【むた】〜【むる】

−−−−−−−むた(#muta)−−−−−−−
・無駄足
(むだあし) 歩いたことが無益に終わること。足を運んで、出向いた甲斐がないこと。 類:●空(から)を踏む 例:「無駄足を踏む」
・無体
(むたい) 1.蔑(ないがし)ろにすること。無視すること。軽蔑すること。 用例:源平盛衰記−二四「人の世にある、誰か仏法を無代にし逆罪を相招く」 2.甲斐がないこと。無駄にすること。 用例:源平盛衰記−二六「起請に恐れば、日頃の本意無代(ムダイ)なるべし」 3.無理なこと。無法なこと。道理に合わないこと。 用例:平家−四「よもその物、無台にとらへからめられはせじ」 例:「ご無体な要求」 4.取り分け甚だしい様子。無闇。また、副詞的に用いられて、少しも。全然。 用例:洒・
青楼日記「紅色(をらんだ)もじの素読をするやうでむてへよめねへのがございやす」 5.まったくできないこと。 用例:滑・八笑人−初「少しまじめな事は無体(ムテヘ)なもんだぜ」 6.形を成さないこと。体系的でないこと。 用例:至花道「はしばしの物まねをのみたしなむ事、無躰(ムタイ)枝葉の稽古なるべし」 7.仏教用語。実体がないこと。実在しないもの。無。 ★古くは「むだい」とも。「無代(ないがしろ)」の音読という<国語大辞典(小)> 用例の出典@:青楼日記(せいろうにっき) 洒落本。白陽東魚。享和2年(1802)。・・・詳細調査中。 用例の出典A:至花道(しかどう) 室町中期の能楽論。1冊。世阿弥。応永27年(1420)成立。「花」に至る道を説いた稽古論。二曲(舞、歌、舞楽)三体(老体、女体、軍体)などについて触れ、能の本質、構造を説く。
・無駄口を叩く
(むだぐちをたたく)[=利く] 無益なお喋りをする。
・無駄花(むだばな) 1.咲いても実を結ばない花。 類:●徒花(あだばな)2.雌雄異花の植物の雄花のこと。
・無駄骨を折る
(むだぼねをおる) 苦労したことが何の役にも立たないこと。 類:●徒労に終わる●画餅に帰す 
★「無駄骨折(むだぼねおり)」の略<国語大辞典(小)>
・無駄飯食らい(むだめしぐらい)[=食(ぐ)い] なんの役にも立たない者。無駄に日を送っている者。
・無駄飯を食う(むだめしをくう) 碌(ろく)に役にも立たないで無駄に日を送っている様子。

