【いき】~【いこ】

−−−−−−−いき(あ)(#iki1)−−−−−−−
・意気相投ず
(いきあいとうず) 気持ちがお互いに良く通い合う。 類:●
意気投合●情意投合
・行き当たりばったり(いきあたりばったり・ゆきあたり〜) 無計画で、その場の成り行きに任せる様子。成り行き任せ。 
★「ばったり」は「場当たり」からか<国語大辞典(小)>
・生き急ぐ(いきいそぐ) 造語。若くして死のうとする。まだ死ななくても良いのに死のうとする。 ★思想家・内村剛介の著作の題『生き急ぐ』昭和42年(1967)刊。「死に急ぐ」を言葉を変えて言ったものか。
・異義異読
(いぎいどく) 同じ漢字でも、意味の異なる場合に読みも違うという場合に言う。 
★暴風(ぼうふう)と暴露(ばくろ)の「暴」、難易(なんい)と貿易(ぼうえき)の「易」など<国語大辞典(小)>
・生き牛の目を抜く
(いきうしのめをぬく)[=抉(くじ)る] ⇒ 
生き馬の目を抜く
・生き写し
(いきうつし) 1.生きている者の姿をそのままに写し取ること。また、その絵。 類:●しょう写し●写生 2.人や物が他の人や物と区別のし難いほど良く似ていること。また、その人や物。 例:「死んだおばあちゃんに生き写しの孫娘」
・生き馬の目を抜く(いきうまのめをぬく)[=抉(くじ)る] 生きている馬の目を抜き取るほど、事をするのに素早いということ。また、すばしこく狡(ずる)いこと。油断ならないこと。 類:●
生き牛の目を抜く

−−−−−−−いき(か)(#iki2)−−−−−−−
・息が合う(いきがあう) お互いの気持ちや調子がぴったり一致する。 類:●一心同体●異体同心馬が合う
・意気が揚がる(いきがあがる) 意気込みが盛んになる様子。
・生き返る(いきかえる) 1.一度死んだ者が命を取り戻す。 類:●蘇生する 2.比喩的に、元気が回復する。記憶が蘇る。
・息が掛かる
(いきがかかる) 実力者の保護を受ける。または、影響、支配を受ける。
・息が通う(いきがかよう) 1.動物が死なないで、依然生きている。2.精神が篭もって、充実している。
・行き掛かり(いきがかり) 1.行く途中。 
反:■帰りがけ 例:「行き掛かりに寄ってみる」 2.ものごとの過程。ものの弾み。成り行き。 例:「行き掛かり上、買うことになった」
・息が切れる
(いきがきれる) 1.激しく動いたりして息切れがする。息が続かなくなる。喘(あえ)ぐ。2.息が絶える。死ぬこと。類:●息が絶える●息を引き取る●事切れる 3.ものごとが長く続けられないで、途中で止(や)める。 
・行き掛けの駄賃(いきがけのだちん・ゆきがけの〜) 昔、馬子が問屋などへ荷を受け取りに行く序(つい)でに、空馬に別の荷物を運んで手間賃を得たところから、事の序でに他の事をして利益を得ること。また一般に、ある事をする序でに他の事をすること。 例:「行き掛けの駄賃に近隣の小国を併呑していった」
・生き神様(いきがみさま) 1.生きている神。人の形をとって現われる神。 類:●現人神(あらひとがみ) 2.現存している徳の高い人や優れた人を崇(あが)めて言う言葉。 類:●生き仏
・息が詰まる
(いきがつまる) 息ができなくなる。また、極度に緊張して息が止まるような感じがする。 類:●息詰まる
・息が長い(いきがながい) ある活動が、一定の水準を保って、長い期間続いていることを言う。 例:「寡作だが息が長い作家」
・息が弾む
(いきがはずむ) 呼吸が速く苦しくなる。
・粋がる(いきがる) 自分から粋だと思って得意がること。実際はそうでないのに、粋のように振る舞う。 類:●粋ぶる
・生き替わり死に替わり
(いきかわりしにかわり) 何度も生まれ変わって。死んでは、また生き返って。
・生き胆を抜く
(いきぎもをぬく) 人を酷く驚かす。 類:●生き胆を取る●度肝を抜く荒肝を抜く●荒肝を拉(ひし)ぐ●肝を奪う
・息苦しい
(いきぐるしい) 1.呼吸が思うようにできなくて息が苦しい。 類:●いきどしい 例:「せきで息苦しい」2.胸が詰まるように重苦しい様子。圧迫感がある。 例:「息苦しい雰囲気」
・意気軒昂
(いきけんこう) 《四熟》 意気込みの盛んな様子。元気がある様子。 類:●
意気揚揚意気衝天 反:■意気消沈意気阻喪 例:「意気軒昂として出発した」

