【つい】~【つこ】

−−−−−−−つい(#tui)−−−−−−−
・追従も世渡り(ついしょうもよわたり) お世辞やおべっかを言って人に諂(へつら)うのも、世渡りの一つの手段として止むを得ないことである。 類:●嘘吐き世渡り上手●嘘を吐かねば仏になれぬ●嘘も方便●嘘も誠も話の手管(てくだ)●嘘は世の宝 反:■正直は一生の宝■嘘吐きは泥棒の始まり■嘘を言えば地獄に落ちる
・追善供養
(ついぜんくよう) 《四熟》 死者の年忌などに法事を営み、供物(くもつ)を捧げて故人の冥福を祈ること。
・付いて回る
(ついてまわる) 離れずに付き従う。比喩的に、ある気持ちや考え方などが、いつまでも付き纏(まと)う。 例:「どこへ行っても悪い噂が付いて回る」
・終の煙(ついのけぶり) 火葬の煙。 用例:
続拾遺−雑下「いかにせん終の煙の末ならでたちのぼるべき道もなき身を」 用例の出典:続拾遺和歌集(しょくしゅういわかしゅう) 12番目の勅撰集。20巻。歌数は約1460首。建治2年(1276)亀山院の院宣により藤原為氏が撰し、弘安元年(1278)成立。撰歌の範囲を「拾遺集」以降に限り体裁も同集に従う。代表歌人は為家・後嵯峨院・定家・実氏・俊成など。続拾遺集。
・終のこと
(ついのこと) 最後には必ずそうなること。いつかはそうなること。
・終の住処
(ついのすみか) 最後に落ち着く場所。終生住むべきところ。また、死後に落ち着くところ。
・終の道
(ついのみち) 人が最後には行かなければならない、あの世への道。 類:●死出の道 出典:「古今和歌集
・終の別れ
(ついのわかれ) 最後の別れ。死別。 類:●永久(とわ)の別れ
・入梅は入りあっても明きがない(ついりはいりあってもあきがない) 暦(こよみ)には毎年6月11日頃に入梅と記(しる)されるが、梅雨(つゆ)が明ける日の方は記入がない。また、梅雨明けには、はっきりした区切りがないということ。 ★「入梅(にゅうばい)」は、雑節の一つで、太陽が黄経80度の点を通過する日。

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・通過儀礼
(つうかぎれい) フランス語のrite de passageの訳語。 《四熟》 1.人が生まれてから死ぬまでに、節目節目で経験しなければならないとされる、誕生、成人、結婚、死亡などに伴(ともな)う儀礼。 類:●イニシエーション ★他に、入学、卒業、出産や、家督相続、葬送、供養など。七五三や、キリスト教の洗礼やユダヤ教などの割礼なども指す。 ★ベルギー生まれの民俗学者アルノルト・ファン・ヘネップの用語。1909年。ある状態から別の状態へ移行する際に行なわれる儀礼。 2.比喩的に、望まないものごとを押し付けるときに言う。 例:「泥鰌掬いは我が社の通過儀礼だ」
・つうつう
 1.ものごとが妨(さまた)げられずに捗(はかど)る様子。何にも邪魔をされず、滞りなく通過する様子。 例:「隙間風がつうつう通る」 2.両者の間に何の妨げもない様子。気脈(きみゃく)を通じている様子。 類:●つうかあ 例:「二人の仲はつうつうだ」
・痛定思痛
(つうていしつう) 《四熟》 痛みが治まってからその痛みを振り返る。以前の失敗を反省し、今後に備えることの喩え。 出典:韓愈「與李コウ[皋+羽]書」「今而思之、如痛定之人、之時、不知何能自処也」
・つうと言えばかあ
(つうといえばかあ) 互いに気心が知れていて、一言を口にしただけで、すぐにその意図を了解すること。気心が通じていて仲が好いこと。 類:●つうかあ(ツーカー)●打てば響く ★江戸時代の発祥か? 助詞「つ」「か」の長呼から。いずれも唄(うた)の合いの手などに使われていたらしい。
