【しら】〜【しを】

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・白泡噛まず
(しらあわかます)[=食(は)ます] 口から白い泡を吹かせるほど、馬を勇み立たせる。 用例:太平記−9「手縄かいくり、馬に白泡噛ませて」
・白川夜船
(しらかわよぶね・よふね)・白河夜船 《四熟》 1.いかにも知っているような顔をすること。 類:●知ったか振り利いた風半可通 用例:俳・毛吹草−二「しら川よぶね見ぬ京物がたり」 2.ぐっすり寝込んでいて何が起こったか全く知らないこと。 類:●白河 
俗説:京都を見物した振りをする人に白川(京都の地名)のことを尋ねたら川の名前だと勘違いして、夜に船で通ったから知らないと答えたという。
・シーラカンス 1.
古生代デボン紀から中生代白亜紀までに栄えた魚。現存している。2.昔の生物で現在まで生き残っているものの代表。比喩的に、時代遅れの人、流行に疎い人のことを指す。 類:●生きた化石●時代の遺物
・白木の合子
(しらきのごうし) 「合子」は蓋(ふた)がある椀のことで、漆(うるし)を塗ってない蓋付きの椀のこと。飾り気がないことの喩え。また、質素である、剥(は)げない、などの喩えとしても使う。
・白ける
(しらける) 盛り上がっていた気持ちや雰囲気(ふんいき)が萎(な)える。 類:●興が醒める●気拙(まず)くなる 用例:評判・
色道大鏡−四「つれの客も、我事なればあつかひも成がたくしらくるもの也」
・知らざるを知らずとせよ是知れるなり
(しらざるをしらずとせよこれしるなり) 知らないことは正直に知らないとはっきりさせるのが、真に知ることである。 出典:「論語−為政」
・白々しい
(しらじらしい) 1.白く見える。白々としている。明らかである。 用例:
和漢朗詠−下「しらしらししらけたるとし月光に雪かきわけて梅の花をる」 2.興醒(ざ)めな感じである。 用例:平中−三六「そこに、久しく馬に乗りながら、立てらむことの、しらしらしければ」 3.知っていながら知らない振りをする様子。また、はっきりと偽りと分かる様子。 類:●しらばくれている●空々しい●見え透いている 用例:浄・ゑしま物語−下「しらじらしく申さんも、おもはゆく」 用例の出典@:和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう) 詩歌集。2巻。藤原公任撰。平安時代中期の成立。朗詠にふさわしい和漢の歌を集めたもの。白楽天をはじめとする漢詩文588首と『古今集』『拾遺集』を中心とした和歌216首からなる。 用例の出典A:平中物語(へいちゅう・へいぢゅうものがたり) 歌物語。作者不詳。天徳3年(959)〜康保2年(965)頃までの成立か。平中とよばれた平貞文(定文)を主人公とした恋愛説話38段からなる。家集の貞文集を母体としたと言われる。「貞文日記」。 用例の出典B:ゑしま物語(えしまものがたり) 浄瑠璃。・・・調査中。
・知らず三点
(しらずさんてん) 俳諧師が点付けをするとき、分からない句に当たった場合、当たり障りがないように五段階の中くらいの三点を付けること。
・知らず識らず
(しらずしらず) 無意識のうちにいつの間にか。知らないうちに。ついつい。 例:「知らず識らず涙がにじんでいた」
・白玉の疵
(しらたまのきず) 白玉のように美しい物に疵があるという意味から、美しく優れた物にあるほんの少しの疵や、立派な人物にある僅(わず)かな欠点のこと。多く、「もし疵がなければ完全であるのに」と残念がる気持ちを込めて用いる。 類:●玉に瑕
