ことわざの意味
どのような物事や人物にも、優れている点(長所)がある一方で、劣っている点(短所)もあり、完全ではないということ。 また、二つのものを比べたとき、一方はここが良いが、もう一方はあそこが良いというように、どちらにも良し悪しがあって優劣がつけにくい状態のこと。
用例
- A案もB案もそれぞれに「一長一短」があり、どちらを採用すべきか決めかねている。
- デジタル化は便利だが、情報漏洩のリスクも高まるため、まさに「一長一短」だと言える。
- 彼の性格は、行動力がある点は素晴らしいが、少し強引すぎるところもあり、「一長一短」だ。
ことわざの由来
特定の歴史的な物語や事件が単一の由来となっているわけではなく、漢字の構成通り「一つの長所があれば、一つの短所がある」という対句表現から生まれた言葉です。 中国の古い思想書『論衡(ろんこう)』には「一短一長」という記述があり、人の才能や性質には偏りがあり、完全無欠な者はいないという文脈で使われています。 このように、完璧なものは存在しないという現実的な認識から、物事を多面的に見るための表現として定着しました。
類似のことわざ
- 一利一害(いちりいちがい): 利益もあるが、同時に害もあるということ。
- 痛し痒し(いたしかゆし): 掻けば痛いし、掻かなければ痒い。どちらを選んでも不都合があり、処置に困る状態。(※一長一短は選べない状態を指すが、こちらは「どちらも困る」というジレンマのニュアンスが強い)
- 両刃(もろは)の剣(つるぎ): 相手を倒すのに有効だが、自分も傷つく恐れがあること。役に立つ反面、危険も伴うこと。
- 帯(おび)に短し襷(たすき)に長し: 帯にするには短すぎるし、襷にするには長すぎる。中途半端でどちらの役にも立たないこと。(※一長一短は「良い点もある」とするが、こちらは「使い道がない」という否定的な意味合いが強い)
英語の類似のことわざ
- Every coin has two sides.(どんなコインにも裏と表がある/物事には必ず二つの側面がある)
- Every bean has its black.(どんな豆にも黒い部分がある/欠点のない人はいない)
- Nothing is perfect.(完璧なものはない)
- Pros and cons.(賛成と反対/良い点と悪い点)