【ひと】~【ひと】

−−−−−−−ひと(あ)(#hito1)−−−−−−−
・人悪しかれ(ひとあしかれ) 自分ではなく、他人には、不幸がありますように。他人の不幸を願う利己の心。 例:「人悪しかれ、我良かれ」
・一味違う(ひとあじちがう) 他のものとは、趣(おもむき)や性質が、良い意味で違う。他より、微妙に良い。 例:「彼の弁舌は一味違う」
・一汗流す(ひとあせながす)[=掻(か)く] 身体を動かして一頻(ひとしき)り汗を掻く。ちょっとした運動や労働をすること。 例:「テニスをして一汗掻流す」
・一雨ありそう(ひとあめありそう)[=来そう] 1.降雨が近い。2.転じて、何か事件や騒動が起こらずには済みそうもない。悪いことが起こりそうな予感がする。
・一泡吹かせる
(ひとあわふかせる)[=吹かす] 口から唾(つば)の泡を吹かせるという意味で、相手の不意を突いて驚き慌てさせる。 例:「いつも踏ん反り返っているあいつらに一泡吹かせてやれ」
・人有る中にも人無し
(ひとあるなかにもひとなし) 人は大勢いるけれども、本当に優れた人物は中々いないものである。
・一息入れる
(ひといきいれる)[=吐(つ)く] 一休みする。休憩する。 例:「切りの良いところで一息入れろよ」
・人至って賢ければ友なし(ひといたってかしこければともなし)[=善なれば内に〜] あまり賢明で理知的過ぎると、他人から敬遠されて、共になって貰えないものだ。 類:●水清ければ魚棲まず 出典:「孔子家語−入官」
・人一倍
(ひといちばい) 1.人の倍であること。 ★「一倍」は、「二層倍」の意味。 2.普通の人以上であること。 例:「人一倍努力する」
・人衆ければ天に勝つ
(ひとおおければてんにかつ)[=盛んなる時は〜] 人がたくさん集まって事を成そうとすれば、一時的に天理にも勝つことができるということ。 出典:「史記−伍子胥伝」

−−−−−−−ひと(か)(#hito2)−−−−−−−
・人が好い
(ひとがいい) 1.人柄が好い。気立て・気質が好い。2.お人好しだ。大人しくて他人に逆らわない人である。愚直だ。
・人が掛かる(ひとがかかる) 人がそちらに向かって差し向けられる。使いの者や追っ手などが差し向けられること。 類:●追っ手が掛かる
・人が変わる(ひとがかわる) 性格や人格が変わる。別人になったように見える。
・人影が射す
(ひとかげがさす) 人の影が物に映るという意味から、その場に人の姿が現れること。 類:●影が射す
・一肩入れる(ひとかたいれる) 援助する。手伝う。助ける。 類:●
一肩脱ぐ一肌脱ぐ片肌脱ぐ 用例:人情・春色恵の花「是非おれが一肩入れてやらうから」
・人が立つ(ひとがたつ) 人がその場所に立っているという意味から、物を見聞きしようとして、人があちこちから集まってくること。
・一方ならず(ひとかたならず) 一通りでない。尋常でない。様々に。 類:●並々でない 用例:源氏−夕顔「ひとかたならず心あわただしくて」 例:「先生には一方ならぬご指導をいただきました」
・一肩脱ぐ(ひとかたぬぐ) 一方の肩だけ裸になるという意味で、他人を後押しして力を貸すこと。援助する。助ける。 類:●
一肩入れる一肌脱ぐ片肌脱ぐ
・人必ず自ら侮りて、然る後に人これを侮る(ひとかならずみずからあなどりて、しかるのちにこれをあなどる) 自分で自分を侮るようになると必ず他人から侮られるようになる。人から侮りを受けないためには、先ず自分で自分を重んじなければならないという戒(いまし)め。 出典:「孟子−離婁・上」
・一株立てる
(ひとかぶたてる) 財産を作って一家を立てる。身代(しんだい)を立てる。
・人が好い
(ひとがよい・いい) 1.性格が好い。気立てが好く、善良な人である。2.騙(だま)され易い人である。 
反:■人が悪い
・人柄を作る(ひとがらをつくる) 品格が良い風を装う。いかにも上品であるように見せ掛ける。
・一皮剥く(ひとかわむく)[=剥(めく)る] 表面を取り除く。上辺の虚飾を取り除く。 例:「一皮剥けば内情は火の車だ」
・一皮剥ける
(ひとかわむける) 1.日焼けなどにより、皮膚が剥ける。2.試練などを経て、一段階上に上る。 例:「留学を終えて、一皮剥けて帰ってきた」
・人が悪い(ひとがわるい) 1.性格が良くない。心根が悪い人である。巫山戯(ふざけ)て他人を騙(だま)したり、皮肉を言ったりするような人である。2.計算高くて、非情な人である。 
反:■人が好い
・人聞きが悪い(ひとぎきがわるい) 他人が聞いてあまり良い印象を持たない。世間の人への体裁が悪い。また、誰かから聞いたその人の考えが正しくない。 類:●外聞が悪い 例:「盗み聞きだなんて、人聞きが悪い」
・人食い馬にも合い口