・しらっぱくれる・しらばくれる 知っていながら知らない振りをする。 類:●そら惚(とぼ)ける●
白を切る 用例:雑俳・川柳評万句合−宝暦11「初ての勤はどふか白(しラ)ばくれ」 ★「しら」は「知らぬ」の「しら」。
・白露の身
(しらつゆのみ) 草の上で白く光っている露が日に当たって儚(はかな)く消えてしまうという意味で、朝露のように儚い身のこと。束(つか)の間の命のこと。
・知らぬ顔の半兵衛(しらぬかおのはんべえ) 素知らぬ振りをして少しも取り合わないこと。また、その人。 例:「知らぬ顔の半兵衛を決め込む」 ★豊臣秀吉の軍師、竹中半兵衛のこと。 参照:浄・木下蔭狭間合戦「そのとき半兵衛知らぬ顔」 参照の出典:木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがっせん) 浄瑠璃。時代物。10段。若竹笛躬(ふえみ)、近松余七(十返舎一九)、並木千柳合作。寛政元年(1789)。大坂道頓堀大西芝居初演。桶狭間の戦いや美濃の斎藤竜興の軍師竹中官兵衛と尾張の小田春永に仕える此下当吉との軍略比べなどに、此下当吉と対比させて描いた強盗石川五右衛門の因果物語や活動を取り合わせて脚色あたもの。

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知らぬが仏
(しらぬがほとけ)
・知らぬ存ぜぬ
(しらぬぞんぜぬ) 「知らない」を強調した言葉。多く、知っているのに知らぬ振りを押し通す場合に言う。 類:●見猿聞か猿言わ猿 例:「施工業者は知らぬ存ぜぬの一点張り」
・知らぬ他国にも鬼はない
(しらぬたこくにもおにはない) → 渡る世間に鬼はなし
・知らぬは亭主ばかりなり
(しらぬはていしゅばかりなり) 女房の不貞を、周囲の者は皆知っているが、当の亭主だけは気付かないでいること。転じて、当事者だけが知らずに平気でいること。
・知らぬ仏より馴染みの鬼(しらぬかみよりなじみのおに)[=神より〜] 仏のような人でも、素性が良く分からなければ、良く知った悪人に及ばないものだ。どんなものであっても、疎遠な者より、慣れ親しんだものの方が勝る。 類:●見えない仏より触れる鬼●見知らぬ天使より顔なじみの悪魔を選ぶもの●遠水渇を救わず遠くの親類より近くの他人
白羽の矢が立つ
(しらはのやがたつ)
・白張りの提灯
(しらはりのちょうちん) 1.油を引いてないただの白紙を張っただけで、紋などを書かない提灯。普通、葬式のときに使う。 類:●白張(しろば)り 2.白張りの提灯には紋がないところから、「文(もん)なし」に掛けて、金銭を持っていないこと。
・虱潰し
(しらみつぶし) ものごとを片っ端から残らず調べたり処理したりすること。 例:「商店街を虱つぶしに調べる」
・虱の皮剥き
(しらみのかわむき)[=皮(かわ) 物惜しみすること。非常に貪欲なこと。けちなこと。 類:●虱の皮を千枚に剥ぐ
・虱の皮を鉈で剥ぐ
(しらみのかわをなたではぐ)[=槍(やり)で〜] 小さい事を処理するのに、大袈裟に行なうことの喩え。
・虱を捫って当世の務を談ず
(しらみをひねってとうせいのむをだんず) 虱を潰しながら時事を論じること。礼儀作法に構わない態度で、時世や政治を論ずること。また、傍若無人な態度の喩え。 出典:「晋書−王猛載記」「隠于華陰山、〈略〉桓温入関、猛被褐而詣之、一面談当世之事捫虱而言、旁若無人」
・白を切る
(しらをきる) 態(わざ)と知らない振りをする。何食わぬ顔をする。 類:●しらばくれる何食わぬ●空惚(とぼ)ける ★「しら」は「知らぬ」の「しら」<大辞林(三)>
・白を付ける
