【にあ】~【にと】
・ニアミス(にあみす) 1.有効近接爆撃。至近弾。 2.航空機の異常接近。 ★公式用語は:air miss。 3.成功しそうだった、惜しい失敗。 類:●惜敗 4.(2.から)顔を合わせたくない者同士が、予定外・予想外に接近すること。 例:「破局した元の恋人とニアミス」 5.(俗語)医療で、ミスはあったが大事に至らなかった事態。
・似合わぬ僧の腕立て(にあわぬそうのうでだて) 僧侶(そうりょ)が腕力を恃(たの)むのは不似合いであるということ。相応(ふさわ)しくないことをする喩え。 ★「腕立(うでだ)て」は腕力にものを言わせること。「いらざる僧の腕立て」とも言う。
−−−−−−−にえ(#nie)−−−−−−−
・煮え切らない(にえきらない)[=ぬ・ん] 態度がはっきりしない。ぐずぐずして決定しない。曖昧で、どっちつかずだ。 用例:雑俳・柳多留−三「にへきらぬ娘を伯母へとまりかけ」
・贄に赴く羊(にえにおもむくひつじ) 刻々に死期が迫っていることの喩え。また、不幸に直面して気力を失い、悲しみに打ちひしがれた者のこと。 類:●屠所(としょ)の羊
・贄の初雁(にえのはつかり) 神に供えるその年の新穀(米など)を初めて刈り取ること。
・煮え湯を飲まされる(にえゆをのまされる)
−−−−−−−にお(#nio)−−−−−−−
・匂いの花(においのはな) 俳諧連句で名残(なごり)の折に詠み込む花の句の称。
・匂い松茸味占地(においまつたけあじしめじ) 茸(きのこ)では、香りが良いのは松茸、味が良いのは占地であるということ。 類:●香り松茸味占地
・仁王立ち(におうだち) 仁王像のように、力強く、また、厳(いか)めしく立つこと。 典類:●鳥居立ち
・鳰の浮き巣(におのうきす) 不安定なことの喩え。頼りないことの喩え。 類:●葦巣(いそう)の悔い 用例:「源三位頼政集」「子を思ふ鳰の浮き巣のゆられきて、捨てしとすれや、み隠れもせぬ」 ★「鳰(にお)」はカイツブリの古名で、水辺の葦(あし)の間などに作られた巣が水の増減や波のために揺れ動き、浮いているように見えることから言う。 用例の出典:源三位頼政集(げんさんみよりまさしゅう) 源頼政の家集。安元2年(1176)〜治承2年(1178)頃成立。出家を機会に青年時代から晩年にかけて50年に亘る作歌を自撰したもの。仁和寺守覚法親王に献じたという説もある。一旦成立した後、自身または他人の手で若干増補されたらしい。別名「頼政集」。
・匂わせる(におわせる) 仄(ほの)めかす。それとなく暗示する。 類:●仄めかす 用例:源氏−若菜・下「今なむとだににほはし給はざりけるつらさを」 例:「犯行を匂わす」
−−−−−−−にか(#nika)−−−−−−−
・二階から目薬(にかいからめぐすり)
・荷が重い(にがおもい) 背負っている荷物が重いということから、責任が重大だということ。また、責任や負担が大きく負い切れない。
・荷が下りる(にがおりる) 任務を完了する。責任や義務がなくなってほっとする。
・荷が勝つ(にがかつ) 荷物が重過ぎる。また、責任や負担が標準を越えている。
・逃した魚は大きい(にがしたさかなはおおきい)
・二月の社日が接木の真旬(にがつのしゃにちがつぎきのましゅん) 接ぎ木をするには、春分に近い社日頃が最適である。 ★「社日」は、春分と秋分に最も近い、その前後の戊(つちのえ)の日のこと。 ★和歌山県のことわざ。
・二月の捨て松(にがつのすてまつ) 陰暦二月は、松はその辺に放っておいても根付く。陰暦二月は松の移植に適した時期であるということ。
