【ひな】~【ひや】
・日向に氷(ひなたにこおり) 日向に出した氷は次第に溶けて消えてしまうところから、次第に消えてなくなっていくこと。特に、蓄えが乏しくなっていくことの喩え。
・日向ぼっこ(ひなたぼっこ) 寒いときなどに、日向に出て暖(あたた)まること。 ★「日向惚(ほう)け在り」から転じた「日向ぼこり」が短縮・音便したものかという。 ★「ぼっこ」は、いかにも暖かそうなさまの擬態語「ほっこり」からの転かとも言われる。
・日ならずして(ひならずして) いく日も経(た)たないこと。 類:●遠からず●間もなく 例:「日成らずして刊行されるだろう」
・非難打つ(ひなんうつ) 非難する。欠点や過ちを取り立てて詰問する。 類:●非を打つ
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・火に油を注ぐ(ひにあぶらをそそぐ) 勢いのあるものに更に勢いを添える。一段と激しい勢いにする。多くは、不本意なことについて使う。 類:●薪に油を添える
・微に入り細を穿つ(びにいりさいをうがつ) 微(かす)かなこと、細かなことにまで気を配る。 類:●入念 ★「微に入り細に入る」「微に入り細に亘る(渡る)」の形でも使える。
・火に入る(ひにいる) 「飛んで火に入る夏の虫」の略。 類:●火に入る虫
・皮肉の間(ひにくのかん) 1.皮膚と肉の間という意味で、はっきり境界線を引くことができないもののこと。物の境目が微妙なこと。2.隠れた弱点のこと。
・皮肉の見(ひにくのけん) 理解の浅い考え。浅墓(あさはか)な考え。 ★皮肉と骨髄は仏教から出た用語。達磨大師(だるまだいし)が四人の弟子に、何を学んだかを尋ねた。それを聞いて大師は、「私の皮を得た」、「私の肉を得た」、「私の骨を得た」、「私の髄を得た」と、「皮」「肉」「骨」「髄」の4段階で評価した。皮や肉は、表面的な理解に留まっていることを示す。ここから転じて「皮肉」は、本質的なことではなく、表面的な非難・批判をすることを言うようになった。
・髀肉之嘆(ひにくのたん)
・日に異に(ひにけに) 1.日増しに。日が経つに連れて。一日一日と。2.毎日毎日。連日。 類:●月に異に 用例:万葉−三六五九「秋風は比爾家爾(ヒニケニ)吹きぬ」 ★上代、「け(異)」は甲類音で、「か(日)」の複数「け(日)」(乙類)とは別<国語大辞典(小)>
・日に日に(ひにひに) 1.日毎に。毎日毎日。 用例:万葉−3974「山吹は比爾比爾(ヒニヒニ)咲きぬ」 2.日を追って。日増しに。 用例:大唐西域記長寛元年点−七「日(ヒニヒニ)一鹿を輸(いた)さむと願ふ」 用例の出典:大唐西域記(だいとうさいいきき・だいとうせいいきき) 中国で作られた地理書。12巻。唐の太宗の時、玄奘(げんじょう)奉勅撰。弟子の弁機の助力を得て、646年上奏。629年から645年のインド旅行中に巡歴した各地の地理、制度、風俗、産業、仏教の状況や伝説などを記述。「西域記」。
・火にも水にも(ひにもみずにも) 火が燃えてきても、洪水になっても、という意味で、身の上にどんなことが迫ってきても。どんな事態になったとしても。 類:●火が降っても槍が降っても●雨が降ろうが槍が降ろうが●火の雨が降っても
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・捻くれる(ひねくれる) 1.ものの形状が歪(ゆが)む。曲がる。 例:「枝ぶりが捻くれる」 2.性質が拗(ねじ)けて素直でなくなる。 類:●僻(ひが)む●拗(す)ねる 例:「ひねくれた言い回し」 3.一風変っている。
・終日(ひねもす) 朝から夕まで。一日中。「ひめもす」、「ひめむす」とも。 類:●四六時中●二六時中 反:■夜もすがら 用例:万葉−4037「比禰毛須(ヒネモス)に見とも飽くべき浦にあらなくに」