(ひとくいうまにもあいくち) 人に噛み付く癖がある荒馬(あらうま)でも、性の合った乗り手には大人しいものである。転じて、乱暴者にも、それに相応(ふさわ)しい気の合った友達があるものである。 用例:滑・六阿弥陀詣「人食馬にも合口、器量ふうぞくにはよらねへもの」
・一癖も二癖もある
(ひとくせもふたくせもある) 1.癖をたくさん持っているという意味で、普通の人の考え方や行動と大変違っている。常識的に判断できないところがある。2.気を許すことができない性格である。油断ならない性質である。 類:●海千山千
・一口に言う(ひとくちにいう) 簡単に纏(まと)めて、僅(わず)かな言葉で述べること。手短に掻い摘(つま)んで言うこと。
・一口乗る(ひとくちのる) 全体の一部分に加わるという意味で、儲(もう)け話や、何人かでする仕事に加わること。 例:「条件によっては一口乗っても良い」
・一口物に頬を焼く
(ひとくちものにほおをやく) 一口ばかりの食物で口中に火傷を負うという意味で、ちょっとした事に手出しをして、意外な失敗を招くことの喩え。
・人心地が付く
(ひとごこちがつく) 人間らしい気持ちに戻るという意味で、それまでの異常な状態から平常な気持ちに返ること。緊張から解放されて寛(くつろ)いだ気持ちになる。また、生きているという感じを取り戻したときにも使う。 類:●人心付く●正気に戻る
・人こそ人の鏡(ひとこそひとのかがみ) 鏡を見て自分の姿を直すのと同じで、他人の言動を見て、自分の至らないところを直すための良い手本とすべきである。 類:●人に鏡(かんが)みる●人の振り見て我が振り直せ他山の石 出典:「墨子−非攻・中」「君子不鏡於水、而鏡於人」 墨子が引用した古諺。
・人事言えば影が射す
(ひとごといえばかげがさす) 人の噂(うわさ)をすると、えてして、丁度その場に当人が現れるものだ。 類:●噂をすれば影が射す
・人事言わば筵敷け
(ひとごといわばむしろしけ) 人の噂(うわさ)をするとその当人が現われるというから、噂をするならば、筵を敷いてその人を座らせる席を用意するつもりでしなさいということ。
・一言多い
(ひとことおおい) 発言や会話の中で、言わずもがなの余分なことを付け加えること。
・人事でない
(ひとごとでない) 他人のことだから自分には関係がないと、暢気(のんき)に構えていてはいけない。やがては我が身にも降り掛かってくることである。 類:●明日は我が身

−−−−−−−ひと(さ)(#hito3)−−−−−−−
・人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む
(ひとさけをのむ、さけさけをのむ、さけひとをのむ) 一杯は人が酒を飲む、二杯は酒が酒を飲む、三杯は酒が人を飲むということ。最初は自覚してお酒を飲んでいる人も、だんだんとお酒がお酒を欲するようになり、最後にはお酒に飲まれ、理性を無くしてしまう。深酒することへの戒(いまし)め。
・一芝居打つ
(ひとしばいうつ) 《四熟》 人を騙したり目的を達成したりするために、計画的に作り事を仕組む。 類:●芝居を打つ
・人知れず
(ひとしれず) 1.人に知られないで。人目に付かないように。密かに。そっと。 例:「人知れず枕を濡らす」 2.思いも拠らず。思い掛けず。 用例:平家−一〇「か様に人しれずかれこれ恥をさらし候も」
・人知れぬ
(ひとしれぬ) 他人には知られていないという意味で、隠そうとしていた訳ではないが、まだ人には気付かれていないこと。
・一筋縄では行かぬ(ひとすじなわではいかぬ) 「一筋縄」は普通の方法という意味で、当り前の遣り方では思う通りにできないこと。癖があって尋常な遣り方では処理できないこと。また、そういう者のこと。 類:●甘い酢では行かぬ●甘口では行かぬ●海千山千酢でも蒟蒻でも

−−−−−−−ひと(た)(#hito4)−−−−−−−
・一溜まりもない(ひとたまりもない) 少しの間も持ち堪(こた)えられない。簡単に打ち崩されてしまう。 例:「台風が直撃したら一溜まりもない」
・一つ穴の狢
(ひとつあなのむじな)[=狸(たぬき)・狐(きつね) 共謀して悪事を企(たくら)む者。また、一見無関係のようで、その実、悪者の仲間である者。 類:●同じ穴の貉
・一つ覚え
(ひとつおぼえ) 唯一つのことだけしか頭になくて融通が利かないこと。また、その人。 例:「馬鹿の一つ覚え」
・一つ栗が落ちたよう
(ひとつぐりがおちたよう) 一家の大黒柱が亡くなって、家の中が打ち沈んでいる様子。 類:●火の消えたよう
・一つ事は同じ事
(ひとつことはおなじこと) 一つの事柄は、それをどのように言い替えても変わりはない。言い方は違っても、その事実の示すところは結局同じだということ。
・人っ子一人(ひとっこひとり) 人が一人だけであること。普通、後るに打ち消しの言葉を伴って、誰も居ないことを強めて言う。 類:●誰一人 例:「人っ子一人歩いていない」
