【らい】~【らん】

−−−−−−−らい(#rai)−−−−−−−
・雷声浩大雨天全くなし(らいせいこうだいうてんまったくなし) 雷鳴は大きく轟(とどろ)いたものの、一滴の雨も降らないということ。転じて、ものごと
の兆しや前触れだけが大きいばかりで、何事も生じないことの喩え。
・来年のことを言えば鬼が笑う(らいねんのことをいえばおにがわらう) 将来のことは予測できないということ。予知能力のある鬼は、来年の話をする人間を見て「明日のことすら分からぬくせに」と笑い飛ばすという。また、厳(いか)めしい顔をして、とても笑いそうもない鬼でさえ笑うからともいう。 類:●Fools set far trysts.(愚か者は遠い先の会合の約束をする)●Don’t count your chickens before they’re hatched. ★京いろはがるたの一つ。「笑う」は、嘲笑する、馬鹿にするの意。
・来来世世
(らいらいせせ) 《四熟》 来世のまた次の来世。いくたびも繰り返される未来。 類:●未来永劫
・磊磊落落
(らいらいらくらく) 《四熟》 「磊落」を強めて言う言葉。心が広く快活である。 類:●磊落●落落磊磊 
参考:磊落(らいらく) 心が広く、性質がさっぱりしている様子。快活で、細かなことに拘(こだわ)らないこと。

−−−−−−−らく(#raku)−−−−−−−
・楽あれば苦あり
(らくあればくあり) 楽しいことがあれば、その後に苦しいことがある。楽なことばかり続くものではない。また、辛いことばかりではないということ。 類:●苦あれば楽あり●苦楽は相伴う●苦は楽の種
●Today we sing tomorrow we weep.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典
・烙印を捺される
(らくいんをおされる) 拭(ぬぐ)い去ることができない汚名を受ける。また、周囲からそうであると決められてしまう。 類:●レッテルを貼られる 例:「臆病者の烙印を捺される」
・楽人楽を知らず
(らくじんらくをしらず) 何の苦労もしないで暮らしている人には真の意味での安楽は分からないという意味で、苦労を味わうことによって初めて安楽というものの有り難さを知るということ。
・落着を付ける(らくちゃくをつける・らくじゃくを〜) ものごとに決まりを付ける。結論を出すということ。
・楽天家(らくてんか) 1.自分の運命や境遇を、天から与えられたものとして受け入れ、ものごとにあくせくしない人。また、暢気(のんき)な者。 類:●オプティミスト 
反:■厭世家 出典:「易経−繋辞」
楽は苦の種苦は楽の種(らくはくのたねくはらくのたね)
洛陽の紙価を高める
(らくようのしかをたかめる)

−−−−−−−らち(#rati)−−−−−−−
・埒明かず屋
(らちあかずや) 埒が明かない人。特に、掛け買いなどで、代金の支払いが悪い人を罵(ののし)って呼ぶ。 類:●埒明けず屋
・埒が明く
(らちがあく)[=明ける] ものごとが捗(はかど)る。てきぱきと事が運ぶ。決まりが着く。 類:●片付く  例:「こんな事をしていても埒が明かない」 
補注:語源については、一説に、賀茂の競馬(くらべうま)で柵(=埒)が外され、やっと馬が場内に引き入れられてくることからというが、その他諸説ある。
・埒も無い
(らちもない)[=が無い] 1.秩序がなく、筋道や理由がたたない。めちゃくちゃでばかばかしい。2.しまりがない。とりとめがなく、つまらない。たわいもない。 類:●体(たい)がないくだらない 例:「埒もないお世辞は無用に」 
★この「らち」は「次(らっし)」の変化した語とする説もある<国語大辞典(小)>
・埒を明ける
(らちをあける)[=付ける] 1.ものごとを巧く説明する。弁明する。[日葡辞書] 2.ものごとに決まりを着ける。捗(はかど)るようにする。
・埒を越える
(らちをこえる)[=破る] 法や掟(おきて)を破る。道理に反する。

−−−−−−−らつ(#ratu)−−−−−−−
・落花枝に帰らず、破鏡再び照らさず
(らっかえだにかえらず、はきょうふたたびてらさず) 散り落ちた花は二度と枝に戻ることがなく、壊れた鏡は元のように照らすことがないの意。一度失われたり破れたりしたものは再び元に復することはない。転じて、一度過ぎ去った時間は再び帰らない。また、死んだ者は再びこの世に生き返らない。 類:●覆水盆に返らず破鏡再び照らさず 出典:「伝燈録−17」「破鏡不重照、落花難上枝
・落花情あれども流水意なし
(らっかじょうあれどもりゅうすいいなし)[=心あれども〜][=情なし] 散る花は流れに従う気持ちがあるが、川の水は知らない顔で流れて行くということ。一方には情があるが、相手に通じないことの喩え。 出典:白居易の詩「落花不語空辞樹、流水無心自入池」
・落花微塵
(らっかみじん) 《四熟》 散り落ちる花や、細かい塵(ちり)のように、微細でいかにも軽そうなこと。また、細かく散り散りになること。
・落花流水(らっかりゅうすい) 《四熟》 1.散り落ちる花と流れる水。2.落花は流水に従って流れたいと思い、流水は落花を浮かべて流れたいと思うという意味。男に女を慕う心があれば、女も思う情を生じて受け入れること。男女が互いに思い合う情があること。お互いに慕い合うこと。
・落花狼藉
(らっかろうぜき) 《四熟》 花が散り乱れること。また、花を散らし乱すこと。2.転じて、物が散り乱れる様子や散り乱すことの喩え。また、女性を花に喩えて、婦女子に乱暴を働くことにも言う。
・辣韮食って口拭う
(らっきょうくってくちぬぐう) 1.辣韮は一種の臭気があるから、いくら知らんを顔しても、食べたらすぐ分かってしまう。2.転じて、善からぬことをして分かるまいと考えるのは浅はかな考えで、やがて発覚してしまうものである。
・海獺の皮
(らっこのかわ) ラッコの毛皮は、撫で付けるとどの方向へも靡(なび)くところから、上下誰に対しても従順な人のこと。他人の言い成りになる人のこと。
・喇叭を吹く(らっぱをふく) 自分の力量以上に大きなことを言ったり、ものごとを誇張して言ったりすること。 類:●大言壮語する法螺を吹く
・喇叭飲み(らっぱのみ) 直接瓶(びん)に口を付けて、喇叭を吹くような恰好で中の液体を飲むこと。
・喇叭吹き
(らっぱふき) 1.喇叭を吹く人。喇叭を吹く役目の人。喇叭手。2.法螺(ほら)を吹く人。大言を吐く人。虚言を言う人。 類:●法螺吹き

