【くつ】~【くも】

−−−−−−−くつ(#kutu)−−−−−−−
・履新しいといえども冠となさず
(くつあたらしいといえどもかんむりとなさず)[=首に加えず] 上下貴賤の身分階級を守り、その分を越えてはならないということの喩え。 類:●冠(かんむり)古けれど沓(くつ)に履かず
・屈指
(くっし) 1.指を曲げること。指を折って数えること。2.多数の中で、特に指を折って数え上げる価値があるほど優れていること。 類:●指折り 例:「県内屈指の資産家」
・ぐっすり
 擬態語。 1.深く寝こんでいる様子。熟睡している様子。 例:「夢も見ないでぐっすりと眠った」 ★「good sleep」からの転訛という説もあるが、これは疑わしい。鎖国中である安政3年(1856)の四十七石忠矢計に「十分に」の意味で既に使われていたことによる。寛政2年(1790)即席耳学問の用法「残らず全部」からの転か? 2.十分であること。 用例:伎・四十七石忠矢計−四幕「又ぐっすり呑めるぜ」 3.すっかり濡れた様子。 類:●ぐっしょり 用例:伎・夢結蝶鳥追−三幕返し「二三町でぐっすり濡れた」 4.残らずする様子。 類:●すっかり●そっくりそのまま 用例:黄・即席耳学問「ぐっすり息子に譲り」 5.物を突き刺す音、また、その様子。 類:●ぐっさり 用例:伎・雑石尊贐−中幕「えてをぐっすりとやればナ」 用例の出典①:四十七石忠矢計(しじゅうしちこくちゅうやどけい) 歌舞伎。明治4年(1871)。河竹黙阿弥。忠臣蔵もの。赤穂浪士討ち入り前日の明け六つから翌朝までの二十四時間を十二の事件に折り込んだ異色作。通称「十二時忠臣蔵」。 用例の出典②:即席耳学問(そくせきみみがくもん) 黄表紙本。市場通笑。北尾重政画。寛政2年(1790)。心学を基にした教訓的な本。商業を肯定し、勤勉、正直、倹約の精神を勧めた。 用例の出典③:雑石尊贐(とりまぜてしゃくそんみやげ) 歌舞伎。鶴屋南北。文正6年(1823)7月初演。・・・詳細調査中。
・食って掛かる
(くってかかる) 食い付くような勢いで相手に挑み掛かる。激しい口調や態度で相手に立ち向かう。 類:●噛み付く
・靴脱ぎ石
(くつぬぎいし) 玄関や縁側などの上がり口に、履き物を脱いでおくため、また、昇降し易いように置いた石。 類:●靴脱ぎ
・沓の子を打つ
(くつのこをうつ) 「沓の子」は、靴の底に打ち並べた釘のこと。大勢の人やたくさんの物が、隙間なく立ち並ぶ様子の喩え。 用例:太平記−六「沓の子を打ちたるが如くに道五六里が程支へたり」 ★一説に、「くつのこ」は牛馬の口にかぶせる「口の籠(こ)」で、そのように身動きもできないほどにたてこんでいることともいう<国語大辞典(小)>
・苦爪楽髪
(くづめらくがみ) 《四熟》 苦労がある時は爪の伸びが早く、楽をしている時は髪の伸びが早いということ。 類:●楽髪苦爪
・轡を並べる(くつわをならべる)[=揃(そろ)える] 轡を嵌めた馬が首を並べて一緒に進むということで、二人以上の者が一緒にものごとを行なうこと。
・轡を嵌める
(くつわをはめる) 馬の口に轡を嵌める。転じて、金品を贈って、口止めする。
・履を取る
(くつをとる) よく世話をし面倒を見る。後見する。
・履を隔てて痒きを掻く
(くつをへだててかゆきをかく)[=蹠(あなうら)を掻く] ものごとが思うようにならず、もどかしがる。 類:●隔靴掻痒(かっかそうよう)