・一つ鍋のものを食う(ひとつなべのものをくう) 同じ鍋で食物を煮たり炊(た)いたりして、それを一緒に食べること。生活を共にして、家族同様に非常に親しい間柄になること。 類:●同じ釜の飯を食う●一つ釜の飯を食う●一つ竈(かまど)の飯を食う
・一つなる(ひとつになる) 少しは酒が飲める。かなり酒が飲める。一杯いける。 用例:虎寛本狂言・
包丁聟「聟殿は、一つ成ると見へました」 用例の出典:包丁聟(ほうちょうむこ) 狂言。各流。・・・調査中。
・一粒種
(ひとつぶだね) 1.雑種でない、純粋の種子。2.大切にしている一人っ子。 類:●樫の実の一人子
・一粒の麦
(ひとつぶのむぎ) 一粒の麦は地上に落ちて死ななければ一粒のままだけれど、死んで埋められればやがてたくさんの実を結ぶだろうというキリストの言葉。一人が犠牲となることによって、多くの人たちが救われるということの喩え。 出典:「新約聖書−ヨハネ福音書12」
・人でなし(ひとでなし) 人としての道に反する行ないをする者。人情や恩義を弁(わきま)えない者。 類:●人非人人面獣心
・人手に掛かる
(ひとでにかかる) 1.他人の手で殺される。傷を負わされる。2.他人の助けを受ける。他人に養育される。
・人となり
(ひととなり) 1.生まれつき。生来の質(たち)。人柄。性質。性(さが)。持ち前。 例:「温和な人となり」 2.身体つき。背恰好。また、背丈。 用例:宇治拾遺−一一・一「ひととなり、すこし細高にて」
・人と成る
(ひととなる) 1.人間に生まれてくる。また神などが人の姿を借りてこの世に現れる。2.大人になる。成人する。3.意識が回復する。常態の人となる。常態に返る。蘇生する。
・人と屏風は直ぐには立たず
(ひととびょうぶはすぐにはたたず) 屏風は折らなければ立たないように、人間も意志を曲げて適当に妥協しないと、世の中に立って行けない。正論だけでは世間を渡って行けない。 類:●商人と屏風は曲がらねば世に立たず曲がらねば世が渡られぬ
・人と入れ物は有り次第
(ひとといれものはありしだい) 人の頭数と道具は、多ければ多いで使いこなせるし、少なければ少ないでどうにでもやり繰りができるということ。
・人捕る亀は人に捕らえられる
(ひととるかめはひとにとらえられる) 鼈(すっぽん)は人を食おうなどとするから逆に取って食われるのだということ。愚かな者が、他人を害しようとして、却って我が身を滅ぼすことの喩え。 類:●鼈(べつ)人を食わんとして却(かえ)って人に食わる

−−−−−−−ひと(な1)(#hito5)−−−−−−−
・人並み勝れる
(ひとなみすぐれる) 普通の人よりずっと勝(まさ)っているという意味で、能力・性質・考え方などが、世間一般の程度より数段懸け離れて立派であること。 例:「人並み勝れた腕力」
・人並み外れる(ひとなみはずれる) 一般の人と違っているという意味で、能力や性質や考え方が普通の人と懸け離れていること。 例:「人並み外れた食欲」
・人に高下なし、心に高下あり(ひとにこうげなし、こころにこうげあり) 人間の優劣は財産や身分で決まるものではなく、心の高下によって決まるものであるということ。
・人に遠し
(ひとにとおし) 人が住んでいるところから遠く離れていること。人里離れた寂しいところに住んでいること。
・人には添うてみよ、馬には乗ってみよ(ひとにはそうてみよ、うまにはのってみよ) 親しく交わってみなければ、その人の本質は良く分からない。何事も実際に働きかけて試してみなければ本当のことが分からない。 類:●人には逢(お)うてみよ馬には乗りてみよ●百貫の鷹も放さねば知れず
・人の秋
(ひとのあき)[=秋風] 「秋」に「飽き」を掛けた言葉。人の交情が疎遠になること。男女関係で、一方が相手に飽きること。
・人の痛いのは三年でも辛抱する
(ひとのいたいのはさんねんでもしんぼうする)[=人の病(やまい)は〜] 他人がどんなに困っていても、それが自分に関係しない限り、人はまったく平気でいられるものである。 類:●人の子の死んだより我が子の転けた
・人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
(ひとのいっしょうはおもにをおうてとおきみちをゆくがごとし) 人生の路は遠く長いから、一歩一歩を疎(おろそ)かにせず、努力と忍耐を重ねながら進まなければ歩み通すことはできない。 出典:徳川家康の遺訓の一つ
・人の上
(ひとのうえ) 1.人間の身の上。運命。 用例:浄・
