ことわざの意味
虚心坦懐(きょしんたんかい)とは、心に何のわだかまりや先入観、偏見も持たず、素直でさっぱりとした心で物事に臨む態度のことを指します。「虚心」は心を空にして、ありのままを受け入れる素直な心境を、「坦懐」は心が開かれていてわだかまりがなく、さっぱりとしておおらかな気持ちを表します。この二つの言葉を合わせることで、物事をありのままに受け止め、公平な態度で臨むことの重要性を示しています。
用例
- 相手の意見を虚心坦懐に聞くことが、建設的な対話への第一歩だ。
- 彼はどのような批判に対しても、虚心坦懐に耳を傾ける度量の広さを持っている。
- いよいよ明日が試験の日だが、虚心坦懐な気持ちでこれまでの努力の成果を発揮したい。
- 過去の成功体験にとらわれず、虚心坦懐に新しい課題に取り組む必要がある。
ことわざの由来
「虚心坦懐」は、特定の故事成語に由来するものではなく、「虚心」と「坦懐」という二つの漢語が組み合わさってできた四字熟語です。
- 虚心(きょしん): 「虚」は何もない、空(から)であることを意味し、「心」と合わさることで、わだかまりや先入観がなく、ありのままを受け入れることができる素直な心の状態を表します。中国の古典である『老子』には、「其の心を虚しくして其の腹を実たす(民の心を無為自然の状態にし、その生活を物質的に満たす)」という記述があり、「虚心」という考え方は古くから存在していました。
- 坦懐(たんかい): 「坦」は平らで穏やかなこと、「懐」は心の中や胸の内を意味します。合わせて、心が広く、わだかまりがなくさっぱりとしていて、物事にこだわらないおおらかな気持ちを表します。
これら二つの言葉が合わさり、「虚心坦懐」として、先入観やわだかまりのない、素直で開かれた心で物事に対処するさまを意味するようになりました。