【そし】~【そも】

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・俎上に載せる
(そじょうにのせる)[=置く・抛(はな)つ] あるものごとや人物を問題として取り上げ、論じたり批判したりする。批評・議論・考察の対象として取り上げる。 例:「新しい構想を俎上に載せる」
俎上の魚
(そじょうのうお)
・俎上の魚江海に移る
(そじょうのうおこうかいにうつる) 危険な運命を脱して、安全なところに移る。
・素知らぬ
(そしらぬ) 本当は知っているくせに、知らない振りをすること。 類:●涼しい顔 例:「素知らぬ振り」
・疏食を飯い水を飲み、肱を曲げて之を枕とす(そしをくらいみずをのみ、ひじをまげてこれをまくらとす) 粗末な食事をし、水を飲み、肱を曲げて枕にして眠る。自分に合った生活の中で、道を踏み外さず伸び伸びと生きることにこそ楽しみがあり、人の本来の生き方なのだということ。 出典:「論語−述而」「子曰、飯疏食飮水、曲肱而枕之、楽亦在其中矣、不義而富且貴、於我如浮雲」

−−−−−−−そせ(#sose)−−−−−−−
・粗製濫造(そせいらんぞう)・乱造 《四熟》 品物を、粗雑な方法でやたらにたくさん作ること。

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・そそくさ者
(そそくさもの) 落ち着きのない者。慌(あわ)て者。
・聳り立つ
(そそりたつ) 1.高く聳(そび)える。聳え立つ。 例:「岩石がそそり立つ山」 2.心が浮き立つ。浮かれて騒ぎ出す。 用例:浄・
本朝三国志−二「うかれうかされ大将雑兵そそり立」 用例の出典:本朝三国志(ほんちょうさんごくし) 浄瑠璃。享保4年(1719)。近松門左衛門。信長や秀吉に擬した人物が登場近松門左衛門でござーい!
・そそる 1.
刺激を与えてある感情や行動を起こさせる。催(もよお)させる。誘う。 例:「興味をそそる」 2.心が浮き立つ。浮かれ騒ぐ。そわそわする。 用例:浄・女殺油地獄−上「まだはださむき川風を、酒にしのぎてそそり行」 3.遊里を冷やかして歩く。遊里に通う。 用例:伎・梅柳若葉加賀染−大詰「放蕩惰弱にそそったゆゑ、大小取上げ御追放」 4.高く上がる。高く聳(そび)え立つ。 類:●天聳(あまそそ)る 用例:万葉−四〇〇三「白雲の千重を押し別け天(あま)曾々理(ソソリ)高き立山」 5.物を揺り動かす。揺する。 用例:妙法蓮華経玄賛平安中期点−六「復之を漉(ソソリ)て熱き鉄の地上に置きて」 6.選び分ける。選別する。揺すって選り分ける〔日葡辞書〕 7.啜(すす)る。
・漫ろ歩き
(そぞろあるき) 宛てもなく歩き回ること。漫然と歩き回ること。 用例:「公園のそぞろ歩き」 類:●すずろ歩き●逍遥(しょうよう)

−−−−−−−そち(#soti)−−−−−−−
・蘇張の弁
(そちょうのべん)[=舌(した) 「蘇張」は、中国、戦国時代の縦横(じゆうおう)家である蘇秦と張儀の併称。弁舌が優れて達者なこと。 類:●雄弁 出典:杜甫の詩 
参考:縦横家(じゅうおうか) 中国、戦国時代の諸子百家の一。合従(がっしょう)と連衡(れんこう)の策を諸侯に説いて回った一派。