−−−−−−−くと(#kuto)−−−−−−−
・狗盗
(くとう) 犬のように物を盗むということで、こそ泥のこと。 類:●小盗人●草賊

−−−−−−−くに(#kuni)−−−−−−−
・愚に返る
(ぐにかえる) 年を取ったり、分別を失ったりして、愚かになる。馬鹿になる。
・苦肉の策(くにくのさく)[=計(けい)・謀(はかりごと) 敵を欺(あざむ)く手段として、我が身を苦痛に陥(おとしい)れてまで行なう謀(はかりごと)。一般に、苦し紛れに取る策のこと。 用例:雑俳・柳多留−初「ゆび切るも実は苦肉のはかりごと」
・苦にする
(くにする) 酷く気にして思い悩む。 例:「病気を苦にしての自殺」
・国に杖突く(くににつえつく) 昔、中国では、七十歳になると国中どこでも杖を突くことを許されたということから、七十歳になること。また、七十
歳であること。 出典:「礼記−王制」「五十杖於家、六十杖於郷、七十杖於国、八十杖於朝」
・苦になる 
心配の種(たね)になる。気掛かりの元になる。 例:「貧乏など苦にならない」
・国に二君なし
(くにににくんなし)[=二人の君あらず] 一つの国に統治者としての君主が二人あってはならない。
・国に盗人家に鼠
(くににぬすびといえにねずみ) ものごとには、大小の差こそあるが、必ずそれを害するものがその中に潜んでいる。内部の賊というものはどこにもいるということ。 出典:「徒然草−九七段」
・愚にもつかぬ
(ぐにもつかぬ)[=ない] 馬鹿馬鹿しくて、話にならない。問題にならない。 例:「愚にもつかぬことを言う」
・国乱れて忠臣見わる(くにみだれてちゅうしんあらわる) 国が乱れて初めて、忠臣の姿がはっきり現れるものである。国が良く治(おさ)まっているときには、誰が忠臣で誰が不忠の臣なのかはっきりしないが、国が乱れて危機に瀕(ひん)すると、真の忠臣が誰なのかはっきりするということ。 類:●世乱れて忠臣を識る●六親和せずして孝慈有り家貧にして孝子出ず 出典:「史記−魏豹・彭越列伝」「天下昏乱、乃見忠臣」 原典:老子−十八章」「六親不和有孝慈、国家昏乱有忠臣」
・国乱れて良相を思う
(くにみだれてりょうしょうをおもう) 国家が乱れたときには、立派な宰相(さいしょう)を得たいと願う。良相を待ち望む機運が高まる時は、世の中が乱れている証(あかし)である。 類:●家貧しくて良妻を思う 出典:「史記−魏世家」「家貧則思良妻、国乱則思良相」 原典:老子−十八章」「六親不和有孝慈、国家昏乱有忠臣
国破れて山河あり
(くにやぶれてさんがあり)
・苦に病む
(くにやむ) 酷(ひど)く気にして苦しみ悩む。苦にする。 類:●苦を病む 例:「些細(ささい)なことを苦に病む」

−−−−−−−くね(#kune)−−−−−−−
・九年面壁
(くねんめんぺき) 《四熟》 ものごとを
根気よく続けること。 類:●面壁九年 故事:禅宗の始祖、達磨(だるま)が嵩山(すうざん)の少林寺で壁に向かって九年間、終日坐禅し続けた。

−−−−−−−くの(#kuno)−−−−−−
・愚の骨頂
(ぐのこっちょう) この上なく愚かなこと。最も馬鹿げたこと。 ★「骨頂」は、程度がもっともはなはだしいこと。この上ないさま。近世ころから、多く、悪くいう場合に用いられる<国語大辞典(小)> ★但し、「真骨頂」は良い意味で使われる。

−−−−−−−くは(#kuha)−−−−−−−
・苦杯を嘗める(くはいをなめる) 苦しく辛い経験をする。苦い経験をする。 類:●塩を踏む辛酸を舐める
・狗馬之心(くばのこころ) 《四熟》 1.犬や馬が主人に対して恩を忘れず仕えるような、ささやかな真心。2.転じて、臣下が君主に対して尽くす忠誠の心の謙称。 類:●犬馬の心 出典:「漢書−汲黯伝」「臣常有狗馬之心、今病、力不能任郡事」
・苦は楽の種
(くはらくのたね) 苦労はやがて幸福に通ずる元となる。  類:●苦あれば楽あり●楽あれば苦あり

