【しま】~【しや】

−−−−−−−しま(#sima)−−−−−−−
・揣摩憶測
(しまおくそく)・揣摩臆測 《四熟》 自分の心の内で、相手の心を推し測(はか)ること。はっきりした根拠もなく情勢などを推し測ること。 類:●当て推量
・始末が悪い
(しまつがわるい) 扱(あつか)いに困る。 類:●手に余る
・始末に負えない(しまつにおえない)[=ゆかぬ] 事態が悪くなって、処理し切れない。手が付けられない。 類:●始末にゆかない●手に負えない
・始末を付ける
(しまつをつける) ものごとに決まりを付ける。締(し)め括(くく)る。処理する。 類:●方を付ける
・締まりがない
(しまりがない) 1.態度や心構えにきりっとしたところがない。顔や体付きが引き締まっていない。緊張感がない。2.異性関係に節操(せっそう)がない。浮気っぽく、多情である。 類:●節操がない
・締まり屋
(しまりや) 1.金銭を浪費しない人。倹約家。 類:●始末屋 2.けちな者を嘲(あざけ)っても言う。 類:●けち
・自慢高慢馬鹿の中
(じまんこうまんばかのうち) 自分や身内のことばかり自慢する者や偉ぶっている者は、馬鹿者である。他人の劣っている事を蔑(さげす)んだりするのは浅ましく、人に嫌われる元であるということ。 類:●自慢高慢酒の燗●自慢高慢ばかの行き止まり●自慢は知恵の足らぬ大馬鹿
・自慢じゃないが
(じまんじゃないが) 自慢する訳ではないがという意味で、自慢話を始める際の前置きの言葉。
・自慢たらたら(じまんたらたら) 自慢ばかりしているという意味で、臆面(おくめん)もなく自慢話をしている様子。
・自慢は知恵の行き止まり(じまんはちえのゆきどまり) 自己満足して思い上がった者には、それ以上の知恵も進歩もありはしない。人間、自慢をするようになったらお終(しま)いだということ。 類:●高慢は出世の行き止まり

−−−−−−−しみ(#simi)−−−−−−−
・しみったれ 1.けち臭いこと。金品を出し惜しみすること。けちけちしていること。また、その人。 類:●吝嗇(りんしょく)●塩っぱい 用例:滑・膝栗毛−二「ヱヱおめへまだ、そんなしみったれをいふは」 2.安っぽくて見映えがしないこと。意気地(いくじ)がないこと。また、そのような人。 類:●意気地無し 用例:洒・
狐の竇這入−五「おいらが、しみったれでくるもんだから」 3.貧しいこと。貧乏人。 用例:人情・祝井風呂時雨傘−一「此方の娘の貧乏(シミッタレ)な所を見込んで、欲しがるのだ」 4.醜女(しこめ)。 類:●不美人 用例:洒・辰巳婦言「おそらく醜女。彼俗に云しミツたれだらふ」 用例の出典①:狐の竇這入(きつねのあなはいり?)・青楼奇談狐竇這入(せいろうきだんきつねのあなはいり?) 洒落本。遊郭本。十返舎一九。1冊・・・詳細調査中。 用例の出典②:祝井風呂時雨傘(いわいぶろさみだれがさ) 人情本。・・・調査中。
・市民権を得る(しみんけんをえる) 1.市民としての行動・思想・財産の自由が保障され、国政に参加できるようになる。市民として迎え入れられる。2.転じて、世俗一般に馴染(なじ)んだものになる。 例:「『一生懸命』という言葉はすっかり市民権を得ている」

−−−−−−−しむ(#simu)−−−−−−−
・仕向ける
(しむける) 1.相手に対してある態度で接する。待遇する。 例:「親切に仕向ける」 2.他人がある行為をするように働き掛ける。そういう気持ちを起こさせる。 類:●仕掛ける 例:「辞表を書くように仕向ける」 3.商品などを人に宛てて送る。発送する。 類:●差し向ける ★「し」は動詞「する」の連用形。「仕」は当て字<国語大辞典(小)>