・捻り出す(ひねりだす) 1.あれこれ考えを巡らして、苦心の末に案を出す。俳句などを、工夫して作り上げる。 類:●知恵を絞る●捻(ひね)る 用例:荘子抄−一「此人のかた端ても尭舜をひねりたさんぞ」 例:「一句捻り出す」 2.あれこれ策を尽くして費用を調達する。無理をして金銭を都合(つごう)する。 類:●工面(くめん)する●捻出する 例:「4人分の旅費を捻り出す」
・捻りを効かせる(ひねりをきかせる) 普通のものと少し違うように、一工夫(ひとくふう)利かせる。趣向を凝(こ)らす。 例:「エンディングに捻りを効かせてみた」
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・非の打ち所がない(ひのうちどころがない)[=打ちようがない] 非難すべきところがない。完全である。
・丙午(ひのえうま) 干支(えと)の43番目の年で、60年置きに来る。また、その年に生まれた人。 用例:浮・好色五人女−三「世の人の嫌ひ給ふ丙午」 俗信:五行説によると、丙は火の兄で、午は正南の火であるところから、この年には火災が多いとされ、また、この年に生まれた女性は気性が強く、夫を食い殺すといわれる。 ★生年が西暦1906・1966・2026の人。 参考:五黄の寅
・火の消えたよう(ひのきえたよう)[=が〜] 活動が止まり静かになる様子。急に活気を失って寂しくなる様子。 例:「客たちが帰ってしまい、家の中は火の消えたようだ」
・桧舞台(ひのきぶたい) 1.檜で床を張った、歌舞・演劇のための舞台。大劇場などの舞台。一流の立派な舞台。2.転じて、自分の腕前を披露する晴れの場所や場面。また、第一線のこと。 類:●晴れの舞台 例:「高校球児にとって、甲子園は檜舞台だ」
・檜山の火は檜より出でて檜を焼く(ひのきやまのひはひのきよりいでてひのきをやく) 檜の枝と枝とが擦れ合って、自然発火して山火事を出すこと。自分の行為や自分の名が元で、自ら苦しむことの喩え。 類:●奥山の杉の共擦り●仇も情けも我が身より出づ ★「ヒノキ」は、火を熾(おこ)す木「火の木」に由来するという。
・火の車(ひのくるま) 1.仏教用語。地獄にあって火が燃えているという車のこと。生前に悪事を犯した者を乗せて地獄に運ぶという。 ★「火車(かしゃ)」の訓読み<国語大辞典(小)> 2.家計が非常に苦しいこと。生計の遣り繰りに苦しむこと。 用例:当世書生気質「あくまで富裕(ゆたか)に見えながら、其内幕は火の車」 例:「台所は火の車だ」 ★1.から転じて、地獄に向かってゆくということから。
・火の気(ひのけ) 火の温かみ。火がある気配。また、単に火。 類:●火気(かき)
・火の粉が掛かる(ひのこがかかる) 傍(そば)にいて災難が降り掛かる。 類:●とばっちりを食う●側杖を食う
・日の下開山(ひのしたかいさん) その道にかけては天下の「開山(=開祖)」であるという意味から、武芸や相撲などで、天下に並ぶ者がないほど優れた腕前を持っていること。または、その人。 類:●天下無双 例:「日の下開山横綱」
・火の付いたよう(ひのついたよう)[=が〜]・[=付くよう] 1.突然で慌ただしい様子。性急なこと。2.赤ん坊や幼児が、大声で激しく泣き叫ぶ様子。
・日の辻休み(ひのつじやすみ) 1.夏の真昼には仕事の能率が上がらないので、働いても仕方ないという理由で取る休憩。2.また、一般に、午睡(ひるね)。
・火の手(ひのて) 1.火事で、燃えあがる炎。また、その勢い。火勢。2.転じて、ものごとの勢い。3.行動を開始すること。始まること。 例:「攻撃の火の手が上がる」
・日の出の勢い(ひのでのいきおい) 昇る朝日のような盛んな勢い。全盛であること。
・火の出るよう(ひのでるよう)[=が〜] 1.恥ずかしさや怒りなどで、顔が真っ赤になる。 類:●火のよう 2.激しく行われること。激しいぶつかり合いなどの様子。 例:「火の出るような熱戦」
