ことわざの意味
今散っている桜も、まだ散らずに残っている桜も、いずれはみな散ってしまう。人はみな死を免れず、いつかは必ず死ぬという無常の教えを説いた言葉。
用例
「散る桜残る桜も散る桜——どれほど長寿でも、人はいつか逝く。大切なのは、その命をどう使うかだろう。」
「父が末期がんと診断されたとき、彼は静かに言った。散る桜残る桜も散る桜、悔いなく生きてきたから怖くないと。」
「春の公園で満開の桜を眺めながら、散る桜残る桜も散る桜という言葉が浮かんだ。美しいものはいつか必ず終わりを迎える。」
ことわざの由来
この言葉は、江戸時代後期の禅僧・歌人として知られる良寛(1758〜1831)の辞世の句として伝えられています。良寛は越後(現在の新潟県)に生まれ、曹洞宗の僧でありながら托鉢と詩歌を愛し、民衆に親しまれた人物です。
晩年に病に伏した良寛が、弟子の貞心尼に詠んだ歌として伝わっており、死を前にしても穏やかに無常を受け入れた良寛の境地がにじみ出ています。桜を人の命に見立て、散るも残るもいずれは同じ末路だという仏教的な無常観が込められています。
なお、この句は良寛の作として広く知られていますが、諸説あり出典については議論もあります。いずれにせよ、日本人の死生観を端的に表した名句として語り継がれています。
類義語
- 人の命は露のごとし
- 諸行無常
- 明日ありと思う心の仇桜
- 三日見ぬ間の桜かな
対義語
- 長生きに悪いことなし
英語の類似のことわざ
- All flesh is grass.
- We are all mortal.