【もう】~【もと】

−−−−−−−もう(#mou)−−−−−−−
・猛火燎原より甚だし(もうかりょうげんよりはなはだし) 1.火事の火の勢いは、野火よりも甚だしい。 用例:太平記−十七「遂乃去春之初、猛火甚於燎原、九重之城闕成灰燼」 2.悪い行ないが世間に広がって行く様子は、野火が勢いよく広がってゆくよりも更に甚だしい。悪が、たちまち蔓延(まんえん)することの喩え。 類:●燎原の勢い 出典:「春秋左氏伝−荘公十四年」「書曰、悪之易也、如」 ★「燎原」は、野を焼く火のこと。悪事や過乱が蔓延(はびこ)る喩えとしても用いられる。参照:燎原の火
・盲亀の浮木
(もうきのふぼく) 極めて得難い機会に巡り合うことの喩え。
 類:●浮木(うきき)に会える亀一眼の亀浮木に値う 用例:日葡辞書「ソナタノゴカウリョク(合力)ヲマウキノフボクトタノム」 出典:「涅槃経」など 説話:「阿含経」 百年に一度だけ浮上して頭を出すという盲目の亀が、海上に漂流している孔(あな)のある浮木に会い、その孔に偶然頭を入れてしまうという、非常に稀(まれ)なこと。
・儲け物
(もうけもの) 1.予(あらかじ)め準備してある物。設備してある物。また、手持ちの品物。2.思い掛けなく手に入った物。 類:●拾い物●目っけ物 例:「行かないで済めば儲け物だ」
・妄言多謝
(もうげんたしゃ) 《四熟》 自分が言った出任せや暴言を深く詫びるという意味で、意見や考えをきっぱり述べた後などに言ったり、書き添えたりする言葉。 類:●妄言多罪
・申し合わせ
(もうしあわせ) 1.相談をして、取り決めること。一定の了解のもとに、口約束をすること。また、その約束。 類:●言い合わせ 例:「予てより申し合わせの通り」 2.能楽や狂言の出演者が、予(あらかじ)め打ち合わせをすること。また、その内容。 
★楽屋で行う簡単な打ち合わせのほかに、当日と同様に行う舞台稽古をも含めていうことが多い<国語大辞典(小)>
・申し入れる
(もうしいれる) 1.こちらの意見や希望を相手に伝える。申し上げる。告げ知らせる。 用例:今鏡−三「檜扇の片端引き折りて書きつけて、御たちの中に申いれさせける」 例:「和解を申し入れる」 2.招待する。お招きする。 用例:虎明本狂言・
煎物「ぎおんの絵のとうにあたってござる程に、おのおの達を申いれうと存る」 3.年始の祝詞を言う。 用例:談・風流志道軒伝−二「大黒屋槌右ヱ門、恵美寿屋鯛兵衛、年始の御祝儀申入ます」 用例の出典:煎じ物(せんじもの) 狂言。各流。祇園会(ぎおんえ)の頭人仲間が囃子物の練習をしていると、煎じ物売りが来て練習の邪魔をする。売るなと言うと、囃子物に合わせながら売り、更に頭人を真似て舞い、炮烙(ほうろく)を割る。
・申し受ける(もうしうける) 1.お願いを申し上げる。お願いをして、その許可を得る。 用例:今昔−四・四一「我閻魔王の所に詣で、此の子を見む事を申し請む」 2.お願いして貰い受ける。願い出て請(こ)い受ける。 類:●頂戴する  用例:
百座法談−二月二九日「こがねの銭はべらばまうしうけむ、といひけるに」 例:「送料は実費を申し受けます」 3.招待する。招く。 用例:浮・好色二代男−六「大坂のあけの日すぐに、揚屋にて申請(ウク)る」
・申し子
(もうしご) 1.「申す」は、お願い申し上げるの意味。神仏に祈願して授(さず)かった子。 例:「天神様の申し子」 2.霊力を備えた者から生まれた子。また、神仏から授かったかと思われるような際立った特徴を持った子。 例:「天狗の申し子」 3.特殊な背景を素地にして生まれ出た物。その特性を著しく反映して生まれたもの。 例:「情報化時代の申し子」