・苦瓢にも取柄あり(にがひさごにもとりえあり) 苦くてとても食べられない瓢箪でも、何かの役には立つものである。物には何か長所があるということ。 類:●能無しの能一つ●愚者も千慮に一得有り●破れ鍋も三年置けば用に立つ
・苦味走る(にがみばしる) 1.顔付きに渋みがある。特に、男の顔に付いて言う。厳しく引き締まった男らしい顔付きのこと。 用例:洒・青楼楽種「にかみはしった顔付で」 2.苦々しい気持ちがさっと顔に現われる。 用例:洒・野路の多和言「我をまことにあいすにあらずとにがみばしって言へば」 用例の出典①:青楼楽種(せいろうたのしみぐさ) 洒落本。雲中舎山蝶(うんちゅうしゃさんちょう)。安永4年(1775)。・・・詳細調査中。 用例の出典②:野路の多和言(のじのたわごと) 洒落本。楽山子。安永7年(1778)序。1冊。・・・調査中。
・苦虫を噛み潰す(にがむしをかみつぶす)
−−−−−−−にき(#niki)−−−−−−−
・握らす(にぎらす)[=せる] 賄賂(わいろ)の金銭を与える。 例:「金を握らして口を封ずる」
・握り金玉(にぎりぎんたま)・握り睾丸 懐手(ふところで)にしたまま、何もしないでいること。 ★手を懐中に入れて自分の睾丸を握るだけであるところから<国語大辞典(小)> ★「和御魂(にぎみたま)」と関連ある語か。 参考:和御魂(にきみたま・にぎみたま) 柔和の徳をそなえた神霊。神霊の静的・穏和な側面。にきたま。⇔荒御魂(あらみたま)<国語大辞典(小)>
・握り潰す(にぎりつぶす) 提出された文書、提案、意見などを、悪意から、わざと手元に留めておいて、処置しないままうやむやにする。 類:●棚上げにする 例:「訴えを握り潰す」
・握れば拳開けば掌(にぎればこぶしひらけばてのひら・たなごころ) 握れば人を殴(なぐ)る拳になる手も、開けば人を撫(な)でる掌となる。同じものでも、それに対する気持ちや状況次第で、色々に変化するものだということの喩え。
−−−−−−−にく(#niku)−−−−−−−
・憎い憎いは可愛いの内(にくいにくいはかわいいのうち) 人を憎いと思っても、ずっとその人のことを考えていると、妙に愛着が湧いてくるものであるということ。 類:●嫌よ嫌よも好きの内 反:■可愛さ余って憎さ百倍
・憎き鷹には餌を飼え(にくきたかにはえをかえ) 刃向かう者を力ずくで屈服させるよりも、ご馳走や金品を与えて手懐(てなず)ける方が良いということ。 類:●鷹を養う如し●下種と鷹には餌を飼え
・肉が落ちる(にくがおちる) 体が痩せる。 反:■肉が付く
・肉が付く(にくがつく) 体が太る。
・憎からず(にくからず) 1.愛情を感じてはいるが、それを直接表さず、嫌ではないと間接的に表わす。好きである。愛(いと)しい。慕(した)わしい。可愛(かわ)い。 用例:大和−六四「にくからず思ふ若き女を」 2.感じが良い。見苦しくない。不調和でない。そつがない。奥床(おくゆか)しい。 用例:竹取「御返りさすがににくからず聞えかはし給て」 ★形容詞「にくし(憎)」に打消の助動詞「ず」の付いたもの<国語大辞典(小)>
・憎さも憎し(にくさもにくし) いかにも憎い。憎んでも憎み足りない。
・肉山脯林(にくざんほりん) 《四熟》 生肉や脯(=干した肉)が山や林のように沢山あること。宴席の驕(おご)りを極めること。 類:●酒池肉林 出典:「帝王世紀」「夏桀為肉山脯林、殷紂為酒池肉林」
・肉食妻帯(にくじきさいたい) 《四熟》 肉を食べ妻を持つこと。菜食独身であった出家に対して、在家(一般人)の生活のこと。
・肉付きの面(にくづきのめん) 仏教の説話。仮面を被って悪事などを働くと、その仮面が取れなくなるという筋の話。念仏を唱えるとすぐとれるなど、浄土真宗の説教によく引用され、また、お伽草子などに類話が多い。