−−−−−−−しめ(#sime)−−−−−−−
・自明の理
(じめいのり) 説明を必要としない明らかな道理という意味で、明白で分かり切った事柄のこと。 類:●日月自明●明明白白●火を見るより明らか 出典:「荘子−田子方」「若天之自高、地之自厚、日月之自明、夫何修焉」
・死命を制す(しめいをせいす) 死ぬか生きるかという大事なところを押えて、その人の運命やことの成り行きを自分が掌握すること。相手の急所を押える。 例:「敵の死命を制す」
・占め子の兎
(しめこのうさぎ)[=うさうさ] ものごとが思い通りに運んだときに言う洒落(しゃれ)。 類:●占めた●しめしめ●してやったり 
★「うまくいった」の意の「しめた」に、兎を「絞(し)める」をかけていう語<国語大辞典(小)>
・示し合わせる(しめしあわせる) 1.仲間などと予(あらかじ)め相談しておく。事を起こすに先立ち、互いに心を合わせておく。 用例:浮・傾城禁短気−五「兼て遣手としめし合せておいて」 2.互いに目配せなどの合図を交わして、知らせ合う。
・示しが付かない
(しめしがつかない) 模範となるべき立場なのに、模範として示すことができない。訓戒の効き目がない。 例:「飲んだくれていては子供に示しが付かない」
四面楚歌(しめんそか)

−−−−−−−しも(#simo)−−−−−−−
・下いびりの上諂い
(しもいびりのかみへつらい) 目下や弱者に辛(つら)く当たるような者は、例外なく、上の者に媚び諂うものであるということ。  反:■強きを挫き弱きを助く
・耳目となる
(じもくとなる) ある人の耳や目と同じような働きをする。人を補佐する。
・耳目に触れる
(じもくにふれる) 耳や目で知覚するという意味から、見たり聞いたりする。
・耳目の欲(じもくのよく) 見たり聞いたりすることによって起こる欲望。
・耳目を驚かす
(じもくをおどろかす) 世の人に衝撃を与える。世間を驚かす。世間の関心を惹(ひ)く。 類:●あっと言わせる
耳目を引く
・耳目を属す
(じもくをしょくす) 耳を欹(そばだ)てて良く聞き、目を注いでよく見る。
・耳目を引く
(じもくをひく) 人の耳や目に訴えるという意味で、多くの人々の注意を引いて目立つ。 類:●
耳目を驚かす
・駟も舌に及ばず(しもしたもおよばず) 一度口から出した言葉は、四頭立ての馬車で追い掛けても追い付かない。言葉は慎(つつし)むべきであるということ。 類:●駟馬(しば)も追うあたわず 出典:「論語−顔淵」「惜乎、夫子之説君子也、駟不及舌
・霜を踏んで堅氷至る
(しもをふんでけんぴょういたる) 霜を踏んで歩く季節を経て、氷が堅く張る厳冬の季節に達する。何事も徴候が現れてから、その後に実際のできごとが起こるという喩え。 類:●堅き氷は霜を踏むより至る
・自問自答(じもんじとう) 《四熟》 自分で自分に問い掛け、自分で答えること。 例:「これで良いのかと自問自答する」

−−−−−−−しや(あ)(#siya1)−−−−−−−
・洒洒
(しゃあしゃあ) 厚かましくて、恥を恥とも思わない様子。また、何をされてもけろりとしている様子。 類:●いけ洒洒 用例:俳・文政句帖−二年「叱ってもシャアシャアとして蛙かな」 例:「よくもしゃあしゃあと金を借りに来られるもんだ」
・差異もない
(しゃいもない) たわいもない。訳もない。 用例:浄・
傾城島原蛙合戦−一「しんきしんきで夜の目もろくに、差異(シャヰ)もなき夢の気がかり祈らんと」 用例の出典:傾城島原蛙合戦(けいせいしまばらかえるがっせん) 浄瑠璃。近松門左衛門。享保4年(1719)。島原の乱を趣向にした作。太平記の時代に設定を変え、七草四郎が籠城近松門左衛門でござーい!