−−−−−−−むち(#muti)−−−−−−−
・無知の知(むちのち) 真の知に至る出発点は無知を自覚することにある、とするソクラテスの考え方。 人物:
ソクラテス 古代ギリシアの哲学者、教育者。アテナイで活動。前470〜前399。初めソフィストの新思想に親しんだが、後に自分の無知を知るゆえに知を求める愛知を真の人間存在のあり方であるとし、対話により、青年たちを無知の自覚に至らせ、そこから共に真の知識を探求することを天職と考えるようになった。しかし市民の誤解を受け、異教の神を信仰し青年を惑わせたとして告発され、獄中に毒杯をあおいで死んだ。著作はなく、クセノフォンや彼の弟子プラトンの対話篇によって伝えられる。
・無知文盲
(むちもんもう) 《四熟》 知識や学問がないこと。文字を読めないこと。また、その人。 類:●無学文盲
・無茶
(むちゃ) 1.筋道が立たないこと。道理に合わないこと。 類:●
滅茶苦茶 例:「無茶をするな」 用例:古今集遠鏡−一一「わしゃまあむちゃな恋をすることかな」 2.乱暴に扱う。乱雑にする。また、そういう様子。3.駄目にしたり無視したりすること。顧(かえり)みないこと。 用例:滑・世中貧福論−後「孫太郎折角千歳の情を無茶にし」 4.程度が普通でなく、甚(はなは)だしいこと。度を外れていること。 類:●滅茶(めちゃ) 例:「無茶なダイエット」 5.知らないこと。知識がないこと。 用例:滑・浮世床−初「江戸のことはむちゃ也」 ★副詞「むさと」の「むさ」からかという。「無茶」は当て字<国語大辞典(小)> 参考:むさと とるべき態度、守るべき節度をわきまえず、無分別・不注意であるさまを表す語<国語大辞典(小)> ★「むさと」の「むさ」は、「むさくるしい・むさい」と同源。 用例の出典:世中貧福論(よのなかひんぷくろん) 滑稽本。十返舎一九。文化9年(1812)文政5年(1822)。後の落語「はてなの茶碗」の元となる。
・無茶苦茶
(むちゃくちゃ) 《四熟》 1.まったく筋道が立たないこと。 類:●滅茶苦茶矢鱈 用例:雑俳・
折句袋「むちゃくちゃな・栄耀を照らす堀江の灯」 2.乱暴に扱ったり乱雑にしたりすることして、台無しにすること。 例:「他人の一生を無茶苦茶にする」 3.程度が並外れている。特に、悪いことについて使う。 例:「無茶苦茶に寒い」 ★「無茶苦茶」は当て字。「むちゃ」を強めていう語<国語大辞典(小)> 用例の出典:折句袋(おりくぶくろ) 雑俳。・・・調査中。
・夢中作左衛門
(むちゅうさくざえもん) ものごとに夢中であることを人名のように言った言葉。また、酩酊(めいてい)して我を忘れることにも言った。 
★元禄頃から江戸で流行したことば<国語大辞典(小)>
・夢中夢に入る
(むちゅうゆめにいる) 夢の中でまた夢を見るという意味で、人が非常にぼんやりしている様子。
・鞭を揚げる(むちをあげる) 馬を速く走らせるために鞭を振り上げる。馬を速く走らせる。
・鞭を惜しめば子を損なう
(むちをおしめばこをそこなう) 子供が可愛いのであれば、時には体罰も必要である。子供の教育には、躾(しつけ)も大事だということ。 類:●可愛い子には旅をさせよ ★英語の諺Spare the rod and spoil the childから。
・鞭を執る
(むちをとる) 鞭を手に取って馬を御(ぎょ)すという意味から、ものごとを思うままに操作すること。

−−−−−−−むつ(#mutu)−−−−−−−
・むっつり助平(むっつりすけべい) むっつり屋で、普段男女間の色恋などに関心がないような態度でいながら、その実好色な人。 ★「むっつり」は、擬態語「むつむつと」から派生した「むつ」が変化したもの。
・むっつり屋(むっつりや) 普段あまり喋ったり笑ったりしない人。無愛想(ぶあいそう)な人。

−−−−−−−むて(#mute)−−−−−−−
・無手勝流(むてかつりゅう) 《四熟》 1.剣術の卜伝流(ぼくでんりゅう)の異称。2.戦わないで相手に勝つこと。力でなく策で勝つこと。3.自分勝手な方法。自己流の遣り方。 
★剣豪塚原卜伝が、渡し船の中で真剣の勝負を挑まれたとき、相手を先に州の上に上がらせ、自分は船中にあって竿で船を突き離し、「戦わずして勝つ、これが無手勝流だ」と言ってその血気を戒めたという故事から<国語大辞典(小)>
・無鉄砲
(むてっぽう) 理に適(かな)うかどうかを良く考えずに、また、前後を考えずにものごとを行なうこと。向こう見ずに行動すること。また、その人。 類:●むてっぱち 
★「無点法(むてんぽう)」の変化とも、「無手法(むてほう)」の変化ともいう。「無鉄砲」は当て字<国語大辞典(小)>

−−−−−−−むと(#muto)−−−−−−−
・無頓着(むとんじゃく・むとんちゃく) ものごとに関心を持たないこと。ものごとをあまり気に掛けないこと。 例:「彼は服装に無頓着だ」 ★現代では多く、「とんちゃく」<国語大辞典(小)>