・火の手を上げる(ひのてをあげる) 1.火を点けて、燃え上がらせる。2.ある激しい行動を起こす。
・火のない所に煙は立たぬ(ひのなところにけむりはたたぬ)
・火の中の栗を拾う(ひのなかのくりをひろう) 非常な危険をおかすこと。また、他人の利益のために危険を犯すこと。 類:●火中の栗を拾う
・火の中水の中(ひのなかみずのなか)[=底] 燃えている火の中や深い水の中という意味で、苦難が予想される境遇の喩え。 例:「一緒になれるなら、仮令(たとえ)火の中水の中」 ★万葉集の安倍郎女(あべのいらつめ)「火にも水にもわれなけなくに」から。
・火の回り(ひのまわり) 1.火の燃え広がっていく度合。 類:●火足 例:「火の回りが早い」 2.火の用心のため、戸外や屋内を見回って歩くこと。また、その人。
・日の目を見る(ひのめをみる) 1.埋もれていたものが、世間に公表される運びとなる。世に知られるようになる。 類:●世に出(い)ず 例:「法案が日の目を見ずに終わった」 2.不遇であった人や物が、漸(ようや)く世人の注視を浴びるようになる。 類:●脚光を浴びる●好い目を見る 例:「60歳を過ぎてやっと日の目を見た」
・火のよう(ひのよう) 1.熱い様子。2.恥ずかしさや怒りで、顔が真っ赤になる様子。3.怒りなどが激しい様子。 例:「火のように怒る」 4.熱烈な様子。 例:「火のような情熱」
・火の用心(ひのようじん) 1.火元を注意すること。火災を起こさないように気を付けること。2.夜番が拍子木を打ちながら呼び歩いた言葉。
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・火柱が立つ(ひばしらがたつ) 1.火事などで、火の柱のように真っ直ぐ上に炎が燃え上がる。2.大きな稲妻が縦(たて)に走る。3.赤い気が空中に立ち昇って柱のように見える。火事の前兆とされ、これが見えると近いうちに火災が発生すると言われた。
・肥馬の塵を望む(ひばのちりをのぞむ) 権勢に阿(おもね)り媚びること。 類:●塵を望んで拝す
・火花を散らす(ひばなをちらす) 1.刀を交えて激しく切り結ぶ。2.転じて、闘志を剥き出しにして、互いに激しく争う。 類:●鎬(しのぎ)を削る●火を散らす 例:「残り1つの議席を巡って、各候補が火花を散らす」
・火は火元から騒ぎ出す(ひはひもとからさわぎだす) 1.火事のときには、火元の人がまず初めに騒(さわ)ぎ出すものである。2.騒動が持ち上がったとき、一番初めに騒ぎ出した者こそ、その当事者であることが多いということ。 類:●屁と火事は元から騒ぐ
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・罅が入る(ひびがはいる・いる) 1.物に、細かい割れ目ができる。2.比喩的に、その人の心身や精神、履歴などに傷が付く。また、健全な状態に支障が生じる。 例:「罅が入った身体」 類:●傷が付く 3.人間相互の感情が、良好でなくなる。親しい仲が不和になる。 例:「二人の友情に罅が入った」
・響きの声に応ずるが如し(ひびきのこえにおうずるがごとし)[=物に〜] 応答や反応が非常に早いことの喩え。すぐに反響や効果が現れること。
・日々是好日(ひびこれこうじつ) 《四熟》 毎日毎日、楽しく平和な良い日が続く。 類:●日日(にちにち)是好日
・日々に新たなリ(ひびにあらたなり) 日に日に新しくなっている。また、毎日毎日、進歩し続けている。 出典:「礼記−大学・伝2」「湯之盤銘曰、苟日新、日々新、又日新」<苟(まこと)に日に新たなり、日々に新たなり、又(また)日に新たなり> ★湯の盤銘(とうのばんめい) 殷(いん)の湯王(とうおう)が、沐浴の盤(=ゆあみだらい)に刻んで自ら戒めとした言葉。