(しらをつける) 無実であることを明白にする。潔白を証明する。
・知らんがために我は信ず(しらんがためにわれはしんず) ラテン語 credo ut intelligamの訳。神学者
アンセルムスの言葉。信仰を前提とした上で、その根拠を純粋に理性的に探究する立場。それにより、神の存在証明を試みた。 人物:アンセルムス 神学者。スコラ哲学の初期の代表者。1033〜1109。イタリアで生まれ、イギリスのカンタベリーの大司教となる。神の存在論的証明やキリストの贖罪論の理論化を行なう。
・芝蘭玉樹庭階に生ず
(しらんぎょくじゅていかいにしょうず) 芳香のある草や美しい木が、庭へ降りる階段近くに生えている。一族から、多くの優れた人材が出ることの喩え。 出典:「晋書−謝玄伝」「譬如芝蘭玉樹、欲使其生於庭階耳」 ★「芝蘭」は、霊芝(れいし)や藤袴(ふじばかま)で、共に芳香のある草。
・芝蘭の化
(しらんのか) 良い友人と付き合うことによって、自然に受ける徳の感化。 出典:「孔子家語−六本」「与善人居、如入芝蘭之室、久而不聞其香、即与之化矣」

−−−−−−−しり(#siri)−−−−−−−
尻馬に乗る
(しりうまにのる)
・尻が青い
(しりがあおい) 未熟で、一人前でないこと。幼児の尻には青い蒙古斑(もうこはん)があることから言う。 類:●嘴が黄色い●青二才 例:「まだ尻が青い若造」
・尻が暖まる
(しりがあたたまる)[=温(ぬく)もる] 長い間同じ所に留まっていること。また、同じ勤めに長く携わっていること。 
反:■尻が据わらない
・尻が重い
(しりがおもい) 1.動作に機敏さを欠き、なかなか腰を上げない。身軽に立ち働かない。 類:●鈍(にぶ)い 2.容易に始めようとしない。 類:●ものぐさ
・尻が軽い
(しりがかるい) 1.動作が機敏である。また、ものごとを即座に始める。2.軽弾みな行動をする。軽率な振舞いをする。3.女が、浮気である。 類:●蓮っ葉
・尻が来る
(しりがくる) 後で苦情や談判を持ち込まれる。他人がした、好ましくないものごとの処理が身に降り懸かってくる。 類:●
尻を拭う尻拭いをする●台座が来るとばっちりが来る
・尻がこそばゆい
(しりがこそばゆい)[=の下が〜] いるべきでない所にいるような、落ち着かない心の状態。また、決まりが悪い状態である。 類:●尻こそばゆい
・尻が据わらない
(しりがすわらない) 落ち着かない。じっくりと一箇所に落ち着いていない。 
反:■尻が暖まる
・尻が長い
(しりがながい) 人の家を訪ねて、話し込んでしまい、なかなか帰らない。長居である。 類:●長っ尻
・尻から抜ける
(しりからぬける) 見聞きしたことをすぐに忘れてしまう。 類:●
尻抜け
・尻から焼けて来るよう
(しりからやけてくるよう) ものごとが差し迫って、慌(あわ)て騒ぐ様子。 類:●尻に火が付いたよう
・尻が割れる
(しりがわれる) 隠していた悪事などが露見する。企(たくら)みがばれる。 類:●尻(けつ)が割れる 用例:
当世書生気質「以前放蕩の尻が割れて、いまでは借金で首がまはらず」 例:「尻が割れて日本にいられなくなる」 用例の出典:当世書生気質(とうせいしょせいかたぎ) 小説。坪内逍遥。明治18(1885)〜19年発表。書生小町田と芸妓との恋愛を中心に、明治10年代の東京の学生生活の諸相を写実的に描く。「小説神髄」の理論を実践化しようとした作品。
・尻切れ蜻蛉
(しりきれとんぼ) 始めがあって終わりがないこと。ものごとが中絶すること。また、根気がなく、何事にも長続きしない人を嘲(あざ)ける言葉。 類:●尻切れ鳶(とんび)●尻切り蜻蛉●中途半端 ★「尻切れした蜻蛉草履(ぞうり)」からか。「尻切れ草履」は、擦り切れて、踵(かかと)の部分がなくなってしまった草履のこと。