−−−−−−−くひ(#kuhi)−−−−−−−
・首が繋がる
(くびがつながる) 免職や解雇を免(まぬが)れる。 例:「どうにか首が繋がっている状態」
・首が飛ぶ(くびがとぶ) 1.
首を切られる。殺される。2.免職になる。解雇される。
・首が回らない
(くびがまわらない) 
借金などのため、どうしても遣り繰りが付かない。
・頚木を争う(くびきをあらそう) お互いに張り合って勝負する。張り合って譲(ゆず)ろうとしない。
・踝を返す(くびすをかえす) 後戻りすること。引き返すこと。 類:●きびすを返す
・踝を接す
(くびすをせっす・しょうを〜) 隙間なく並んだり続いたりしている。 類:●きびすを接す ★戦国時代の黄歇(こうけつ)が、秦王に対して献言した言葉による。 出典:「戦国策−秦」「韓・魏父子兄弟、接踵而死於秦者百世矣」
・踝を回らさず
(くびすをめぐらさず) 踵(かかと)を廻らすほどの時間もないという意味で、僅(わず)かな時間内に急いで事を運ぶこと。 類:●踵返らず 出典:「史記
・狗尾続貂(くびぞくちょう) 《四熟》 犬の尻尾を貂(てん)の尻尾の代わりに飾る。 1.優れた者の後を粗悪な者が継ぐことの喩え。 出典:「晋書−趙王倫伝」「時人為之諺曰、不足狗尾続」 2.つまらない者が高官に列することを罵(ののし)って言う言葉。
・首っ丈
(くびったけ) 首の丈まで深く嵌(は)まるという意味で、ある気持ちに強く支配されること。特に、異性にすっかり惚れこんでしまう様子。 類:●首丈(くびだけ) 用例:洒・多佳余宇辞「帰りてへは、首ったけだが」 
★「くびだけ(首丈)」の変化<国語大辞典(小)>
・首っ引き
(くびっぴき) 1.二人が向き合い、輪にしたひもを両者の首に掛け渡して互いに引き合う遊戯。首引き。2.ずっと、ある一つの物と対して、それを放さないでいること。 類:●首引き 例:「辞書と首っぴきで原書を読む」 用例:伎・
四天王楓江戸粧−二番目「酒と首っ引き」 用例の出典:四天王楓江戸粧(してんのうもみじのえどぐま) 烏亭焉馬(うていえんば)。鶴屋南北と合作。文化元年(1804)。平将門の残党を退治する源頼光の話。蜘蛛の魂が五体に分け入り、秘力を得た辰夜叉御前と悪公家の左大臣高明と源頼光、四天王が争いを繰り広げるとともに、相馬太郎良門兄妹と小女郎狐が「小狐丸」を巡って争う。 人物:鶴屋南北(つるやなんぼく) 江戸後期の歌舞伎作者。四世。江戸の人。1755〜1829。俗に大南北(おおなんぼく)。はじめ初世桜田治助、のち金井三笑に学ぶ。享和3年(1803)立作者となり、文化8年(1811)四世南北を襲名。江戸劇壇の代表的作者となり、生世話(きぜわ)を創始。「東海道四谷怪談」「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」などがある。
・首に撞木杖突かさる(くびにしゅもくづえつかさる) 撞木杖は、獄門台の柱を見たてたもの。首を獄門台に乗せられること。
・首になる
(くびになる) 1.斬首(ざんしゅ)される。打ち首になる。 用例:浄・長町女腹切−中「たとへ首になるとても、もう取りかへしのならぬこと」 2.解雇される。罷免(ひめん)される。除名される。 類:●(俗)リストラされる
・首に縄を付ける(くびになわをつける) 無理矢理に連れて行くこと。
・首根っこを押さえる(くびねっこをおさえる) 首筋を取り押えて動けないようにする。転じて、相手の弱点や急所を押えて有無を言わせないようにする。 類:●有無を言わせず否応なしに
・首の皮一枚(くびのかわいちまい) ほんの少しのところで、まだ繋(つな)がっていること。可能性が、ごく僅(わず)かだが、残っている様子。
・首の座に直る(くびのざにすわる) 1.「首の座」は、打ち首になるときに座らされる場所のこと。首の座に座って、打ち首の刑を受ける。2.決裁を受けるために、相当の覚悟をして、その場に臨む。特に、辞職や解雇の覚悟をして、会議などに臨むこと。
・首振り三年ころ八年(くびふりさんねんころはちねん) 尺八を吹くのに、首を振って音が出せるようになるのに三年掛かり、ころころと良い音色を出すには八年掛かる。どんな道でも、相応の腕になるには長い修行が必要だということ。 類:●顎振り三年ぽつぽつ三年波八年櫓三年に棹八年
・九百九十九匹の鼻欠け猿満足な一匹の猿を笑う(くひゃくくじゅうくひきのはなかけざるまんぞくないっぴきのさるをわらう) 醜悪または無知な大多数の者が、ごく僅(わず)かな正しい人を謗(そし)ること。また、欠点を持つ仲間が多くいると、その欠点に気が付かないものだということ。 法話:「今昔物語−五・二三」 天竺(てんじく)舎衛国(しゃえこく)の大木に千匹の猿がいて、九百九十九匹の鼻欠けの猿が、五体満足な一匹の猿を嘲(あざけ)り笑った。

