五十歩百歩(ごじゅっぽひゃっぽ)

ことわざの意味
自分と大差がないのに人の言動を笑うこと。小さな差はあるが、本質的に違いはないことの喩え。「五十歩を以って百歩を笑う」の略。

類似のことわざ

類似の英語のことわざ

  • The pot calls the kettle black.(鍋はやかんを黒いと笑う)

出典について

「孟子-梁恵王上」 「以五十歩笑百歩、則如何」 梁(りょう)の国の恵王(けいおう)が、良い政治を行なっているのに隣国の人口とあまり変わらず、人口が増えないのはなぜかと孟子に尋ねた。孟子は、「戦場で50歩逃げた者が、100歩逃げた者を臆病者と笑ったとしたらどうですか?」と言った。恵王は、どちらも逃げたことには変わりないと答えた。すると孟子は、「王が言うところの民のための良い政治も、隣の国とあまり変わりがないということです」と諭(さと)した。

出典の詳細

孟子(もうし) 中国、儒教の経典。四書の一つ。7編。孟子の言行をその弟子が編纂したもの。宋代の朱子によって四書(『大学』『中庸』『論語』『孟子』)に列せられてから特に盛行。仁義の道を強調し、やがて仁義礼智の四端の説を確立した。日本では、易姓革命の主張と我が国体とが相容れないとして忌避傾向もあったが、江戸時代に入って朱子学の流行と共に必読の書となった。

ことわざに関連する人物の詳細

孟子(もうし) 戦国時代の儒家。魯(=山東省)の鄒(すう)の人。名は軻(か)、字は子輿(しよ)。前372~前289。孔子が唱えた仁に加えて義を説き、巧みに比喩を用いた優れた議論によって、戦国諸子百家の説の中に儒教思想の基礎を確立した。性善説に立ち、人は修養によって仁義礼智の四徳を成就する可能性を持つと主張し、富国強兵を覇道として斥(しりぞ)け、仁政徳治による王道政治を提唱した。亜聖と呼ばれる。著に『孟子』がある。