・びびる 1.音が震動する。音が響いて聞こえる。特に、戦(いくさ)で鎧(よろい)や兜(かぶと)が触れ合って鳴る音が聞こえる。 用例:雑俳・和国丸「鑵子の蓋のびびる樽拍子」 2.恥ずかしがって小さくなる。恥じらう。はにかむ。 用例:雑俳・柳多留−七「あいさつに男のびびる娵(よめ)の礼」 3.けちけちする。 用例:志不可起「人の嗇(しわく)て物をしむをびびると云は微々ならんか、又びりびりすると云もびびるに同か」 4.拗(す)ねていて素直でない。5.俗語的表現。気後(おく)れして小さく縮こまる。また、怖(お)じける。 類:●萎縮する 例:「大打者に対して腕がびびる」「大きい犬にびびった」 用例の出典①:和国丸(わこくまる?) 雑俳。・・・調査中。 用例の出典②:志不可起(しぶがき) 俗語辞典。箕田憙貞(みのだきてい)。享保12年(1727)。・・・詳細調査中。
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・蜉大樹を撼かす(ひふたいじゅをうごかす) 蜉は大蟻のこと。蟻が大樹を動かそうとする。見識の乏しい者が、妄(みだ)りに大人物を批評する喩え。また、自分の力や身の程を弁(わきま)えず、妄りに大それたことをしようとすること。 出典:韓愈「調張籍詩」「那用故謗傷、[虫+比]蜉撼大樹、可笑不自量」
・火蓋を切る(ひぶたをきる) 1.火縄銃の火蓋を開いて点火の用意をする。また、発砲する。2.転じて、ものごとに着手する。主に、戦いや競争などで、行動を開始する。 例:「決戦の火蓋を切る」
・悲憤慷慨(ひふんこうがい) 《四熟》 運命や世の不正などを、悲しみ憤(いきどお)って嘆くこと。 類:●声涙倶に下る 例:「不遇を悲憤慷慨する」
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・暇が明く(ひまがあく) 暇になる。
・暇が入る(ひまがいる) 1.時間が掛かる。暇取る。また、時間が必要になる。2.用事がある。
・暇が出る(ひまがでる) 休むことが許されるという意味だが、一般には、不都合があったために、仕事を辞めさせられるときに言う。退職させられる。
・隙過ぐる駒(ひますぐるこま)[=行く駒・の駒] 壁の隙間に見る馬は忽(たちま)ち過ぎ去ってしまうということから、月日が早く過ぎ去ることの喩え。 類:●駒隙(くげき)●隙行く駒●隙の駒●白駒隙を過ぐる 出典:「荘子−知北遊」
・暇に飽かす(ひまにあかす) 暇であるのを良いことに、ものごとに長い時間を費やす。飽きもせずに、何かに長い時間を掛ける。 類:●暇に任せる 例:「暇に飽かして世間話に興ずる」 ★「飽く」は「満ち足りる」の意。「〜に飽かす」で「〜を十分に使って…する」の意。
・暇を欠く(ひまをかく) 時間を費やす。時間を使う。
・暇を割く(ひまをさく) そのことのために時間を作る。
・暇を出す(ひまをだす・いだす)[=遣る] 1.休みを与える。2.奉公人などを辞めさせる。また、妻を離縁する。
・暇を潰す(ひまをつぶす) 空いている時間を何かして過ごす。 例:「パチンコ屋で暇を潰す」
・暇を取る(ひまをとる)[=貰(もら)う] 1.休暇を取る。2.使用人などが自分から申し出て辞める。また、妻の方から縁を切る。3.時間が掛かる。手間を取る。
・暇を盗む(ひまをぬすむ) 1.暇潰しをする。怠(なま)ける。2.僅かな時間を利用する。 例:「暇を盗んでは本を読んだ」
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・火水に入る(ひみずにはいる) 1.燃える火や深い水の中に入るという意味から、命取りになるような危険な状態に入り込むこと。2.わが身の危険をも恐れず、持てる力を出し切って頑張ること。