−−−−−−−いき(さ)(#iki3)−−−−−−−
・経緯(いきさつ) 1.事件の経過。事の成り行き。プロセス。 例:「さっぱりいきさつがわからない」 2.ものごとの込み入った内部事情。 例:●いざこざ●子細 用例:伎・
油商人廓話−二幕「盆の上で百両のいきさつ」 用例の出典:油商人廓話(あぶらしょうにんくるわばなし) 歌舞伎。落語の油屋与兵衛を元にしている。・・・調査中。 参考油屋与兵衛(あぶらやよへえ) 落語。「油」とも。寛政元年(1789)、に江戸から上阪した浄瑠璃作者・芝屋司叟が、中国明代の『今古奇観』の「売油郎」を翻案したもの。歌舞伎に移入されて「油商人廓話」となり、先代延若の当たり役となった。
・生き地獄
(いきじごく) 生きながらにして、まるで地獄に落ちたような苦しみを経験させられること。
・意気自若
(いきじじゃく) 《四熟》 不安な状況の中にあっても節度を失わず、少しも挫(くじ)けないこと。普段と変わらず平然としている様子。 類:●意気自如●泰然自若●神色自若 出典:「後漢書−呉漢伝」「漢意気自若、方整厳器械、激揚士吏」 ★「自若」は、平常と変わらないさまで、「自如」と同じ。
・生き死にの海
(いきしにのうみ)[=二つの海] 1.この世を海に喩えて、生死流転を繰り返す迷いの世界。 用例:万葉−3849「生死之二海(いきしにのふたつのうみ)を厭はしみ」 2.生きるか死ぬかの大事の瀬戸際。生死の分かれ目。 類:●生生流転生死(しょうじ)の海 用例の出典:
万葉集(まんようしゅう) 現存最古の和歌集。20巻。勅撰説もある巻1、2を核として巻16までが付加され、それに巻17以下の、大伴家持の歌日記的体裁の四巻が加えられている。現存の形に近いものに最後にまとめたのは大伴家持、成立は奈良時代の末頃(780年前後か)とされる。所収歌の歌体は短歌が大部分で、長歌、旋頭歌、仏足石歌、連歌を含む。歌数は約4500首。他に漢詩文が数編ある。歌の内容による分類は巻によって違うが、雑歌(ぞうか)、相聞(そうもん)、挽歌(ばんか)の三分類を基調とする。作者層は、天皇、皇族、貴族、官人、防人(さきもり)、遊女、乞食者(ほがいびと)などと広く、東国民謡ともいわれる東歌(あずまうた)などもある。5世紀初頭の仁徳天皇時代から淳仁天皇の天平宝字3年(759)までの時代の歌を収める。代表的歌人は、額田王、柿本人麻呂、高市黒人、山部赤人、山上憶良、高橋虫麻呂、大伴旅人、大伴家持など。 ★万(よろず)の世(葉)に伝えらるべき集、万の言葉または歌を集めた集の意などといわれる<国語大辞典(小)>
・生き字引き(いきじびき) 知識が広く、辞書のように、ものごとを何でも良く知っている人。企業や団体にあって、先例、規則、由来などに精通していて、それらに関し、即座に何でも答えられるような人。 
類:●walking dictionary
・意気消沈
(いきしょうちん) 《四熟》 元気をなくして、しょげること。意気込みが衰えること。 類:●
意気阻喪(そそう) 反:■意気軒昂(けんこう)■意気揚揚意気衝天
・意気衝天
(いきしょうてん) 《四熟》 意気込みが、天を突くほどに盛んな様子。 例:「意気衝天の勢い」
・生き証文
(いきじょうもん) 証人。
・行き過ぎ(いきすぎ・ゆきすぎ) 1.通り過ぎること。目的の所より先へ行くこと。 2.度を越すこと。 例:「そこまで言うのは行き過ぎだ」 3.知ったか振りをすること。矢鱈(やたら)と通人振ること。また、出しゃばること。 用例:洒・南閨雑話「うぬぼれのいきすぎなやつ」 用例の出典:南閨雑話(なんけいざつわ) 洒落本。夢中散人(寝言先生)。安永2年(1773)。・・・詳細調査中。
・息筋張る
(いきすじはる) 力を入れて顔に筋を出すという意味から、精を出してものごとをする。また、力のありそうな様子をして見せる。 類:●熱(いき)り立つ
・息急き切る
(いきせききる) 大層急いではあはあと息を吐く。 類:●息を弾ませる
・意気阻喪(いきそそう) 《四熟》 意気込みが挫(くじ)けて弱まること。元気を失うこと。 類:●
意気消沈

