【はな】~【はの】

−−−−−−−はな(あ)(#hana1)−−−−−−−
・鼻脂を引く(はなあぶらをひく) 1.表面が滑(なめ)らかになるように鼻脂を塗る。2.巧くいくように十分準備する。 用例:太平記−三「中差(なかざし)に鼻油(ハナアフラ)引て待懸たり」 3.最後の仕上げをする。 用例:太平記−三「えびらより金磁頭(かなじんどう)を一つ抜き出し、鼻油引いて」
・鼻息が荒い
(はないきがあらい) 意気込みが激しい。思い込みが強く、人の説を受け付けない。強気である。
・鼻息鳴らす(はないきならす) 鼻息が荒々しい。腹を立てたりして興奮している様子。
・鼻息を窺う(はないきをうかがう) 恐る恐る人の意向を探る。人の機嫌を窺う。相手が気に入るように行動する。 例:「上司の鼻息を窺う」
・花一時人一盛り(はないっときひとひとさかり) 1.花が美しく咲き誇るのも僅(わず)かな期間に過ぎない。人の最盛期も、ごく短期間であるということ。 類:●花七日桜は七日 2.特に女性にとって、まるで花が匂い立つような、盛りの時期はごく短いものである。
・鼻うそやぐ
(はなうそやぐ)[=うそあく] 可笑しさに堪え切れず、鼻がくすぐったくなり笑い出しそうになる。 用例:
源平盛衰記−一九「佐殿鼻うそやぎては思はれけれ共」 用例の出典:源平盛衰記(げんぺいじょうすいき・せいすいき) 鎌倉時代の軍記物語。48巻。作者、成立年代共に未詳(1250年頃か)。源平の興亡、盛衰を多くの挿話、伝説、故事を交えつつ描く。「平家物語」の異本の一種とみられる。源氏関係の記事、仏教説話、中国故事などが増補され詳細だが、表現の格調、風韻は「平家物語」に劣り、物語としては散漫。
・鼻歌交じり
(はなうたまじり) 1.鼻唄を歌いながらのんびりとものごとをすること。2.転じて、真剣味に欠けていること。 例:「鼻歌交じりで試合に向かう」
・花多ければ実少なし(はなおおければみすくなし) 花が沢山咲く木には、実が多くは生らない。見てくれが良い人は、とかく誠意がないものだということの喩え。 反:■花も実もある
・花落ちて後七十五日始めて其の実食らうべし
(はなおちてのちしちじゅうごにちはじめてそのみをくらうべし) 果実が実際に食べれるようになるのは、概(おおむ)ね、花が散ってから七十五日後であるということ。

−−−−−−−はな(か)(#hana2)−−−−−−−
・鼻が明く
(はながあく) 相手との差が開くという意味で、人に出し抜かれることの喩え。また、当てにしていたことが外れてしまうということの喩え。
・鼻が胡坐を掻く(はながあぐらをかく) 鼻が低くて横に広がっていること。
・鼻が利く
(はながきく) 1.嗅覚が敏感である。臭いを良く嗅ぎ分ける。2.自分の利益になりそうなことを目敏(ざと)く見付け出す。
・鼻が高い(はながたかい) 得意になっていること。誇らしい。自慢らしい。 例:「親として鼻が高い」
・鼻が凹む
(はながへこむ) 得意になっていた者が遣り込められる。恥を掻かされる。 類:●恥を掻く恥を見る恥じを取る
・鼻が曲がる
(はながまがる) 悪臭があまりに酷(ひど)いことの喩え。 例:「鼻が曲がりそうな靴下の臭い」
・花が見たくば吉野へござれ
(はながみたくばよしのへござれ) 桜が見たければ奈良県の吉野へ来なさいということ。なにごともそれぞれの本場へ行くことが大切であるということの喩え。
・端から和尚はない
(はなからおしょうはない) 仏門に入ったばかりの修行僧が、間を省いて一気に学徳を備えた高僧になることはできない。ものごとは順序や段階を踏まなければならないことの喩え。初めは、誰でも未熟であるということ。また、一足(いっそく)跳びの出世などを望むものではないということ。 類:●沙弥から長老にはなれぬ●仏になるも沙弥を経る●河童も一度は川流れ