・火水になる(ひみずになる) 燃え盛る火や激しい洪水のようになるという意味から、激しく動き回る動作や様子。
・火水の争い(ひみずのあらそい) 火と水の争いという意味で、互いに相容れない者同士の激しい争いのこと。
・火水の底(ひみずのそこ) 燃える火の中、深い水の底までも、という意味から、危険が待ち構えているような所までも。 類:●火の中水の中
・火水も厭わない(ひみずもいとわない) 火に焼かれても水に溺れてもという意味で、どのような苦しみも嫌がらないこと。
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・美名に隠れる(びめいにかくれる) 立派な名目の陰に隠れ潜(ひそ)むという意味から、高い評判や立派な名目に隠れて、裏で悪事を働くこと。
・悲鳴を上げる(ひめいをあげる) 1.恐ろしいときや驚いたときに思わず高い声を出す。2.事が巧く運ばないため、困ったり弱気になったりすること。 類:●弱音を吐く●音を上げる
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・比目の魚(ひもくのうお) 1.比目の魚(=目が各々一つしかなく、二匹並んで初めて泳ぐことができるという想像上の魚)。また、一般に、カレイやヒラメの類のこと。2.夫婦の仲が睦(むつ)まじいことの喩え。
・比目の枕(ひもくのまくら) 一説に、比目の魚は二匹並んで泳ぐといわれることから、男女が枕を並べて寝ること。特に、夫婦が睦(むつ)まじく添い寝する喩え。 類:●共寝●比目の契(ちぎ)り●比翼の契り 反:■比目の睦び一頬(いっきょう)を並べず
・眉目を開く(びもくをひらく) 顔の中央に寄せていた眉や目を左右に開くという意味で、心配事が解決してほっと安心する様子。 類:●愁眉(しゅうび)を開く
・紐解く(ひもとく)[=繙く] 1.紐を解く。また特に、下紐を解く。男女が共寝することの喩え。2.権威が衰えて政治が乱れることの喩え。3.蕾(つぼみ)が開く。蕾が綻(ほころ)びる。 用例:古今−二四六「ももくさの花のひもとく秋ののに」 4.書物の帙(ちつ)の紐を解く。書物を開く。また、本を読む。 用例:俳・芭蕉庵小文庫−冬「書を紐とゐて」 用例の出典:芭蕉庵小文庫(ばしょうあんこぶんこ) 俳諧。中村史邦編。元禄9年(1696)・・・詳細調査中。
・紐を付ける(ひもをつける) 解決の糸口に紐を結び付けるという意味から、事を解決する手掛かりとなるものを見つけ出すこと。 類:●紐に取り付く●糸口を掴む
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・冷やかし(ひやかし) 1.張り見世の遊女を見て歩くだけで登楼しないこと。 類:●素見(すけん) 2.実際には買うつもりなどないのに商品を値踏みしたり、値段を尋ねたりすること。3.からかうこと。嘲弄すること。 例:「冷やかし半分に」
・冷やかす(ひやかす) 1.氷や水に浸(ひた)したり、冷風に曝したりして冷やす。冷えるようにする。 用例:観智院本名義抄「寒心ムネヒヤカス」 2.遊郭で、登楼しないで張り見世の遊女を見て回る。 用例:人情・郭の花笠‐二「どれ新町でも素見(ヒヤカ)して」 3.用もないのに盛り場や場内などをうろつくこと。買う気もないのに、品物の値段を尋ねたり商品などを見て回ったりする。 例:「夜店を冷やかす」 用例:滑・一盃綺言「これから両国をひやかすべい」 4.悪口などを言って興を冷ます。冷評する。また、からかう。 例:「アベックを冷やかす」 用例:伎・浮世柄比翼稲妻−二幕「人を好い加減に冷かすがいいわな」 用例の出典①:類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう) 平安末期の漢和辞書。法相宗の僧侶の編で、院政期の成立かという。