ことわざの意味
本末転倒(ほんまつてんとう)とは、物事の根本的で重要な部分(本)と、些末で重要でない部分(末)を取り違えてしまうことを意味します。つまり、本来優先すべきことと、そうでないことの順序や重要性があべこべになってしまう状況を指します。結果として、目的を見失ったり、かえって不利益を被ったりする場合に使われることが多い、批判的なニュアンスを含む言葉です。
用例
- 健康のために運動を始めたのに、無理をしすぎて体を壊してしまっては本末転倒だ。
- 顧客満足度を上げるための施策が、逆に社員の負担を増やし士気を下げてしまっては本末転倒もはなはだしい。
- 試験勉強のために参考書を買い集めたが、読む時間がなくて手つかずでは本末転倒だ。
- 子供の教育費を稼ぐために働きすぎ、子供と過ごす時間がなくなっては本末転倒ではないだろうか。
ことわざの由来
「本末転倒」の直接的な由来は、鎌倉時代の仏教界における現象にあるとされています。 当時、仏教の各宗派において、中心となる寺院である「本山(ほんざん)」(本寺)と、その支配下にある末端の寺院である「末寺(まつじ)」が存在していました。本来、本山が末寺を統括し指導する立場にありましたが、時代が進むにつれて、一部の末寺が檀家を増やして経済的に豊かになり、本山よりも大きな力を持つようになるという、立場が逆転する現象が見られました。 この、本来の根本(本山)と枝葉(末寺)の関係性がひっくり返ってしまった状況を指して「本末転倒」という言葉が使われるようになったと言われています。 「本末」は物事の根本的な部分とそうでない部分、「転倒」はひっくり返ることを意味します。
類似のことわざ
- 主客転倒(しゅかくてんとう): 主人と客の立場が逆になること。転じて、物事の重要性や順序などが逆転すること。
- 冠履転倒(かんりてんとう): 本来頭にかぶる冠(かんむり)と足に履く履(くつ)の位置が逆になることから、上下の秩序が乱れることや、物事の価値を取り違えること。
- 元も子もない(もともこもない): 利益を得ようとして、元手まで失ってしまうこと。結局何もかも失ってしまうことのたとえ。