・申し開き
(もうしひらき) 自分がした行為について、その正当さや、そうせざるを得なかった理由などについて述べること。弁解。言い訳。 例:「申し開きの余地がない」
・申し開く
(もうしひらく) 1.「言い開く」の謙譲語。考えを詳しく申し上げる。事情や理由を申し上げてはっきりさせる。 用例:平家−一一「此条、故亡父尊霊再誕し給はずは、誰の人か愚意の悲歎を申ひらかん」 2.弁解する。言い訳する。 用例:浄・仮名手本忠臣蔵−六「此度殿の御大事にはづれたるは、拙者が重々の誤り、申ひらかん詞もなし」
・申し分が立つ
(もうしぶんがたつ) 申し開きができる。言い訳が立つ。
・申し分がない(もうしぶんがない) 不満に思うところがない。欠点がなく、文句の付けようがない。 例:「我が家の嫁として申し分が無い」
・モーションを掛ける(もーしょんをかける) 働き掛ける。特に、異性の気を引くような行動をする。 類:●言い寄る粉を掛ける
・申し訳がない
(もうしわけがない)・申し訳ない 言い訳ができない。弁解したぐらいでは済まない。相手に済まなく思い、詫(わ)びるときにいう語。 類:●申し訳ない 例:「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」 参考:御免なさい済みません ★公の立場で使われる。私的な関係の相手には、形式的で空々しく聞こえ兼ねないので、使わない方が良い。
・申し渡す
(もうしわたす) 1.はっきりと告げる。上の者が下の者に、命令や決定を伝える。 類:●言い聞かせる●言い渡す 用例:浮・好色一代男−四「関守稠(きび)しく申渡(ワタ)す」 2.江戸時代の白州などで判決や処分を宣告する。 例:「遠島(えんとう)を申し渡す」 3.人から人へと言い伝える。
・毛氈を被る
(もうせんをかぶる) 1.失敗する。不首尾に終わる。特に、放蕩して主人や親の家を追い出される。勘当をされる。 用例:浄・神霊矢口渡「親玉へ知れると毛氈をかぶる出入だ」 
★歌舞伎で、死人になった役者を毛氈で隠して舞台を去らせるところから<国語大辞典(小)> 2.女郎買いをして金を使う。また、金がなくなる。 用例:黄・稗史億説年代記「それ毛氈かぶるが放蕩息子(どらむすこ)」 ★遊女が見世に出ているときは毛氈を敷いていたところから<国語大辞典(小)> 用例の出典:稗史億説年代記(くさぞうしこじつけねんだいき) 黄表紙本。式亭三馬。3巻。享和2年(1802)。草双紙の変遷。・・・詳細調査中。
・毛頭〜ない
(もうとう〜ない) 毛の先ほど。少しも。些(いささ)かも。 用例:
地蔵菩薩霊験記−五・一四「毛頭(モウタウ)虚言なんど申す法師ではなきぞ」 例:「毛頭意に介さない」 用例の出典:地蔵菩薩霊験記(じぞうぼさつれいげんき) 霊験記。平安時代後期。仏教に関わる説話集。続群書類従に所収。
孟母三遷の教え
(もうぼさんせんのおしえ)
・孟母断機の教え
(もうぼだんきのおしえ) 学問を途中で放棄するなという教え。 
故事:孟子が学業半ばにして帰省した際、孟子の母が織っていた織布を断ち切って、学問も中途で止めるとこのようなものであると戒(いまし)めた。 出典:「古列女伝−母儀・鄒孟軻母」
・盲目的
(もうもくてき) 感情や衝動に引きずられて、理性や分別を欠く状態。 例:「盲目的に愛する」
・網目不疎
(もうもくふそ) 《四熟》 法令が厳密であって抜けたところがないこと。犯罪者を逃(のが)さないこと。 類:●天網恢恢天罰覿面 ★「網目(もうもく)疎(そ)ならず」と読み下す。