・鼻薬を嗅がせる
(はなぐすりをかがせる)[=飼(か)う・利かせる] 賄賂(わいろ)を贈る。贈賄(ぞうわい)する。 
★ここでの「鼻薬」は、少額の賄賂のこと。
・鼻毛が長い
(はなげがながい) 1.鼻毛が伸びている。2.女の色香に迷い、溺(おぼ)れている。
・鼻毛を数える
(はなげをかぞえる) 1.女が、自分に惚れている男の心を見透かして、翻弄(ほんろう)する。 類:●
鼻毛を読む 2.愚かな行動をそのまま黙って見過ごす。 3.相手の心の中を見抜いて、機嫌を取る。 用例:柳多留−二十四「お鼻毛かぞへてゐるが勤めなり」
・鼻毛を抜く
(はなげをぬく) 出し抜く。騙す。 類:●鼻を明かす
・鼻毛を伸ばす
(はなげをのばす)[=長くする] 女に現(うつつ)を抜かし、だらしなくなる。女に甘く、でれでれする。 用例:
社会百面相 「密夫(まおとこ)する女房に鼻毛を伸ばす」 用例の出典:社会百面相(しゃかいひゃくめんそう) 社会小説。内田魯庵。2巻。明治35年(1902)。連作で、他に「くれの廿八日」「思い出す人々」などがある。
・鼻毛を読む
(はなげをよむ)[=見抜く] 1.女が、自分に溺れている男の心を見透かして、好いように弄(もてあそ)ぶ。 類:●
鼻毛を数える 用例:婦系図「恐入つたと、鼻毛を読まして讃(ほ)めて遣(や)るんだ」 2.愚弄する。嬲(なぶ)る。 用例の出典:婦系図(おんなけいず) 小説。泉鏡花。明治40年(1907)。半自伝的作品。後年お蔦と主税(ちから)の悲恋として脚色され、新派悲劇の代表的狂言となった。

−−−−−−−はな(さ)(#hana3)−−−−−−−
・花盛り
(はなざかり) 1.花が満開であること。また、その頃。特に、桜の花の盛りを指して言う。2.ものごとの勢いが非常に盛んで、その頂点にあること。また、その時期。 例:「巷(ちまた)では健康補助剤が花盛り」 3.女の容貌などが最も美しい年頃。 類:●娘盛り
・鼻先思案
(はなさきじあん) 《四熟》 胸の深いところでじっくり考えたのでない、極めて浅はかな考え。 類:●咽喉元思案●鼻の先知恵
・鼻先で笑う
(はなさきでわらう) 相手を見下して笑う。 類:●
鼻で笑う
・鼻先笑い(はなさきわらい) 鼻先でちょっと笑うこと。相手を軽蔑して軽く笑う。
・話が合う(はなしがあう) 話題が一致するという意味で、趣味や気質が合って、打ち解けて話ができること。または、楽しみながら仲良くできること。 類:●馬が合う肌が合う
・話が染む(はなしがしむ) 気分や調子が出て、夢中になって話す。 類:●
話に実が入る
・話が違う(はなしがちがう) 1.予(あらかじ)め為されていた約束と違う。期待していた内容と違う。2.条件が変わることによって、ものごとが別のものになる。 類:●話しが別 例:「その件を引き合いに出すのなら話が違う」
・話が付く(はなしがつく) 相談や交渉が纏(まと)まる。合意する。決着が付く。
・話が弾む
(はなしがはずむ) 話が、順調に、しかも盛んに進行する。話題が次から次へと出て、話が活気付く。 類:●
話に花が咲く
・話が早い(はなしがはやい) 話そうとする内容を相手が理解していて、すぐにお互いの意思が通じ合える。 例:「そういうことなら話が早い」
・話が分かる
(はなしがわかる) ものごとの道理が良く分かる。世事や人情に通じていて、思うことを良く理解して呉れる。 類:●
話せる 例:「年を取っている分、話が分かりなさる」
