【ひあ】~【ひそ】

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・干上がる(ひあがる) 1.水分がすっかりなくなってしまう。乾き切る。 例:「田圃が干上がる」 2.すっかり潮が引いてしまう。潮が引き切って陸地になる。3.中に入るものがなくなる。空っぽになる。転じて、収入がなくなって生計が立たなくなる。 用例:浄・長町女腹切−中「年よった此の親が、鼻の下がひやがる」 例:「口が干上がる」
・火遊び
(ひあそび) 1.火を弄(もてあそ)ぶこと。特に、子供が火を玩具にして遊ぶこと。 類:●火悪戯(ひいたずら) 2.危険な遊び。特に、男女の無分別な、その場限りの恋愛や情事をいう。 類:●桃色遊戯●アバンチュール ★英語の慣用句play with fireから。
・火危うし
(ひあやうし) 昔、宮廷などで、夜番の役人が巡行するときに火の元を注意するように呼んだ言葉。「火の用心」の類。 用例:源氏−夕顔「弓弦(ゆづる)いとつきづきしく打ち鳴らして、火危うしといふいふ」
・廂間の桃の木(ひあわいのもものき) ひょろひょろしていることの喩え。細長いことの喩え。 類:●日蔭の桃の木庇の間の桃の木

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・ピーカン
(ぴいかん) 快晴のことを言う俗語。 ★語源は諸説あり、快晴の空が煙草の「缶入りピース」の色に似ていたという説が有力。他に、映画業界用語で、映画撮影をするときに晴れた日にはカメラのピントがカーンと決まることからそう呼ぶようになったとする説、雲雀(ひばり)がピーピー鳴き、太陽がカンカン照るからとする説などがある。「缶ピース」が発売された昭和27年(1952)以降にできた言葉か。
・贔屓強い
(ひいきづよい) 1.贔屓する傾向が強い。自分を引き立てて力添えをして呉れる人が多いこと。2.他人を引き立てて力を入れる傾向が、何かと強いこと。 ★「ひいき」は、「ひき(贔屓)」の変化<国語大辞典(小)>
・贔屓の引倒し(ひいきのひきだおし)[=引倒れ] 贔屓し過ぎて、却(かえ)ってその人の迷惑や不利になること。 類:●贔屓倒し●勾張り強うて家倒す
・贔屓偏頗
(ひいきへんぱ・へんぱ) 《四熟》 えこひいき。 用例:史記抄−一一「天道は、さらにひいき偏頗はない」 類:●依怙(えこ)贔屓
・贔屓目(ひいきめ) できるだけ良いものに見ようとする、好意的な見方。 例:「親の贔屓目」
・日出ずる国
(ひいずるくに) 朝日が上る国の意味。日本の美称。
・秀でて実らず
(ひいでてみのらず) 植物の穂が出ても実がならないという意味で、折角学問が進んでも、その成果が実らないで、中途で終わってしまうこと。 出典:「論語−子罕」 
参考:「秀でる」の「ひ」は「穂」と同源<大辞林(三)>
・延いては(ひいては) その結果。更には。「延いて(=それから引き続いて、それが原因となってその結果)」を強めた言い方。 例:「個人の利益が、延いては社会全体の利害に繋がる」
・ぴいぴい 1.笛の音や、鳥や虫の鳴き声など、連続して高く鳴り響く音を表わす擬音語。 例:「赤ん坊がぴいぴい泣いて煩い」 2.貧困である様子や、金がない様子を表わす言葉。 例:「リストラされて、今はぴいぴいしてます」

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・冷えが入る
(ひえがはいる) 身体に寒さが入り込むという意味で、寒さのために身体が冷えて病気になるとこと。