−−−−−−−いき(た)(#iki4)−−−−−−−
・行き倒れ(いきだおれ・ゆきだおれ) 病気、寒さ、飢えなどのため、路上で倒れること。または、倒れて死ぬこと。また、その人。 類:●野垂れ死に
・生きた化石
(いきたかせき) シーラカンス、蘇鉄(そてつ)、公孫樹(いちょう)など、絶滅を免れて古代から生き残っている生物・植物。比喩的に、時代遅れの人や流行に疎い人のことを指す。 類:●シーラカンス●時代の遺物
・生きた心もせぬ
(いきたこころもせぬ)[=心地もしない] 非常に危うい状況に置かれて、生きているような気がしない。
・生きた空がない
(いきたそらがない)[=生きている〜] 恐ろしさ、悲しさなどがあまりに強くて、生きている気持ちがしない。 類:●生きた心地もしない
・行き違い
(いきちがい・ゆきちがい) 1.擦れ違うこと。行き交うこと。 類:●道交(みちか)い 2.訪(たず)ねて行ったのに会えないこと。入れ違いに出掛けていて会い損(そこ)なうこと。 類:●行き違え 例:「手紙が行き違いになった」 3.ものごとがちぐはぐになること。噛み合わないこと。手筈(てばず)が狂うこと。 類:●行き違え 4.どこかへ出掛ける時、それが忌(い)むべき方角に当たっている場合、前夜に別の方角へ行って泊まり、改めて目的の場所へ行くこと。平安頃の風習であった。 類:●方違(かたたが)え
・生き血を絞る
(いきちをしぼる)[=吸う・啜(すす)る] 冷酷な手段で絞り取るようにして自分の利益を得ること。 類:●生き血を吸う●生き血をすする●紅血を絞る
・息杖を立てる
(いきづえをたてる) 駕籠掻きが客に酒代を強請(ねだ)るとき、駕籠を止め、息杖を突いて苦しそうな振りをするところから、酒代や金銭を強請る。
・行き付け
(いきつけ) 行き慣れていること。また、その場所。 同:●ゆきつけ 例:「行きつけの床屋」
・行き詰まる
(いきづまる) ものごとが巧く進まないで、どうにもならない状態になる。また、ものごとの極限に達する。ゆきあたる。ゆきづまる。 用例:浄・
凱陣八島−四「あらけなくとがめられ、べんけいほうど行つまり」 類:●二進(にっち)も三進(さっち)も行かない●暗礁(あんしょう)に乗り上げる進退これ谷(きわ)まる  用例の出典:凱陣八島(がいじんやしま) 貞享2年(1685年)。近松門左衛門井原西鶴という説もある)の作。・・・詳細調査中。
・生きて海月の骨いためず(いきてくらげのほねいためず) 「海月(水母)の骨」は、ある筈がないものや珍しいものの喩え。長生きしていれば、滅多にはない良いことに巡り合うことができる。
・生きて五鼎に食わずんば死して五鼎に烹られん
(いきてごていにくわずんばししてごていににられん) 一生涯に五つの鼎(かなえ)に盛った五種のご馳走を供えて食べるほどに立身出世できなければ、むしろ大罪を犯して五鼎の中で煮られて死んだ方が増しだ。 出典:「史記−主父偃伝」「丈夫生不五鼎食死即五鼎烹耳」
・生きての名聞、死しての訴え
(いきてのめいぶん、ししてのうったえ)[=生きての望み〜]・[=死しての満足] 自分が受けた評価は、この世では名誉であり、あの世では閻魔(えんま)に晴れの報告ができるほど光栄なことだ。
・意気天を衝く
(いきてんをつく) 意気込みが、天を衝くほど、非常に高まった様子。
・意気投合する
(いきとうごうする) お互いの心と心が、ぴったり一致すること。 類:●
意気相投ず
・生きとし生けるもの(いきとしいけるもの)[=とせ生けるもの] この世に生きている全ての生物。 用例:今昔−仮名序「いきとしいけるもの、いづれか歌をよまざりける」 
★ト・シともに強めの助詞<広辞苑第四版(岩)>
・行き届く(いきとどく) 1.ある所、または、ある程度に至り付く。 類:●到達する●及ぶ●行(ゆ)き届く 用例:浮・元禄太平記−五「女郎の総数は、京・大坂を一つにからげても、中々ゆきとどく事ではない」 2.遍(あまね)く行き渡る。万事に抜け目なくする。隅々まで気が付く。用意周到である。 類:●行(ゆ)き届く 例:「行き届いた心遣い」 用例:虎寛本狂言・素襖落「何から何までも行届いた、あの様な御方が」