・話し上手は聞き上手(はなしじょうずはききじょうず) 本当に話が巧い人は、他人の話を聞くのも巧い。
・話し上手は聞き下手
(はなしじょうずはききべた) 話が巧い人は自分ばかり話していて、他人の話を良く聞かないものだ。
・話半ば
(はなしなかば) 話がまだ途中である。言い出した話が、まだ全部終わっていない。
・話に尾鰭が付く(はなしにおひれがつく) 話が誇張されて大きくなる。
・話にならない(はなしにならない) 1.話し合いが付かない。相談が纏(まと)まらない。意見が合わない。2.問題にならない。呆れてものが言えない。 類:●開いた口が塞がらない
・話に花が咲く
(はなしにはながさく) それからそれへと、色々興味ある話が出る。 類:●言葉に花が咲く●話が弾む
・話に実が入る
(はなしにみがはいる)[=身(み)が〜] 話に熱中する。
・話の腰を折る
(はなしのこしをおる) 調子に乗っていた談話を、中途で挫折させる。口を挿(はさ)んで話を中途で遮(さえぎ)る。
・話の接穂
(はなしのつぎほ) 話を続ける切っ掛け。
・話は元から竹は末から
(はなしはもとからたけはうらから) 竹を割るときは末(=先端の方)から割らないと上手く割れない。同様に、話は最初から聞くもので、中途から聞いて口を出すものではないということ。 参考:●竹は頭から●木元竹末(きもとたけうら)
・話半分
(はなしはんぶん) 1.ものごとは誇張して言い伝えられることが多いから、話は半分ぐらい割り引きして聞くと、丁度本当のところが掴(つか)めるということ。 類:●話半分嘘半分●話半分見て四分の一 例:「彼の言い分は話半分に聞いておいた方が良い」 2.話の途中。 類:●
話半ば
・鼻白む
(はなじろむ) 1.気後(おく)れした顔をする。また、決まり悪そうな躊躇(ためら)った表情をする。 用例:源氏−花宴「さての人々は、皆臆しがちにはなじろめる多かり」 2.興醒(ざ)めする。また、気勢を削がれたりして、気分を害す。 
★急に困難に直面すると鼻の辺りが蒼白になるところからという<国語大辞典(小)>
・話を決める
(はなしをきめる) 話を纏(まと)めるという意味で、相談や交渉事を纏める。合意する。問題を解決する。 類:●
話を付ける
・話を付ける(はなしをつける) 相談などの決着を付ける。話し合いや交渉事などを纏めたり、紛争を解決したりする。 類:●
話を決める
・鼻筋が通る(はなすじがとおる) 眉間から鼻先までの線がすっと伸びているという意味で、目鼻立ちが整っていること。
・話せる(はなせる) 1.話ができる。 例:「韓国語を話せる」 2.話し相手とするに足りる。物分かりが良い。機微に通じていて、融通(ゆうずう)が利く。 類:●
話が分かる 例:「君のお父さんは話せる人だな」

−−−−−−−はな(た)(#hana4)−−−−−−−
・鼻高々(はなたかだか) いかにも得意げな様子。誇らしげな様子。大変自慢すること。 例:「満点を取って鼻高々だ」
・鼻血も出ない
(はなぢもでない) 財産などを絞り取られて、もう何も残っていない状態。金銭を使い切って一円たりともない状態。また、非常に貧乏であること。
・鼻っ柱が強い(はなっぱしらがつよい) 「鼻っ柱」は、鼻筋のことで、意思が強いことを意味するところから、自分の言説を主張して譲らない、利かぬ気が強い。
・鼻っ柱を折る(はなっぱしらをおる)[=へし折る・挫(くじ)く] 相手の高慢や自信を挫(くじ)く。
・鼻摘み
(はなつまみ) 1.鼻を摘(つま)むこと。2.臭いものは、鼻を摘んで避けるところから、甚(はなは)だしく人に忌み嫌われること。また、その人。 例:「クラスの鼻摘み者」
・鼻であしらう