・冷えたる曲(ひえたるきょく) 能で、無心・無文(むもん)の中に、人の心を動かす奥深い滋味があるもの。淡々と演じられ、閑寂の中に人に感銘を与える無限の情趣をたたえた、能の極致に達した曲。 用例:花鏡「さびさびとしたる中に、何とやらん感心のある所あり。是を冷えたる曲とも申す也」

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・日が浅い
(ひがあさい) 日数があまり経(た)っていない。 例:「会に参加してまだ日が浅い」
・被害妄想
(ひがいもうそう) 《四熟・精神医学》 1.自分が他人から危害を加えられていると思い込むこと。統合失調症に多く見られる症状の一つ。 ★「ひがいもうぞう」とも<国語大辞典(小)> 2.日常生活でありがちな軽度の勘違いや猜疑心などについても言う。 例:「皆から嫌われているなど、被害妄想も甚だしい」
・光一
(ぴかいち) 俗語。 1.花札の手役の一つ。七枚の手札の中で一枚だけが光り物(=二十点札)で、残りの六枚が全て滓札(かすふだ)か柳(雨)の札である役。2.転じて、多数の同類の中で、最も優れている人や物。 例:「彼の身体能力はぴかいちだ」 ★多く「ピカ一」と書く<学研国語大辞典>
・火が消えたよう
(ひがきえたよう) →火の消えたよう
・非学者論に負けず
(ひがくしゃろんにまけず)[=論議に〜] 無学な者は、筋道が通った論議にあっても、屁理屈を押し通し、一向に屈することがない。 類:●蛇に怖じず
・日陰の梨
(ひかげのなし) 形は好いが、味が悪いもののこと。外見は立派に整っていても、内容が悪いものの喩え。
・日陰の豆も時が来れば爆ぜる
(ひかげのまめもときがくればはぜる) 日当たりの悪い場所で育った豆でも、時期が来れば自然とさやから弾(はじ)け出る。人間も同様で、仮令(たとえ)成長が遅れていても、年頃になれば一人前になるから心配は要らないということ。多く、性の目覚めを指して用いられる。 類:●陰裏の豆もはじけ時
・日蔭の桃の木
(ひかげのもものき)[=日陰〜] ひょろひょろしていることの喩え。 類:●廂間の桃の木●流しの下の小豆の木
・日陰者
(ひかげもの) 1.世を隠れ忍ぶ身の上の人。公然と世に立ち交わることのできない人。特に、妾(めかけ)、私生児、前科者など。2.世の中から認められない人。世に埋もれて出世しない人。
・日が込む
(ひがこむ) 日数が懸かる。時日が経過する。
・日が高い
(ひがたかい) 太陽が天中の高いところにあるという意味で、真昼間のこと。夜明けから時間が経って、太陽が空に高く昇っている状態。日暮れまでにかなりの時間があること。
・被褐懐玉(ひかつかいぎょく) 粗末な服を着ていながら、懐に玉を隠している。姿は粗末だが、内には優れた徳を備えている人の喩え。 類:●被褐懐宝●襤褸を着ても心は錦 出典:「老子−70」「知我者希、則我者貴、是以聖人被渇懐玉
・火が付く
(ひがつく) 1.燃え出す。 例:「焼け木杭(ぼっくい)に火が付く」 2.影響が及んで事件や騒動が持ち上がる。 例:「彼の一言で紛争に火が付いた」 3.自分の身、または家に火が付いたという意味から、慌ただしく性急な様子。切迫した様子。 例:「尻に火が付く」 4.家運が衰える。
・日が詰まる
(ひがつまる) 日照時間が短くなる。冬に向かって昼間が徐々に短くなって行くこと。 
反:■日が長い
・日が長い(ひがながい) 日照時間が長くなる。冬から春、また春から夏に向かって昼間が長くなっていくこと。 
反:■日が詰まる
・火が入る(ひがはいる) 1.窯(かま)や炉(ろ)に火が付られる。2.燃え出す。主に、熱していた油が高温になり過ぎて燃え出すこと。
・非が入る(ひがはいる) 非難される。
・火が火を呼ぶ