百合若大臣「人の上のよしあしは人相・相生・生れ性」 2.他人の身の上。人事(ひとごと)。 用例の出典:百合若大臣野守鏡(ゆりわかだいじんのもりのかがみ) 浄瑠璃。近松門左衛門。正徳元年(1711)。蒙古征討の帰途、大将の百合若が家来の兄弟の謀計で孤島に置き去りにされ、復讐する話。幸若舞曲などの百合若物を基に、駕籠かきのやつし、有馬の湯女との情話という歌舞伎的な趣向を取り入れて、当世風に脚色近松門左衛門でござーい!> 参考:百合若大臣(ゆりわかだいじん) 幸若舞の曲名。室町時代成立。嵯峨の帝の時代、左大臣きんみつの子の百合若大臣は蒙古襲来に大将として出陣し海戦で大勝するが、帰途玄海の孤島に家来の別府兄弟の悪計で置去りにされる。のち、その島に漂着した釣り人の舟で帰国し、九州を支配していた別府兄弟を成敗し、更に上洛して日本国の将軍になる。後世、説経節としても語られ、また、近松門左衛門作の「百合若大臣野守鏡」などの浄瑠璃にも影響を与えた。「大臣」ともいう。
・人の生まるるや柔弱なり、其の死するや堅強なり
(ひとのうまるるやにゅうじゃくなり、そのしするやけんきょうなり) 人が生まれたときは柔らかく弱弱しいが、死んだときは固く強張(こわば)っている。堅強は死に属し、柔弱は生に属すということ。また、弱いものが勝(まさ)っているということ。 類:●柔能く剛を制す 出典:「老子−第76章」「人之生也柔弱、其死也堅強〈略〉故堅強者死之徒、柔弱者生之徒」
・人の海
(ひとのうみ) 人がたくさん群がり集まっている様子。 類:●人波
・人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち) 世間が色々と噂をするのも一時のことで、暫(しばら)くすれば世間は忘れられてしまう。 類:●善きも悪しきも七十五日●人の上も百日●
A wonder [Wonders] lasts but [only] nine days.(驚異も九日しか続かない)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典 用例:人情・春色辰巳園「人の噂も七十五日、過ぎたむかしは兎も角も、今じゃあ実の兄弟どうぜん」 参考:源平盛衰記』の中に「人の上は百日こそ申すなれ」とある。
・人の親
(ひとのおや) 1.人たるものの親。人倫に則(のっと)った存在としての親。親。 反:■人の子 例:「人の親としての自覚」 2.祖先。祖。3.他人の親。
・人の鑑(ひとのかがみ) 人々の手本、模範。
・人の皮を被る(ひとのかわをかぶる) 上辺の姿形だけが人間であるという意味から、人間とは思えないほど冷酷で残忍な事をする人の形容。人でなしを罵(ののし)って言う言葉。 類:●人面獣心
・人の口にあり(ひとのくちにあり) 広く人々に言い触らされている。世間で噂されている。有名である。
・人の口に戸は立てられぬ
(ひとのくちにとはたてられぬ) 世間の噂や評判は止めることができない。 類:●世間の口には戸を立てられぬ●世の取り沙汰は人に任せよ
・人の苦楽は壁一重
(ひとのくらくはかべひとえ) 1.壁を隔てた隣家が苦しんでいようが楽しんでいようが、所詮(しょせん)他人事でしかないということ。 ★長屋住まいの人たちのちょっとした幸不幸の差を言ったもの。 2.また、人生における苦と楽は、壁一枚で分けられているだけで常に表裏一体であるから、悲観する必要もないが、かといって楽観も禁物だということ。 類:●浮世の苦楽は壁一重●楽あれば苦あり

−−−−−−−ひと(な2)(#hito5-2)−−−−−−−
・人の子
(ひとのこ) 1.人間として生まれた者。人倫に則(のっと)った者としての人。また、人間を卑小さや弱者と捉(とら)えて指す言葉。 例:「彼も人の子、我が子は可愛いと見える」 2.子たるもの。子供。 反:■人の親 3.他人の子。4.子孫。 用例:万葉−4094「人の子は祖(おや)の名絶たず」 5.他人の愛している人。特に、まだ親掛かりである娘や人妻などを指す。6.主として福音書でイエスが自称したとされている称号。
・人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ
(ひとのこいじをじゃまするやつは、うまにけられてしんじまえ) 他人の恋愛を邪魔するようなことは、無粋(ぶすい)の極みだから、往来を歩いていると、人にも馬にも蹴られるだろうよ、ということ。無粋を蔑(さげす)んで言う。 ★都都逸(どどいつ)からか。
・人の心は九分十分
(ひとのこころはくぶじゅうぶ) 人の考えは違うといってもたいしたことはなく、つまるところ殆(ほとん)ど同じようなものだということ。
・人の子の死んだより我が子の転けた
(ひとのこのしんだよりわがこのこけた) 他人の子が死んだことより、自分の子が転んだことの方が重大なことである。 1.親にとって自分の子ほど可愛いものはないということ。2.他人の苦痛は自分とは無関係である。自分の利害が第一である。 類:●人の痛いのは三年でも辛抱する●自己中心