−−−−−−−むな(#muna)−−−−−−−
・胸糞が悪い
(むなくそがわるい・わりい) 忌々(いまいま)しい。不愉快である。気持ちが悪い。 類:●
胸が悪い
・胸倉を取る
(むなぐらをとる)[=捕(と)らえる・掴(つか)む] 「胸倉(胸座)」は、着物の両襟が合わさる辺りのこと。人を倒そうとしたり、押さえようとしたりして、その胸倉を強く掴む。 用例:仮・浮世物語「そのまゝ喧嘩になり〈略〉胸座を取る」 ★「座(くら)」は、御座(おわ)す場所の意味か。「股座(またぐら)」「胡坐(あぐら)」など。 ★女性の胸(おっぱい)が御座すところ、の意味か。
・胸騒ぎ
(むなさわぎ) 1.心配事や凶事などのために心臓の鼓動が俄(にわ)かに激しくなること。心悸。2.凶事の予感としてなんとなく心が穏やかでないこと。不安で心が落ち着かないこと。 類:●虫の知らせ 例:「胸騒ぎがする」
・胸算用
(むなざんよう・むねざんよう) 密(ひそ)かに心の中で計画や計算の見積もりを立てること。 類:●胸勘定●胸算(むなざん)●胸積もり●心算●心積もり ★古くは「むねざんよう」<大辞林(三)> ★「むなさんよう」とも<国語大辞典(小)>
・空しき骸
(むなしきから)[=体(からだ) 死骸。亡骸(なきがら)。
・空しき煙
(むなしきけぶり・けむり) 火葬の煙。無常の煙。 用例:平家−6「はや空しきけぶりとならせ給ふを」
・空しくする
(むなしくする)[=空しゅうする] 1.人を殺してしまう。また、物が壊れてしまう。無駄にする。 用例:太平記−四「天莫空(むなしうスルこと)勾践」 2.空(から)っぽにする。
・空しくなる
(むなしくなる)[=空しゅうなる] 死ぬ。死んでしまう。 用例:蜻蛉−上「ひさしうわづらひて秋の初めのころほひ空しくなりぬ」
・胸突き八丁
(むなつきはっちょう) 1.富士登山で、頂上まで八丁(約872)メートルの険(けわ)しい道。一般の山にもいわれる。また、急な登り道のこと。2.転じて、ものごとの一番苦しいとき、正念場の喩え。 例:「交渉が胸突き八丁に差し掛かる」
・胸尽くしをする
(むなづくしをする) 「胸尽くし」は、胸倉のことで、喧嘩などのとき、相手を倒そうとしたり、押さえようとしたりして、その胸倉を強く掴むこと。 類:●
胸倉を取る

−−−−−−−むに(#muni)−−−−−−−
・無に帰する(むにきする) 何もなかった、元の状態に戻る。また、無駄になる。 類:●
無になる
・無になす
(むにする)[=する] 無駄にする。台無しにする。空しいものにする。 例:「折角の好意を無にする」
・無になる
(むになる) 無駄になる。台無しになる。 類:●
無に帰す 例:「今までの精進が無になる」
・無二の親友
(むにのしんゆう) またとない親しい友人。掛け替えのない、他に比べるものがないほどの親しい友人。 類:●刎頚の友●莫逆の友
・無二無三(むにむさん・みにむざん) 《四熟・仏教用語》 1.法華経の教えで、成仏の道はただ一つ一乗にあるのみで二乗や三乗にはないということ。 出典:「法華経−方便品」 2.転じて、ただ一つで、他には類のないこと。 類:●唯一無二 用例:
却癈忘記−上「無二無三の信者にてあらむは、いまひときはの事におほゆ」 3.脇目も振らず、一途(いちず)になること。直(ひた)向きになる様子。 類:●一心不乱我武者羅 用例:甲陽軍鑑−品二三「旗本許にて無二無三に一戦を遂げ」 ★「むにやくむさん(無二亦無三)」の略<国語大辞典(小)> 用例の出典@:却癈忘記(???) 仏書。明恵上人(みょうえしょうにん=高弁)。1235〜。成立は1240年頃か。弟子長円が明恵の教訓や談話を筆録したもの。「高弁長円記」。 用例の出典A:甲陽軍鑑(こうようぐんかん) 軍書。20巻。高坂昌信の遺稿を春日惣次郎、小幡康盛らが書き継ぎ、小幡景憲が大成したという。元和7年(1621)以前の成立。武田信玄・勝頼二代の合戦、刑罰、行政、軍法などの事跡を追って軍学を論じたもの。甲州流軍学の教典とされ、江戸初期の思想や軍学を知る史料となっている。

−−−−−−−むね(あ)(#mune1)−−−−−−−
・胸開く(むねあく) 心配事などの心の重荷がなくなって、心が晴れる。 類:●胸の隙開く 用例:源氏−桐壺「亡きあとまで、人のむねあくまじかりける人の御おぼえかな」
・棟折れて垂木崩る(むねおれてたるきくずる) 上に立つ者が駄目になると、その下にある者も諸共(もろとも)零落(おちぶ)れることの喩え。 ★「棟」は、屋根の一番高い所に水平に渡してある木。「垂木」は、棟木(むなぎ)から軒(のき)まで渡してある屋根板を支(ささ)えている木。