−−−−−−−くひ(を)(#kuhiwo)−−−−−−−
・首を集める
(くびをあつめる) 額を付き合わせるようにして相談する。 類:●鳩首する
・首を洗って待て(くびをあらってまて) いつ首を切られても良いように覚悟して待て。相手に向かって、観念しろという意味で言う。 例:「次の試合はこてんぱんにしてやるから、首を洗って待っていろ」
・首を掻く
(くびをかく) 1.首を掻き切る。2.指先で頭を掻くということで、心に決め兼ねたり、失敗したりして困っている様子。また、過ちをして恥じている様子。 類:●頭を掻く 用例:
朝野群載−二二「事畢之後。掻首无益」 用例の出典:朝野群載(ちょうやぐんさい) 院政期の詩文集。30巻。三善為康編。永久4年(1116)成立。のちに増補。平安中・後期の詩、文章、各種古文書などを集成、部類したもの。巻10など9巻分は散逸。
・首を懸く
(くびをかく) 斬罪に処した首を獄門台などに曝(さら)す。曝(さら)し首にする。
・首を賭ける
(くびをかける) 失敗すれば地位や命を失うという覚悟で、事の成就に努める。命を賭(と)して事に当たる。
・首を傾げる
(くびをかしげる) 不思議に思ったり、疑わしく思ったりするときの動作。
・首を刻む
(くびをきざむ) 刻印を押す。そうであるという印を刻み付ける。そうであることを標榜する。 用例:
曾我物語−五「男とくびをきざまるる程の者が」
・首を切る
(くびをきる) 1.解雇(かいこ)する。2.打ち首にする。斬首(ざんしゅ)する。馘(くびき)る。
・首を括る(くびをくくる) 自分が、死ぬ目的で紐や縄などを首に巻いて締める。首吊り自殺をする。 類:●縊死(いし)する
・首を挿げ替える
(くびをすげかえる) 上に立つ人、要職にある人を更迭(こうてつ)する。
・首を縦に振る
(くびをたてにふる) 承知する。認める。肯定する。
・首を継ぐ(くびをつぐ) 首を切る筈の罪を許す。
・首を突っ込む
(くびをつっこむ) 関心、興味を持ち、その事に関係する。また、深入りする。 例:「政治に首を突っ込む」
・首を繋ぐ
(くびをつなぐ) 1.首を切るべきところを許す。2.免職、解雇すべきところを許す。また、免職、解雇を免れる。
・首を長くする
(くびをながくする)[=伸ばす] 望み、期待が早く実現して欲しいと思いながら待つ。 類:●待ち焦がれる●鶴首する
・首を捩る
(くびをねじる) 首を横に曲げる。承知しかねる意思表示。
・首を延ぶ
(くびをのぶ) 1.首を差し伸べる。命を相手の処置に任せる気持ちを表わす動作。 用例:保元−下「頸を延て降参せん」 2.待ち遠しい。=
首を長くする
・頸を延べ踵を企つ
(くびをのべかかとをつまだつ・きびすを〜)[=踵を挙ぐ] 首を伸ばし、爪先立って待ち望む。酷(ひど)く待ち焦がれる。 類:●鶴首鶴望 出典:「漢書−ショウ望之伝」「是以天下之士、延頸企踵、争願自効、高明」 故事:漢の霍光(かくこう)は暗殺を恐れ、面会者には厳しい身体検査を義務付けていた。学者のショウ望之(しょうぼうし)は、わざと事件を起こして面会の機会を作り、「大将軍は功徳によって幼主を助け、教化し、広く平和をもたらそうとしておられる。だからこそ天下の優れた人材は、首を伸ばし爪先立って、先を争って己の力を尽くし、大将軍の高い明知を助けようとしているのです」と説いた。
・首を刎ねる
(ふびをはねる) 刀で首を切り落とす。斬首する。
・首を捻る(くびをひねる) 首を横に曲げる。1.疑問、不満、不賛成などで考え込む。 類:●首を横に振る 2.感動を確かめる。
・首を振る
(くびをふる) 1.(左右に)不賛成や不満の気持ちを表わす。 類:●頭(かぶり)を振る
首を横に振る首を捻じる 2.(上下に)賛成の気持ちを表わす。頷(うなず)く。 類:●首を縦に振る
・首を回す
(くびをまわす) 無理算段をして、なんとか都合を付ける。 類:●遣り繰り算段
・首を横に振る
(きびをよこにふる) 承知しない。承服しない。否定する。 類:●
首を捻る