・肉薄する(にくはくする)・肉迫する 1.肉弾戦で敵に迫る。砲撃戦や包囲戦ではなく、身を危険に曝(さら)して敵に近付く。敵の間近まで押し寄せる。 例:「敵陣に肉薄する」 ★「薄」は迫るの意<国語大辞典(小)> 2.距離や実力などが、すぐ間近まで迫る。特に、競技などで、もう少しで追い越す所まで迫る。 例:「首位に肉薄する」 3.議論などで、鋭く問い詰める。また、相手が触れたがらない真実などを指摘して問い質(ただ)す。 例:「舌鋒鋭く肉薄する」 ★2.3.は、日本での特別な意味。
・憎まれ口を叩く(にくまれぐちをたたく) 相手から憎まれるようなこと言う。人に嫌われるようなことを言う。また、そういう憎々しい口の利き方をする。 類:●憎てい口●憎まれ●悪口
・憎まれっ子世に憚る(にくまれっこよにはばかる)
・逃ぐるに手無し(にぐるにてなし) その場から逃走する以外に方法はない、または、逃げることが最良の策である。 類:●逃ぐるに如かず●三十六計逃げるに如かず
・肉を斬らせて骨を断つ(にくをきらせてほねをたつ)[=斬らして〜] 敵に自分の肉体を傷付けられても、敵にはそれ以上の打撃を与えられる。自分の生死を賭けて敵に向かい、それに打ち勝つことを言う。
・肉を付ける(にくをつける) 骨格にそれを覆う肉を付けるという意味から、足りない点などを補って、内容を豊かにすること。
・肉を以って餓虎に委ねる(にくをもってがこにゆだねる) 自分の肉体を飢えた虎に委ねるようなものである。無益な死の喩え。 類:●犬死に 故事:「史記−張耳陳余列伝」「今必倶死、如以肉委餓虎、何益」 趙(ちょう)王を助けて秦軍に包囲された張耳(ちょうじ)が親友の陳余(ちんよ)に救援を求めたとき、陳余は「共々に死んでは報復する者がいなくなり、犬死にである」と返信した。
・肉を委ねて餓虎の蹊に当たる(にくをゆだねてがこのみちにあたる)・肉を委(い)して〜 肉をぶらぶらさせて飢えた虎の待つ道を歩くようなものである。わざわざ自分を危険の真っ只中に置くような行為であるということ。 故事:「史記−刺客列伝」「是謂、委肉当餓虎之蹊也、禍必不振矣」 燕(えん)の太子丹(たん)が秦王のお尋ね者である樊於期(はんおき)を匿(かくま)っていることを、老臣・鞠武(きくぶ)が諌(いさ)めて言った言葉。
−−−−−−−にけ(#nike)−−−−−−−
・逃げ口上(にげこうじょう) 責任や罪などを問われたとき、それを回避しようとして言う言葉。 類:●口実●逃げ句●遁辞
・逃げ腰(にげごし) 今にも逃げようとするような腰付き。また、責任などを回避しようとする態度。 類:●逃げ尻
・逃げた魚は大きい(にげたさかなはおおきい) 一旦手に入れかけながら逃がしたものは、それがどんな小さなものでも、大きな損をしたように思えて、惜しまれるものだ。 類:●逃がした魚は大きい
・逃げも隠れもしない(にげもかくれもしない)[=走りもしない] 逃げたり隠れたりするような、卑怯な真似はしない。
・逃げるが勝ち(にげるがかち) 今は敵から逃げることの方が、終局的には勝利を得ることになるという意味で、表面的には相手に勝ちを譲った方が、後の利益に繋がるということ。 類:●負けるが勝ち
・逃げを打つ(にげをうつ)[=張る] 逃げ支度(じたく)をする。責任などの追及を逃れようと手段を講じる。
−−−−−−−にこ(#niko)−−−−−−−
・濁りに染まぬ蓮(にごりにそまぬはす) 泥の池の中にあっても清らかな花を開く蓮のこと。転じて、煩悩(ぼんのう)の汚(けが)れの中にあっても、染まらず清浄を保っている人の喩え。 類:●泥中の蓮●沼地にも蓮の華
−−−−−−−にし(#nisi)−−−−−−−