−−−−−−−そつ(#sotu)−−−−−−−
・そつがない 
「そつ」は、手落ち・手抜かり、または無駄の意味。言動に手落ちがない。抜け目がない。無駄がない。 例:「彼は何をやってもそつがない」
・反っくり返る
(そっくりかえる) 1.身体が後ろの方に反り曲がる。酷(ひど)く反る。また、物が反対側に反り曲がる。反り返る。 用例:
富本艶容錦画姿「ひっくりかへって、そっくりかへった」 2.威張って、相手を見下すようにして体をうしろに反らせる。自分を偉い人間と思っていることを表わす。 類:●反り返る●踏ん反り返る 例:「反っくり返った態度」 ★「そりくりかえる」の転。<大辞林(三)> 用例の出典:艶容錦画姿(えんようにしきえすがた?) 富本節。・・・詳細調査中。(はですがた?)(あですがた?) 参考:富本節(とみもとぶし) 浄瑠璃の一派。寛延元年(1748)に、富本豊前掾(じょう)が独立して語り始めたもの。常磐津節よりも繊細で高雅、その節回しは技巧に富む。安永〜天明頃には常磐津節を凌(しの)ぐ全盛を示した。
・素っ気ない
(そっけない) 言葉や態度に、相手に対する好意や思い遣りがない。愛想がない。薄情である。 類:●素気(すげ)無い 用例:伎・
怪談目笠森−三幕「これ程申すにそっけない挨拶いたすは」 ★「素気(すげ)ない」から生じた語<大辞林(三)> 用例の出典:怪談月笠森(かいだんつきのかさもり) 歌舞伎。世話物。4幕。河竹黙阿弥。慶応元年(1865)江戸守田座初演。旗本屋敷に奉公した草加在の名主の娘おきつは、横恋慕した下男の市助に殺され、笠森稲荷の門前で茶屋を開いている妹のおせんがそのかたきを討つ。通称「笠森お仙」。
・ぞっこん
 1.すっかり。まったく。 用例:荘子抄−一〇「人には云い勝ともそっこん心には服せざるなり」  2.心底から。心から。特に、惚れて全く心を奪われること。 例:「彼はその女にぞっこんだ」 ★古くは「そっこん」。「底根」、「属懇」の字を当てることもある<国語大辞典(小)>
・卒爾ながら
(そつじながら) 突然で失礼なこととは思うが〜。人に声を掛けたり、ものを問う時などに言う言葉。
・率先垂範
(そっせんすいはん) 《四熟》 自分が進んで手本を示す。人の先頭に立ってものごとを行ない、模範(もはん)を示すこと。 類:●率先躬行(きゅうこう)●率先励行●実践躬行 出典①:「率先」は、「史記−絳侯世家」 出典②:「垂範」は、「宋書−謝霊運伝・論賛」 出典:宋書(そうじょ) 中国南朝の宋について書かれた史書。二十四史の一つ。沈約(しんやく)。斉の武帝に命ぜられて編纂した。完成は梁代。紀伝体で書かれ、本紀10巻・列伝60巻・志30巻の計100巻から成る。日本については『夷蛮伝』(いばんでん)が立てられており、倭の五王から朝貢が行われたことが記されている。
・其方退け
(そっちのけ) 構わずに放っておくこと。相手にしないこと。 類:●そちのけ 用例:滑・七偏人−初「書画も開きもそっちのけ、直に乱盃の大騒ぎ」 例:「お遣いなど其方退けで川遊び」
・ぞっとしない 1.
あまり感心しない。良い気持ちがしない。嬉しくない。面白くない。2.特に驚いたり感心したりするほどではない。 反:■ぞっとする 参考:「ぞっとするほどの美人」 身震いするほど凄(すご)い美人。
・ぞっとする 1.恐怖や寒さなどで、身体(からだ)が震え上がるような感じがする。全身の毛が逆立つように感じる。 用例:伎・陬蓬莱曾我−四立「ゾッとする程怖い思ひで」 2.強い感動が身体の中を通り抜ける。 反:■ぞっとしない 例:「ぞっとするほどの美人」 用例の出典:陬蓬莱曾我(むつまじきほうらいそが) 歌舞伎。鶴屋南北。・・・調査中。
・外方を向く(そっぽをむく・そっぽうを〜) 1.正面でなく横を向く。2.相手の顔や視線を避ける。特に、協調・援助をしないで、知らない振りをする。