・痛棒を食らわす
(つうぼうをくらわす) 「痛棒」は、坐禅の時、心の定まらない者を打ち据えるのに用いる棒。手酷(てひど)く叱(しか)って懲らしめる。強く叱責(しっせき)する。また、手痛い打撃を与える。
・痛痒を感ぜず
(つうようをかんぜず) 身に何の利害も影響も感じない。 類:●痛くも痒(かゆ)くもない

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・杖とも柱とも
(つえともはしらとも)・杖にも柱にも 非常に頼りに思うことの喩え。
・杖に縋るとも人に縋るな
(つえにすがるともひといすがるな) 妄(みだ)りに他人の助力を宛てにしてはいけないという戒め。
・杖に突く
(つえにつく) 杖に頼るようにして寄り掛かる。
・杖の下から回る子は打てぬ
(つえのしたからまわるこはうてぬ)[=下へ回る犬は〜・下を潜(くぐ)る子は〜] 杖を振り上げて折檻(せっかん)しようとしても、縋(すが)り付いてくる子供は、可愛くて打てない。泣いて縋ってくる者には残酷な仕打ちはできないという喩え。 類:●怒れる拳笑面に当たらず尾を振る犬は叩かれず窮鳥懐に入れば猟師も殺さず
・杖ほど掛かる子はない
(つえほどかかるこはない) 杖と同じくらい頼りになる子供はない。本当に頼り甲斐のある子はなかなか得難いということ。
・杖も孫ほど掛かる
(つえもまごほどかかる) 年を取ってくると、孫を頼りにするように、杖に頼る。
・杖を留める
(つえをとどめる) 行旅の途中で一か所に暫(しばら)く滞在する。
・杖を曳く
(つえをひく) 1.杖を手にして歩く。2.散歩する。旅をする。

−−−−−−−つか(#tuka)−−−−−−−
・使い込む
(つかいこむ)[=遣い込む] 1.自分のものでない金銭を、勝手に使う。任(まか)された金銭を密(ひそ)かに使う。 類:●横領する 例:「血税を使い込むようなものだ」 2.予算を超えた金額を使ってしまう。予定以上の金銭を使う。 用例:咄・鯛の味噌津−野島地獄「御給金をつかひこみまして」 例:「今月は随分使い込んだ」 3.器具などを、具合い良くなるまで使い馴(な)らす。また、人などを、慣れるまで長い間使う。 類:●使い古す 例:「使い込まれた鉄鍋」
・使い古す
(つかいふるす) 1.使って古くする。古くなるまで使い続ける。 例:「使い古したノート」 2.耳新しくなく、ありふれていること。 類:●陳腐●平凡 例:「使い古された言い回し」
・使い物(つかいもの)・遣い物 1.使えるもの。使って役に立つもの。「この時計はもう使い物にならない」 2.贈り物。進物(しんもつ)。 例:「お遣い物」
・使い物にならない
(つかいものにならない) 品質が劣ったり、能力が低かったりして、全く役にたたない。
・支えが下りる
(つかえがおりる) 胸に支えていたものがなくなる。いつも気になっていることが解決して不安や気掛かりが消え去る。蟠(わだかま)りがなくなる。 類:●溜飲が下がる
・付かず離れず(つかずはなれず) 付き過ぎも、離れ過ぎもしないで、程好い関係を保つこと。また、どちらにも偏(かたよ)らないで、中立的な態度を取る。 類:●不即不離
・使っている鍬は光る
(つかっているくわはひかる)  日々使われている鍬は錆(さ)びることなく輝いている。同様に、いつも努力を続け停滞することのない人は、言葉や行ないに自然とそれが表われるものであるということの喩え。 類:●人通りに草生えず●流水腐らず
・付かぬ