・耄碌
(もうろく) 年を取って心身の働きが鈍くなること。老い耄(ぼ)れること。 類:●老耄 例:「おやじもだいぶ耄碌してきた」
・蒙を啓く
(もうをひらく) 道理や知識に暗い人を教え導く。 類:●啓蒙(けいもう)する 
★「啓蒙(けいもう)」を読み下したもの<国語大辞典(小)>

−−−−−−−もく(#moku)−−−−−−−
・木梗の患い
(もくこうのうれい・もっこうの〜) 旅先で命を落とし、故郷へ無事に戻れないのではないかという心配。 出典:「説苑−正諫」「今秦、四塞之国也、有虎狼之心、恐其有木梗之患」 ★「木梗」は、木切れで作られた人形。
・目算もなく
(もくさんもなく) 凡(おおよ)その計算も目標もなく安易に。考えなしに。
・黙識心痛(もくししんつう) 《四熟》 物の道理が無言のうちに心から心に通じる。物の道理が以心伝心で伝わってきて、悟ること。 出典:
宋子語録(そうしごろく) ・・・調査中。 宋名臣言行録のことか?
・目睫の間(もくしょうのかん) 極めて近いところ。また、時間が迫っていること。 類:●目前●目と鼻の先●目と鼻の間 例:「危機が目睫の間に迫っている」
・目食耳視
(もくしょくじし) 《四熟》 味よりも外見が豪華な食べ物を食べ、世間の評判を気にして服を選ぶ。衣食の本来の意義を忘れて、贅沢な方向に流れていくこと。 出典:司馬光「迂書−官失」「世之人、不以耳視目食者鮮矣」 ★「目もて食らい耳もて視る」と訓読する。
・藻屑となる
(もくずとなる) 海の藻の屑になるという意味で、海で死ぬことの喩え。 類:●藻屑と消える●底の水屑となる 例:「海の藻屑となる」
・木像物言わず(もくぞうものいわず) 1.どんなに有難い木像でも、物を言ってくれる訳ではない。2.無口な人を嘲(あざけ)る言葉。
・目的意識
(もくてきいしき) 時分の行為の目的についての、はっきりした自覚。
・目的の国
(もくてきのくに) ドイツ語Reich der Zweckeの訳語。カント倫理学の言葉。各人が互いの人格に対する尊敬の念を以って結ばれる理想の世界。自然法則に束縛された自然の国に対し、目的自体としての人格を持つ理性的存在者同士が自律的共同体的な道徳法則を通して結合することで、自由の支配する道徳的世界。 
反:■自然の国 人物:カント(イマヌエル) ドイツの哲学者。ケーニヒスベルク大学の教授。1724〜1804。真の道徳的価値は義務のために義務を果たす意志にあるとした。主著「純粋理性批判」「実践理性批判」「判断力批判」「永久平和論」「道徳形而上学」「人間学」。
・土竜塚から山を作るな
(もぐらづかからやまをつくるな) ものごとを大袈裟に言うことの喩え。ものごとを無闇に荒立てることの喩え。 類:●針小棒大 ★英語の諺Don’t make a mountain out of a molehill[=ant hill].から。
・潜り
(もぐり・むぐり) 1.水に潜(もぐ)ること。また、その人。2.法を犯し、こっそりと行なうこと。無許可、無免許で行なうこと。無資格で行なうこと。また、その人。 用例:人情・
春色雪の梅−初「もぐりなら、構はねえ、頭の所へ引ずって行くが可いわな」 例:「潜りの医者」 3.ある集団の一員とは認めがたいこと。また、その人。 類:●余所(よそ)者 例:「この界隈で彼を知らないのは潜りだ」 用例の出典:春色雪の梅(しゅんしょくゆきのうめ) 人情本。合巻。柳亭種彦。文政11年(1826)。・・・詳細調査中。

−−−−−−−もし(#mosi)−−−−−−−