−−−−−−−しや(か)(#siya2)−−−−−−−
・社会に出る
(しゃかいにでる) 世の中に出て独り立ちをするという意味で、学生であったり親の庇護の下にあったりした者が、独立した人間としての仕事や役割を担(にな)うようになる。
・社会の木鐸(しゃかいのぼくたく) 世の中を教導し、正す人。 
参考:木鐸(ぼくたく) 木製の舌がついた金属製の大鈴。昔、中国で文教の法令などを人民に示すときに振り鳴らした。 
・社会の窓
(しゃかいのまど) 俗語。男のスボンの股間にあるファスナー。 例:「社会の窓が開いてるよ」 ★昭和23(1948)〜29年、及び34〜35年に放送されたNHKラジオの番組「インフォメーションアワー・社会の窓」に由来する。昭和20年代中後半の流行語。「普段の社会の裏側に隠された大事なものが見えてくる番組」という謳(うた)い文句による。 ★女性のファスナーを、教科名の対比で「理科の窓」とも言っていたが、現在では廃(すた)れつつある。
・蛇が蚊を呑んだよう
(じゃがかをのんだよう) 蛇は身体に似ず大きなものを呑みこむが、蚊ではあまりにも小さ過ぎるということ。小さ過ぎて問題にならないこと。また、少な過ぎて腹の足しにならないこと。堪(こた)えない、効果がないことの喩え。
釈迦に説法(しゃかにせっぽう)
・釈迦にも経の読み違い
(しゃかにもきょうのよみちがい) → 猿も木から落ちる
・迦葉の口に笑みを含む
(かしょうのくちにえみをふくむ) 釈迦の不思議な行為を、迦葉だけが理解して、にっこりと笑ったという故事。(=拈華微笑
・邪が非でも
(じゃがひでも) どうあろうとも。何が何でも。 類:●是が非でも 
★「じゃ」は「ぜ(是)」の変化したもので、「邪」の意と解されて<国語大辞典(小)>
・車魚の嘆(しゃぎょのたん) 斉の馮驩(ふうかん)が、「食事に魚もない、外出するのに車がない、家族揃って住む家がない、このような扱いを受けるのなら、長剣よ、帰ろうか」と歌ったことを指す。 類:●長鋏帰らんか 
★斉の宰相孟嘗君とその食客馮驩(ふうかん)との故事による<中国故事物語(河出書房新社)> 出典:「戦国策−斉」
・酌が強い
(しゃくがつよい) 酌をする回数が甚(はなは)だしいという意味から、無闇矢鱈と酒を注ぐこと。
杓子定規(しゃくしじょうぎ)
・杓子で腹を切る
(しゃくしではらをきる) できるはずのないことをする。不可能なことをする。また、形式だけのことをするの喩え。 類:●擂り粉木で芋を盛る●擂り粉木で腹を切る●杓子腹
・杓子は耳掻きにならず
(しゃくしはみみかきにならず) 大きい物が、必ずしも小さい物の代用になるとは限らない。
・綽綽
(しゃくしゃく) ゆったりとして、ゆとりがある様子。落ち着いて焦らない様子。 類:●綽然 例:「余裕綽綽」「綽綽として余裕あり」
・杓子渡し(しゃくしわたし) 主婦権を譲り渡すこと。姑が嫁に家政を任せること。 類:●箆(へら)渡し●杓文字渡し
・杓子を定規にする
(しゃくしをじょうぎにする)[=使う] 杓子の柄は曲がっていて定規にならない。正しくないものを基準とする。
・杓子を取る(しゃくしをとる) 「杓子」は一家の台所を意味し、それを担うということから、世帯を取り仕切ることを表わす。
・杓子を渡す(しゃくしをわたす) 姑(しゅうとめ)が、嫁に世帯の切り盛り役を譲る。
・尺進尋退
(しゃくしんじんたい) 《四熟》 僅かばかり進んでたくさん退くこと。また、得るところが少なく、失うところが多いことの喩え。 類:●寸進尺退
・笏取り直す
(しゃくとりなおす) 慌てて笏を持ち直す。転じて、はっと気が付いて姿勢を改め、威儀を正す。
・弱肉強食
(じゃくにくきょうしょく) 《四熟》 力の弱いものが強いものの餌食(えじき)になること。力の強いものが勝ち、栄えること。 類:●優勝劣敗生存競争 例:「弱肉強食の世の中」 出典:韓愈「送浮屠文暢師・序」「
・癪に障る
(しゃくにさわる) ものごとが気に入らなくて腹が立つ。 類:●癇に障る気に障る肝が煎れる
・癪の種
(しゃくのたね) 腹が立つ原因。癇癪を起こす元。
・癪の虫
(しゃくのむし) 身中にいて、癪の病気を起こす元になると考えられた虫。転じて、腹の立つ原因となる事柄。
・尺八ほど
(しゃくはちほど) 涎や涙を、尺八みたいに長く垂らすということから、涙や涎が長く垂れる様子の喩え。
・寂滅為楽(じゃくめついらく) 《四熟・仏教用語》 生死を超越し、煩悩から解放されて初めて、真の安楽が得られる。涅槃(ねはん)の境地に至って、また、死ぬことによって、初めて安楽が得られるということ。 類:●生滅滅已 出典:「涅槃経−雪山偈」 ★「寂滅」は、悟りの境地に入ること。または、死ぬこと。
・尺も短き所あり、寸も長き所あり
(しゃくもみじかきところあり、すんもながきところあり)[=短く寸も長し] 「寸」にくらべて長い「尺」でも、時には短くて足りないことがあり、「尺」に比べて短い「寸」でも、時には長くて余ることがあるということで、どんなものごとにでも長所と短所があるということ。賢者もことによっては劣り、愚者もことによっては勝(まさ)ることがあるえ。 出典:「楚辞−卜居」「尺有所短、寸有所長、物有所不足、智有所不明。数有所不逮、神有所不通」
・雀躍
(じゃくやく) 雀が躍るように、小躍りして喜ぶこと。 類:●小躍り 例:「欣喜(きんき)雀躍
・錫を飛ばす
(しゃくをとばす) 僧が修行のために各地を遍歴する。 類:●行脚(あんぎゃ)する
・尺を取る
(しゃくをとる)[=打つ] 物差しで長さを測る。寸法を取る。
・尺を枉げて尋を直ぶ
(しゃくをまげてひろをのぶ) 短いものを縮めて、長いものを更に伸ばす。小節を犠牲にして大義に従う。小利を捨てて大利を取ること。 類:●寸を(ま)げて尺を信(の)ぶ 出典:「孟子−滕文公・下」「枉尺而直尋、宜若可為也」

