哀毀骨立(あいきこつりつ)

ことわざの意味
哀毀骨立(あいきこつりつ)とは、親の死などの深い悲しみに打ちひしがれ、そのために体を壊し、骨と皮ばかりに痩せ衰えてしまうさまを表す言葉です。「哀毀」は悲しみのあまりに心身を損なうこと、「骨立」は痩せて骨が目立つ立つほどになる状態を意味します。極度の悲嘆による身体的な衰弱を強調した表現です。

用例

父を亡くした彼は、食事も喉を通らず、哀毀骨立といった有様で、周囲を心配させた。 彼女は最愛のペットを失った悲しみから、日ごとに痩せ衰え、まさに哀毀骨立の姿だった。

ことわざの由来

この言葉は、中国の南北朝時代に劉義慶(りゅうぎけい)が編纂した逸話集『世説新語(せせつしんご)』の「徳行篇」に見られる記述に由来します。 具体的には、王戎(おうじゅう)と和嶠(わきょう)という人物が、ほぼ同時期に親の喪に服した際、和嶠は礼儀に則って号泣しつつも心身はそれほど損なわなかったのに対し、王戎は礼儀にとらわれずとも、悲しみのあまりに骨と皮ばかりに痩せ細ってしまったと記されています。武帝が劉仲雄(りゅうちゅうゆう)に二人の様子を尋ねたところ、劉仲雄は「和嶠は生孝(生きながらの孝行)、王戎は死孝(死なんばかりの孝行)。陛下が心配すべきは和嶠ではなく王戎です」と答えたとされ、この王戎の状態が「哀毀骨立」の語源とされています。