(はなであしらう)[=鼻先で〜] 相手の言葉を問題とせず、冷淡に応対する。素気(すげ)無い態度をする。 類:●
鼻の先であしらう
・鼻で笑う
(はなでわらう) 鼻の先で人を小馬鹿にしたように軽く笑う。相手を見下して笑う。 類:●鼻の先で笑う

−−−−−−−はな(な)(#hana5)−−−−−−−
・花七日(はななぬか・はななのか) 1.桜の花盛りは、僅(わず)か七日ばかりに過ぎない。桜の花盛りの短さをいう言葉。2.なにごとにつけ、盛りの時期はほんの僅かな期間であるということ。 類:●花一時人一盛り桜は七日
・花に嵐
(はなにあらし)[=風(かぜ) 花見をしようとすると、得てして風が起こり、花弁を散らしてしまうものだということ。兎角(とかく)ものごとには邪魔が入り易いものだことの喩え。 類:●花発(ひら)いて風雨多し月に叢雲花に風●花に風●魔障多し●好事魔多し 用例:井伏鱒二「勧酒歌」「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」 →参考:于武陵(うぶりょう)「勧酒」「勧君金屈巵、満酌不須辞、花発多風雨、人生足別離」
・鼻に当てる
(はなにあてる) 自慢する。功名であるように言う。 類:●
鼻に掛ける 用例:浮・御前義経記「おのれが有徳(うとく)を鼻に当てて」
・鼻に掛ける
(はなにかける) 自慢する。誇り顔をする。得意がる。 類:●
鼻に当てる 例:「学歴を鼻に掛ける」
・花に三春の約あり
(はなにさんしゅんのやくあり) 前もって約束でもしてあったように、春になると必ず花が咲くことをいう。 類:●蛍に三夏の約あり 用例:御伽草子−ふくろふ「花に三春の約あり、いかで情をかけざらむ」
・鼻に付く
(はなにつく) 1.嫌な臭いが鼻を刺激する。 例:「安物の香水が鼻に付く」 2.同様なことが度重なり、飽きて嫌気が差す。 例:「いくら好きだからって、またカレーでは鼻に付くというもの」 3.言葉が嫌味に感じられる。 例:「杓子定規なところが鼻に付く」
・花盗人は風流の内(はなぬすびとはふうりゅうのうち・はなぬすっとは〜) 余所(よそ)の庭の桜を一枝手折(たお)るのは、確かに善い行ないではないが、その美しさに惹(ひ)かれた風流心のなせる業(わざ)だから、咎(とが)め立てせず大目に見てやるべきである。多く、桜の花を手折ったときの言い訳として使われる言葉。 由来:花盗人(はなぬすびと) 狂言。各流。男が桜の枝を折ろうとして捕えられ、木に縛(しば)り付けられるが、「この春は花の下にて縄つきぬ烏帽子桜と人やいふらん」という歌を詠(よ)んで許される。
・花のお江戸
(はなのおえど)[=江戸] 江戸が繁華である様子を称(たた)えて言う言葉。
・花の顔
(はなのかんばせ・かお・かおばせ) 1.咲いている花の姿。花の様子。2.花のように美しい顔。 類:●花顔(かがん)
・花の心
(はなのこころ) 1.花に心があるものとして、花の心。2.相手の心を指して言う美称。3.花に寄せる思い。花に付いての風情(ふぜい)。4.移り気な心。浮気心。
・鼻の差
(はなのさ) 僅かの差。 
★元来は競馬で、ゴール前の先着争いに馬の鼻先ぐらいの僅差の勝負をいう<国語大辞典(小)>
・鼻の先(はなのさき) 1.鼻の先端。鼻の頭。 類:●鼻頭(はながしら) 2.直ぐ目の前。近いところ。目前。 類:●目の当たり●目先 例:「鼻の先にある」 3.顔の表面。顔面。表情。 用例:浮・好色一代女−一「悦喜鼻の先にあらはなり」 4.通り一遍のこと。上面(うわっつら)だけのこと。口先だけのこと。 用例:評判・色道大鏡−五「鼻のさきの知恵をもって」 5.