・尻口で物言う
(しりくちでものいう) どっちつかずの曖昧な態度で、ものを言う。どっちつかずの物言い。
・尻毛を抜く
(しりげをぬく) 相手の油断に付け込んで不意に事をしでかして驚かす。また、人を侮(あなど)って騙(だま)す。
・私利私欲
(しりしよく) 《四熟》 相手を顧みることなく、自分の利益・欲求を満たすことだけを考えて行動すること。 類:●見利忘義 ★「欲」は「慾」とも書く<新明解四字熟語辞典(三)>
・而立
(じりつ) 三十歳の異名。孔子が三十歳の時に独り立ちしたと語ったことによる。 出典:「論語−為政」「子曰、吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩」
・尻に敷く
(しりにしく)[=の下に〜] 相手を軽くみて、我が儘に振る舞う。特に、妻が夫を軽んじて、勝手気侭に振る舞うこと。 例:「亭主を尻に敷く」
・尻に付く
(しりにつく)[=立つ] 人の後ろに付いて行く。人に従う。また、人の真似をする。
・尻に火が付く
(しりにひがつく)[=点く] 事態が差し迫ってきて、じっとしていられない様子。慌(あわ)てふためく様子。
・尻に帆を掛ける
(しりにほをかける) 慌てふためいて逃げ出す。さっさと逃げだすこと。
・尻拭い
(しりぬぐい) 他人の失敗や不始末の事後処理を、代わってすること。
・尻抜け(しりぬけ) 1.見たり聞いたりしたことをすぐに忘れること。また、その人。2.仕事などを途中で放り投げてしまうこと。ものごとの締め括(くく)りが付かないこと。また、その人。3.仕事の手抜かり。不手際(ふてぎわ)。
・尻の穴が小さい
(しりのあながちいさい) →尻(けつ)の穴が小さい
・尻の毛まで抜かれる
(しりのけまでぬかれる) 何も残らなくなるまで騙(だま)し取られる。 類:●骨までしゃぶられる
・尻の毛を抜く
(しりのけをぬく) 相手が油断している間に出し抜く。 類:●尻(けつ)の毛を抜く
・尻へ手が回る
(しりへてがまわる) 1.他人の言動などを自分勝手に推量する。 類:●気を回す 2.後々のことを考えて、手段を用意しておく。
・尻全し
(しりまったし) 尻が落ち着いている。度胸が座っていて、気骨がある。
・支離滅裂
(しりめつれつ) 《四熟》 筋道が立たないで、滅茶苦茶であること。 例:「支離滅裂な話」
・尻目に懸ける
(しりめにかける) 1.尻目で見る。相手をちょっと見るだけで、まともには問題にしない態度を取る。見下し、蔑(さげす)む様子。 類:●尻目に見る 2.媚びた目付きをする。 類:●色目を使う秋波を送る
・尻餅を搗く
(しりもちをつく) 1.後ろに倒れて地面に尻を付くこと。 類:●腰を突く ★尻で餅をつく意<新明解国語辞典5版(三)> 2.比喩的に、航空機が着陸するときに、後尾を先に着いてしまう。
・尻も結ばぬ糸
(しりもむすばぬいろ) 玉止めのしてない縫い糸のこと。 1.ものごとが、締まりのないこと。締め括(くく)りがないこと。けじめがないこと。また、無責任なこと。2.言った後からすぐばれてしまう嘘。隠し事が筒抜けになること。
・時流に乗る
(じりゅうにのる) その時代の傾向や風潮に巧く乗る。機会を巧く利用する。 類:●時機に投ずる
・思慮分別
(しりょふんべつ) 《四熟》 1.ものごとの道理を弁(わきま)え、深く考えて判断を下すこと。また、そういう能力。2.ものごとに注意深く考えを巡らし、常識的に行動すること。 類:●熟慮断行 反:■軽挙妄動軽率短慮