・文字寸半
(もじきなか) 《四熟》 「文字」は一文銭の表面に書かれた字。「寸半」は、一文銭の直径一寸の半分のこと。 1.ごく僅(わず)かなお金。 類:●鐚(びた)一文●一文半銭 2.転じて、ごく僅かな物。 類:●文字片半(ひらなか) 用例:浄・
伊賀越道中双六−六「人様の物一文半銭(モヂキナカ)、盗もと思ふ気は出さぬわいやい」 用例に出典:伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく) 浄瑠璃。時代物。10段。近松半二、近松加作の合作。天明3年(1783)大坂竹本座初演。荒木又右エ門が仇討ちの助太刀をする、「伊賀越乗掛合羽」の書き替えで、伊賀越物の中で最も有名。 参考:伊賀越乗掛合羽(いがごえのりかけがっぱ) 歌舞伎。伊賀越の仇討ちに取材した時代物。15幕。奈河亀輔作。安永5年(1776)大坂、中の芝居嵐七三郎座初演。通 称「伊賀越」「乗合合羽」。
・文字通り
(もじどおり) 1.文字に書かれた状態そのまま。記された、その通りに。 例:「文字通りに解釈しておけば良い」 2.誇張や比喩でなく。その言葉の本来の意味の通り。 類:●正(まさ)に 例:「彼とは、文字通り『同じ釜の飯』を食った」
・若しものこと
(もしものこと) 万一の事態。万が一の出来事。多く、好ましくない事態を指して言い、しばしば人の死についていう。 類:●もしのこと●自然のこと 例:「もしものことがあった時の用意」
・捩る
(もじる) 1.捻(ねじ)る。捩(よじ)る。捻(ひね)る。 用例:浄・仮名手本忠臣蔵−九「鑓のしほ首引掴、もぢって払ば身を背け」 2.言葉を、他の語の音や口調に似せて言う。また、著名な詩文・歌謡などの調子や文句を真似(まね)て言い換える。 例:「『くたばって死ね』を捩って筆名を付けた」 3.食う、または飲むの意味の、人形浄瑠璃社会の語。 用例:浄・
和田合戦女舞鶴−二「『此あたりに、よい酒屋はござらぬか』『ヒヤこりゃあり様はもぢりかけるのか』」 用例の出典:和田合戦女舞鶴(わだかっせんおんなまいづる) 浄瑠璃。並木宗輔作。元文元年(1736)。豊竹座初演。建暦三年の和田合戦で、和田方の朝比奈義秀が大倉御所の門を突破した故事を脚色し、女武者・板額御前の行為に置きかえた人形浄瑠璃桔梗ヶ谷〜ききょうがやつ〜

−−−−−−−もす(#mosu)−−−−−−−
・百舌の草潜
(もずのくさぐき・かやぐき) 1.百舌(もず)が春になると山に移り人里近く姿を見せなくなることを、昔の人が、草の中に潜(もぐ)り隠れたと思って言った言葉。 用例:
古今六帖−6「春されば百舌の草潜見えずとも」  2.百舌の速贄のこと。 用例の出典:古今和歌六帖(こきんわかろくじょう) 平安中期の私撰集。6巻。編者、成立年代とも未詳。「後撰集」と「拾遺集」の間に成立か。「万葉集」「古今集」「後撰集」など、古来の歌4,500首ばかりを、歳時、天象、地儀、人事、動植物など25項517題に分類したもの。作歌の手引、古歌考証の資料として利用された。『古今六帖』とも。
・百舌の速贄
(もずのはやにえ)[=生贄(いけにえ)・贄(にえ) 百舌(もず)が虫や蛙などを捕らえて、これを餌(えさ)にするために、木の枝などに刺しておくこと。また、その虫など。 類:●
百舌の草潜●百舌磔(もずはりつけ) ★他の鳥の餌になるのを、供物と見立てた語<大辞林(三)>
・百舌勘定
(もずかんじょう) 《四熟》 勘定のとき、人にばかり金を出させて自分は少しも出さないこと。 