(ひがひをよぶ) 1.火が次々と広がって行くこと。似た傾向のものが次第に寄り集まって大きくなること。 類:●類は友を呼ぶ 2.ものごとがだんだん広がって、大いに盛んになる様子。
・火が降っても槍が降っても(ひがふってもやりがふっても) どんなことがあろうとも。天から火が降ってきても、槍が落ちてきても平気であるという意味から、ものごとを行なうのにどんな障害や苦難があろうとも、遣り遂げて見せるという強い意思の喩え。 類:●雨が降ろうが槍が降ろうが●火の雨が降っても
・火が降る(ひがふる) 火が焼いてしまって何もないという意味で、とても貧しいこと。非常に貧乏である。 用例:浮・好色一代男−3「内証は挑灯(ちようちん)ほどな火が降つて」
・日髪日風呂
(ひがみひぶろ) 1.毎日風呂に入り髪を結いなおすこと。贅沢な暮らし振り。2.囲われ者などを嘲(あざけ)って言った言葉。
・光を当てる
(ひかりをあてる) それまで目立っていなかったものを、表立って取り上げる。 類:●スポットを当てる
・光を放つ(ひかりをはなつ) 1.光を発して輝く。2.人や物が他より一段と優れて、目立っていること。或いは、才能や力が際立っていること。 例:「一際光を放つ存在」
・光を和らぐ(ひかりがやわらぐ) 1.優れた学徳や才知の輝きを包み隠して世俗に混じる。 類:●和光同塵 出典:「老子−四章」「和其光、同其塵」 2.転じて、菩薩が徳の光を隠して衆生(しゅじよう)を救うために仮の姿を現わす。
・光るほど鳴らぬ
(ひかるほどならぬ) 稲光りが凄(すご)い雷(かみなり)は、案外、雷鳴が小さいものである。 1.口煩(うるさ)く言う人に限って、根は優しいものだということ。2.強そうに振舞っている者は、意外に弱いものである。また、口で偉(えら)そうに言う者に限って、大した腕を持っていないものである。 類:●吠える犬は噛まぬ能無しの口叩き
引かれ者の小唄
(ひかれもののこうた)
・彼岸過ぎての麦の肥は効かぬ
(ひがんすぎてのむぎのこえはきかぬ) 彼岸を過ぎてから麦に肥料をやっても効果がないように、自分には分別あると自惚(うぬぼ)れている者に、いくら意見を言って聞かせても効き目がない。 類:●二十(三十)過ぎての子に意見
・彼岸の早生栗早生木通
(ひがんのわせぐりわせあけび) 秋彼岸の頃は、栗と木通の早生(わせ)が熟する時期だということ。 ★新潟県のことわざ。

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・引き合いに出す
(ひきあいにだす) 比較や参考のため、例として出す。話などの中で、例として挙げる。
・引き合う(ひきあう) 1.互いに引く。引っ張り合う。 用例:太平記−一三「刀を奪はれ進らせじと、引合ひける間」 2.互いに手を取り合う。互いに助け合う。また、通じ合う。 用例:太平記−三五「星野・行明等と引合ひ、国へ入ける路次の軍に打負て」 3.苦労や努力する価値がある。 例:「こんなに苦労したのに叱られては引き合わない」 4.取り引きをする。取り決めをする。約束する。 用例:滑・膝栗毛−五「先刻内々ひきあふておいた、アノ美しい可愛らしい<略>おやまさんは」 5.投資と利益が釣り合う。また、収支が償(つぐな)う。 類:●割に合う 例:「一個千円なら引き合う」 用例:滑・浮世風呂−四「お天気都合が悪いと休みが勝ちますからね、やっぱり引合(ヒキアヒ)ません」
・引き上げる
(ひきあげる) 1.引っ張って上に上げる。 用例:蜻蛉−中「ゆきかふ舟ども、ほをひきあげつついく」 例:「線路に落ちた人をホームに引き上げる」 2.程度や値を高くする。 例:「公定歩合を引き上げる」 3.今までいた所を引き払って、元のところへ戻す。また、元のところへ戻る。 例:「軍隊を引き上げる」 4.取り戻す。取り上げる。没収する。 例:「投下した資金を引き上げる」 5.登用する。目を掛けて登用する。 例:「若い人をどんどん引き上げる」 6.時間を繰り上げる。日時を早める。 用例:平家−五「三日とさだめられたりしが、いま一日ひきあげて」