・錦の袋に糞を包む(にしきのふくろにふんをつつむ)[=入れる] 外観がたいへん立派であるのに反して、内容が伴わないこと。 類:●錦に糞土を包むが如し
・錦の御旗(にしきのみはた) 1.赤地の錦に、金銀を以て日月を刺繍、または描いた旗。 類:●錦旗 2.他人に対して己の主張などを権威付けるものとして掲げる名分。 ★承久の乱のとき、後鳥羽上皇から官軍の大将に賜ったのが、最初といわれ、以後、叛徒征討のときには必ず官軍の大将に与えられた<国語大辞典(小)>
・錦を飾る(にしきをかざる)[=着る・衣る] 1.美しい着物を着る。美しい着物を並べる。2.立身出世して故郷へ帰る。 類:●故郷へ錦を飾る●衣錦還郷
・錦を衣て絅を尚う(にしきをきてけいをくわう) 錦を着るときは、上から薄衣を掛けて華やかさを表に出さない方が良い。己の美徳を表に出さないのが君子の嗜(たしな)みであるということ。 類:●錦を衣てケイ衣す 出典:「詩経−衛風・碩人」・「中庸−三十三章」
・錦を衣て故郷へ帰る(にしきをきてこきょうへかえる) 立身出世し、華やかな着物を着て故郷へ帰る。 類:●錦を飾る
・錦を衣てケイ衣す(にしきをきてけいいす) 「ケイ」は、[耿/衣]で、薄衣のこと。錦を着るときは、上から薄衣を掛けて華やかさを表に出さないようにせよということ。転じて、己の美徳や、教養などは表に出さない方が良いということ。 類:●衣錦尚絅 出典:「詩経−衛風・考槃」「碩人其[斤+頁]、衣錦[耿/衣]衣」
・錦を衣て夜行くが如し(にしきをきてよるいくがごとし)
・西と言ったら東と悟れ(にしといったらひがしをさとれ) 人が言う言葉を、いつもそのまま受け取っていると失敗するということ。その裏にある真意を読みなさいという戒(いまし)め。
・西の海へさらり(にしのうみへさらり) 厄払いの文句の末尾の言葉。一年中の災厄や諸悪を西の海へ流してしまう。また、転じて、古いものをあっさりと捨てること。
・西も東も知らない(にしもひがしもしらない)[=分からない] 1.方向が分からないという意味で、その土地に不案内である。2.転じて、慣れていないため、為すべき事が分からない状態や、分別を付ける力がない様子。 類:●右も左も分からない
・二者択一(にしゃたくいつ) 二つの事物のうち、どちらか一方を選ぶこと。 類:●二者選一●二つに一つ
・二豎(にじゅ)
−−−−−−−にせ(#nise)−−−−−−−
・二世の縁(にせのえん) あの世までも結ばれる縁。 類:●夫婦の縁●夫婦の契り
・二世の固め(にせのかため) 夫婦の契りを固めること。また、夫婦になる固い約束。
・二世の語らい(にせのかたらい) 現世はもちろん来世までもと、夫婦約束をし合うこと。
・二世の願(にせのがん)[=願望(がんもう)] 現世では幸福になり、来世では極楽に往生するよう仏に願うこと。また、愛する人と現世ではもちろんのこと来世でも結ばれるよう願うこと。 出典:「法華経−薬草喩品」「現世安穏、後生善処」
・二世の頼み(にせのたのみ) 来世も夫婦として会いたいという願望。
・二世の契り(にせのちぎり)[=約束] 来世までも夫婦として連れ添おうという約束。 類:●夫婦の約束●二世の語らい●二世の約束
・二世の夫(にせのつま)[=妻(つま)] 現世はもちろん来世までもと契った夫、または妻。
−−−−−−−にそ(#niso)−−−−−−−
・二束三文(にそくさんもん) 《四熟》 「金剛草履(ぞうり)」が二足で三文の値段であったところから、値段が極めて安いこと。捨て売りにする値段。また、品物を纏めて安く投げ売りする。 例:「二束三文で売り払う」