昔話:鳩と鴫(しぎ)と百舌が集まって15文の買い食いをしたが、鳩に8文、鴫に7文出させて、百舌は1文も出さなかった。

−−−−−−−もち(#moti)−−−−−−−
・持ち上がる
(もちあがる) 1.高く上がる。力が加わって上へ上がる。 例:「地面が持ち上がる」 2.事件が起きる。突然に事が起こる。 類:●降って湧く 例:「困ったことが持ち上がった」 3.何かを持って上の段階に順次に上がる。持ってそのまま進み上がる。特に、学級担任の教師が生徒の進級と共に、その受け持ちを続ける。
・持ち上げる
(もちあげる) 1.物を、上へ上げる。 用例:今昔−二〇・六「頭を持上(もちあげ)て起き上りて」 例:「荷物を持ち上げる」 2.身分を高める。財産を増やす。 用例:
多胡辰敬家訓「一年一年にくらいを持ちあげ」 3.お世辞を言って、誉(ほ)める。 類:●煽(おだ)て上げる 用例:評判・吉原人たばね「もちあけたとはそばより取なしのこと」 例:「先生、先生と持ち上げられる」 用例の出典①:多胡辰敬家訓(たこたっけいかくん) 家訓。室町時代。天文13年(1544)ころ成立。若い上級武士にあてて教養科目を列挙したもの。 用例の出典②:吉原人たばね(よしわらひとたばね) 仮名草紙。遊女評判記集。・・・詳細調査中。
・持ち掛ける
(もちかける) 1.異性に誘いを掛ける。 用例:滑・八笑人−初「女の方から持懸(モチカケ)る様に成ると思ふ」 2.話などを持ち出す。話をして、働き掛ける。 例:「相談を持ち掛ける」
・持ち切り
(もちきり) 1.初めから終わりまで持ち続けること。2.同じもの、また同じ状態が継続すること。一つのことに専従すること。 例:「あの家への出入りは、伊勢屋の持ち切りになっている」 3.ある間じゅう同じ話や噂などをすること。専(もっぱ)ら話題の的となること。 例:「学校中、彼の話題で持ち切りだ」
・持ち腐れ
(もちぐされ) 所有していながら利用しないこと。また、活用できなくなってしまうこと。役立てないでおくこと。 例:「宝の持ち腐れ
・持ち崩す
(もちくずす) 身持ちを悪くする。品行を乱す。また、財産を使い果たす。 用例:古文真宝後集抄−一「六国も始皇には不亡吾ともちくつした」 例:「酒で身を持ち崩した」
・持ち駒
(もちごま) 1.将棋で、相手から取って手元にある駒。2.手元にあって、必要に応じていつでも使える人や物。 類:●
持ち札
・持ち出す
(もちだす) 1.手に持って外へ出す。中にあった物を外へ出す。隠れていたものを人目に付くところへ出す。また、盗み出す。 用例:咄・鹿の子餅−盗人「壱人蔵の内へ入れば、外の一人は持出(モチダ)す道具うけとる手筈で」 2.持ち始める。 例:「夫に疑いを持ち出す」 3.言い出す。話題や論題にする。提案する。 用例:滑・八笑人−二「『此又面で、なり計りりっぱではうつらねへはサ』『チョッ又つらを持出(モチダ)しゃアがる』」 例:「法廷へ持ち出す」 4.不足した費用などを自分が負担する。また、予算以上になった費用を自分が負担する。 類:●自腹を切る
・餅搗き相場
(もちつきそうば) 1.餅を搗くときの杵の動きに似た相場という意味で、取引市場で激しく相場が上下する歳末特有の値動きを言う。2.年末は商(あきな)いも活気付くことから、正月の餅代を稼(かせ)ぐことができる相場。
・持ちつ持たれつ(もちつもたれつ) 互いに助けたり助けられたりして、双方が存続する。 類:●唇亡びて歯寒し唇歯輔車
・持ち直す