・人の牛蒡で法事する
(ひとのごぼうでほうじする) 他人の牛蒡を材料に精進(しょうじん)料理を作り、法事の持て成しをする。他人のものを利用して、自分の義理を済ませることの喩え。 類:●人の褌で相撲を取る
・人の賽銭で鰐口叩く
(ひとのさいせんでわにぐちたたく) 他人が出した賽銭で、神に願い事をする。他人の物を利用して、自分の事に役立てる。 類:●人の財布で鰐口を鳴らす●人の牛蒡で法事する人の褌で相撲を取る●人の堤燈で明かりを取る●舅の物で相婿持て成す●他人の念仏で極楽参り
・人の知るなきを欲せば、為す無きに若くはなし
(ひとのしるなきをよくせは、なすなきにしくはなし) どんな秘密でも、いずれは必ずばれるものだ。だから、人に知られたくなかったら何もしないでいるより仕方がない。
・人の善悪は針を袋に入れたるが如し
(ひとのぜんあくははりをふくろにいれたるがごとし)[=錐(きり)(ふくろ)を通す如し] 善人悪人の区別は、どのように取り繕(つくろ)ってみても必ず表に現れるものである。
・人の疝気を頭痛に病む
(ひとのせんきをずつうにやむ) 自分に関係のないことについて、余計な心配をする。 類:●他人の疝気を頭痛に病む
・人の宝を数える
(ひとのたからをかぞえる)[=隣の宝を〜] 自分には何の利益にもならないことの喩え。
・人の土俵で相撲を取る
(ひとのどじょうですもうをとる) 他人の物を利用して、自分の事に役立てる。 類:●人の褌で相撲を取る●人の牛蒡(ごぼう)で法事する●人の太刀で功名する●舅(しゅうと)の物で相婿もてなす●貰い物で義理済ます●人の提灯で明かりを取る
・人の女房と枯れ木の枝振り
(ひとのにょうぼとかれきのえだぶり) 1.他人の女房や枯れ木の枝振りのことを、あれこれ気に病んでみたところで仕様がない。良かろうが悪かろうが、どうでも良いことの喩え。また、人は他人のことにとやかく口出しすべきではないということ。2.どうしても気になってしまうものの喩え。
・人の不幸は蜜の味
(ひとのふこうはみつのあじ)・他人の〜 自分に直接影響しない他人の不幸は、見聞きするだににんまりするものであるということ。 類:●幸災楽禍 ★出典は不詳。英語の「A Taste for Honey」からか。
・人の不善を言わば、当に後患を如何にすべき
(ひとのふぜんをいわば、まさにこうかんをいかにすべき) 悪口を言えば、必ず恨まれ、後に災患が跳ね返ってくるものだということ。 出典:「孟子−離婁・下」「言人不善、当如後患何<世の中には人の不善を殊更に取り立てて言う者がある。それらの者は、後で蒙る災いをどうするつもりか>
・人の振り見て我が振り直せ
(ひとのふりみてわがふりなおせ)[=上見て我が身を思え] 他人の行為の善悪を見て、自分の行為を反省し改めよ。 類:●殷鑑遠からず他山の石前車の覆るは後車の戒め後車の戒め
Learn wisdom by faults of others. (他人の愚行によって英知を学びとれ)<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典
・人の褌で相撲を取る
(ひとのふんどしですもうをとる)[=提灯(ちょうちん)で明りを取る・太刀(たち)で功名する] 他人の物を利用して、自分の事に役立てる。 類:●人の牛蒡(ごぼう)で法事する●人の太刀で功名する●舅(しゅうと)の物で相婿もてなす●貰い物で義理済ます●人の提灯で明かりを取る●
To rob Peter to pay Paul.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典
・人の将に死なんとする、その言や善し(ひとのまさにしなんとする、そのげんやよし) 人が死に臨んで言う言葉は、純粋で偽りも飾りもないものである。 出典:「論語−泰伯」「曾子言曰、鳥之将死、其鳴也哀。人之将死、其言也善
・人の目に掛かる
(ひとのめにかかる) 他人の目がこちらに向けられること。他人の関心を引いて興味ありげに見られること。注目されること。
・人の物は我が物(ひとのものはわがもの) 他人の所有する物も自分の物だという意味で、自分の物も他人の物も見境なく自分の所有物にするような強欲な様子。 類:●人の物は俺の物俺の物は俺の物

−−−−−−−ひと(は)(#hito6)−−−−−−−
・人は一代名は末代(ひとはいちだいなはまつだい) 肉体は一代で滅びるが、良いにつけ悪いにつけ名は死後も長く残るものだ。 類:●虎は死して皮を留め人は死して名を残す●骨は朽ちても名は朽ちぬ
・人は氏より育ち
(ひとはうじよりそだち) 人間にとっては、生まれた家柄よりも成長期の環境や教育の方が、人格を形成する上で大切だということ。 類:●生まれ付きより育ちが第一●氏より育ち