(つかぬ)[=ない・ん] 思い掛けない。考えもしない。 類:●突飛な●出し抜けな 用例:仮・
東海道名所記−一「つかぬ片輪になるもの多し」 ★「思ひもつかぬ」「考えもつかぬ」などの上略された語<国語大辞典(小)> 用例の出典:東海道名所記(とうかいどうめいしょき) 仮名草子。6巻6冊。浅井了意作。万治年間(1658〜61頃)の成立・刊。楽阿弥という道心者の京への旅を、狂歌狂句、諧謔をおりまぜてつづった道中記。駅ごとに里数、名所旧跡、駅路の状況、風俗、産物などを詳細に記して旅行案内記も兼ねる。後の道中記・名所記に大きな影響を与えた。
・付かぬこと
(つかぬこと)[=ないこと・んこと] 前述の事柄や、今まで話されていたことと何ら関係のないこと。出し抜けなこと。思い掛けないこと。 用例:滑・浮世風呂−二「つかねへことでございますが、御惣領のお姉さんは、たしかお片付なさいましたっけネ」 例:「付かぬことをお尋ねしますが」
・束の間(つかのま・あいだ) 「一束(ひとつか)」は、指四本の幅のこと。時間がごく短いこと。少しの間。 用例:万葉−五〇二「夏野行く小鹿の角の束間(つかのま)も妹が心を忘れて思へや」
・掴ませる(つかませる) 1.握らせる。手に取らせる。2.賄賂(わいろ)を受け取らせること。 類:●握らせる 3.嘘を吐(つ)いて欠陥品や偽物を買わせること。
・掴みどころがない(つかみどころがない) 証拠や論拠にする手掛かりがない。判断する材料が少ない。 類:●捕えどころがない

−−−−−−−つき(#tuki)−−−−−−−
・付き合う(つきあう) 1.互いにくっ付く。両方からくっ付く。2.交わる。交際する。 用例:甲陽軍鑑−品二四「諸国の牢人に付きあひ、見聞き申すに」 3.行動を共にする。また、義理のため仕方なく相手とともに行動する。 例:「一杯ぐらい付き合えよ」 用例:読・
通俗古今奇観−四「?只今一人の客にも接合(ツキアハ)ずば」 用例の出典:通俗古今奇観(つうぞくここんきかん) 読み本。淡斎主人訳。明(みん)代中国の話本「古今奇観」を訳したもの。・・・詳細調査中。
・月替う
(つきかう) 暦の月が変わる。次の月になる。 用例:万葉−3131「月易(つきか)へて君をば見むと思へかも」
・月が重なる(つきがかさなる) 幾月かが経過する。月数が経(た)つ。
・月が満ちる
(つきがみちる) 1.満月になる。2.臨月になる。
・注ぎ込む
(つぎこむ) 1.器の中などに液体を注ぎ入れる。注(そそ)ぎ込む。 用例:浄・用明天皇職人鑑−道行「薬の釜の煮へ立に、ねぢわげてしぼり入まがりにつぎこみ」 2.知識などを頭に入れる。 類:●詰め込む 3.人や事業、遊びなどに多くの金品を費やす。 例:「多額の資金を注ぎ込む」
・突き付ける
(つきつける) 1.身体に触れんばかりにして差し出す。目の前に差し出す。差し付ける。 例:「刃物を突き付ける」 用例:
波形本狂言釣狐「かしこまってござる(と取に行て持て出て鼻の先へつきつける)」 2.無理に押し付ける。強(し)いて勧める。 用例:虎寛本狂言・縄綯「啼かぬ様に守をせいと云て、私へ其子をつき付て」 参考:波形本狂言(なみがたぼんきょうげん) 和泉流の狂言台本。天明(1780年代)頃。現在では名古屋の共同社が所蔵。<太郎冠者 用例の出典:釣狐(つりぎつね) 狂言。各流。古狐が白蔵主に化けて、甥(おい)の猟師に狐の執心の恐ろしさを説き殺生(せっしょう)を止めさせる。帰途、油揚げに気を惹かれ、罠に掛かるが必死に外して逃げる。
・突き詰める