−−−−−−−しや(さ)(#siya3)−−−−−−−
・奢侈淫佚
(しゃしいんいつ) 《四熟》 贅沢な暮らしに耽(ふけ)り、不道で淫(みだ)らな行ないを楽しむこと。 類:●驕奢淫逸 ★「佚」は「逸」とも書く。
・車軸の雨
(しゃじくのあめ) 雨足(あまあし)が車軸のように太い雨。大雨の形容。 類:●車軸の如し●車軸を流す●車軸をさす
・車軸を流す
(しゃじくをながす)[=下(くだ)す・降らす] 雨足の太い雨が降る。激しく雨が降る。
・じゃじゃ馬
(じゃじゃうま) 1.人に馴れない気性の荒い馬。 類:●駻馬(かんば) 2.比喩的に、他人の言うことに従わない暴れ者。3.我が儘で扱いにくい者。特に、利かん気の我が儘娘。 類:●お転婆 ★「じゃじゃ」は、駄々(だだ)の幼児語から。
・じゃじゃ馬馴らし
(じゃじゃうまならし) 1.原題(英語)The Taming of the Shrew。戯曲。5幕。
シェークスピア。1593〜94年頃。鋳掛屋クリストファの夢物語。パプティスタ家のじゃじゃ馬の姉娘と、しとやかな妹娘の結婚を巡る喜劇。2.従順でない妻や娘、恋人などを上手く扱うこと。 人物:シェークスピア(ウィリアム) イギリスの劇作家、詩人。1564〜1616。人間世界のさまざまな悲劇・喜劇を描き多くの名作を残した。作品としては、「ヘンリー四世」「ジュリアス‐シーザー」などの史劇、「ベニスの商人」「真夏の夜の夢」などの喜劇、「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リヤ王」の四大悲劇のほか、詩集、ソネット集なども多数ある。「沙翁」「沙比阿」の漢字を宛てる。
・社稷の臣(しゃしょくのしん) 1.国家の命運を左右するような、重要な臣下。 類:●国家の元臣 2.私情に左右されず、公正な立場で国家のことを考えるような家臣。 出典:「礼記−檀弓・下」「有臣柳荘也者、非寡人之臣、社稷之臣也」 衛公が、大夫の柳荘(りゅうそう)の死に際して、祭礼を中断してまでも臨終の場に駆け付けた。 ★「社」は土地の神、「稷」は五穀の神。共に国家の祭祀の重要な対象であったことから、「社稷」は国家の意味となった。