−−−−−−−いき(な)(#iki5)−−−−−−−
・生き長らえる
(いきながらえる) 1.生きてこの世に長く留まる。2.死なねばならぬところを生き続ける。 用例:浄・艶容女舞衣−下「人を殺し一日も生きながらへる所存はなく候得共」
・行き成り
(いきなり) 1.ものごとの成り行きのまま。十分に考えないで軽率に行なう様子。また、やりっ放しにすることにも言う。 用例:洒・
傾城買指南所「とふとふ勘当をくらった。是からは、行(イキ)なりといふ世界だ」 2.予期する間もなく突然。 用例:滑・浮世床−初「山の神めヱ。<略>いきなりに胸ぐらよ」 3.突然に。出し抜けに。 用例:滑・七偏人−五「往(イキ)なりまづ青くなり」 用例の出典:傾城買指南所(けいせいがいしなんじょ?) 洒落本。田螺金魚(たにしきんぎょ)。安永7年(1778)。 遊女・夕霧が早死したあと、2代目夕霧と仲良くしているところに、死んだ筈の初代が現れるという話。 →近松徳三の歌舞伎「百千鳥鳴門白浪(ももちどりなるとのしらなみ)」の元となる。
・行き成り三宝
(いきなりさんぽう) ものごとの成り行きに任(まか)せること。やりっ放しにすること。 用例:雑俳・柳多留−一〇「行なりさんぼう男の雨やどり」
・異議に及ぶ
(いぎにおよぶ) 承知しないであれこれと言う。敢えて反対する。
・意気に燃える
(いきにもえる) あることをしようとする意気込みが、火の燃えるように、盛んになる。 例:「社会改革の意気に燃える」
・息抜き(いきぬき) 1.緊張から解放されて、暫(しばら)く休むこと。 類:●休息●息休め 2.空気の流れを良くするための装置や穴。換気口。 類:●息抜かし
・息の根を上げる(いきのねをあげる) 自由に呼吸する。転じて、思い通りに振る舞う。 用例:浄・姫小松子日の遊−一「天子にさへ息の根上げさせぬ清盛」
・息の根を止める
(いきのねをとめる) 1.呼吸を止めて声を出さないようにする。2.殺す。また、徹底的にやっつける。

−−−−−−−いき(は)(#iki6)−−−−−−−
・生き恥を曝す
(いきはじをさらす) 生き長らえて、恥を掻いたままでいる。
・生き仏
(いきぼとけ) 1.生きている仏。転じて、高徳の僧など、生きている仏と崇められる人。2.容姿の麗しい女。 類:●生き如来●生き菩薩

−−−−−−−いき(ま)(#iki7)−−−−−−−
・息巻く
(いきまく) 1.勢力を揮(ふる)う。権力や勢力を縦(ほしいまま)にする。 類:●時めく 用例:源氏−若菜上「大きさきの、坊の初めの女御にて、いきまき給ひしかど」 2.勢い込んで息を荒くする。また、強い口調で言い立てる。 類:●気焔(きえん)をあげる 用例:今昔−二五・五「我に手向ひはしてむや、など、息巻て」 3.息遣いを荒くして怒る。用例:徒然草−一〇六「上人なほいきまきて、<略>とあららかにいひて」
・息む
(いきむ) 1.息を詰めて腹に力を入れる。 類:●息張る 用例:
志都の岩屋講本−下「胎内の子、其のいきむはづみに生まるべき順道を違へ」 2.張り切る。 類:●力(りき)む 用例:雑俳・柳多留−初「車引女を見るといきみ出し」 用例の出典:志都の岩屋講本(しづのいわやこうほん) ・・・調査中。
・生盲
(いきめくら) 道理を弁(わきま)えない人に対して、罵(ののし)って言う言葉。