−−−−−−−むね(か)(#mune2)−−−−−−−
・胸が合う
(むねがあう) 心が合うという意味で、相手の気持ちとぴったり合うこと。 類:●虫が合う
・胸が熱くなる(むねがあつくなる) じいんと感動が込み上げてくる。
・胸が板のようになる(むねがいたのようになる) 胸が潰(つぶ)れて板のようになるということから、心配事などのために胸が締め付けられるように感じる。 類:●
胸が潰れる
・胸が痛む(むねがいたむ) 1.心に苦痛を感じる。とても心配する。心痛する。2.良心が咎(とが)める。悩む。 例:「約束を違えて胸が痛む」
・胸が一杯になる
(むねがいっぱいになる) 悲哀・歓喜・感動などで心が満たされる。 類:●感極まる
・胸が躍る
(むねがおどる) 期待・興奮などで浮き浮きして落ち着かなくなる。胸がわくわくする。 類:●胸が高鳴る●胸がときめく●心が弾む
・胸が裂ける
(むねがさける)[=張り裂ける] 悲しみ、苦しみ、憎しみ、悔しさなで、胸が破れるような苦痛を感じる。
・胸が騒ぐ
(むねがさわぐ) 心が動揺する。胸騒ぎがする。 類:●
胸が轟く
・胸が透く
(むねがすく) 気分が晴れやかになる。胸の支(つか)えが取れる。痛快である。 類:●溜飲が下がる
・胸が狭い
(むねがせまい) 心が狭い。度量が小さい。
・胸が支える
(むねがつかえる) 1.食べた物が食道を通らない。2.心配事などがあって心が平静でなくなる。
・胸が潰れる
(むねがつぶれる) 悲しみや心配事で心が強く締め付けられるように感じる。胸騒ぎを感じてどきりとする。 類:●胸ひしぐ●
胸が板のようになる
・胸が詰まる
(むねがつまる) 1.食べた物が胸の辺りに支える。2.感情が昂(たか)ぶって胸が一杯になる。 類:●
胸が塞がる
・胸が轟く
(むねがとどろく) 胸がどきどきする。心が時めく。また、胸騒ぎがする。 類:●胸が高鳴る
・胸が煮える
(むねがにえる)[=煮え返る] 非常に腹が立つ。癪(しゃく)に障(さわ)る。怒りや悔しさで酷(ひど)く昂(たか)ぶる。 類:●胸が燃える●腸(はらわた)が煮え返る
・胸が塞がる
(むねがふさがる) 憂鬱(ゆううつ)な気持ちになる。 類:●
胸が詰まる
・胸が焼ける
(むねがやける) 胃に熱があるように感じる。胸焼けがする。 例:「飲み過ぎで胸が焼ける」
・胸が悪い
(むねがわるい・わろい・わりい) 1.吐き気がして気分が悪い。胸焼けがして気持ちが悪い。2.癪(しゃく)に障る。むかむかとして腹立たしい。 類:●
胸糞が悪い 3.性質が良くない。質(たち)が悪い。4.胸の病気に罹(かか)っている。特に、肺結核である。
・胸焦がる
(むねこがる) 酷(ひど)く思い煩(わずら)い、悶(もだ)え苦しんで、胸が熱くなるように感じる。

−−−−−−−むね(さ)(#mune3)−−−−−−−
・胸三寸に納める
(むねさんずんにおさめる) 心の中に納める。胸の中に秘めて顔に表さないようにする。 類:●胸三寸に畳む

−−−−−−−むね(た)(#mune4)−−−−−−−
・胸潰らわし(むねつぶらわし) 危なくて胸が潰れそうである。胸がどきどきするようである。
・旨とする(むねとする) 重んじる。第一とする。主(しゅ)とする。 例:「質実剛健を以って旨とする」