−−−−−−−しや(た)(#siya4)−−−−−−−
・鯱こ張る
(しゃちこばる)・鯱張る(しゃちほこばる) 1.鯱(しゃちほこ)のように厳(いか)めしく構える。威厳を作る。 用例:随・
胆大小心録−22「夫でも家格を云うてしゃちこばる事よ」 2.緊張して固くなる。身体を強張らせる。 用例:雑俳・柳多留−20「笑わせて見なと新造しゃちこはり」 ★「しゃちほこばる(鯱張)」の変化<国語大辞典(小)> 用例の出典:胆大小心録(たんだいしょうしんろく) 江戸後期の随筆。上田秋成。文化5年(1808)〜6年成立。江戸時代には出版されていない。自筆本は全163段の短章からなる。自伝、人物評、国学、和歌、歴史についての論評など内容は多岐にわたり、口語をまじえた自由で独特な文体で縦横に論述を行っている。
・弱冠
(じゃっかん) 1.男性の20歳。中国・周の頃の制度では、男子が20歳になると「弱」と呼び、成人として冠を被った。 類:●二十歳(はたち)●丁年 出典:「礼記−曲礼・上」「人生十年曰幼、学。二十曰弱、冠。三十曰壯、有室」 2.年が若いこと。女性にも使う。 類:●弱年●若年 例:「弱冠18歳でコンテストに優勝した」
・しゃっき張る
(しゃっきばる) 強張(こわば)るという意味の「しゃき張る」を強めた言葉で、緊張のため心身が固く強張ること。また、虚勢を張ること。
・借金を質に置く(しゃっきんをしちにおく) 借金のほかには質草もないほど貧乏している様子。無理な算段をして、金銭の工面(くめん)をすること。
・借金を踏む(しゃっきんをふむ) 借りた金を返済しようとせず、誤魔化して帳消しにしてしまうこと。 類:●借金を踏み倒す
・シャッポを脱ぐ(しゃっぽをぬぐ) 帽子を脱いでお辞儀をするということから、相手に敵(かな)わないことを知って降参する。悪事が露見して観念する。 類:●兜(かぶと)を脱ぐ
・遮でも無でも
(しゃでもむでも) 嫌でも応でも。是非とも。 類:●邪が非でも●邪でも非でも●邪も非も●是が非でも

−−−−−−−しや(な)(#siya5)−−−−−−−
・斜に構える
(しゃにかまえる) 1.剣術で、両手に刀の柄(つか)を持ち、剣先を真っ直ぐには相手に向けないで、斜めに構える。2.しっかりと身構える。改まった態度をする。 類:●乙に気取る 用例:滑・浮世風呂−前「小笠原流で、としゃにかまへて居るはさ」 3.真っ直ぐなものに対して、斜めに交差する。4.ものごとに正面から、また正攻法で対処しないで、皮肉、からかい、遊びなどの態度で臨むこと。
・遮二無二(しゃにむに) 《四熟》 一つのことだけを我武者羅(がむしゃら)にする様子。 類:●無闇 例:「敵(かな)わぬ敵に遮二無二ぶつかる」 
★「しゃりむり」の変化か<国語大辞典(小)> ★語源(説):「しゃり」は、「しゃしゃり出る」の「しゃしゃり」の省略形で、厚かましく出しゃばる意。「むに」は、「無理に」の省略形で、強引にの意 ★「遮二無二」は当て字。
・社人の居成り食い
(しゃにんのいなりぐい) 神社で、神職たちが氏子からの供物(くもつ)について文句を言いながら、食べるだけは遠慮なしに食べてしまうということ。転じて、一般に、無為徒食の図々しさや身勝手を皮肉っていう言葉。 ★「居成り食い」は、立つ用があっても立ち上がらないで、座ったまま食べ続けること。
・蛇の寿司
(じゃのすし) 蛇をネタにした鮨はありそうもなく、珍しいところから、珍奇な食物や物の喩え。
蛇の道は蛇
(じゃのみちはへび)

