魑魅魍魎(ちみもうりょう)

ことわざの意味
「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」とは、山や川、木石などに宿るとされる様々な種類の妖怪や化け物の総称です。これらの多くは人に害を及ぼすとされています。 転じて、比喩的に、私利私欲のために悪だくみをしたり、社会の裏でこっそりと悪事を働いたりする得体の知れない人々、またはそのような邪悪な者たちの集まりを指すこともあります。

用例

  • 深い森の奥深くには、古くから魑魅魍魎が棲むと言い伝えられている。
  • 報道によれば、その事件の背後には政財界の魑魅魍魎がうごめいているらしい。
  • 彼は欲望渦巻く都会を「魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する場所だ」と表現した。
  • あの屋敷には何か得体の知れない気配が漂っており、まるで魑魅魍魎の巣窟のようだ。

ことわざの由来

「魑魅魍魎」の語源は古く、中国の古典籍に見られます。

  • 魑魅(ちみ): 主に山林の気から生じるとされる山の化け物や、山の神を指します。「魑(ち)」は獣の形をした山の怪、「魅(み)」は人に災いをもたらす化け物を意味するとも言われます。
  • 魍魎(もうりょう): 川や沼、山や木石などの自然物に宿る精霊や水の化け物、または日や月の光によってできる影から生じる妖怪などを指します。「罔両(もうりょう)」と書かれることもあります。

これらの妖怪を総称して「魑魅魍魎」と呼びます。出典としては、中国の歴史書『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』の宣公三年の条に、遠方の魑魅魍魎を鎮撫するために徳を明らかにするべきであるといった記述が見られます。

類似のことわざ・表現

  • 百鬼夜行(ひゃっきやこう): 多くの妖怪が夜中に列をなして練り歩くこと。転じて、多くの悪人が我が物顔で悪事を働くことのたとえ。
  • 妖怪変化(ようかいへんげ): 人知を超えた怪しい現象や、それらを引き起こす化け物。