−−−−−−−むね(な)(#mune5)−−−−−−−
・胸に当たる(むねにあたる) 心に思い当たる。心に強く感じる。 類:●
胸に応える身に沁みる 用例:徒然−41「思ひかけぬ心地して、胸に当たりけるにや」
胸に一物(むねにいちもつ)
・胸に納める(むねにおさめる)[=畳(たた)む・包む] 口に出して言わないで、心の中に仕舞い込んでおく。心に秘めておく。
・胸に落ちる(むねにおちる) 納得(なっとく)する。 類:●得心がゆく
・胸に聞く(むねにきく) 心の中で良く考える。自分を省(かえり)みて確かめる。 例:「自分の胸に聞いてみろ」
・胸に刻む(むねにきざむ) 心にしっかり留めて、忘れないでおく。 類:●肝に銘じる
・胸に釘打つ(むねにくぎうつ)[=釘針(くぎはり)刺す・焼き鉄(がね)刺す] 胸に釘を打たれたように、ものごとが心の急所に当たって、痛切に感ずる。心中の弱点を突かれて心を痛める。
・胸に据え兼ねる(むねにすえかねる) 1.怒りを胸に仕舞っておくことができない。非常に激しく怒っている状態。 類:●腹に据え兼ねる 2.どうしても納得できない。
・胸に応える(むねにこたえる)[=響(ひび)く] 身に沁みて感じる。一層痛切に感じ入る。 類:●
胸に当たる
・胸に迫る(むねにせまる) 色々な思いが胸に満ちて一杯になる。強く感じる。 例:「今日見た芝居には、胸に迫るものがあった」
・胸に手を置く(むねにてをおく)[=当てる] 1.両手を胸に宛がって心を静め、落ち着いて考える。よく思案する。 例:「胸に手を当てて良く考えろ」 2.胸に手を置いて寝たときのような、息苦しい思いの喩え。 用例:蜻蛉−中「むねにてををきたらんやうにて、あかしつ」
・胸に鑢を掛く(むねにやすりをかく) 酷(ひど)く苦悩する。痛切に心を悩ませる。
・胸の霧(むねのきり) 心配事などで、心が晴れないことの喩え。胸にある蟠(わだかま)り。 類:●心の霧
・胸の煙(むねのけぶり・けむり) 胸の火が燃えるときに出る煙という意味で、胸の中の思い。また、その思いが十分に叶えられないことの喩え。
・胸の関(むねのせき)[=関路(せきじ) 恋慕や煩悶(はんもん)などで、胸が塞(ふさ)がっている状態の喩え。 類:●心の関
・胸の痞え(むねのつかえ)[=支え] 1.食べ過ぎなどのために、胸が一杯で何も通らない状態。2.転じて、前から気になっている悩み事や心配事などのこと。
・胸の痞えが下りる(むねのつかえがおりる) 心の中にあった悩みや苦しみがなくなる。気分が晴れやかになる。 類:●溜飲が下がる胸が晴れる
・胸の月(むねのつき) 1.悟りを開いた心の喩え。2.心が月のように清い様子の喩え。 類:●心の月
・胸の火(むねのひ)[=炎(ほのお)・焔(ほむら) 恋慕や嫉妬(しっと)などで燃え立つ心を火に喩えた言葉。 類:●胸に焚(た)く火●燃える思い●思いの火
・胸の隙開(むねのひまあく) 心が晴れやかになる。 類:●胸開く
・胸の病(むねのやまい) 1.胸部の疾患。特に、肺結核。2.転じて、心を悩ます病。恋の病など。

−−−−−−−むね(は)(#mune6)−−−−−−−
・胸走る(むねばしる) 胸騒ぎがする。やきもきする。 類:●心騒ぐ
・胸拉ぐ(むねひしぐ) 悲しみや心配事で、心が強く締め付けられるように感じる。 類:●胸が潰れる 用例:狭衣−2「胸拉げたるやうにて、おぼつかなく残りゆかしとも」
・胸塞がる(むねふたがる) 胸が一杯になる。心苦しさに胸が詰まるように感じられる。 類:●胸が塞がる 用例:源氏−夕顔「かやうにておはせましかばと思ふにも、胸塞がりておぼゆ」

−−−−−−−むね(や)(#mune8)−−−−−−−
・胸より余る(むねよりあまる) 胸に納めておける限度を越えるという意味で、激しく思い悩むこと。また、考え余って途方に暮れること。