−−−−−−−らり(#rari)−−−−−−−
・乱離粉灰
(らりこっぱい)・羅利骨灰 《四熟》 散り散りに離れ散ること。散々な有様になること。目茶目茶になること。 類:●羅利●乱離●散々 用例:浄・夏祭浪花鑑−五「こなたにかかって大勢がらりこっぱい」 ★「乱離粉灰」の語源は未詳。 ★昭和の俗語「らりる」の語源かという。「乱離(らり)」が、動詞化したものか。

−−−−−−−らん(#ran)−−−−−−−
・爛柯
(らんか) 斧(おの)の柯(え)が爛(くさ)るという意味。 1.囲碁の別称。また、囲碁に耽(ふけ)って、時の経(た)つのを忘れること。 類:●碁打ちに時なし 2.転じて、時を忘れて遊びに夢中になること。 故事:述異記−上」、「水経注−漸水」 晋の時代、王質(おうしつ)という樵(きこり)が、石の室(むろ)の中で碁を打つ童子たちを見て時を忘れ、気が付いてみると、傍(そば)に置いた斧の柄は朽ちており、家へ帰ってみれば当時の人は誰もいなかった。 ★画題としても使われる。
・乱杭歯(らんぐいば) 乱杭のように、酷く不揃いに生えた歯。歯並びが特に悪い歯。
・蘭摧玉折
(らんさいぎょくせつ) 《四熟》 蘭の花が散り玉が砕け割れる。 1.なんの取り柄もなく漠然と生きるよりは、潔く死ぬ方が本望であるということ。 出典:「世説新語−言語・中」「寧為蘭摧玉折、不作蕭敷艾栄」 2.賢人や佳人などが、その魅力を十分に発揮しないまま世を去ること。 ★「摧」は砕ける。
・濫觴
(らんしょう) 細い流れ。流れの源。転じて、ものごとの始まり。起源。 
故事:荀子−子道」および「孔子家語−三恕」に見える、孔子が子路を戒めたことば「昔者江出於岷山、其始出也、其源可以濫觴」 揚子江も源に遡(さかのぼ)れば、觴(さかずき)を濫(うか)べるほどの細流であった。 ★一説に、「濫」はあふれる意で、さかずきをあふれさせるほどのわずかな水流をいうとも<国語大辞典(小)>
・乱臣賊子
(らんしんぞくし) 《四熟》 国を乱す臣下と親を害する子。
・乱痴気騒ぎ
(らんちきさわぎ) 1.酷く喧(やかま)しい騒ぎ。無茶苦茶な大騒ぎ。2.男女間の嫉妬から起こる激しい喧嘩。 類:●痴話喧嘩
・藍田玉を生ず
(らんでんたまをしょうず)[=出だす] 藍田(陝西省藍田県)の地から美しい玉が産出されたということで、名門の家に賢い子が生まれたことを讃える言葉。父と子を共に褒(ほ)めて言う。 故事:三国志−呉志・諸葛恪伝」「孫権見而奇之、謂瑾曰、藍田生玉、真不虚也」 孫権が、諸葛恪(かく)の優れた才能を褒めて、その父の瑾(きん・子瑜=の兄)に言った言葉。
・乱飛乱外
(らんぴらんがい・らんびらんがい・らっぴらんがい) 《四熟》 入り乱れて飛び交うこと。あちこちと動き回ること。転じて、乱雑な。また、無法な。
・鸞鳳は卵の内より其の声衆鳥に勝る(らんぽうはたまごのうちよりそのこえしゅうちょうにまさる) 優れた者は幼いうちから他より優れている。 類:●栴檀は二葉より芳し
・乱暴狼藉
(らんぼうろうぜき) 《四熟》 1.荒々しい振る舞いをしたり、道理に外れた無法な行ないをすること。 類:●落花狼藉 ★「狼藉」は、狼が草を藉(し)いて寝た跡の草の乱れた状態。 2.粗野な言動を取ること。
・卵翼之恩(らんよくのおん) 《四熟》 親鳥が卵を孵(かえ)し、雛を羽で覆(おお)って育てる恩。父母が大事に子供を育てる恩のこと。幼少の頃から育て上げてくれた親の恩。 出典:蘇轍「乞誅鼠呂恵卿状」「安石之於恵卿、有卵翼之恩、有父子之義」

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