鼻の先知恵」の略。
・鼻の先知恵
(はなのさきぢえ) 目の前のことだけの考え。浅墓な知恵。 類:●鼻元思案●咽喉元思案
・鼻の先であしらう
(はなのさきであしらう) 鼻先で「ふん」と応答する。相手の言葉に録に返事もしないで冷淡にあしらう。素気(すげ)無い態度をする。 類:●
鼻であしらう
・鼻の先にぶら下がる
(はなのさきにぶらさがる) 自慢するような様子が、顔付きや言動にはっきり現われている様子。
・鼻の先の疣々
(はなのさきのいぼいぼ) 邪魔なもののこと。目障りなもののこと。 類:●目の上のたん瘤
・鼻の下が長い
(はなのしたがながい) 1.愚かである。2.女に迷い易い。女に甘い。好色である。 類:●鼻の下の間口が広い●鼻の下が豊か
・鼻の下が干上がる
(はなのしたがひあがる) 生計を立てる道を失って、食うのに困る。生活ができなくなる。 類:●顎が干上がる
・鼻の下の建立
(はなのしたのこんりゅう) 寺社などで寄進を募(つの)るのは、実は、僧侶や神官の生活のためであるということ。
・花の下の半日の客、月の前の一夜の友
(はなのもとのはんじつのかく、つきのまえのいちやのとも) 1.たった半日や一夜の短かい知り合いでも、前世からの因縁が浅くないからであるという意。2.趣味を同じくする人は、仮令(たとえ)僅かな間、語り合っただけの間柄でも、いつまでも懐かしく思われること。
・花の下より鼻の下
(はなのしたよりはなのした) 花の下で風流な時間を過ごすより、鼻の下の口に食べさせる方が大事である。風流より、暮らしを立てることが大事であるということ。 類:●花より団子色気より食い気
・鼻の下を伸ばす
(はなのしたをのばす) 主に男が、異性を見てだらしなくなる。表情が、好色で締まりがなくなる。でれっとする。
・花の父母(はなのふぼ) 草木を潤(うるお)し養うところから、雨や露のこと。 用例:和漢朗詠−上「養ひ得ては自ら花の父母たり」
・花の装い
(はなのよそおい) 花のように美しい装い。美人の装い。

−−−−−−−はな(は)(#hana6)−−−−−−−
・花は折りたし梢は高し
(はなはおりたしこずえはたかし) 1.欲しいけれども手に入れる方法がないこと。2.思うようにならないことの喩え。
花は桜木人は武士
(はなはさくらぎひとはぶし)
・花は里より咲き初め、紅葉は山より染め初むる
(はなはさとよりさきそめ、もみじはやまよりそめそむる) 桜は咲き始めて山奥へと登ってゆくが、紅葉は逆に山の上から色付いて、里の木々が色付くのは最後だということ。自然の摂理はいつも同じという意味にも使う。
・花は三月菖蒲は五月
(はなはさんがつしょうぶはごがつ) 桜は旧暦三月、菖蒲は旧暦五月が見頃である。
・鼻柱をへし折る
(はなばしらをへしおる)[=折る・挫(くじ)く] 相手の高慢や自信を挫(くじ)く。
・花はその主の心の色に咲く(はなはそのしゅのこころのいろにさく) 草木は育ててくれた人の心根を反映させて花を咲かせる。人の性格は、その組織の長に強く感化されるという喩え。
・甚だ以って
(はなはだもって) 「甚だ」を強めた言い方。甚だしく。非常に。 例:「甚だ以って遺憾である」
・花は所を定めぬもの
(はなはところをさだめぬもの) 美しい花というのは、人目に付く場所であろうとなかろうと、どこにあっても持ち前の美しさで咲く。立派な人物は、場所や地位に関わらず、その環境の中にあって常に真摯(しんし)であるという喩え。
・花は根に帰る
(はなはねにかえる) 咲いた花は、その木の根元に散り落ちて、肥やしになる。ものごとは全て、その元に帰るものであるということの喩え。 類:●花は根に鳥は古巣に
・花は根に鳥は古巣に(はなはねにとりはふるすに) 咲いた花はその根元に散り落ちるものであり、鳥は古巣に帰ってゆくものである。ものごとは全て、その元に帰るものであるということ。 類:●花は根に帰る 出典:「千載和歌集」「花は根に鳥は古巣にかへるなり春のとまりをしる人ぞなき−崇徳院」
