 1.ものごとがすっかり駄目になること。壊れたり汚れたりして役に立たなくなること。 用例:洒・傾域買二筋道三篇宵の程−一「袖をだいなしに濡らした。サア着せかへましょ」 ★「台」は、仏像の台座のこと。 2.後に打ち消しの表現または否定的な内容の語を伴って、すっかり。全然。まるで。 用例:伎・名歌徳三舛玉垣−三立「御覧じませ、お客へ上る茶がだいなし水になりました」 用例の出典①:宵の程(よいのほど) 洒落本。梅暮里谷峨。傾域買二筋道の三篇。寛政12年(1800)。 用例の出典②:名歌徳三舛玉垣(めいかのとくみますのたまがき) 歌舞伎。時代物。3幕。桜田治助。享和元年(1801)江戸河原崎座初演。平安時代、文徳(もんとく)天皇の第一皇子惟喬(これたか)親王と、第二皇子惟仁(これひと)親王との皇位継承争いを脚色。皇位を継ぐことに決定した惟仁親王に反対して、惟喬親王側の従臣たちが神璽(しんじ)・神鏡を奪うなどするが、結局は惟仁即位となる。
・大なり小なり(だいなりしょうなり)・大なれ小なれ 大きいにしろ小さいにしろ。大小に拘(かか)わらず。兎も角も。 用例:浄・曾我五人兄弟−四「大なれ小なれ御身は曾我の世継也」
・大に事え、小を字む(だいにつかえ、しょうをいつくしむ) 小国は大国に仕え、大国は小国を慈しむ。好ましい国家関係の喩え。 出典:「春秋左氏伝−昭公十六年」「僑聞為国、非不能事大字小之難」 ★「字」は、「慈」と同じ。
・大の男(だいのおとこ) 1.大きな男。大男。 2.一人前の男。成人した立派な男。 例:「大の男がめそめそ泣くな」
・鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのあたま)
・大の字(だいのじ) 1.「大」という字。また、「大」の字に形が似たもの。特に、人が両手両足を広げて大の字なりに寝た形を指す。 例:「大の字になって寝る」 2.「大文字の火」のこと。昔は7月、今は8月の16日の夜、盂蘭盆(うらぼん)の行事として、京都、東山の如意ケ岳(にょいがたけ)の西側の斜面に薪を積み並べ火を点じて大の字形を表わす送り火。また、北区の衣笠山でも同じ時に大文字の火が焚かれるが、これは左大文字と呼ばれる。 類:●大文字(だいもんじ) 3.遊女が客と床に就くこと。
・大の虫を生かして小の虫を殺す(だいのむしをいかしてしょうのむしをころす) どうしても止むを得ないときには、大きなものを救うために、小さなものを犠牲にする。 類:●小の虫を殺して大の虫を助ける
−−−−−−−たい(は)(#tai6)−−−−−−−
・大は小を兼ねる(だいはしょうをかねる)[=叶(かな)える] 大きいものは、小さいものの代用品としても利用できる。大きいものは小さいものの効用を併せ持っている。 出典:「春秋繁露−度制」「夫已有大者、又兼小者、天下能是之、況人乎」 出典:春秋繁露(しゅんじゅうはんろ) 『春秋』の解説書。前漢。董仲舒(とうちゅうじょ)撰(偽書説あり)。主として『春秋公羊伝』に依拠しているが、よく陰陽五行思想を込めている。諸子百家の思想が混淆して発展した漢代の思想を知る上で重要な文献。
・台風一過(たいふういっか) 《四熟》 1.台風が通り過ぎて、風雨が収(おさ)まり晴天になること。また、その日。 例:「台風一過の雲一つない青空」 2.比喩的に、騒動が収まった後の平穏な状態。 ★「台風」は、台湾・福建省あたりの「大風(タイフーン)に、「颱風」の字を当てたものかという。日本では、明治末に気象用語として「颱風」が使われ初め、昭和21年(1946)の当用漢字採用によって、「台風」となった。明治以前は、一般には、「野分(のわき・のわけ)」と呼ばれた。
・台風の目(たいふうのめ) 1.台風の中心付近にある、風が弱く雲の少ない区域。普通直径数十キロメートルの円形になる。台風眼(たいふうがん)。2.転じて、激しく動いているものごとの中心となる勢力や人物。 例:「夏の甲子園で台風の目になる」
・太平楽の巻物(たいへいらくのまきもの) 好き勝手な出任せ言葉。好い加減な言葉。 ★悠々たる雅楽の中でも、ことに「太平楽」が悠長なものの代表とされたところからとも、「太平」とか「楽」とかいう語感から語呂合わせ的に用いられたものともいう<国語大辞典(小)> 参考:太平楽(たいへいらく) 舞楽の一つ。左方の舞楽。楚の項荘・項伯の両名が鴻門の会のとき、剣を抜いて舞ったのを模したという。音楽は大食(たいしき)調の朝小子(ちょうこし)を序、武昌楽を破、合歓塩(がっかえん)を急として連続演奏する。舞人四人は甲胄姿で太刀をおび、鉾を持って舞台に上る。その舞姿は勇壮、衣装は豪華。即位の大礼後の饗宴などに演奏された<国語大辞典(小)>