・引き受ける
(ひきうける) 1.納得の上で、責任を持って仕事などを受け持つ。請け負って務めを果たす。 用例:浄・神霊矢口渡−四「討手を引受け討せては手柄にならず」 例:「会計を引き受ける」 2.代わって行なう。後を受け継ぐ。 用例:人情・春色梅児誉美−初「多くの借金を引請唐琴屋の家を相続なす」 例:「後は私が引き受けた」 3.他人の身元や人間性を保証する。保証人になる。 例:「亡命者を引き受ける」 4.客などの相手になる。また、応対する。あしらう。 用例:日葡「酒ヲヒキウケテノム」 5.自分の境遇などに当て嵌(は)める。引き当てる。 用例:滑・浮世風呂−二「おのがみに引うけてのあいさつ」
・引き金になる
(ひきがねになる) ものごとが引き起こされる直接的原因になる。「引き金」は、銃の弾丸発射装置の金具のこと。 類:●切っ掛けになる 例:「些細な口論が引き金となって大乱闘事件となった」
・悲喜交々
(ひきこもごも) 悲しんだり喜んだりという反対の感情を代わる代わる味わうこと。また、悲しみの感情と喜びの感情が入り混じった複雑な気持ち。 例:「悲喜交々至る」
・引き下がる(ひきさがる) 1.その場を去って離れる。引き退(の)く。退却する。 用例:
とりかへばや—下「かんのきみはすこしひきさがりて」 2.おくれる。あとにつく。 用例:平家−一一「すこしひきさがて、兵五六十騎が程河原へうちいでたり」 用例の出典:とりかへばや物語(とりかえばやものがたり) 鎌倉初期の物語。4巻。作者未詳。現存本(今本)は平安末期成立の「古とりかえばや(古本)」の改作で鎌倉初期の成立。大納言兼大将の男女二子は美しく瓜二つであったが性質は男女逆で、父に「とりかえばや」と嘆息され、性を入れ替えて育った。そのために起こる様々の事件を描く。
・抽斗が違う
(ひきだしがちがう)[=引き出しが〜] 思い違いをする。勘違いする。 用例:人情・
恋の若竹−三「引出しの違ふ竹次郎が話の」 用例の出典:恋の若竹(こいのわかたけ) 人情本。・・・調査中。
・引き立つ
(ひきたつ) 1.特に見映(みば)えがあるようになる。 類:●際立つ 例:「地味で引き立たない」 2.勇ましくなる。勢いが良くなる。盛んになる。 用例:新撰六帖−六「杣山のあさきの柱節しげみ引き立つべくもなき我が身かな」 例:「気が引き立つ」 3.戦(いくさ)で、恐れて浮き足立つ。退却し始める。 用例:太平記−六「大勢の引き立ちたる事なれば」
・引き立てる
(ひきたてる) 1.横になっている物や人を引っ張って立たせる。引き起こす。 用例:落窪−一「衣の肩をひきたてて立給へば」 2.戸、障子などを、引き出して閉める。 用例:落窪−二「ひきたてて、錠ささんとすれば」 3.引いてきた車などを、停(と)める。 用例:宇津保−蔵開下「車ひきたててみる」 4.馬などを、引いて連れ出す。引いて連れて行く。 用例:平治−上「さる体なる馬二疋、鏡鞍おいて引たてたり」 5.一緒に連れて行く。一緒に行くように急き立てる。また、無理に連れて行く。引っ立てる。 用例:源氏−夕霧「やがてこの人をひきたてて推し量りに入り給ふ」 例:「容疑者を引き立てる」 6.人や、ある方面の事柄を、重んじて特に取り立てる。特に目を掛ける。 類:●贔屓する 用例:古今著聞集−一・二九「重代稽古のものなりけれども、引たつる人もなかりけるに」 7.気を奮い立たせる。励ます。 用例:談・風流志道軒伝−三「人の心を引立る三弦(さみせん)の」 8.一段と見栄えがするようにする。特に目立つようにする。際(きわ)立たせる。 例:「ブローチがドレスを引き立てる」 9.注意を集中する。特に、聞き耳を立てる。