−−−−−−−しり(を)(#siriwo)−−−−−−−
・尻を上げる
(しりをあげる) 1.座っていたところから立ち上がる。訪ねて行った先を辞去する。 類:●腰を上げる 例:「中々尻を上げようとしない客」 2.言葉の最後を高く発音する。 類:●語尾上げ
・尻を押す
(しりをおす)[=持つ] 後ろから援助する。傍(かたわ)らから声を掛けて励ます。または、嗾(けしか)ける。
・尻を落ち着ける
(しりをおちつける) 勤め先や訪問先に、ゆっくりと落ち着いている。その場所に長く留まる。 類:●腰を落ち着ける
・尻を掛ける
(しりをかける) 1.腰掛ける。腰を下ろす。2.後始末を他人にさせる。迷惑を掛ける。
・尻を絡げる
(しりをからげる)[=引き絡げる] 1.着物の裾(すそ)を捲(まく)り上げて端を帯に挟(はさ)む。 類:●
尻を端折る 2.転じて、その走り易い姿から、早々に逃げ出すこと。
・尻を食う
(しりをくう)[=食らう] ものごとの後始末を押し付けられたり、とばっちりを受けたりする。 類:●とばっちりを食う
・尻を括る
(しりをくくる)[=結ぶ] 後始末をきちんと付ける。また、よく注意する。用心する。
・尻を食え
(しりをくらえ) 人を嘲(あざけ)り罵(ののし)って言う言葉。 類:●糞を食らえ●糞食らえ
・尻を据える
(しりをすえる) じっくり腰を落ち着ける。 類:●居座る●長っ尻
・尻を叩く
(しりをたたく)[=引っ叩(ぱた)く] 1.やる気を起こさせるように励ます。2.実行するよう催促する。 類:●けつを叩く 例:「もっと稼げと、女房に尻を叩かれている」
・尻を拭う(しりをぬぐう) 他人の失敗や不始末の事後処理をする。 類:●
尻拭いをする
・尻を端折る
(しりをはしょる・はしおる・はせおる) 1.着物の裾(すそ)を捲り上げて端を帯に挟む。 類:●尻を絡げる 2.話や文章などの、最後の方を簡単にする。簡単に切り上げる。
・尻を引く
(しりをひく) 飽きずにいつまでも欲しがる。 類:●尾を引く
・尻を捲る
(しりをまくる・けつをまくる) 本性(ほんしょう)を現して喧嘩腰になる。 類:●居直る
・尻を持ち込む
(しりをもちこむ) 事後の責任を問う。後始末を迫る。
・尻を持ってくる(しりをもってくる) 責任が持ち込まれるというで、ものごとの後始末を関係者から申し入れられることの喩え。
・尻を寄越す(しりをよこす) 苦情を持ち込む。失敗の後始末を押し付ける。
・尻を割る
(しりをわる) 隠している事を暴露する。悪事の企(くわだ)てなどに言う。

−−−−−−−しる(#siru)−−−−−−−
・印ばかり
(しるしばかり) わずかにしるしとなるほど。ほんの少しだけ。いささか。かたちばかり。 例:「印ばかりのお礼」
・知る人ぞ知る(しるひとぞしる) 多くの人に知られてはいないが、一部の人にはその真価は十分に理解されている。ものの趣(おもむき)を解する人には分かる。 用例:古今−三八「色をも香をもしる人ぞ知る」 例:「これは知る人ぞ知る名品だ」
・知る者は言わず言う者は知らず
(しるものはいわずいうものはしらず) 深く事に通じた人はみだりに口に出して言わないが、やたらと発言する人は却って良く知らない。 用例:「老子−五六章」「知者不言、言者不知
・知る由もない(しるよしもない) 知るための手掛かりも方法もない。 例:「出張中の夫は知る由もない」
・汁を吸うても同罪(しるをすうてもどうざい) 汁をちょっと啜(すす)っただけでも、中身の具を全部食べた人と同じ罪を負うべきである。少しでも悪事に関われば、その罪は同じだということ。