−−−−−−−いき(や)(#iki8)−−−−−−−
・異客没却
(いきゃくもっきゃく) 《四熟》 歓迎されない客。 類:●異客(いきゃく) 
★「没却」は身をほろぼすの意。「異客」に語調を合わせて添えた語。近世、格式に違う意の「違格」と混同し、正当でない客の意にとる<国語大辞典(小)>
・異郷の客
(いきょうのきゃく) 故郷を遠く離れた土地で暮らす人。また、外国で暮らす人。故郷を離れて旅する人。 類:●異客(いきゃく)
・意気揚揚(いきようよう) 《四熟》 得意になって、いかにも誇らしげに振る舞う様子。 用例:談・
教訓続下手談義−二「肩をゆすり懸て臂を張、意気揚々として」 用例の出典:教訓続下手談義(きょうくんぞくへただんぎ) 談義本。静観房好阿(じょうかんぼうこうあ)。宝暦3年(1753)。「当世下手談義(いまようへただんぎ)」の続編。いずれも、江戸の風俗に取材した教訓的な話を載せたもの。宝暦期の江戸で大流行した。 参考:当世下手談義(いまようへただんぎ) 談義本。静観房好阿宝暦2年(1752)。俗間教導の苦楽を滑稽の甘皮に包んで世相風俗万般を描写したもの。江戸戯作の先頭を切ったものといえる。
・異曲同工
(いきょくどうこう) 《四熟》 工夫や趣は違うようだが、出来栄えは同じであること。また、違っているようで、実際には大体同じであること。 類:●同工異曲大同小異
・以魚駆蠅
(いぎょくよう) 《四熟》 魚で蠅を追うと却(かえ)ってますます蠅が寄ってくる。方法を間違えると逆効果を招(まね)くということ。ものごとの処理や解決に間違った手段を用いることの喩え。 類:●以肉去蟻 出典:「韓非子−外儲説・左下」「人莫能左画方而右画円也。以肉去蟻、蟻愈多、以魚駆蠅、蠅愈至」
・委曲を尽くす
(いきょくをつくす) ものごとの事情や状態について、その詳細まで明らかにする。
・熱り立つ(いきりたつ) 1.熱湯や油などが、煮え滾(たぎ)る。 類:●煮え立つ 用例:浄・
釜淵双級巴−道行「釜に油のいきり立ち」2.酷く怒り興奮する様子。 例:「いきりたっていてなだめようがない」 用例の出典:釜淵双級巴(かまがふちふたつどもえ) 浄瑠璃。元文2年(1737)。並木宗輔。石川五右衛門に投影された義理と人間愛の根本理念。
・生きる瀬死ぬる瀬
(いきるせしぬるせ) 生きるか死ぬかの分かれ目。生と死の瀬戸際。 類:●生き死にの境●生死の瀬戸際