・引き取る
(ひきとる) 1.自分の手元へ引き寄せて取る。受け取る。 用例:源氏−宿木「こだになど少しひきとらせ給ひて、宮へとおぼしくて、もたせ給ふ」 2.引っ張って、無理に自分のものにする。奪い取る。盗み去る。 用例:源氏−紅葉賀「君にかくひきとられぬる帯なれば」 3.引き受けて手元に置く。子供などを、自分のところへ預かって世話をする。 用例:浮・世間娘容気−二「一人の姪、近き比より手前へ引(ヒキ)とり養育せられしかば」 4.話などの後を受け継ぐ。 用例:談・根無草−後「とかふの詞も出でざれば、長右衛門引とりて」 5.死ぬ。絶息する。多く、「息を引き取る」の形で使う。 用例:浄・大職冠−三「さらばと斗り夕潮の、引とる息や波の泡」 6.その場から立ち去る。退(しりぞ)く。 例:「お引き取りください」 用例の出典:世間娘容気(せけんむすめかたぎ) 浮世草子。享保2年(1717)。江島其磧。6巻6冊。町人の娘を素材として、様々な「娘」像を誇張して面白おかしく描かれている。その中に女性観、女性の社会的地位やモラルを浮かび上がらせる。
・引きも切らず
(ひきもきらず)[=切らない・切れない] 絶え間がない。次々と続く。 類:●ひっきりなし
・引き渡す
(ひきわたす) 1.綱・幕・橋などを、こちらからあちらへ長く張り渡す。張り巡らす。また、綿を引く。 用例:源氏‐胡蝶「錦ひきわたせるに」 例:「幔幕を引き渡す」 2.引っ張って、他の場所へ行かせる。 用例:
和歌九品「望月の駒引わたす音す也」 3.罪人を引き回しにする。 用例:日葡辞書「ヒトヲヒキワタス」 4.手元にある人や物を他人の手に移す。譲り渡す。 用例:虎明本狂言・朝比奈「かまくらへ引渡さるる」 例:「犯人を引き渡す」 用例の出典:和歌九品(わかくほん) 歌論書。藤原公仁(きんとう)。寛弘6年(1009)以後か? 1巻。和歌を上品・中品・下品の3品に分け、更に各品を上・中・下の9段階に分けて評したもの。心と詞の調和による余情美が説かれている。

−−−−−−−ひく(#hiku)−−−−−−−
・引く息が強い
(ひくいきがつよい) 吐く息よりも吸い込む息の方が強いということ。自分の利益になるものは何でも手に入れようとする欲深いことの喩え。
・低き所に水溜まる(ひくきところにみずたまる) 1.水が低地に流れて溜まるように、そうなって当然の条件を備(そな)えたところに、結果は集中するものである。 類:●すべての道はローマに通ず 2.転じて、利益のあるところには人が集まるものだということ。 類:●木が倒れると皆斧を持って駆け付ける●百川(ひゃくせん)海に朝(ちょう)す 3.悪い者のところには悪い者が集まるものだということ。
・引く手
(ひくて) 1.こちらへ来るようにと誘う人。誼(よしみ)を求める人。2.舞の手の名。手を手前へひく手振り。
・引く手数多
(ひくてあまた) 誘いを掛ける人が多いこと。求める人が多いこと。 類:●引っ張り凧娘一人に婿十人
・比丘尼に笄
(びくににこうがい) 1.世俗の色恋を絶(た)ったはずの尼が髪飾りを持っていてはおかしい。似つかわしくないものの喩え。 類:●坊主の花簪 2.出家(しゅっけ)して剃髪(ていはつ)した尼(あま)には、笄は不要である。持っていても役に立たないものの喩え。 ★「笄」は、女性用髪飾りの一つで、髷(まげ)などに差すもの。
・引くに引かれず
(ひくにひかれず)[=引けない] 退きたいと思っても、今更退く訳にいかない状況にある。 類:●のっぴきならぬ進退谷(きわ)まる
