ことわざの意味
お酒は自分が楽しむために適量を飲むべきものであり、飲みすぎて理性を失ったり、他人に迷惑をかけたりして、逆にお酒に支配されてはいけないという戒め。
用例
- 昨夜は泥酔して上司に絡んでしまった。「酒は飲んでも飲まれるな」とあれほど心に決めていたのに、後の祭りだ。
- 新入社員の歓迎会では、「酒は飲んでも飲まれるな」をモットーに、節度ある飲み方を楽しんでください。
- 彼は「酒は飲んでも飲まれるな」を実践しており、どんなに飲んでも乱れることなく、いつも紳士的だ。
ことわざの由来
特定の出典や作者が存在するわけではなく、古くから人々の生活の中で教訓として語り継がれてきた言葉です。 昭和40年代頃に警察や交通安全協会などのポスター標語として広く使われたことで、定型句として定着したとも言われています。 ただし、概念自体は非常に古く、江戸時代の文書にも「酒は飲むべし飲むべからず(酒は飲むべきだが、飲みすぎてはいけない)」といった記述が見られ、お酒との付き合い方は人類共通の課題であったことがうかがえます。
類似のことわざ
- 酒人を呑む(さけひとをのむ): 最初は人が酒を飲んでいるが、酔いが回ると酒が人を支配し、最後には人が酒に呑まれてしまう(破滅する)こと。
- 酒は気違い水(きちがいみず): 酒を飲むと、まるで気が狂ったように暴れたり騒いだりすることから、酒を恐れて言う言葉。
- 狂水(きょうすい): 酒の異称。飲むと人を狂わせる水という意味。
英語の類似のことわざ
- Bacchus has drowned more men than Neptune.(酒の神バッカスは、海の神ネプチューンよりも多くの人間を溺れさせた/海難事故よりも酒での失敗のほうが多い)
- When the wine is in, the wit is out.(酒が入ると、知恵が出ていく/酔うと分別がなくなる)
- Drink in moderation.(節度を守って飲め/ことわざというよりは一般的な格言)
ことわざを使った文学作品
- 落語『芝浜』: 酒好きで腕はいいのに働かない魚屋の男が、大金を拾ったことを夢だと妻に諭され(実は妻が嘘をついた)、それを機に断酒して真面目に働き成功する人情噺。「酒に飲まれていた」男が更生する物語として有名です。