−−−−−−−しや(は)(#siya6)−−−−−−−
・蛇は一寸にしてその気を得る
(じゃはいっすんにしてそのきをうる)[=人を呑む・兆(きざし)現わる] 蛇は僅(わず)か一寸ほどのうちから、人を呑むような気迫がある。転じて、幼くして早くも衆に抜きん出た閃(ひらめ)きがあること。 類:●栴檀は二葉より芳し牛を食らうの気有り

−−−−−−−しや(ま)(#siya7)−−−−−−−
・沙弥から長老にはなれぬ
(しゃみからちょうろうにはなれぬ) 仏門に入ったばかりの修行僧が、間を省いて一気に学徳を備えた高僧になることはできない。ものごとは順序や段階を踏まなければならないことの喩え。一足(いっそく)跳びの出世などを望むものではないということ。 類:●仏になるも沙弥を経る●端から和尚はない●生まれながらの長老なし●河童も一度は川流れ
・三味線を弾く
(しゃみせんをひく) 1.相手の言うことに適当に調子を合わせて応対する。 用例:滑・当世阿多福仮面「下女はよいかげんに三味線ひいて」 2.あらぬ事を言って惑(まど)わせる。誤魔化(ごまか)す。

−−−−−−−しや(ら)(#siya9)−−−−−−−
・洒落臭い
(しゃらくさい) 洒落た真似をする。また、生意気である。 類:●小癪(こしゃく)である 用例:評判・
難波物語「時々しゃらくさき事などとなへいだせり」 ★接尾語の「臭い」は、そのような傾向がある・そんなふうに思える・それに似ている・〜らしいなどの意。 例:「面倒臭い」「辛気臭い」「胡散臭い」「いんちき臭い」 語源:諸説ある。 ①遊里の言葉説。極上の伽羅(きゃら)の香りを焚(た)き込んで来る成金の野暮な客の匂いが着物に残ってしまうことを、揶揄して「伽羅臭い」と言い、それが転訛して「しゃらくさい」となったとする。元来は「野暮なこと」を意味した。②「しゃら」説。越前の三国界隈で、遊女のことを「しゃら」と呼び、素人女性が遊女のようにめかし込むことを「しゃらくさい」と言ったとする。③「洒落(しゃれ)」説。「しゃれくさい」からの転訛とする。 用例の出典:難波物語(なにわものがたり) 遊女評判記・花街本。明暦元年(1655)。・・・詳細調査中。
・舎利が甲になる(しゃりがこうになる) 到底有り得ないことのたとえ。 類:●甲が舎利になる ★「甲」は鎧(よろい)、一説に頭蓋骨とも<国語大辞典(小)>
・砂利を掴む
(じゃりをつかむ) 「砂利」は奉行所の白州の意味で、奉行所で取調べを受けること。
・じゃりを引く(じゃりをひく) 「じゃり」は、歌舞伎で、小道具の仕掛け物を操る黒糸のこと。芝居で、仕掛け物の糸を引いて操る。転じて、陰で策略を巡らして人を思うように動かす。陰で糸を引く。


−−−−−−−しや(を)(#siyawo)−−−−−−−
・舎を道傍に作れば三年にして成
らず(しゃをどうぼうにつくればさんねんにしてならず) 道端(みちばた)に家を建てようとするとき、道行く人の意見を一々取り入れていたら、それぞれが勝手なことを言うから、三年経(た)っても完成しない。一人一人の意見を聞いていたら、方針など決まるものではないということの喩え。 類:●船頭多くして船山に登る 出典:「後漢書−曹褒伝」 後漢の粛宗(しゅくそう・劉コウ)が礼楽を制定するにあたり、学者の班固(はんこ)に相談すると、学者たちを集めて論議させてから決めるべきだと建言した。しかし、粛宗は「家舎を道端に作って、道行く人に相談していたら三年経ってもでき上がらない」と、家造りに喩えて反対した。

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