・花はみ吉野、人は武士
(はなはみよしの、ひとはぶし) 桜の花の最も美しいのは吉野山であり、人ですぐれているのは武士である。 類:●花は桜木人は武士
花は山、人は里(はなはやま、ひとはさと) 物にはそれぞれに相応(ふさわ)しい場所があるということ。自然のままの桜を見るには山深く入った方が良いし、優れた人材を得るには人里を訪れた方が良いということ。
・花発きて風雨多し
(はなひらきてふううおおし) 花の季節にはとかく風や雨が多い。ものごとには邪魔が付き物で、世の中は思うようにならぬものだということ。 類:●月に叢雲花に風●花に風●花に嵐●魔障多し●好事魔多し 出典:于武陵「勧酒」「花発多風雨、人生足別離」
・鼻笛を吹く
(はなぶえをふく) 1.口を閉じ、声を鼻に抜いて歌う。鼻歌を歌う。2.悦に入って得意になる。喜んで鼻を鳴らす。

−−−−−−−はな(ま)(#hana7)−−−−−−−
・鼻曲がり(はなまがり) 1.鼻が曲がっていること。2.性質などが素直でなく、拗(ねじ)けていること。また、その人。 類:●臍(へそ)曲がり旋毛(つむじ)曲がり 3.生殖期で吻(ふん)の部分が突き出て曲がっている鮭や鮎の雄。 
・花実が咲く(はなみがさく) 事が巧く運んで良い結果を得る。栄誉や栄華を得る。 例:「死んで花実は咲くものか」
・餞
(はなむけ)・贐 1.乗った馬の鼻先を出掛ける方角へ向けること。2.旅立ちや門出を祝って金品や詩歌などを贈ったり、送別の宴を開いて見送ったりすること。また、その金品・詩歌・宴など。 例:「卒業生に餞の言葉を掛ける」 
★「馬の鼻向け」の略<大辞林(三)>
・鼻向けもならぬ
(はなむけもならぬ) 1.臭いが酷(ひど)くて我慢できない。2.転じて、言動が見聞きに堪えない。我慢できないほど嫌味である。 類:●
鼻持ちがならぬ
・鼻も動かさず
(はなもうごかさず)[=動かず] 顔色を変えない様子。取り澄ましている様子。また、抜け抜けとしている様子。
・花も折らず実も取らず(はなもおらずみもとらず) 花も実も両方とも手に入らないという意味から、ものごとに二股を掛ける者は、その一つさえも手に入れることができないということ。 類:●虻蜂(あぶはち)取らず二兎を追う者は一兎をも得ず
・鼻持ちがならぬ(はなもちがならぬ)・鼻持ちならない 1.臭気が酷(ひど)くて我慢できない。
 用例:人情・春色辰巳園−後「時に寄ちゃア鼻もちのならねへことも有もんだアな」 2.転じて、言動が気障(きざ)で見聞きに堪えない。我慢できないほど嫌味である。 類:●鼻向けもならぬ 例:「鼻持ちならない女」
・花も恥じらう
(はなもはじらう) 美しく咲く花でさえ引け目を感じるほどである。うら若く美しい女性の形容。 例:「花も恥じらう18歳」
・洟も引っ掛けない
(はなもひっかけない) 相手にしない。無視する。
・花も実もある
(はなもみもある)[=具(ぐ)す] 木や枝に花と実の両方が付いているという意味で、外観も美しく、内容も充実していること。名実ともに備わる。また、人情の機微に通じていること。 類:●花も実も具す●色も香もある●名実共に備わる 反:■花多ければ実少なし

−−−−−−−はな(や)(#hana8)−−−−−−−
花より団子(はなよりだんご)

−−−−−−−はな(を)(#hanawo)−−−−−−−
・鼻を明かす
(はなをあかす) 出し抜いたり思い掛けないことをしたりして、優位に立っていた相手を驚かせる。 例:「ライバルの鼻を明かす」
・鼻を蠢かす
(はなをうごめかす) 得意そうにしている様子。
・鼻を打つ(はなをうつ) 1.鼻汁を啜(すす)る。2.臭気が鼻を刺激する。強く嗅覚を刺激する。 類:●
鼻を突く
・鼻を折る