仏・法・僧の三部仕立とし、漢字を偏旁によって分類、音訓・字体などを示す。和訓の部分に付された声点は平安時代のアクセントを知る手掛かりとなる。「三宝類字集」「三宝類聚名義抄」などの異称があり、原撰本系の「書陵部本」と改編本系の「高山寺本」「観智院本」「蓮成院本」「西念寺本」とがある。 用例の出典②:一盃奇言(いっぱいきげん) 滑稽本。2巻。本町庵三馬(式亭三馬)。文化10年(1813)。・・・詳細調査中。 用例の出典③:浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなずま) 歌舞伎。時代世話物。9幕。四世鶴屋南北。文政6年(1823)江戸市村座初演。名古屋山三が父のかたき不破伴左衛門を討つ筋と、白井権八が鈴ケ森で幡随長兵衛に出会い、江戸で小紫になじむ筋とを仕組む。前者の「鞘当(さやあて)」、後者の「鈴ケ森」が独立して演じられる。
・百害あって一利なし(ひゃくがいあっていちりなし) たくさんの害悪はあっても、利益になるようなことは一つもない。災いとなる悪いことばかりで、良い条件や良い事柄が一つも見当たらない。
・百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう) 《四熟》 百尺もある竿の先端。また、到達できる極点、向上しうる極致の喩え。
・百尺竿頭に一歩を進む(ひゃくしゃくかんとうにいっぽをすすむ) 既に到達した極点より、更に向上の歩を進める。また、十分に言辞を尽くした上に、更に一歩を進めて説く。 出典:「景徳伝灯録−十」 「百尺竿頭須進歩、十方世界是全身」
・百術千慮(ひゃくじゅつせんりょ) 《四熟》 色々な方法を考えること。あらゆる手立てを工夫し、様々に考えを巡らすこと。
・百手の達者(ひゃくしゅのたっしゃ) 百本の矢を射るのに、一矢も外さないほどの名手のこと。
・百姓と油は搾るほど出る(ひゃくしょうとあぶらはしぼるほどでる) 人民から税金を取るのは、油を搾るのと同様に、いくら搾ってももっと取ることができる。為政者からすれば、人民は生かさず殺さず程度に税を取り立てるのが良いということ。 類:●茶と百姓は搾るほど出る●灰俵と百姓は叩くほど出る ★「百姓」は、人民・一般人を指す。
・百丈の木に登って一丈の枝より落つる(ひゃくじょうのきにのぼっていちじょうのえだよりおつる) 高い木の枝に上ったときは緊張しているから落ちないが、低い所では油断をして落ちたりするものである。危険がないと思うところに災難が起きるという戒め。 ★「一丈」は、約3.03メートル。
・百姓読み(ひゃくしょうよみ) 漢字を偏(へん)または旁(つくり)から類推して、我流に読むこと。 ★「垂涎(すいぜん)」を「すいえん」、「洗滌(せんでき)」を「せんじょう」、「絢爛(けんらん)」を「じゅんらん」と読む類<国語大辞典(小)>
・百川海を学びて海に至る(ひゃくせんうみをまなびてうみにいたる) 多くの川は絶えず海を目指して流れるから、ついには海に注ぐ。人も優れた人を目標に絶えず努力し続ければ、ついには目的に到達しうるということ。 出典:「法言−学行」「百川学海而至于海、丘陵学山而不至于山」<丘は山を目指しても山には至らない(進もうとしないからである)>
・百戦錬磨(ひゃくせんれんま) 《四熟》 1.たくさんの戦いを経験していて、十分に鍛(きた)えられていること。2.一般に、経験豊富なこと。 類:●海千山千 ●千軍万馬
・百度を踏む(ひゃくどをふむ) 1.祈願のためにお百度参りをする。2.頼みを聞いてもらうために、同じ人や場所を何度も訪問する。3.同じことを何度も繰り返す。 ★「お百度を踏む」というようにも使う<国語慣用句辞典(集)> ★「洗滌(せんでき)」を「せんじょう」、「装幀(そうとう)」を「そうてい」と読む類<大辞林(三)>
