ことわざの意味
一朝一夕(いっちょういっせき)とは、きわめて短い時間、ほんのわずかな期間のことを指します。「一朝」は一日の朝、「一夕」は一晩を意味し、文字通りには「ある日の朝から晩まで」または「一昼夜」ほどの短い時間を表します。多くの場合、「一朝一夕には~できない」というように否定の言葉を伴って用いられ、物事が簡単に、または短時間で成し遂げられるものではないことを強調する際に使われます。
用例
- 長年の努力が必要な技術は、一朝一夕で身につくものではない。
- 信頼関係というものは、一朝一夕に築けるものではなく、日々の積み重ねが大切だ。
- この複雑な問題を一朝一夕に解決するのは不可能に近い。
- 彼の成功は才能だけでなく、一朝一夕ならぬ地道な努力の賜物だ。
ことわざの由来
「一朝一夕」の由来は、中国の古い経典である『易経(えききょう)』坤(こん)の卦の文言、「臣其の君を弑(しい)し、子其の父を弑するは、一朝一夕の故に非ず、其の由来する所は漸(ぜん)なり(臣下がその主君を殺し、子がその父親を殺すようなことは、ほんの短い間に起こるのではなく、その原因は徐々に積み重なってきたものである)」とあるのに基づいています。 この記述が示すように、大きな出来事や変化は、突然短い時間で起こるのではなく、時間をかけて徐々にその原因が形成されていくという意味合いで用いられ、そこから「ごく短い時間」そのものを指す言葉として使われるようになりました。
類似のことわざ
- 朝飯前(あさめしまえ): 朝食をとる前のわずかな時間でできるような、たやすいことのたとえ。