−−−−−−−くふ(#kuhu)−−−−−−−

・工夫に落つ(くふうにおつ) 考え付く。会得する。 類:●思案に落つ 用例:浮・
武道伝来記−五「弥工夫(クフウ)に堕(ヲチ)ず、終夜是を思案するに」
・工夫を凝らす
(くふうをこらす) あれこれと、思いを巡らす。色々工夫してみる。

−−−−−−−くま(#kuma)−−−−−−−
・熊に山椒、鯉に胡椒(くまにさんしょう、こいにこしょう) 食い合わせの一つ。食べ物を一緒に食べると中毒や消化不良を起こすとされるものの喩え。 類:●鰻に梅干●天麩羅と西瓜●田螺(たにし)と蕎麦●蟹と氷水●河豚(ふぐ)と青菜●鮒に甘草●河豚(ふぐ)に煤●鰻に海酢

−−−−−−−くも(#kumo)−−−−−−−
・雲隠れ
(くもがくれ) 1.雲に隠れること。 例:「十五夜の月が雲隠れした」 2.隠れて、見付けられないようにすること。姿を晦(くら)ますこと。 例:「騒ぎに乗じて雲隠れしてしまった」 3.高貴な身分の人の死。
・雲がなければ太陽の有り難さは分からない
(くもがなければたいようのありがたさはわからない) 晴れの日の有り難さは、曇りや雨の日があるからこそ分かるものである。人生には不幸なときがあるからこそ、後に来る幸福の有り難さが身に染みるものであるということ。 ★英語の諺If there were no cloud, we should not enjoy the sun.から。
・雲霧とみなす
(くもきりとみなす)[=なる] 死んで火葬され、煙となる。 類:●雲霞(くもかすみ)となる●雲霧に紛(まぎ)る
・雲助
(くもすけ) 1.江戸時代の、住所不定の道中人足(にんそく)。宿場(しゅくば)で、無宿の無頼漢を人足として抱えておき、必要に応じて助郷(すけごう)役の代わりに当てたもの。2.一般には、街道筋の無頼の駕籠舁(かごか)きを指して言った。 類:●雲 3.下品な者や、相手を脅して金品を強請(ゆす)り取る者などを罵(ののし)って言う。
・苦もなく
(くもなく) 苦労することなく。簡単に。容易(たやす)く。 類:●造作ない 例:「難問を苦もなく解いてしまった」
・雲に梯
(くもにかけはし) とても叶えられないような高い望み。特に、恋愛について使うことが多い。
・雲に汁
(くもにしる) 雲に雨気を帯びるということで、雨乞(あまご)いをすると、雲に雨気が生ずるところから、望みが叶う前兆が見えること。また、事の成り行きが段々と巧く運ぶこと。
・雲に飛ぶ薬
(くもにとぶくすり) それを飲むと雲にまでも飛ぶことができるという仙人の霊薬。 出典:「
列仙全伝−二」 出典:列仙全伝(れっせんぜんでん) 明代の王世貞。・・・詳細調査中。
・雲に臥す
(くもにふす)[=起き臥す] 雲を夜具とするような奥深く高い山中で生活すること。
・雲の上人
(くものうえびと) 宮中に勤仕する人で昇殿を許された者。 類:●殿上人(てんじょうびと)●雲客(うんかく) ★狭義には、清涼殿の殿上(てんじょう)の間(ま)に昇ることを許された五位以上の貴族<国語大辞典(小)>
・雲の裏
(こものうら) 雲の裏側。人の目が届かないところや遠く離れたところ。
・雲の返しの風
(くものかえしのかぜ)[=嵐] 雨雲を吹き返す風。多くは、西北の風をいう。
・雲の垣
(くものかき) 雲が立ち込めて風景を遮(さえぎ)り隠すこと。垣根に見立てて言った言葉。また、美しい垣根のこと。
・雲の梯