・百に足らぬ(ひゃくにたらず) 江戸時代には、銭百文を銭差しという細い縄に通して一筋としたが、その一筋にも足りないという意味から、独り立ちができない者や愚か者を軽蔑して言う言葉。
・百日天下(ひゃくにちてんか) 《四熟》 僅(わず)かの期間だけ天下を支配すること。 類:●三日天下 故事:帝位を追われたナポレオンは、エルバ島を脱出してパリに入り再びフランス皇帝となったが、ワーテルローの戦いに敗れて今度はセントヘレナ島に流された。この期間が約百日であったところから<国語慣用句辞典(集)>
・百日の説法屁一つ(ひゃくにちのせっぽうへひとつ) 長い間の苦心も、僅かばかりの失敗で無駄になってしまうということの喩え。
・百に一つ(ひゃくにひとつ) 百あるうちの一つ。少し。僅(わず)か。ごく稀(まれ)。 「百に一つも〜ない」の形で用い、少しも〜ないの意味。
・百人力(ひゃくにんりき) 1.百人分の力があること。 類:●力持ち 2.援助を得て、非常に力強く感じること。 例:「君が加われば百人力だ」
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・百年河清を俟つ(ひゃくねんかせいをまつ) 常に濁っている黄河の水が澄むのを待つように、いつまで待っても実現の宛てがないこと。また、それを待つこと。 類:●河清を俟つ●百年黄河の澄むを俟つ 出典:「春秋左氏伝−襄公八年」
・百年の計(ひゃくねんのけい) 「百年」は長い年月の喩え。遠い将来を見通した考え。
・百年の恋も一時に冷める(ひゃくねんのこいもいちじにさめる)[=一遍に〜] 1.相手の欠点などを見聞きしたため、長い間抱いてきた愛情が一遍に冷める。また、一般に、熱意が急に失せてしまうこと。2.転じて、長い間熱中していたものごとに、急に興味を失うこと。
・百年の不作(ひゃくねんのふさく) 一生の失敗。取り返しのつかない大失敗。特に、良くない妻のことを指して言う。 類:●一代(一生)の不覚 例:「悪妻は百年の不作」
・百年早い(ひゃくねんはやい) 相手に、分を弁(わきま)えろと窘(たしな)めて言う言葉。 類:●鏡を見て物を言え 例:「私に意見するなど百年早い」
・百年目(ひゃくねんめ) 1.あるときから数えて百年目の年。2.滅多にない好機や好運。3.命運が窮(きわ)まるとき。どうにもならない運命の瞬間。主に、悪事が露顕したときなどに使う。 類:●運の尽き 例:「ここで会ったが百年目」
・百八煩悩(ひゃくはちぼんのう) 《四熟・仏教用語》 人間の心身を悩まし迷わせる、数々の煩悩。数が多いことを、百八つと示したもの。 ★一説に、眼・耳・鼻・舌・身・意の六根のそれぞれに悩みが六つあって三十六、これを過去・現在・未来にそれぞれ配して合計百八とする。
・百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)
・百も承知(ひゃくもしょうち) 十分に承知していること。 例:「無理難題なのは百も承知」
・百も承知二百も合点(ひゃくもしょうちにひゃくもがってん) 百も二百もたくさんのことを承知しているという意味で、十分に分かっているということ。 ★「百も承知」の下に調子よくいいかけた語<大辞林(三)>
・百薬の長(ひゃくやくのちょう) 数多(あまた)ある薬の中でも、最上のもの。酒のこと。酒を誉めていう言葉。 出典:「漢書−食貨志下」 例:「酒は百薬の長」
・百様を知って一様を知らず(ひゃくようをしっていちようをしらず) 1.色々の事に亘って広く知ってはいるが、その中のただ一つをも本当には理解していない。2.多方面に亘って広く知っているが、ただ一つ知らないことがある。博識であるが、行き届かない所がある。