−−−−−−−いき(を)(#ikiwo)−−−−−−−
・息を入れる(いきをいれる) 一息吐いて休む。 類:●一息入れる●一服する●
息を継ぐ●息を抜く
・息を切らす
(いきをきらす)[=切らせる] 激しく動いたりして、忙(せわ)しい呼吸をする。喘(あえ)ぐ。
・息を切る
(いきをきる) 1.息苦しくなる。息切れする。喘(あえ)ぐ。2.歌などを歌う途中で息を吸う。息を継ぐ。
・息を凝らす
(いきをこらす) 息を止めて、緊張している。呼吸を抑えてじっとしている。 類:●息を殺す息を潜める
・息を殺す
(いきをころす) 息をしないようにしてじっとしている。呼吸を抑えて静かにしている。 類:●息を凝らす息を潜める息を詰める息を呑む
・威儀を正す
(いぎをただす) 形(なり)や形(かたち)を整えて、作法に適った立ち居振舞いをする。 類:●威儀を繕(つくろ)う●威儀を整う●居住まいを正す
・意気を立てる
(いきをたてる) 意気地(いくじ)を持ち続ける。引けをとるまいとして、しっかりした心構えを持つ。
・息を吐く
(いきをつく) 1.大きく息を吐く。溜めていた息を吐き出す。2.生きて行く。また、生活する。3.一休みする。また、一安心する。ほっとする。 類:●人心地が付く
・息を継ぐ
(いきをつぐ) 呼吸を整える。転じて、休息する。一息入れる。 類:●
息を入れる
・息を詰める
(いきをつめる)[=閉じる] 息をしないようにしてじっとしている。 類:●息を殺す
・息を抜く
(いきをぬく) 一休みする。気分転換のため休息する。 類:●息を入れる
・息を呑む
(いきをのむ) 1.深く息を吸って、下腹に力を入れる。 類:●息を張る●息張る●息む 2.驚いて、または緊張して、息を止める。 類:●声を呑む 例:「息を飲むほどの美人」
・息を弾ませる
(いきをはずませる)[=弾ます] 激しい息遣いをする。忙しく呼吸する。
・息を張る
(いきをはる) 深く息を吸って、下腹に力を入れる。 類:●息を呑む●息張る●息む
・息を引き取る
(いきをひきとる) 死ぬ。 類:●息が切れる
・息を潜める
(いきをひそめる) 存在を気付かれないように、息遣いを抑(おさ)えて、じっとしている。 類:●息を殺す息を凝らす 例:「息を潜めて押入れに隠れる」
・息を吹き返す
(いきをふきかえす) 1.生き返る。2.比喩的に、駄目だと思っていたことが、また浮上してくる。

−−−−−−−いき(ん)(#ikin)−−−−−−−
・衣錦還郷(いきんかんきょう) 《四 立身出世して生まれ故郷へ帰ること。 類:●故郷へ錦を飾る錦を飾る 出典:李白「越中覽古」「越王句踐破呉歸、義士還郷錦衣
・衣錦尚絅
(いきんしょうけい) 《四熟》 錦を着るときは、上から薄衣を掛けて華やかさを表に出さない方が良い。己の美徳を表に出さないのが君子の嗜(たしな)みであるということ。 類:●
錦を衣てケイ衣す 出典:「中庸−三十三章」「詩曰、衣錦尚絅。悪其文之著也」
・衣錦の栄(いきんのえい) 業績を立てて、または富貴になって錦を着て故郷へ帰る名誉。

−−−−−−−いく(#iku)−−−−−−−
・戦に花を散らす
(いくさにはなをちらす) 戦場で目覚ましい活躍をする。
・戦見て矢を矧ぐ
(いくさみてやをはぐ) 戦いが始まってから矢を作るということから、事が始まってから、慌ててその準備に取り掛かることの喩え。 類:●泥棒を見て縄を綯う
・意気地がない
(いくじがない) 1.気力がない。 用例:滑・浮世風呂−二「次男だからいくぢはねへ」 2.だらしない。締まりがない。 用例:滑・浮世風呂−二「いくぢもねへ結びやう」
・意気地無し
(いくじなし) 無気力で役に立たないこと。締まりがなく、ぐうたらなこと。また、そういう人。 
★形容詞「いくじなし」の名詞化<国語大辞典(小)>
・兎口も靨
(いぐちもえくぼ) 愛していると、兎口も靨に見えるという意味で、贔屓目(ひいきめ)で見れば、相手の短所さえ長所に見えるということ。 類:●痘痕も靨
・異口同音
(いくどうおん) 《四熟》 口を揃えて同じことを言う。多くの人の意見が一致する。 用例:
本朝文粋−一三「異口同音、讚嘆如来相好」 出典:観普賢経(かんふげんきょう) 大乗経典の一つ。1巻。曇摩蜜多が元嘉18年までに漢訳。法華三部経の結経とされ、普賢菩薩を観ずる方法と六根の罪を懺悔する法、及びその功徳が中心内容。「普賢観経」「観普賢菩薩行法経」。 用例の出典:本朝文粋(ほんちょうもんずい) 漢詩文集。14巻。藤原明衡撰。11世紀半ばごろの成立。嵯峨天皇から後一条天皇時代までの詩文427編を、「文選(もんぜん)」の体裁にならって39項に分類して収める。詩は少なく、奏状・表・序が豊富で願文・諷誦(ふうじゅ)文などをも含む。主な作者は、大江匡衡・大江朝綱・菅原文時・紀長谷雄・菅原道真・源順(したごう)・大江以言(もちとき)・兼明親王・都良香・紀斉名(ただな)など。
・幾久しい(いくひさしい) いつまでも久しい。例:「幾久しく願います」 類:●行く末長い 
★将来の時間の経過にいうことが多いが、古くは、遠く隔たった昔の意に用いることもある。近代では、結婚や御目見えなどの時の挨拶の中で、連用形を副詞的に使うことが多い<国語大辞典(小)>