(もちなおす) 1.それまで持っていた物を別の手に持ち替える。また、持ち方を変える。 用例:咄・醒睡笑−六「かの児、箸をもちなほし」 2.再び元のようになる。良い状態に向かう。病状などが、回復する。 例:「景気が持ち直す」 用例:談・古朽木−二「御贔屓御評判の御取持にて、私身代もち直し」
・餅に搗く
(もちにつく) 扱いに難渋する。処置に困る。 類:●
持て余す ★「黐(もち=鳥糯などの粘着剤)に着く」に掛けた言葉。
・餅の形
(もちのかた) 1.餅屋がその看板にした餅の形をしたもの。2.転じて、見せ掛けだけで実質が伴わないもの。その地位にありながら実権が伴っていない者。3.似たり寄ったりであること。特色がないこと。
・餠は猿に焼かせ柿は大名に焼かせ
(もちはさるにやすせかきはだいみょう) 適材や人選が大事だ、ということ。餠はせっかちな人が焼くほうが焦がさないし、渋柿を爐の灰で焼いて渋を出すのには気の長い人の方が良い。 類:●瓜の皮は大名に剥かせよ柿の皮は乞食に剥かせよ魚は大名(上臈)に焼かせよ餅は乞食(下衆)に焼かせよ梨の皮は乞食に剥かせ瓜の皮は大名に剥かせよ●餠は乞食に焼かせろ魚は殿様に焼かせろ
餅は餅屋
(もちはもちや)
・持ち札
(もちふだ) 1.トランプなど、ゲーム用のカードの手持ちの札。2.転じて、自分の手元、または支配下にあって、必要に応じて自由に使える人材や機関など。 類:●
持ち駒
・持ち前(もちまえ) 1.その人や物に、元から備わっている性質。固有のもの。本来のもの。 類:●本性●天性 例:「持ち前の行動力」 2.全体の中で各自が担当している部分。 類:●持ち分
・持ちも提げもならない
(もちもさげもならない) なんとも処理する方法がない。なすべき途がない。 類:●にっちもさっちもいかない
・餅を搗く
(もちをつく) 1.餅搗きをする。2.蚊が多数群れて上下し合う。3.男女が性交する。

−−−−−−−もつ(#motu)−−−−−−−
・木鶏に似たり
(もっけいににたり・ぼっけい) 見たところ、まるで木で作った鶏のようだ。 1.敵意を持たない人に対しては、これに反抗する者はない。無為自然の心の状態で他に対することが、万事を処理し、困難に打ち勝つ最上の方法であるということ。 出典:「荘子−外篇・達生」「鷄雖有鳴者、已無變矣、望之似木鷄矣」 2.真に強い者は、敵に対して少しも動じないものだということ。 蛇足:双葉山の連勝記録が69で止まった日、陽明学者の安岡正篤に宛てた電報には「イマダモッケイタリエズ(未だ木鶏たり得ず)」とあった。
・勿怪の幸い
(もっけのさいわい) 想像もしなかったことが幸福を齎(もたら)すこと。思い掛けなく得た幸運。 類:●棚から牡丹餅不幸中の幸い ★「勿怪」は、思い掛けないこと、意外なこと。元は、不吉なことや怪(け)し からぬことを言ったもので、異変や災害を意味した。
沐猴にして冠す
(もっこうしてかんす)
・物相飯を食う
(もっそうめしをくう) 牢屋の飯を食うこと。罪を犯して囚人になること。 類:●臭い飯を食う ★「物相」は、飯を型抜きするときに使う器。近世の牢獄では、抜かず、器のまま出して食べさせた。
・勿体ない
(もったいない) 重々しさがない様子である。 1.本来備わる品位を無視するということで、あるべき様子から外れていて不都合である。不届きである。 用例:宇治拾遺−一・一五「あはれ、もったいなき主哉」 2.自分にとって、受けるべき処遇ではない、過ぎた処遇であると、遜(へりくだ)ること。身に過ぎて忝(かたじけな)い。 類:●畏(おそ)れ多い 用例:虎寛本狂言・