(つきつめる) 1.一途(いちず)に思い込む。思い詰める。「突き詰めて考える」 用例:日葡辞書「ツキツメタヒト」 2.究極まで押し窮める。ものごとを徹底的に調べる。 類:●
突き止める 例:「原理を突き詰める」
月と鼈(つきとすっぽん)
・突き止める
(つきとめる) 1.突き刺して動かないようにする。2.突いて仕留める。突いて殺す。突き殺す。刺し殺す。 用例:浮・
武家義理物語−三「三人とも突留(ツキトメ)其死骸のうへに腰をかけて」 3.色々調べて、はっきりさせる。微細に調査して不明な点を明らかにする。 例:「隠れ家を突き止める」 用例の出典:武家義理物語(ぶけぎりものがたり) 江戸中期の浮世草子。6冊。井原西鶴。貞享5年(1688)刊。武家社会の義理にまつわる話題を取り上げ、武家の心情と行動を中心にその心のありようを描く27話から成る。
・月とも星とも(つきともほしとも) 非常に頼りにすることの喩え。 類:●
杖とも柱とも
・月並み
(つきなみ) 1.毎月決まって行なわれること。月に一度ずつあること。 類:●月例 例:「月並みの会」 2.十二の月の順序。月の移り変わり。 ★「なみ」を「波」に掛けて、歌語として用いられる。 3.新鮮みがなく、有り触れていて平凡なこと。また、その様子。 類:●陳腐●在り来たり 例:「発想が月並みだ」 ★「月並み」は元々「毎月」や「月ごと」などを意味する言葉だったが、正岡子規が自分の革新した新派俳句に対して、有り触れた旧派俳句や短歌を罵って「月並み調」「月並俳句」と批判したことから、「有り触れていて平凡」という意味になった。
・月に異に
(つきにけに) 月毎に。月が経つに連れて。 類:●日に異に 用例:万葉−931「いやしくしくに月二異二(つきニけニ)日に日に見とも」
・着きにけり
(つきにけり)・着っきにけり 謡曲や浄瑠璃の道行の文の終わりに多く用いられた。 1.ものごとの終わり。お終(しま)い。終局。これきり。 用例:伎・
絵本合法衢−四幕「これまでに亭主も十六人持った。着っきにけりが蒲鉾へ落ちたネ」 2.それっきり。終(つい)に。とうとう。 用例:滑・大師めぐり−上「つっきにけり行がたしれず」 用例の出典①:絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ) 歌舞伎。時代物。7幕。四世鶴屋南北、二世桜田治助、福森久助作。文化7年江戸市村座初演。加賀国金沢で、四代孫兵衛が前田大学之助を討った事件を脚色したもの。通称「合邦」。 用例の出典②:大師めぐり(だいしめぐり) 滑稽本。道楽息子もの。・・・調査中。
・月に磨く(つきにみがく) 月の光を浴びて景色が一層美しくなる。月光で磨かれたように輝く。
月に叢雲花に風
(つきにむらくもはなにかぜ)
・突き抜ける
(つきぬける) 1.突き破って裏まで通る。突き通る。 例:「壁を突き抜ける」 2.向こう側へ通り抜ける。 例:「裏通りを突き抜ける」

−−−−−−−つき2(#tuki2)−−−−−−−
・月の主
(つきのあるじ) 月を客に人を主に見立てて、月を深く愛し、眺(なが)めている人。
・月の色人
(つきのいろびと) 月の美しさを擬人化して言った言葉。
・月の桂を折る
(つきのかつらをおる) 文章生が官吏登用試験に及第する。 類:●桂を折る
 出典:「酉陽雑俎−天咫」  参考:月の桂(つきのかつら) 古代中国の伝説で、月の中に生えているという高さが500丈(約1500メートル)の桂の木。月の中の桂。月桂。
・月の頃
(つきのころ) 月が出ている頃。月が良く見える頃。特に、陰暦で15日を中心とした前後の数日間のこと。満月前後の数日間。 用例:−一「夏はよる。月の頃はさらなり」