(はなをおる) 1.慢心を挫(くじ)く。相手に恥を掻かせる。 類:●鼻柱を折る鼻柱をへし折る鼻柱を挫く 2.得意ぶっているのが挫ける。 類:●兜を脱ぐ
・花を折る(はなをおる) 花を折って翳(かざ)すという意味で、衣装や身繕(づくろ)いを華やかにする。美しく着飾る。
・鼻を欠く
(はなをかく) 多くの犠牲を払う。得るものより失うものが多い。 用例:平治−中「信頼は一日の軍に鼻を欠きけり」
・鼻を
?はなをかむ)[=洟を〜] 1.溜まった鼻汁を息で出して、紙などで拭き取る。2.すすり泣くことの喩え。
・花を咲かせる
(はなをさかせる) 1.華やかにする。賑(にぎ)やかにする。盛んにする。 例:「噂話に花を咲かせる」 2.栄えるようにする。成功する。名声を上げる。 類:●一花咲かす名を揚げる
・花を賞するに慎みて離披に至る勿れ
(はなをしょうするにつつしみてりひにいたるなかれ) 花は満開にならないうちに鑑賞するのが良い。ものごとは絶頂や完全に到達すると次は衰退へ移行するものだから、絶頂に至らない段階を善しとすべきだということ。 類:●花は半開酒はほろ酔い 出典:邵雍(しょうよう)の詩「安楽窩中吟」 ★「離披」は、花びらの各一片が開いて離れ離れになる。つまり、満開になること。
・花を添える
(はなをそえる) 美しいものの上に、更に美しさを加える。華やかさを増す。 例:「錦上花を添える」
・鼻を高くする(はなをたかくする) 面目を施(ほどこ)す。自慢する。得意になる。 類:●鼻を膨らめる
・鼻を突き合わす
(はなをつきあわす) 非常に近く寄り合う。狭い場所にたくさんの人が集まっている。
・鼻を突く
(はなをつく) 1.主君から勘当される。また、しくじって咎(とが)めを受ける。失敗する。衝突する。楯突く。 類:●突鼻(とつび)●鼻突き 用例:宇津保−俊蔭「御ともにつかうまつりたりし人々は、みなはなつきはなたれぬ」 2.嗅覚を刺激する。 類:●
鼻を打つ 例:「酒の臭いがぷんと鼻を突く」 3.狭い場所にたくさんの人が集まっている状態。 類:●鼻を突き合わす
・鼻を撮まれても知れぬ(はなをつままれてもしれぬ)[=分からぬ] 真っ暗で、一寸先も見えないことの喩え。
・鼻を鳴らす(はなをならす) 1.鼻に掛かった声を出す。また、甘えたような動作をする。 例:「指輪が欲しいと鼻を鳴らす」 2.小馬鹿にしたような動作をする。軽蔑する。
・鼻を嚏る
(はなをひる) くしゃみをする。
・花を踏んでは同じく惜しむ少年の春(はなをふんではおなじくおしむしょうねんのはる) 散り敷いた桜の花弁を踏みながら、儚(はかな)い少年の春を共に惜しもうではないか。 出典:白居易「春中與廬四周諒華陽觀同居」「背燭共憐深夜月、踏花同惜少年春」 ★「和漢朗詠集」では、「春夜」という題が付けられた。
・花を見て枝を手折る
(はなをみてえだをたおる) 皆が美しい花を観賞しているのに、その枝を折って持ち帰るという意味から、優美なものに対して、その味わいや趣(おもむき)が分からないこと。また、そのような心無い振る舞い。
・花を持たせる(はなをもたせる) 勝利や功名を相手に譲る。相手を立てる。 例:「部下に花を持たせる」
・花をやる
(はなをやる) 1.華やかな格好をする。華美な装いをする。着飾る。 用例:俳・
犬子集−二「年年に花をやるなり姥桜」 2.豪勢な遊びをする。豪勢な暮らしをする。楽しいことをする。特に、色事をする。 用例:浮・日本永代蔵−一「爰の都に花をやって、春をゆたかに暮され」 3.世に持て囃される。評判になる。人気を集める。 用例:随・独寝−下「黒文字の上々といふ評判にのって、たんと花をやりぬれば」 用例の出典①:犬子集(えのこしゅう) 江戸初期の俳諧集。17巻5冊。松江重頼編。寛永10年(1633)。発句1530、付句1000余を集め、貞門俳諧の最初の選集として価値が高い。 用例の出典②:独寝(ひとりね) 随筆。柳沢淇園(きえん)。享保10年(1725)頃。・・・詳細調査中。