・人は落目が大事(ひとはおちめがだいじ) 1.零落して落目になった人に対しては冷淡になりがちだが、そんなときこそ援助してやるべきである。2.人は落ち目の時こそ自分でも慎重に行動しなくてはならない。また、将来のために努力を続けることが大事である。 類:●人は落ち目の志(こころざし)
・人は故郷を離れて貴し(ひとはこきょうをはなれてたっとし・とうとし) 故郷の人たちは、その人の生まれや成長のいきさつを知っているから、仮令(たとえ)出世してもさして感動はしない。故郷を離れてこそ成功の意義は大きいものである。 類:●預言者郷里に容れられず
・人は死して名を留む
(ひとはししてなをとどむ) 人は死んでも、名声は後世まで残る。 類:●虎は死して皮を留め人は死して名を残す
・人橋を架ける(ひとはしをかける・ひとばしを〜) 1.仲人を介して申し入れる。2.続けざまに使者を出す。 用例:浮・男色大鑑−3「人橋をかけて、質に預けたる脇指もどせと催促」
・人は善悪の友による(ひとはぜんあくのともによる) 人は交友の良し悪しによって、良くも悪くもなる。
・一旗揚げる
(ひとはたあげる) 新しく事業などを起こす。新しい生き方をするための新事業に取り組む。 例:「都会で一旗揚げる」
・人は互い(ひとはたがい) 人は互いに助けたり助けられたりして生きてゆくべきである。 類:●相身互い
・一肌脱ぐ
(ひとはだぬぐ) 肌脱ぎになって助力する。転じて、一奮発して助力する。 類:●一肩脱ぐ
・一花咲かす
(ひとはなさかす)[=咲かせる] 一時的に栄える。また、成功して得意な時代を送る。 例:「引退前に一花咲かせたい」
・人は情けの下に立つ(ひとはなさけのしたにたつ)[=下で〜] 人は互いの人情に守られて生きている。世の中は人の情に従って動いている。
・人はパンのみにて生くる者に非ず(ひとはぱんのみでいくるにあらず) 人は物質的な満足だけを唯一の目的として生きるものではない。つまり、精神的な拠り所が必要であるということ。 
類:●Man cannot live by bread alone.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典> 出典:「新約聖書−マタイ伝第四章」 
・人は人我は我
(ひとはひとわれはわれ) 1.他人がどうあろうと、影響を受けず、気にもせず、自分の立場を貫くこと。2.他人のことには一切関わらず、自分のことだけを考えて行動すること。 類:●唯我独尊●ゴーイング・マイウェイ
・人は木石に非ず
(ひとぼくせきにあらず) 木や石とは違って、人間には感動する心や喜怒哀楽の感情がある。 出典:白居易の新楽府「李夫人」
・人は見掛けに依らぬもの
(ひとはみかけによらぬもの)[=似ぬもの] 人間の性質や能力は、外見からだけでは判断できない。
・人は見目より唯心
(ひとはみめよりただこころ)[=心栄え] 人は外見よりも心の方が大事である。 類:●人は心が百貫目
・人は病の器(ひとはやまいのうつわ) 人は多種多様な病気に罹(かか)るものであり、まるで病の入れ物のようである。人はいつ病気に罹ってもおかしくないということ。 参考:四百四病(しひゃくしびょう)

−−−−−−−ひと(ま)(#hito7)−−−−−−−
・人前を作る
(ひとまえをつくる) 大勢の人の前で本心を隠して取り繕うこと。人から見た感じを良くするよう体裁(ていさい)を作ること。 類:●人前を繕(つくろ)う
・人前を憚る(ひとまえをはばかる) 1.大勢の人が見ている場所に出ることを遠慮する。2.人目を気にして、人に知られないように差し控えること。 類:●人目を包む
・人貧しければ智短し(ひとまずしければちみじかし) 人は貧乏していると心が卑屈になり、僻(ひが)みっぽくなって、知恵の働きも鈍くなるものだということ。 類:●馬痩せて毛長し●馬疲れて毛長し●貧すれば鈍する 出典:「五燈會元−五祖法演禅師」「師曰、人貧智短、馬痩毛長」
・人増せば水増す
(ひとませばみずます) 家族の人数が増えればそれだけ費用が嵩(かさ)む。 類:●口増せば水増す
・人身御供
(ひとみごくう) 《四熟》 1.神への供え物として、人の身体を捧げること。また、その人。 類:●生贄(いけにえ)●人身供犠(くぎ) 2.転じて、他人の欲望の犠牲になること。また、その人。
・瞳を凝らす
(ひとみをこらす) 瞬(まばた)きもしないで見詰める。じっと一点を見詰める。 類:●凝視する
・瞳を据える
(ひとみをすえる) 視線を動かさず、じっと見詰める。激しい感情や興味に駆られて、一点を見据えている様子。
・人目が煩い(ひとめがうるさい) 他人に見られると、色々と憶測されて面倒である。他の人に見られたり、噂されたりするのが煩(わずら)わしい。
・人目がない(ひとめがない) 他人が見ていないこと。 