・月のさ筵
(つきのさむしろ) 月の光が寒々と射し込んでくる寝床。
・月の雫
(つきのしずく) 露(つゆ)の異称。朝方に生じるところから言う。
・月の霜
(つきのしも) 月の光が白く冴え冴えと射している様子を、霜に喩えていった言葉。
・月の剣
(つきのつるぎ) 三日月(みかづき)の異称。その形が刀剣に似ているところから。
・月の名残り
(つきのなごり) 秋の月の最後という意味。陰暦8月十五夜の月に対して、9月十三夜の月を指す。 類:●後(のち)の月
・月の鼠
(つきのねずみ) 月日が過ぎゆくこと。 類:●月日の鼠 
説話:賓頭盧説法経」 仏教で、人が象に追われて、木の根を伝わって井戸の中に隠れたところ、井戸の周囲には四匹の毒蛇がいてその人を噛もうとし、また、木の根を黒・白二匹の鼠が齧ろうとしていたというの話。象を無常、鼠を昼と夜、毒蛇を地・水・火・風の四大に喩えてた。 出典:賓頭盧説法経(びんずるせっぽうきょう) 賓頭盧突羅闍爲優陀延王説法經。求那跋陀羅。・・・詳細調査中。賓頭盧は釈迦の弟子で、十六羅漢の第一。
・月の前の一夜の友
(つきのまえのいちやのとも) 月の光の下で一晩語り明かした友。また、風雅の交わりの喩え。
・月の前の灯火
(つきのまえのともしび) 明るい月の光の下では、折角の灯火もあまり見映えがしないところから、優れた物に比較されて、少しも引き立たないこと。見る影もなく、気圧されていること。 類:●太陽の前の星●月の前の星
・月日に関守りなし(つきひにせきもりなし) 月日が通り過ぎてゆくのを止められる関守りなどいない。月日があっという間に過ぎ去ってしまうことの喩え。 類:●光陰矢の如し歳月人を待たず
・月日に添う
(つきひにそう) 月日が経過するのに従う。
・継ぎ穂がない(つぎほがない) 寄り付いたり、言葉を掛けたりする糸口がない。会話を続けていくきっかけがない。 例:「話の継ぎ穂がない」
・月満つれば則ち虧く
(つきみつればすなわちかく) ものごとは盛りに達すると必ず衰(おとろ)え始めるものである。ものごとには、必ず栄枯盛衰があるということ。 類:●物盛んなれば則ち衰う 出典①:「易経−豊・彖伝」「日中則昃、月盈則食、天地盈虚、与時消息」 出典②:「史記−范雎蔡沢列伝」「日中則移、月満則虧、物盛則衰」
・付き物(つきもの) 1.その物に当然付属してある筈のもの。物がその機能を発揮するためには欠くことのできない付属品。 類:●付け物 2.ある物の属性、結果、また、その一部分や、取り合わせとして、必ず付随するとされているもの。 例:「冒険に危険は付き物だ」 3.余分だったり邪魔だったりするもの。4.書籍や雑誌に綴じ込まれた、または、挟み込まれた付属の印刷物。
・憑き物が落ちたよう(つきものがおちたよう) 取り憑いていた狐や猫などの霊が祓(はら)われたようだという意味で、迷いなどが吹っ切れて清々しい顔つきになること。 ★日本では、憑依するのは動物の霊とされ、人の霊は専(もっぱ)ら幽霊として出るものとされる。
・付き物離れ物
(つきものはなれもの) 付いたものは離れると決まっていること。付いたり離れたりして、人の世の中は定めがないということ。
月夜に釜を抜かれる
(つきよにかまをぬかれる)
月夜に提灯
(つきよにちょうちん)
・月夜の蟹
(つきよのかに) 痩せて肉のない蟹。転じて、中身がないことの喩え。 
★月夜には蟹は餌をあさらないので肉がないということから<大辞林(三)>
・月夜の晩ばかりじゃない
