寝耳に水ねみみにみず

ことわざの意味
予期していなかった出来事や知らせが突然起こり、非常に驚くことのたとえ。全く思いがけないことが起きて、慌てふためく様子を表す。

用例

  • 順調だと思っていたプロジェクトが突然中止になるとは、まさに「寝耳に水」だ。
  • 彼が結婚するというニュースは、友人たちにとって「寝耳に水」の驚きだった。
  • 海外支社への転勤辞令は、私にとって完全に「寝耳に水」の話で、心の準備ができていなかった。

ことわざの由来

このことわざの由来には主に二つの説があります。 一つは、文字通り「眠っている人の耳に水を注ぎ込むと、飛び起きるほど驚く」という様子から来ているという説です。無防備な睡眠中に冷たい水が入ってくる衝撃を、予期せぬニュースへの驚きに例えています。 もう一つは、昔の治水技術が未発達だった時代、人々が寝静まった夜中に突然の大雨で洪水が発生し、濁流が押し寄せる音(水音)を聞いて、寝床で驚き慌てた様子から来ているという説です。 江戸時代の随筆『鳩翁道話(きゅうおうどうわ)』などにも使用例が見られ、古くから突然の災難や衝撃を表す言葉として使われてきました。

類似のことわざ

  • 青天の霹靂(せいてんのへきれき): 晴れ渡った青空に突然雷が鳴るように、予期せぬ急な出来事が起こること。「寝耳に水」とほぼ同じ意味で使われる代表的な類語。
  • 藪(やぶ)から棒: 藪の中から突然棒を突き出されるように、出し抜けに物事が行われること。
  • 足元(あしもと)から鳥が立つ: 身近なところから思いがけないことが起こること。また、急に思い立って慌ただしく行動すること。
  • 鳩(はと)が豆鉄砲(まめでっぽう)を食ったよう: 突然のことに驚いて、きょとんとしている様子のこと。

英語の類似のことわざ

  • A bolt from the blue.(青空からの稲妻/青天の霹靂)
  • Out of the blue.(突然に/出し抜けに ※”A bolt from the blue” の略)
  • Like a thunderbolt.(雷のように突然に)

ことわざを使った文学作品

  • 十返舎一九『東海道中膝栗毛』: 江戸時代の滑稽本。弥次さん喜多さんの道中記の中で、予期せぬトラブルや驚くべき事態に遭遇した際に「こいつは寝耳に水だ」といった表現が使われており、当時の庶民の間で日常的に使われていたことがわかります。