・日暮れて途遠し
(ひくれてみちとおし) 1.日は暮れたのに、前途の道程(みちのり)はまだまだ長いという意味で、年を取ってしまったのに、目的に達するには程遠いことの喩え。 類:●日暮道遠 出典:「史記伍子胥列伝」「吾日暮途遠、吾故倒行而逆施之」 2.期限が迫っているのに、ものごとがまだまだできあがっていないことの喩え。

−−−−−−−ひけ(#hike)−−−−−−−
・髭食い反らす(ひげくいそらす) 髭を口に咥(くわ)えたように生やして、その先の方をぴんと反らせる。気張った様子や、威張った様子の喩え。
・火消しの家から火事
(ひけしのいえからかじ) 火を消すのが仕事である町火消しの家が火事の火元になること。手本であるべき者が、それに纏(まつ)わる過ちを犯すこと。 類:●秋葉山から火事
・引けになる
(ひけになる) ものごとに後(おく)れを取ること。世間に対する面目(めんぼく)が潰れること。 類:●名折れになる
髭の塵を払う(ひげのちりをはらう)
・卑下も自慢のうち
(ひげもじまんのうち) 1.表面では謙遜しながら、実はそれを美徳として自慢していること。2.自慢を自慢として口に出さず、表面は謙遜してみせること。 類:●卑下も過ぎれば自慢となる●過大な謙遜は高慢なり●卑下慢
・ひけらかす
 見せびらかす。自慢して見せ付ける。衒(てら)う。 用例:虎明本狂言・鶏聟「是へすぐにまいってひけらかしませう」 例:「手柄をひけらかす」 ★「光らかす」の意かという。「かす」は接尾語<国語大辞典(小)> 用例の出典:鶏聟(にわとりむこ) 狂言。各流。花婿が婿入りの作法として鶏の真似(まね)をすることを教えられ、舅(しゅうと)を訪れて鶏の真似をする。舅は婿に恥を掻かすまいとして、一緒に鶏の真似をする。
・引けを付ける
(ひけをつける) 引け目を感じさせるようにする。面目を失うようにさせる。 類:●引けを取らせる
・引けを取る(ひけをとる) 負ける。劣る。 類:●遅れを取る 例:「真面目さでは誰にも引けを取らない」
・髭を撫でる
(ひげをなでる) 得意げな様子。 類:●顎を撫でる

−−−−−−−ひこ(#hiko)−−−−−−−
・非業の死(ひごうのし・しに)[=最期(さいご) 前世から定められた寿命が終わらないうちに死ぬこと。思い掛けない災難などで、尋常でない死に方をすること。 例:「非業の死を遂げる」
・日ごろになる
(ひごろになる) 数日経つという意味で、あることが起こってから、幾日か経ったことを表わす。 類:●日が重なる

−−−−−−−ひさ(#hisa)−−−−−−−
・非細工の小刀減らし(ひざいくのこがたなべらし) 下手(へた)な人が細工をすると、小刀を無駄(むだ)に磨り減らすばかりであること。労力の割りに効果が上がらないこと。
・膝頭で江戸へ行く
(ひざがしらでえどへいく)・行こうとする 膝行(いざ)って江戸へ行こうとするということで、苦労する割に効果がないことの喩え。 類:●膝で京へ上る 例:「一軒一軒訪ねるなんて膝頭で江戸へ行くようなもの」 ★上方(かみがた)のいろはカルタにある語。
・膝が流れる
(ひざがながれる) 足元がふらついてしっかりしない。 類:●脛が流れる
・膝が抜ける
(ひざがぬける) 1.着物やズボンの膝の部分が擦れて穴が空く。また、その部分の生地が伸びて前方に突き出る。 類:●膝頭で江戸へ行く労多くして功少なし 2.膝の力が抜ける。
・膝が笑う
(ひざがわらう) 膝ががくがくする。山道を下りるときなどに、膝の辺りの力が抜けること。
・廂の間の桃の木
(ひさしのあいだのもものき)[=庇の〜] ひょろひょろしていることの喩え。細長いことの喩え。 類:●日蔭の桃の木廂間の桃の木