・二足の草鞋(にそくのわらじ) 一人が、両立しないような二種の職業を兼ねること。 例:「大学生とモデルという二足の草鞋を履いている」 ★特に、博打(ばくち)打ちが捕吏(ほり)を兼ねることを言った。
−−−−−−−にた(#nita)−−−−−−−
・似たもの烏(にたものからす) 烏が皆同じように見えて、見分けが付き難いことから。 1.非常に似通っている様子の喩え。2.世の中には、似たものがたくさんあるということ。
・似たもの夫婦(にたものふうふ・めおと)
・似たり寄ったり(にたりよったり) お互いに優劣・高下がないこと。たいした違いがない。 類:●大同小異●どっこいどっこい 用例:俳・唐人踊−三秋「星とほし似たりよったり天の川」 ★「たり」はもと完了の助動詞<国語大辞典(小)> 用例の出典:唐人踊(とうじんおどり) 俳諧。・・・調査中。
−−−−−−−にち(#niti)−−−−−−−
・日限を差す(にちげんをさす) 日時を指し示すということから、予め期限を区切ること。
・日常坐臥(にちじょうざが) 《四熟》 毎日行なわれるいつもの生活。普段。常々。いつも。 類:●常住坐臥●常住不断●行住坐臥●挙止進退●坐作進退●二六時中 ★「坐臥」は、座ることと寝ることで、起きているときも寝ているときもの意。 ★「坐」は「座」とも書く<新明解四字熟語辞典(三)>
・日常茶飯事(にちじょうさはんじ) 毎日の有り触れたものごと。 参考:茶飯事(さはんじ) 茶を飲み飯を食うように、珍しくもない日常普通のこと。ごく有り触れたこと。また、日常行っている容易いこと。
・日日是好日(にちにちこれこうじつ) 毎日毎日が平和なよい日であること。 出典:「碧巌録」
・日曜大工(にちようだいく) 余暇に趣味として行なう簡単な大工・指物仕事。また、それをする人。
・二張の弓(にちょうのゆみ) 二つの弓の意味から、節操を変えること。武士が二心を抱くことや、女が夫と死別または生別して他の夫を持つこと。 用例:三河物語−二「又家康得逆心をする物ならば、二てうの弓成」 用例の出典:三河物語(みかわものがたり) 江戸前期の自叙伝。3巻。大久保彦左衛門忠教。元和8年(1622)成立。主家徳川氏の、天下統一に至る歴史と大久保一族の功績を述べ、自己の体験と子孫への教戒を語る。仮名混じりの、独特の表記・文体で記される。 人物:大久保彦左衛門(おおくぼひこざえもん) 江戸初期の旗本。1560〜1639。名は忠教(ただたか)。徳川家康に仕えて戦功をたてる。秀忠、家光にも仕え、旗本中に重きをなした。著「三河物語」。
−−−−−−−につ(#nitu)−−−−−−−
・似つかわしい(につかわしい) 似合って見える。いかにもそれ相応で相応(ふさわ)しい。釣り合っている。似合わしい。 用例:土左「わらはのことにては、につかはし」 ★動詞「につく(似付)」から派生<国語大辞典(小)>
・日計足らずして歳計余りあり(にっけいたらずしてさいけいあまりあり) 一日だけでは儲けがなかったり損をする日もあるが、一年を通してみると儲けが出ているということ。目先の利益は少ないが、長い目で見れば利益が出ていることの喩え。 出典:「文子−精誠篇」「日計不足、歳計有餘」
・日光を見ずして結構と言うな(にっこうをみずしてけっこうというな) 日光東照宮の建築の美しさこそが、「結構」という言葉に値(あたい)する。特に、陽明門(=日暮らし門)を指して言う。「にっこう」と「けっこう」の語呂合わせ。 類:●ナポリを見てから死ね(イタリアの諺)●桂林山水甲天下 ★「東照大権現」は、徳川家康公の勅諡号(ちょくしごう)。少なからず江戸幕府へのおべっかもあった。
・日進月歩(にっしんげっぽ) 《四熟》 日に月に絶えまなく進歩すること。
