【ぬい】〜【ぬれ】

−−−−−−−ぬい(#nui)−−−−−−−
・縫い合わせる
(ぬいあわせる) 1.縫って双方が合うようにする。縫って繋ぎ合わせるう。 用例:太平記−二九「絹三幅を長さ五尺に縫(ヌヒ)合せて」 2.内容が食い違わないように、二つのことを巧く合わせる。 類:●辻褄を合わせる

−−−−−−−ぬか(#nuka)−−−−−−−
糠に釘
(ぬかにくぎ)
・抜かぬ太刀の高名
(ぬかぬたちのこうみょう) →抜けぬ太刀の高名
・糠味噌が腐る
(ぬかみそがくさる) 調子外れな歌い振りを貶(けな)す言葉。
・糠喜び(ぬかよろこび) 喜んでいたのに、当てが外れてがっかりするような、一時的な喜び。 用例:談・風流志道軒伝「大人どもは月夜に釜糠喜びの口々に」 ★「糠」は接頭語で、「むだ」「はかない」の意を表す<学研国語大辞典>
・抜からぬ顔(ぬからぬかお) 油断のない顔付き。また、失敗などしないという顔付き。
・泥濘に足を踏み込む
(ぬかるみにあしをふみこむ) 一度泥の中に足を踏み入れると、いくらもがいてもますます深みに嵌(は)まり込むことから、遊蕩(ゆうとう)などに嵌まり込んで、遂(つい)には身の破滅を招くことの喩え。
・糠を舐りて米に及ぶ
(ぬかをねぶりてもめにおよぶ) 鼠(ねずみ)は糠を舐(な)め尽くすと米にまで手を付けるという意味で、被害が徐々に広がってゆくことの喩え。 出典:「史記−呉王ビ[サンズイ+鼻]伝」「里語有之、舐糠及米

−−−−−−−ぬき(#nuki)−−−−−−−
・抜き足差し足(ぬきあしさしあし) 音のしないように静かに、そっと歩く様子。 例:「抜き足差し足忍び足」
・抜き打ち
(ぬきうち) 1.刀を抜くと同時に斬り付けること。2.前もって何も知らせないで、急に事を行なうこと。 例:「抜打ち検査」
・抜き差しならぬ
(ぬきさしならぬ) 処置のしようがない。どうにもならない。 類:●のっぴきならない二進も三進もいかぬ 用例:浄・
妹背山婦女庭訓−一「いかほどにあらがはれても、抜差しならぬ証拠ありと」 ★刀が錆びてしまって、鞘から抜けなく(鞘に収められなく)なることから。 用例の出典:妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 浄瑠璃。時代物。5段。近松半二を中心に、松田ばく、栄善平、近松東南らが合作。明和8年(1771)大坂竹本座初演。藤原鎌足が蘇我入鹿を討った事件を骨子とし、これに説話、伝説などを取り合わせて作ったもの。
・抜手を切る
(ぬきてをきる) 「抜手」とは、水を掻いた手を返すときに抜き上げる泳法。抜手で泳ぐという意味から、人生の荒波を切り抜けていくということ。
・抽きん出る(ぬきんでる)・抜きん出る 1.仲間から抜け出る。飛び出す。類:●
抜け駆けする 用例:太平記−一三「心早(はや)き人なりければ、只一人抽(ヌキンデ)て」 2.人並み外れて優れる。秀でる。 例:「抜きん出た長身」「衆に抜きん出る」

