泰然自若(たいぜんじじゃく)

ことわざの意味
泰然自若(たいぜんじじゃく)とは、何事に出会っても、落ち着き払っていて少しも動じないさまを表す言葉です。「泰然」は落ち着いて物事に動じない様子、「自若」は何事にも慌てず、驚かず、普段と変わらず落ち着いている様子を意味します。同じような意味の言葉を重ねることで、その落ち着いたさまを強調しています。予期せぬ出来事や困難な状況に直面しても、冷静沈着でいられる強い精神状態を指します。

用例

  • 突然のトラブルにも、彼は泰然自若として的確な指示を出した。
  • 周りが騒然とする中、彼女だけは泰然自若とした態度を崩さなかった。
  • どんなに厳しい状況に置かれても、泰然自若の心を失わないことが大切だ。
  • 我がチームのキャプテンは、ピンチの場面でも泰然自若としており、皆に安心感を与える。

ことわざの由来

「泰然自若」は、特定の故事成語に直接由来するというよりは、「泰然」と「自若」という、それぞれ「落ち着いているさま」を表す二つの言葉が組み合わさってできた四字熟語です。 中国の歴史書である『金史(きんし)』顔盞門都伝(がんさんもんとでん)には、「矢石(しせき)の前に至ると雖(いえど)も、泰然自若たり(矢や石が飛んでくるような戦場においても、落ち着き払って動じなかった)」という記述が見られ、古くから使われていたことがわかります。 「泰」という字には「安らか」「落ち着いている」という意味があり、「泰平」や「安泰」といった熟語にも使われます。「自若」は「自(おのず)から若(ごと)し」と読み下せ、普段通りである、動揺しないさまを表します。

類似のことわざ

  • 冷静沈着(れいせいちんちゃく): 感情に左右されず、落ち着いて物事に対処するさま。
  • 明鏡止水(めいきょうしすい): 曇りのない鏡と静止した水面のように、心が澄みきって落ち着いているさま。