−−−−−−−むね(を)(#munewo)−−−−−−−
・胸を痛める(むねをいためる) 心を悩ませる。酷(ひど)く心配する。
・胸を打つ(むねをうつ) 1.悲しみや嘆きや無念さから自分の胸を叩く。自分の胸を叩いて嘆き悲しむ気持ちを表現する。 用例:万葉−904「足すり叫び伏し仰ぎ武禰宇知(ムネウチ)嘆き」 2.吃驚(びっくり)する。はっとする。3.感嘆する。感動させられる。 類:●心を打つ 例:「胸を打つ楽曲」
・胸を躍らす(むねをおどらす)[=躍らせる] 喜びや期待で胸をわくわくさせる。また、不安などでどきどきする。 類:●胸をときめかす●胸が高鳴る
・胸を貸す(むねをかす) 相撲で、上位の者が下位の者の稽古の相手をしてやる。一般に、実力上位の者が下位の者の相手をしてやる。 
★相撲以外にも使う。
・胸を借りる(むねをかりる) 相撲で、下位の者が上位の者に稽古の相手を請う。一般に、実力下位の者が上位の者に相手をして貰う。 
★相撲以外にも使う。
・胸を焦がす(むねをこがす)[=焼く] 酷く思い煩(わずら)う。思い焦がれる。
・胸を叩く(むねをたたく) 相手の依頼を快諾したときの動作。自信を持って引き受けたときの動作。 例:「俺に任せろと言って胸を叩いた」
・胸を突く(むねをつく) 1.急の事態に驚いてどきっとする。はっとする。 類:●と胸を突く 2.色々な思いが胸を一杯にする。心配の思いが急に募る。気掛かりになる。 3.坂や山道などの勾配が急である。 
参照:胸突き八丁
・胸を撫で下ろす(むねをなでおろす) 1.気持ちを押し鎮(しず)める。2.心配事が解消して、ほっとする。安堵(あんど)・安心する。 類:●
胸の痞えが下りる
・胸を張る(むねをはる) 1.胸を反(そ)らせる。姿勢を正す。 例:「胸を張れ」 2.自信がある素振(そぶ)りをする。また、誇らしげな態度を取る。 例:「胸を張って故郷へ帰る」
・胸を冷やす(むねをひやす) 恐さや危険を感じてぞっとする。 類:●肝を冷やす
・胸を弾ませる(むねをはずませる) 喜びや興奮で、胸をわくわくさせる。心が時めく。 類:●
胸を躍らせる
・胸を開く(むねをひらく) 隠し立てをしないで、心の中に思っていることをすっかり話す。 類:●胸襟を開く
・胸を膨らます(むねをふくらます) 期待や喜びなどが心の中に満ち溢(あふ)れる。 例:「希望に胸を膨らます」
・胸を病む(むねをやむ) 胸の病気を患(わずら)う。特に、肺結核を患うことを指す。
・胸を割る(むねをわる) 心の中を隠さず打ち明ける。 類:●胸襟を開く 例:「彼と胸を割って話してくる」

−−−−−−−むね(ん)(#munen)−−−−−−−
・無念夢想(むねんむそう) 《四熟・仏教用語》 1.無我の境地に入り、一切の想念をなくしている状態。2.何の考えもないこと。思慮がないこと。 用例:浄・百合若大臣「無念無想の下部共占はせよ」


−−−−−−−むひ(#muhi)−−−−−−−
・夢寐にも忘れない(むびにもわすれない) 眠っている間も忘れない。僅(わず)かな時間も忘れることがない。 類:●片時も忘れない
・無病呻吟(むびょうしんぎん) 《四熟》 病気でもないのに苦しそうに呻(うめ)く。大したことでもないのに、大袈裟に騒ぎ立てることの喩え。
・無病息災
(むびょうそくさい) 《四熟》 病気もせず健康であること。達者なこと。

−−−−−−−むみ(#mumi)−−−−−−−
・無味乾燥(むみかんそう) 《四熟》 味わいや面白みがないこと。味も素(そ)っ気もないこと。 類:●興味索然●無味単調●乾燥無味 例:「無味乾燥な数字の羅列」
・無明世界(むみょうせかい) 《四熟・仏教用語》 「無明」は、存在の根底にある根本的な無知のことで、望や執着心などの諸煩悩(ぼんのう)の根本にあるもの。無明による煩悩に支配された迷いの世界。煩悩に囚(とら)われた迷いの世界。 類:●浮世●娑婆(しゃば)
・無明の酒(むみょうのさけ) 仏教用語。人間の本心を晦(くら)ます諸煩悩を、飲むと正常な心を失う酒に喩えた言葉。俗念の喩え。
・無明の眠り(むみょうのねむり・ねぶり) 仏教用語。無明の境地を迷い、目覚めない状態を、眠りに喩えた言葉。 類:●無明の夢
・無明の闇(むみょうのやみ) 仏教用語。悟ることのない、無知迷妄の心を、闇に喩えた言葉。 類:●虚(むな)しき闇●無明長夜(むみょうじょうや)