−−−−−−−しれ(#sire)−−−−−−−
知れた(しれた) 1.分かり切った。言うまでもない。当たり前の。 用例:浄・一谷軍記−三「知れた事をと鋭(するど)なる」 例:「そんなことは知れたことさ」 2.一般に、良く知れ渡っている。 類:●公然の 用例:浮・好色一代男−四「人の噤子(むすめ)にかぎらず、しれたいたづら」 3.高(たか)が知れた。大したものでない。 例:狂言記蟹山伏「やいやい強力(がうりき)。きゃつはしれた蟹じゃは」 例:「あいつがキャプテンなら知れたものだ」 用例の出典@:一谷軍記(いちのたにふたばぐんき) 浄瑠璃。時代物。五段。宝暦元年(1751)大坂豊竹座初演。並木宗輔が三段まで執筆したが没し、その後を受け継いで浅田一鳥、浪岡鯨児らが完成したという。熊谷次郎直実と平敦盛、岡部六弥太忠澄と平忠度との二つの物語を組み合わせて脚色した作品。 用例の出典A:蟹山伏(かにやまぶし) 狂言。各流。原型は室町時代。強力(ごうりき=下僕のこと)を引き連れた山伏が山中で蟹の精に出会う。強力は晩のおかずにしようと棒で殴り掛かるが、逆に耳を挟(はさ)まれてしまう。「わが行力(ぎょうりき)を見せてやろう」と自慢して念じたが効果はなく、山伏も蟹に耳を挟まれて突き倒される。

−−−−−−−しろ(#siro)−−−−−−−

・白い黒い
(しろいくろい) ものごとの差別。是非(ぜひ)。 用例:
虎明本狂言・伊呂波「手習をすればしろいくろいを知らねばならぬが」 大蔵虎明本狂言(おおくらとらあきらぼんきょうげん) 寛永19年(1642)に大蔵流狂言師の大蔵弥右衛門虎明(とらあきら)が書き留めた「虎明本狂言集」と呼ばれる狂言の台本。・・・詳細調査中。 用例の出典:伊呂波(いろは) 狂言。各流。父親が子にいろはを教えようとして、口写しに言えと注意すると子が何から何まで父親のまねをするので怒るという筋。
・白い歯を見せる
(しろいはをみせる) 心を許し笑顔を見せる。 また、一般ににやにやしている態度を指していうこともある。 ★逆の場合は、「白い歯を見せぬ」、または「白い歯を見せない」というように使う。
・白い目(しろいめ) 悪意を含んだ目付き。冷淡な目。類:●白眼 例:「白い目で見る」
・四六時中(しろくじちゅう) 《四熟》 一日中。転じて、いつも。 類:●始終 
★昔の「二六時中」を、今日の二四時間制に直した言い方<国語大辞典(小)>
・白黒付ける
(しろくろつける) ものごとの良し悪(あ)しをはっきりさせる。是か非かを決める。また、無罪か有罪かの判決を下す。
・白黒になる(しろくろになる) 違うものが入り乱れるということから、混乱する。
・白旗を揚げる
(しろはたをあげる) 戦いのときに、戦意のないことを示す。降伏する。また、一般に、降参する。
・白無垢鉄火(しろむくてっか・でっか) 表面は上品でおとなしく見えるが、実は悪辣(あくらつ)で不良の者。男にも女にも言った。 類:●羽織ごろ ★江戸時代の言葉で、現在は廃(すた)れている。 参考:鉄火(てっか) 気質が荒々しいこと。勇み肌であること。多く女のそうした気質にいう。鉄火肌<国語大辞典(小)>
・白目を剥く(しろめをむく) 開いた目の、白目の部分が常態より多く見える。 1.目を見開いて、怒った目付きをする。 類:●目を剥く 例:「白目を剥いて怒っている」 2.気絶して、目が半開きになっている。 例:「白目を剥いて失神した」

−−−−−−−しわ(#siwa)−−−−−−−