・百里の道も一足から(ひゃくりのみちもひとあしから) 遠い所へ行くにも先ず一歩から始まる。大きなものごとをするとき、初めの第一歩が大事であるということ。 類:●千里の行も一歩から
・百里を行く者は九十を半ばとす(ひゃくりをいくものはきゅうじゅうをなかばとす)[=九十里を〜] 百里の道を行くとしたら、90里を半分の地点だと意識するべきである。何事も終わりの間際が最も困難であるから、9分通りの所を半分と心得て、最後まで緊張して行なうべきであるということ。 出典:「戦国策−秦策・武王」
・百花斉放(ひゃっかせいほう) 《四熟》 種々の花が一斉に咲き揃うという意味から、科学・文化・芸術活動が、自由・活発に行なわれること。 ★一九五六年に中華人民共和国が国民に対して「百家争鳴」とともに唱えたスローガン<学研漢和大字典> 参考:百家争鳴
・百家争鳴(ひゃっかそうめい) 《四熟》 多くの学者や論客(ろんかく)が、自由に自説を発表し、自由に論争すること。 ★中国で、一九五六年「百花斉放(ひやつかせいほう)」と併称して科学・文化・芸術発展の方針として提唱された<広辞苑第四版(岩)>
・百花の魁(ひゃっかのさきがけ) 1.春(旧暦の1月)になって咲く様々な花の中で、最も先に咲く花という意味で、梅の花のこと。 2.転じて、次々と優れた業績が出たり、偉大な人物が現れたりする時期に、その先駆となること。
・百花繚乱(ひゃっかりょうらん) 《四熟》 1.種々の花が彩(いろど)り美しく咲き乱れること。 類:●千紫万紅 2.比喩的に、優れた業績や人物などが一時期にたくさん現れること。また、優秀な人材や美女などが一箇所に集まっている様子。 類:●黄金時代 ★日本では、多く元禄の時代を喩える。
・百貫の形に笠一蓋(ひゃっかんのかたにかさいっかい)[=代わりに〜] 百貫の貸し金に対する抵当が僅(わず)かに笠一つだけということで、損得の勘定が甚(はなは)だしく隔(へだ)たっており、釣り合わないことの喩え。
・百貫の鷹も放さねば知れず(ひゃっかんのたかもはなさねばしれず) 大金で買った鷹も、実際に放って鳥を捕らえさせてみなければ、その良否が分からない。実際に使ってみて初めて物の真価が分かるということ。 類:●馬には乗ってみよ人には添うてみよ
・百鬼夜行(ひゃっきやこう・やぎょう) 《四熟》 1.色々な妖怪が列をなして夜歩くこと。 ★中古から中世の迷信<大辞林(三)> 2.たくさんの人々が徒党を組んで、奇怪な行動をすること。主に、得体の知れない者たちの振る舞いに付いて使う。 例:「百鬼夜行する乱世」
・百発百中(ひゃっぱつひゃくちゅう) 《四熟》 1.矢や銃弾が、発射すると必ず命中すること。 類:●百歩楊を穿つ 出典「戦国策−西周策」「楚有養由基者、善射。去柳叶者百歩面射之、百発百中」 故事:中国楚の養由基(ようゆうき)は弓の名人で、百歩離れた所から柳の葉を射たが、百本射たところ、百本ともことごとく命中させた。 2.転じて、計画や予想などが、全て思惑通りに運ぶこと。
・百歩譲って(ひゃっぽゆずって) 嫌々ではあるが、相手の主張を受け入れるとして。自分の考えの根本は変えないという意思を含む。 例:「百歩譲って最初の条件は認めよう」
・冷や飯食い(ひやめしぐい)[=食らい] 1.寄食する人。 類:●居候 2.江戸時代、家督を相続しない次男以下の男のこと。3.冷遇されている人。
・冷や飯にする(ひやめしにする) 1.炊いた飯を放っておいて冷たくしてしまうこと。転じて、人に対して冷たい態度を取ること。2.芝居に失敗した役者を辞(や)めさせること。
・冷や飯を食う(ひやめしをくう) 1.冷えた飯を食う。2.居候(いそうろう)をする。 ★寄食者は、家人が食べ終わった後に冷めた食事を取るところから。 3.冷遇される。 例:「長い間冷や飯を食わされてきた」
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