・太平楽を言う(たいへいらくをいう)[=並べる] 情況にそぐわないような好き勝手なことを、言いたい放題に言う。贅沢なことを言う。 類:●太平を抜かす
・太平を抜かす(たいへいをぬかす) 勝手放題なことを言う。
・大木に縋る(たいぼくにすがる) 権勢ある者に頼り、庇護や助けを受けることの喩え。 類:●寄らば大樹の陰
−−−−−−−たい(ま)(#tai7)−−−−−−−
・大枚を叩く(たいまいをはたく) たくさんのお金を使う。 例:「粋がって初鰹に大枚を叩いた」 ★「大枚」は、昔、中国の銀貨である餅銀(へいぎん)の大きいものを呼んだ。
・大名気(だいみょうぎ) 些細なことにこせこせしない、大らかな性格。
・大名行儀(だいみょうぎょうぎ) 《四熟》 大名のように態度や行いが鷹揚(おうよう)なこと。ゆったりとして威厳がある。
・大名は大耳(だいみょうはおおみみ) 1.大名は些細(ささい)なことを気に留(と)めない。大人物は、小さいことをとやかく言わないということ。 類:●大人は大耳 2.大人物は、小事を聞いても聞かない振りをして鷹揚(おうよう)に構えていなければならないということ。
・大名普請(だいみょうぶしん) 《四熟》 費用を惜しまない贅沢(ぜいたく)な建築や工事。
・大名旅行(だいみょうりょこう) 《四熟》 大名が行なうような、費用をふんだんに使った贅沢な旅行をいう。
・体面を汚す(たいめんをけがす) 名誉を傷付ける。 類:●面目を失う
−−−−−−−たい(や)(#tai8)−−−−−−−
・大勇は闘わず(たいゆうはたたかわず)
・大欲は無欲に似たり(たいよくはむよくににたり)
−−−−−−−たい(ら)(#tai9)−−−−−−−
・平らげる(たいらげる) 1.物の起伏をなくして平らにする。高低をなくす。 類:●均(なら)す 用例:栄花−うたがひ「この山の頂をたひらげさせ給て」、万葉 −3957「夕庭に踏み平げず」 2.平定する。乱れた世の中を鎮(しず)める。退治する。取り除く。 用例:平家−十「度々の朝敵をたいらげ」 3.食べ物を食べ尽くす、または、飲み物を飲み尽くす。 例:「丼飯を平らげる」
・大利は利ならず(たいりはりならず) 大きな利益というものは、一見したところ利益があるように見えないものだ。
−−−−−−−たい(を)(#taiwo)−−−−−−−
・体を躱わす(たいをかわす) 体の向きを転じて避ける。
・題を出す(だいをだす・いだす) 1.それによって詩歌や文章を作らせるために主題を提出する。2.注文を付ける。前もって、要点を押さえておく。
・体を成す(たいをなす・ていを〜) 纏まった形になる。 例:「論文の体を成していない」
・体を引く(たいをひく)[=退(ひ)く] 体の位置を後ろへ移すという意味から、後退する。退(しりぞ)く。 類:●身を退く
−−−−−−−たえ(#tae)−−−−−−−
・絶え入る(たえいる) 1.息が絶えて死ぬ。 例:「絶え入るような声」 用例:竹取「書きはつる、たえ入給ぬ」 2.生気を失って、気絶する。また、酷(ひど)く困惑する。茫然とする。 用例:源氏−若菜下「この暁よりたえいり給へりつるを<略>やうやう生きいで給ふやうに」
・堪え難い(たえがたい) 1.辛いこと、嫌なことを我慢することが難しい。堪(こら)え切れない。 例:「堪え難い暑さ」 用例:竹取「恋しからんことのたへがたく」 2.その状態を維持するのが難しい。保ち続けるのが困難である。 用例:源氏−紅葉賀「箏(さう)の琴は、中の細緒のたへがたきこそ所せけれとて」
−−−−−−−たお(#tao)−−−−−−−
・斃るる所に土を掴む(たおるるところにつちをつかむ) 欲が深くて、どんな場合でも、何か利益を得ようとする。欲が深い者を嘲(あざけ)って言う。 類:●転んでも只は起きない●倒れても土を掴む
・タオルを投げる(たおるをなげる) ボクシングの試合中に、リング内にタオルを投げ入れてテクニカル・ノックアウト負けを表明すること。転じて、戦う意思がなくなったことの喩え。 類:●白旗を揚げる
・斃れて後已む(たおれてのちやむ) 生きている限り努力を続け、死んだあとでやっと終わるということ。死ぬまで一所懸命に努力して、途中で挫(くじ)けない。 類:●死して後己む 出典:「礼記−表記」
次ページ