・皺伸ぶ(しわのぶ) 1.顔の皺が伸びるの意味で、老人の心が若返る。 用例:源氏−若菜下「老いの波のしはのぶばかりに」 2.眉間(みけん)の皺が伸びるの意味で、心が晴れ晴れする。 用例:源氏−総角「おほかたれいのみたてまつるに、しはのぶる心ちして」
・皺を伸ばす(しわをのばす) 息抜きをする。気持ちをのんびりさせる。

・吝ん坊の柿の種(しわんぼうのかきのたね) 食べることのできない柿の種まで物惜しみするほどけちである。使えそうもないものまで惜しがるような、度の過ぎた吝嗇家(りんしょくか)を罵(ののし)って言う。 類:●吝ん坊の柿のへた ★「吝ん坊」は、けちの古風な言い方。

−−−−−−−しを(#siwo)−−−−−−−
・死を致す(しをいたす) 命を亡くす。死ぬ。
・地を打った(じをうった) 大地は誰が打っても打ち外すことがないという意味から、最も安易な言い回しや形容。平凡な。ありきたりの。 用例:浄・
傾城阿波の鳴門−八「逢はぬの無事なのと地を打った台詞(せりふ)ぢゃない」 類:●常套(じょうとう)●陳腐(ちんぷ) 用例の出典:傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると) (1)歌舞伎。時代物。3幕。近松門左衛門。元禄8年(1695)京都早雲座初演。和泉国斑鳩(いかるが)家のお家騒動物。(2)浄瑠璃。時代物。10段。近松半二らの合作。明和5年(1768)大坂竹本座初演。夕霧伊左衛門の話に伊達騒動、阿波の十郎兵衛の巷説をとり入れたもの。お弓とその子お鶴の愁嘆の場が特に有名で、歌舞伎では「どんどろ大師の場」として繰り返された。 
・死を決す
(しをけっす)[=極(きわ)む] 死を覚悟する。
・死を鴻毛の軽きに比す
(しをこうもうのかろきにひす) 「鴻毛」は鳳の羽毛のことで、非常に軽いものの喩え。国家・君主などのために命を捧げ、潔く死ぬこと。 類:●命は鴻毛より軽し
・刺を通ず(しをつうず) 名刺を出して面会を求める。名刺を渡す。また、名前を名乗って案内を請う。 用例:断腸亭日乗 「唖々子の名を借りて刺を通ずる」 用例の出典:
断腸亭日乗(だんちょうていにちじょう) 日記。永井荷風。荷風の大正6年(1917)から昭和34年(1959)までの日記。
・詩を作るより田を作れ(しをつくるよりたをつくれ) ここでの「詩」は漢詩のこと。文学などという非生産的なことに熱中するより、実生活の利益になるようなことをすべきであるという喩え。 類:●念仏申すより田を作れ 出典:
不明
・死を賭す(しをとす) ある目的を遂(と)げるために、自己の生命を投げだす。命懸けで事に当たる。 類:●身命を賭する
・辞を吐けば経と為る
(じをはけばけいとなる) 孟子や荀子の口から出た言葉は、その言葉がそのまま経書になるような立派なものであったということ。 類:●足を挙ぐれば法と為る 出典:韓愈「進学解」「吐辞為経、挙足為法」 韓愈(かんゆ)が孟子荀子を讃(たた)えた言葉。
・辞を低うする(じをひくうする) 遜(へりくだ)った言い方をする。謙遜した言葉使いをする。 類:●言葉を下ぐ言葉を卑くする
・死を視ること帰するが如し
(しをみることきするがごとし) 死を恐れない様子は、まるで家に帰る時のような気安さである。死に臨んで、ゆったりと落ち着いている様子。 類:●従容(しょうよう)として死を恐れぬ 出典:「
大戴礼−曾子制言上」「及其不可避也、君子視死如帰」 出典:大戴礼(だいたいれい) 中国の経書。85編、うち39編現存。前漢の戴徳撰。周・秦・漢代の礼説を集めたもの。

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