切磋琢磨(せっさたくま)

ことわざの意味
切磋琢磨(せっさたくま)とは、もともと骨・象牙・玉・石などを切り刻み、槌で打ち、やすりで磨き上げて美しい細工を施すことから転じて、学問や道徳、技芸などを努力して磨き上げること、また、仲間同士が互いに励まし合い、競い合って共に向上していくことを意味します。努力によって自分自身を高めることと、仲間との相互作用による成長という二つの側面を持っています。

用例

  • 彼らはライバルとして互いに切磋琢磨し、記録を更新していった。
  • このチームは、メンバー全員が切磋琢磨し合うことで強くなってきた。
  • 弟子たちは師匠のもとで日々切磋琢磨し、一人前の職人を目指した。
  • 学生時代に切磋琢磨した友人とは、卒業後も良い関係が続いている。

ことわざの由来

「切磋琢磨」の語源は、中国最古の詩集である『詩経』の衛風・淇奥(きおく)篇にある一節、「有匪君子、如切如磋、如琢如磨(斐たる君子有り、切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し)」に由来します。 これは、「模様の美しい君子(学徳ともに優れた人)がいる。その人の徳の高さは、まるで(骨や象牙を)切り、(やすりで)磨き、(玉や石を)槌で打ち、(石で)磨き上げたようだ」という意味で、君子の人格が丹念に磨き上げられたものであることを称えています。

この詩句から、

  • 切(せつ): 刀で切り刻むこと(主に骨や象牙)
  • 磋(さ): やすりで磨くこと(主に骨や象牙)
  • 琢(たく): 槌(つち)で打って形を整えること(主に玉や石)
  • 磨(ま): 砥石(といし)などで磨き上げること(主に玉や石) というそれぞれの工程が、学問や人格を磨く努力にたとえられるようになりました。