庇を貸して母屋を取られる
(ひさしをかしておもやをとられる)
・膝詰め談判
(ひざづめだんぱん) 相手に膝を詰め寄せて談判すること。相手に厳しく迫って圧力を掛けて談判すること。主に、こちらの要求を押し通すときなどにする。
・膝で京へ上る(ひざできょうへのぼる) 室内での作法である膝行(しっこう)のように、膝行(いざ)って京都へ行く。 1.骨の折れる割りに効果が少ないことの喩え。2.無意味な苦労をすることの喩え。また、見ていてじれったいことの喩え。 類:●まどろこしい
・膝とも談合
(ひざともだんごう・だんこう) 思案に余ったときは、抱いた自分の膝でも相談相手になるというところから、一人で思い悩むくらいなら、どんな相手でも、相談すればそれだけの成果はあるものだということ。
・膝元去らず
(ひざもとさらず) 身に近いところから離れていかないという意味から、両親や仕えている君主などの傍(そば)を離れないで、付きっ切りでいること。
・膝を容れる(ひざをいれる) 1.足を入れるという意味で、その中に身を置くこと。2.転じて、狭い家。また、狭い家に身を置くことの喩え。 出典:陶潜帰去来辞」「審二容膝之易安」
・膝を打つ
(ひざをうつ) 自分の手の平で膝をぽんと叩くということで、はたと思い当たることがあったり、感心したりしたときの動作。 類:●膝を叩く
・膝を折る(ひざをおる) 1.膝を折り曲げて、体を屈める。膝頭(ひざがしら)を下に付ける。 類:●
膝を屈める 2.屈服する。 類:●膝を屈する
・膝を屈める
(ひざをかがめる)[=屈する・折る] 1.膝を折って、身体を屈める。2.転じて、相手に屈従する。
・膝を崩す
(ひざをくずす) きちんとした姿勢を崩して、楽に座る。正座を解いて、楽な姿勢で座る。
・膝を組む
(ひざをくむ) 1.足を組んで座る。胡座(あぐら)を掻く。2.同席する。対座する。上下なく、対等に交際する。 類:●
膝を交える
・膝を進める
(ひざをすすめる) 1.前へにじり出る。相手に近付く。2.乗り気になる。身を乗り出す。
・膝を抱く
(ひざをだく・いだく) 1.自分の膝を抱える。孤独な様子の形容。2.膝に縋(すが)り付く。懇願する。頼み入れる。 用例:浄・
心中二つ腹帯−三「お膝を抱きに三人が申し合はせて参るから」 用例の出典:心中二つ腹帯(しんじゅうふたつはらおび) 浄瑠璃。世話物。3段。紀海音。享保7年(1722)大坂豊竹座初演。前年の4月5日宵庚申の夜に、大坂新靫町の八百屋の養子半兵衛と女房お千代が、生玉馬場先の大仏勧進所で心中した事件を脚色したもの。
・膝を正す
(ひざをただす) きちんと姿勢を整えて座る。改まった様子で座る。
・膝を突き合わす(ひざをつきあわす) 1.互いの膝が触れ合うほど接近する。間近で親しく話をすること。 例:「膝を突き合せて懇談する」 2.大変混雑した状態。
・膝を乗り出す(ひざをのりだす) 1.膝を前に進める。にじり寄る。前へ進み出る。2.興味を引かれて、乗り気になっている様子。 類:●
膝を進める
・膝を交える(ひざをまじえる) 同席して親しく話し合う。お互いに打ち解けて語り合う。 例:「膝を交えてお話しましょう」

−−−−−−−ひし(#hisi)−−−−−−−
・肘折る(ひじおる) 肘を折ったように曲がっている。折れ曲がっている。 用例:−二三五「ひぢをりたる廊」
・飛耳長目
(ひじちょうもく) 《四熟》 1.古い時代や遠方のことを良く見聞きすること。ものごとの観察に鋭敏であること。また、その目と耳。2.転じて、見聞を広めるための書物のこと。 類:●長目飛耳鳶目兎耳
・肘鉄砲を食わす