−−−−−−−ぬく(#nuku)−−−−−−−
・温助
(ぬくすけ) 間抜けな人を人名のように言ったもの。 類:●
抜け作

−−−−−−−ぬけ(#nuke)−−−−−−−
・抜け上がる
(ぬけあがる) 1.高く抜け出る。上に出る。 用例:仮・
竹斎−下「目の玉のぬけあがる程叱られて」 2.まったく抜け通る。透き通る。 例:「抜け上がるような白い肌」 3.額の生え際の毛が抜けて、上の方へ禿(は)げ上がる。 用例の出典:竹斎(ちくさい) 仮名草子。2巻2冊。富山道冶(どうや)作か。元和7〜9年頃成立。やぶ医竹斎と下僕にらみの介の京から江戸までの道中記の形をとり、二人の笑話的な行為の描写や名所旧跡の見聞を中心に、狂歌的発想や修辞を生かした文体で書かれた滑稽文学。
・抜け駆け
(ぬけがけ) 1.戦(いくさ)で、武功を立てようと、陣営をこっそり抜け出して先駆けすること。味方を出し抜いて敵中に攻め入ること。 例:「抜けがけの功名」 2.他人を出し抜いて事を行なうこと。
・抜け殻
(ぬけがら) 1.昆虫や甲殻類などが脱皮の際に残した古い体皮。 例:「蝉の脱殻」 2.中身がなくなった後のもの。また、形式ばかりで内容がないもの。3.他のことに心を奪われて虚(うつ)ろな状態であること。正気を失ってぼんやりしている人。 例:「魂の抜殻」
・抜け作
(ぬけさく) 愚鈍な人、間抜けな人を嘲って言う言葉。 類:●
温助●抜衆●抜蔵●抜六●抜作左衛門
・抜け抜けと
(ぬけぬけと) 1.頭の働きが鈍いため、他人に騙(だま)される様子。 用例:源平盛衰記−一四「大将はぬけぬけとしなされ」 2.ぬらくらと巧みに言い抜けて白々しい様子。厚かましい様子。知っていても知らない振りをする様子。 用例:浄・夏祭浪花鑑−二「ぬけぬけとした事言はれな」 例:「抜け抜けと白(しら)を切るもんだな」
・抜けぬ太刀の高名
(ぬけぬたちのこうみょう) 臆病なため戦いに臨んで太刀を抜くことができなかったことが幸いして、逆に名を揚げる元になったという意味で、何の苦労もしないで、名を世間に知られるようになるということ。 
★略して「抜けぬ太刀」ともいう<国語慣用句辞典(集)>
・抜けば玉散る(ぬけばたまちる) 抜き放った刀が玉を散らすたように、きらきらと光っているという意味から、十分に研(と)いであって少しも曇りのない、切れ味の鋭い刀の形容。 例:「抜けば玉散る氷の刃」
・抜け目ない(ぬけめない)・抜け目がない 手落ち・手抜かりがないという意味で、自分の利益になることに良く気が付いて、狡(ずる)賢(がしこ)く立ち回ること。 類:●抜かりない●世知賢い

・抜けるほど(ぬけるほど) その部分だけ色が抜けているくらい、という意味で、色が大変白い様子。また、地面を突き抜けるくらい、という意味で、雨が激しく降る様子。

−−−−−−−ぬし(#nusi)−−−−−−−
・主ある花(ぬしあるはな) 決まった男のある女のこと。夫や許嫁(いいなずけ)などがある女。

−−−−−−−ぬす(#nusu)−−−−−−−
・盗人上戸
(ぬすっとじょうご) 1.酒も甘味も両方好むこと。 類:●両党 2.たくさんの酒を飲んでも顔に出ないこと。また、その人。 類:●空上戸

・盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい・ぬすびと〜) 盗みや悪事を働きながら、何食わぬ顔でいたり、咎(とが)められて逆に居直ったりする者を罵(ののし)る言葉。
盗人に追い銭
(ぬすびとにおいせん)[=追(おい)・追を打つ]
・盗人に鍵を預く
(ぬすびとにかぎをあずく)[=蔵の番] 悪人と知らずに、却(かえ)って悪事の便宜を与え、被害を大きくすること。災いの元になるものを助長すること。 類:●敵に糧●盗人の提灯持ち●盗人に倉の番●犬に肴(魚)の番狐に鶏小屋の番をさせる
・盗人にも三分の理あり
(ぬすびとにもさんぶのりあり) 盗人にもそれなりの理屈はあるという意味で、どんなことであろうと、理屈を付けようと思えば付けられるということ。
・盗人の後棒乳切木
(ぬすびとのあとぼうちぎりき) 盗人が逃げた後に棒を持って来るという意味で、時機に遅れたら役に立たないということ。
・盗人の上前を取る
(ぬすびとのうわまえをとる) 盗人が盗んで来たものの一部を掠(かす)め取るという意味で、甚だしく質(たち)が悪いこと、また、悪人にも上には上があるということ。 類:●いがみの物取る大盗人
・盗人の逆恨み
(ぬすびとのさかうらみ)[=かえさ恨み] 盗人は往々にして、自分で悪事を働いておきながら、それが発覚すると却って被害者や検挙者を恨むものだということ。
・盗人の取り残しはあれど火の取り残しはなし
(ぬすびとのとりのこしあれどひのとりのこしはなし) 泥棒は自分で持てるだけしか盗んでいかないが、火事はすべて焼き尽くしてしまうので何も残らない。火事には用心せよということ。
・盗人の隙はあれども守り手の隙はない
(ぬすびとのひまはあれどもまもちてのひまはない) 盗人の方はよい機会を見計らって入るのだから時間の余裕があるが、これを防ぎ守る側には寸時の暇もないということ。番人というものは寸時の油断もできないこと、また、盗人というものは防ぎ切れないということ。
・盗人の昼寝
(ぬすびとのひるね) 盗人が昼寝をするのは、夜の稼ぎに備えてのことであるという意味で、何か思惑(おもわく)があってそれをしていること。 
★「盗人の昼寝もあてがある」とも<国語大辞典(小)>
・盗人を捕らえて縄を綯う
(ぬすびとをとらえてなわをなう)[=見て〜] 事が起こってから慌てて準備をしても間に合わないということ。時機に遅れたら用をなさないということ。また、準備を怠って行きあたりばったりにものごとをすること。 類:●泥縄泥棒を見て縄を綯う難に臨んで兵を鋳る
・盗人を捕らえてみれば我が子なり
(ぬすびとをとらえてみればわがこなり) 1.盗人を捕まえたら我が子だった。あまりの事の意外さに、処置に窮(きゅう)すること。2.身近な者と雖(いえど)も油断できないものであるということ。 出典:「犬筑波」の付句 出典:
犬筑波集(いぬつくばしゅう) 室町後期の俳諧集。1巻。山崎宗鑑編。天文8年(1539)頃成る。宗鑑、宗祇、宗長などの句370を収める。卑俗で滑稽(こっけい)な表現を打ち出し、俳諧が連歌から独立する機運を作った。俳諧連歌抄。新撰犬筑波集。
・盗み聞き(ぬすみぎき) 密かに立ち聞きする。
・盗み読み(ぬすみよみ) 人に知られないように、密かに読むこと。他人に宛てた手紙などを断りもなしに読むこと。また、他人の読んでいるものを、横合いから読むこと。 用例:浄・
聖徳太子絵伝記−一「うちかけの褄を屏風のぬすみ読(ヨミ)」 用例の出典:聖徳太子絵伝記(しょうとくたいしえでんき) 浄瑠璃。時代物。享保2年(1717)。近松門左衛門。聖徳太子と物部守屋との戦い近松門左衛門でござーい!> 参考:聖徳太子絵伝(しょうとくたいしえでん) 聖徳太子の伝記を絵画化したもの。障子絵、掛絵、絵巻物などの種々の形式を持つ。

−−−−−−−ぬは(#nuha)−−−−−−−
・射干玉の(ぬばたまの) 枕詞。 射干玉の実が黒いところから、黒色やそれに関連した語に掛かる。 
★中古以降は「むばたまの」という形で使われることが多い<国語大辞典(小)>