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・袖打ち合わす
(そでうちあわす)[=掻き合わす] 相手に敬意を示すために、または、畏(かしこ)まる気持ちを表わすために、着物の両袖を掻き合せる。 用例:−七六「塀のかたにうしろおして、袖うちあはせて立ちたるこそをかしけれ」
・袖掻き合わす
(そでかきあわす) 両袖を重ね合わせる。身なりを整えてかしこまる。 用例:徒然草−90「問はれて、掻き合わせて」
・袖片敷く
(そでかたしく) 男女が互いに袖を敷き交わして寝るのに対して、自分だけの袖を敷いて寝る。また、独りで旅寝をする。 類:●独り寝をする 用例:万葉−3625「蘇弖加多思吉(ソデカタシキ)て独りかも寝む」
・袖から火事
(そでからかじ) 小さな事から大事が引き起こされることの喩え。明暦の大火「振袖火事」から来ているとされる。 参考:振袖火事(ふりそでかじ) 明暦3年(1657)1月18・19の両日に亘って江戸の大半を焼き尽くした大火。明暦の大火。施餓鬼(せがき)の仏事で焼いた振り袖が強風にあおられて空に舞い上がったのが原因になった。
・袖交わす
(そでかわす)[=交(か)う] 1.男女が互いに衣の袖を振り交わす。また、男女が袖を敷き合いして寝る。2.袖が触れるほど近くに並ぶ。 類:●共寝する●
袖を連ねる
・袖狭し
(そでせばし) 衣服の袖の幅や丈(たけ)が短い。身分が卑しいこと。不遇の身であることや、十分にできない様子を指す。
・袖続ぐ
(そでつぐ) 男女が袖を交わして共寝する。 類:●
袖を連ねる
・袖に時雨る
(そでにしぐる) 衣の袖に時雨(しぐれ)が降り掛かるということで、悲しみの涙で袖が濡れる喩え。
・袖に縋る
(そでにすがる)[=付く] 袖に取り付いて引き止める。相手の同情を引いてその助けを求める。 類:●哀願する
・袖に墨付く
(そでにすみつく) 人に恋い慕(した)われる時には、衣の袖に墨が付くと言われる。誰かに恋い慕われている印であることを言う。
・袖にする
(そでにする)[=なす] 1.手を袖に入れたままで、何もしないこと。2.そのものごとを重んじないで疎略にする。疎(おろそ)かにする。また、人を冷淡にあしらい、邪魔者扱いにする。 例:「彼女から袖にされた腹いせ」 ★「身」に対しての「袖(=付属物の意味)」から、粗略、ないがしろにすること。
・袖に露置く
(そでにつゆおく) 袖に露が掛かって濡(ぬ)れる。悲しみの涙で袖が濡れる。
・袖になる
(そでになる) 冷淡になる。余所余所しくなる。 ★「身」に対しての「袖(=付属物の意味)」から、粗略、ないがしろにすること。
・袖に湊の騒ぐ
(そでにみなとのさわぐ) 湊が打ち寄せる波で騒ぐように、激情のあまりに、泣き声と共に涙が袖に降り掛かること。 用例:伊勢−二六「思ほえず袖にみなとのさはぐ哉」
・袖の朝明き
(そでのあさあき) 衣の袖の辺りが寒く感じる夜明け方。
・袖の雨
(そでのあめ) 悲しみの涙で衣の袖が濡れること。
・袖の上の玉の砕けたよう
(そでのうえのたまのくだけたよう) 最愛の子を失うことの喩え。 類:●掌中の玉を取られたよう
・袖の海
(そでのうみ) 涙が多く流れること。
・袖の子
(そでのこ) 稲の異名。 
★僧が衣の袖で受けるところからの称という<国語大辞典(小)>
・袖の氷
(そでのこおり)[=氷柱(つらら) 衣の袖を濡らした涙が凍ってしまったという意味で、悲しみに閉ざされた心の喩え。
・袖の柵
(そでのしがらみ) 流れる涙を堰(せ)き止める衣の袖のことを、川の流れを堰き止める柵に見立てて言った言葉。
・袖の時雨
(そでのしぐれ) 悲しみの涙が流れて袖に掛かることを、時雨に喩えた言葉。 類:●袖時雨
・袖の雫
(そでのしずく) 衣の袖に掛かる雫の意味で、悲しみの涙で袖が濡れることの喩え。
・袖の下
(そでのした) 1.多く、下に「より」「から」を伴って使われる。手でする動作を、人目に付かないようにこっそりとする様子。人目を憚(はばか)って内緒でそっと手渡すこと。 用例:浮・好色一代男−三「名残の神楽銭、袖の下よりかよはせて」 2.人に知られないようにして贈り、または、貰う金品。賄賂(わいろ)や心付けなど。
・袖の滝つ瀬
(そでのたきつせ)・袖の滝 衣の袖に掛かる滝ということで、涙が激しく流れ出る喩え。
・袖の露
(そでのつゆ) 衣の袖に置く露ということで、悲しみの涙で袖が濡れることの喩え。
・袖の波
(そでのなみ) 衣の袖が悲しみの涙に濡れていることを、波に喩えていう。
・袖の涙
(そでのなみだ) 衣の袖を濡らす涙。
・袖の羽風
(そでのはかぜ) 衣の袖を打ち振るときに起こる風を鳥の羽風に喩えていう。
・袖の淵
(そでのふち) 溢(あふ)れ流れる涙が衣の袖に淵をなすということで、涙が多く流れる喩え。
・袖の別れ
(そでのわかれ) 男女が互いに重ね合わせていた袖を解き放して別れること。
袖振り合うも多生の縁
(そでふりあうもたしょうのえん)[=触り合うも〜]・[=他生の縁]
・袖纏き干す
(そでまきほす) 濡れた袖を共寝の枕にして乾かす。
・袖行く水
(そでゆくみず) 袖を流れる水という意味で、涙のこと。
・袖別る
(そでわかる) 別れる。 類:●袂(たもと)を分かつ
・袖を返す
(そでをかえす) 1.袖を裏返しにする。 
★昔は、こうして寝ると、思う人が自分の夢の中に現れる、または、思う人の夢に自分が現れることができると言い伝えられていた<国語大辞典(小)> 2.袖を翻(ひるがえ)す。
・袖を絞る
(そでをしぼる) 涙で濡れた袖を絞る。酷く悲しんで泣く様子。
・袖を詰める
(そでをつめる) 女子が成人に達して、または結婚して、振袖をやめ、袖丈を短くする。留袖を着るようになる。 類:●
袖を留める
・袖を連ねる
(そでをつらねる) 1.大勢の人が連れ立ち、並ぶ様子。2.男女が袖を交わして共寝する。 類:●
袖交わす
・袖を通す
(そでをとおす) 衣服の袖に手を通して着る。特に、新しい着物に手を通して着る。 類:●手を通す
・袖を留める
(そでをとめる) → 
袖を詰める
・袖を濡らす
(そでをぬらす) 雨、露、涙などで袖を濡らすということで、涙を流して泣くこと。
・袖を払う(そでをはらう) 袖に付いた塵(ちり)などを払い落とすという意味から、自分の考えや意志を通すのに邪魔になる物を払い除(の)ける。 類:●袂(たもと)を払う
・袖を控える(そでをひかえる) 袖を捉(とら)えて引き止める。
・袖を引く
(そでをひく) 1.袖を取って人を誘う。2.袖を引っ張って、そっと注意を与える。
・袖を広ぐ
(そでをひろぐ) 物乞いをする者が、袖を広げてその上に受ける。物乞いをする。乞食をする。
・袖を塞ぐ
(そでをふさぐ) 袖の脇明(わきあ)けを縫い合わせて塞ぐ。成人すること。 類:●脇を塞ぐ●元服する 
★近世には、男女とも、元服以後は振袖から留袖に変えるのを常とした<国語大辞典(小)>
・袖を干す
(そでをほす) 水や涙で濡れた袖を乾かす。涙が出なくなるということで、悲しみや苦労がなくなること。多く、否定的な表現で用いられる。
・袖を分かつ
(そでっをわかつ) 人と別れる。また、関係を断つ。 類:●袂(たもと)を分かつ●訣別(けつべつ)