−−−−−−−いけ(#ike)−−−−−−−
・いけ洒洒
(いけしゃあしゃあ) 俗語。憎らしいほどに平気でいる様子。けろりとした様子。また、非常に厚かましいこと。 類:●泉水の小便 例:「いけしゃあしゃあと嘘をいう」
・いけ好かない
(いけすかない) まったく好きになれない。非常に感じが悪い。 ★「いけ」は、卑(いや)しめや非難の気持ちを表わす接頭語。
・生けず殺ざず
(いけずころさず) 生かしもせず、殺しもせず、中途半端な状態に置いてに苦しめる。やっと生きていける程度の状態にしておく。 類:●生かさず殺さず
・生簀の魚
(いけすのさかな) 生簀で飼われている魚にことで、比喩的に、束縛されて自由にならない身の喩え。類:●籠(かご)の鳥
・生けつ殺しつ
(いけつころしつ) 生かしたり殺したりという意味で、煽(おだ)てたり貶(けな)したりすることを言う。
・行ける
(いける) 1.ものごとを巧くすることができる。上手(じょうず)にこなす。 用例:伎・幼稚子敵討−二「それ、渋と肪とに固まる松。いけるものじゃない」 例:「この企画なら何とか行けそうだ」 2.酒を相当量飲むことができる。 用例:滑・浮世風呂−三「未だ腹(おなか)が能(いい)かと思って、食て見たら、又いける」 3.料理や酒などの味が相当に良い。 例:「この刺身はなかなか行けるね」  用例:雑俳・
末摘花−初「かた思ひそのくせいけるつらでなし」 用例の出典:俳風末摘花(はいふうすえつむはな) 川柳集。4冊。似実軒酔茶ほか編。安永5年(1776)〜享和元年(1801)刊。「川流評万句合」などの中から末番句(すえばんく)を集録したもの。
・行ける口
(いけるくち) 酒を、相当の量飲める。酒が嫌いでない。また、食物が相当の量食べられる。 例:「彼は相当行ける口だ」 
・生ける屍
(いけるしかばね) 肉体的には生きているが、精神的には死んだも同然の人。主に、極端な悲しみなどで、精神的な張りを失った人を指して言う。また、脳障害の病人などにも言う。 類:●植物人間
・夷険一節
(いけんいっせつ) 《四熟》 自分の運命が平穏であろうと、また険しく厳しいものであろうと、常に自分の信念に忠実にものごとを進めていくこと。 出典:欧陽脩「相州昼錦堂記」「故能出入将相、勤労王家、而夷険一節」 ★「夷険」は、土地の平らな所と険しい所の意。
・意見に付く
(いけんにつく) 他人の忠告に従う。
・韋弦の佩(いげんのはい) 自分の欠点を直すための戒め。 
故事:韓非子−観行」 中国、魏の時代、西門豹(さいもんひょう)は柔らかい鞣革(なめしがわ)を帯として、その性急な性格を戒め、董安于(とうあんう)は硬い弓弦を帯びて、その緩慢な性格をいましめた。

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・意固地(いこじ) 意地を張って、詰まらないことに頑固であること。また、そういう性質。 類:●片意地●依怙地(えこじ) ★「依怙地(えこじ)」の変化とも、「意気地(いきじ)」の変化ともいう<国語大辞典(小)>
・已己巳己
(いこみき) 《四熟》 己と已と巳のように、それぞれの字の形が似ているところから、互いに似ている物を喩えていう言葉。紛(まぎ)らわしいことの喩え。 類:●烏焉馬 用例:雑俳・柳多留−一二一「已己巳己のよふに廓の格子先」
・遺恨を達す
(いこんをたっす) 恨みを晴らすという意味から、仇討ちを遂げること。 類:●宿怨(しゅくえん)を晴らす

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