(ひじでっぽうをくわす)[=食わせる] 1.肘の先で突き退ける。2.誘いや要求を拒絶する。 類:●
肱にする
・肘にする
(ひじにする) 1.肘の先で相手を突き飛ばす。2.人からの誘いや申し込みなどを強く跳ね付ける。 類:●肘を食わせる●肘鉄を食わせる
・秘事は睫(ひじはまつげ)[=睫の如し] 秘事や秘伝は、窮(きわ)め難い奥底にあるのではなく、案外手近な所にあるものである。秘事や秘伝は、容易に気付かないだけで、睫のようにすぐちかくにあるものだ。 類:●近くて見えぬは睫
・肘を折る
(ひじをおる) 人は困難を何度も乗り越えることによって、経験豊かで立派な人物になっていくものだ。 
故事:「春秋左氏伝」 度々自分の肘を折って自分で治療するという痛い経験をして初めて、人の病気を治療する名医となることができた。 
・肘を食う(ひじをくう) 相手から肘の先で突き飛ばされる。自分から仕掛けた誘いや申し込みなどが拒絶されること。 類:●肘鉄を食う
・肘を張る(ひじをはる) 1.肘を張り出して武張ったように見せる。威張って振る舞う。肘張(ば)る。2.気負う。気勢を示す。また、強情に意地を張る。類:●意地を張る●肘張る 
・肘を曲げる(ひじをまげる) 1.肘を折り曲げて手枕にする。2.清貧を楽しむ。 類:●曲肱(きょっこう)の楽しみ 出典:「論語−述而」「飯疏食飲水、曲肱而枕之、楽亦在其中矣」
・美人
に年なし(びじんにとしなし) 美人は何歳になっても若く見えるものだ。
・美人薄命
(びじんはくめい) 兎角(とかく)美人に生まれ付いた人は、不幸せだったり、病弱で早死にしたりすることが多い。 類:●佳人薄命

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・翡翠の髪状
(ひすいのかんざし)[=髪・鬘(かずら) 翡翠(かわせみ)の羽のように、艶(つや)やかで長く美しい髪。 類:●緑の黒髪 
蛇足:「翡」は雄、「翠」は雌<大辞林(三)>
・秘すれば花(ひすればはな) 秘めるからこそ花になる、秘めねば花の価値は失せてしまう。能楽の奥義は、常に趣向を変化させながら、しかもそれを観客に悟らせないことであるということ。 出典:「風姿花伝」「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」 ★「花」は、観客に感興を引き起こす効果の隠喩。

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・日、西山に薄る
(ひ、せいざんにせまる) 日が西山に掛かり今にも沈もうとしているように、隆盛だった勢いが衰えることの喩え。また、年老いた人に、いよいよ死期が間近に迫ることの喩え。 出典:李密「陳情表」「但以劉日薄西山、気息奄奄、人命危浅、朝不慮夕」 ★「薄る」は「迫る」と同じ。
尾生の信
(びせいのしん)

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・皮相浅薄
(ひそうせんぱく) 《四熟》物の見方が表面的で底が浅いこと。知識や思慮、学問などに深みがないこと。
・鼻息を窺う
(びそくをうかがう・はないきを〜) 相手の機嫌や意向を窺い、怖ず怖ずする。 類:●顔色を窺う●鼻息を仰ぐ
・秘蔵っ子(ひぞっこ)・秘蔵子 1.滅多(めった)に表へ出さない子という意味で、親が大切にして可愛がっている子。 類:●(男女)箱入り●(女)深窓(しんそう) 2.転じて、特に目を掛けて、大切にしている部下や弟子(でし)。 類:●寵臣(ちょうしん)
顰に効う(ひそみにならう)[=倣う]

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