−−−−−−−そと(#soto)−−−−−−−
・外になる(そとになる) 無駄(むだ)になる。無用のものになって廃(すた)る。 用例:浮・
椀久二世−下「此米<略>大かたはこくうぞうとなんいへるむしさしてみなそとになりて」 用例の出典:椀久二世物語(わんきゅうにせのものがたり) 浮世草紙。井原西鶴。2冊。貞享2年(1685)。現在在所不明。男色物。外題作は「新小夜嵐」正徳4年(1714)。 参考:椀久(わんきゅう) 大坂御堂前の豪商椀屋久右衛門の通称。新町の遊女松山になじみ、豪遊をしたために座敷牢に入れられ、発狂して家出し延宝五年(1677)に死んだという。浄瑠璃・歌舞伎所作事・歌曲などには椀久物の一類ができるほど、多く取り入れられた。
・外堀を埋める
(そとぼりをうめる) 城攻めのときには先ずその外堀を埋めるの意で、ある目的を達するために、周辺にある障害から取り除く。また、遠回しの作戦を取ること。
・外襤褸の内錦
(そとぼろのうちにしき) 1.襤褸な服を着ているが、その下には豪華な絹織物を身に付けている。2.外見は良くないが、人格は錦のように豊かである。外見とは関係なく、内容が非常に優れていることの喩え。
・外を家にする
(そとをいえにする) 外出ばかりしていて家にいることが殆どない。しょっちゅう留守にする。
・外を内
(そとをうち) 外を家にすること。しょっちゅう家を留守にすること。 類:●外が内

