ことわざの意味
自分のものよりも、他人のものの方が何でも良く見えてしまい、羨ましく思う心理のこと。
用例
- 自分の会社に不満はないはずなのに、友人の話を聞くと「隣の芝生は青い」で、あちらの職場環境が素晴らしく思えてしまう。
- レストランで注文を済ませた後、隣の席に運ばれてきた料理を見ると、「隣の芝生は青い」で、そっちにすれば良かったと後悔した。
- 「隣の芝生は青い」と言うけれど、彼も実際には見えないところで苦労しているに違いない。
ことわざの由来
このことわざは、英語の “The grass is always greener on the other side of the fence.”(垣根の向こう側の芝生は、いつも緑が濃い)という西洋のことわざが翻訳され、定着したものです。 欧米では庭に芝生を植える家庭が多く、身近な光景から生まれた言葉です。 これには視覚的な理由もあると言われています。自分の足元の芝生は真上から見るため、土の茶色い部分が見えてまばらに見えますが、隣家の芝生は遠目から斜めの角度で見るため、葉が重なり合って、より青々として美しく見えるという現象が、心理的な比喩として使われるようになりました。
類似のことわざ
- 隣の花は赤い: 隣家の赤い花は、自宅の花よりもきれいに見えるということ。日本で古くから使われている同義語。
- 隣の糂汰(じんだ)味噌: 隣の家のみそは、粕(かす)みそのようなつまらないものでも美味しく見えるということ。
- 無い物ねだり: 自分が持っていないものを欲しがること。
英語の類似のことわざ
- The grass is always greener on the other side of the fence.(垣根の向こうの芝生はいつも青い/由来となった表現)
- Our neighbor’s ground yields better corn than ours.(隣の畑のほうが、うちよりも良いトウモロコシができる)
- Variety is the spice of life.(変化は人生のスパイスである/※直接の同義語ではないが、目新しい他人のものを良く感じる心理的背景として関連する)
ことわざを使った文学作品
- オウィディウス『恋愛指南(アルス・アマトリア)』: 古代ローマの詩人オウィディウスの作品に「Fertilior seges est alienis semper in agris(他人の畑の作物は、常に豊かである)」という一節があります。これは「隣の芝生は青い」の概念の古典的なルーツの一つとされています。