−−−−−−−むや(#muya)−−−−−−−
・無闇(むやみ) 1.前後を考えないこと。理非を分別しないこと。 類:●矢鱈 用例:滑・浮世風呂−三「あんまりてへばむやみな仕方だ」 例:「無暗に人を信じるな」 2.度を越すこと。また、その様子。 例:「無暗に難しい問題」 
★「無闇」「無暗」は当て字<国語大辞典(小)>
・無闇矢鱈(むやみやたら) 《四熟》 「無闇」を強めた言葉。後先を考えないで、無理矢理行なうこと。 類:●闇雲滅多矢鱈箆棒(べらぼう) 
★「無闇」は当て字<国語大辞典(小)>

−−−−−−−むよ(#muyo)−−−−−−−
・無用の長物(むようのちょうぶつ) あっても益にならないもの。あっても役に立たないどころか、却(かえ)って邪魔になるもの。 類:●長物
・無用の用(むようのよう) 一見、役に立たないように見えるものが、却(かえ)って非常に大切な役を果たしているということ。 類:●不用の用 出典@:「老子−十一」「故有之以為利、之以為」 出典A:「荘子−外物」「荘子曰、然則無用之也亦明矣」
・無余涅槃(むよねはん) 《四熟・仏教用語》 肉体などの制約から完全に解放された、永遠の悟りの境界。 類:●無余依(むよえ)涅槃 
反:■有余涅槃

−−−−−−−むら(#mura)−−−−−−−
・紫の朱を奪う(むらさきのあけをうばう) 1.紛(まが)い物が本物に取って代わり、その地位を奪うことの喩え。佞者(ねいしゃ)の言葉が用いられ、正論が疎(うと)んぜられること。 出典:「論語−陽貨」「悪紫之奪朱也、悪鄭声之乱雅学也、悪利口之覆邦家」 ★中国春秋時代、古来正色とされていた朱に替わり、間色である紫が好まれるようになった。 2.似てはいるが、全く違うこと。

−−−−−−−むり(#muri)−−−−−−−
・無理圧状(むりおうじょう) 《四熟》 無理矢理に承知させてしまうこと。無理にそのようにさせること。 用例:金色夜叉「連出して無理圧状に納得させる計(はかりごと)だな」 用例の出典:
金色夜叉(こんじきやしゃ) 小説。尾崎紅葉。明治30(1897)〜36年(1903)新聞に連載。未完。熱海を舞台にした恋愛小説。金銭のため許嫁(いいなずけ)鴫沢宮に裏切られた間貫一が、高利貸になって宮や社会に復讐しようとする。
無理が通れば道理引っ込む(むりがとおればどうりひっこむ)[=そこ退(の)け]
・無理算段(むりさんだん) 《四熟》 無理をしてものごとや金銭の融通(ゆうずう)を付けること。また、苦しい生計の遣り繰り。 類:●虎の子渡し 例:「無理算段して金を作る」
・無理強い(むりじい) 相手が嫌がることを強引にさせること。強引に従わせること。 類:●強制●無理圧状 例:「部下に酒を無理強いする」
・無理な相談
(むりなそうだん) 話の当事者双方の条件が、初めから折り合わないと分かっている相談。 類:●できない相談
・無理難題(むりなんだい) 《四熟》 道理に外れた言い掛かり。実現が不可能とが分かり切っている要求。 例:「無理難題を吹っ掛ける」
・無理無体(むりむたい) 《四熟》 相手の意向に構わず、強引にものごとを行なうこと。無法に強制すること。 例:「無理無体な要求」
・無理無辺(むりむへん) 《四熟》 測ることができない量と、広大で果てしない広さのこと。ものごとの程度が測り知れないこと。
・無理もない(むりもない) 道理である。当然のことである。 例:「怒るのは無理もない」
・無理矢理(むりやり)・無理遣り 《四熟》 困難だと、或いは駄目(だめ)だと知りながら行なうこと。また、筋道が通らないと知りながら行なうこと。 類:●強(し)いて ★「矢理」は当て字<国語大辞典(小)>
・無理を張る(むりをはる) 道理に外れたことを押し通す。無理なことを、強いて言ったり、行なったりする。

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・無類飛び切り(むるいとびきり) 他に比べるものがないほど飛び抜けている。程度を越えている。


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