−−−−−−−はに(#hani)−−−−−−−
・歯に合う
(はにあう) 1.噛むことができる。食べることができる。口に合う。2.転じて、その人に適する。丁度良い相手になる。 用例:
徳和歌後万載集「老のみとなるこの瓜の今は早婆でなければ歯に合はぬなり」 用例の出典:徳和歌後万載集(とくわかごまんざいしゅう) 狂歌集。四方赤良(よものあから)こと太田南畝。2冊。天明5年(1785)。「万載狂歌集」の続編。
・歯に衣着せぬ
(はにきぬきせぬ) 包み隠すことなく、思ったままを率直に言う。思っていることをはっきりと、飾らないで言う。 反:■奥歯に物が挟まる奥歯に衣着せる 例:「歯に衣着せぬ田中議員のスピーチ」
・埴生の小屋
(はにゅうのこや・おや) 土間に筵(むしろ)などを敷いただけの小さい家。また、土で塗っただけの小さい家。転じて、見窄(みすぼ)らしい粗末な家。また、自分の家を遜(へりくだ)っていう言葉。 類:●
埴生の宿●埴生●陋屋 ★「埴(はに)」は、きめが細かくてねばりけのある黄赤色の土のこと。埴土(はにつち)。
・埴生の床
(はにゅうのとこ) 埴生の小屋の粗末な床。
・埴生の宿
(はにゅうのやど)[=住家(すみか)] 土の上に筵(むしろ)などを敷いただけの粗末な小屋。また、土で塗っただけの粗末な家。見窄(みすぼ)らしい家。 類:●
埴生の小屋

−−−−−−−はね(#hane)−−−−−−−
・跳ね上がり
(はねあがり) 1.跳ね上がること。飛び上がること。2.値段などが急激に上がること。3.そそっかしく軽弾みな言動をすること。人並みより活発なこと。また、その人。 類:●
跳ね返り者●でしゃばり
・跳ね返り者
(はねかえりもの)・跳ねっ返り 1.思慮分別がなく軽弾(はず)みな言動をする人。 類:●出しゃばり者 2.人前も臆せず活発に振る舞う女性。 類:●お茶っぴい
・羽が生えて飛ぶ(はねがはえてとぶ) 商品が非常に良く売れる喩え。また、物が非常に呆気なくなくなる喩え。 類:●羽が生えたよう
・羽を交わす
(はねをかわす) 鳥が互いに翼を重ね合うこと。転じて、男女が情愛細やかに暮らすこと。 類:●比翼の契り 用例:源氏−夕顔「羽を交わさむとは引きかへて、弥勒(みろく)の世をかね給ふ」
・羽を交わせる鳥
(はねをかわせるとり) 翼を互いに重ね合っている鳥。転じて、愛情細やかな夫婦。 類:●比翼の鳥比翼連理
・羽を垂れる
(はねをたれる) 平身低頭する。降伏したことの喩え。
・撥ねを取る(はねをとる) 1.上前を撥ねること。ぴんはねをすること。2.興行などで、大当たりを取る。評判を上げる。
・羽を並べる
(はねをならべる) 1.鳥が互いに翼を重ね合わせるようにして寄り添う。転じて、男女が情愛細やかに暮らす。2.臣下が相並んで主君を補佐する。 用例:源氏−行幸「仕うまつりしきはは、羽を並べたる数にも思ひ侍らで」
・羽を伸ばす
(はねをのばす)[=伸(の)す] 1.勢力を伸ばす。勢力を揮(ふる)う。2.押さえられた状態から自由になって、伸び伸びと振る舞う。 類:●鬼の居ぬ間の洗濯 例:「妻の旅行中に羽を伸ばす」

−−−−−−−はの(#hano)−−−−−−−
・歯の抜けたよう
(はのぬけたよう) 疎(まば)らで不揃(ぞろ)いなこと。また、ある筈のものが欠けていて寂しい様子。
・歯の根が合わぬ(はのねがあわぬ) 寒さのために震える様子。また、恐怖のために震え戦(おのの)く様子。
・歯の根も食い合う
(はのねもくいあう) 極めて親密な間柄などの喩え。
・歯の根を鳴らす
(はのねをならす) 歯を食い縛(しば)るという意味で、無念さに耐えている様子。また、怒り狂っている様子。

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