悪坊「アア勿躰ない。尊い御出家を何と跡にさるる物じゃ」 3.そのものの価値を無視していて惜しいというところから、使えるものが捨てられたり、無くても済むものを使ったり、働ける人がその能力を発揮しないでいたりして、惜しい感じである。 用例:浮・日本永代蔵−三「茶沸す事も勿体(モッタイ)なし」 用例の出典:悪坊(あくぼう) 狂言。各流。乱暴者の悪坊は眠っている間に無理に道づれにした僧に持ち物を取り替えられ、目覚めてから、前非を悔いて発心する。「悪太郎」の原形らしい。
・勿体振る
(もったいぶる) 1.いかにも物々しく振る舞う様子。重々しげに扱うこと。 用例:
詞葉新雅「モッタイブッテアルクねる。静に歩む也」 2.尊大ぶる。気取った様子をする。 例:「勿体振った話し方をする」 ★「ぶる」は接尾語<国語大辞典(小)> 用例の出典:詞葉新雅(しようしんが) 辞書。初編 1冊。富士谷御杖著。寛政4年(1792)刊。・・・調査中。
・勿体を付ける
(もったいをつける) 1.さほど重大なことでないのに、さも大事(おおごと)であるかのように振舞う。物々しげな様子をする。 類:●勿体振る 2.殊更(ことさら)に威厳を付ける。偉そうに振舞う。気取った風を見せる。 類:●勿体振る堂が歪んで経が読まれぬ 
★「勿体」は、本来は「物体」で、物の形の意<大辞林(三省堂)> ★元来の「物のかたち」の意から、ものものしい態度、いかにも重々しいようす、また、その物に備わっている品位・品格などの意に用いる<国語大辞典(小)>
・持ったが病
(もったがやまい) 1.なまじ金銭などを中途半端に持ったがために、それに関わる面倒なことに悩まされること。 類:●璧を懐いて罪あり 2.半端な金は、遊びに使ってしまいがちなので、身を滅ぼす原因になるということ。
・持って生まれた
(もってうまれた) 生まれつき身に備(そな)わっている。生得の。 例:「持って生まれた知性」
・持って来い
(もってこい) 巧(うま)く適合している様子。好都合。 類:●誂(あつら)え向き 例:「彼には持って来いの仕事」 用例:洒・
卯地臭意「どうらくものの女房にゃアもってこいといふ女だ」 用例の出典:卯地臭意(うじしゅうい) 洒落本。鐘木庵主人。1783。・・・調査中。
・以ての外
(もってのほか) 1.事柄が、常識や予想を越えていて程度が甚(はなは)だしいこと。大変なこと。多く、困った状態、どうにもならない状態に用いる。 類:●殊の外 例:「以ての外の慌てよう」 2.事柄が普通でなく、咎(とが)め立てされるような場合に用いる。 類:●とんでもない言語道断けしからん 例:「無断欠勤とは以ての外だ」
・持って回る
(もってまわる) 1.持ってあちらこちらへ行く。持ち回る。2.妙に遠回しな言い方や遣り方をする。 用例:評判・色道大鏡−九「もってまはりたる文章」
・以って瞑すべし
(もってめいすべし) それによって安らかに死ねるだろうという意味で、それくらいできれば死んでも良いという気持ち。宿願を果たしたので、もう安心して死ねる。 例:「偉業を成し遂げたのだから、以って瞑すべしだ」
・専らにする
(もっぱらにする) 1.そのことに専心する。只管(ひたすら)〜をする。2.縦(ほしいまま)にする。 例:「平家が権勢を専らにする」

−−−−−−−もて(#mote)−−−−−−−
・持て余す(もてあます) 取扱いに悩む。処置に困る。。 類:●手に負えない手を焼く●手に余す●持ち余す 例:「暇を持て余す」
・持て成しより執り成し
(もてなしよりとりなし) 客に対しては、饗応するより、上手に取り成すことの方が大切である。