★元来は、人の出入り・往来がないという意味<国語慣用句辞典(集)>
・人目に余る(ひとめにあまる) 1.行為や様子などが、目立ち過ぎて見逃し難い。非常に目立って、他人に不快感を起こさせる。 類:●目に余る 例:「人目に余る態度」 2.素晴らしくて、じっと見ていられないほどである。 類:●目覚ましい
・人目に現る
(ひとめにあらる) 人々の目に付く。特に目立つ。
・人目に曝す
(ひとめにさらす)・晒す 人の目にはっきり見えるように開け広げにする。包み隠さずに、世間の人の目に付くように、何もかも曝け出すこと。 例:「醜態を人目に曝す」
・人目に立つ(ひとめにたつ) 目立つ。人々の目に付く。
・人目に付く(ひとめにつく) 他人の注意を引く。大勢の中にいても、すぐ目立って見える。 類:●
人目に立つ●人目を引く
・人目の関(ひとめのせき) 人の目が妨(さまた)げになって、事が思うようにいかないこと。「関」は、関所のことで、人を容易に通さないところからいう。
・人目守る
(ひとめもる) 他人の目の隙(すき)を窺(うかが)う。
・人目を忍ぶ
(ひとめをしのぶ) 人に見られないように気を配る。人に知られないようにする。 類:●人目を包む●
人目を憚る
・人目を盗む(ひとめをぬすむ) 他人に見付からないように、こっそり行動すること。人に知られると都合が悪いので、世間の目を避けて行動すること。
・人目を憚る(ひとめをはばかる)[=包む] 人に見られないように配慮する。 類:●目を憚る
・人目を引く 
行為や様子などが目立ち過ぎて、人の目を集める。 類:●人目を奪う 例:「人目を引く髪型」
・人もあろうに(ひともあろうに) わざわざその人を名指ししなくても、他に適当な人がいるだろうに。 類:●よりによって 
★他にいくらも適当な人がいるのに、わざわざ一番都合の悪い人を選んだという場合の前置きの言葉として用いる<国語慣用句辞典(集)>
・人もなげ(ひともなげ) 1.人を人とも思わない様子。人を人間らしく扱わないこと。2.周りの人を無視して、我儘勝手に振る舞うこと。 類:●傍若無人

−−−−−−−ひと(や)(#hito8)−−−−−−−
・一役買う
(ひとやくかう) 一つの役目や役割を、自分から進んで引き受ける。力を貸す。手助けをする。 例:「完成に一役買った」
・一山当てる
(ひとやまあてる) ここでの「山」は鉱山のことで、鉱脈を掘り当てること。万に一つを狙って大儲(もう)けする。投機などによって、思いがけない大儲けをする。
・一山幾ら(ひとやまいくら) 数個纏(まと)めて売るような、安価なもの。 類:●十把一絡げ二束三文
・一山越す(ひとやまこす) 一つの山を乗り越えるという意味で、困難なところや面倒なところを乗り越えること。または、一つの纏(まと)まりが出来上がって一段落すること。 類:●一段落する
・一山百文(ひとやまひゃくもん) 《四熟》 数個纏(まと)めて売るような、価値が低いもの。 類:●
一山幾ら二束三文
・人山を築く
(ひとやまをきづく) たくさんの人が集まっている様子。大勢の人が群れをなしている様子。また、死骸が山のように積み重なっている様子。
・人遣りならず(ひとやりならず) 他人がさせるのではなく、自分から進んですることである。誰のせいでもなく、自分のせいであるということ。 用例:源氏−乙女「道の程—心細く思ひ続くるに」

−−−−−−−ひと(ら)(#hito9)−−−−−−−
・独り合点
(ひとりがてん)・一人合点 自分一人だけ分かったつもりになること。また、自分だけ承知すること。 類:●一人飲み込み
・一人口は食えぬが二人口は食える
(ひとりぐちはくえぬがふたりぐちはくえる)・独り口は〜 生計は、独身よりも夫婦で営(いとな)む方が経済的に得策であるということ。 類:●二人口は過ごせるが一人口は過ごせない ★収入が少ないからと結 婚を躊躇(ためら)っている男に、結婚すれば妻がちゃんと切り盛りするから大丈夫だと 、周囲が勧(すす)めて言う。
・独り相撲
(ひとりずもう)・一人相撲 相手がいないのに、また、居ても全く問題にされていないのに、一人だけ意気込んでその事に取り組むこと。また、その結果何も得ることなく終わること。 類:●独楽の舞い倒れ 例:「一人相撲を取る」 
参考:一人相撲(ひとりずもう) ひとりで、あたかも相手があって相撲を取っているかのような所作をすること。愛媛県越智郡大三島町の大山祇神社などで神事として行なわれるほか、猿楽・大道芸てしても行なわれた。
・一人天下
(ひとりてんか・ひとりでんか) 《四熟》 一人で思うままに振る舞い、それを抑える者がいないこと。
・一人残らず
(ひとりのこらず) その場に居合わせた者全員が、ある行為をしたり、ある状態に移ったりすること。