−−−−−−−ぬま(#numa)−−−−−−−
・沼太郎
(ぬまたろう) 1.鼈(すっぽん)のこと。2.鳥「菱喰(ひしくい)」のこと。
・沼池にも蓮の華(ぬまちにもはすのはな)[=沼地〜] 汚い沼池でも、蓮は美しく咲く。転じて、悪い環境の中でも人は清く正しく生きられるものであるということの喩え。 類:●泥中の蓮●如蓮華在水●濁りに染まぬ蓮 参照:「妙法蓮華経−従地涌出品・15」 ★「ぬまいけにもはすのはな」とも読む。

−−−−−−−ぬも(#numo)−−−−−−−
・ぬ文字(ぬもじ) 盗人(ぬすびと)を指す女房詞。

−−−−−−−ぬり(#nuri)−−−−−−−
・塗り上げる(ぬりあげる) 1.すっかり塗り終える。塗りを完全に仕上げる。 用例:日葡辞書「ヌリアグル」 2.特に、左官職の者が死ぬ。 用例:
妙好人伝−三・上「左官が死ぬるとぬりあげたと云ふ」 用例の出典:妙好人伝(みょうこうにんでん) 仏書。列伝。岩見国浄泉寺仰誓(ごうぜい)編纂。文政元年(1818)。浄土真宗で誠の信心を得た人を顕彰した書物。
・塗り付ける(ぬりつける) 1.塗って付ける。擦(なす)り付ける。 用例:東大寺本大般涅槃経平安後期点−二三「蘇
をもて塗(ヌリ)拊(ツク)」 2.罪や責任を他人に負わせる。 類:●転嫁する●擦り付ける 用例:古今著聞集−一六・五四九「たれにぬりつけんとて、かくほどに人をいだしぬかんとするぞ」 例:「罪を部下に塗り付ける」
・塗箸で芋を盛る(ぬりばしでいもをもる)[=索麺(そうめん)食う] つるつると滑り落ちて摘まみ難(にく)いところから、遣り難いものごと。

−−−−−−−ぬる(#nuru)−−−−−−−
・微温湯に浸かる(ぬるまゆにつかる) 安楽な現状に甘んじて、呑気に過ごす。生活に刺激や緊張がない様子。
・微温湯の蛙(ぬるまゆのかえる) 蛙は、熱い湯に入れると慌てて飛び出すが、微温湯に入れてじわじわと温めると、熱さに気付かずやがて死んでしまう。環境の変化に気付かないことの喩え。

−−−−−−−ぬれ(#nure)−−−−−−−
・濡れ衣
(ぬれぎぬ) 1.濡れた衣服。2.無実の浮き名。根も葉もないうわさ。3.無実の罪。 類:●濡れ衣(ぬれごろも)

・濡れ衣を着る(ぬれぎぬをきる) 根も葉もない浮き名を立てられる。また、無実の罪に落とし入れられる。 類:●He plants the stolen jewels in my bag.<「英⇔日」対照・名言ことわざ辞典
濡れ手で粟
(ぬれてであわ)
・濡れ鼠
(ぬれねずみ) 1.水に濡れた鼠。2.衣服を着たまま、全身がずぶ濡れになっている様子。 用例:日葡辞書「ヌレネズミノヤウニナッタ」
・濡れ場
(ぬれば) 芝居で、男女の情事を演じる場面。また、芝居に限らず、情事の場面。 類:●ラブシーン 例:「濡れ場を演ずる」
・濡れ者
(ぬれもの) 1.情事に通じた人。色恋の道に巧みな人。 類:●好色者●濡れ人 2.心中を企てた男女。
・濡れぬ先こそ露をも厭え
(ぬれぬさきこそつゆをいとえ) 濡れる前には露が掛かるのも嫌うが、一度濡れてしまえば濡れることなど平気になるという意味で、一度身を誤れば、もっと酷い過ちを犯しても平気になる。
・濡れぬ先の傘(ぬれぬさきのかさ) 雨が降りそうなときは傘を用意して出掛けなさいということ。一般に、失敗しないよう、前もって用心しておくべきである。また、予(あらかじ)め十分に備(そな)えておくべきであるということ。 類:●降らぬ先の傘●転ばぬ先の杖

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