−−−−−−−そな(#sona)−−−−−−−
・備え有れば患え無し(そなえあればうれえなし) 予(あらかじ)め備えがあれば、後の心配事はなくなるものである。 故事:書経−説命・中」「惟事事、乃其有備、有備無患」 殷(いん)王の高宗(こうそう)が優れた補佐役を得た夢を見た。国中を探させたところ、傳巌(ふがん)の谷で説(えつ)という者を見付けた。宰相(さいしょう)になった傳説(ふえつ)が王に進言した言葉。
・備わらんことを一人に求むる無かれ
(そなわらんことをいちにんにもとむるなかれ) 一人の人間にあれもこれもと、完全を期待してはいけない。人間には長所もあれば短所もあるということ。 出典:「論語−微子」「周公謂魯公曰《略》無求備於一人

−−−−−−−その(#sono)−−−−−−−
・その暁
(そのあかつき) 1.迷いから脱け出て涅槃(ねはん)の正理(せいり)に帰するその時。特に、弥勒(みろく)三会(さんえ)の暁。2.あるものごとが実現したその時。
・其の悪を攻めて人の悪を攻むること無かれ
(そのあくをせめてひとのあくをせむることなかれ) 自分の悪い点を責め正して、他人の悪い点は攻め立ててはいけない。 出典:「論語−顔淵」
・その足で
(そのあしで)[=にて] どこかへ出掛け、そのまますぐに別の場所へ行くこと。
・その内とお化けは出た例が無い
(そのうちとおばけはでたためしがない)[=今度と〜・後でと〜] 「その内必ず…」という約束は、お化けが出たことがないのと同様に、実現したことがない。相手の約束が当てにならないときに言う。 ★落語から出た言葉か。
・その折
(そのおり) 1.その時。その当時。2.特に、死ぬ瞬間。 用例:山家集−中「そのおりの蓬(よもぎ)がもとの枕にも」
・その代わり
(そのかわり) それに代わること。それに代わるもの。 類:●それと引き換え
・その気になる
(そのきになる) あることに惹(ひ)かれて、そうしようという気持ちになる。
・その事に候(そのことにそうろう・さぶろう)[=侍(はべ)り] 応答する時に用いる言葉。そのことです。そこなのですよ。それなんですよ。
・その頃
(そのころ)[=頃おい・時分] 話題に取り上げている、その時期。 類:●その程
・その罪を悪んでその人を悪まず
(そのつみをにくんでそのひとをにくまず) 罪は憎むべきだが、その罪を犯した人を憎むのはよくない。 出典:「
孔叢子−刑論」「古之聴訟者、悪其意、不悪其人」 出典:孔叢子(くぞうし・こうそうし) 秦代以降。孔子の九世の孫・孔鮒(こうふ)撰とされるが、後人が手を加えたもの。便宜的に、萬暦5年か、とされる。7巻23編。孔子、及びその一族の代々の言行録を集大成した書。朱子学の教科書としても用いられた。『孔子家語』と共に孔子伝説の変遷を窺うことができる貴重な書ではあるが、焚書で散逸したはずのものとの説が有力であり、王粛(おうしゅく)或いはそれ以降の者の「偽作」とされる。
・その手は食わない
(そのてはくわない) そんな誤魔化しには乗らない。そのような計略には引っ掛からない。 類:●その手は食べない
・その手は桑名の焼き蛤
(そのてはくわなのやきはまぐり) 「食わない」の「くわな」と焼蛤で有名な「桑名」とを言い掛けた洒落(しゃれ)。その手は食わない、その手には乗らないということ。
・その時はその時
(そのときはそのとき) そうなったらその時に考えれば良いという意味で、今から心配する必要はないということ。先のことをあれこれ悩む必要はないということ。
・その場逃れ
(そのばのがれ) 後の責任を負うつもりもなく、その場だけを取り繕(つくろ)って済ませること。また、その態度や口実。 類:●その場凌ぎ●一時逃れ●姑息
・その日暮らし
(そのひぐらし) 1.その日の収入で、その日をやっと暮らすこと。生活に少しのゆとりもないこと。また、そのような生活。2.なんとなく、漫然(まんぜん)とその日を送ること。また、そのような生活。
・其の身正しければ令せずとも行なわる(そのみただしければれいせずともおこなわる) 為政者(いせいしゃ)自(みずか)らがちゃんと自分を律していれば、命令しなくても、正しい政治が行なわれるものである。 出典:「論語−子路」「子曰、其身正、不令而行、其身不正、雖令不従」 ★「史記−李将軍列伝・賛」にも、李広(りこう)に対する司馬遷の評として、引用されている。