・一人舞台(ひとりぶたい) 《四熟》 1.舞台で、ただ一人の俳優が演技すること。 類:●独演●一人芝居 2.一人の俳優の演技が際立って優れていること。転じて、多くの中で一人が際立って優れていること。 類:●独壇場 3.自分一人で思うままに振る舞うこと。 類:●
一人天下
・独り法師
(ひとりぼっち・ぽっち) その空間にただ独りでいること。身寄りや仲間がいないこと。また、その人。 類:●孤独●野中の一本杉 ★「ぼっち・ぼっち」は、それだけの数量しかない意を表わす接尾語「ぼち」の変化したものか。「これっぽっち」「十円ぽっち」など。 ★「独りの人」或いは「独りの男の子」という意味の「独法師(ひとりぼうし)」からの変化か、という説もある。「一寸法師」「影法師」など。
・一人娘と春の日は暮れそうで暮れぬ
(ひとりむすめとはるのひはくれそうでくれぬ) 「呉れる」と「暮れる」を掛けた洒落(しゃれ)。一人娘は親がなかなか嫁に出さないということ。春の日が長くてなかなか暮れないことから言う。
・独り善がり
(ひとりよがり) 自分独りだけで良いと決め込んで、他人の考えを全く聞こうとしないこと。 類:●独善(どくぜん)●唯我独尊 例:「独り善がりな態度」
・独りを慎む
(ひとりをつつしむ) 君子は、人前だけでなく、自分ひとりでいるときも行いを慎み、道に背(そむ)かないようにする。 類:●君子は独りを慎む暗室を欺かず屋漏に愧じず 出典:「大学−伝六」「君子必慎其独也」

−−−−−−−ひと(わ)(#hitowa)−−−−−−−
・人我に辛ければ我また人に辛し
(ひとわれにつらければわれまたひとにつらし) 他人が自分につれなくするのであれば、自分も相手に冷たい態度で接する。

−−−−−−−ひと(を)(#hitowo)−−−−−−−
・人を射んとせばまず馬を射よ
(ひとをいんとせばまずうまをいよ) 大きなもの、主となるものを攻撃したり、また手に入れようとしたりするとき、直接その対象を狙うより、その周囲にあるものをまず狙うのが良いという喩え。 類:●将を射んと欲すればまず馬を射よ 出典:杜甫「前出塞詩」
・人を怨むより身を怨め
(ひとをうらむよりみをうらめ)[=人を怨むるより〜][=怨みよ] 相手の仕打ちを恨む前に、自分の至らないことを反省せよ。 出典:「淮南子−繆称訓」
・人を思うは身を思う
(ひとをおもうはみをおもう) 他人に情を掛ければ、やがてはそれが自分のところへ返ってくる。 類:●情けは人のためならず
・人を食う
(ひとをくう) 人を人とも思わないような言動をする。人を馬鹿にする。 例:「人を食った態度」
・人を逸らさない(ひとをそらさない) 人の心を引き付けて、よそへ向かわせない。人の気持ちを損(そこ)なわない。
・人を立てる
(ひとをたてる) 1.使者として、人を遣わす。2.本人の代わりになる人を表に出す。 例:「人を立てて折衝する」 3.その人の面目を保たせる。 類:●顔を立てる
・人を茶にする
(ひとをちゃにする) 好い加減にあしらう。人に対して本気になって接しないで、馬鹿にしたように軽くあしらうこと。 類:●茶化す●茶にする
・人を使うは使わるる(ひとをつかうはつかわるる) 人を使うと気苦労ばかりが多く、却(かえ)って人に使われているようなものである。
・人を使えば苦を使う
(ひとをつかえばくをつかう) 人を使うのは、使う人にとってはまるで苦労を使うようなもので気苦労が絶えない。人を使うことは難しいということ。 類:●
人を使うは使わるる●奉公人に使われる
・人をつけにする
(ひとをつけにする) 人を「虚(うつ)け」にするということで、人を馬鹿にすること。
人を呪わば穴二つ
(ひとをのろわばあなふたつ)
・人を人とも思わぬ
(ひとをひとともおもわぬ) 他人を一人前の人間として扱わない。他人を侮(あなど)り、傍若無人に振る舞うこと。
・人を見たら泥棒と思え
(ひとをみたらどろぼうとおもえ) 他人を軽々しく信用してはいけないということ。 
反:●渡る世間に鬼はない
・人を見て法を説け
(ひとをみてほうをとけ・にんを〜) 相手によって臨機応変の処置を取ることが必要である。 出典:「法華経−方便品」「以万億方便随宜而説法」など 
★釈迦が相手の能力や人柄に応じて法を説いたことから<大辞林(三)>
・人を以って言を廃せず
(ひとをもってげんをはいせず)[=捨てず] つまらない者の言葉であっても、その内容が立派なものであれば、それを退けず取り上げるべきである。 類:●狂夫の言も聖人は選ぶ 出典:「論語−衛霊公」「子日、君子不以言挙人、不以人廃言
・人を分かず
(ひとをわかず)[=分かたず] 人を区別しないという意味で、一人一人を差別することなく、同じように、平等に扱うこと。


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