(つきよのばんばかりじゃない) 月のない真っ暗な晩には、どこに誰が潜(ひそ)んでいるか分からないから、精々(せいぜい)気を付けろよということ。脅しの言葉として用いる。 類:●夜道には気を付けろ
・月よ星よと
(つきよほしよと) 月や星を美しいものと仰いでやまないように、あるものをこの上なく寵愛したり賞美したりすること。 類:●蝶よ花よと 例:「月よ星よと眺める」
・月を指せば指を認む
(つきをさせばゆびをもとむ) 月を指差して教えると、月を見ないで指を見る。道理を説明しても、文字や言語に捉(とら)われて本旨を理解しないことの喩え。  出典:
首楞厳経(しゅりょうごんきょう) 仏書。「大仏頂如来密因修証了義諸菩薩万行首楞厳経」の略名。10巻。般剌蜜帝訳。修禅・五根(眼・耳・鼻・舌・身)円通などについて禅法の要義を説いた経。一名、「中印度那爛陀大道場経」。

−−−−−−−つけ(#tuke)−−−−−−−
・付け上がる
(つけあがる) 相手の寛大さに付け込んで増長する。好い気になって思い上がる。 類:●図に乗る 用例:人情・春色梅児誉美−四「下から出りゃア付(ツケ)あがり」
・付け入る
(つけいる) 1.敵が退くのに乗じて、攻勢に出る。2.相手の気持ちや隙に乗じて、自分の利を図る。機会に乗じる。 類:●付け込む 用例:評判・色道大鏡−一「言葉質をとり、わきへすべらせずつけ入りて」 例:「付け入る隙もない」 3.相手が気を許すのに乗じて入り込み、機嫌(きげん)を取って自分の利を図る。 用例:浮・好色二代男−一「太夫につけ入、枕の前後をはなれず」
・付けが回って来る
(つけがまわってくる) 勘定書きが後で回ってくることから、以前の無理や悪事の報いが巡って来る。 例:「中学の頃の怠慢の付けが今回ってきた」
・付け込む
(つけこむ) 1.相手の気持ちや隙に乗じて、自分の有利を図る。好機を捉えてうまく利用する。 類:●付け入る 用例:浮・傾城禁短気−五「此方の弱身を見せると、それからつけ込(コミ)て」 例:「相手の無知につけこむ」 2.予(あらかじ)め約束しておく。前もって申し込む。 用例:伎・小春穏沖津白浪−三幕「初会馴染ぢゃあ前びろから付込んでなくちゃあ」 用例の出典:小春穏沖津白浪(こはるなぎおきつしらなみ) 歌舞伎。河竹黙阿弥。元冶元年(1864)。小狐礼三と日本駄右衛門、船玉お才の三人が、兄弟の契りを結ぶ。重宝探索のお家騒動に、三人の盗賊が絡む。通称「小狐礼三(れいざ)」。
・付けにする
(つけにする) 1.馬鹿にする。愚か者として取り扱う。出汁(だし)に使う。 用例:洒・
辰巳之園「煙草のんだの、馬を呑だのと<略>人を付(ツケ)にした」 2.支払いを一定期間まとめて、後で支払うようにする。 用例の出典:辰巳之園(たつみのその) 洒落本。明和7年(1770)。夢中散人(寝言先生)。江戸深川を舞台に、遊里の様子を描いたもの。半可通(はんかつう)の男と野暮な田舎侍に対して、通人とその相方の遊女との愛を配して、遊興の世界を巧みに穿(うが)った作品。
・付け焼き刃
(つけやきば) 1.鈍(なまくら)刀に鋼(はがね)の焼き刃を付けたしたもの。2.一時の間に合わせに、俄(にわ)かに覚えた技術や知識。 例:「付け焼き刃の勉強では試験にパスしない」 3.入れ知恵。

−−−−−−−つこ(#tuko)−−−−−−−
・都合を付ける
(つごうをつける) 遣り繰りする。工面(くめん)する。ある目的が達せられるように手筈(てはず)を整えて事を運ぶこと。 類:●遣り繰りを付ける●算段をする●工面を付ける

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