(くものかけはし) 1.雲が棚引いている様子を梯に見立てて言った言葉。2.深い谷などの高い所に架け渡した橋。3.宮中を雲の上に喩えて、宮中の階段。4.中国の戦国時代に、城を攻める時に用いた長い梯子。 類:●雲梯(うんてい)
・雲の通路
(くものかよいじ) 天空の雲の行き通う道。 用例:古今−八七二「あまつかぜ雲のかよひぢ吹きとぢよ」
・雲の如し
(くものごとし) 人や物が多く集まることの喩え。
・雲の衣(くものころも・きぬ) 雲を衣に見立てて言った言葉。また、天女などが着ているという衣服。
蜘蛛の子を散らす
(くものこをちらす)
・雲の
?(くものとざし) 立ち込めた雲が?の役目をしていること。雲に覆われた家。 参考:?[=鎖](とざし) 門戸を差し固める用具。
・雲の帳
(くものとばり) 1.雲を帳に喩えていった言葉。2.「禁中(=天子の御所)」を「雲の上」と言ったところから、禁中の帳。禁中の御帳(みちょう)。
・雲の旗手
(くものはたて・はだて) 1.雲の果て。空の遥かな果て。 用例:古今−四八四「ゆふぐれは雲のはたてに物ぞ思ふあまつそらなる人をこふとて」 2.「はたて」の「はた」を旗と解して、雲のたなびく様子を旗が靡(なび)くのに見立てて言った言葉。旗のように風に靡いている雲。 
★「旗手」は当て字<国語大辞典(小)>
・雲の黛
(くものまゆずみ) 雲が棚引いているように美しく引いた眉(まゆ)。
・雲の峰
(くものみね) 夏、山の峰のように聳(そび)え立っている積雲。入道雲。
・雲の都
(くものみやこ) 1.雲の中にあるという想像上の都。2.神仙が住むという都、蓬莱山のこと。
・雲は竜に従い、風は虎に従う
(くもはりゅうにしたがい、かぜはとらにしたがう) 竜は雲を従えることによって勢いを増し、虎は風を従えることによって速さと威を増す。ものごとはそれぞれ相似たものが一緒になったり、一緒になろうとして、巧くいくものだ。 出典:「易経−幹卦」「同声相応、同気相求〈略〉雲従竜風従虎〈略〉各従其類也」
・雲無心にして岫を出ず
(くもむしんにしてしゅうをいず) 「岫」は山の洞穴。自然に従い、何物にも束縛されず、悠々と心静かに生活すること。 出典:陶淵明帰去来辞」「雲無心以出岫、鳥倦飛而知還」
・雲行きが怪しい(くもゆきがあやしい) 1.天候が崩れそうである。2.形勢や情勢が穏やかでない。荒れそうだ。
・雲を上げる
 雲が空に広がる。雨雲(あまぐも)がやって来る。
・雲を当て
(くもをあて)[=当所(あてど)・印(しるし) 到底当てになりようのないことを、当てにすること。
・雲を霞
(くもをかすみ) 一目散に走って姿を隠すこと。 類:●雲霞
・雲を焦がす(くもをこがす) 物が勢いよく燃えて、炎が盛んに立ち昇っている様子。
・雲を凌ぐ(くもをしのぐ) 雲を眼の下に見るほど高く聳(そび)えている。
・雲を掴む
(くもをつかむ) 漠然としていて捉(とら)えどころがない様子。 例:「雲を掴むような話」
・雲を衝く
(くもをつく) 非常に背丈(せたけ)が高い。 用例:浮・世間胸算用−三「雲をつくやうな食(めし)たきが」
・雲を遏む
(くもをとどむ) 流れる雲を止めるほど、音曲や歌う声が優れている。
・雲を踏む
(くもをふむ) 1.雲を下に見るところ、つまり高山を歩く。2.宮中を「雲の上」というところから、宮中で生活をすること。
・愚問愚答
(ぐもんぐとう) 《四熟》 愚かな問い掛けと、それに輪を掛けたような馬鹿げた答えという意味から、何の役にも立たない問答のこと。

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