・持て成す(もてなす) 1.意図的に、ある態度を取ってみせる。我が身を処する。 用例:蜻蛉−下「なかごろなきさまにもてなすも」 2.いかにもそうであるかのように見せ掛ける。外見や態度を取り繕(つくろ)う。 用例:金刀比羅本保元−中「爪木の舟のごとくにもてなし」 3.巧く処置をする。対応して取り捌(さば)く。 用例:源氏−桐壺「何事の儀式をも、もてなし給ひけれど」 4.人を取り扱う。待遇する。 類:●あしらう 用例:落窪−三「すげなくのみもてなしければ」 例:「丁重に取り成すこと」 5.ご馳走を出すなど、心を込めて接待する。歓待する。饗応する。 類:●取り持つ 用例:平家−11「御引出物給はって、もてなされ給ひしありさま」 6.あれこれと取り沙汰する。 類:●
持て囃す 用例:徒然草−119「鰹と云ふ魚は<略>この比もてなすものなり」
・持て囃す
(もてはやす) 1.取り立てて誉める。 類:●誉めそやす●誉めたてる 用例:後撰−400「花もてはやす君も来なくに」 2.照り映えるようにする。美しく見映えするようにする。引き立たせる。 類:●引き立てる 用例:栄花−初花「後見もてはやす人なからんは」 3.大切に扱う。厚遇する。 類:●歓待する●饗応する●
持て成す 用例:落窪−二「御世おぼえのたぐひなき君なれば、もてはやさんとて」

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・元が切れる(もとがきれる) 原価(元値)よりも安い価格になる。
・もどかしい 1.
非難すべきである。気に食わない。 用例:−二三七「わびしげなる車に装束わるくて物見る人、いともどかし」 2.思うようにならないで、心が苛(いら)立つ。 類:●歯痒い●じれったい●心許ない 用例:拾遺−七五九「我ながらさももどかしき心哉」 例:「封を切るのももどかしい」 
★動詞「もどく(擬)」の形容詞化<国語大辞典(小)>
本木に勝る末木なし
(もときにまさるうらきなし)
・髻を切る
(もとどりをきる) 1.髪を髻の部分から切り落とす。2.出家する。 ★「髻」は、髪を集めて束ねたところ。
元の鞘に納まる
(もとのさやにおさまる)
元の木阿弥
(もとのもくあみ)
・元の木椀
(もとのもくわん)[=木庵(もくあん)] 朱塗の朱が剥げて木地が現われたという意味で、折角の苦労や努力が無駄に終わること。 類:●元の木阿弥水泡に帰す水の泡灰燼と化す
・求めよ、さらば与えられん
(もとめよ、さらばあたえられん) 1.イエス・キリストの言葉。ひたすら神に祈り、救いを求めれば、神は必ず応えてくださる。2.転じて、一般的に、迷わずに、積極的に努力すれば自ずと欲しいものが手に入るという教訓。 出典:「新約聖書−ルカ福音書11」「Ask, and it shall be given you, seek, and ye shall find; knock, and it shall be opened unto you.(求めよ、さらば与えられん、尋ねよ、さらば見出さん、叩けよ、さらば開かれん)」
・元も子も失う
(もともこもうしなう) 元金も利息も失う。転じて、何もかもなくしてしまう。
・元も子もない
(もともこもない) 元金も利息もない。転じて、全てを失ってなんにもならない。 例:「無理なダイエットをして身体を壊しては元も子もない」
・元を糺す
(もとをただす)・正す ものごとの起源や原因をはっきり見定める。 例:「元を正せば責任は自分にある」

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