・二進も三進も(にっちもさっちも) 計算の遣り繰りのこと。多くは、「二進も三進も行かない」の形で、どうにも遣り繰りができない様子、窮地に追い込まれたりして身動きできない状態などを言う。 類:●足掻きが取れない●暗礁に乗り上げる●手も足も出ない ★算盤(そろばん)の割算の九九から出た語<国語大辞典(小)> ★「二進(にしん)」は2で割り切れること、「三進(さんしん)」は3で割り切れること。2でも3でも割り切れないことからの転。
・煮詰まる(につまる) 1.煮えて水分が無くなる。 例:「汁が煮詰まる」 2.議論や考えなどが出尽くして、問題点が明瞭な段階になる。議論が十分になされ、結論を出せる状態になる。 例:「話もだいぶ煮詰まってきたようだから、そろそろ結論を出そう」 ★「仕事に煮詰まっている」など、「行き詰まる」の意味で使うのは誤用。
−−−−−−−にて(#nite)−−−−−−−
・似て非なり(にてひなり) 外見は似ているが、その内実は異なっている物。 類:●紛(まが)い物●見せ掛け物●似非(えせ)物 出典:「孟子−尽心・下」「孔子曰、悪似而非者」<似て非なるものをにくむ>
・似ても似付かぬ(にてもにつかぬ)[=付かない] 少しも似ていない。全く似ていない。 類:●似も付かぬ●似も似ず
・煮ても焼いても食えぬ(にてもやいてもくえぬ)[=噛(か)まれぬ] 施(ほどこ)す手段がなくて持て余す。扱いようがない。 類:●海千山千●手に負えない●酢でも蒟蒻でも食えぬ●箸にも棒にも掛からぬ
−−−−−−−にと(#nito)−−−−−−−
・二度あることは三度ある(にどあることはさんどある)
・二桃三士を殺す(にとうさんしをころす) 奇計を巡(めぐ)らして人を自滅させること。 故事:「晏子春秋−内篇・諫下」 斉の三勇士(公孫接・田開疆・古冶子)が横暴なので、将来斉国を危うくすると考えた晏子は、景公に進言し、「三人のうち功の大きい者に与える」として二個の桃を贈った。田開彊(でんかいきょう)と公孫接(こうそんしょう)がその桃を手にしたが、実は古冶子(こやし)の功の方が大きいと知って恥じて自害した。古治子も義に反すると自害した。 用例:梁甫吟「一朝被讒言、二桃殺三士、誰能為此謀、国相斉晏子」 用例の出典:梁甫吟(りょうほぎん) 古楽府(こがふ)。諸葛亮作とされているが、漢代の楽府らしい。作者不明。「歩して斉の城門を出て 遥かに蕩陰里を望む 里中に三墳有り 累々として正に相似たり 問う 是れ誰が家の墓ぞ 田彊 古冶子 (公孫接) 力は能く南山を排し 又能く地紀を絶つ 一朝 讒言を被り 二桃 三士を殺す 誰が能く此の謀を為す 国相斉の晏子(晏嬰)なり」
・二刀流(にとうりゅう) 1.二刀を用いる刀法。 類:●二丁拳銃 ★刀を左右の手に一本ずつ持って戦うもので、宮本武蔵の「二天一流」などが有名。 2.酒もよく飲み、甘いものも好きなこと。また、その人。 類:●二刀遣い●両刀遣い 3.俗語。女性・男性の両方を性の対象にすること。また、その人。 類:●両刀遣い
・二度おぼこ(にどおぼこ) 女性が、年老いて再び子どものようになること。
・二度と(にどと) 後に打消しの語を伴って、再び〜しない。決して〜しない。 例:「二度と行くまい」
・二度と再び(にどとふたたび) 「二度と」を強めた言い方で、決して〜しない。 ★「二度と」「再び」と同意語を重ねたもの<国語大辞典(小)>
・二度の勤め(にどのつとめ) 1.一度辞(や)めて再び勤めること。特に、以前遊女だった女が再びその仕事に出ること。2.使い古して、使われなくなっていたものを再び役立てること。
・二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)
次ページ