反面教師はんめんきょうし

ことわざの意味
悪い見本となる人や物事のこと。それを見て批判するだけでなく、自分の言動を反省したり、そうならないように戒めたりするための材料とすること。

用例

  • すぐに感情的になる上司を「反面教師」にして、自分は部下の話を冷静に聞くよう心がけている。
  • 過去の失敗プロジェクトの事例を「反面教師」として、今回の計画は慎重に進めよう。
  • 電車内でマナーの悪い人を見かけたときは、腹を立てるよりも「反面教師」として自分の振る舞いを見直すチャンスにする。

ことわざの由来

中国の政治家・毛沢東(もうたくとう)の言葉が由来です。 1957年に行われた演説や、その後の『毛沢東選集』第五巻において、「間違った思想や行いをする者(反動派など)も、我々が何が間違っているかを知り、闘志を燃やすための『反面教師(反面の教員)』として役立つ」という主旨の発言をしました。 元々は政治的な敵対勢力を指して「反面教員(中国語では反面教员)」と呼んだものが、日本に伝わり「反面教師」として一般化し、広く「悪い手本」を指す言葉として定着しました。

類似のことわざ

  • 他山の石(たざんのいし): よその山から出た粗悪な石でも、自分の宝石を磨く砥石(といし)として利用できることから、他人のつまらない言動や誤りも、自分の修養の役に立つということ。
  • 人の振り見て我が振り直せ: 他人の行いの良し悪しを見て、自分の行いを反省し、悪いところは改めよということ。
  • 前車の覆(くつがえ)るは後車の戒(いまし)め: 前を行く車がひっくり返るのを見て、後ろを行く車は注意して失敗しないようにすること。

英語の類似のことわざ

  • Learn wisdom by the follies of others.(他人の愚行を見て、自分の知恵とせよ)
  • A good example is the best sermon.(良い手本は最良の説教である/※対義的な表現だが、手本の重要性を説く点で関連)
  • Wise men learn by other men’s mistakes, fools by their own.(賢者は他人の失敗から学び、愚者は自分の失敗から学ぶ)

ことわざを使った文学作品

  • 毛沢東『毛沢東選集』: 由来そのものです。第五巻などに「我々は、ただ正面の教員(正しい手本)を必要とするだけでなく、反面の教員をも必要とする」といった記述があり、この概念の起源となっています。