−−−−−−−そは(#soha)−−−−−−−
・欹てる
(そばだてる) 1.高く聳え立たせる。高く差し上げる。立てるようにする。 用例:
十六夜日記「ゆかしさよ其の雲をそばたててよそになしぬる足柄の山」 2.斜めにする。一方の端を持ち上げる。斜めに突き出すようにする。 用例:源氏−須磨「枕をそばたてて、四方(よも)の嵐を聞き給ふに」 3.耳を傾ける。目を見張る。注意力を集中させる。 用例:古今著聞集−四・一四〇「人々耳をそばたてて」 用例の出典①:十六夜日記(いざよいにっき) 鎌倉中期の紀行文。1巻。阿仏尼作。夫藤原為家の死後、実子為相と先妻の子為氏との領地相続争いの訴訟のため、建治3年(1277)、または、弘安2年(1279)10月16日に鎌倉に下ったときの日記。多くの和歌を挿入し、擬古文体を用いる。 用例の出典②:古今著聞集(ここんちょもんじゅう) 鎌倉中期の説話集。20巻。橘成季著。建長6年(1254)成立。前代の日記、記録、説話集などを基礎資料に、平安中期から鎌倉初期の日本の説話700余編を、神祇、政道、文学など30部に分類し、年代順に収めたもの。漢文の序と和文の跋文を持ち、説話集として最も組織的な作品。
・側杖を食う
(そばづえをくう)[=受ける] 争いのとばっちりを受ける。自分と関係のないことのために、とばっちりを受ける。 類:●側杖打たれる●側杖に会う●側杖に当たる●側杖を受ける●巻き添えを食うとばっちり尻が来る火の粉が降り掛かる
・蕎麦と坊主は田舎が好い
(そばとぼうずはいなかがよい) 蕎麦と僧侶とは、都(みやこ)から好いもの、好い人が出ないということ。
・蕎麦の花も一盛り
(そばのはなもひとさかり) → 薊の花も一盛り
・側目にかく
(そばめにかく) 1.横目に見る。脇目に見る。2.冷たい目で見る。余所余所しくする。 用例:曾我−1「御気色も悪しく、朋輩も側目にかけければ」
・蕎麦屋の出前(そばやのでまえ) 蕎麦屋は出前を頼んでもなかなか来ないことから、当てにならないことの喩え。 類:●医者の只今

−−−−−−−そひ(#sohi)−−−−−−−
・楚人弓を遺れて楚人これを得(そひとゆみをわすれてそひとこれをう) 楚人が忘れた弓を楚人である私が拾う。自分専用のものでなくとも、その辺に落ちていたものでも構わないということ。物欲からの脱却を薦めるエピソードとして記された。 
故事:説苑」 楚の壮王の子・共王審が狩猟の際自分の弓を忘れてきたが、取りに戻ろうとした近侍たちに「楚の国の人が忘れた弓を楚の人が拾うだけのこと、わざわざ取りに行くことはない」と言った。

−−−−−−−そほ(#soho)−−−−−−−
・素封家(そほうか) 財産家。大金持ちの人。 ★「素」は無。「封」は、領地のこと。転じて、俸禄や税収がないのに、商いによる収益で好い暮らしができる資産家のことを指すようになった。 出典:「史記−貨殖列伝」「今有無秩禄之奉、爵邑之入、而楽与之比者、命曰素封

−−−−−−−そめ(#some)−−−−−−−
・染め付ける
(そめつける) 色や模様を染めるという意味から、考えや印象が心に染め付けたように強く残る。

−−−−−−−そも(#somo)−−−−−−−
・作
?(そもさん) 中国、近世の口語。如何(いか)に。どうして。どうなのか。一体。さあどうだ。 ★日本ではとくに禅僧の問答の際の語として広まった。<国語大辞典(小)> 
・そも知らず
(そもしらず) それは別として。問題外として。 用例:
平治−上「天竺・震旦はそもしらず、日本我が朝においては」 用例の出典:平治物語(へいじものがたり) 軍記物語。仁治元年(1240)頃。作者未詳(中原師梁説・源喩僧正説)。平治元年(1159)に起こった「平治の乱」の顛末を記したもの。『平家物語』と比べると単純だが、記事の統一性など、完成された軍記物語としての特色を発揮し始めているふょーどるの文学の冒険

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